10月19日:追記
ツレうつのことを検索してて見つけた。
うつ病の夫と夫を支える妻の日常を描く細川貂々(てんてん)さんのコミックエッセー「ツレがうつになりまして。」が映画化され、8日から全国で公開される。病気に戸惑いながらも、患者に寄り添う家族をクローズアップする。映画の「医療監修」を務めた精神科医で「メディカルケア虎ノ門」(東京都)院長、五十嵐良雄さん(62)に、うつ病をめぐる家族の役割などを聞いた。【水戸健一】
--映画は佐々部清さん監督で東映配給。堺雅人さんが演じる夫の変調から物語が始まる。「最近、料理がおいしいと感じられない」と話す夫に、妻(宮崎あおいさん)は「私のごはんがおいしくないのか」と返す
五十嵐院長 妻は夫の様子に違和感を抱きながらも、うつ病を疑うことができません。感覚が鈍るのは、うつ病の典型的な症状の一つ。料理好きの夫が、塩を入れすぎてしまう場面もあります。ただ、初期は「がんばれば」症状を隠せるため、本人も家族もなかなか病気に気づけない。
最近は、友人や同僚がうつ病になることが多くなったと思いますが、その割に病気への理解が進んでいないと感じます。私の医院でも、患者の家族は「治療にどれだけ期間がかかるか」など基礎的な質問はしますが、「家族に何ができますか」と尋ねてくることは少ない。
--映画では、治療を焦る夫に、妻はゴロゴロとすればよいと声をかける。患者の家族はどうサポートできるか
五十嵐院長 患者に「励ましは厳禁」と言われますが、一部で誤解があります。患者は「がんばれないことがつらい」のです。「電車に乗って外出したい」と前向きな意思があるなら、家族は「がんばらなくて大丈夫」とさえぎるのでなく、背中を押して、一緒に電車に乗ってあげてください。休職していた職場に戻る場合は、想像以上にハードルが高いので、症状が落ち着いた段階で患者の努力も必要になります。
--細かく仕事上のアドバイスをする夫を、妻が疎んじてしまう場面も。夫は無力感から、浴室で自殺を図ろうとする
五十嵐院長 家族も人間なので、患者に腹が立ったり、言い争ったりもします。これは「患者にイライラしてはダメ」という警告でなく、「うつ病の患者はささいなことで死を意識する」というメッセージです。患者は信頼できる人にだけ、「死にたい」などという気持ちをボソッと打ち明けます。そうした時は落ち着いて、主治医に連れて行ってください。
--思い悩む妻に、妻の母親が電話で励ますシーンがある
五十嵐院長 家族は不安や不満を一人で抱え込まず、親しい人や主治医に相談することが大切です。残念ながら、日本はうつ病の患者の家族が集まる会が少なく、家族が悩みを打ち明けて共有する機会をなかなか持てません。
--映画製作でアドバイスした点は
五十嵐院長 きちょうめんな人がうつ病になりやすく、原作の役柄を大切にしてほしいとスタッフに伝えました。映画の患者は、発症後に会社を退職してしまいますが、本来は重大な決定は先送りし、休職を選んだ方が良いと思います。
映画を通し、うつ病の症状を知り、身近な患者に寄り添ってもらえればと思います。特に若い人に見てほしい。
毎日新聞 2011年10月3日 東京朝刊