2010/06/18 08:29
テーマ:創作・小説 カテゴリ:趣味・特技(その他)

一万の夜を越え~流連~

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いつもあとからやってくるのね。」

彼女が初めて(の様な気がした)僕に声をかけてきた。

レイちゃんが席を立ち、その後ろから覗き込むようににっこり微笑んで、
”コンニチハ”といった風な会釈をして、今空いた席を促した。

                 <Ⅲ>

「これで久しぶりに面白くなりそうだ。なっ!好みだろ?
 あ・・エツコちゃんもユリちゃんもスッごく可愛いんだけど、
でもね、
 津川君とヨシオカヨシオは女に関しちゃライバルなんだよねえ・・・
 わかるんだなあ、
これが!」

得意気にマスターが言うと、
 
「やけに楽しそうだねマスター。
 だけど、悪いけどもうそんな遊び止めたよ。
 これからは真面目に女の子と付き合うことにしたんだから。
 頼むからチョッカイ出さないでくれよな。」

と、津川君が言った。
 
それは俺の台詞だ!と言いそうになり、慌てて言葉を呑み込んだ。

危うく皆の思惑に填りそうだった。

俳優を目指す彼には、恋のゲームも修行か何かだと考えていた。
 
「おっ、始まったよ、それも殺し文句だね。」

「マスター独りで盛り上げってるだけじゃない
の。 だいたいねぇ、
 ナゴムには誠実な彼氏がちゃんといるんだからね。」

レイちゃんがそう言うと、彼女の顔が少し翳ったように
見えた。
 
「そりゃあこんだけ可愛いんだから彼氏の一人や二人いるでしょう。
 そんなこと関係ないじゃん、楽しければいいんだよ!」

「この店は安くて気楽だから来てるんで、あなたたちがいつも
 遊んでる女達と一緒に しないで欲しいものだわ。
 ナゴムが変な事に巻き込まれたりしたら、彼に責められんの
 私なんだからね!」

「それは、ナゴムちゃんと彼氏との問題であって、レイちゃんには
 関係ないことだよ 。」
「こんないい加減なところに連れて来た事が、私にも責任が
 あるって言ってんのよ!」

マスターとレイちゃんの言い争いが始まった。

何時もの事なのか、アツシだけがオロオロしながら取り持とうとしていたが、皆、面白がって聞いていた。

何かと何時も仲裁役の順一郎君も相手にせず、
口論の原因である彼女さえ、
口を挟もうともせず、ついには、
パーティーゲームを始めていた。
 
「なんで貴方はそーなわけ!」
ドンとグラスをテーブルに叩き付けるように置くと、レイちゃんが、
店から走り出ていった。
直ぐにマスターも謝りながら追いかけて行く・・・

一瞬は呆気に取られていたが、主のいない店で、勝手に飲んで遊ぶのは、僕等には別段珍しい事ではなかった。

彼女にとっても、友人のその行動は珍しいことではないらしく、
「あらま、」と言っただけで、再びゲームに戻り陽気に燥いでいた。

三十分ほどしてから電話が鳴った。
マスターからだ。

仲直りしたらしく、近くの小料理屋「いがぐり」にいるから、
店を閉めて皆で来いという事だったが、僕等は其の儘ゲームを続け、
切りのいいところでお開きとした。

この店のアッシーでもある19歳のアツシが、女の子たちを車で送って行ったが、彼女は、レイちゃんのバックを届けに行くと言うので、僕とヤツモト君も一緒に、
<いがぐり>に行く事にした。

                                  つづく



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