2009/10/17 01:25
テーマ:短編集 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

短編  Good morning

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創作の土曜日^^


イベントの彼の姿に、まだ現実に戻りきっていないあなたへ^^


そんなあなたに、ささやかなプレゼントを贈ります・・


「ヒロインは私・・」って妄想してくださいね。短い短編ですけれど。

 

 

 




ん・・ああ・・・・今、何時?

 



「起きたの?まだ8時よ。昨夜は遅かったんだからもう少し寝てたら?


お迎えは12時でしょう?10時に起こしてあげる」

 



うん・・ごめん。ありが・・と・・う・・

 

 



夢と現実の境に、君の声が聞こえた。

 

少し低いアルトが、心地良く僕の耳に響く。

 




僕の隣りのスペースは、もうすっかり冷たくなったシーツの感触。

 

君の残り香を探すように、僕は大きく寝返りを打つ。

 

 


昨日、僕が帰って来たのは深夜の1時過ぎだった。

 

待っていなくてもいいとメールしたのに、

 

部屋には優しい灯りがともっていた。

 

 



・・今日、こんな事があったよ。

 


・・今度の作品は面白そうだ。共演の顔ぶれはね・・

 

 



仕事の事を、僕が君に話すようになったのは、


一緒になってからだ。

 

以前は意識して、そういう話題から遠ざけていた。

 

心配を掛けたくなかったというのもあるけれど、


どこか、僕の中で踏み込まれたくない領域だと思っていたのかも


知れない。

 

 


君は真剣に話を聞いてくれるし、

 

僕のつまらない冗談も、大声で笑ってくれる。

 


時々冗談が過ぎて、逆に怒らせちゃう事もあるけれど、

 

それはそれで、幸せな瞬間。

 

 


昨夜はあれから、君が作ったスープを飲んで、


一緒に眠ったのが確か3時を廻っていた。

 


今8時だって?



君は、いったい何時に起きたんだろう。

 



結局君を眠りにつかせたのは、


それからだいぶ経った朝方だったというのに。

 

 



・・・あぁ。


美味そうな匂いだ。

 



こんな朝を迎えるのが、ずっと夢だった。

 



愛する人の横顔と、窓から射す明るい光。

 


美味そうなチゲの匂いと、まな板を叩く音。

 




もう今の僕は、1人で迎えていた何千回もの朝を


すっかり忘れてしまった。


憶えていたいとも思わないけれどね。

 

 


さあ。

 

そおっと起き出して、君にキスをしよう。

 

そして、飛び切りの笑顔で「おはよう」を言うんだ。

 

 



僕の・・永遠の共演者に・・・

 

 

 

 


2009/09/12 00:41
テーマ:短編集 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

創作  この空の向こうに

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先週、無事に「金色の鳥篭」は完結しました~。毎週の御声援、嬉しかったです。


で、今日はまた短編を持ってきました^^


これは、「菜の花の記憶」の最終話の少し後。

バーニーが日本にやってくる時のお話です。


サークルにも載せた事がない作品(笑)。去年、このブログで、下北沢ツアーをした

時に、
参加者の方にお土産で差し上げた作品です。

短いお話ですが、バーニーファンの貴方に・・^^

 

 





「じゃあ、ここで。

ありがとう・・君には世話になった。元気で」

 


僕が差し出した右手を、彼は一瞬驚いたように見つめた。

そしてニヤッと微笑むと、スリムな体に似合わない馬鹿力で

強く握り返してきた。

 


「バーナード・・君からそんな言葉を聞くなんて思わなかったよ。

ボクの奮闘とお節介も案外無駄じゃ無かったって事だね。

NY演劇界からice manが消えるのは大きな損失だけど、君にとっては

これで良かったんだって思う。あくまでも、友人としてだけどね」

 

「クリス」

 

「向こうへ行ったら仁サンによろしく言ってくれ。

ボクの気持ちは変わらない。これからも、ずっとあなたを愛してるって」

 

「殺されてもしらないよ。エドはあれで血の気が多い」

 

「ワオ!それは本望だな。そのうち殺されに行くよ。逢いたいから」


「フッ、言っておく。じゃ・・・・・おい、手、離してくれるか?」

 

 

初めて飛行機に乗ったわけでもないのに、この高揚感は何なんだろう。


窓の外のNYの街並みがどんどん小さくなる。

 


日本へ旅立ったエドを想う時、

ポートランドの街から見える飛行機は、僕にとって

嫌悪の対象でしかなかった。

 

何度、それに石を投げ、

何度、それに叫んだ事だろう。

 


置き去りにされた悲しみと、片割れを無くした喪失感。


たった5歳の僕にとって、ひとつの世界が・・そこで終わった。

 


僕を無視し、酒浸りのマムを罵倒していたグランマは、


ただ風邪をこじらせただけであっという間に亡くなった。

 

苦しむグランマの手を握っていたのは僕だったのに、


グランマが死の間際になって呼んだのは僕ではなく、エドの名前だった。

 


・・何だって言うんだ・・


僕は・・・僕が・・ここに居るのに・・・

 

 

マムは酒に逃げられたが、僕にはどこにも逃げる場所が無い。


周りには優しくしてくれる大人もいたけれど、結局は赤の他人だ。

 


強くならなければ。

 

強く、そして・・誰にも負けないように。

 

 

本当は憧れていたのかもしれない。

 

雲の向こうの、遥か空の彼方。


エドが渡って行った、まだ見ぬ父の国に。

 

いくらアメリカ人だと言っても、


僕の傍をいつもついてきた“日本”というアジアの国に。

 


忘れないように、いつか来るその時のために隠れて話していた、


その言葉。


僕の片言の日本語を、あの日、瞳は微笑んで聞いてくれた。

 


きっと聞き取れない言葉もあっただろう。


それなのに彼女は、笑顔のまま僕に向き合ってくれた。


そして・・いつの間にか、自然に僕も笑っていた。

 

 

瞳があの歌を歌い出した時、僕は心臓が止まるかと思うほど驚いた。

 

エドがあの歌を憶えていたのか?


あの一面の菜の花を思い出したのか?

 


耳が憶えていた歌。


あの日、エドと遊んだ遠い記憶。

 

 

あの劇評を書いたのは、初日パーティーの夜。


31年ぶりのエドと向き合い、その顔を睨みつけた、あの夜。

 

エドは、変わっていなかった。


そして、やはり僕を忘れていた。

 


僕より少し大きくて、目は僕と違って、濃い茶色。


その眉の上にジョンと喧嘩した時の傷が残っているのを見つけた時、


本当は思わず抱き締めそうになったんだ・・


怪我をしたエドの仇を討とうと、僕がジョンを殴った幼い日。

 


エド・・

 

想いを振り切るように足早に僕は会場を後にした。

 


その夜。


僕はエドの手の感触が消えない内に、原稿を書き終えた。


用意していた文章。思ってもいない劇評。

 


全てが終わった。

 


新聞社に向け送信をクリックした瞬間。


僕には虚しさしか残っていなかった。

 

エドを憎んでいたのに。


その憎しみだけが、僕を動かしていたのに。

 


あの朝、教会で瞳に逢わなかったら・・


そう考えると僕は少し怖くなる。

 

きっと僕は今、この飛行機には乗っていない。


そしてこんな清清しい気持ちで、この景色を眺めてはいなかっただろう。

 


感謝しているよ。


バカでかい声のエヴァ達に。


彼女達の歌が聞こえなかったら瞳はあの扉を開けはしなかった。


仕方ない。今度日本から、エヴァの好きなケン・ワタナベの


ポスターでも送ってやるか。

 


・・・少し眠いな。


昨夜は眠れなかったから。

 

泊まりにきたアルがずっと喋っていたし、


夜中に突然やってきたクリスは、


酔っ払って下手なヘビメタをシャウトするし。

 


可笑しな夜だったな。


昨夜の僕は、ずっと笑っていたような気がする。

 

 

 

僕はそっと目を閉じた。


そして・・信じられないくらいに、眠りはすぐに訪れた。

 

 

 

『バーニー!バーニー!!ねてんの?

ほら、つぎはバーニーがオニだよ』

 

『あ・・ごめん。きもちよくてねちゃってた。

だってエド、ぜんぜんみつからないんだもん』

 

『あたりまえだよ。かくれんぼだもの。

これだけひろいと、さがすのたいへんだけどね~』

 

『ダディーは?ダディーどこ?』

 

『あれ?いま、いっしょにバーニーさがしてたのに

・・・イタッ!!』


『どうしたの?エド・・・ああ!ダディーめっけ!』

 

『あれれ、ダディーもねてたのか・・

おい!ダディー!!おきろーーー!』

 

『お・き・ろ~~!キャハハハ!!エド、みて!

ダディーのかお・・アハハハ!』

 

『え?ああ~~!!アハッハハハ!!おっかしいの。

“なのはな”だらけだ!』

 

『“なのはな”?』

 

『うん。さっきダディーがおしえてくれた。

これ、にほんで“なのはな”っていうんだって!』

 

『ふうん・・なのはな・・』

 

『そうだよ、バーニー。なのはな。にほんごだ』

 

『そうか。にほん・・ダディーのくにだ』

 

『うん。そうだよ!ダディーのくにだ~~!!』

 

 

 

 

・・・・お客様。お客様?

 


「・・What?・・・」

 

「まもなく成田国際空港に到着します。シートベルトを」

 

「Thank you・・・いや・・ありがとう」

 

 


仁。

 

僕は、やっとこの空を越えたよ。


ずっと心で追っていたあの空を。

 

そして、もうすぐ君のいる国に着く。

 

 

そこには、何が待っているんだろうか。

 

見た事も無い、父の国。


誰も・・僕を知らない国。

 

 

僕は、もう1度生まれ変わろう。

 

 


着陸を知らせるライトが消えていく。

 


僕はシートベルトを外す手に力を込めた。

 

 

 


 


2009/08/14 00:39
テーマ:短編集 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ドンヒョク祭り!  「ドンヒョク、最後のメール」

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御好評いただいたドンヒョク祭り。金曜日の今回が最終回です^^


突然始めた企画、毎日の短編創作も楽しかったです。

やっぱりドンヒョクは魅力的なキャラですね~。
で^^今回は最終回。

ドンヒョクのメールを書いてみました。
初めが20話のメールからでしたからね。

やはりドンヒョクにはメールで締めてもらいましょう!

 

 

 


ジニョン。


この1週間、君にメールが出来なかったね。ゴメン。

 


ジニョン?


怒っているんだろうな。

僕がNYに戻ってから、君へのメールを欠かした事などなかったから。

 


久しぶりだから本当は君の声を聞きたかったけれど、

ソウルのこの時間、君は忙しい時だよね。

楽しみは後に取っておきたいから、今はメールで我慢しておくよ。

 


この1週間、本当に忙しかったんだ。



急な知らせが入って(予測はしてたんだけどね)急いで準備しなきゃ

いけない事が多かったから。

思ったより煩雑な手続きに手間取った事もあったし。


レオはレオで他の仕事も抱えていたから、僕の事であまり

彼の手を煩わせるのもね・・


よく君に、「ドンヒョクさんはレオさんに頼りすぎよ」って

言われるからね。僕なりに気を使ってみたのさ。


ね?ジニョン。僕も随分大人になっただろう?

 



ソウルは今、緑の季節だね。

僕のアパートの傍の公園にも、色とりどりの花が咲いているよ。

僕は毎朝、その花々を見ながら走っている。


去年、僕がいた時。

サファイヤへの坂道の両側に可愛い花が咲いていた。

酔った僕を君が送ってくれた時には、桜が綺麗に咲いていたよね。

 

あの坂をまた走りたい。

風を切って、全速力で。


その時傍で君が笑っていてくれたら・・

そんな事ばかりを、僕は考えている。

 



ジニョン。


君は僕に逢いたい?

 

ジニョン。


君は僕を待っている?

 



不安なんだ。


僕を待っていてくれる人など、今まで誰もいなかった。


君の気持ちを疑ってはいないけれど、この不安だけは

どうにも消えそうにない。


子供みたいな嫉妬もするさ。

テジュンからの電話で君の名前が出たりするとね。

 

そうだ。テジュンは元気なんだろう?

今週ラスベガスに来ると言っていたから、最高のガイドを

押さえておいたと彼に伝えてくれ。

ユンヒさんも頑張っているみたいだ。この件で連絡を取った

時、試験勉強で徹夜が続いていると言っていたから。


テジュンには内緒にね。

別に僕は、あいつの照れた顔なぞ見たくもないが。

 

 



今日は風が出てるんだね。

天気はいいけど風は少し冷たいな。


窓を開けていたら、運転手に「閉めますか?」と聞かれてしまった。

僕は、この香りも感じたかったから、今それを断った所さ。


窓からの景色がこんなに懐かしいなんて、

今まで思った事なかったよ。

 


このメールは送信するべきかな。

もうすぐ、僕の家に帰るのに。

 

あぁ、今日のドアボーイは、彼なんだ。

僕の顔を見て驚いている。当然だね。

 



-----

 


「・・お帰りなさいませ。シン様」


「ん。ありがとう」

 


フロントに向かう。


君がこの時間にここにいないのは、テジュンからリサーチ済み。

 

「予約した、シン・ドンヒョクですが」


「はい。社長から伺っております。お帰りなさいませ」


「ソ支配人を、お願いします」


「はい・・先輩、きっと待ってますよ」


「そう?そうだといいけど」

 

 

君を待つ時間。


こんなにも心が浮き立っている。

 

どんな顔をするだろう。


突然やってきた僕を、君はどう迎えてくれる?

 


あぁ・・君がやってきた。


僕に気付いたね。

 

僕は真っ直ぐに君に進んで行く。

 

もう離さない・・・

 


永遠に。



永遠に・・

   
   君にチェックイン・・

 


2009/08/13 00:53
テーマ:短編集 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ドンヒョク祭り!  「今・・僕を見てる?」

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仕事から帰ってからずっとホテリアーDVDを見てしまいました~。

何を書こうか考えたんですが、
やっぱり監禁キス!ですよね♪

何回もこのキスシーンだけをPCで繰り返し見ている私。

きっと子供達、呆れてたかも?^^


以前「KA・ZO・KU」シリーズでこのシーンの裏話(笑)を書きましたが、本編は

初めて。
衝撃的なラブシーンですよね。これぞ、ドンヒョク!!

 

 

 


どこにいる・・・


   どこにいるんだ・・・ジニョン・・・

 

 

「あ、お客様。ここは従業員通路なんですが」

 

「分かっています」

 

「すみません。関係者以外は・・・・んもう、何よ!」

 

バカね。薔薇300本じゃないの!」

 

え?あっ!!そうか

 

 

 

僕の傍を怪訝そうな顔をしたホテリアー達が通り過ぎる。


出勤時の混乱した従業員通路。


どうやら僕は結構な有名人らしい。


昨日まで、僕に笑いかけていたレストランのウェイトレスまで


僕の顔を見るなり、思い切り睨みつけた。

 

 


昨夜、家に帰っていない君。


携帯の電源は切られ、出社時間を過ぎてもまだ姿を見せない。

 


「ホテルの買収に来たって・・本当なの?」

 


僕を信じようとサファイヤにやって来た君が見たのは、


ホテルの情報が載った大量のプリントアウト。

 

僕の手に握られたそれは、動かない物的証拠。

 

 

違うんだ。


君を利用したんじゃない。


ホテルの事と君の事は、関係ない。僕を信じて・・・

 

 

ネックレスを床に叩きつける君の目から溢れた涙。


あの時の僕には、それを拭う事さえ出来なかった。

 


どうすれば信じてもらえる?


君を愛しているんだと。


僕の気持ちを、どうすれば伝えられる?

 

 


カツカツとヒールの音が聞こえる。


君の快活な声がやってくる。


笑いながら走る君を、僕はやっと掴まえた。

 


「ずっと君を捜していたんだ。携帯の電源も切っていたね。


話がある。僕は・・」

 

「私には話すことは無いわ」

 

「VIPのお客様だからって女性従業員に何してもいいなんて

考えてるの?いいのよ、ジニョン!行きましょう」

 

「待ってくれ」

 

「・・・」

 

「待てよ、ソ・ジニョン!」

 

 



狭い通路。


僕の前を通り過ぎようとする君。

 

 


・・・行かせない。

 

僕の想いを伝えるまでは・・・

 

 


「キャー!何するの?!」

 


気がつけばドアの電源を引き抜き、僕は君を閉じ込めていた。

 



「話す事なんか・・無いわ」

 

「僕にはある」

 

「やめて、皆が見てるわ!」

 

「誰が見ていたって関係ない!!君は僕だけを見ていろ!」

 

 


・・・そうだ。僕だけを



僕だけを見て・・・

 

 



「今。僕を見てる?」

 

こくんと君が僕を見つめる。

 

「今、僕の声が聞こえる?」

 

こくんと君が僕に頷く。

 

「これだけは聞いて欲しい・・・愛してる、ジニョン・・」

 

 

 

こんなキスを、今までした事がなかった。


僕の唇がキスで・・


たかがキスで、震えるなんて。

 

君が僕の首に腕をまわした。


僕は君の細い腰を抱き締める。

 

 



そのドアが開いた時。


君はそっと唇を離した。

 

僕を見つめる目は、涙と愛で潤んでいた。

 

 



ジニョン・・愛してる。

 

君も僕を愛しているんだね。

 

 


君の姿が消えたその場に僕は立ち尽くした。

 


僕の中で、色々な感情が渦を巻いていた。


2009/08/12 00:45
テーマ:短編集 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ドンヒョク祭り!  「教会の夜」

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朝の大きな揺れで飛び起きた私。東海地方の皆さん、大丈夫でしたか~?

この夏は色んな事が起きますが、お疲れの方にまたカンフル剤ですぅ。

ドンヒョクの魅力に私も負けました^^今週は、ドンヒョク祭りでございます!

この曲は、フラジャイル。赤箱DVDは、この曲が入ってるんですよね。

私はプレミアム版なので、実はこの曲には思いいれはないんですが、これ、

ドンヒョクにぴったりですね。

今日は、これをBGMにこんな呟きを。あの教会でのドンヒョクです・・・





夜、11時半。

 

今夜、ここで待っていると、君に告げた。

 

「行けるかどうか・・分らないわ・・」

 


君はそう言ったけれど、その目は僕への愛に震えていた。

 

 

最後の賭け。

 

シンデレラの魔法が解けるまで、僕は君を待っていよう。

 

 


時間通り、君はやって来るだろうか。

 

僕の正体を知った今でも、僕を選んでくれるだろうか。

 

 


ジニョン・・

 

僕は臆病な人間だ。

 

自分がこんなに臆病な男だったと、


君に出逢って初めて気付いた。

 


愛がこんなに苦しいものだという事も


君に出逢って、初めて知った。

 

 

失いたくないんだ。


君を失ったら、僕はどうやって生きていけばいい。

 

 

地位。


名声。


それに見合った報酬。

 

そんなものは自分には何の価値もないと、君は笑ってそう言った。


ホテルで働く事が生きがいなのだと。


お客様の笑顔に出逢えたら、疲れなど忘れてしまうと。

 

 

幸せとは何だろう。

 

これまで考えた事もないその問いを、僕に気付かせてくれたのは君。

 

 

あと5分。

 

ジニョン、魔法が解けてしまうよ。

 


この万年筆が、僕に残された唯一の君の心。

 

 

神よ・・

 

あなたの声が聞こえない。

 

 

あなたは、僕から全てを奪うのか。

 

ただひとつ。


ただひとつだけの僕の望みも、あなたは叶えてくれないのか。

 

 


ほんの少しの物音に、僕は後ろを振り返る。

 

そこに、君の姿を探してしまう。

 

 


ふっ・・可笑しいな。

 

僕はこんなにも真剣だ。

 

 

 


魔法が解けた深夜の教会。

 

 

引き止める女神の声は、

 

 

重いドアを閉じた僕の背中には届かなかった。


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