2014/08/22 20:20
テーマ:金色の鳥篭 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

金色の鳥篭 - 終焉 -









その時


ひとつの時代が終わろうとしていた。

 

二千年の時を越え


民に平和と愛を

諸外国に脅威を与えた、その時代。

その中心にいたのは、


神の血を受け継いだひとりの男だった。

 

 


人を愛し


妻を愛し


国を愛したその男はまた


彼を知る多くの人々から愛され、尊敬されていた。

 

 


だが突然


その時はやってくる。


抜けるような夏の青空が


彼を迎えに来たかの様に…

 

 

 

 

 


さっきまで聞こえていた猛る男たちの声が


今は何も聞こえない。


まるで時が止まったかの様な、全くの静寂。

 

 

頬を撫でる風が、何故か心地良い。

太陽の眩しさに思わず目を細めた瞬間、

ふわりと宙に投げ出され

体が地面に叩き付けられた。

 

 

 


青く澄んだ空が、ただ広がっていた。


鼻をつく青草の匂いに、そっと首を動かすと


紅く染まった葉先が、すぐ目の前にあった。

 

 

 

 

 

 

 


あの白く柔らかな首筋を紅く染めたのは、僅か三日前。


逃げる手足を優しく押さえ、昇っていく后の声に幸せで満たされる。

 


もっとその声が聞きたくて、細いからだを強引に引き寄せると


后は少し怒ったように、唇を尖らせた。

 


「痛いです、王様」


「あはは、怒ったな。鳥の様に口ばしが尖っているぞ」


「そんなに…尖ってなんかないわ」


「おや。王に向かって口ばしを尖らせるとは悪い鳥だな。

よし。捕まえてさっそく篭にいれておかなければ」


「えっ?」


「スジニ。明日は出立だ。今度の戦は長くなるかもしれぬ。

…憶えておきたいのだ。お前の全てを。

お前の声も、お前の笑顔も、お前の泣き顔も…見せてくれ、この私に。

この体に刻み付けてくれ。

そうすれば、戦場にも恐れず向かってゆける。この国の王として」


「おう、さま?」


「私は弱い人間だ、スジニ。常に恐れ迷い、自分の進むべき道さえ

容易に見つけることが出来ぬ。私にはお前が指針なのだ。

私を導いてくれスジニ。やがてお前が羽ばたく方向へ、私も共に向かおう。

だから、今だけその羽根で私を包んでくれ。

明日の朝、隊列の先頭に真っ直ぐに立てるように…」


「王様」


「柔らかいな…そしてお前の羽根は暖かい…」

 

 

 

 

 

 



「・・・うっ、ス、ジ…」

 


声を出すと、口中に鉄の味が広がった。


激痛に顔が歪む。


いつの間にか静寂が破られ、辺りは男たちの怒号と剣がぶつかり合う音


そして馬が駆ける振動で体は小刻みに揺れていた。

 

 


「王!!」


「タムドク様!!!」

 

 

 

どこからか自分を呼ぶ声がする。


あの声はチュムチ?


それともヒョヌだろうか。

 


彼らは戦っている。


早く起きあがって。隊を導かなければ

 

 


だが、起き上がろうと力を込めても

体の自由が利かず、もはや何の感覚も無かった。


目の前に、出立の時、后に着せてもらった鎧が、無残な形で


転がっているのがぼんやりと見える。

 

 

 


 ― 鎧の紐を結ぶのって、すごく難しいんだよ。


       誰にでも簡単に出来るってもんじゃないんだ ―

 

 

 


そうだな。


確かに、お前が一番上手だったよ。

 

 


「スジニ…」

 

 


愛しい名を呼んだその時、遠くで鳥の鳴く声がした。


まるで、自分を呼んでいるかの様な懐かしい響き。


そして視界が…だんだんと遠くなる。

 

 


何故か、涙が流れた。


温かく流れるひとすじの涙。

 

 

 


…あぁ、そうか。時が来たのだな。


そして漸く逢えるのだ…キハに。

 


長かった。


いや、短かったのか。

 

 

 

 


驚くほど心が穏やかだ。


何の恐れも、何の迷いも無い。

 

 

 


「スジニ…空が高い…な」

 

 

 


少し微笑んだタムドクが、何かを掴もうと空に手を伸ばした。


やがて静かに下ろされた掌には、


小さな真紅の羽根がひとつ、しっかりと握られていた。

 

 

 

 

 

 


お友達のサークルに贈った創作。ここにも持ってきました~^^

正直、やっと書けた。そんな感じです。(笑)

しかし、いくら閉鎖とはいえ、プレゼント創作にタムの最期って…

でも、これはやっぱり書いておかないとと思ってさ。

思えばこのシリーズも終焉を迎えましたね。ちょっと感無量…


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