なぁんだ!そうだったのか!!
先日の日曜日。
ベルの演奏で コンサートに出演するため
午前10時のリハーサルに間に合うように
会場入りする 朝の9時に 市内の駐車場で
車を降りたら携帯が鳴って・・・
何事かと出てみれば 鹿児島の父。
「おい!あのドラマは放送打ち切りになったのか?」
?????
(@_@;)ハテ??
よくよく聞いてみれば 今朝の新聞のTV欄に
「太陽を抱く月」が載ってない!!
だから、もう10話で放送が終了したのか??
というお馬鹿な父の電話でした。(笑)
このクソ忙しい時に!!!(;一_一)
と、内心思いながらも・・・
父に優しく「今日は放送はお休みなの!
来週は また放送されるから観てね!!」
と言い聞かした歌姫でした。(*´艸`)ププ
「なぁんだ、そうだったのか・・・
これからも続くんだな・・・」
そう言って納得した父ですが
すごく可愛かったです❤
(*^_^*)
ヨジング君の撮影現場を訪れたスヒョン君❤
歌姫が視聴率を上げるために
父にまでお願いして観てもらってる
「太陽を抱く月」
今週は ドラマの折り返し点となる11話の放送です。
これから 益々目が離せなくなって
面白くなりますので・・・
みなさんも しっかり視聴してくださいね!!
今日は 昨年のMBC演技大賞で
歌姫の四男のヨ・ジング君❤が
ヨヌとポギョンの子役たちと演じた余興をお届け!!
ジング君も これからがとても楽しみな俳優です❤
「ポゴシッタ」というドラマでは
ポギョン役のキム・ソヒョンちゃんが相手役。
このドラマでの演技も すごくいいです!!
(*^_^*)
今日は第10話!!
さて・・・
歌姫の超お薦めドラマ「太陽を抱く月」も
今夜の放送で第10話を迎えます!!
ご覧のみなさま・・・
いかがでしょうか??
面白いでしょ??でしょ??
(*´艸`*)
このドラマは20話で完結なので
今日でちょうど 半分進むことになります。
鹿児島の父は 私が怖いので(爆)
しっかり毎週欠かさずに視聴してくれていますが
だいたいせっかちな性分なので・・・
国巫のノギョンのことを
「あいつは味方なのか、敵なのか・・・
よく分からない!!どっちなんだ??」
と先日 私に聞いてきました(笑)
「そんなの観てれば分かるから・・・
黙って最後まで 観ててちょうだい!」
そう答えた歌姫ですが・・・
内心、”ハマったね!!”と心でガッツポーズ!!
(*´艸`)ププ
みなさまも どうか最後まで
楽しんで ご視聴くださいね~!!
楽しいことを考えよう!!
損傷した車の扉を 夫が今朝、発見して
「あ~~~!!!!またやったのか?」
と 第一声・・・(;一_一) バレタカ・・・
「こりゃ、また 修理費がかかるぞ~!!」
と 脅され・・・また凹む。(T_T)
さて・・・
楽しいことを考えよう!!
そうそう・・・
今晩は スヒョン君の
「太陽を抱く月」の第7話!!
先週から 可愛い子役たちから
大人の俳優にバトンタッチしました。
↓ 左から
ヨム ・ ヤンミョン ・ フォン ・ ジェウンです♫
子役たちとかなりイメージの違う方々もいますが(笑)
まぁ、そこをなんとか!!
みなさん 慣れてくださいませね~♫
今日の第7話から 悲しくも美しい
ロマンスが 動き出します!!
20話観終った後には
”ああ、素敵な物語だった!!”と
満足していただけるものと 確信しております!!
だから・・・
最後まで 頑張って観てね~~!!!
\ (*´∀`*)
/
そうそう・・・
これは 独り言なんだけど・・・
ハワイのヨンジュンのフォトだけど
あれは 外に流しちゃダメなんじゃないかな・・・
(-.-)
ここだけの話・・・
あの姿を見たら、別に行かなくても良かったわって
お留守番組の歌姫は 思っちゃった(爆)
(≧▽≦*)\(- - ) バシッ!!
バイバイするのは寂しけれど・・・
みんなに宣伝しまくっていた
「太陽を抱く月」も 先日、第4話が終了し
子役たちの出番も あとわずかになってきました。
第6話の途中から 成人俳優にバトンタッチするんです。
どうですか??
みなさん、しっかり観てくれてます??
私の周辺の友人は けっこう観てくれていて
「時代劇にしては 見やすい!」
「面白い!」「次回が楽しみ!」
と・・・なかなか好評です~♫
(*^_^*)
実は 鹿児島の父も
先週の1話、2話の再放送から観てくれていて
「お伽噺みたいだな。」とか
「中高生が喜びそうな話だ。」
とか毒舌を吐きながらも(笑)
見終ったら 必ず電話してきて
「つづきはどうなる??」
「結局、ハッピーエンドなのか?」
とか、質問してくるほど ハマッてます(笑)
(*´艸`)ププ
今日は 美容室だったのですが
スタッフの1人が 先日の第4話から観始めて
「スヒョン君は これから出るんでしょ?
なんだか面白そうだから観ます!」って言うんだけど
1話から観なくちゃ 訳が分からないでしょ!!
\(´□`)/
で・・・
ヘッド&フットスパの間に
1話から3話のあらすじを喋りまくって来ました。
「なぁるほど!!よく分かりました!」
って言ってくれたけど・・・
ああ・・・疲れたぞ!!(;一_一)
とにかく・・・
可愛くて演技力も素晴らしい子役たちとも
もうすぐお別れ・・・
あと1話と半分、しっかり観てあげてくださいね!!
で・・・
子役たちと バイバイするのは寂しいけど・・・
それからの 成人となった主役たちの活躍も
どうぞ お楽しみに!!
特にスヒョン君は 子役に負けずに
みんなを引っ張ってま~す❤
(ゝヮ∂)-☆
お見逃しなく!!
9時からBSプレミアムで
「太陽を抱く月」が始まります!!
民放の「とんび」が「太陽を抱く月」の
強敵だな・・・と ちょっと心配している歌姫。
(>_<)
実は この「とんび」は NHKの放送ドラマで
堤真一さんの主演作を 昨年観ていて
歌姫、内容は よく分かっています。
とっても温かい親子の愛や深い絆・・・
そして2人を取り巻く周囲の人々の愛が
丁寧に描かれた 素晴らしい作品でした。
NHKでは2話完結の 単発ドラマでした。
今回の民放ドラマも
同じく重松清原作「とんび」のドラマ化なので
多分、しみじみ泣けるいいドラマだと思います。
(-.-)
しか~~し!!!!
声を大にして言いたい!!!
「とんび」は録画で観よう!!(爆)
「太陽を抱く月」の視聴率を上げて
どうかNHK地上波放送の実現へ ご協力ください!!
\ (・□・)/
実は「太陽を抱く月」は
恋愛ドラマではありますが、それに加えて
親子や親族の愛、兄弟愛、王を支える臣下の深い愛
そして熱い友情・・・などなど
本当に沢山の愛で溢れた 素晴らしい作品なの!!
それに ミステリアスな要素もあるので
1話から連続して観続けないと
意味が分からなくなるドラマです!!(脅し!笑)
歌姫の三男のスヒョン君は
第6話からしか登場しませんが・・・
華やかに幕を開け、ドラマの主軸となる初恋を
強く印象に残してくれる 子役たちの名演技を
みなさま どうぞお見逃しなく!!
断念!!
このブロコリでUPしていた
『太陽を抱く月』のノベライズですが・・・
私の文章の中に ここでは使用許可されていない言葉が
どこかに入っているらしく・・・
それがどの言葉なのか 判明できないため
残念ながら 途中ではありますが・・・
このブロコリでのUPは断念いたしました。
(>_<)
もし、楽しみに読んでくださった方が
いらっしゃいましたなら
心からお詫び申し上げます!!
m(_ _)m
来年 NHKBSプレミアムで1月から放送される
『太陽を抱く月』
歌姫の三男のスヒョン君は
第6話からの出演ですが・・・
最初に登場する 歌姫、四男のジング君も
相手役のユジョンちゃんも 他の子役も
めちゃくちゃ素晴らしい演技で 楽しめます!!
本当に面白いので、観てくださいね!!
\ (*´∀`*) /
歌姫の『太陽を抱く月』ノベライズの続きを
読みたい!!と思ってくださる方は・・・
http://ameblo.jp/suhyon3392/theme-10054569875.html
↑ で読むことができます。
覗いてみてください❤ (^_^)/
では・・・2013年 1月にお会いしましょう~!!
『太陽を抱く月』第3話(3)
ユン・デヒョンの娘、ポギョンがやって来てしまい、
驚いて慌てふためいて 東宮に戻ったフォンは
机を拳で叩いて怒り ポギョンを連れてきた
ヒョンソンを怒鳴っていた。
「それが言い訳のつもりか!!」
しかしヒョンソンは納得いなかい様子で、
フォンに訴える。「悔しゅうございます。
ホ文学の妹でないと 本人が言ったのです!」
すると今度は フォンが納得いかず
「あの娘が なぜ嘘をつくのだ?」と また怒る。
「そんなことを 私に言われても困ります。」
ヒョンソンは ほとほと困り果てた。
「私を避ける理由がどこにあるのだ?」
フォンは苛々してヒョンソンに尋ねるのだが
ヒョンソンは「あえて申し上げますと・・・」と言うと
意味深な顔をして ヨヌがなぜ避けたのかというお題目で
フォンに向かって 上から目線での講義を始めた。
まずヒョンソンは ヨヌの頭の断面図を書いて
彼女の脳の構図を説明するつもりだ。。
その脳の断面図には7割、2割、1割と書かれた
脳の領域が示されている。
「それは何だ?」と フォンが呆れて質問した。
すると恋愛学の講師、ヒョンソンは語る。
「ヨヌお嬢様の頭の中を絵にしてみました。」
「頭の中?」フォンは これには興味を示した。
「ではまず、ヨヌお嬢様の兄 ホ文学でございます。
このように 7割以上占めています。」
ヒョンソンが説明すると フォンは驚いて
「そんなに?」とため息をつく。講師ヒョンソンは
「はい。ヨヌお嬢様は ホ文学のような
美しい超天才を見て これまで育ちました。
ですから、その辺の男は眼中にありません!」
フォンはそれを聞いて 少しうつむきがちになる。
ヒョンソンは 講義を続けた。
「また、同じ家で学んだヤンミョン君と
キム・ジュウンも魅力的です。
豪快で愉快な魅力を持つヤンミョン君が2割。
何でも絵になる冷廷男、ジュウンが1割でございます。」
「冷廷男とは何だ?」とフォンが質問した。
「”冷たい宮廷の男”の省略で、女官がつけたあだ名です。」
それを聞くと フォンは今度は 深くため息をついた。
ヨムが7割、ヤンミョンが2割、ジュウンが1割では
ヨヌの脳の中は 彼らだけで満杯ではないか!!
しかし、その図面をよく見ると 2割の領域のすぐ下に
黒い小さな点があるのに気が付く。そこでフォンは
「ところで、その小さな点は何だ?」と、小さな黒点を指差した。
ヒョンソンは手にした筆で その点を示しながら
”これのことですか?”と目で尋ねた。
うんうんと頷いて答えるフォンに向かって
ヒョンソンは言った。「邸下でございます!」
これには フォンは震えるほど動揺して
「ヨヌ嬢にとって、私の存在は
そんな目クソほどの点なのか?」と声を荒げた。
ヒョンソンは慌てて「それには理由があります!
邸下とヨヌお嬢様は 物理的に離れており
邸下は泥棒と誤解を受け、さらに自ら内侍と偽られました。
ですから邸下は 泥棒か内侍と思われ
それ以上でも以下でもありません。」と早口で講義する。
フォンはその内容を聞いて、眉を吊り上げ
「黙れ、黙れ!黙らぬか!」と大声を出し
「顔も見たくない!後ろを向け!」と命令するのだった。
怒鳴られたヒョンソンは しまった!と思い
悲しそうな顔で講師の座から降り、部屋の隅で小さくなった。
フォンが怒っていると「邸下。尚膳でございます。」
と部屋の外から声がする。機嫌が悪いフォンは
国王の使いの尚膳に「入れ!」と怒鳴った。
尚膳は部屋に入ってお辞儀をすると
「邸下、殿下がお呼びでございます。」と告げる。
突然の呼び出しに「殿下が?」と驚くフォンだった。
父である国王の急な呼び出しに フォンは訳が分からず
ヒョンソンを連れて 尚膳と一緒に承政院へ向かう。
しかし、庭に出てみると 国王の護衛兵である禁軍が大勢
屋敷にやってくる。フォンは彼らに向かって
「禁軍が東宮殿に何の用だ?」と尋ねると 禁軍の1人が
「王命です!」とだけ言い、2人でヒョンソンの両腕を抱えて
「邸下、お助けください!」と泣き叫ぶヒョンソンを
強引に、フォンの元から連れ去ってしまった。
フォンはすぐ、父がヒョソンを罰するのだと直感した。
隠月閣にミナの学友を手引きしたことを 責めているに違いない。
そして、それは自分のせいなのだ。
自分に従順なヒョンソンを 気の毒に思うフォンだった。
フォンは承政院で 檀上の父と向き合って正座していた。
「史判の娘と会ったのは事実か?」
国王成祖が息子の世子 に大声で厳しく質問した。
フォンは「確かに会いましたが、あれは過ち
いえ、間違いで・・・」言いかけている途中で
「言い訳のつもりか!」父の怒鳴り声が響く。
フォンは困った顔で 必死に言うのだ。
「弁明の余地がないのは承知していますが
誤解を解かせてください。」すると成祖は
「何が誤解なのだ?」と尋ねてくれたので
フォンは正直に 自分の想いを父に吐き出した。
「私は ある女性に思いを抱いております。」
すると成祖は「何だと?」と怒るのだが フォンは続けた。
「その者が学友で入宮したため 会おうと試みましたが
史判の娘とは違います!私が心を寄せているのは
弘文館 大堤学の娘です。」この告白に成祖は驚いた。
2人の息子が 同じ女性を慕っていたのだから。
王である実父に 子供の頃から甘えたことがない
長男でありながら側室の子のヤンミョンが、
父親に”生涯に一度の願い!”と訴えたのが
大堤学の娘、ヨヌとの婚礼だった。
「私の気持ちは 以前からあの娘に・・・」
告白を続けるフォンの言葉を遮って、成祖は言った。
「聞かなかったことにする。」
成祖は ヤンミョンの願いを叶えてやりたかった。
今まで 何もしてやれなかった父として
長男の”生涯に一度の願い!”だけは
心から叶えてやりたいと思う成祖は
フォンの言葉に 耳を塞ぐのだった。
しかし、そんな理由は分からないフォンは必死だ。
「しかし、父上!」と懇願するのだが
成祖は厳しい顔で 大声でフォンを叱りつける。
「そなたは王世子なのだぞ!そなたの軽率な行動で
あの娘を政争の犠牲にしてもいいのか?」
あまりの父の激怒ぶりに フォンは口を閉ざした。
「今回だけは見逃そう。二度と余を失望させるな。
分かったか?」と成祖はフォンに尋ねる。
フォンは仕方なく「肝に・・・銘じます。」と
やっとの思いで声に出して言った。
傷心のフォンに 成祖は今度は穏やかな声で言った。
「近々 嘉礼都監が設置される。承知しておけ。」
嘉礼都監とは 婚礼のための臨時官庁のことだった。
フォンは自分の望みとは関係なく、王妃候補となる
伴侶を決められてしまうのかと思うと、悲しくて
世子という立場を投げ出したくなるのだった。
夕方になり、薄暗くなった宮廷の庭を通り
灯りを手にした女官に付き添われながら
ヨヌとポギョンがミナと遊び終えて帰るところだった。
2人並んで歩くのだが、ポギョンは昼間の隠月閣での
フォンの態度がショックで 虚しく暗い表情で歩いていた。
ヨヌはポギョンが具合が悪いのだと思って 心配そうに
「ポギョン、もう輿に乗れる?
朝 酔ったんでしょ?」と 優しく尋ねた。
するとポギョンは眉間に皺を寄せて 激しい口調で
「あなたとは関係ないじゃない!」
と言ってしまった後で、意地悪な顔をしてヨヌに言う。
「ああ朝のことね。心配してくれてありがとう。
でも本当は 別の理由で遅れたの。」
と わざと嬉しそうな顔で喋るポギョン。
ヨヌは驚いて「何があったの?」と聞いた。
すると ポギョンは「これは秘密よ。」と言ってから
「さっき 隠月閣で、邸下に会ったの。」と
ヨヌの耳元でささやくのだった。
目を丸くして驚くヨヌに ポギョンは 勝ち誇った顔で言った。
「私を遠くから見たらしくて
どうしても 会いたかったそうなの。
秘密だから 必ず守ってね。」
ヨヌの表情を面白そうに眺めながら そう嘘を語るポギョンは
本当に根っからの意地悪女だった。
フォンに好意を持たれているヨヌを
意地悪で我儘なポギョンは どうしても許せなかったのだ。
ヨヌはショックのあまり 庭に立ち尽くしてしまった。
私があんなに会いたかった邸下に ポギョンが会った。
しかも、邸下のほうから会いたいと言われた・・・。
素直なヨヌは それがポギョンの嫉妬からくる
嘘だとはまったく思わずに 悲しみにくれるのだった。
翌朝、国王成祖は 承政院で臣下たちに
「世子嬪を迎えるよう 大妃様より要請があった。
世子も15歳なので、納嬪を考えておるが
皆の意見はどうだ?」と言った。すると
「殿下の仰せのとおりでございます。」
「私の意見も同じです。国婚を急ぎ、安定を図ってください。」
と、外威ユン一族の臣下たちが口々に言った。
そこで成祖は「礼曹判書に告ぐ。全国の12歳から
16歳までの娘の婚礼を禁じ、処女単子を提出させよ。」
と命令し「ご命令に従います。」と礼曹判書は答えた。
これを聞いたヨンジュの顔が険しくなり
反対にユン・デヒョンは満面の笑みになった。
成祖は続けて「今晩は儺礼があるので 楽しむが良い。」
と一堂に告げるのだった。
儺礼とは 陰暦の大晦日に邪鬼を払う儀式だった。
「はい、殿下!」一同が礼をしながら答え、
その日の承政院での議会は終了した。
父にヨヌとのことを認めてもらえなかったフォンは
ヨヌを諦めきれずに ヨヌからもらった木筒から
元気に生えてきた緑の葉を見つめていた。
「邸下 もうすぐ進宴が始まります。
早くお仕度を!」とヒョンソンが促す。
しかし、フォンはその場から離れず
「ヒョンソン。これは何の花だ?」と聞いた。
ヒョンソンは「しばし拝見いたします。」
と言いながら 王命の刑罰で痛めた体を引きずって
近くに寄り、その葉を眺めて 驚いた顔をして
「これは花ではなく、サンチュです。」と言った。
「サンチュ?」とフォンが聞き「はい。」とヒョンソンが頷く。
「サンチュか・・・私に これを送った理由は何だ?」
フォンはヨヌの気持ちが分からずに 途方にくれるのだが
すぐにため息をついて あきらめたようにつぶやいた。
「その答えは 永遠に聞けなくなった。」
そう涙目で言うと、「片付けろ!」とヒョンソンに命令した。
フォンは”王世子として”という父からの教えを
従順に守ろうとする、素直な王子だったのだ。
そしてそれは いずれ自分が一国を治めなければという
責任感が強く 賢い王子の証だった。
自分の恋心だけで 王妃となる妻を選べるはずもない。
フォンは虚しい気持ちを隠して
女官たちに手伝ってもらい、進宴での正装の仕度を始めた。
ヒョンソンは 今までフォンが 大事に育てていた
サンチュをどう片付ければいいのか、迷うのだった。
ヒョンソンがサンチュを手にして フォンを振り返ると
泣きそうな気持ちを堪えながら
無表情で立っているフォンがいた。
フォンの気持ちが痛いほど分かるヒョンソンは
”お気の毒に・・・”と心の中で思うのだった。
正装をしたフォンが 重い足取りで進宴に向かっていると
ヨヌとポギョンが女官たちと連れだって
ミナの屋敷のスギョン斎から出てきた。
ヨヌたち一行は 世子フォンの一行に気が付くと
お辞儀をして立ち止まる。フォンはその中のヨヌを探した。
美しく可愛い花のようなヨヌが うつむいていた。
フォンの視線を感じて ヨヌは顔を少しあげて
上を見ると、フォンと目が合った!
ヨヌが会いたかったフォンが そこにいたのだ。
しかし、目の前にいる世子の正装姿のフォンは
一切、ヨヌに微笑むことはなかった。
フォンの耳には 父の声が響いていたのだ。
「そなたの軽率な行動で あの娘を政争の犠牲にしてもいいのか!」
そうなのだ。自分がヨヌに好意を抱いていることを
ユン一族から世子嬪を出したいと願う大妃や
デヒョンには 決して知られてはならないのだ。
世子が大堤学の娘が好きだと知れば 必ずユン一族は
ヨヌを何らかの形で 傷つけ妨害してくるに違いない。
自分の恋心は 周囲の誰にも 悟られてはならない!
そう強く確信する 賢い世子のフォンは
ヨヌの視線を無視して そのまま無表情で歩いて行く。
フォンの冷たい態度に ヨヌは悲しく泣きそうになる。
ポギョンはそんな2人を見て 訳が分からず、
ただ怪訝な顔をするだけだった。
一方この日、星宿庁では 国巫女のノギョンが
「慰霊祭を行うために 宮廷に移動する。
大妃様に許可は得たが、目立たぬように動かねばならぬ。」
そう巫女たちに命令していた。
どうやら宮廷の祭典である儺礼と
星宿庁の執り行う慰霊祭とが重なっているので、
自分たちは目立ってはいけないということのようだ。
「分かりました。」と巫女が言い
ノギョン星宿庁の祭殿から立ち去ると、1人の巫女が
「ところで、どなたの慰霊祭なの?」と仲間に尋ねた。
「ウィソン君の母上よ。数年前から住まいで
幽霊の鳴き声がするの。だから1年の終わりに
大妃様の命令で慰霊祭を行ってるの。」と先輩の巫女は答えた。
ウィソン君とは 大妃が密かにデヒョンに頼んで暗殺した
国王成祖の義理の弟だ。そして反逆者に貶められた息子と
その悲しい死を嘆き悲しんで死んでいった先王の側室の霊を
大妃が星宿庁に銘じて 慰霊祭をさせていたのが実態だった。
ウィソン君とその母は さぞ自分を恨んでいるに違いない。
そう思う大妃は いつからか
幽霊の鳴き声が聞こえる耳になっていたのだ。
それは罪の呵責からくる 空耳に違いないなかった。
宮廷の陰でノギョン達巫女が 慰霊祭を行う中
宮廷の表では華やかな儺礼が執り行われた。
正面の壇上に国王と王妃が並んで座り
その横に国王の母の大妃と王の側室の禧嬪が並んだ。
世子のフォンも妹のミナ公主と一緒に並び檀上にいた。
大太鼓が鳴り響き、大筆に墨をたっぷりつけて
昭格署の道師が大きな半紙に おまじないの言葉を書いた。
ヤンミョンは下に座り、ユン・デヒョンの隣で
微笑んで酒を酌み交わしている。
ヨムも父のヨンジュと並んで 酒を父に勧めたり
みんなで華やかな宴会を楽しむのだった。
雅楽の演奏が始まると 大きなお面をつけた踊り子たちが
優雅に舞いを始めた。ヨヌとポギョンも並んで宮中の宴を
珍しそうに立って眺めていた。
そのヨヌに気が付いたヤンミョンは 嬉しくて笑顔になった。
しかし、ヨヌは檀上にいる笑わないフォンを見上げていた。
フォンはずっと能面のように 無表情で座っていた。
そんなフォンが気になって仕方がないヨヌ。
ヨヌの視線の先にいるのがフォンだと知るヤンミョンは
とても悲しそうな顔をした。
実はフォンのために作り直した長命縷を ヨヌは
大事そうに 手の中に握りしめていたのだ。
これをフォンに渡したいのに・・・そう願うヨヌだった。
しかし、ヨヌがフォンから視線を離した後で
今度は 壇上のフォンが下にいるヨヌを見つめた。
ヨヌは兄と父の姿を探し求めていた。
フォンはヨヌの姿を見ると 我慢していた気持ちが
抑えられなくなってくる。やはり恋しいと思うフォン。
ヤンミョンはヨヌとフォンの視線のやりとりに
不安なものを感じた。もしかするとこの2人は
お互いを想っているのだろうか?
”まさか!”ヤンミョンは 心の中で必死に否定する。
一方、ウィソン君の母の屋敷前では 慰霊祭が始まっていた。
国巫のノギョンが霊を静める祈りの舞をしていると
突然、自分の魂がアリの墓の元へと飛んで行った。
宮廷では儺礼の面踊りが激しくなり 賑やかに盛り上がっている。
宴会に参列する誰もが皆 笑顔で祭りを楽しんでいた。
賑やかな鐘や太鼓や笛の音に
大人たちの酒は 心地よく回って夢心地だった。
そんな中、フォンだけは 泣きたい気持ちで笑えなかった。
そして、自分の気持ちを伝えられないヨヌもまた
笑顔になれずに 立ち尽くしていた。
するとヨヌの耳に突然「逃げてください!」と言う声が聞こえた。
驚くヨヌに「お嬢様には運命を受け止められません。
ご縁を結んではいけません!」と諭す声がした。
「今しかありません!」ハッキリとした声で聞こえるのだが
声の主の姿は見えない。ヨヌは誰が喋っているのかと思い
声の主を探しに 面踊りの中へ入って行く。
すると踊りの輪の中に ノギョンの姿を見つけた。
ノギョンはヨヌに向かって「ご縁を結んではいけません!」
そう強く心の声で訴えるのだった。
「今しかありません!逃げられる時に できるだけ遠く
逃げてください!」そう伝えると ノギョンは消えた。
どこへ行ったのだろう?と探すヨヌの前に
突然、大きな顔の面が現れる。「キャ~!」と驚いて叫び
ヨヌは 手に持っていた長命縷を落としてしまう。
大きな面はシッ!と指で示して ヨヌの手を取り
宴会場からヨヌを走って連れ去るのだった。
手を握られたヨヌは 大きな面と一緒に宮廷の庭を走った。
初めて宮廷に来た時も こうしてフォンと走ったと思い
それに「できるだけ遠くへ逃げてください。」という声もあったので、
訳も分からないまま ヨヌは素直に従って走っていた。
しかし、厠へ行った帰りのヤンミョンが
そんな風に 宮廷の中を走るヨヌを目撃する。
まさかヨヌとは思わずにいたが、走り去る姿をよく見れば
それは誰かに引っ張られて走る ヨヌに違いなかった。
ヤンミョンは驚き 慌てて2人を追いかけた。
大きな面は 門を開けて隠月閣にヨヌを連れて来た。
隠月閣の正面まで来ると ヨヌの手を放し
ヨヌと向かい合って その大きな面をゆっくり外した。
面の中から現れた顔は フォンだった。
ヨヌは驚いて、声も出なかった。
あんなに 自分が会いたかったフォンなのだ。
そして、フォンはヨヌをじっと見つめたままで口を開いた。
「私を覚えているか?」
声が出ないヨヌは 首を縦に振るのが精一杯だった。
自分を覚えてくれていると分かると フォンは
「私が誰か、言ってみろ。」とヨヌに迫った。
ヨヌは やっとのことで口を開く。
「我が国の・・・」と震えながら言うと
フォンが堂々と後を続けた。
「王世子、イ・フォンだ。」
そう言うと フォンはやっと ヨヌに優しく微笑む。
フォンの微笑みに包まれたヨヌの幸せな気持ちを
まるで祝福するかのように 宮殿から花火が揚がって
大きな色とりどりの光の花が 夜空に開くのだった。
大妃も国王も王妃も 花火に見惚れて
世子がいないことに気がついていなかった。
王女のミナも隣にいないフォンなど気にも留めずに
花火よりも 下に座るヨムの顔ばかり眺めて微笑んでいた。
しかし、そんな中 ただ一人ポギョンだけは
ヨヌとフォンがいないことを知っていた。
宴会場の皆が 空に浮かぶ花火を眺めているのに
ポギョンだけが 下を向いて 虚しく
ヨヌの落とした長命縷を見つめていた。
隠月閣では ヨヌを見つめて フォンが言う。
「忘れてほしいと?・・・忘れてほしかったのか?」
フォンを目の前にして ヨヌは人形のように固まって
何も言えなかった。そんなヨヌにフォンは優しく言った。
「すまない。忘れようにも 忘れられなかった。」
フォンの告白に 花火が”よく言った!”と言うように
また華々しく打ち上がり 綺麗な光の花を咲かせた。
そして冬の空からも 待ってましたとばかりに
ピンクの花びらがハラハラ舞うのだった。
あの日、ヨヌとフォンが初めて出会った時のように。
嬉しくて嬉しくて、フォンをじっと見つめるヨヌ。
そのヨヌの姿を 悲しい瞳で見つめるのは
2人を追いかけてきたヤンミョンだった。
兄、ヤンミョンのヨヌへの恋心や傷ついた気持ちなど
一切 知る由もないフォンは
ヨヌに告白できた喜びで 白い歯を見せて
ヨヌに明るく笑いかけるのだった。
第3話 完
『太陽を抱く月』第3話(2)
ミナがスギョン斎へ ヨヌたちを引き連れて戻る途中
宮廷の中を移動している国王成祖と臣下達に出くわした。
成祖を見つけたミナが、まず「父上!」と大声をあげた。
「おお公主ではないか。」と微笑む成祖に
ミナ以外の女官やヨヌやポギョンはひれ伏した。
成祖は笑顔でミナ達に近づくと
「学友と遊んでいるのか?」とミナに尋ねた。
ミナは明るく「はい!特にこの子が好きです!」
と、隣にいたヨヌの肩を抱いた。
後ろにいたポギョンは暗い顔で、
成祖の後ろに立つ父のデヒョンの顔を伺った。
デヒョンはポギョンを睨む。
一方、ヨヌの父のヨンジュは誇らしげな顔だ。
ミナが好きと言うヨヌに興味を持った成祖は
「誰の娘だ?」とヨヌに尋ねた。
「大堤学の娘、ホ・ヨヌと申します。」
とヨヌは頭を下げたまま、そう答えた。
成祖は満足そうな顔をしてヨヌを見た後、
後ろにいるポギョンの顔を見て
「そなたは史判の娘か?」と尋ねる。
「さようでございます。」とお辞儀をするポギョンと
ヨヌの顔を 成祖は交互に見ながら少し考えて
「大変、立派な娘たちだ。」と満足そうに言うのだった。
すると後ろにいたデヒョンとヨンジュは声を揃えて
「恐れ入ります、殿下。」とお辞儀をしながら言った。
「これから公主のよき友になってくれ。」
成祖はヨヌとポギョンにそう言うと 2人も声を揃えて
「肝に銘じます。」と言い、お辞儀をした。
ミナはヨヌの方ばかりを見て、微笑んでいる。
すると成祖は 少し厳しい声で
「入宮したからには 温室樹を語ってはならなぬ。
何の意味か分かるか?史判の娘が答えて見ろ。」
とポギョンに質問した。デヒョンは娘の答えに緊張する。
意味が分からないポギョンは困った。そして
「申し訳ありません。私は父に日頃から学問と政治は
男性の役割で、婦徳と純情は女性の役割と学びました。
よって私は小学と内訓、列女伝を懸命に学びました。
成祖が「そこまで学べば十分であろう。」と慰める。
デヒョンはホッと胸をなでおろした。
するとそこで成祖は「ならば、大堤学の娘が答えてみろ。」
とヨヌに問題の答えを尋ねる。
ヨヌはまず父の顔を見て、目で”答えてもいい?”と聞く。
父のヨンジュは”ああ、いいよ。”という合図を顔で送った。
すると安心したヨヌは 口を開いた。
「”温室樹を語らず”とは漢の名臣孔光の故事でございます。」
すると成祖は「そうだ。どんな故事だ?」とすかさず聞く。
「家人に宮廷の温室にある木を聞かれても
孔光は決して答えませんでした。」とヨヌが答えると
感心しながら「その意味は?」と成祖が尋ねる。ヨヌは答えた。
「宮廷でや朝廷でのことは 外で語るなという意味です。」
成祖は嬉しそうに微笑んで「よくぞ答えた。そのとおりだ。」
そうヨヌを褒めてから 2人に向かって威厳を持って
「宮廷で見聞きした物を 外で語ってはならぬ。分かったな。」
そう命令するのだった。「はい。」と返事をして
頭を下げるヨヌを見て 成祖はミナに向かって微笑むのだった。
”お前が好きな娘は 本当に賢い良い子だ!”と言うように・・・
そして臣下を引き連れて 成祖は去って行った。
ミナは嬉しそうに ヨヌと顔を見合わせて笑った。
面白くないのはユン・デヒョンだった。
答えられなかった娘ポギョンに腹が立ったのか・・・
スラスラ答えを言えたヨヌに腹が立ったのか・・・
また、成祖が優しい眼差しで ヨヌだけを見つめたのが
自分の野望に影を落として 不安になったのか・・・
デヒョンは険しい顔をして、成祖の後を歩いて行った。
そしてポギョンは 悔しそうな顔で父を見送っていた。
成祖が慶成殿で、書類に目を通しているといると
「殿下。ヤンミョン君様がお見えです。」と声がした。
「通せ。」と成祖は言ったまま 書類から目を離さない。
そこへヤンミョンが入室して 正式な挨拶である
床にひれ伏してするお辞儀を 成祖の前で行った。
部屋の外で様子を伺う内官たちは ため息をついて
「また雷が落ちるだろう。」と ヤンミョンを気の毒がった。
ヤンミョンがお辞儀をしている間も 成祖の目線は書類にあり
ヤンミョンは無視された形だったが
「殿下。ご挨拶申し上げます。」とヤンミョンは口を開く。
すると、やっとチラリとヤンミョンを見る成祖は
「そなたが何の用だ?」と冷たく言うのだった。
ヤンミョンは「申し訳ありません。」と悲しそうな顔で言い
「個人的な入宮を慎めと仰せでしたが・・・」
と言いかけるヤンミョンを遮って、成祖は冷たく
「余を訪ねてきた理由は何だ?」と目も合せずに尋ねる。
ヤンミョンは 勇気を振り絞り言う。
「私から殿下に ささやかなお願いがございます。」
すると成祖は ヤンミョンを見つめて
「そなたが余に 頼みごとか?」と聞くのだった。
ヤンミョンは「はい。」と答える。成祖はヤンミョンから
もう目を離さなかった。「話してみろ。」そう言う成祖に
ヤンミョンは 切実なお願いを 父にするのだった。
「好意を抱く女性がいます。いつか伴侶として
迎えたい女性です。もし、私の婚礼に関する
ご計画がありましたら、何卒私の気持ちをご考慮ください!
誠に僭越ではございますが、これが最初で最後の
お願いでございます。」そう言い切ると ヤンミョンは
父の罵声が飛ぶかと思い、目をつぶって覚悟した。
しかし、成祖は神妙な顔でヤンミョンの言葉を聞いていた。
そして、「誰の娘だ?」とヤンミョンに尋ねた。
ヤンミョンは怒鳴られないので、驚いて目を開けた。
あまりにも予想に反した父の態度に思わず「はい?」と
不思議に思う言葉が出てしまう。成祖はまた書類に目をやり
「聞こえなかったのか?誰の娘かと聞いたのだ。」と言う。
ヤンミョンは「あの・・・弘文館 大堤学の娘
ホ・ヨヌです。」とやっと言えたのだが、成祖は
大堤学に娘と聞いて、少し驚いた顔をした。
そしてヤンミョンの顔をまじまじ見つめると
「分かった。考えてみる。」と答えるのだった。
たぶん、国王の成祖も 聡明で美しいヨヌを
昼間の問答で 気に入ったに違いなかった。
その娘を選んだヤンミョンの見る目を
成祖は父として 誇らしく思ったのだろう。
しかし、ヤンミョンにすれば
いつも自分を咎める言葉しか言わない父の
「分かった。考えてみる。」という言葉は
ヤンミョンを心底驚かせるのだった。
思わず「い・・・今、何と仰せに?」と 聞き直してしまうヤンミョン。
「考えてみると言った。」と父の成祖の返した言葉に
ヤンミョンは 涙が出そうなくらい感激して
「あ・・・ありがたき幸せに存じます。」と言い
こみ上げる喜びを抑えられない表情をした。
しかし、もう成祖はヤンミョンを見ていなかった。
ヤンミョンが 信じられないという顔で
慶成殿を後にして表へ出ると やっと我に返って
笑顔でガッツポーズをしながら慶成殿を振り返った。
”父上!ありがとうございます!!”と心で叫び
夢心地で慶成殿を後にするヤンミョンだった。
一方、父の成祖は ヤンミョンを想い、つぶやいていた。
”愚か者め。宮廷への出入りは慎重にしろと言ったのだ。
来るなとは言っていない。”
成祖は本当は ヤンミョンを心から不憫に思う父だったのだ。
長男でありながら正室の子でないヤンミョンが
王世子の座を欲するような野心は
決して抱かないように 成祖は国王として
常に嫡子のフォンをヤンミョンより優位として扱い、
徹底的に差別してきた成祖だったが
実は情が深い男の成祖は 国王でなければ
ヤンミョンにも愛をたっぷり注ぎたかった父だった。
だから本心は 賢く素直で可愛いヤンミョンの顔も
頻繁に見たかったに違いない。
初めての入宮を終えて 我が家に戻ったヨヌは
一家団欒を過ごしていた。お茶を飲みながら父はヨヌに言う。
「公主様の学友として 入宮した感想はどうだ?」
母も兄のヨムも ヨヌの答えを興味津々で待っていた。
すると ヨヌはそんな家族の顔を見て笑い
「良かったです。」とだけ答えた。
あまりにもそっけない返事に 母は驚き
「それだけなの?」と聞き返した。ヨヌは微笑んで
「はい。」とだけ、また言った。母はがっかりした顔で
「つれないわね。宮廷でどう過ごしているか気になって
一日中待っていたのに。教えてくれないとつまらないわ。」
と文句を言う。するとヨヌは笑いながら
「あ!宮廷で兄上を見ました。」と言う。
ヨムは驚いて「お前がどうやって?」と聞いた。
するとヨヌは「秘密です!」と微笑んで答える。
「何だと?」と不満げなヨムに ヨヌは澄ました顔で
「”温室樹を語らず”です。これ以上聞かないでください。」
と言うのだった。すると父のヨンジュが大声で笑った。
「ヨムが一手取られたな。」と言う父に ヨムも
「そうですね。」と納得する。父のヨンジュは嬉しそうに
「ヨヌを入宮させるべきか 随分悩んだが余計な心配だったようだ。
私は この世にいるどこの娘よりも
ヨヌが一番、情け深く賢明だと思うぞ。」とヨヌに言った。
「私にとっても 父上が最高です。」と言い返すヨヌ。
母は「あらまぁ、父娘の間に入る隙がないわ!寂しいわね。」
とすねたフリで夫に言うと、今度は息子のヨムに
「母は この世のどの儒生よりも
あなたが賢明で男前だと思うわ。」と言う。ヨムも
「私にとっても 母上が最高です!」と言い返す。
こんな幸せな会話で ヨヌの家族は明るい笑い声に包まれた。
本当に誰が見ても 明るく美しく、幸せな一家だった。
そんな幸せな一家の使用人のソルは
この大好きな家族たちを守りたい一心で
夜の庭で必死に 大好きな剣術の稽古をしていた。
ソルは剣術の才能があるようで、ヨムやジュウン達の稽古を
真似した独学で学んだ剣術だが、とても見事な剣さばきだ。
そこへヨヌがソルを探しにやってくるが
誤ってヨヌに剣先を向けてしまうソルに ヨヌが驚いて
「ソル、私よ!」と言うと、ソルは我に返って
「申し訳ありませんでした!」と慌てて謝った。
ソルがこれほど熱心に剣術の稽古しているとは知らず
ヨヌは目を丸くして驚くのだった。
ソルの木刀を見て「その木刀はどこにあったの?」と聞く。
「時間が出来るたびに少しずつ作った物です。
ところで何か用ですか?」とモジモジしながらソルが答えた。
すると、ヨヌは思い出したように言った。
「実は お前に聞きたいことがあって。」「何でしょう?」とソル。
「ある人が誰かから手紙をもらったのだけど
その意味がよく分からないの。」そうヨヌが言うと ソルが
「どんな内容ですか?」と尋ねる。ヨヌは言った。
「”お前のせいで眠れなかった。使いを送るから会おう”」
それを聞くと ソルは「果たし状ですね。」と即答した。
驚くヨヌにソルは言う。「それで使いの者は訪ねてきたのですか?」
ヨヌは「訪ねてきたけど、人違いだと言ってしまって・・・」
言ってる途中で「それじゃこじれます!正々堂々と闘わないと!」
武士のような気質のソルは そう言って怒るのだった。
ヨヌは驚いて「あとが怖いかしら?」と尋ねた。
「当然です!逃げて嘘をついたから最悪ですね。
近々血を見ますよ!!」ソルがそんな
トンチンカンな助言をしたので
ヨヌはとても不安になって 庭を一人で彷徨った。
ふと人の気配がして庭を見ると
そこには 昼間の運動着姿のフォンが立っていた。
凛々しい姿のフォンは 横を向いて笑っている。
ヨヌはフォンに近づいてみる。するとフォンが言った。
「私がお前を脅したと思うのか?」
「違うのですか?」とヨヌが聞き返すと
フォンは笑って「さて、どう思う?」とまた聞いてくる。
「私が違うと答えたら また使いをよこしますか?」
ヨヌがまた聞き返すと フォンもまた聞き返す。
「送ったら、会ってくれるか?」
ヨヌはもじもじして、なかなか答えられない。
「会ってくれるのか?」またフォンが尋ねた。
ヨヌはやっと「一度くらいは 会いたいです。」
と素直な気持ちを フォンに伝えることができた。
昼間、ヒョンソンに嘘を言ったことを
実は後悔していたヨヌだったから。
そして恥ずかしくてうつむきながら 言葉を続ける。
「また使いを送りますか?」
そう言ってフォンを見ると もうそこに
フォンの姿はなかった。
今度こそ ヒョンソンに本当のことを言って
フォンに会いたいと思う、ヨヌの願いは叶うのだろうか?
同じ晩、ユン・デヒョンの屋敷きでは
昼間、国王成祖の質問に答えられなかった娘のことを
デヒョンが苦々しく思い、スラスラ答えられたヨヌのことを
腹立たしく思っていた。
何よりデヒョンは、ミナ公主が自分の娘よりも
ヨヌを気に入っているのが腹立たしい。
成祖もヨヌを気に入ったようだったから
これでは娘を王妃にさせる夢が叶わない!!と焦るデヒョン。
デヒョンは娘を呼びつけ ミナに気に入られなかったのは
なぜなのか問い詰めようとした。
「今日 宮廷で不始末をやらかしたのか?」
と尋ねるデヒョンに ポギョンは必死に答えた。
「いいえ!そんなことはありません!」
「では公主様に気に入られない理由は何だ?」
と聞く不機嫌な父に ポギョンは泣きそうになる。
「べそなどかくな!」と怒る父に ポギョンは
「私はホ文学の妹ではないからです!」と大きな声をあげた。
「何だと?」と驚くデヒョンに ポギョンは言う。
「公主様は ホ文学をお慕いしています。
ですから妹のヨヌをひいきするのです!
公主様だけでなく、イ・フォンという王族は
ヨヌに手紙を送りました。宮廷では皆がヨヌの味方ですのに
私がどうやって・・・」と父に訴えると デヒョンは
イ・フォンという名前に驚いて「今、何と言った?」と聞く。
「はい?」と訳が分からないポギョンに
「手紙を送った王族のことだ。」とデヒョンは尋ねた。
ポギョンが「確かではありませんが姓がイで・・。」
答える横から「その王族の名前は何だった?」と迫るデヒョンに
「イ・フォン。イ・フォンとはっきり書いてありました。」
と覚えている名前を告げるポギョン。
これにはデヒョンが仰天した。そしてマズイ!と思うのだった。
世子のフォンがヨヌに好意を持たれては
益々自分の娘を妃にすることが難しくなると焦るデヒョン。
翌朝、デヒョンはすぐに大妃に相談するのだった。
「手紙?世子も恋をする年頃なのですね。」
デヒョンにフォンの恋文を聞かされた大妃は笑って言った。
「でも宮廷にいる世子が どうやってその娘を知ったのだ?」
そう疑問に思う大妃に デヒョンは言う。
「侍講院にその者の兄がいます。」
すると勘の良い大妃は すぐに分かって
「ホ・ヨンジュとは悪縁ですね。」と言うのだった。
「とても賢い娘に見えました。」と不安そうなデヒョンに
大妃は言う。「ご心配なく。世子がその娘を想っていても
何も問題にはなりません。恋心で国婚は決められませんから。」
しかしデヒョンは「邸下の気持ちだけではないのです。
あの娘を見る殿下の目も特別でした。
大堤学の娘まで入官させた殿下の本心は 果たして何でしょう?」
そう聞くデヒョンに 大妃がこわばった顔で言う。
「外威を牽制するということでしょう。」
するとデヒョンは「国婚をお急ぎください。」と大妃に迫った。
大妃は「国婚か。」と大きく息を吸い込んで言う。
「国巫の予言で安心していたら、王妃が変わるかもしれません。
天が定めたのなら 動かねばなりません。」
デヒョンは自分の野望のために 大妃をそそのかすのだ。
ユン一族の繁栄と自分の力の誇示を願う大妃も
「”人事を尽くして天命を待つ”いい言葉ですね。
史判は大臣を、私は内命婦を動かします。」と言った。
「ご命令に従います」デヒョンは やっと安心してそう言った。
ポギョンを乗せた輿が宮殿に到着した。
輿から出たポギョンは付き人に「髪を整えて。」と命令する。
髪飾りを直す付き人だが もう一人の付き人が
「身支度に時間がかかったので遅れています。」とせかした。
ポギョンは「心配ないわ。父上がちゃんと話してくれる。」
と威張って言い、「帰る時に来て!」と高飛車に命令した。
「はい。行こう。」と去ってゆく輿と付き人たちを背に
ポギョンは宮殿を見上げて 夕べのことを思い出していた。
ポギョンは父のデヒョンに頼んでいた。
「父上。私は宮廷で暮らしたいんです。そうさせてください!」
すると父は”よく言った!”というように 自分に微笑んだのだ。
ポギョンは父が自分の望みを叶えて
きっとフォンの妃にしてくれるのだと思い
身支度に時間をかけて宮殿に入ったのだった。
まさか、フォンがヨヌに恋しているなどとは
夢にも思わないポギョンは 自分がフォンの心を射止めるのだと
この時は自信に溢れて、堂々としていた。
門を入ろうとすると 待ち構えていたヒョンソンが
ポギョンに近づき「東宮殿から参りました。」とささやいた。
怪訝な顔のポギョンに ヒョンソンは微笑んで言う。
「邸下が隠密に会いたいと仰せでございます。」
これにはポギョンも驚いた。そして胸が高鳴るのだった。
ヒョンソンが間違えて ポギョンを連れてくるなど
夢にも思わないフォンは ヨヌに会えると思い
ワクワクして 待ち合わせ場所の隠月閣で待っている。
隠月閣の奥の部屋までやってくると”この場所にしよう!”
そう決めると ヒョンソンの言葉を思い出す。
「邸下は凛とした後姿がとても魅力的です。」
それで、フォンは入口に背をくるりと向けて
腕を後ろに組んで背筋を伸ばして立ってみた。
「後ろ向きに立ち ゆっくり振り向いて
必殺の微笑みを向ければ どんな女性も
虜にできるでしょう」そう、ヒョンソンの声が響いた。
フォンは思い出したその言葉が嬉しくて 思わず吹き出す。
ヨヌが自分の虜になる!そう思うと嬉しくて仕方がなかった。
すると人が来る気配がしたので フォンは我に返って
ドキドキしながら 凛として後ろ向きに突っ立った。
ポギョンがしずしずと 隠月閣の奥へ入って来た。
もうすぐ自分の傍にヨヌが来る!!
そう思うフォンは 胸の鼓動が激しくなる。
すると、自分のすぐ後ろで足音が止まった。意を決して
「やっと会えたな。」フォンが後ろを向いたまま言った。
「そうだ。知ってのとおり、私は内官ではなく
我が国の王世子なのだ。」そう言うのだが
何の反応もないので フォンは後ろを振り返った。
ポギョンは嬉しくて微笑んでいるのだが
下を向いているので フォンには顔が良く見えない。
「り・・・理由は分からないが
あの日から そなたを忘れられなかった。
そなたが入官すると聞き どうしても もう一度
会いたかったのだ。」とフォンが言う。
ポギョンは嬉しくて 満面の笑みで下を向いていた。
蹴鞠場で、きっと自分を見て好感を持ってくれたと
ポギョンは信じて疑わなかったからだ。
「冷たいな。ようやく会えたのだ。顔を見せてくれ。」
と言うフォンに ポギョンはゆっくり顔を上げた。
ポギョンの顔を見て フォンは驚いてのけ反った。
自分に微笑むポギョンに向かって
「そなたは誰だ?」と聞くフォン。
「えっ?」と驚くポギョンに フォンは怒った顔で
「そなたは誰だと聞いているのだ!」と聞くと
「史曹判書の娘 ユン・ポギョンでございます。
東宮殿の内官に従い ここに来ました。」
ポギョンが笑顔で答えると 戸惑ったフォンは
「すまない。間違えた。」とだけ言うと
慌ててその場を逃げ出すのだった。
残されたポギョンは どうしていいか分からなかった。
困惑して、隠月閣の部屋から逃げ出したフォンは
扉の前にいたヒョンソンを見つけると 睨みつけ
”どうしてくれる!”と怒りながら隠月閣を後にする。
ヒョンソンはようやく 自分の失敗に気づき
泣きそうな顔で「邸下!」とフォンを追いかけるのだった。
フォンが去ってしまった月隠廊から出てきたポギョンは
放心状態で ミナのいるスギョン斎へ向かうのだったが
そんなポギョンとフォンを見ていた一人の女官がいた。
隠月閣から出てきた2人を目撃したその女官は
中で2人は きっと逢い引きをしていたのだろうと
すっかり勘違いしてしまい、あっ!と驚くのだった。
ポギョンがフォンに呼ばれて遅くなっているとも知らず
ヨヌとミナは 二人で楽しく手芸をしていた。
出来上がった腕輪を「どうだ?」とミナがヨヌに見せて
「私の長命縷が可愛いだろう?」と言う。
長命縷とは 人の長寿を願う5色の腕輪だった。
「はい。公主様のほうがずっと素敵です!」
ヨヌは優しくそう言うと ミナは真剣に
「これは誰に渡すのかと聞いてみろ。」と言う。
ヨヌは笑って「どなたに渡すのですか?」と素直に聞いた。
ミナは周囲を見渡して 女官に聞こえないように
こっそり「ホ文学だ。」とヨヌにささやいた。
これには「えっ?」と驚くヨヌだったが、 ミナは
「そなたは誰の物を作ったのだ?」と聞いてきた。
ヨヌは困った顔で「私も兄上に渡そうと思って・・・・」
と言うと 今度はミナが驚き 慌てて「ならぬ!」と大声で言い
「そなたの兄には私が渡すから
そなたは私の兄上に渡して!それで公平だろ。」
とヨヌに言う。「せ、世子?邸下にですか?」と驚くヨヌに
ミナは「私が渡してあげよう。」と手を差し出した。
しかしヨヌは手にした長命縷を隠して
「もう一度作り直します。これは下手すぎて・・・」
と うつむいて答えた。
フォンにあげるのなら もっと綺麗に作りたかったと思う
それは完全に恋する乙女の心理だった。
自分の長命縷がヨヌよりも下手くそなのが分からないミナ。
笑って「構わぬ。」とヨヌの返事に納得して、
自分の長命縷に見とれて、
早くヨムに渡したいとワクワクする 可愛いミナだった。
そこへ、隠月閣でのフォンの態度に
相当ショックを受けながらも 内心を隠したポギョンが
やっとスギョン斎のミナの部屋へやって来た。
ポギョンに気づいたミナが「ごきげんよう!」と
明るく笑って手を振った。ポギョンは黙ってお辞儀をして
ヨヌの横に座り、楽しそうにミナと遊ぶヨヌを眺めた。
「そなたが入宮すると聞き
どうしても もう一度、会いたかった。」
先ほど隠月閣で聞いた フォンの言葉が蘇った。
世子が会いたかったのは 私ではなく、このヨヌなのか。
この時やっと、盗み見たヨヌの手紙の主が
世子だったのだと分かったポギョンだった。
しかし、隠月閣での庭でフォンとポギョンを目撃した女官は
仲間の女官たちに 邸下と史判様の娘が逢引していたと
言いふらしていた。しかし、ヒョンソンから頼まれて
ヨヌへ手紙を渡した女官は「大堤学の娘ではないの?」と
驚いて聞き返した。しかし、目撃者の女官は言う。
「隠月閣から出てくるのを この目で見たの!
普通の仲ではないわ!」
「じゃあ、入宮する前からの知り合い?」
「史判様は 大妃様の親戚だから
大妃様が橋渡しされたのかもしれないわ。」
そんな噂話に 女官たちが花を咲かせていると
「今、何と申した!」と 王妃が通りかかって怒って尋ねた。
後ろを振り向き「王妃様!」と深くお辞儀をする女官たちに
「ちゃんと説明しなさい。」と王妃は威厳を持って言うのだった。
かくして、フォンとポギョンの2人の噂が
フォンも知らないところで 王妃の耳に入ってしまったのだった。
つづく
『太陽を抱く月』第3話(1)
宮殿の門の前で、偶然にノギョンはヨヌを見かけ
アリが守ってほしいと願った子がヨヌだと直感するのだった。
しかも、同じく公主様の学友として宮殿入りとなった
ユン・デヒョンの娘、ポギョンにも ヨヌと同じく
王妃の座につく定めがあるのを感じるノギョンだった。
ポギョンは輿から出て ヨヌに気づくと
「あなたが宮廷に何の用?」と意地悪く言い
「もしや、あなたも公主様の学友?」と不安気に尋ねた。
「それでは あなたも?」と驚くヨヌに
公主の学友に選ばれたのは 自分だけだと思っていた
ポギョンは”嫌になる!”というようにため息をつき
そっぽを向いて不貞腐れるのだった。
2人を観察していたノギョンに お付きの巫女が
「国巫様。大妃様がお待ちです。」と促すと
ノギョンはヨヌとポギョンを気にしながらも
宮殿の中へ先に消えて行った。
ノギョンが大妃の前で お辞儀をして挨拶をする。
「星宿庁の国巫。祈願を終え戻ってまいりました。」
大妃は満足そうに微笑んで言う。
「そうか。松岳での用は 無事に済んだか?」
「天の気運が混乱したため さらに祈りを捧げ
予定より遅れました。どうかご理解ください。」
そう深く頭を下げるノギョンに 大妃は
「そのくらい構わぬ。それはそうと・・・
もう知っていると思うが、入宮する学友の
人相を見てほしい。」と言う。
「何を占うのですか?」とノギョンが聞くと
「王妃の相だ。山河を巡り 心身を浄化し
目も澄んでいるだろう。2人のうち、
王妃になれる者がいるか見定めるのだ。」と大妃は言った。
ノギョンは ゴクリと唾を呑み込むのだった。
2人のうち1人は アリが守れと言った美少女だ。
ノギョンにはヨヌとポギョンの両方に”月”が見えていた。
一方、女官に案内されて 宮殿の一室に通されたヨヌとポギョン。
「王妃様からお呼びがあるまで
ここで しばらくお待ちください。」
そう言って、女官は去って行った。
ヨヌとポギョンは深くお辞儀をして女官を見送って
2人きりになると 気まずい雰囲気になった。
ポギョンが膨れて、ヨヌと顔を合わせないのだ。
ヨヌは居心地が悪くて、ポギョンから離れて正座した。
ポギョンも床に座るのだが、そっぽを向いて無言のままだ。
ヨヌはたまりかねて ポギョンに近寄って声をかける。
「あの。あなたはポギョンという名前よね?
最初の出会いは良くなかったけど・・・
過ぎたことは忘れて 仲良くしない?」
そう言われて、ポギョンはフン!と鼻で笑うのだが
以前、父のデヒョンから言われた
”宮廷では誰も敵に回してはならぬ!
たとえ敵であっても、表向きは調子を合わせるのだ。
お前の本心を見せても 見られてもならぬ!それが政治だ。”
という言葉を思い出して、仕方なく態度を一変して、
笑顔を作って「そうね。仲良くしましょう。」と言うのだった。
それでヨヌは「良かった!」と明るい笑顔を返し
「あなたが怒ってると思ったのよ。」とポギョンに言った。
「あの日のことは私も悪かったもの。」
と返すポギョンに ヨヌは心からほっとして
「そう言ってくれると気が楽になるわ。」と微笑み
ポギョンにもっと近づいて、彼女の手を取って
「これから 協力し合いましょうね。」と言う。
ポギョンが作り笑顔で「ええ、よろしくね。」
とヨヌに答えると ヨヌは友達になれたと思い
素直に喜び、ポギョンの手をしっかり握るのだった。
一方、妹の学友が宮殿入りしたと聞いて落ち着かないフォン。
ヨヌの聡明さを宮中の誰より知っているフォンは
学友に選ばれたのは ヨヌに違いないと確信しているので
今、同じ宮殿の中に ヨヌがいるのだと思うと
逢いたい気持ちを抑えることができないでいた。
東宮の自分の部屋で ソワソワ、ウロウロしていると
ふと、ヨヌが贈ってくれた木筒を思い出し
中の土から生えてきた緑の葉っぱに 顔を近づけてみた。
「どう見ても花には見えないが、何だろう?
そうだ!会って直接聞いてみよう!」
そう独り言を言って 微笑んでいると
「邸下。」と声がして、ヒョンソンが入って来た。
ヒョンソンは笑顔で「学友が入宮しました。」と言う。
フォンはなるべく平静を装って「そうか。」と答え
「誰の娘か調べたか?」と聞いた。すると
「史判の娘 ユン・ポギョンと大堤学の娘
ホ・ヨヌでございます。」と言うヒョンソン。
フォンは「予想どおりだな。」と笑って
「ヨヌ。ヨヌか・・・可愛い名前だ。」
とヨヌの入宮を 心から喜ぶフォンだった。
ヒョンソンはそんなフォンの様子に
「もしかして、意中の人でもおられるのですか?」
と冗談半分で聞くのだが、フォンは真面目な顔で
「ヒョンソン!お前しかいない!」と言い
ヒョンソンの手を握り、懇願する。
「邸下。一体、どうされたのですか?」
フォンの切羽詰った表情に 圧倒されるヒョンソンだが
少し間が開くと、東宮から「邸下!それはなりません!」
と言うヒョンソンの叫び声が響いた。
どいうことかといえば、「なぜいけないのだ?」
とフォンがヒョンソンの手を固く握ったまま離さない。
ヒョンソンが必死に、フォンの手から逃れて
「王世子様がよそ様の娘と 宮廷内で
隠密に会うなんて、とんでもないことです!
何よりも厳しい警備の中を 個人的に動くのは
一言で 不可能でございます!」と力説している。
フォンは「だからお前に頼んでいるのだ。」と言う。
すると ヒョンソン呆れては言うのだ。
「先日、塀を越えた事件をお忘れですか?
あの時、尻叩きの刑で受けた傷がまだ癒えておりません。
それに、今日は 大変忙しいのです。
お忙しい殿下に代わり宣伝官庁の蹴鞠見物もございます。
それに・・」ヒョンソンの言葉を遮って、フォンが口を開く。
「四都目!」その言葉で 途端にヒョンソンの顔色が変わった。
”四都目”とは承政院で行われる内侍の評価のことだ。
フォンは言う。「四都目で不可をもらったお前を
心から慰め、助けたのは誰だったかな?」
ヒョンソンはおどおどしながら言う。
「世・・・世子様でございます。」
するとまた 追い打ちをかけるようにフォンが言う。
「試験科目の中庸を 集中的に勉強させたのは
あれは・・・誰だった?」ヒョンソンは泣きそうな顔で
「邸下でございます。」と言った。フォンはさらに
「そのおかげで罷免されず、位を高めたのは
誰のおかげだ?」と意地悪そうに聞く。
ヒョンソンは もう半べそをかきながら言った。「邸下です。」
フォンは”そうだろう”という顔をして にっこり微笑んだ。
こうして フォンに弱みをしっかり握られているヒョンソンは
どうしても フォンの願いを聞き入れなければならなかった。
まず、フォンは筆を執って ヨヌに手紙を書いた。
”そなたが入宮すると聞き 眠れなかった。
使いをやるので その時会おう!”
フォンは差出人に李暁(イ・フォン)と自分の本名を書いた。
その手紙を持って、東宮から出たヒョンソンは走った。
「いつもあの話をする!」と文句を言いながら・・・。
そして東宮から離れた ヨヌたちが通された宮殿まで来ると
そこで働く女官に ヒョンソンが手紙を渡すように頼んだ。
「絶対に!」ダメですと断ろうとする女官に すかさず
用意していた賄賂の装飾品を渡したヒョンソンは
「できます。」と女官から承諾を受けて
ヨヌに手紙を渡してもらえることになった。
宮廷では 入宮したヨヌとポギョンのために
珍しいお茶菓子が用意され 可愛い遊び道具や
色とりどりの装飾品などが 2人のために箱詰めされた。
ヒョンソンから賄賂をもらった女官は
ひとつの箱の底に そっとフォンの手紙を隠した。
それを包む風呂敷は緑と赤に分けられたが
女官は手紙を入れた赤の風呂敷に
しっかり、ヨヌの名札をつけるのだった。
ヨヌとポギョンは王妃の座敷で その包みをいただいて、
菓子のお膳の前に座り、王妃から挨拶の言葉を頂いた。
「わざわざご苦労であった。
この私が大妃様から 学友の教育を命じられたが
小学と内訓は自宅で学び終えたと聞いておる。
本当か?」と王妃に聞かれ 2人は声をそろえて
「終えております。」と頭を下げて返事をした。
王妃はそれを聞くと
「ならば学習を行う必要はない。ミナ公主と一緒に
楽しく遊んで帰るがよい。」と微笑んで言った。
そこへ扉が開き、ミナが走って部屋に入って来る。
「母上 ごきげんよう。」と立ったまま挨拶したミナは
すぐにヨヌとポギョンの前に座り 2人の顔を見比べた。
ミナは王妃にお尻を向けたまま「文学の妹はどっちだ?」
と言うミナに 王妃が呆れて「公主!」と声をかけるが
ミナは無視して ポギョンに「そなたか?」と尋ね
ヨヌにも「そなたか?」と聞くのだった。
ヨヌが下を向いて困ってると ミナは泣きそうになって
「一体、どっちなのだ?」としつこく迫るので
ヨヌは仕方なく、小さな声で「私です。」と答えた。
するとミナは喜んで「やっぱり そなただと思った!
ホ文学に似て 可愛い顔をしておる。」と
ヨヌの顔を覗き込みながら言って笑った。
面白くないポギョンは眉をひそめて ヨヌを睨む。
ミナはそんなことはお構いなしに ヨヌに向かって
「そうだ。これをあなたにあげる。
この中には装飾品も入っておる。」と言って
巾着袋を強引に手渡すのだった。ヨヌは驚いて
「恐れ入ります。」とだけ言うのが精一杯だった。
隣に座るギョンの眉間には 皺がますます寄って
険しい顔になり、フン!と横を向いてしまった。
王妃への挨拶が終わり、ヨヌとポギョンは
今度は大妃の御殿に移って 大妃に挨拶をする。
大妃の座敷には王妃とミナそして
ヤンミョンの母、禧嬪も列席していた。
2人の少女が揃って優雅に挨拶のお辞儀を終え
「弘文館 大堤学 ホ・ヨンジュの娘
ホ・ヨヌと申します。」
「史曹判書 ユン・デヒョンの娘
ユン・ポギョンでございます。」
と2人揃って自己紹介をするのだが
ユン一族を想う大妃は ポギョンばかり見て微笑む。
ポギョンも大妃に向かって 微笑み返すのだった。
大妃は「王妃。禧嬪。」と2人に向かって
「何て可愛いんでしょう!宮中に花びらが舞うようです。」
とポギョンを見つめながら 嬉しそうに言った。
「2人とも いい友達になってください。」と大妃が言い
「かしこまりました。」と揃って返事をする2人の少女。
そして、大妃の屏風の裏に隠れて
少女たちを凝視しているのは 国巫のノギョンだった。
ノギョンはヨヌとポギョンを見比べて
”朝鮮の空に浮かぶ2つの月。”とつぶやくのだった。
一方、ヨヌが気になるフォンだったが、
気を紛らわそうと ヒョンソンが見学する蹴鞠の試合に
自分も出ると言い出して 運動着に着替えて歩いていた。
「わざわざ参加されなくても 見物だけで結構です。
怪我をされたらどうするのですか!」
ヒョンソンが心配して止めるが、フォンは
「退屈なのは我慢できない。」と言って聞かない。
「殿下に知られたら 命がありません。」と嘆くヒョンソン。
「しつこい!うるさいぞ!」フォンはヒョンソを叱る。
ヒョンソンがうなだれていると、ヤンミョンが通りかかり
「邸下。お元気でしたか?」フォンに優しく微笑むのだった。
ヤンミョンを見たフォンは「これは兄上! 」と笑顔になった。
あれほど会いたかった兄が やっと会いに来てくれたのだ。
ヤンミョンがフォンにお辞儀をすると フォンは嬉しそうに
走って行き、ヤンミョンに飛びついて抱きつくのだった。
そしてフォンは「元気ですとも。東宮殿に?」と聞くと
「はい。邸下に拝謁してからホ文学にも会おうかと。」
と言うヤンミョンに フォンは驚いて
「ホ文学と知り合いですか?」と尋ねた。ヤンミョンは
「宮廷を出たあと 親交を深めました。」と答える。
フォンはなるほどという顔をして「そうでしたか。」と言い
「私は知りませんでした。あ!立ち話も何なので
どこかで茶菓でもしませんか。」と言うフォンに
ヒョンソンが横から「申し訳ありませんが次の予定がございます。」
と言うのだった。ヤンミョンが
「私はホ文学と話していますので、邸下はお急ぎください。」
そう言うと、フォンはあることを閃き、明るい顔で言った。
「ちょうど良かった!兄上も一緒に蹴鞠をしましょう!」
「蹴鞠ですか?」と 驚くヤンミョンなのだが
フォンは後ろに並んでいた 護衛の翊護司たちに向かって
「これより翊護司と宣伝宮で蹴鞠の試合を行う!
東宮殿の名誉をかけ必ず勝て!よいな!」と命令した。
翊護司たちは「必勝!」と声をそろえて答えた。
こうして、ヒョンソンの心配もよそに
フォンは蹴鞠を翊護司対宣伝宮庁の試合にして
ヤンミョンやヨムたちも誘って楽しもうと行動を起こした。
頭の回転が速く、気転の効くフォンは 本当に賢い世子だ。
東宮殿の翊護司と宣伝宮庁の試合は 青と赤に分かれた。
フォンとヤンミョンとヨムの3人は当然翊護司隊の青だった。
赤の宣伝宮庁隊の中には ヤンミョンとヨムの友達の
ジュウンが赤い鉢巻をして凛として並んでいた。
試合前の挨拶で、ヤンミョンたちはジュウンを見つけ
笑い合った。そしてヤンミョンが拳を突き出すと
ヨムとジュウンが自分の拳をヤンミョンに合わせた。
フォンの目の前で 3人が拳を合わせて笑っているので
フォンは「お知り合いですか?」と
ジュウンのことをヤンミョンに尋ねた。
するとヤンミョンは「大堤学の下で一緒に学んだ仲間です。」
と言い、ヨムが「武科に首席合格したキム・ジュウンです。」
とフォンにジュウンを紹介した。
ジュウンは無言で、フォンにお辞儀をして挨拶した。
フォンはヨヌと初めて会った時の会話を思い出した。
”私は泥棒ではなく 武科に合格した・・・”
そうフォンが言うと ヨヌは怒って言ったのだった。
”口を開けば人のせいにして嘘をつく。
武科の首席合格者は兄の親しい友人で・・・”
その時のヨヌの言葉を思い返したフォンは
そうか、この者が武科の首席合格者本人だったのかと思い、
一人で笑いながら「私の兄になり損ねた者か。」
と、ジュウンに向かってつぶやくのだったが
ジュウンやヤンミョンやヨムには
何のことだか分からないので 3人とも戸惑った顔をした。
フォンはただ一人笑いながら
「これもまた、面白い縁だ!」とつぶやくのだった。
王妃や大妃への挨拶も終えたヨヌとポギョンは
ミナ公主と一緒に ミナの部屋で刺繍の稽古をしていた。
しかし、不器用なミナは刺繍が苦手で、
苛々しながら作業をしているので、
それを見たヨヌとポギョンは 笑いを堪えていた。
そんな中、ふとヨヌが王宮から頂いた箱の中に
フォンの手紙を包んだ風呂敷を見つける。
風呂敷を広げて、フォンの手紙の布を出して
手に取って読んでみれば
”そなたが入宮すると聞き 眠れなかった。
使いをやるので その時会おう!”
と書かれてあった。ヨヌは驚いて慌ててその布を仕舞った。
あまりにも ヨヌが動揺してコソコソ仕舞っているので
ポギョンが気づいて、「どうかした?」と尋ねた。
ヨヌは益々慌てて「何でもないわ!」と答えるのがやっとだ。
すると突然、刺繍に飽きたミナが
「こんなもの 退屈でやってられない!」と言い出し
ヨヌに向かって「外で遊ぼう!」と誘うのだった。
「外で?」と驚くヨヌの手を引っぱって
「早く行こう!立って!」と強引に ポギョンを残したまま
お付きの女官が止めるのも聞かずに
ヨヌを外に連れ出すミナだった。
女官は慌てて、ミナの後を追いかけて外へ出た。
部屋に取り残されたポギョンも 後を追いかけるが
外へ出ようとした時、ヨヌが隠した布が気になり
ヨヌの隠した風呂敷の中の手紙を盗み読みしてまう。
そして差出人の名を見て「イ・フォン?」と声に出した。
ポギョンは それが世子の名だとはまったく気が付かない。
そして、ヨヌとミナと共に外へ遊びに出たポギョンは
庭でミナに目隠し鬼の鬼にさせられ 目隠しされてしまうが
ミナに気に入られたい一心で「こちらです!」とはやし立てる
大勢の女官たちとミナと一緒に 目隠し鬼をするのだった。
ヨヌは 少し離れて、その様子を微笑みながら眺めている。
そこへフォンから指令を受けたヒョンソンがやってきて
ヨヌに「東宮殿の使いです。」と声をかけた。
ヨヌはフォンの手紙の”使いをやるので 後で会おう”
という言葉を思い出すのだが、ヨヌは勘違いして
フォンに会ったら、先日泥棒扱いしたことを
叱られると思っているので
「ホ文学の妹さんでは?」というヒョンソンの問いに
「私ではありません!」と咄嗟に 嘘をついてしまう。
「ホ文学に似ているのに・・・」とつぶやき
納得いかないヒョンソンだったが、「それじゃ・・」
と目隠しをしているポギョンを見て あの子かと思い
こちらも勘違いとも知らず 笑っていると
ミナがヒョンソンを見つけて「ここで何をしているのだ?」
と尋ねるのだった。ヒョンソンは慌てて
「それは・・・ただ通りがかっただけです。では・・・」
と誤魔化して去ろうとすると
ミナはヒョンソンを捕まえて放さない。
「何かご命令でも?」と困った顔で尋ねるヒョンソンに
ミナは「ホ文学は丕顕閣に入ったのか?」と小声で聞いた。
ヒョンソンは吹き出して
「ホ文学は今、邸下と蹴鞠場に・・・」と言いかけて
しまった!という顔をして口を噤んだ。
しかし、ミナは”もう遅い!しっかり聞こえた”という顔で笑い
「ホ文学が蹴鞠をしている?」とつぶやくのだった。
ヒョンソンは自分の口を叩いて、逃げて行ってしまう。
かくして、悪戯っ子のミナは 目隠し鬼の鬼を女官頭にやらせ
ヨヌたちを連れて みんなで蹴鞠場まで行ってしまうのだった。
ミナたちがいなくなったことを目隠しされて分からない女官頭は
「公主様 どこですか?手を鳴らしてください!」
と言いながら 手探りで一人、庭を彷徨うことになる。
そして一方、蹴鞠場では フォンが提案した
翊護司対宣伝宮の蹴鞠試合が行われている。
若いフォンとヤンミョン、ヨム、ジュウンは
ハツラツと動き回り 毬を上手にコントロールして
元気に楽しく試合をしている。
まず、ヤンミョンがゴールに向かってキックするが
相手チームにいるジュウンに阻まれて 得点できない。
ジュウンの動きは 抜群に俊敏で目立っていた。
「まぁすごい!」ジュウンの並でない運動能力に
周りで見ていた女官たちが騒いだ。
しかし、フォンとヤンミョンとヨムは
3人のチームプレーで 毬をつなぎながら
相手のゴールを責め続けた。
面白い試合をしている中、ミナがヨヌたちを連れて
蹴鞠場へ到着した。ミナはすぐにヨムを探し見つけると
「あそこにホ文学がいる!」と隣のヨヌに教えるのだった。
「どこですか?」ヨヌも必死に兄を探した。
しかし、ヨヌは兄よりも目立って 必死に毬を追いかける
フォンの姿に目が行った。フォンの運動神経も素晴らしかった。
走るのが早く、小回りが利いて 相手の隙を縫って
毬をどんどん進めていくフォンは ついにシュートを決める。
得点を挙げて喜ぶフォンは 真っ先にヤンミョンに抱きついた。
ヤンミョンと抱き合って喜ぶフォンを ジュウンも笑顔で
手を叩いて称えた。世子の実力も大したものだというように。
世子の得点で 女官たちもフィーバーする。
ヨムとも笑顔で得点を喜ぶ 明るい太陽のようなフォンの姿に
ヨヌは見惚れて、心が踊るのだった。
そして、ポギョンもまた、明るい快活なフォンを見て
恋が芽生えたようだった。
そして、ヨヌとポギョンの人相をノギョンに占わせていた
大妃はノギョンに尋ねるのだった。
「どうだ?王妃の相はいたか?」
ノギョンはすぐに答えられなかった。
「なぜ返事をしないのだ?いないのか?」と聞く大妃に
ノギョンは決心したように 口を開き
「おめでとうございます。
大妃様のお望みが叶います。」と言うのだった。
大妃は笑顔になって「ならば、史判の娘が?」と言う。
ノギョンは「将来 交泰殿の主、王妃になられます。」
と明言するのだった。その言葉に喜ぶ大妃。
そして、大妃の元から去るノギョンは 心の中でつぶやく。
”何という運命の悪戯だろう。
王妃の相であるのに 王妃になれない運命。
王妃の相ではないが 王妃になる運命。
2つの月。2つの太陽。そして・・・死の気配。”
国巫ノギョンの予想などは 露も知らない蹴鞠場の
明るいフォンやヨヌたち。
試合は楽しく進み ヤンミョンも得点を挙げて
フォンやヨムと喜び合っている。
そして、またフォンが負けじと ゴール目指して走ると
相手チームの選手に阻まれ、足が引っかかり転んでしまう。
「邸下!」と大声がして試合が止まり、皆心配して
フォンの周りに集まった。女官たちも心配そうに見守る中、
フォンが翊護司に抱き起されて立ち上がる。
そして翊護司の隊長がフォンを倒した宣伝宮の男を見て
「そいつを縛り上げろ!」と怒って命令し、翊護司たちが
宣伝宮の男を捕まえるのだが わざとではないので
「誤解でございます!」とうろたえる宣伝宮の男だった。
フォンは呆れて「やめないか!」と翊護司に言った。
「早く放してやれ!」とフォンが言い
放されるとすぐに土下座して
「邸下!お許しください!」と謝まる宣伝宮の男。
それを無視して、フォンは胸を張って大声で告げた。
「これは 勝負を決める競技である!
これから私に わざと毬を渡したり
道を開けたり、守備を怠ったりしたら
軍律で厳しく罰するぞ!!よいな!!」
すると翊護司も宣伝宮たちも 声をそろえて
「ご命令に従います!」と言って頭を下げるのだった。
その様子を見ていたヨヌは 笑顔になった。
益々、フォンのことが素敵だと思ったのかもしれない。
そこへ、目隠し鬼から目覚めた女官頭が走って来る。
「公主様、いけません!
殿下に知られたら大変です!」と嘆く女官に
「心配するな。父上はいつも私の味方だ。」
と平然と言い放つミナ公主だった。
しかし、女官頭は周りの女官に
「何をしている!公主様をお連れしろ!」と命令する。
それで仕方なく、ミナはあきらめて蹴鞠場を後にするのだった。
ミナと一緒に帰ろうとするヨヌは 後ろ髪を引かれるように
振り返ってフォンの姿を追うのだった。
すると そのヨヌの姿にヤンミョンが気がついた。
ヤンミョンはヨヌが自分を見ているのだと思い
嬉しくて声をかけようとするのだが
ヨヌがじっと見つめている先は フォンだと悟り
心底、がっかりしてしまうのだった。
フォンの勇ましい蹴鞠姿を目に焼き付けたヨヌは
慌ててミナや女官たちを追いかけて去っていく。
そのヨヌの後ろ姿を ヤンミョンは眺めてつぶやく。
”皆が世子の味方でもいい。
ホ・ヨヌ。そなたさえいれば・・・”
宮殿で働き、フォンの配下になってしまった
2人の親友を持つヤンミョンは やはり孤独だった。
入宮したヨヌだけは 自分を見ていてほしいと
心の中で切に願うのだったが、
果たしてヤンミョンの願いは ヨヌに届くのだろうか。
つづく
どうぞお楽しみに!!
『太陽を抱く月』
BSプレミアム 毎週日曜 夜9時00分~
【全20話】
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/taiyou/index.html
ああ・・・嬉しい!!!
本当に、本当に 涙が出るほど
母は嬉しい!!(T_T)
この吉報をどれほど待ち望んでいたことか!!
\ (*´∀`*) /
これだけシツコク歌姫が宣伝する訳は
『太陽を抱く月』という作品に
歌姫が心底、惚れ込んでいるからです!!
まぁ・・・
百聞は一見にしかず!!
BS放送を視聴できるみなさんは
まず第1話をごらんください。
一番初めは 怖~い出だしなんですが・・・(笑)
↑ この内官のヒョンソンが出てきたら
物語は 凄くなごみます~❤
ヒョンソン、大好き!!!(*´∀`*) /
怖くて・・・悲しくて・・・楽しくて・・・
色んな要素満載のドラマ
そして・・・愛が溢れた作品
『太陽を抱く月』
どうぞ みなさまお楽しみに~~!!
\ (*´∀`*) /
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