2010/10/31 02:13
テーマ:創作・小説 カテゴリ:趣味・特技(その他)

一万の夜を越え~流連~Ⅶ

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<Ⅶ>
 
貴子だ。
大手アパレル会社の一人娘ということだが、彼女自身が専属モデルでもあった。
 
「おう、久しぶり、こんな時間にどうした?結婚したんだろ?」
 
「ううん、明日結納式、もう今日だけど・・・婚約パーテイってやつ?」
 
「だったらさっさと帰って寝ないと、肌ボロボロになるよ」
 
「なんか凄く冷たい!ほんとに彼女連れ込んでるの?」
 
「誰もいないよ、心配して言ってるんだよ。」
 
「そうだったわね、ヨッチャンはいつも怖いくらい優しすぎる人だったもんね。変わってなくて良かった・・・・   

ヘンな女に振り回されていない?」
 
「今、あんたに振り回されそうな予感がしてるけどね・・・・」
 
貴子とは、今年の秋の始め頃まで付き合っていた。
僕としては付き合っていたといえるのかどうか、兎に角棲む世界が違いすぎるのだが、いつも僕に合わせてくれていたのか、高級外車を除けば違和感はなく、こんな派手な毛皮のコートなど着ることもなかった。
 
「当たり!若い男と浮気したくなっちゃった・・・でも、まだ浮気じゃないよ。」
 
「そんな女じゃないだろう、自分を責める様になることは止めな、もう・・・」
 
「もう・・・・優しいのか冷たいのか、女を寒い玄関で立たせたままで・・・私今日
29歳の誕生日なの」
 
人の話し聞いてない。
 
「誕プレ代わりには抱けないよ。今の俺は女なら誰でもいい状態だから、すぐに帰って」
 
少し虫の居所が悪かったことも手伝って、冷たく言い放ったつもりだった。

かなり参った感じの貴子が痛々しくも愛おしくなったが、部屋に入れてしまうと余計に彼女を傷つけてしまうことになるだろう。
 
「明日ドカタのバイトがあるから朝早いんだよ、そっちだって早くから準備するんだろ」
 
「じゃ、現場近くのラブホ行こう!女なら誰でもいいんでしょ?私は今、ヨッチャンじゃなきゃダメなの」
 
そう言って、いきなりディープなキスから嗾けてきた
かなり高いヒールのブーツを履いているので、顔の位置が殆ど変わらずあまりにも挑発的な瞳が近すぎて、目を合わせられないでいた。
背の高い彼女がハイヒールを履くときは、弱気になっている時だと言っていた。
僕にはどうしてあげることも出来ず、彼女を強く抱き寄せ、僕の口の中でも行き場を失って暴れている舌先を捕らえて、静かに吸った。
固くなっていた体が緩んだとき、離そうとしたらまた、強く吸い付いてきた。
まずい!と思った。
彼女を気遣う余裕などなくなった。
さっき自己処理の途中だったのだ。                
痛いだろうぐらいに短く吸いかえして、顔を離した。
 
「やばいよ!こんないい女にいきなりこんなことされちゃ・・・・・出ちゃうよ。」
 
ご機嫌を伺うように覗き込みながら、後の一言は耳元で小さく囁き、軽くキスをして身体を離した。
 
「ちょとまってて、着替えてくるから、出よう。」
 
貴子は振り返ろうとした僕の腰を再び捕らえ、「いいの、大丈夫だから」と、
言いながらコートの前をゆるめると、小さな下着だけが、ちらりと見えた。
跪きながらブーツを脱ぐと、僕のジャージも脱がした。
なさけないほどあっさり秒殺された。
既に裸の僕は、彼女のコートを脱がせて、抱き上げ布団の上に静かに下ろした。
コートも上等なら下着も上等そうだ。
付き合ってた頃はいつもシンプルだったが、長い手足には白い綿シャツや、TシャツにGパンという姿が、まぶしいくらい似合っていたし、かえって目立ってもいた。

シーズンオフ近いスキー場で出会い、その日のうちに付き合いが始まり、
東京に戻っても会えばホテルに行ってたが、僕の部屋に入ったのはこれが初めてだった。
そして、最後になるだろう。
 
「お嬢様、こんなところですが・・・・・」
 
心に想う女性がいながら、今、別の女を 愛おしいと思い抱こうとしている。
それは、貴子も同じかもしれない。
もう今日の夜には夫となるべく男に抱かれるのだろうから。


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