2010/02/15 01:15
テーマ:「KA・ZO・KU 」シリーズ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ダスティンホフマンの様に・・

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うう・・やっと書けた^^バレンタインにはタッチの差(そうでもないか)で間に合わ

なかったけど、今年は旧正月と重なったソウルからです。

今現在のあの少年^^はヨソクで変換してくださいね♪

 





年に一度、心に秘めた愛する人に自分の想いを伝え、

恋人達は愛を語り合う日・・・聖バレンタインデー。



今年のその日は、ちょうど旧正月とぶつかった。

 

 


去年の夏から働き始めた僕は、慣れない仕事や、


緊張の連続で、しばらく他の事は何も考えられなく


なってしまっていた。

 


大学を休学した社会人1年生と、


将来の選択を迫られる音楽大学の4年生。

 


あの頃、2人のスケジュールがうまく合わず、


毎日のメールと時々の電話での会話だけが、


僕達の間を繋いでいた。

 

疲れてボロボロになった夜も、彼女の声を聞けば癒されたし、


その元気なメールを読むたびに、僕は自然に笑顔になれた。

 


お互いの今日の出来事。


昼に食べたチゲの味。


話題のドラマの今後の展開予想。


飼っている猫が産んだ4匹の子猫の成長。

 


それは他愛の無い、繰り返されるいつもの会話。

 



「ねぇねぇ♪」で、始まる彼女の言葉と、


「ふーん、そうか」で、終わる僕の相槌。

 


おやすみ・・と切った携帯を握り締め、


僕は毎晩ベッドに入る。

 


頭の中は、今聞いたばかりの彼女の声でいっぱいで。


朝の光が部屋に差し込むまでの数時間、


無理に目をつぶった僕は、いつもなかなか寝付けなかった。

 

 


本当は時間なんか、作ろうと思えば作れたんだ。

 


僕の仕事は不規則だけれど、同じソウルの街の中。


事務所と彼女の大学は、車で30分も飛ばせば行ける距離。

 


少し無理をすれば、愛しいその顔が見られるのに、


僕は忙しさを理由に、彼女の誘いを何度か断った。

 


仕事での失敗や、自分の不甲斐無さに凹んでる姿を、


その時の僕は、彼女に見られたくなかったんだ。

 


逢いたくて堪らなかったのは、僕の方だったのに・・

 



彼女の悩みも分かっていた。


目指すオペラ歌手への道が、現実には果てしなく


遠い道になりそうだという事も。

 


だけどあの時の僕は、彼女に向かってどんな風にこの手を


伸ばせばいいのかさえ分からなくなっていたんだ。


・・自分の事で、精一杯で。

 

 


「どうしたの?何かあった?」

 

携帯の中の彼女の声が、心配そうに僕に語りかける。

 

自分から電話を掛けておいて、


彼女の冗談に笑えなくなっていた僕。

 


どうして怒らないんだよ。


こんなに君に冷たい僕を。

 

どうしてそんなに優しいんだ。


もっと僕に感情をぶつけていいのに。

 

いつも君は僕の味方。


僕は・・君の何なのだろう。

 

 


そして、あの瞬間。


自分からぎくしゃくさせている彼女との関係。

 

罰が当たったんだ。


彼女に甘えていた、僕に罰が。

 



移動中の車の中から見た、あの光景。

 

助手席で固まる僕の背中に、異様な感じを受けたんだろう。


後部座席の父さんが、僕の視線を辿った。

 


「ミナちゃんじゃないか。おい、レウォン!」

 


そんな事は分かってる。


ここは彼女の大学に近いカフェだ。


彼女が友人とテラス席でお茶を飲んでいても


何の不思議も無い。

 

その相手が僕の知らない男で。


そいつが彼女の手を、テーブルの上で握ってさえいなければ。

 

 

「レウォン。今日はもういい。上がれ」

 



CM撮りのロケからの帰り道。


この後、事務所でまだミーティングが残っている。

 

普段、仕事中は私情を挟まない父さんが、


この時は、僕を息子として扱った。

 

後から聞いたら、父さんと母さんの間にも


似たような経験があるらしい。

 


すれ違う時間。


互いに口に出さない想い。


誤解が誤解を生んで・・・


父さんは、母さんを泣かせた。

 


「ちゃんと解決しろ、レウォン。

ミナちゃんを失いたくないなら」

 



マイバッハから転げ落ちるように、


今通り過ぎたばかりの交差点へ向かって


僕は走り出した。

 

その背後に、先輩のエールのクラクションが高く響く。

 

 


角を曲がった先にあるオープンカフェ。


道路に面した一番奥の席。


ミナはすぐに見つかった。

 


彼女の前には、大きなカフェオレカップと、


何故か僕の大好物のクリームブリュレ。

 


そして相手の男は、僕の目の前で、


エスプレッソのお代わりをギャルソンに頼んだ。

 



「あれ?あれ?ジュニア!!うわっ!噂をすれば、だわ。


ね、どうしたの?どうしてここに居るの?仕事は?」

 


その素っ頓狂な大声に、店にいた誰もが振り向いた。


ミナが・・僕の存在に気付く。

 


いきなり目の前に現れた僕の顔を、


ミナは大きな目をさらに丸くして見つめている。

 


大声の主が、僕をミナの横に強引に引っ張っていった。


それはミナの大学のバイオリン科の学生。


僕も何度か一緒に食事した事もある、ミナの親友だった。

 

父さんの太王を見てかぞくになったと言うこの娘は、


それから僕の事をジュニアと呼ぶようになったんだ。

 



「ほらね?ミナ。言ったでしょう?私の彼の占いは

当たるんだって!“待ち人来る”言われてまだ10分も

経ってないじゃない。あんなに逢いたがってたジュニア

の方から飛び込んで来たわよ」

 

「・・レウォン君。どうして?」

 

「何してた?」

 

「何って・・えっと・・」

 

「来て」

 

「え?」

 

「すみません、ミナはこれで帰ります。


ミンジャさん・・でしたね。また今度」

 

「うん。ジュニア、ミナをお願いね。ミナ!あの占い、


信じていいんだからね。彼の言葉、思い出して!」

 


ミナはその言葉に小さく頷くと、


僕が伸ばした手を静かに取った。

 


「行こう」

 

「・・うん」

 


久しぶりに握ったミナの手は、少し冷たかった。


控えめに差し出すその小さな手を、僕は強く握り返す。

 

奪うようにミナを外に連れ出し、ふと振り向くと、


奥の席で、エスプレッソがミンジャの肩を抱いていた。

 

 

 

 



「ちょっと、レウォン!男は入ってきちゃダメよ。

ここは女の聖域なんだから。向こうでお義父さんとジュンが

映画見てるわよ。どうせ映画に行くつもりだったんでしょう?

あんたも一緒に見てればいいじゃない」

 

今日は旧正月。


そして、恋人達の特別な日。バレンタインデー。

 

キッチンでは朝から料理の準備で大忙しだ。


母さんとお婆ちゃん、そして・・ミナ。


3人の大量の料理との格闘技戦は、まだまだ終わりそうに無い。

 

バレンタインと旧正月が重なってしまった今年。


もちろんデート予定だった僕達は、母さんからの突然の呼び出し


を食らい、今、父さんの実家にいる。

 



「僕達が見るつもりだったのは恋愛映画。

ゴッドファーザーなんだよ、父さん達が見てるのは。

僕、あれ5回も見た。よく飽きないよな。お爺ちゃんも

父さんも画面に釘付け。夢中なんだもん・・

ねえ、母さん。ミナはまだこっちに必要なの?」

 

「は~ん、なるほど。寂しくなったのね」

 

「な!そんなんじゃ・・ないよ」

 

「ミナちゃーん、ジュニアがね。寂しいから

傍にいて欲しいって!」

 

「ば、馬鹿!母さん!!分かった。いいよ、本でも

読んでるから、っていうか・・え?

どうして母さんがジュニアって言うんだよ!」

 

「占いが当たるんですってね、その子の彼氏。

今度私も占ってもらおうかな」

 

「質問の答えになってないよ、母さん」

 

「アハハ、ミナちゃーん。で?どこまで聞いたっけ。

レウォンが焼きもち妬いて、凄い勢いで飛び込んできた

んでしょう?カッコよかったんだって?強引に手を引いて・・

“卒業”のラストシーンみたいに2人でバスに飛び乗ったって?

キャー!ジュニアって情熱的~~!!」

 

「・・・母さん!!」

 

 


キッチンで、ミナの高く響く笑い声が聞こえる。


お婆ちゃんも、うふふと楽しそうに笑っていた。

 

リビングでは、父さんがお爺ちゃんと並んでソファーに


座り、映画を見ている。

 

父さんが組んだ長い足を枕にユキが眠っていて、


時々父さんは、サラサラのユキの髪を指で撫でていた。

 

 


チョコレートの甘い香りが家中に満ちてきた。


ミナが正月料理の手伝いから開放されて、やっと


バレンタインのケーキを焼き始めたんだろう。

 


母さんはきっとこれから


父さんの好きなコーヒーを淹れるはずだ。

 

 


『素直になれ、レウォン。自分の心に嘘をつくな。

最近のお前が空回りしていた原因は、ここにもあるんだろう?

早く行け。ダスティンホフマンみたいに強引にさらって来い!』

 

 

“父さん。僕は・・

  ダスティンホフマンになれたの・・かな”

 



バレンタインの休日。

 


その甘い香りを吸い込んで、僕は小さく微笑んだ。

 


 


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