2009/03/09 17:27
テーマ:創作の部屋 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

創作の部屋~朝月夜~<25話>

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☆前回UPの24話から、すでに3ヶ月が経過してしまいました。

日々のブログをお休みして、「創作」の年内完結を目指します・・・などと、偉そうに宣言しましたが、この有様。

いつもお付き合いくださっていた方々には、お詫びの言葉も見つかりませんが、再びお付き合いくださればありがたいと思っています。

会津で愛を確認し合ったインスとユキ。

二人は、再会を約束して、福島空港で別れました。

自宅に戻ったインスは、妻のスジョンと離婚に向けての話し合いをすべく、向き合います・・・。




「いつ戻ったの?」

「昨日・・・」

「だったら、今日でなくてもよかったのに」

「早い方がいいだろうと思って。それに、また来週は、仕事で

遠くまで行かなければならない」

以前なら、「遠くってどこ?ねえ、帰りはいつ?」

と、しつこいくらいにスジョンは聞いたのに、もうその必要はな

くなった。



僕とスジョンは、二人で暮らした部屋で向き合っていた。

この部屋で・・・と、望んだのは僕だった。

話し合いの場所として、スジョンは街中のレストランを指定して

きたが、僕は、他人の目に晒されながら、最後の会話をする

気には、なれなかった。



僕が差し出した離婚届にスジョンはさっと目を通すと、「すみま

せん」とひと言言った。

何に対する謝罪なのか。

夫である僕に隠れて、他の男と浮気したことか・・・。

それとも、離婚を勝手に決めたことか・・・。

いくつかの思いが浮かんだが、いまさら聞いても意味がないよ

うな気がした。





スジョンは折りたたんだ離婚届の用紙をバックにしまうと、僕

の留守中に荷物を運び出すかもしれないが、それでもいい

か?と聞いた。

今更、異議を唱えるつもりもなく、僕は承諾の返事をした。



「一緒に暮らすのか・・・?」

あの男と・・・と言おうとして、僕はあとの言葉を飲み込んだ。

「できるだけ早く、そうしたいと思っているわ」とスジョンは答え

た。

独身時代のものはもちろん、結婚後二人で購入した家具類

も、必要な限り、持って行くようにと、僕は言った。

スジョンは「うん・・・」と答えたけれど、新生活を始める二人に

とって、過去の道具類は邪魔になるだろうと、僕は思った。



台所で、お湯が沸いたことを知らせる電気ポットの音がした。

私が・・・と、立ち上がるスジョンを制して、僕はコーヒーを淹れ

るために席を立った。

カップに入ったふたつのコーヒーをテーブルに置いた時、スジ

ョンが「そのセーター・・・似合うわ」と言った。

ユキが僕にプレゼントしてくれた紺色のセーターだった。




「日本で・・・買ったんだ・・・寒くて」

セーターが入った包みを差し出した時の、ユキの顔が浮かん

だ。

「素朴なデザインがあなたらしい・・・」と言って、スジョンは小さ

く笑った。



この部屋の権利のこと、二人で貯めた預金のことなど、離婚

の際に発生する事柄を僕たちは話し合った。

「子供がいなくてよかったかもね・・・」と、スジョンが言った。



僕の留守中に荷物を運び出した後の、鍵の置き場所を決め

て、スジョンは席を立った。

「住む場所は決まっているのか?」

別れた妻とは言え、そんなことが気になった。

「部屋を借りたの。ずっとそこに住むかどうかはまだ、解らない

けど・・・」

新しい生活の準備を着々と進めているんだな・・・と僕は思っ

た。



スジョンは帰り支度をすると、改まって僕に向かって、今回のこ

とを詫びた。

すべては自分の責任で、あなたには本当に迷惑をかける結果

になってしまったと、重ねて詫びた。



「体に気をつけて・・・。元気でね」

差し出されたスジョンの右手を握りながら、僕は思った。

このまま、何も言わず、別れてしまっていいのだろうか・・・と。



ここ数日の自分の行動を思った。

スジョンだけを責め、責任を負わせ別れることが、ひどく卑劣

な行為に思えた。


「好きな人ができた・・・」

スジョンは一瞬驚いた表情をしたが、「そう・・・」と穏やかに言

った。


「日本で・・・具合が悪くなった時、世話になった・・・」

彼女は日本人で、通訳の仕事をしていて・・・などと、細かい説

明は、今のスジョンには必要ないだろうと思った。




「愛し合ってるの?それとも・・・あなたの一方的な恋?」と、ス

ジョンが聞いた。

僕が返答に迷っていると、「愛し合ってるのね・・・セーターの贈

り主・・・そうでしょ?」と言った。



もう、君だけを責めたりしない。

僕も同罪だ・・・そんな思いをスジョンに伝えたかったが、具体

的な言葉にすることができなかった。


「これで、安心してこの部屋を出て行ける。幸せになってね。私

もそうなれるように頑張るから・・・」

そう言い残して、スジョンは部屋を出て行った。



最後まで、優しい言葉ひとつ言ってやれなかった自分が情け

なかった。

と、同時に無性にユキに会いたくなった。


女々しい気持ちを振り払うように、僕は仕事場に向かうための

準備を始めた。

仕事は、地方のリゾート地でのコンサートだった。

仲間はすでに現地入りしていて、明後日、合流する予定になっ

ている。

帰国したばかりの僕の体を気づかって、明後日でよいと配慮

されてのことだった。



明日、出発しよう、と僕は決めた。

ユキに会いたくてたまらない気持ちを、仕事に没頭することで

忘れよう。

そして、この仕事が終わったら、離婚が成立したことをユキに

伝えるために日本に行こうと思った。



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