2010/05/12 22:05
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第26話(後半)

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 第26話
 ≪Hidden Track~永遠の愛~≫ 後半




 



 ユジンは浜辺から見えた”不可能な家”に向かって まっしぐらに駆けだした。

 その家が見えた半島にやって来て 辺りを見回しながら歩いてゆくと 

 そこは 美しい草花や木が沢山生い茂る場所だった。

 (これは実写版のユジンが 不可能の家に向かうシーンそっくりだ。)

 あのナミソンの並木路のように両脇を木々で覆われた道を ユジンはまっすぐ進んだ。

 そして見上げると ユジンを囲むその両脇の木々たちは

 空に届くかと思うほど 天に向かってまっすぐに伸びていた。

 明るい陽射しが ユジンを照らしてくれる。(絶対に良いことがありそうな予感!!笑)

 ユジンは周囲の景色を眺めながら どんどん”不可能な家”に向けて足を運んだ。

 そして少し曲がりくねった その道の先に見えてきたのは

 赤い屋根をした ユジンが夢に見た”不可能な家”だった。

 「あっ。」と声が出るユジン。 (ユジンは ワクワクしながら家に向かったに違いない。)





 
 その時 チュンサンはといえば・・・

 庭の花畑の中を 籠を背負って歩いていた。

 (正直格好悪い!!チュンサンがする格好ではないと思う・・・笑)

 下を見ながら 慎重に歩くチュンサンだったが その足元の先に石ころがあった。

 それに気付かず チュンサンはその石につまずいて転んでしまう。

 (ああ可哀そうと思う前に・・・めちゃくちゃ格好悪いと思う私。ごめんなさい!)

 すると背負った籠の中にあった 建築材料の丸い黒い形の良い石が 

 こぼれ落ちてしまうのだ。地面に突っ伏してしまうチュンサン。

 (何度も書くが・・・とっても格好悪い!!これがアニメで本当に良かった。)

 チュンサンは情けない顔で 首を上げこぼれた黒い石を眺めた。

 ハァハァと息をしながら 倒れたまままだ未完成の”不可能の家”を見るチュンサン。

 (あああああ・・・・手を差し伸べて 彼を立たせてあげたい!!!)

 目の前の”不可能な家”は 左右対称的な建物なのだが・・・

 チュンサンから見て右半分は まだ外壁が仕上がっていなかったのだ。

 その黒い丸い石は 外壁に使用するものだったようだ。


 


 チュンサンは まだハァハァと息をして 一度目を閉じて

 そして自分の目の前にある 庭の花に気がつく。

 それは チュンサンがユジンのために一生懸命に世話をして育てた薔薇の花だった。

 赤やピンクに混ざって目立って咲いているのは 白い薔薇だ。

 高校時代のチュンサンの声がする。

 「今度はユジンの番だよ。 好きな花は?」

 チュンサンが 目の前の白い薔薇に指でそっと触れると

 「白い薔薇。」とユジンの声が聞こえた。

 チュンサンは その白い薔薇に顔を近づけて 香りをかいでみる。

 ”これがユジンの好きな花の香り”そう思っただろうか? 

 またユジンの声がする。「覚えておきたいの。あなたが好きなもの全部ね。」

 そして チュンサンもまた 心の中でつぶやいていたのではないだろうか・・・・。

 ”僕もだ。僕も君の好きな 白い薔薇を忘れなかったよ。”

 そしてチュンサンは立ち上がり、こぼれた黒い石をかき集めて籠に入れるのだった。

 そして 心の中でチュンサンはつぶやく。


    ユジナ。何も言わずに去ってしまった僕を

    君は ずっと待っていてくれたんだよね。


    ・・・今度は 僕の番だよ。


    不可能な家でも 君なしでは 意味がなくても

    僕は 諦めずに建ててみせる。


 チュンサンはそしてゆっくりと 不完全な家に向かって歩き出すのだった。

 そう。チュンサンはこの場所で 一生ユジンを想って生きようとしていたのだ。

 心のどこかで ユジンが自分を探して ここを訪れてくれるのを期待して・・・。

 それだかこそ ユジンのために ユジンの好きな白い薔薇を植え、

 ユジンの夢だった”不可能な家”を 1人で完成させようとしていたのだ。

 嫌、多分キム次長の助けを借りて2人でだった。(笑) 

 チュンサンは必死に ユジンとの約束を果たそうと頑張っていたのだ。

 

 


 ユジンが”不可能な家”にやっと辿りついた。

 3段ほどの低い階段を上がると もうそこは家に繋がる

 丸いアーチ型をした 背の低い門が目の前にあった。

 ユジンは その門を押し開けて 中に入った。

 目の前に飛び込んで来たのは 海の見下ろせる見晴らしの良いテラスだった。

 そこには 先ほどチュンサンが腰かけていた椅子と

 ユジンが写っている写真を置いた テーブルがあった。

 そんなことは知らないユジンは そのテラスを歩き ふと壁に目を向けた。

 その壁に掛けられていたのは ”不可能な家”を描いたジグソーパズルだった。


 (実写版では お城の風景だったのに・・・こんな特別注文のパズルを

  チュンサンは いったいどこで手に入れたんだ?笑)


 ユジンは そのパズルを見つめて泣きそうになる。

 チュンサンの想いが ユジンに伝わってきたからだ。

 ”僕の人生のパズルには ユジンが必要なんだ”・・・その絵はそう物語っていた。

 ユジンというピースがなければ チュンサンの人生のパズルは完成されない。

 チュンサンが必要とするものは ユジンただ1人だったのだ。

 そう。・・・高校時代、転校してユジンに出会うまでは・・・

 チュンサンは 誰も必要とはしないで生きてきたのだった。

 父親のいない子・・・その負い目から 彼は貝のように心を閉ざして

 誰にも自分の中に入り込めないように 壁を作り

 影の中で1人でいることに 平気を装って生きていたのだから。

 そんな中でただ1人、孤独という影の中にいたチュンサンを 

 明るい光の中に引っ張って 連れ出してくれたのがユジンだった。

 そんなユジンが チュンサンにとっては唯一、心から大切な人だったのだろう。

 母のミヒよりも 誰よりも・・・チュンサンが必要としたのは ユジンだった。

 ましてや自分が記憶を失った10年間もの間、忘れずに待っていてくれた

 ユジン以外の女性を 彼は愛せるはずもなかった。

 チュンサンの生涯で たった1人の愛する人・・・それがユジンだったのだ。

 そしてユジンも やはりチュンサンは自分の「運命の人」だと信じていた。

 何度も・・・何度も・・・引き裂かれても・・・

 ずっと忘れられなかったチュンサンを ユジンはやはり

 自分の「運命の人」だと ひたすら頑固に思い続けていたのだろう。

 そしてこのパズルの前で ユジンはそれが正しかったと確信する。

  ”神様は やはり自分たちを結び合わせてくださった。”

 震えるような喜びが ユジンの全身を満たしたに違いない。

 良く見れば そのパズルは1ピースが欠けていた。

 そういえば・・・あの時も・・・そうだった。

 チュンサンが記憶を失くし ミニョンとして自分の前に現れた時。

 あの時も ジグゾーパズルが壁に掛けられていた。

 そして1ピースかけたその場所に ユジンが拾ったピースをはめ込むと

 目の前に現れたのが 愛するチュンサンだったのだ。

 ”神様が私達を あの時出会わせてくれたのね。”

 ユジンは またその再現を願いながら その絵の欠けたピースを床に探す。

 するとちゃんと その1ピースが落ちているのを発見する。

 その時だ。 チュンサンが家に戻って来る。(神様はいた!!笑)

 

 



 チュンサンはまっすぐ歩いて 壁の傍まで来ると片手を広げて壁に触れた。

 そして方向を変えて テラスの椅子の方へ歩いた。

 ユジンは なぜかそれには気がつかずに 必死にパズルをはめ込んでいる。


 (なぜに足音に気がつかない??ユジンは1つのことに熱中すると

  周りのことが見えなくなるタイプなのは分かるが・・・これは可笑し過ぎる!!)


 そして やっとそのピースを絵にはめ込んで 嬉しそうに絵から離れると

 ユジンの正面から 向かって歩いてくるのは チュンサンだった!!!

  
 
”あまりにも出来過ぎ!!嘘~!!”と心の中で 

 ユジンがそう 叫んだかどうかは定かではない。(爆)


 




 チュンサンは ユジンに気がつかないのか どんどん平気な顔で

 ユジンに向かって歩いて来る。

 ユジンはあまりのことに驚いて 肩からかけたバッグを床に落としてしまう。

 ドスン!!と音がして 初めてチュンサンは異変に気づく。

 ユジンはチュンサンが現れたことが嬉しくて もう涙が込み上げている。

 チュンサンは 誰かが自分の前にいることは認識できたようで

 「誰ですか?」と聞いた。しかし返事がない。

 チュンサンは もしかして・・・と期待して小さな声で恐る恐る尋ねた。

 「誰ですか?」それでも返事がない。嫌、返事が出来ないのだと

 チュンサンには 分かったのだ。

 今まで ずっと待ち焦がれたユジンが すぐ自分の目の前にいるのだと・・・。

 チュンサンの声が震えて「ユジンなの?」と言った。

 ユジンも やっと声を絞り出して言った。「チュンサンなの?」

 その声を聞いたチュンサンの目から 涙が溢れ「ユジナ。」と一言、声に出した。

 そして ユジンは泣きながら 最愛のチュンサンの元へ近づくのだった。

 (このシーンは実写版が蘇り すでにここではハンカチが涙でグッショリとなる。)





 美しい夕日が2人を包んでいた。

 オレンジの夕日の当たるバルコニーの隅に チュンサンとユジンは

 お互いをしっかり抱きかかえて 見つめ合っていた。

 そしてゆっくりと・・・2人は口づけを交わすのだった。


 このバルコニーで抱き合う姿と口づけは 実写版と本当に良く似ている。

 そして私はここで 実写版と重ね合わせて言いたいことがある。

 ・・・神様(作家様) ありがとうございます!!

  今まで散々 2人を引き離して恨んだ神様ですが(笑)

  ここで 2人を引き合わせてくださったことに 心から感謝します!!


 




 「これがいいわ。」「何言ってるの?」

 チンスクとチェリンが何やら言い争っている。

 白いウェディングドレスに 白い薔薇のブーケを抱えて椅子に腰かけるユジン。

 ユジンは肩を出したドレスに 額を出して髪をまとめて美しく結い上げていた。

 ため息が出るほど美しい そのユジンの傍で チェリンがチンスクに

 「このドレスは 私が作ったのよ!」と怒っている。

 ユジンは困った顔で 何も言えずにいる。

 チェリンはティアラを握って「そのティアラは似合わないの!」

 そうチンスクに言うと チンスクも負けていない。

 「聞いて呆れるわね。これがピッタリよ!」と自分が手にしたティアラを見せる。

 「デザイナーの意見が聞けないの?」とチェリン。「お断りよ!」とチンスク。

 ユジンがたまらなくなって「もうやめて。両方つけるわ。」と言った。

 すると2人が声を合わせて「お黙り!」と睨むのだった。 (漫画だ~!笑)

 「ティアラを2つ?」とチェリンが怒って言った。

 すると「チェリン。ユジンに怒ったわね?主役はユジンなのよ!!」と

 ユジンを指差して チンスクが言った。

 「知ってるわよ!!」と もうこの2人のバトルは終わりそうもない。

 ユジンは呆れて 椅子から立ち上がってどこかへ行ってしまう。

 「私の作ったドレスよ!」「デザイナーが何よ!!」「何ですって?」

 2人の喧嘩の声を背中に聞きながら ユジンは廊下を歩いている。

 すると履きなれないハイヒールなので 片方が足から脱げてしまった。

 「あっ!」と驚いて 立ち止まり振り向いて靴を拾おうとするユジン。

 靴に手が届きそうになると その靴をユジンよりも素早く拾い上げた手があった。

 それは・・・チュンサンの手だった。

 黒いタキシードに 黒の蝶ネクタイが良く似合うチュンサンは
 
 優しくユジンに微笑むと その靴をユジンに履かしてあげるのだった。

 そう・・・あの高校時代、塀の上でユジンに靴を履かせたように・・・。

 チュンサンは まるで目がちゃんと見えているかのようだった。

 しかし 手探りでゴソゴソとして時間がかかる様子は 

 彼の目が 完全な視力でないのを物語っていた。

 

 


 それでも チュンサンの優しさが嬉しいユジンだったのだろう。

 「これでいい?」とチュンサンが聞くと「ありがとう。」と、ユジンが答えた。

 チュンサンは「チェリンたちは?」と優しくユジンに聞いた。

 (この声は 本当にトロケルように優しい声だ!笑)

 ユジンは 2人が喧嘩してるとは言えなくて・・・
 
 チュンサンの顔を見て うふっと可愛く笑うのだった。

 そしてその美しい新郎新婦の2人が 結婚式を挙げようとしていたのは

 2人の新居でもある”不可能の家”の前のガーデンだった。

 ユジンとチュサンは 2人が再会できた”不可能な家”のテラスに並んで海を見つめた。

 「何かが足りない。」チュンサンはユジンを見てそう言った。

 「何が?」ユジンが聞くと チュンサンはユジンにピンクの手袋を差し出した。

 ユジンは微笑んで「ジェーンにもらったのね。」と言った。

 ユジンはジェーンから 手袋の話も聞いていたのだ。

 記憶を失くしたチュンサンが 誰の持ち物なのか分かるまで

 ジェーンに持っていてと チュンサンが預けたユジンのピンクの手袋だった。

 ユジンがその手袋をはめてみると・・・何か違和感があった。

 何か手袋の中に入っていたのだ。

 ユジンが手袋を取って見ると その掌にあったものは

 ジェーンがユジンにと チュンサンに託した あのハートのネックレスだった。


 

 

 ユジンはそれを見て 嬉しくて顔がほころぶのだった。

 チュンサンはユジンの手から そのネックレスを取りあげると

 自分の手でユジンの首に 上手にネックレスをつけてあげるのだった。

 (きっとチュンサンは 何回もネックレスをつける練習をしたに違いない。

  でなければ 目が不自由なのにあんなに素早くつけられる訳がない。

  それとも 目は見えるようになったのか??まったく・・・ややこしい演出だ!!)
 
 そして ユジンとチュンサンがとっても良い雰囲気で見つめ合っていると、

 邪魔者が忍び寄る。(笑)「チュンサンガ。」と声がして2人が振り向き現れたのは 

 新郎の母、ミヒだった。ミヒは 以前のようにしっかり白髪を毛染めして(爆)

 美しいピアニストのカン・ミヒに戻っているようだった。

 ミヒがにこやかに ゆっくりと2人の傍に近づいた。

 

 挙式会場となる”不可能な家”の庭では ヨングクの声が響く。

 「おい!!サンヒョク捕まえてくれ!!・・・チヒョン、ダメだ!!」

 「チヒョン。そっちはダメだよ!!」優しく諭すサンヒョクの声もする。

 チヒョンと呼ばれるそのヨングクの娘は 白い薔薇のアーチに向かって

 よちよち駆けだしているのだった。

 「危ないよ。」とチヒョンに追いついて 後ろから抱き抱えたのは

 サンヒョクだった。 (うん?今までのサンヒョクとは髪型が違う。)

 

 そう・・・声優をしてる カン・ヨハン君そっくりなサンヒョクだ。

 なぜだか 皆さまもうおわかりですよね?(笑)

 もうすぐ 実写でのチュンサンとユジンの登場になるわけ。ワクワク・・・。


 サンヒョクに抱かれて 嬉しそうに笑っているチヒョン。

 やっと ヨングクもやって来て「何でこうも 言うことを聞かないんだ!」

 と 後ろから困った様子で叫ぶのだった。

 するとサンヒョクは「パパに似てるからな。」そう言うと

 急に変な顔をして「えっ!」と叫んだ。驚くヨングクは「どうしたんだ?」と言う。

 「おしっこをしたんじゃないか?」チヒョンを横抱きにして そう言うサンヒョク。

 父のヨングクが調べてみる。「本当だ!!」と叫ぶヨングク。

 「早く!!おむつを替えなくちゃ!!」と困った顔で言うサンヒョク。

 父のヨングクは チヒョンを サンヒョクに抱かせたままで

 「チヒョンオンマ!!」とチンスクを大声で呼ぶのだった。

 しかし チンスクは傍にいない。ヨングクはチンスクの元へと

 「チンスク!!チヒョンがおしっこをしたんだ~!!」と叫びながら走っていった。

 ずっと困った顔のサンヒョクは 泣きだすチヒョンを必死であやしている。

 そんなサンヒョクの後ろに見えるのは チョンア姉さんとキム次長のようだ。

 この日の挙式は 晴れ渡った空の下で 大勢の親戚や友人たちに囲まれて

 盛大な結婚式が 2人の"不可能な家”で執り行われようとしていたのだった。

 

 


 

 今から挙式を挙げようとする2人が並んだテラスに ミヒがやって来て言った。

 「2人には 申し訳ないことをしたわ。」 (なんだ。まだ謝ってなかったのか。笑)

 するとユジンは言う。「お義母さん。そんなことを言わないでください。」

 ミヒは優しい嫁に感謝しただろう。そして息子のチュンサンを見つめて

 「私を許してくれる?」とそう聞いた。

 するとチュンサンは 母の元へ歩いてゆき「母さん。」と言って

 優しくミヒを抱きしめるのだった。嬉しいミヒも しっかり息子を抱きしめる。

 (ああ・・・ミヒになりたい私・・・。)

 こうして親子は抱き合いながら 2人の間に出来た大きな溝を修復できたのだろう。

 やっとこの親子にも 春が訪れたようだった。

 そんな2人を ユジンは喜びで見つめていたに違いない。

 こうして チュンサンの長い長い冬は終わり・・・

 ユジンと共に 幸せな季節へ歩み出すことが出来るのだ。

        
 (おめでとう!!チュンサン!!)

 

 

 

 そして いよいよ挙式が始まる。

 ユジンの入場をエスコートするのは チュンサンの父、ジヌだった。

 父ヒョンスの親友であるジヌに ユジンは父親役を頼んだようだ。

 しかしこんな大役は初めてのジヌ。緊張が高まって ホ~と息を吐き出した。

 「おじさん。感謝します。」ユジンが言うと ジヌは

 「嫌。何だか不思議な気分だな。私がヒョンスの代わりを務めるとは。」

 ユジンも感慨深げだった。するとジヌは急に張り切って ユジンに向かって

 「入場の練習をしようか。歩幅とスピードはどのくらいがいいかな。」と言った。

 ユジンは笑いながら「もうすぐ式が始まってしまいますよ。」と言う。

 すると「父さん!」と声がして 「僕が代わるよ。」とサンヒョクが現れた。

 サンヒョクは父に向かって

 「練習の時間はないよ。ユジンは僕に任せて式場に行って。」と言うのだった。

 ジヌはほんの少し残念な気持ちもあったが 安堵の気持ちのほうが強かったのだろう

 息子の申し出に ユジンに目で”いいかい?”と語って頷いて

 ユジンをサンヒョクに託して ジヌはその場を後にするのだった。

 そして サンヒョクとユジンはしばらく見つめ合った。

 サンヒョクは もうすっかりユジンのことは吹っ切れているような爽やかな顔だ。

 ユジンも そんなサンヒョクの表情が嬉しかったに違いない。

 「ユジナ。外で待ってるよ。」と言って 先にサンヒョクは入場の場所へ移動した。

 ユジンは「うん。」と言ってうなずいて サンヒョクを見送った。


 

 


 さて サンヒョクが向かった 会場の”不可能な家”の庭では・・・

 ユジンの好きな白い薔薇で出来たアーチが 前と後ろに2本建てられて

 その間に作られた バージンロードの両脇に

 丸いテーブルに椅子が 広い庭にいつくも並べられている。

 いったい何人の来賓客がいるのだろうか・・・。

 大勢の大人や子供が 結婚式の始まりを 今か今かと待っていた。

 不可能の家の周りには 沢山の木や花が植えられている。

 季節は春なのだろう。家の横には桜の木が見える。

 そう。チュンサンとユジンの 長い冬を耐えた恋の物語は

 ようやく 今日の明るい春の日を迎えて 幕を閉じるのだ。

 風に乗って 桜の花びらが舞い散った・・・。


 すると映像が アニメから実写へと見事に美しく入れ替わるのだ。

 


 


 式の時間が告げられたのか・・・・

 ガーデンに散らばっていた客たちが みんな席に着き

 中にはカメラを構える者も出始める。

 サンヒョクは しっかり後方の薔薇のアーチの横にスタンバイをしている。

 ビデオカメラを持って 来賓を撮影する人に気が付いたヨングクが

 チンスクをつついて 一緒にカメラに向かって挨拶をする。

 (残念なことに・・・このチンスクは初めて見るお顔です。笑)

 「チュンサン。ユジン。おめでとう!!」とヨングク。

 「ユジン。おめでとう!!」とチヒョンを抱いたチンスクが言うと

 「早く息子を産んでくれ。うちの娘と結婚させるから。

  その時は泣かないでくれ。」と 冗談を言うヨングクだった。

 そして カメラはチェリンを写す。 (声を担当していたセナさんだ。)

 すこしふくれたような顔で チェリンは言った。

 「カン・ジュンサン。チョン・ユジン。結婚おめでとう。・・・心から。」

 しかし 最後の「心から」の時には 笑顔なチェリン。

 チェリンもまた すっかりチュンサンへの恋心は 冷めているようだった。(笑)

 庭のあちこちに飾られた 白い薔薇の花は 

 チュンサンからユジンへのプレゼントだったのだろう。


 




 その白い薔薇たちにも負けない 神々しい美しさで 家の中から現れたのは

 真っ白なドレスに身を包んだ 白い花の妖精ようなユジンだった。

 来賓はみな 正面の前方のアーチの方を見て座っている。

 来賓たちの背中を見ながら 会場の後方になる家の

 丸い壁の中央のアーチの下に ユジンは静かにブーケを手にして立っていた。

 「遅いわね。」という来賓の中で 後ろを振り向いて

 ユジンの登場に 一番に気がついたのはチンスクだった。

 「ねぇ、ユジンよ!」とヨングクに教えるチンスク。

 「見て!!凄く奇麗!!」と チンスクは感激している。(さっき見てたくせに。笑)

 ユジンはアーチの壁からゆっくり前へ歩き出した。

 これから花のアーチをくぐって いよいよ式が始まるのだ。

 横でスタンバイしていた サンヒョクがユジン近づく。

 そして ユジンに白い手袋の右手を差し出した。

 ユジンが 左手をそのサンヒョクの手に乗せると

 その手をサンヒョクが握りしめた。ユジンはサンヒョクに微笑む。

 するとサンヒョクが笑顔で ”じゃ、行くよ”と瞳で合図して 

 ゆっくりとユジンの手を引いて アーチで結ばれた中央のバージンロードを歩く。

 いたずらな風の精がやってきて ユジンのベールを舞上げる。





 そして サンヒョクが手を引くその先には・・・

 まるで王子様のようなチュンサンが

 ”不可能な家”の正面にある 海を見ながら立っている。

 ユジンの気配を感じたのか、チュンサンはゆっくりと振り向いた。

 拍手の音が聞こえる。ユジンが自分に向かって歩いてくるのが分かる。

 チュンサンは 見えにくい目で 必死に歩いてくるユジンを見つめる。

 ”僕の・・・ユジン。僕の愛しい、愛しいユジン・・・。早く、早く僕の元に来て。”

 チュンサンは 今、正真正銘の妻となるユジンを 幸せ一杯な表情で待っている。

 庭に用意された 真っ白なバージンロードの上をユジンは歩く。

 サンヒョクにしっかり手を引かれて・・・

 白い薔薇の正面のアーチの下で 待っているチュンサンの元へ・・・。


 

 

 ユジンは1歩、1歩噛みしめるように チュンサンの元へ歩いてゆく。


 長かった・・・。18歳 (日本年齢では17歳)で出会って

 チュンサンに恋をして どれだけの苦しい時間を ユジンは過ごしてきたのだろう。

 どんなに悲しい想いをしても、どんなに辛くても・・・

 ユジンは絶対に チュンサンを諦めなかった。

 その想いが やっと今、報われる。 (ユジン!!おめでとう!!)

 



 
 ユジンはやっと チュンサンの正面のまで辿り着いた。

 ユジンをまっすぐ見つめるチュンサンの目が サンヒョクに移った。

 サンヒョクは チュンサンの右手を取った。

 そして 自分の握っていたユジンの手と 彼の手をしっかり結び合わすのだ。

 ”兄さん。僕の初恋の人を どうかよろしく!!”と 

 心の中で チュンサンに言いながら・・・。




 チュンサンもサンヒョクに”ありがとう。僕に任せて。”と目で語った。

 サンヒョクが離れて チュンサンはユジンの手を取ってアーチに向かう。

 前方のアーチを2人でくぐり抜け、海へと続くその緑の大地で

 チュンサンとユジンは向かい合う。


 サンヒョクは会場の後ろのアーチまで下がって 遠くから2人を見つめている。

 うつむいていたユジンが 正面のチュンサンの顔を見上げた。

 チュンサンは そのユジンの瞳を見つめながら誓う。

 「私 カン・ジュンサンは 妻チョン・ユジンを

  生涯 愛することを誓います。」

 そして ユジンが誓う。

 「私 チョン・ユジンは 夫カン・ジュンサンを

  生涯 愛することを誓います。」

 (前回の誓いの言葉は ユジンが先で凄く変でしたが 今回はまともです。笑)

 その2人の誓いを サンヒョクとチェリンが納得した顔で聞いている。


 

 

 そして チュンサンは・・・

 ユジンの誓いを聞き終わると 白い歯を出して微笑むのだ。

 その笑顔が 心から嬉しいユジン。

 そんな2人に真っ先に拍手をしたのは サンヒョクだった。

 それにつられて 来賓客が一斉に大きな拍手を2人に贈る。
 
 チュンサンと腕を組んで ユジンはまた白い薔薇のアーチをくぐって
 
 来賓客の元へと戻って来る。





 この時の2人は みんなに拍手をもらって 笑顔で満ちている。

 突然、クラッカーがユジンの耳元で鳴った。驚いて、そしてまた

 チュンサンと顔を見合わせて 笑うユジンは 本当に奇麗だ。

 「おめでとう!」「おめでとう!!」

 沢山のフラワシャワーとクラッカーの雨の中を 2人は笑顔で進む。

 「おめでとう。2人とも俺に感謝しろ!」ヨングクが叫んでいる。(なんでだ?笑)

 「凄く奇麗よ!!」とチンスクも叫ぶ。

 

 



 そして結婚式も無事に終わり 最後の記念写真。

 チュンサンとユジンの周りには 沢山の人間が並んでいる。

 修道僧が2人見えるが まさかフランスから

 ユジンのために飛んで来たのだろうか?(どう見ても西洋人には見えないが。笑)

 誰の子供か分からないが 子どもも大勢集まって来た。

 「早く来て。」とチンスクに言われて ヨングクがペコペコ頭を下げながら来て

 「お母さん、おめでとうございます。」とギョンヒに挨拶している。

 チンスクに怒られたヨングクが「ご飯を食べてたんだ。」と言って みんなを笑わせる。

 写真館のオジサンが 「前を見てください!!」と大きな声で合図をした。

 ユジンとチュンサンは 一緒に並んだ周囲の人から祝辞を沢山いただいて 

 嬉しそうに 頭を下げてお礼を言っている。

 「新郎と新婦、腕を組んで!!」と カメラマンのオジサンの大声。

 チュンサンとユジンが 嬉しそうに腕を組んだ。

 「いいですね。撮りますよ。」とオジサン。「では 1、2、3!」

 オジサンが合図をしている間に 笑顔を作る大勢の人々。

 ユジンも チュンサンも 本当に幸せそうに白い歯を出して笑っている。

 そしてこの時 チュンサンの心の声が聞こえてくる。

 

      1枚の写真。

      僕たちは それがなかったら

      出会えなかった・・・。

 

 そして 集合写真のシャッターが切られ

 それは 1枚の白黒写真となって 大きく画面に現れた。

 


      この先 どんなに時が過ぎても

      決して 忘れないで・・・


      君のポラリスは

      いつも 同じ場所にあると・・・。

 


 

                                     






                          完




 

 今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはYuちゃんの提供です❤ 今まで本当にありがとうございました!感謝~





 ********************************

 

 

 皆さま 長い間読んでくださってありがとうございました。

 実は 最後は泣きながら これを書いていました。

 なんだかんだ 文句を言って観てきたアニメだったのに(笑)

 やっぱり チュンサンとユジンの最高なハッピーエンドを見せてくれて

 私は 心から嬉しくて・・・感動して涙が止まりません。

 何度観ても この2人のウェディングシーンは素敵です。

 こんな素敵な最後で終わらせてくれた 

 アニメ「冬のソナタ」のスタッフの方々に 

 感謝の気持ちでいっぱいです。

 そしてジウちゃん。ヨンジュン・・・ありがとう!!

 素敵な姿を 私達に見せてくれて・・・

 心から 心から・・・ありがとう!!!!

 
 
     

 

 

 

 

 
 

 


 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 


2010/05/10 18:17
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第26話(前半)

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 ユジンは チュンサンを探しにニューヨークまでやって来たのだが

 チュンサンがミニョンとして アメリカで過ごした間の 

 友人であるジェーンとは ポラリスのネックレスの埋め込まれた 

 セントラルパークのベンチで 偶然に巡り会うことは出来たが・・・

 肝心のチュンサンには 結局出会えなかった。

 しかしながら ジェーンの口から 自分がチュンサンとは兄妹ではないという事実と

 チュンサンが視力を失う病気を 本当は抱えていたのだと聞かされて・・・

 ユジンは 大変なショックを受けるのだった。

 兄妹じゃないのなら なぜ自分と別れたのか・・・それが悲しいユジン。

 またその理由が 事故が原因の病気で 自分に心配をかけたくないという

 チュンサンの気持ちが ユジンには切なかったのだろう。

 ましてや 視力が回復しなかったから 自分の前に姿を現さないという

 チュンサンへのやるせない感情は ユジンを失望の底に突き落とすものだった。

 しかし、ユジンは希望を捨てなかった。 (本当にユジン、あなたは偉い!!)

 神様が自分の人生のパズルに チュンサンを組み込んでくださっているのなら

 必ずやチュンサンに巡り合える・・・そうユジンは信じて

 1人で ニューヨークを後にするのだった。

 画面は 韓国のソウルの空港。

 キャリーバッグを引きずりながら ユジンは空港のゲートをくぐる。

 そして珍しく自分で車を運転して 

 高速道路の料金所で支払いを済ませ どこかへ向かう。

 (どうやら自宅へ 戻るのではなさそうなのだ。)









 ここでユジンのつぶやきが聞こえる。


     何かの映画で見たの。

     主人公の子は トンネルを通る時に目を閉じる。

     トンネルを抜けたなら

     必ず願いが叶うという呪文を唱えながら・・・。


 ここでユジンの車は トンネルを通過する。

    
     
トンネルを抜けたら・・・

     あなたはいるのかしら・・・?


     チュンサン 覚えてる?

     私達の初めての海を・・・


 ここで チュンサンの優しい声が聞こえる。


     僕たち 海を見に行かない?


 ユジンの車がトンネルを抜けると 眩しい光が目の前に迫って来る。


       
               ここでタイトル。






 


 第26話 ≪Hidden Track~永遠の愛~≫ 前半




 
 ユジンと結婚式を挙げた日に 写真館で撮った写真。

 それは サンヒョクがわざわざ写真館まで出向いて受け取り

 チュンサンの元へ届けてくれた写真だった。






 その写真を チュンサンは指で撫でながら 心の中でつぶやく。

 

      時が経って 何かを忘れることは

      意外と 簡単なことだ。

      写真の中の自分が 

      自分だとは思えない時もあるから・・・。

 






 チュンサンの金髪に近い 茶髪に染めた以前の髪の毛は

 すっかり元の 高校生時代の黒髪に戻っていた。

 そして濃い色のレンズの眼鏡をかけたチュンサンは

 ユジンと自分の写ったその写真を 愛おしそうにいつまでも撫でている。

 すると聞き覚えのある声がする。「おい。何してるんだ?」・・・キム次長の声だ!

 チュンサンは キム次長に悟られないように そっとその写真を裏返した。

 キム次長は 相変わらずのスーツにネクタイ姿でチュンサンに言う。

 
 「ソウルまで行くけど 何か欲しいものはあるか?」







 
 海の見えるバルコニーに置かれた 椅子とテーブル。

 そのテーブルに写真を置き 椅子に腰かけていたチュンサンは

 「資材の注文も済んだし 食べ物も十分だ。楽しんで来て。」

 そう キム次長に向かって言うのだった。

 するとキム次長は 「1人にさせておくのは 心配でさ。

 それはそうと、雑誌を置いといたから 息抜きに読んでくれ。

 じゃ、行って来る!」そう言って 手を挙げて別れを告げて

 丸いアーチ型の変わったドアをくぐって 出かけようとする。

 すると チュンサンが「先輩!」と キム次長を呼びとめた。

 キム次長がえっ?と振り向くと チュンサンは

 「僕が どんなに感謝してるか知ってるよね。」と言う。

 キム次長は「嬉しくて涙が出る。」と冗談を言うと

 「会社まで辞めさせて 申し訳ない。」とチュンサンはうつむきがちに言うのだった。

 (ええっ??キム次長が会社を辞めたのは チュンサンのためだったの??

  熱い友情は尊敬するけど・・・いったい彼はどうやって食べてるんだ??)

 キム次長はそれを聞くと「感謝するか謝るか どちらかで十分だよ。」

 そう肩をすくめながら また冗談めかしに言うと

 「そうだ。今日は市が立つ日だろ?」と 聞くのだった。

 チュンサンは「ああそうだっけ?」と少し驚いて言った。

 「送るから 出かける準備をしろよ。

  5日市は 頭の中に刻んであるんだろ?」とキム次長。

 しかし チュンサンはその言葉を遮るように

 「先輩。先輩の顔も刻んであるよ。」

 そう言って立ち上がり「忘れないようにね。」と

 自分の頭を左の人差し指で突きながら おどけて言うのだった。

 そのチュンサンを見るキム次長は 少し切ない顔だった。





 
 そして あの写真館。

 チュンサンが撫でていた 2人の結婚写真を撮った場所だ。

 その場所に ユジンは来ていたのだ。

 チュンサンとの思い出の写真を ユジンは手にしたかったに違いない。

 写真館のオジサンは言う。

 「フィルムと写真は 男性の方に渡しました。」

 「それは 私と一緒に来た男性ですか?」とユジンが必死に尋ねる。

 「いえ。新郎ではなかったです。」と言うオジサン。

 (凄い記憶力だ!!3年前の1度しか会ってないサンヒョクを覚えているなんて!笑)

 「写真を撮った次の日に 新郎の友人を名乗る男性が取りに来ましたよ。」

 そうオジサンに言われて ガッカリして深くため息をつくユジン。

 ”なんだ・・・おせっかいなサンヒョクが持って行ってしまったのね。”

 そんな風に思って サンヒョクを恨めしく思ったもだろうか (笑)

 ユジンは 写真館の中のソファーを見つけて ハッとする。

 それはあの日、ユジンがウェディングドレス姿で

 新郎のチュンサンと寄り添って座ったソファーだった。

 「私達 奇麗に撮ってくださいね。」と あの日のユジンの声がした。

 そして当時の映像が 霧の中で蘇る。

 ユジンとチュンサンが 仲良く顔を見合わせていると 

 写真館のオジサンは言う。

 「今の感じでとてもいいです。男性は顔を少し左に・・・

  それくらいでいきますよ。はは・・・嬉しいのは分かりますが

  口は閉じてください。撮りますよ。

  良く似たお二人だ。よほど仲がいいんでしょうね。」

 その最後のオジサンの言葉に チュンサンの眉間に皺が寄った。

 「そう?」と何も知らないユジンの 嬉しそうな声。

 「では 撮りますよ。1、2、3。」カシャッと音がして

 シャッターが切られると・・・時間が戻り

 誰も座っていないソファーが その場所に置かれたいた。







 
 そんな風に ユジンが記憶を辿ってボ~としていると

 「あ!!思い出した!!」とオジサンが叫んだ。

 ユジンがソファーから オジサンへ視線を移すと

 「先週、市場で見ましたよ。」と突然 オジサンが言うのだった。

 「誰を 見たんですか?」と不思議そうにユジンが尋ねた。

 オジサンは 笑いながら「誰って・・・ご主人ですよ。」と言う。

 ユジンは驚いて「本当ですか?本当に彼を見たんですか?」と叫ぶ。

 そして ユジンは駈け出して車に飛び乗るのだった。

 ユジンの胸は 希望で大きく膨らんだに違いない。

 チュンサンは やはり韓国へ戻っていたのだ。間違いない。ユジンは確信した。

 ”私が あの最後の海での思い出を大切にしているように

  チュンサンもまた あの海を大切に思っている。”

 そんな熱い想いが ユジンを満たしていた。

 (しかしながら・・・あの海と写真館がそんなに近かったなんて以外!笑)

 
 ”もうすぐ チュンサンを見つけ出せる!”そう思うと ユジンの心は震えた。

 そして急いで車を走らせようとするのだが 震える気持ちは身体にも伝わって

 思うように車のキーが指し込めないで キーを落としてしまう。

 そのキーを拾いながら 先ほど聞いたオジサンの声がした。

 「どうりで見覚えがあると思ったら あなたを見て思い出したよ。」

 キーを拾い上げたユジンは 猛ダッシュで車を発進させた。

 ( 急げ!!もうじき 愛しいチュンサンに会える!!!!!)

 ユジンは 車を運転しながら 写真館で聞いたオジサンの言葉をまた思い出した。

 「だけど、本当にご主人だったのか・・・目が見えない様子だったんです。

  前はそうじゃなかった気がしたんですが・・・。」ユジンの顔が曇った。


 





 そして海辺の市場。沢山の店と人で賑わっている。

 「凄く不思議だよ。」男の子の声がする。

 女の子と一緒の男の子は 貝を指で触って 貝が閉じるのを面白がっている。

 するとチュンサンが その傍を通りかかった。

 「あっちに行ってみよう!」男の子が 後ろの女の子の方を見ながらそう言って

 走って市の中を駆けだすと チュンサンと正面衝突してしまう。

 チュンサンの視界は おぼろげで歪んでいたのだ。

 チュンサンの眼鏡は飛んで 男の子は激しく地面に尻もちをついてしまう。

 「大丈夫?」と女の子が駆け寄ると 男の袖が破れて肘を怪我をしている様子。

 「怪我してる。どうしよう。」と女の子に言われると 男の子は泣きだしてしまう。

 そんな男の子の頭を チュンサンは手探りで優しく撫でて「大丈夫?」と言う。

 「怪我はしてない?」と 男の子の怪我も見えていないのだ。

 そして飛ばされた眼鏡を 手で地面を探っているチュンサンを

 男の子は不思議に思うのだった。すぐ傍にある眼鏡が分からないチュンサン。

 男の子は ”この人は目が不自由なんだ。”そう思ったのだろう。

 泣きやんで チュンサンの顔をじっと見つめるのだった。

 そして男の子は チュンサンの眼鏡を拾って 

 「ここだよ。」と チュンサンの手に差し出した。

 「ありがとう。」とチュンサンはお礼を言って 眼鏡をかけた。

 するとやっと ボヤけてはいるが目の前の景色が見えだした。

 心配そうな男の子に チュンサンはポケットから飴を取り出して

 掌に乗せて「これをあげる。」と 言った。

 男の子は 乗せられた沢山の飴を一気に全部掴む。(笑

 そしてその一つを口の中にすぐに放りこんだ。「いいな。」と女の子。

 その飴をなめると 男の子は満面の笑みでチュンサンを見た。

 チュンサンが 男の子の手を握って立ち上がると 男の子が

 「ありがとう。」と今度はお礼を言うのだった。





 

 そしてその男の子の肩に手を置いて 女の子とも一緒に

 市の中を歩き回るチュンサンだった。

 その時 同じ市にユジンが来ているとは知らずに・・・。

 ユジンは懐かしいこの市に チュンサンの姿を探しにやって来ていたのだ。

 「凄く美味しい。」と言いながら 喜んで歩く男の子。

 「あそこにも 飴がある!」と 駄菓子のお店を覗く子ども達。

 2人の子供と その駄菓子屋を覗くチュンサンの後ろを ユジンが通り過ぎる。

 (なんなんだ・・・この演出!!イライラするなぁ・・・)

 沢山の色とりどりの飴を見ながら 2人の子供は興奮している。

 「いっぱいあるね。」「本当だわ。」

 結局、ユジンもチュンサンも 近くにいながら

 すれ違ったまま・・・出会うこともなく市での時間が過ぎていった。

 

 ユジンは市の外れの家の前で うなだれて腰を降ろしている。

 チュンサンに会えなくてガッカリして ため息をついていると

 「早く来て。」と 目の前を少女が呼ばれて走り去った。

 その後ろを さっきの男の子が通りかかる。

 男の子は 悲しそうなユジンを見て近づいて「あげる。」と

 グーをした手を差し出した。驚くユジンが 手を出すと

 その男の子は 先ほどチュンサンからもらった飴の残りを1つだけ

 ユジンの掌に 笑いながら乗せてあげるのだった。

 そして「お姉ちゃん!」と少女の後を追いかけて行く男の子。

 ユジンは あっけにとられて男の子を見るが

 その子がくれた飴が チュンサンの飴だったとは 知る由もないのだ。

 「早く来て。」と言われながら 駆けて行った男のに微笑みながら

 ユジンは その掌の飴から元気をもらうのだった。

 ユジンが顔を上げて空を見上げると その空は晴れて青く美しかった。

 しかし・・・チュンサンがこの奇麗な空をもう見れていないのかと考えると

 ユジンの心は締めつけらるのだった。ユジンは ギュッと目を閉じた。

 





 ユジンがゆっくり目を開けると そこにいたのは

 サンヒョクとの婚約式のために 美容院の鏡の中にいる自分だった。

 髪を美しく結い上げて 「凄く素敵です。」と美容師に言われ微笑んでいる自分。

 「今 何時?」と尋ねると 鏡の前に置かれた携帯電話が唸り出した。

 そして スモークがかかった記憶の中の自分は

 あの初雪の降った日の 街頭に立っていた。

 サンヒョクの待つ婚約式会場へと 歩き出そうとした瞬間に見つけた
 
 あのチュンサンの姿が蘇る。

 雪が降るのを 嬉しそうに見上げながら歩いて来る あの姿だ。





 ユジンは そのまま固まってしまう。

 だって・・・10年間 ずっと会いたくて仕方なかった・・・

 死んだはずの チュンサンが目の前に現れたのだから・・・。

 大きく見開いたユジンの瞳が 細かく震えている。

 あまりの衝撃に 手にした携帯電話を落としてしまう。

 それも ユジンは全く気がつかないで チュンサンを見つめている。

 「チュンサンガ。」心の中で ユジンはやっと声にする。

 だが その途端、チュンサンは方向を変えて行ってしまう。

 「チュンサンガ!!」ユジンは必死に チュンサンの後を追いかける。

 横断ほどをどんどん渡ってしまうチュンサン。後を追うユジン。

 どんなに頑張って走っても チュンサンには追いつけないユジン。

 チュンサンに向かって手を伸ばすと 車が自分へ向かって突っ込んでくる。

 もう赤信号なのに ユジンが渡ろうとしたからだ。

 トラックに轢かれそうになりながら 「チュンサンガ。」と言うユジン。

 自分は やっぱりチュンサンと巡り合えない運命なの?

 あの時もそう思ったんだった・・・ユジンは 悲しくなってしまう。

 するとトンネルの中を歩いているチュンサンが映し出される。

 その後を 必死に追いかけるユジンがいる。

 「チュンサンガ。・・・チュンサンガ。」そう言って追いかけると

 トンネルを出たチュンサンの姿は まるで煙のように消えてしまうのだった。




 ユジンもトンネルを走りぬけて 外へ出るとチュンサンの姿はどこにもなかった。

 ユジンには そんな幻想が見えていた。

 今 ユジンの目の前には あの日と変わらない海が 

 美しく、明るく輝いているというのに・・・。

 あまりにも輝く海が ユジンには眩し過ぎて・・・

 ユジンは 思わず手で目を覆いたくなった。







 すると 砂浜で遊ぶ子供の声が聞こえてくる。

 子どもたちは 浜辺で砂の家を作って遊んでいるのだ。

 「こんな家に住みたいね。」子どもたちがはしゃいでいる。

 ユジンがその声に振り向くと やはり同じように

 3年間に チュンサンと作った砂のお城を想い出す。

 (あの時作った自分達のお城のほうが 素敵だった!とユジンは思っただろうか?笑)






 チュンサンとユジンが 力を合わせて作ったその砂の城は

 周りで見ていた子ども達が 唖然とするくらい素敵なお城だったのだ。

 そしてユジンは 自分の夢だった”不可能な家”の話を

 その時 チュンサンに打ち明けたのだった。

 「不可能な家?」とチュンサンは聞いた。

 「好きな人の心が 一番素敵な家だと父が言ってたの。

  そんな温かい家を 実際に作りたいの。・・・無理よね?」

 そうユジンが チュンサンに言ったのだった。

 するとチュンサンは「嫌、僕も手伝いたい。」と言ってくれた。

 「下絵は何度も書いたんだけど 設計が上手くいかないのよ。」

 と言うユジンに チュンサンは微笑んで

 「それなら 僕が設計してみたいな。」と言ったのだ。

 ユジンは嬉しくて「約束よ!」と チュンサンに頼んだのだった。

 そんなユジンが 横を向くと自分が立っている。

 今の自分が 過去のユジンを見つめていたのだ。








 そして チュンサンの声がする。

 「ユジナ。僕たち・・・会うのはこれが最後だ。

  あの海の 幸せな思い出を大切にしたいから・・・。
 
  僕たちこれを最後に 良い思い出だけを残そう。」

 そのチュンサンの声を聞きながら ユジンは浜辺を1人で歩く。

 砂浜の中に コインが落ちているのを また見つけてしまうユジン。

 (ここは 本当にお小遣いが稼げる海岸だ。笑)

 ユジンが そのコインを拾い上げて見つめると
 
 またチュンサンの声がする。

 「海は冬なのに コインだけは夏だね。」

 そして ユジンはまたあの日を思い出す。


 ユジンは拾ったコインを チュンサンに見せながら

 「何に使う?」と 笑って尋ねた。チュンサンは

 「そうだな。沢山集めて 船でも買おうか。」と言ったのだった。

 「船を?」と驚くユジに チュンサンは言った。

 「そう船だよ。そして2人で航海に出て 一生帰ってこないんだ。」

 「それでも いつかは帰りたくなるわよ。」そうユジンは文句を言ったのだった。







 あの日のチュンサンの気持ちを ユジンはこの時、再び噛みしめてみた。

 自分たちが兄妹だと あの時のチュンサンは誤解していた。

 それなのに本当は 自分と離れたくなかったチュンサン。

 そしてユジンの願いを叶えたくて チュンサンは結婚式を挙げ 

 そしてここへ2人の思い出を残すために 自分を連れて来て

 そして ユジンに本心をつぶやいたのだった。

 一生、誰にも見つからずに このまま2人で過ごしたいのだと・・・。

 それほど チュンサンは私を愛してくれていたのだと・・・

 今更ながら確認したユジンの目に飛びこんできたものは

 海に突き出した半島の上に 建てられた家・・・。

 ユジンは息が止まりそうになる。・・・あれは・・・

 そう。自分が夢にみていた”不可能な家”にそっくりなのだ。

 朽ちた船に腰かけて 海を見ていたユジンは 慌てて腰をあげて走り出した。

 するとその時 1枚の海の写真が砂浜に落ちた。






 それは マンハッタンのチュンサンの部屋にあった あの写真だった。

 チュンサンは ”不可能な家”を建てる場所を 

 その写真の中にイメージしていたのだろう。

 そしてその写真の風景は ユジンとの思い出の詰まったこの海辺だったのだ。

 ユジンは チュンサンの部屋を訪ねた時に 何かを感じて

 それを持って チュンサンを探し回っていたに違いない。

 そして やはり間違いではなかった・・・そう思って

 ひたすらその”不可能な家”に向かって ユジンは必死に駆けだすのだった。



      
                       後半へつづく・・・。

 


 今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはこみしゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~






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 さぁ!!いよいよ後半は

 実写にスイッチする感動的なラストです(*^_^*)

 頑張ってお伝えしますので・・・

 もうしばらく お待ちくださいね!!

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

  

  


 

 

 

 


 

 

 


 
 
 

      

     

 

 

 

 

 


2010/04/29 22:52
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第25話(後半)

Photo

     BGMが重なって聞こえる場合は 上のタイトルをクリックしてください







  第25話 ≪最初から今まで≫ 後半







 

  ミヒを訪ねに フランスのテレーズ大聖堂にある療養院までやって来たジヌ。

  突然の訪問者、それがジヌということに驚きのミヒだったのだが・・・

  2人は並んで 大聖堂の中庭を歩いている。

  「どうしてここが分かったの?」とミヒがジヌに尋ねた。

  「キム室長に君の居場所を聞いたんだ。」とジヌが答えた。

  ミヒは チュンサンを自分の息子と知ったジヌが 

  チュンサンの行方を心配しているのだと察した。

  「チュンサンの行方は 私にも分からないわ。」とミヒが言った。

  「チュンサンのためではないんだ。君を慰めたかった。」そうジヌは言った。

 (あれ?これって不倫じゃないでしょうか??ジヌ教授、大丈夫ですか??笑)

  「あなたには関係ないわ。」ミヒはそっけなく言うと 先に歩き出した。

  頑ななミヒの 後ろ姿を見ながらジヌは言った。

  「恋に落ちた人の特徴が分かるかい?」

  その言葉を聞いて かなり前を歩くミヒが振り向いた。

  「相手の言葉を信じるということだよ。」

  それを聞いたミヒの表情が変わった。”何を言いたいの?”

  ミヒはジヌの言葉を待った。するとジヌは言うのだった。

  「ヒョンスは 君と別れてからも 君を愛していたんだよ。」

  ミヒは 言葉もなく動けなくなった。





  ここからミヒ、ヒョンス、ジヌの過去に時間は遡る。

  「さぁ撮るわよ!」とカメラを覗いているには ギョンヒだった。

  (あの・・・今気が付きましたが・・・ごめんなさい!!

   ずっと私、ギョンヒをギョンスって書いてた!!大失敗!!笑)

  ギョンヒから見て左がジヌ、中央にミヒ。そして右側にヒョンスがいる。

  ミヒは ポケットに手を入れたヒョンスの腕に手を絡ませていた。

  そう・・・この写真は 高校生のチュンサンが肌身離さず持っていた

  あの白黒写真の撮影風景だ。 驚くことに この3人の写真を撮ったのは

  ユジンの母、ギョンヒだったとは・・・もう絶句・・・(;一_一)





  
  「1、2、3・・・」とカメラを構えるギョンヒに

  「可愛くい撮ってね。」と言っているのはミヒだ。

  「早く撮って!」とジヌがせかす。そしてシャッターが切られた。

  するとヒョンスが言った。「ギョンヒも一緒に撮ろう。」

  「そうだ。今度は僕が撮る。」そう言って ジヌがカメラを構え

  左にミヒ。中央にヒョンス、そして右にギョンヒが並んで写真を撮った。

  (なら なぜこの写真はアルバムに貼ってないんだ??

   普通、この写真のほうが貼ってあるのが普通の気がするんだけど・・・)

  「1,2,3!いいねもう一度。」と言って 何度もシャッターを切ろうとするジヌ。

  ヒョンスの横に立っているギョンヒは 嬉しくて・・・でも緊張した顔だ。

  そんなジヌの視線に 数人の男たちが歩いて来るのが目に入って 手が止まる。

  「ヒョンス、私と一緒に・・・。」ミヒがそう言って ヒョンスを見ると

  ギョンヒがヒョンスの背中の毛玉を取ってあげている。
 
  初めは驚いた顔のヒョンスだが くすぐったいのか笑いだした。

  「仲がいいね。」とジヌが声をかけると「似合ってるか?」とヒョンスが返す。

  ミヒはその光景を見て 眉間に皺を寄せるのだった。

  (当たり前です。ヒョンスはミヒの彼氏なのに・・・ギョンヒってずうずうしい!)



  そして ナムソンの水辺を自転車でヒョンスがミヒを乗せて走っている。

  まるで チュンサンとユジンの二人乗りの光景そのものだ。

  風を切って走る自転車の後ろで ミヒはヒョンスに言った。

  「写真、嫌いじゃなかった?」すると ヒョンスは「何となくさ。」と言った。

  「えっ?」とミヒが驚くと ヒョンスは暗い顔で言う。「特別な日だからさ。」

  「あなたが写真を撮ろうなんて 珍しいわ。」とミヒが言うと

  ヒョンスは 急に自転車を止めた。急ブレーキに 驚くミヒ。

  するとヒョンスは 自転車から降りてミヒに言った。「乗り方を教えるよ。」

  ミヒは「急にどうしたの?」と不思議そうな顔をした。

  「教えて欲しがってただろ?」とヒョンスが 暗い顔のままで言う。

  ミヒは自転車に跨って ヒョンスは後を支えながら練習した。

  「倒れないように 漕ぎ続けろ!」後ろからヒョンスが声をかける。

  必死で漕ぎ続けるミヒは叫ぶ。「それだけ?」

  「倒れそうになった時は そっちにハンドルを切れ。」とヒョンス。

  「あとは?」とミヒが叫ぶ。ヒョンスは 辛い表情のまま

  「漕ぎ続ければ そのうち慣れるよ。」と ミヒを支えながら後ろで言った。

  ミヒは だんだん自転車の漕ぎ方に慣れてくる。

  「走る。乗れるわ。」と嬉しそうに漕いでいる。

  その様子を見て ヒョンスは握っていた手をそっと放すのだった。

  「まだ放しちゃダメよ!」とミヒが言うのだが もうとっくに放している。

    そんなこととは知らずに 嬉しそうに自転車を走らせるミヒに

  ヒョンスは言った。「もう1人で大丈夫だろ?」

  その声に振り向いたミヒは 驚いた。

  ヒョンスは離れた所で立ちながら ミヒを眺めていたからだ。

  後ろを向いて不安定になったので ぐらつく自転車。

  1人だという不安から ミヒはもう漕げなくなって自転車ごと倒れてしまう。

  ミヒが自転車から投げ出され 地面に倒れているというのに

  ヒョンスは 冷たい顔で言う。「僕たち 別れよう。」

  (なんて男!!ひどすぎる!!別れたいにしろ 倒れたミヒに駆け寄って

   大丈夫?くらい言ったらどうだ!!怒)

  地面に座ったミヒは「なんですって?」と聞き返した。

  そして そのまま去って行こうとするヒョンスに向かって

  「嫌よ!別れたくないわ。」とミヒは言った。

  しかし ヒョンスは無視してどんどん背を向けて歩いて行ってしまう。

  ミヒはヨロヨロ立ち上がって、必死にヒョンスの後を追った。

  (惨め過ぎる!!私ならこんな男、石をぶつけてこっちから振ってやる!!)

  「そんな・・・嫌よ・・・。」ミヒは ハアハアしながら追いかける。

  


  場面はここで変わって 街頭の居酒屋なのだろう。

  ジヌとヒョンスが横に並んで ヤカンに入った酒をお椀に注いで飲んでいる。

  ヒョンスは ぐいっと一息に飲んだお椀を テーブルに叩きつけた。

  そして険しい表情をしているヒョンスのお椀に 隣のジヌが酒をまた注ぐ。

  「何か言ってくれ。ミヒから聞いてるだろう?」

  ヒョンスは暗い顔で ジヌにそう言って また一気に酒を飲み干す。





 
  ジヌはまた ヒョンスの空のお椀に酒を注ぎながら言った。

  「ミヒのご両親の反対は 承知だったはずじゃないか。」

  すると今度は ヒョンスがジヌに酒を注ぎながら

  「ご両親のせいじゃないんだ。全部僕のせいだ。」と言った。

  「本心じゃなかったと 今すぐミヒに電話しろよ。」とジヌが言う。

  するとヒョンスは「本心だ。ミヒは将来有望なピアニストだ。

  僕が君のように 優秀だったらな・・・。」とジヌに言うのだった。

  ジヌは「君には絵の才能があるじゃないか。」と言った。

  すると「コンテストでまた落ちたんだ。才能もないし もう時間もない。

  ミヒは僕といるより 君と付き合ったほうがいい。」と言うヒョンス。

 (なんだそれ!!結局、自分に自信がないヒョンスは 

  友人に恋人を譲るつもりだったの??ありえない!!最低!!!)

  「何の話だ?」と 動揺してジヌは聞いた。するとヒョンスは言う。

  「君は ミヒが好きだろ?」

  それが真実なジヌは 何と言ってよいか分からなくて黙ってしまう。

  ヒョンスは 親友のジヌがずっとミヒに片思いだったこに気がついていたのだ。

  ヒョンスとすれば ジヌのほうがミヒにふさわしい男だと思ったのだろう。

  (ええっ??一途に初恋のチュンサンを愛し抜くユジンの父親が

   そんな男であるわけがない!!ユジンの情熱と潔癖さは ヒョンスには

   まったくないではないか!!ユジンはすべてギョンヒに似たというのか?)

  ヒョンスは黙っているジヌに ポケットから取り出した楽譜を渡した。

  (ポケットなんかに折りたたんでいた楽譜なら クシャクシャなはずだが

   アップになった楽譜は とても奇麗なものだった。変!!

   しかしながら この楽譜は本当に正しい楽譜なのだ。それは凄いと思う。)

  「初めて?」とその楽譜を見てジヌが聞いた。

  「僕が口ずさんでいた曲だ。覚えてるだろ?」とヒョンスが言った。

  「君がミヒに贈りたいって言ってた曲か?」とジヌが聞いた。

  するとヒョンスは こっくり頷くのだった。

  ジヌはもう一度 手にした楽譜を見て「初めて・・・」とつぶやくのだった。

  「君からミヒに渡してくれ。」ヒョンスは 暗い顔でそうジヌに頼むのだった。

  ジヌは迷った。酒の入ったお椀に映る自分の姿に”どうすればいいんだ?”

  そう自問自答するジヌだった。




 
  そして場面は現在に戻り テレーズ大聖堂の庭のジヌとミヒ。

  「なぜヒョンスが君と別れ 結婚を急いだのか・・・。

   理由を知っていても 君に言えなかった。

   チュンサンは 父親が君から去った理由を知りたがっていた。

   ヒョンスが父親だと思っていたはずだ。」ジヌがミヒに言った。

  「嘘をついたのは 私よ。」とミヒが言う。しかしジヌは言う。

  「嫌。私がみんなを傷つけた。」そんなジヌに

  「ジヌ・・・。」とそれ以上 言葉にならないミヒがいた。

  「チュンサンにユジン。そしてサンヒョクまで・・・。」

  ジヌは自分のせいで みんなを傷つけたと深く反省していた。

  「私達、どこで間違えたのかしら。」とミヒが言う。

  ジヌが深くため息をつくと どこからともなくオルガンの音が聞こえた。

  そして・・・そのオルガンが奏でる曲は「初めて」だった。

  ミヒは その音色に目を見開いて驚くのだった。

  その「初めて」は 大聖堂のパイプオルガンが奏でる音色だった。

  まだ修復工事の途中の大聖堂で そのオルガンを弾いているのは クロードだった。

  隣に妻のアンヌを座らせて 得意げに「初めて」を演奏するクロード。(笑)





  そしてその「初めて」に導かれて ジヌとミヒは大聖堂にやって来た。

  その教会に入った途端、ミヒは過去の記憶が蘇るのだった。

  それは ヒョンスとギョンヒの結婚式だった。

  「私は 妻キム・ギョンヒを生涯愛することを誓います。」

  ヒョンスがギョンヒの隣で 祭壇の前で神父に誓っている姿が現れた。

  「私は 夫チョン・ヒョンスを生涯愛することを誓います。」

  ギョンヒも神父にそう誓った。

  ああ・・・ならばヒョンスは 本当はミヒを愛しているのに

  ミヒのために別れる道具として ギョンヒを使ったことになる。

  これはギョンヒに対して 誠に失礼な結婚だ!!

  だいたい・・・一番に愛されて結婚できたわけではないのを 

  ギョンヒは 知っていたのだろうか?

  嫌、だいたい最愛でない女性と 地球を10周以上歩くほどの

  デートなんてできるものだろうか??私は この設定には無理を感じる。






  「これでお二人の愛は1つになりました。」そう神父が言った。

  その結婚式を見つめるのは ジヌとミヒのたった2人だけだった。

  ミヒはヒョンスとギョンヒを前にして 教会のピアノで「初めて」を演奏した。

  泣きたい気持ちを堪えながら・・・愛する人がくれた曲を

  愛する人の結婚式で演奏したのだ。 (・・・う~~ん。ありえん!!!!)

  そのピアノを聞きながら ヒョンスはギョンヒの顔を見て微笑むのだった。

  (益々ありえん!!!なんなの??この男!!無神経にも程がある!)

  ミヒのピアノ演奏を ハラハラしながら見つめているのは ジヌだった。

  ジヌにはミヒの辛さが 痛いほど分かったからだ。
  
  
(しかし・・・ジヌはサンヒョクの父親なのだから 

   この時、ジヌにも婚約者がいたはずだ。

   ヒョンスと同じ時期に結婚しなければ サンヒョクは生まれない。

   なんなんだ・・・この設定は???)



  ミヒは ヒョンス達の結婚式の後、入水自殺を図る。

  ”ヒョンスなしでは生きられない”・・・それほど深くミヒは彼を愛していたのだ。

  だから 結婚式を見届けたミヒは もうこの世に未練はなかった。

  湖にどんどん沈んでいくミヒを見つけたのは ジヌだった。

  「ミヒヤ~!!!」大声で叫ぶジヌ。

  それでも泣きながら どんどん入水していくミヒを ジヌは必死で助けたのだった。

  そして 病院へ運ばれたミヒは 駆けつけたヒョンスの顔を見て「ヒョンスヤ。」

  と言って嬉しくて微笑んでいた。”これで私の元へ 戻ってきてくれる”

  そうミヒは思ったに違いなかった。

  しかし そんなミヒをヒョンスは許さなかった。

  (嫌、許せなかったのは自分だったかもしれない。

  こんなにも愛してくれるミヒを捨てた自分が 

  ヒョンスは許せなかったのではないだろうか?

  それとも そんな入水自殺を図る女をヒョンスは怖いと思ったのだろうか?)

  ジヌが止めるのも聞かずに ヒョンスはそのまま病室を出てしまう。

  「ヒョンス待て!」ジヌが大声で怒鳴った。

  すると病室からミヒが裸足で駆けだして ヒョンスを追う。

  「ヒョンス。行かないで!!」ミヒは後ろからヒョンスに抱きついた。

  ヒョンスは苦しそうな顔になって言う。「放せ。」

  「行かないで。」そう泣いてすがるミヒに ヒョンスは冷たく言った。
 
  「君が何をしても 僕の気持ちは変わらないよ。」そう言うと

  「ヒョンス!!」と驚くジヌの前で ヒョンスはミヒの手を

  荒々しく振りほどいて 去って行ってしまうのだった。

  後に残されたミヒは 廊下にしゃがみこんで

  「ヒョンス!!行かないで!!」と叫ぶのだった。

  「大丈夫か?」とジヌが優しくミヒを抱える。

  その様子を廊下に隠れて辛そうに聞いていたのは・・・ギョンヒだった。



 

  そして悲しみにくれるミヒを慰めようと ジヌはミヒを抱くのだった。

  自分の欲望もあったに違いないジヌ。

  しかし自暴自棄なミヒは 優しく包んでくれたジヌに

  結局、身を任せてしまったのだろう。 (この感覚は 私には分からない。)

  夜が明けて 隣で裸で寝ているジヌを見つめるミヒ。




  そこまでの記憶を クロードが引く「初めて」でミヒは思い出すのだった。

  ミヒは驚きながら オルガンに近づいて演奏を聴いていた。

  ミヒの存在に気付いたクロードが 演奏の手を止めた。

  「どうしてこの曲を?」ミヒが聞くと クロードがはミヒの顔を見て

  ポカンとした顔をして驚くのだった。




  クロード親子とミヒとジヌは 修道院の部屋で向かい合っていた。

  テーブルにお茶を用意して クロードがミヒに言った。

  「驚きました。ピアニストのカン・ミヒさんに会えるとは。」

  「素敵な演奏に 私も驚きました。」とミヒが言う。

  「10年前のパリ公演で 感銘を受けて以来、

   この”初めて”は何度も練習したんです。」とクロードが言った。

  「そうですか。」とミヒも嬉しそうに言った。

  「私に奇跡をくれた曲です。」クロードが 感慨深そうに言った。

  するとミヒと一緒にジヌも驚いて「奇跡ですか?」と尋ねた。

  クロードは言う。「この曲のおかげで 出会った人が

  妻と息子を探してくれたんです。」と 隣のアンヌとルイを見て言った。

  それを聞いて微笑むジヌとミヒ。アンヌも嬉しそうに言った。

  「テレーズの奇跡ですね。」ルイも言う。「すべて彼女のおかげです。」

  それを聞いて 興味を持ったジヌは言った。「詳しく話していただけますか?」





  すると部屋の扉を開けて カテリーナが「クロード先生。」と入って来た。

  ノックもしないで扉を開けて そこにお客様がいるので驚くカテリーナ。

  「お話中に 失礼しました。」と謝るのだが クロードが

  「ちょうどユジンの話をしていたところだよ。」と言った。

  ユジンと聞いて ミヒもジヌも驚いた。ジヌが言う。

  「今”ユジン”と言いましたか?」

  「ええ。彼女も同じ韓国人です。」とクロードが答えた。

  (韓国人も何も・・・ユジンなら知ってるに決まってるのだ!!笑)

  「ああ ここに写真があります。」クロードは壁のボードに貼られていた

  あのユジンが母親に送ったものと同じ写真を 2人に見せた。

  大聖堂の前で ユジンを囲んで酒造所の2人のオジサンと

  クロード親子3人とカテリーナのみんなが 明るく笑っている写真だ。 

  「まさか・・・。」ジヌは 心底驚いた。

  そしてミヒはもっと驚くのだった。ユジンが 自分と同じテレーズにいたのだから。


  

  そのユジンは・・・

  お湯を貯めてた洗面所の前で 鏡の自分を見ていた。

  そして右手で右の目を隠してみた。

  目の不自由なチュンサンの感覚を 自分で体験してみたかったからだ。

  そして左目も左手で隠してみる。すると悲しくなって・・・

  ユジンは洗面台の前で 肩を震わして泣くのだった。

  ”今 チュンサンはこんな闇の中にいるんだわ。”そう思うと 悲しかった。

  ユジンの涙が 貯めたお湯の中に零れおちた。

  そして手を放して 鏡の中の自分を見つめるユジンだった。





 
  
その暗闇の影の国から チュンサンを救いだせるのは

  ユジン・・・あなただけなのよ!!

  私はそう言って ユジンを励ましてあげたい。



  
  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはYuちゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~


 

 

  
  
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 さぁ!!今週はいよいよ最終回の26話の放送です!!

 明日は 旅行の準備で忙しいので 

 今日の夕方・・・必死で25話を仕上げました。

 では・・・心おきなくGWを楽しんで来ます(^O^)/

 
  

  

  

 

 

  

  

  


  

  
  

  

  

  

 
  

 


 


2010/04/29 21:30
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第25話(前半)

Photo

    BGMが重なって聞こえる場合は 上のタイトルをクリックしてください






 
マンハッタンの病院で ユジンはジェーンからチュンサンの病状の繊細を聞いていた。

 チュンサンが事故が元で 病魔に侵されていたことなど

 ユジンは 今まで何も知らなかったのだ。

 そして チュンサンがジェーンの手で手術を受けていたことも初耳だった。

 だいたい・・・チュンサンがミニョンとしてジェーンと過ごした過去も 

 すべてユジンは 知る由もなかった。




 ミニョンの友人、ジェーンは ユジンに言う。

 「視神経の損傷状態が すでに手遅れだったの。
  
  少しでも見えていること自体、奇跡に近いのよ。

  でも、私は彼がここまで苦しむとは思わなかったわ。

  視力を失ってしまったら 二度とあなたの元へ戻れないから・・・。

  だから チュンサンは苦しんでたの。・・・ミヒさんも辛そうだった。

  チュンサンが 視力とユジンさんを失ったのは

  自分の嘘のせいだと 自分を責めていたわ。」

 ユジンは驚いた。「嘘ですって?」そうジェーンに尋ねた。

 するとジェーンも驚いて ユジンに言った。

 「2人の父親が同じっていう嘘よ。」

 それを聞いたユジンは激しく机を叩いて立ち上がり 大きな声を出した。

 「嘘ですって?」そして不安になりながら 言葉を続ける。

 「何かの間違いよ。私とチュンサンは・・・兄妹なの。」

 最後は 言いにくそうに震えながら小さな声で・・・。

 それを聞いたジェーンは 本当に驚いた。

 「まだ知らなかったの?ユジンさんとチュンサンは 兄妹じゃないのよ。

  チュンサンのお父さんは・・・」

 ユジンは ジェーンの口から 初めて真実を知ることになるのだった。

 そう。ユジンはフランスでの2年半 チュンサンを異母兄弟だと信じていたのだった。

 それは ユジンが留学に行った後に 真実を知ったサンヒョクが

 父親に真実を ユジンに連絡するようにと言われながら 

 電話をかけずに教えなかったサンヒョクのせいだった・・・。

 

               ここでタイトル

 


           



  第25話 ≪最初から今まで≫ 前半


 
 ユジンはジェーンと並んで エレベーターの中にいた。

 エレベーターが止まって 扉が開くと そこにはチュンサンが立っていた。

 「どこに行くの?」とジェーンが聞く。するとチュンサンは驚くのだった。

 目が見えていないチュンサンは エレベーターの中にジェーンがいるとは

 思わなかったからだ。・・・そして これはジェーンの回想シーンだった。

 過去の術後のチュンサンが 画面に映し出されているのだった。

 チュンサンは 手にキャリーバッグを下げて エレベーターに乗り込もうとしていた。

 「旅行さ。」とチュンサンが言った。ジェーンは「1人じゃ無理よ。」と言った。

 「心配しないで。もう慣れたから・・・。」そう言って チュンサンは

 エレベーターに乗ると ジェーンを無視してエレベーターのボタンを

 手で探って しっかり1階のボタンを押すのだった。






 「今までありがとう。僕の世話で大変だっただろう。」

 チュンサンはそう言うと ポケットに片手を突っ込んだ。

 「僕が帰って来るまで 休暇だと思って楽しんでくれ。」

 チュンサンがそう言うと ジェーンは心配そうに言う。「必ず戻って来てね。」

 「勿論だ。あ・・・これ預かって。」チュンサンは ポケットの中にあった

 部屋の鍵を ジェーンに手渡すのだった。そしてもう一度言う。

 「戻るまでだよ。」それを聞いて「分かったわ。」とジェーンは言って

 その鍵を受け取ると 自分のポケットにしまった。そして言う。

 「そうだ。あなたにプレゼントがあるの。」

 「プレゼント?」と驚くチュンサンの掌に ジェーンは小さな箱を乗せた。

 「これは?」と聞くチュンサンに ジェーンは言った。

 「ユジンさんに 絶対に渡してね。」

 するとチュンサンは困った顔をして「僕は・・・」と言いかけた。

 だが、ジェーンは「ううん。」と言いながら首を横に振って

 「必ず 会って渡すのよ!」と強く言うのだった。

 またまた困った顔になるチュンサンに ジェーンは「約束ね。」と言った。

 そしてため息をついてから言う。「ユジンさん、気に入ってくれるかしら。」






 
 チュンサンはそれを聞きながら 小さな箱の蓋を開けてみる。

 するとその中には」ハート型の可愛いペンダントが入っているのだった。

 それが見えるのか・・・チュンサンは 自分がユジンへプレゼントした

 あのポラリスのネックレスを思い出すのだった。

 自分が公園のベンチにはめ込んだ あの・・・ポラリスだ。




 

 ユジンはジェーンの案内で チュンサンがマンハッタンのビルに借りている

 仕事部屋にやって来た。長い間使っていないのか 埃が溜まっている部屋だった。

 (ジェーンは鍵を預かっているのだから 掃除くらいしてあげればいいものを。笑)

 ユジンは その部屋を隅々まで見回した。

 この部屋で チュンサンは 自分の知らない時間を過ごしていたのだと思うと

 部屋の中にあるすべての物が彼に繋がるようで 愛おしかった。






 
 そしてユジンは 作業台の上の設計図に気がつく。

 チュンサンのスケッチを 手に取って眺めるユジン。

 その上に積もった埃を フ~と息で飛ばして見えてきたのは

 紛れもなく ユジンの”不可能な家”の設計図だった。

 チュンサンは何枚も 何枚もスケッチを残していた。

 そして・・・机の上にはあったのだ。そう・・・”不可能な家”の模型が・・・。

 それは まだ未完成のままの模型だった。ユジンは「あっ。」と声を出した。

 ジェーンが「それきり 彼は消えたままなの。

 どこに行ったのか 今 どこにいるのか・・・。」と ユジンに言った。





 「”不可能な家”は 彼との約束だったの。」ユジンが言った。

 「チュンサンはユジンさんの元へ 戻って欲しかったのに。」そうジェーンは言った。

 ユジンは 部屋の壁のボードに張り付けられた 1枚の写真に目が入った。

 ユジンは その写真を剥がして手に取った。

 それは 青い空と青い海の美しい風景だった・・・。

 あの日、新婚旅行先の2人で過ごした海のように・・・青い海だった。





 「チュンサンは みんなに心配かけて 困った人ね。」

 ユジンは 手にしたその写真を見ながらそう言った。

 そして 明るく言うのだ。

 「でも 私が必ず見つけるわ。世界中を捜しても チュンサンを見つける。」

 ユジンは 覚悟を決めていた。チュンサンを捜し出せるのは 自分しかいないと。

 そして何があろうとも これからは決してチュンサンの傍を離れないと・・・。





 

 ユジンはジェーンと別れて部屋を出て 夜のマンハッタンの街に出た。

 ユジンはマンハッタンから ニューヨークの別の区に向かうのだろう。

 鉄道地図を広げて ユジンは列車に揺られている。

 ユジンの心の声がする。

 ”もう 何も怖いくない。本当よ。チュンサンさえいれば・・・。

  あなたさえいてくれれば・・・。

  でも私 今は正直 怖くて辛いの。

  あなたに会えなかったら どうしようって・・・”

 ユジンは窓に映る自分の姿に 話しかけているようだった。

 嫌、きっとユジンには 窓の外にチュンサンの姿を見ていたに違いない。






 そしてそのチュンサンもまた 列車の中にいた。

 閑散とした列車の中で 1人チュンサンが座っていると

 正面の車両から 親子がこちらに移って来る。

 良く見れば その母親は目が不自由らしく息子の肩に手を添えて

 「お母さんこっちだよ。」と言われながら ゆっくりと歩いて来るのだった。

 それを見てチュンサンは 顔が曇って目を逸らすのだった。

 やはりチュンサンは まだ自分の不自由な目を受け入れられないようだった。






 

 そして晴れたニューヨークのビルの鋪道。

 チュンサンは杖もつかずに 一見、健常者のように歩いている。

 しかしその視界はかなりぼやけて 街はうつろに映るのだった。

 その鋪道に可愛らしい少年が 街頭パフォーマンスで 上手にバイオリンを弾いている。

 その少年を見学する人だかりに ひっくり返した帽子を手に

 チップを催促する野球帽を逆さに被った少年が お礼を言いながら回って来た。

 みんなその帽子の中に 思い思いの額を入れている。

 そして チュンサンの前にも その少年はやって来た。

 チュンサンも チップを入れようとして ポケットのコインを手にするのだが

 帽子に入れようとしたそのコインを見て ためらうのだった。

 そうだ。そのコインは ユジンがくれた両面が表のコインだったのだ。

 (そんな韓国のコインをもらっても 少年は嬉しくない。

  ・・・そういう問題ではないけか・・・爆)

 「これは 私からの贈り物よ。」明るいユジンの声が チュンサンに聞こえた。







 そして時間差で ユジンは同じ少年のバイオリンを聞いていた。

 チュンサンは昼間。そしてユジンは晩になって・・・。

 ユジンは チュンサンと同じ場所にやって来ていたのだ。

 そして野球帽の少年に ユジンはチップをコインではなく、

 気前よくお札を入れてあげるのだった。

 帽子に入ったお札を見て「ありがとう!」と喜ぶ少年。

 ユジンは その少年に優しく微笑んで また別の場所へ去って行く。




 


 そしてフランスのリジュー駅。

 列車から降り立ったのは 何とジヌだった。

 ジヌは妻には チュンサンに会いに行くと思わせて

 実は ミヒに会いにフランスまでやって来ていたのだ。 (いいのかな~??)



 

 そしてニューヨークのケネディ国際空港。(だと思う。笑)

 ユジンは案内板を見上げながら 考え事をしていた。


 ”人生は パズルのようなものかもしれない。

  ただ ゲームのパズルと違うのは

  初めから欠けたピースがある 不完全なものだっていうこと。

  なぜなら 神様が私達にくれた人生は

  ピースの欠けた完成しないものだから・・・。

  あなたが もし 私の欠けた人生というパズルに

  嵌ることのない ひとつのピースだったなら・・・ 

  ・・・私はどうすればいいの?”









 待合所で 老人が新聞で楽しむクロスワードパズルや

 ルービックキューブで遊ぶ少年を眺めながら 

 ユジンは そんなことを心の中でつぶやきながら

 搭乗手続きを済ますのだった。 そして同じ頃・・・

 38番の搭乗口から チュンサンは旅立とうとしていた。

 チュンサンはぼやける視界の中 それでも何も頼らずに

 飛行機に向かって歩いてい行く。

 チュンサンの心の声がする。


 ”不可能な家の設計は 失敗だったよ。

  嫌、最初から 不可能なものだったんだ。

  好きな人の心のような家を建てたいと 君は言ったよね。”

 こうしてお互いに向かって 心の内をつぶやく ユジンとチュンサン。

 神様は 果たしてこの2人を同じ場所に向かわせてくださるのだろうか。

 (私は 2人が乗る飛行機が 同じ便であることを祈りたい。)





 そして飛び立つ前の機内に入ると

 「チケットを拝見します。」と客室乗務員の声がした。

 チケットを見せ チュンサンがゆっくり中に進むと

 荷物を 上の棚に押し込んでいる男にぶつかってしまう。

 膝をついて転んでしまうチュンサンに 客室乗務員が走り寄って

 「大丈夫ですか?」と声をかけた。

 それと同時に ユジンも機内で 転ぶお婆さんに「大丈夫ですか?」と 

 肩に手をかけて支えて 立ち上がるのを手伝っていた。

 お婆さんは立ち上がり 手で”なんでもない”と合図してお礼を言うのだった。

 (ああ・・・ユジンが乗っている飛行機と チュンサンが乗っている飛行機は

 果たして同じ飛行機なのだろうか?? ちょっと違う便のような気もするし・・・。

 やはりそれが とっても気になる私・・・。)





 ユジンが座席に座っていると「いかがですか?」と 

 客室乗務員が新聞を差し出した。それをユジンは手に取って見ると

 紙面にクロスワードのパズルがあった。

 それを見て またユジンの心はつぶやいた。


 ”ひとつずつ埋めていけば 大丈夫よね?

  あなたが 答えなのかどうかが分かるわよね。

  チュンサン。私 頑張るから・・・。

  あなたも 諦めないで!!”

 





 
 そして場面はフランスに移り テレーズ大聖堂。

 その庭で ルイとカテリーナは顔を見合わせて 箒を構えていた。

 2人の持つ箒の間には 白い紙を丸めたボールがあった。

 2人はお互いの動きを探りながら 走ってそのボールを奪い合った。

 「ヤ~!!」と言って ルイの間の前を飛びあがってボールを奪うカテリーナ。

 (なんじゃこりゃ!!カテリーナって 凄く大人しい修道僧だと思ったら

  実は 凄くお転婆な女性だったみたい・・・)

 あまりにもカテリーナの素早い動きに 驚くルイ。(私も驚いた!爆)

 カテリーナは奪ったボールを 上に挙げてから

 思い切りバットを振るようにスイングして ボールを飛ばした。

 すると 大きなバッグを手に持ったジヌの傍に ボールが転がった。

 ジヌはリジュー駅から 1人でこのテレーズに辿り着いていた。

 ”何なんだ?”というような顔のジヌ・・・。(そりゃあ驚くよね。笑)

 カテリーナは ”しまった!”と思って「すみません。」と謝った。

 そして「この子がとんだ御無礼を・・・。」と ルイのせいにして誤魔化すのだった。

 「僕がどうして?僕じゃなくて・・・」と文句を言うルイの口を塞いで

 カテリーナは 強引にルイの頭をジヌに下げて見せるのだった。(笑える!!)

 「謝ってよ!!」と カテリーナは もがくルイの頭を押さえつけている。

 それを見ながら (悪いのはルイじゃないのは分かってる)ジヌは冷静な声で

 「大丈夫です。療養院はどこですか?」と尋ねるのだった。

 「ええっ?」と驚くカテリーナは ようやくルイを放すのだった。

 「カン・ミヒさんが療養されていると聞いて来ましたが・・・。」

 そうジヌは言った。カテリーナが

 「確かに 女性の方が1人いらしてしますが・・・。」と言うと

 「そこに案内していただけませんか?」とジヌは言うのだった。

 すると奥から「何かご用ですか?」と あの怖い女修道院長が現れた。

 女修道院長がジヌの前まで歩いて来ると ジヌが言った。

 「カン・ミヒさんと面会させてください。」

 そして ジヌは女修道院長に連れられて療養院へとやって来る。

 ミヒは 部屋の片隅で膝まづいて 神に祈りを捧げていた。

 もうミヒの髪の毛は 白髪で真白だった。

 みすぼらしい衣装で 床に膝まづく姿は かつての面影は全くなかった。

 ドアが開き 驚いて振り返ったミヒの視線には

 女修道院長の後ろにいるジヌの姿があった。驚くミヒ。

 そして 変わり果てたミヒの姿に 「あっ!」と声をあげて驚くジヌがいた。

 そしてジヌが部屋に足を踏み入れると 2人は長い間 見つめ合うのだった。

 

                      後半へつづく!!
  
 

 
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今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはこみしゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~



 
 
 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 


 

 

 


2010/04/25 17:33
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第24話(後半)

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 第24話 

≪A Winter Shade of Pale~青い影~≫ 

                         後半








 2人の子供に導かれて 

 ポラリスのネックレスのはめ込まれた ベンチに辿り着いたユジン。

 雪が降りしきる中、ユジンはベンチに座って

 そのポラリスのプレートを 泣きながら優しく指で撫でていた。

 間違いなかった。このプレートのネックレスは 

 チュンサンが ユジンのために贈ったものだった。

 落として壊れてしまったネックレスを ユジンがチュンサンに

 直してほしいと あの海の新婚旅行で渡したネックレス。

 ”僕は 永遠に変わらずに君を愛する”そう語る

 チュンサンの愛の証のネックレスだった。

 そして そのネックレスをはめ込んだベンチの意味は

 ”この場所で 僕は君を想う”なのだろうか?

 ユジンは チュンサンの心に触れた気がして

 いつまでもその場所を動けずに 泣き続けていた。

 プレートのポラリスを触りながら

 「チュンサン・・・。」と声に出して ヒックヒック泣いていた。

 すると頭の上から「ユジン?」と自分の名前を聞く 女性の声がした。

 見上げると そこには美しい赤毛の女性が立っていた。ジェーンだ。

 ユジンが驚いて泣きやむと その顔を見てジェーンは微笑んだ。

 ジェーンは一目見て ユジンがミニョンの恋人だと分かったのだろう。

 (この娘は ミニョンの好きなタイプだわ・・・そう思ったのか?笑)

 「ユジンさんでしょ?」とジェーンが言った。

 ユジンは 顔の涙を手でぬぐって もう一度青い目のジェーンを見るのだった。

 (この人は?チュンサンの何??と 内心気が気ではなかったのではないかしらん。)







 
 ユジンはジェーンに連れられて マンハッタン病院へ来ていた。

 病院の廊下をジェーンの後について歩いた。

 なぜか2人とも ポケットに手を突っ込んで歩いている。

 (お互いがチュンサンに関わる女として 意識してるような雰囲気がする。笑)

 ジェーンが振り返って「こちらです。」とユジンに言った。

 ユジンがジェーンの診察室に入ろうとすると 

 手前の部屋で子どもたちの笑い声が聞こえた。

 ユジンがその声の方を見ると 「影絵だよ。良く見て。」と言って

 1人の患者の男の子が 暗くした部屋の壁に映写機の光を使って

 手で形を使った影絵を 友達の患者に見せていた。

 男の子は上手に 指で犬や鳥を作っている。「凄い!」とみんな嬉しそうだ。

 「可愛い。他には?」と言われて 男の子は指で人の足の動きを影にした。

 「ある男が 影の国に行った。」男の子は そう言いながら影を映している。

 するとその子が ユジンの方を向き「ユジナ。」と言うと

 その顔は 高校生のチュンサンの顔に変わるのだった。

 (またまた変な幻想が現れる・・・これ私は苦手だな・・・)

 ユジンの目から 涙が溢れた。

  そこには 高校生のチュンサンが自分と並木道を歩いている。

 「影の国に行った男の話。1人の男が影の国に行ったが

  皆 影だから 誰も気がつかなかったんだって。」

 大人のパジャマ姿のチュンサンが 闇の中で孤独に怯えている映像が出てくる。

 (これは 実写でなくて良かった!と思える本当に変な映像!!)

 「それで・・・男は寂しかった。」そう高校生のチュンサンが言うと

 また 大人のパジャマのチュンサンが 影の軍団の中で怯えている姿が映る。

 (正直 超格好悪い!!)





 

 「あはは」と高校生のユジンが笑う。

 するとまた 真っ暗な中で地面に両手をついて ひざまずき

 うなだれている 大人のチュンサンがいる。

 チュンサンの頭上から スポットライトが当たっている。

 「おしまいだ。」と高校生のチュンサンの声。

 そして暗転。真っ暗な中で ユジンの声だけが聞こえる。

 「影の国で 寂しくならない方法知ってる?」

 すると暗闇の中で絶望していたチュンサンの前に 光が射して

 ユジンの手が差し伸べられる。それに気がつくチュンサンにも光が当たる。

 大人のチュンサンが見上げると そこには高校生のユジンが

 自分に向かって 微笑みながら手を差し出している。

 大人から高校生に戻ったチュンサンは 今にも泣きそうな顔をしている。

 「誰かに影を覚えてもらえばいい。」ユジンの声がする。

 「こうやって。」そのユジンの声に 影のチュンサンは ユジンの手にすがって 

 立ち上がるのだった。2人の影が並ぶ。 (うう~~ん・・・私の趣味ではない演出。)

 








 ジェーンがカーテンを開くと 明るくなった。

 窓の向こうには マンハッタンのビルが見える。

 カーテンを開ける前に ジェーンはチュンサンの病気のことを

 ユジンに話して聞かせたのだろう。そして手術したことも・・・。

 ユジンは離れた場所の机の前に座って 泣きそうな顔で言った。








 「知らなかった。まさかチュンサンが重病だったなんて。

  手術をしなければいけなかったなんて・・・。

  私は 何も知らなかったわ!!」ユジンの心は張り裂けそうだった。

 「ミニョンは あなたに知らせたくなかったんです。

  ああ・・・チュンサンだったわね・・・。彼とは昔からの友達なんです。」

 ジェーンは窓の傍でそう言ってから近づき ユジンの正面に腰かけて

 「影の国の話も 彼から聞いたんでしょ?」とユジンに聞いた。

 ユジンはこっくりとうなずいて 「手術の結果はどうだったんですか?」と聞いた。

 一瞬、ジェーンは険しい顔になり そして悲しそうな顔をした。

 ユジンは 不安になり「チュンサンは 大丈夫ですよね?」と聞いた。

 しかし言葉に詰まるジェーンは 悲しそうな顔をした。

 ユジンの目には 涙が溢れてくる。

 (やはり チュンサンの手術は上手くいかなかったのか?

  ジェーンの腕が悪かったのか?

  嫌、それ以上に難しい手術だったということなのか・・・)





 


 ここから チュンサンの術後の回想シーンになる。

 真っ暗中に ぼんやりと青い光が見えている。

 「青の円、見える?集中して。」とジェーンの声がする。

 チュンサンは 視力の検査を受けていた。

 「見えるかどうか、はっきり言ってちょうだい。」

 そう言われて チュンサンは険しい顔になる。

 「見える?」と言われて 眉間に皺を寄せるチュンサン。

 そして検査台から離れて 検査を拒否するチュンサンは 部屋の中を見回している。

 心配するジェーン。チュンサンの視界には ぼんやりと部屋の様子は見えている。

 しかし頭上の電球を見た時に 眩しくて目が開いていられず 目まいがする。

 「ああ・・・」と声を出して苦しそうなチュンサンに ジェーンは

 「もう一度 頑張りましょう。」と言うのだった。

 うなずくチュンサンは また検査台に顔を近づけて光を見る。






 「何が見える?何でもいいから言って。ぼやけて見えたとしても 

  遠近感の問題よ。視神経は回復したはずよ。」とジェーンが言った。

 「何も見えなかったら?」とチュンサンが言った。ジェーンは 一瞬言葉を失った。

 そして すぐに明るく「経過を見ましょう。血腫は取れたんだし・・・。」

 そう誤魔化して カルテに診断結果を書きこんでいく。

 「視力と引き換えに 命を得たのか?」そうチュンサンが言った。

 「何を言ってるの?」ジェーンは怒った。

 チュンサンは言う。 「1つ得たら 1つ失う。公平だろ。」

 その顔は 何かを憎むような顔だった。

 そして急に立ちあがると また目まいがして倒れてしまう。




 

 

 驚くジェーン。そして倒れたチュンサンは 机の上の天使の像にぶつかって

 その小さな天使が 机の上から床に落ちて 翼が折れてしまう。

 まるで チュンサンの心の翼が折れてしまったように・・・。

 倒れたチュンサンは 茫然として動けなかった。

 「ミニョン!!」ジェーンが叫んで 駆け寄って「大丈夫?」と言うと

 チュンサンは 片手を突き出して”来るな!”と合図した。

 驚くジェーンをよそに チュンサンは1人で立ち上がると

 ヨロヨロしながら歩いてふらつき、窓に手をついてうめき声をあげた。

 ジェーンは「手術して まだひと月よ。焦らないで。」と言う。

 チュンサンは悔しそうな顔で 目を閉じながら

 「医者としてではなく、友達として 正直に答えてほしい。」

 そうジェーンに訴えるのだった。



 






 そして現在のジェーンとユジンに時間は戻る。

 「視神経の損傷状態が すでに手遅れだったの。

  少しでも見えてること自体、奇跡に近いわ。

  でも私は 彼がここまで苦しむとは思わなかった。」とジェーンが言う。

 「そんなに?」とユジンが聞く。するとジェーンは言った。

 「視力を失ってしまったら 2度とあなたの元へ戻れないから・・・。」

 そう言って また席を立って窓に行き ガラス窓に手をついて言う。

 「だから・・・苦しんでたの。ミヒさんも辛そうだった。

  チュンサンが視力とユジンさんを失ったのは

  自分の嘘のせいだと 自分を責めていたわ。」

 それを聞いて ユジンは驚いて尋ねた。「嘘ってなんですか?」

 ジェーンは えっ?というように振り返って

 「2人の父親が同じっていう嘘よ。」と ユジンに言った。

 「嘘ですって?」ユジンは大声をあげた。

 「何かの間違いよ。私とチュンサンは・・・兄妹なの・・・。」

 最後のほうは 声がかすれるユジンだった。

 ジェーンは 心から驚いて「まだ知らなかったの?」と聞いた。

 「ユジンさんは チュンサンと兄妹じゃないの。

  チュンサンのお父さんは・・・」

 ジェーンがユジンに チュンサンの父親の説明を始めたところで 場面は変わる。

 (これで サンヒョクがユジンに真実を知らせなかったことが判明した。

  父親に ユジンに知らせるように言われておきながら

  サンヒョクはそれを無視して やはりユジンには黙っていたのだ。)






 

 そのチュンサンの父親、勿論サンヒョクの父でもあるジヌの家。

 食卓でジヌと妻は 暗い雰囲気で2人きりで夕食を食べている。

 会話もなく、ジヌはうつむきながら箸を動かしてる。

 (ミヒとの過ちを妻が知り、それからというもの針のむしろの様子。)

 「来週は 大学の同窓会だ。言い忘れたが 今年は夫婦同伴だから

  準備しておいてくれ。」ジヌは遠慮がちに そう妻に言った。

 「準備も何も・・・」と妻が言おうとすると 

 ジヌのズボンのポケットの 携帯電話が鳴りだした。

 ジヌは携帯の番号を確認すると いきなり「もしもし、見つかったのか?」

 と電話に向かってそう言った。そして「ちょっと待って。」と席を外して

 妻の傍から離れて 電話の主と会話をし始める。

 妻は表情も変えずに 黙々と食事を続けていた。

 ジヌは手短に話を切り上げて食卓に戻ってくるのだが 困ったような顔をしている。

 「スープ 温め直さないと。」と妻が言った。

 「ああ そうかい? いいやそのままでいいよ。」とジヌは遠慮して言うのだが 

 妻は無視して スープを鍋に戻しながら言うのだった。

 「チュンサンが見つかったんでしょ?それともカン・ミヒさん?」

 「なぜそれを?」とジヌが聞いた。

 「ミヒさんはともかく、チュンサンはあなたと血が繋がってるじゃない。

  会いに行ってちょうだい。」妻は温め直したスープを 夫に差出しながらそう言った。

 そう言われてジヌは 「お前・・・。」と 妻の寛容さに感謝するのだった。

 しかし 妻の表情は硬い。まだ完全に 夫の裏切りを許したわけではない雰囲気。

 それでも 息子のチュンサンに会える喜びは隠せないジヌは

 「お前・・・。」と言いながら 心の中で”申し訳ない”と 詫びていたに違いない。






 

 
 ジヌのもう一人の息子、サンヒョクは チェリンと雪山を車で下っていた。

 サンヒョクが訪ねて来たチェリンを 麓まで送る途中なのだろう。

 それにしても 視界を遮る物凄い風雪が 2人の車を襲っていた。

 サンヒョクは慎重に運転しながら チェリンに「君は一人っ子だっけ?」と尋ねた。

 チェリンは「見るからに 箱入り娘でしょ?」と言う。

 (うん・・・見るからに 我儘な一人娘だ!笑)

 サンヒョクは「ああ。」と返事をして「兄妹が欲しくなかった?」と聞いた。

 チェリンは 「どうかな・・・。」と考えてから

 「サンヒョクみたいな弟だったら いいかも・・・。」と言う。

 するとサンヒョクは「お兄さんじゃなくて?」と聞き返した。

 勘の鋭いチェリンは「なぜ急にそんな話をするの?」と聞く。

 すると サンヒョクは黙ってしまい、急に運転が乱暴になるのだった。

 スピードを増して 降りしきる雪道を走り出すサンヒョクを

 チェリンは不思議に思う。「まさか怒ったの?」とチェリン。

 チェリンは サンヒョクが自分を弟だと言ったことに 腹を立ててると思い

 「仕方がないわ。お兄さんにしてあげる。」と 半分呆れてそう言った。

 すると サンヒョクは言う。「チュンサンは 僕の兄だ。」

 驚くチェリン。サンヒョクは 続けて言う。

 「ユジンと彼は他人だよ。彼は僕の父さんの子なんだ。」

 そう言うと サンヒョクは苦しそうな顔をした。

 チェリンは 言葉を失った。”なんてこと!!ユジンとチュンサンには

 何も障害なんて なかったってことじゃないの・・・。”

 チェリンは 2人が別れなければならなかった根本が崩れたことに

 ショックだったのだと思う。そしてこの時のチェリンは

 そんな2人を 気の毒に思っていたような気がする。

 チェリンはもう ミニョンやチュンサンの想いを 自分の中で整理できているからだ。
 
 しばらく車の中で 沈黙が続き・・・

 「ユジンは?ユジンは知ってるの?」とチェリンが聞いた。

 するとサンヒョクは 首を横に振った。

 チェリンは驚いて「それじゃあ!!」とサンヒョクを責めようとした途端に

 車が雪道でスピードを上げ過ぎて スリップしてしまうのだった。

 (画面はここで暗転になるので いかにも大事故が起きてしまったような演出。)



 

  
 一方、チュンサンにとは兄妹でないと 初めて知らされたユジンは・・・

 ジェーンの診療室の机に いっぱい涙をこぼしていた。

 「なぜ・・・なぜ私に黙ってたの? 知っていたら彼の傍を

  絶対に離れたりしなかったのに・・・一緒にいたのに・・・。」

 ユジンの涙は止まらない。真実を知らなかった自分が・・・悲しかった。

 机の上の翼の折れた天使が ユジンの悲しい叫びに見を傾けていた。




 

 同じ天使は マンハッタンの公園にもいた。

 セントラルパークの噴水の中に 中央に翼を広げて立っていた。

 その噴水に向かって ジェーンは必死に走っていた。

 人だかりがして何かを 不思議そうに見つめている。

 (その人混みの中に はなわ君がいる。ジェーンの左に映っている。笑)

 ジェーンが人混みを掻き分けて前に進むと 

 その大勢の視線の先にいたのは チュンサンだった。

 チュンサンは 噴水の中に入って 両手を広げて噴水の水を浴びていた。





 もう頭からずぶぬれで 噴水の中に立ち尽くしている。

 ジェーンは驚いて 覚悟を決めて自分も噴水の中に入って近づいた。

 「ここで何してるの?」ジェーンは チュンサンの腕を掴んでそう言った。

 すると「ジェーンか?」と チュンサンは振り向いて言う。

 「これで治るよね。ほら、君には見えてるだろう?

  病気を治すために 神様がここに来てるんだ。」

 ジェーンは 子どものようなことを言うチュンサンに 

 「ミニョン!!」と大声で叱るのだった。

 しかし チュンサンは動じない。(この時のチュンサンは 私のイメージではないなぁ。)

 「僕の目も見えるようにしてくれるさ。」噴水から出ようとしないチュンサンを
 
 「やめてよ!」とジェーンは引っ張り出そうとして 腕を掴んでそう言った。

 しかし、その手をチュンサンは強く振り払った。驚くジェーンにチュンサンは言う。

 「今 この僕に必要なのは 奇跡なんだ。君も分かるだろう。」

 チュンサンはそう言って その場を動こうとはしなかった。







 困っているジェーンの後ろから 警官が2人、チュンサンに向かって走って来た。

 頭のオカシイ男が噴水の中にいる・・・そう通報があったのかもしれない。

 警官はピピ、ピー!と警笛を鳴らしながら走って来るのだった。

 チュンサンが奇跡を起こしたいほど 目が見えるようになりたいと

 そう切望していることが分かったジェーンは ただ途方に暮れるのだった。

 ジェーンが知っていたミニョンと 目の前のチュンサンは違う男だった。

 チュンサンという男は それほど純粋に 一途にユジンを愛していたのだった。






 「チュンサンは 今どこにいるんですか?

  彼の目が見えなくたって構わない!今すぐに会わせて!!」

 ユジンは泣きながら そうジェーンに強く迫るのだった。

 ユジンを見るジェーンの目は どこか悲しそうな目をしていた。

 果たして ユジンの願いは叶うのだろうか?

 



 スリップを起こして 結局、道端で止まってしまったサンヒョクの車。

 雪の中を サンヒョクとチェリンは その車の前で並んで立っていた。

 誰かが通りがかったら 助けてもらうつもりらしい。

 「ユジンへの未練があるから 言えなかったんでしょう?」

 チェリンは サンヒョクにそう言った。

 「君なら言えるかい?」逆に サンヒョクが聞き返した。

 するとチェリンは 落ちついた声で言う。「私なら 言えたかもしれない。」

 サンヒョクは「何が2人のためになるのか 分からないんだ。まだ迷ってる。」と言った。

 「サンヒョクは大丈夫なの?」チェリンが優しく聞く。

 サンヒョクは チェリンの顔を見ずに まっすく前を向いて言った。

 「チュンサンが死んだ時から 僕はチュンサンになりたかった。

  ユジンを苦しめずに ずっと一緒にいられるから・・・。

  チュンサンが再び現れた時 どれほど憎く思ったか・・・。

  なんで10年も経って現れたのかって。」

 すると「ごめんなさい。私のせいね。」とチェリンが言った。

 ”私がチュンサンを フランスから連れて来なければ”・・・そう思ったに違いない。

 するとサンヒョクは 首を横に振る。そして空を見上げて言った。

 「そんなに憎かったチュンサンが 兄弟だったなんて・・・。しかも重病なんだ。

  僕に謝る機会をくれなかったら 僕はチュンサンを今度こそ許せなくなる・・・。」

 そう言ったサンヒョクの正面から 車の灯りが見えてきた。

 これで2人は この雪道から脱出できるかもしれない。

 希望の光・・・それは チュンサンにも 訪れるのだろうか・・・。

 



 

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  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはYuちゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~


  


2010/04/24 12:15
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第24話(前半)

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 テレーズ大聖堂の修復を クロード自身が手掛けることになり

 彼に背中を押されて ユジンはチュンサンを捜しに

 ニューヨークへ旅立つ覚悟を決めた。そして荷造りをしているのだが・・・

 傍で見ている親しくなったカテリーナに 荷造りの手を止めて

 「手紙を出すわ。」とユジンが 言った。

 「韓国に帰るの?」とカテリーナが聞いた。

 するとユジンは 首を振って答えた。「ううん。捜してる人がいるのよ。」

 カテリーナが驚いていると ルイの大声が聞こえた。「お姉ちゃん!!」

 そしてドアを開けて入ってくるなり「見つけたよ!!」と言うのだった。

 「何を見つけたの?」と ユジンが聞くと ルイは手にしたラジカセを見せて

 「これだよ。鞄に入ってたテープだよ。忘れたの?」と言った。

 ユジンは あっという顔をした。 (大事なチュンサンのテープだ!!)

 ユジンはカセットをレコーダーに入れ直して スイッチを入れた。

 チュンサンの奏でるピアノの”初めて”の曲と共に 

 「ふふふ 驚いた?遅くなったけど クリスマスプレゼントだよ。

  メリー・クリスマス!!」・・・懐かしいチュンサンの声がした。

 ユジンの封印していたチュンサンへの想いが 

 この時、関を切ったように溢れ出すのだった。

 「誰なの?ユジンさんが 探している人なの?」とカテリーナが聞いた。

 ユジンが「うん。」と頷くと その瞳から涙が溢れて止まらない。

 ユジンは今 心からチュンサンに逢いたい・・・そう思っていた。




 


                         ここでタイトル









 第24話 

≪A Winter Shade of Pale~青い影~≫ 

                         前半


 ユジンからの手紙が 実家の母の元へ届いていた。

 
 ”ママ元気? 私の心配ばかりしてない?

  そしてヒジン・・・

  ママに心配かけてないわよね?”


 その言葉に ヒジンは舌打ちして「よく言うわよね。」と言って笑う。

 ユジンの手紙には 1枚の写真が同封してあった。

 テレーズで知り合った みんなと一緒に撮った写真だった。


 ”今 ここは空港なの。急だけど・・・

  今からニューヨークへ向かいます。

  ニューヨークには・・・”




 これから先の手紙の内容は 紹介されないのだが

 多分、忘れられないチュンサンへの想いが 

 切々と綴られていたに違いない。

 やっぱり どうしてもチュンサンに逢いたい。

 だから 彼を捜しにニューヨークへ行くことにしたのだと・・・

 正直者のユジンなら そう母に手紙を書いたような気がする。




 
 韓国のソウルは 雨だった。

 チンスクと暮らした ユジンのアパートでは・・・

 歩行器に乗った可愛い赤ちゃんが 「キャハハハ。」と笑っている。

 その横で TVに向かってゲームをしているのは ヨングクだ。

 ヨングクは 足で歩行器を前後に揺らしながら

 手ではTVゲームを器用に操作して ゲームに熱中している。

 「よし!行け行け!! そこだ~!!いいぞ!!」

 化け物を 剣を振りまわして退治するようなゲームを 大の男が必死だ。

 「よし・・・これでどうだ!! やったぜ!!」

 赤ん坊は その画面に手を伸ばしながら 笑っている。

 「パパと遊べて 嬉しいか?うふふ・・・」とヨングクは 赤ん坊に聞いた。

 そうなのだ。この赤ん坊は チンスクとヨングクの子どもらしい。

 「雨の日は キムチチゲが食べたくなるな。どうだ?」

 ヨングクは チンスクに向かってそう叫んだ。

 しかし、チンスクはうんともすんとも返事をしない。ヨングクは心配になって

 ゲームを中断して 台所にいるチンスクの元へ歩いた。

 チンスクは 流し台の前で泣いていた。そのうち大声をあげて泣き出した。

 驚いたヨングクは「どうした?」と チンスクの肩を抱くと

 チンスクは 手紙を読みながら号泣しているのだった。

 「ユジンからか?・・・何があった?」とヨングクが聞いた。

 すると チンスクは泣きながら

 「ユジンが・・・ユジンが・・・」と 言うばかりで訳が分からない。

 居間の赤ん坊は ゲーム機のリモコンに触りたくて ジタバタしている。

 ヨングクにせかされて チンスクがようやく話しだした。

 「ユジンが ニューヨークにいるって。」と また泣いている。

 「ニューヨークの何が悲しいんだ?」と ヨングク。

 すると チンスクはヒックヒックしながら・・・

 「だって・・・私は新婚旅行も済州島だったのよ。」

 と恨めしそうに 夫のヨングクを睨むのクだった。




 
 ヨングクはチンスクの涙が 悔し涙だったことを知って

 海外旅行に連れて行ってやれなかった自分に 妻が不満なのかと

 上を向いて”どうしよう・・・”と言う困った顔をした。

 するとテレビの方から「わ~!!」という叫び声と ガシャンという音がした。

 2人は「ジヒョン 大丈夫?」と 慌てて赤ん坊の元へ走るのだった。

 ジヒョンという赤ん坊は 多分リモコンに手を伸ばして届かずに

 歩行器ごと ひっくり返ってしまったに違いない。

 台所の床には チンスクの手から落ちた ユジンの手紙があった。



 

 

 雪の降るニューヨーク。自由の女神も寒そうに雪をまとっている。

 ニューヨークの雪景色の中に ユジンの独り言が聞こえる。
 
 「何かの本で読んだの。ニューヨークは 心の置き所を失った異邦人を

  包み込んでくれるって・・・。

  過去を思い出す暇もないほど 時が過ぎるのが早いって。」

 ユジンは ニューヨークのマンハッタンにあるチュンサンの会社を訪ねていた。

 ニューヨークでは チュンサンはイ・ミニョンだった。

 「イ・ミニョン理事は すでに辞められています。」と言われてしまった。

 ユジンは会社のあったビルを出て 雪が舞い落ちるマンハッタンの街に 

 うなだれてうつむいている。しかし、降り注ぐ雪にユジンは気がついて上を向いた。

 右手を差し出して 雪を受け取るユジン。

 ”チュンサン。あなたは 今 どこにいるの?”ユジンの心は叫んでいた。

 ユジンは めげずに一生懸命 チュンサンを捜す。

 チュンサンの住所を訪ねたが 彼は引っ越していた。

 
(なんで住所を知ってたのかな?)

 「彼の引っ越し先は知りませんか?」と聞いても

 「分からないわ。」と答えが返ってくるだけだった。





 地下鉄の中で 携帯電話をするユジン。

 
(アメリカの電車の中では携帯してもいいの?)

 「キム次長も 去年辞めてて 携帯番号も変わってる。」

 その声の主は チョンア姉さんだ。

 「そうなの。」とがっかりしてユジンが言うと チョンアは

 「そろそろ韓国に帰ってきたら?仕事に復帰してよ。」と言うのだった。

 ユジンはそれには答えられなくて 地下鉄の窓に映る景色を見ていた。(真っ暗!笑)

 チョアン姉さんは ポラリスのオフィスで電話をしていた。

 「年俸、いくらなら戻って来る?」とチョンア。

 「悪いけど 私は高いわよ。」とユジン。そして ユジンは言った。

 「ところで サンヒョクと連絡が取れないんだけど、何かあった?」

 そのユジンの質問に チョンアは驚いて

 「今まで 一度も電話してないの?サンヒョクは テレビ局に移動になったのよ。」

 チョンアが電話をしながら オフィスのテーブルで広げていたのは 写真だった。

 それは チョンアがスキー場の仕事場で写してもらった

 ミニョンとキム次長とユジンと一緒に 4人が仲良く笑っている写真だった。

 その写真の横には ユジンがフランスから送って来た 

 エッフェル塔をバックにした ユジンの笑顔の写真があった。




 そしてまたその下には チョンアがヨングクとチンスクと愛犬と一緒に写した写真がある。

 「知らなかったわ。」とユジンの声が聞こえて 画面に映し出されるのは 

 無精ひげを生やしたサンヒョクが 雪山で仕事をしている写真だった。

 「最後に電話したのは かなり前だから。」とユジンが言う。

 サンヒョクがラジオの仕事から テレビの仕事に移ったなんて 初耳のユジンだった。

 (こんなことって 実際にあるのかな?????ラジオとテレビなんて

  全く違う仕事だって思うけどな・・・不思議だ!!)

 「サンヒョクの新しい電話番号を教えるわね。」 そうチョンアの声がした。




 

 その当のサンヒョクは ラジオとは全く違う分野なのに

 しっかりテレビのディレクターをこなしているようだった。(器用な男だ!)

 とある雪山で サンヒョクはテレビの仕事をしていた。

 「カメラテストです。」と声がして カメラマンがカメラを回してる。

 その傍で、俳優陣に囲まれたサンヒョクが スケジュール表を手に支持を与えている。

 「今日の撮影は ここまでです。」そう言って 今度はスタッフの方を向いて

 「山を降りよう。明日 早朝に再開だ! 像王峰の撮影も明日だ!

  お疲れ様でした!!」と 声を張り上げた。

 すると スタッフは緊張が解けて 和やかに片づけに入りだす。

 「ご苦労さん。テープをしまって。」と スタッフに支持していると

 「ちょっと!!キム・サンヒョク!!」と 聞き覚えのある大声がした。

 サンヒョクが振り向くと そこには息を切らせて 雪の中を

 ヨロヨロ歩いてくる チェリンの姿があった。

 「チェリン。なぜ君が?」と驚いていると・・・

 チェリンは 雪の上を歩くのが慣れていないらしく

 あのお洒落なチェリンが 物凄いガニ股の変な格好で歩いて来るのだ。

 「この”オデ山の四季”って 1年あれば撮れるんじゃなかったの?」

 と大声で文句を言いながら ヨロヨロ歩くチェリン。めちゃくちゃ可笑しい。

 「何年撮ってるのよ。」と言いながら ハァハァ息も絶え絶えなチェリン。

 もうその姿が可笑しくて サンヒョクもスタッフも みんな大笑いだった。

 サンヒョクがチェリンに近づいて 手を差し伸べて

 「どうしてここが分かったの?」と聞くと チェリンはその手を拒んで

 「テレビ局で聞いたわ。」と言うのだった。

 そして「捜すの大変だったわ。」と文句を言うチェリンを

 「分かった。」と言って サンヒョクは優しく抱えながら 雪の山を登っていく。

 「靴の中まで濡れちゃったじゃないよ~。」とチェリンが サンヒョクに甘える。

 (うん・・・なかなか良い雰囲気です。笑)

 雪はまだまだ降り積もるのだが・・・

 サンヒョクもチェリンも心の中は 新しい季節を迎えているようだ。

 




 一方、チュンサンの足取りが掴めない ニューヨークのユジン。

 1人でホテルの部屋で眠りについている。

 しかし、知らないマンハッタンの街を探し回って 

 それでも チュンサンのことが分からないのが苦しいのか・・・

 なかなか寝付かれなくて ユジンは目を開けてしまう。

 その瞳に映るのは カーテンの開いた窓。

 そしてその外の ビルに舞い落ちる雪だった。

 ユジンは起きあがって 目をこすりながら窓の傍にやってくる。

 そして窓を開けようと 固い窓枠を力を入れてこじ開ける。

 ようやく開いた窓から 冷たい雪風が部屋に入り込む。

 それでもユジンは寒さを忘れて 窓から顔を出して 空から降る雪を眺めるのだった。





 摩天楼の暗い空の上から 雪は激しく自分に向かって降って来る。

 ユジンは仰向けになって 窓から首を突き出した。

 ”雪だ・・・雪だ・・・。この雪をチュンサンも見てるの?”

 ユジンは雪に向かって 心の中で叫んでいた。

 ”私はここにいるのよ!! あなたに逢いに 私はここにいるのよ!!

 ・・・この雪を あなたも見てるの?ねぇ・・・チュンサン・・・。”

 
 ごめんなさい。””の中は いつものように 私の想像です(笑)

 

 

 サンヒョクとチェリンは 雪に囲まれた山の寺にいた。

 寺の縁側に腰をおろして 2人は話をしていた。

 「ヨングクとチンスクの結婚式以来だな。」とサンヒョクが言った。

 「あの2人。必死だったわね。」とチェリン。「何が?」とサンヒョク。

 チェリンは腕のストレッチのように 腕を伸ばしながら言った。

 「ユジンもチュンサンもいなくて しんみりしてる私達を

  盛り上げようと 頑張ってくれたんじゃない。」

 「そうだったのか。」とサンヒョクが うつむきがちにそう言った。

 その様子を 横眼でチェリンは見て「ユジン、どうしてるかな?」と言った。

 風が寺の屋根に飾られた風鈴を鳴らす。

 「フランスに行く度に 気になってたの。」とチェリンが言った。

 「チュンサンは?」とサンヒョクが聞いた。

 「忽然と消えたわ。親子で失踪したのかな・・・。」とチェリンが言う。

 「何のこと?」驚いたサンヒョクが聞く。するとチェリンは言った。

 「お母さんの秘書だったキム室長に頼まれたの。

  チュンサンとお母さんの居所が分かったら 連絡してって。」

 それを聞いたサンヒョクは 立ち上がってどこかへ歩いて行く。

 ”チュンサンが消えた・・・しかも親子で・・・。”

 チュンサンが異母兄弟と知っているサンヒョクは やはりショックだったのだろう。
 
 するとまた風が吹いて 寺の風鈴が優しく鳴った。


 

 マンハッタンのユジンは 雪も上がった翌日に 公園を散歩していた。

 ユジンが暗い顔で歩いていると また頭上から雪が降ってくる。

 ユジンは空を見上げた。そして掌を出して 雪を受け止めた。

 ユジンが後ろを振り向くと その公園の街路樹が

 春川のナムソンの 雪の積もった並木道に変わってしまった。

 「ユジナ。」懐かしいチュンサンの声がした。

 ユジンが驚いて 周囲を見渡すと 声だけが聞こえる。

 「何が可笑しいの?」とチュンサン。

 「昔、パパとママも こうやってデートしたんだって。」と自分の声だ。

 すると 自分が笑いながらチュンサンと向こうから歩いて来るのだ。

 (この幻想シーンは変だと思う私。まだ高校時代のデートのシーンが良かった。)




 「ただ歩いたの?」「うんお金がなくて でも離れたくなくて 

  それでぐるぐる歩いたんだって。」 微笑んで見つめ合いながら 

 ユジンの前を歩く2人を ユジンは必死で追い求めた。

 「距離にしたら 地球10周以上じゃないかな・・・。」

 そう話すユジンと一緒に歩くチュンサンは 追いついたユジンの身体を

 まるで幽霊のように 透明になってすり抜けて行ってしまう。

 「どんなお父さんだったの?」チュンサンの声がして・・・

 すり抜けたチュンサンを振り向くと 今度は高校生のチュンサンが

 紅葉のナミソンの街路樹の中を 自転車に乗っている。

 「ユジナ!」元気なチュンサンの声がする。

 ユジンは 泣きながらそのナミソンの湖の前の道を走って

 自転車に乗る学生服のチュンサンを 必死で追いかける。

 追いかけているうちに ユジンも高校生の自分になっていた。

 1人で自転車を漕ぐチュンサンの後ろ姿を 

 長い髪の 高校時代の制服姿のユジンが追いかけている。

 それでも 振り返らずにどんどん走って行ってしまったチュンサン。

 ユジンは息が切れて 足が止まり、ハァハァと苦しそうだ。

 するとまた 女学生の自分から 今の自分へ戻っている。 (変な演出!)

 ユジンが ハァハァ手を膝に当てて息をしていると 遠くで子どもの声がした。

 「そんなベンチがあるの?」「本当にあるんだ。びっくりするよ。」

 小さな女の子が 男に手を引かれて 仲良く歩いて来る。

 「僕を信じて。」と女の子に笑いながら 歩くその男の子。

 ユジンはその可愛いカップルを眺めて そして背を向けて歩き出した。

 「見たの?」「勿論だよ。」「本当?」可愛いカップルはユジンの方へ歩いて来る。

 「本当にあるんだよ。星のネックレスなんだ。」「どこなの?」

 小さな2人は手を繋ぎながら ユジンを通り越して走っていった。

 「1時間は探してるよ。みんなに嘘つきだってからかわれちゃう。」

 走りながら 女の子が文句を言っている。

 「絶対に見つけてみせるから。」と 男の子。

 ユジンは その会話に出てきた”星のネックレス”に興味を持った。




 
 「この辺かな・・・いや・・・。」

 どうやら男の子が探しているのは ベンチにあるプレートのようだ。

 「あった!星だ!!」女の子が叫んだ。「ほら本当だろ?」と男の子。

 2人の幼いカップルは 1つのベンチの前でしゃがみこんで

 ベンチに貼られたプレートを 嬉しそうに眺めていた。

 「すごく奇麗!!」と女の子は 感激して見入っていた。

 ユジンもそのベンチに近づいて そのプレートを見て驚いた。

 なんと そのベンチに貼られたプレートには

 チュンサンがユジンへ贈った あのポラリスのネックレスがはめ込まれていたのだった。






  「今度迷ったら ポラリスを探して・・・。

  ポラリスは 絶対に動かないよ。どんな時も 同じ場所にある。」

 愛しいチュンサンの声が ユジンの中で鐘のように鳴り響いた。


                  後半へつづく

 

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  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはこみしゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

  

 

 

 

 

 
 

 

 

 


 


2010/04/20 14:04
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第23話(後半)

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  第23話 ≪初恋Ⅱ≫ 後半





 
 テレーズに来る途中、列車の中でユジンの鞄を盗んだルイ少年と再び巡り合って、

 仲良しになり そのルイの助けを借りて

 テレーズ療養院の過去の職員名簿から クロードの恋人探しを始めたユジン。

 最後に残ったマリアンヌを訪ねて 療養所に来たのだが

 どうも彼女が クロードの恋人ではないらしい。

 すると 傍で話を聞いていた車椅子のお爺さんが 突然「ジョアンのことか?」

 と聞いてきた。お爺さんは 以前、テレーズ療養院にもいたことがあったのだ。

 ”ジョアン”・・・それは以前、クロードが事務所を初めて訪ねたユジンに

 テレーズの修復作業をしてみないかと誘って 乾杯した時に口にした名前だった。

 「ジョアンに完敗!」その言葉を 思い出したユジン。

 (凄い記憶力だな・・・。私ならとっくに忘れるな・・・。)

 ユジンが クロードを知ってるのかと聞けば お爺さんはそんあ名前は知らないが

 ジョンと一緒にいた バカ男なら知っていると言う。

 ユジンは バカ男で”クロードのことだ”とピン!とくるのであった。(本当か?爆)

 「ジョアンという名前は?その名前は名簿にありませんでしたが・・・。」

 ユジンが お爺さんにそう言うと お爺さんは聞いた。「何の名簿だい?」

 「看護婦さんの名簿です。」とユジンがいうと お爺さんは

 「看護婦だと?ジョアンは患者だったんだよ。」と言うのだった。

 ユジンは驚いて「患者ですか?」と 不思議そうに尋ねるのだった。




 
 

 一方、礼拝堂で寝ていたというルイが読んでいた”凱旋門”の本から

 その少年が恋人ジョアンと関係があると直感して ルイの元へ急ぐクロード。

 しかしながら 自分の車はパンクしているので 

 クロードは トラクターを借りて運転していた。

 (本当は 格好つけつけマンのクロードは こんなトラクターなんて

  普段は絶対に乗らない男だろう。しかし 今はジョアンに会いたくて必死なのだ。)

 気は急ぐというのに ゆっくりと進むトラクター。クロードは運転している間

 自分とジョアンの過去を思い出していた。










 それは自分が視力を失って テレーズ療養院に入ったばかりの頃だった。

 「誰ですか?」クロードは 自分に近づいて来た女性に向かってそう言った。

 「僕に何か?」ベンチに座り、本を開いていたクロードは 彼女にそう言った。

 「変わった趣味ですね。」と女性は言う。「えっ?」とクロード。

 「本を逆さまに読むなんて・・・。」と女性は言うのだった。

 クロードは「本は読んでないんです。」と言うと 女性は彼の隣に腰かけて

 「だったら なぜ持ってるの?」と聞くのだった。クロードは

 「読んでいるかのように 見せかけているんです。」そう言った。

 「なぜ?」と彼女が聞く。するとクロードは 言った。

 「目の見えない役立たずの男より、馬鹿と思われるほうがいいんです。」

 それを聞いて「それじゃ 作家が悲しむわ。私が読んであげる」そう彼女は言って

 クロードの手から本を奪った。「看護婦さん?ボランティア?」と

 クロードが尋ねると 彼女は「ジョアンです。」と答えた。

 「ジョアンですか?」と クロードは彼女に微笑んで

 「じゃあ、僕はラヴィック?」と言うのだった。

 そう それは”凱旋門”の中の登場人物 主人公ラヴィックと

 恋に落ちる女優の名前が ジョアンだったからだ。

 (凄いな・・・本の中の女優の名前を名乗るなんて・・・自信家な女だな)

 ジョアンは笑いながら 「どこを読みましょうか?」と聞いた。

 「お好きなところをどうぞ。」とクロードは言った。

 すると ジョアンはページをめくり読み始めた。

 「”ラヴィックは 入口に近いテーブル席に座った。

  何かの時には すぐに逃げられるから。

  カルバドスを2つウェイターに注文した。」


 このジョアンと名乗る女性が クロードに近づいたのは

 やはり 最初から彼女はクロードに好意があったからなのだろう。

 なぜ 彼女がクロードを好きになったのか・・・??

 私の想像では この女性は夢見る乙女で・・・

 ”凱旋門”の物語も熟知していて その主人公、ラヴィックに

 すでに 恋していたのかもしれない。

 そして本の中の登場人物のような熱い恋をしてみたい・・・

 そう常々思っていたのではないだろうか・・・。

 そしてその本をいつも携えていた クロードに関心を持った・・・

 そんなところではないかと思う。


 

 

 療養所のお爺さんは言う。

 「あまり知られていなかったが、彼女も視力を失いつつある身で

  事実を隠してたんだよ。時には周りの助けを借りてな。」

 「どうして?」とユジンが聞いた。「なぜ隠したの?」とルイも聞く。

 「すべては 彼を励ますためさ。若いのに 希望を失っていたからな。

  おかげで 彼は少しずつ変わり始めたのさ。」お爺さんはそう説明した。

 「ジョアンも目が見えないのに どうやって本を?」ユジンが不思議そうに聞くと

 お爺さんは遠い目をして「ジョアンは読書が好きだった。」と言うのだった。


 


 
 療養院の中庭のベンチで 仲良く一緒に腰かけるクロードとジョアン。

 ジョアンは 本を手にして読んでいる。

 「”マリアは祈ることで 神様に救いを求めているのだ。”」

 「僕が好きなフレーズだ。引いた線が見えるだろう?」

 クロードは ジョアンにそう聞いた。

 しかし、ジョアンが手にしているには 自分の点字の”凱旋門”だった。

 しかし「ええ。見えるわ。」と嘘を言った。

 「昔は 目が見えたのに・・・。」とクロードは言う。

 「今日は ここまでにしましょうか。」とジョアンは言った。

 そして本を閉じると 自分の横に置いてあったクロードの本の後ろに

 自分の点字のその本を そっと置いた。

 すると クローがジョアンに何かを手渡すのだった。

 ジョアンが驚くと それはクロードが作った木彫りのマリア像だった。
 
 「ちゃんと作りたかったのに 下手だろ?」とクロードが言う。

 「いいえ。庭の聖母マリア像とそっくりだわ。」とジョアンが言った。

 するとクロードは 穏やかな声で言った。

 「僕は 手術を受けることにしたよ。これで3回目で もううんざりだけど。

  ジョアンのために もう一度勇気を出してみるよ。」

 それを聞いたジョアンは「よく決心したわ。」と言った。

 「手術が失敗して 目が見えないままでもいい。」とクロード。

 「希望を持ちましょう。手術が成功したら もっと上手に作ってね。」

 ジョアンはそう言って 木彫りのマリア像をクロードに返すのだった。

 クロードはそれを受け取って「分かった。」と言った。

 すると急に ジョアンが「街に出ない?」とクロードを誘った。

 「街に?」と 不安そうに言うクロード。

 ジョアンの横ではクロードの ”凱旋門”が 風にページをめくられている。

 そしてジョアンは クロードの手を引いて街に出た。

 「私の手を離しちゃダメよ!」そう言って ジョアンは自分も目が見えないというのに

 どんどん人混みを掻き分けて ジョアンは進んでいく。

 (凄いな・・・ほんのちょっとは見えてるのかな?笑)

 クロードはジョアンに手を引かれて 嬉しくて微笑んでいた。

 ジョアンが連れてきた場所は ”凱旋門”の中に出てくるような居酒屋だった。

 2人はカウンターに並んで腰かけた。クロードはジョアンに言った。

 「院長にバレたら大変だ。」「お祭りだもの。いいじゃない。」とジョアン。


  ジョアンは意外に大胆な女だったのね。(笑)

  でも、もしもクロードの目が見えるようになったら

  自分は彼の前から去るつもりで この頃からいたのだろう。

  だから 最後にクロードとの思い出を作っておきたかったのだろう。

 

 「何飲む?」とジョアンが聞くと クロードは「カルバトスを2つ。」

 と まるで小説の中のラヴィックのように注文するのだった。

 「2人で街へ出て カルバトスを飲むなんて・・・」とジョアン。

 「本当にラヴィックになった気分だ。抜け出して良かった。」

 そうクロードは言うと グラスを手探りで手にする。

 「乾杯しましょう。」とジョアンが言う。

 「ジョアンに乾杯!」とクロードも言って 2人はグラスを掲げ

 ジョアンが必死に クロードのグラスに自分のグラスを勘でぶつけるのだった。

 (凄いなぁジョアン!!)

 そして 2人は仲良くカルバトスを飲むのだが・・・

 うつむいたジョアンの目から涙が零れ その涙はグラスの中へと落ちて行った。

 (ああ・・・可哀そうなジョアン。クロードに手術を受けさせるために

  自分も目が見えないことが 最後まで言うことができなかったんだね。)

 






 ユジンたちに ジョアンとクロードの物語を話し終えた療養所のお爺さんは 

 遠い目をして「昔のことだ。君たちのおかげで思い出したよ。」と言った。

 すると お爺さんの後ろに立っていたルイが お爺さんの前に回りながら
 
 「お爺さん。ジョアンの本当の名前は何なの?」と 慌ててそう聞いた。

 「教えて!!」と懇願するルイを ユジンは不思議に思って

 「ルイ。急にどうしたの?」と聞いた。お爺さんは ゆっくりとした口調で

 「ジョアンの本名は・・・ (早く言え!!)と言おうとすれば

 ルイが「もしかしたら アンヌじゃない?アンヌでしょ?」と言う。

 すると お爺さんは驚いて「なぜそれを知ってるんだ?」と言った。

 ユジンも驚いていると 視界にクロードの姿が入って来る。

 いつの間にか クロードはトラクターで療養所まで辿り着いていたのだった。

 だが、ユジンとマリアンヌとお爺さんには クロードが見えるが

 お爺さんの正面で向かい合っているルイには クロードが見えなかった。

 「クロード先生。」とユジンが声をかけると ルイは振り向いた。

 そして ルイが長い間 ずっと会いたくて仕方なかった 

 父親の姿を そこに見つけたのだった。

 父はルイの”凱旋門”の本を手にして そこに立っていたのだ。

 クロードもまた ルイを一目見て自分の息子だと分かったのだろう。

 2人は 言葉もなく、ただ暫くの間 見つめ合うのだった。

 



 ルイの母、ジョアンことアンヌは 祭りの人混みを杖をついて歩き

 思い出の居酒屋までやって来ていた。

 そしてピエロの格好をした 酒造所のオジサンに

 「何にしますか?」と聞かれ「カルバドスを2つ。」と注文するのだった。

 「連れの方が?」とオジサンが尋ねると 

 「見えませんか?私の隣の男の人が。」とアンヌが言う。

 えっ?と驚くオジサンに アンヌは言った。「ラヴィック 懐かしいわね。」

 不思議そうに見つめるオジサン。 (不思議というより 気味が悪かったかも・・・笑)

 オジサンがお酒を用意しに奥へ消えると アンヌの前にグラスが2つ運ばれた。

 アンヌが グラスに手を伸ばして一口飲んだ。すると懐かしい声がした。

 「シールド割りだ。カルバトスと相性がぴったりなんだ。」

 そして その声の主は アンヌの手に 木彫りのマリア像を持たせた。

 アンヌは驚いて そしてそのマリア像の顔を指先で撫でた。

 「上達してないだろ?」と男は言う。アンヌは その男の正体が分かって

 声を震わせながら「庭の聖母マリア像とそっくりだわ。」と言った。








 そして「ラヴィック。」と言って クロードの方に手を伸ばした。

 しかし目が見えないので なかなかクロードに触れられない。

 だが、クロードが 彷徨うアンヌの手を しっかり掴むのだった。

 そして アンヌの手を握って「会いたかった。」と言うクロード。

 その言葉に アンヌの目からは涙が溢れて

 「私も・・・会いたかった。」と言うのだった。

 それを見ていたユジンも もらい泣きをしてしまう。

 ルイは 幸せそうな顔で両親を見つめてた。

 酒造所のピエロの2人は 感激して抱き合って泣いている。

 大聖堂の女修道院長と カテリーナもそこにいて

 手を会わせて祈るカテリーナの横で 女修道院長も もらい泣きをしていた。

 アンヌは サングラスをかけたクロードの顔に手を伸ばし

 サングラスを外して「見せて。」と言って 顔を触って言うのだった。

 「会いたかった。」2人は 互いに触れ合って 恋しい人を確認するのだった。



 

 大聖堂に戻ったクロードは 礼拝堂の中でユジンと向き合っていた。

 「君はクビだ。」とクロードが言った。

 「”心のこもった家を建てたい””心を込める方法を知りたい”

  と言ったな。2年間 色々教えてきたが、今日分かったよ。

  私がやってきたことは 真似ごとに過ぎないと。

  私を待っていたテレーズから ずっと逃げ続けていた私が

  ここに込められた想いを語る資格はないよ。

  ましてや 心の込め方なんて・・・」そうクロードは言った。

 「先生。」ユジンは 困った顔で言う。

 「私が過ちを犯したという事実が 教えとなればいいな。

  同じ過ちを繰り返すな。そして逃げるな。

  もつれた糸は 解くべきだ。」クロードは 優しくそう言った。

 ユジンは クロードが何を言いたいのか 分かっていた。

 「彼が望まなくてもですか?」と ユジンは聞いた。

 すると クロードは言う。

 「解けないのなら 切る覚悟も必要だよ。次へ進み出すためだ。」

 「どうすればいいのですか?」とユジンは途方に暮れて言った。

 「君のおかげで ジョアンに会えた。ここでの責任は私が果たす。」

 クロードはユジンに 彼を捜しに行きなさい・・・そう教えたのだった。





 

 雨が降っていた。窓の外の雨を 虚ろに見つめている女がいた。

 それは ミヒだった。ミヒはカテリーナの療養院の中にいた。

 (やっぱりね~!!ビンゴ!!私の勘って凄~い。自画自賛・・・笑)

 チュンサンに拒絶されたミヒは 悲しみに暮れながら

 この療養院で チュンサンの目が見えるようにと 必死に祈り続けていたに違いない。

 祈ることで 息子に犯した自分の罪を 神の前で償い続けていたのだろう。








 ユジンは テレーズから旅立つ準備をしていた。

 トランクの中に着替えを詰め込んでいるのを 傍でカテリーナが見つめている。

 その手を止めて「手紙を出すわ。」とユジンが 言った。

 「韓国に帰るの?」とカテリーナが聞いた。

 するとユジンは 首を振って答えた。「ううん。捜してる人がいるのよ。」

 カテリーナが驚いていると ルイの大声が聞こえた。「お姉ちゃん!!」

 そしてドアを開けて入ってくるなり「見つけたよ!!」と言うのだった。

 「何を見つけたの?」と ユジンが聞くと ルイは手にしたラジカセを見せて

 「これだよ。鞄に入ってたテープだよ。」と言った。

 ユジンは あっという顔をした。(あらま!大事なチュンサンのテープじゃないの!!)

 「僕がこのレコーダーで聞いたまま 入れっぱなしにしててさ。」とルイ。

 「失くしたかと思ったわ。」とユジンが レコーダーごと受けと取って言った。

 「その後 誰かがレコーダーを使ったみたいで ずっと見当たらなくて・・・。

  お姉ちゃんが帰ると聞いて 焦ったよ。やっと見つけた。。」

 ルイは ユジンにそう言った。「大事な物なの?」カテリーナが聞くと

 「聞いてみる?」とユジンが言う。この時、ユジンは無償に聴きたかったのだと思う。

 チュンサンの声を ユジンがどうしても聴きたかったのだ。

 カテリーナが聞いてみたくて「うん。」と頷いた。





 ユジンはカセットをレコーダーに入れ直して スイッチを入れた。

 チュンサンの奏でるピアノの”初めて”の曲と共に 

 「ふふふ 驚いた?遅くなったけど クリスマスプレゼントだよ。

  メリー・クリスマス!!」・・・懐かしいチュンサンの声だった。

 ユジンの封印していたチュンサンへの想いが 

 この時、関を切ったように溢れ出すのだった。

 「誰なの?ユジンさんが 探している人なの?」とカテリーナが聞いた。

 ユジンが「うん。」と頷くと その瞳から涙が溢れて止まらない。

 ルイとカテリーナは驚いて 「ユジン。」と泣きじゃくるユジンをなだめるのだった。

 ユジンを心配するルイの「大丈夫?泣かないで。」の声は 

 別の部屋で読書をしていた 女修道院長の耳にも届いた。

 それを聞いた女修道院長は ふっと笑みを浮かべるのだった。

 ユジンにも 会いたい男がいたのね・・・と察しての笑いだったのだろうか?







 そしてクロードは ジョアンことアンヌと一緒に 雨の中を相合傘で歩いていた。

 アンヌはクロードの腕を っかり握りしめて寄り添っている。

 アンヌが濡れないように 傘をさしかけるクロードも

 幸せそうに声を出して笑っていた。 (熟年カップルお幸せに~!!)

 2人が再会できた居酒屋では 2人のピエロが酔いつぶれて眠っていた。(爆)


 




 

 「ああ嫌な天気だわ。」ヒジンが 取りこんだ洗濯物を抱えてそう言った。

 「出かけたかったのに。」そう言って 母親に洗濯物を渡した。

 ユジンの母ギョンスは 洗濯物を黙々と畳んでいる。

 「雨がやまないね。」とヒジンが 母につまらなそうに言うと

 「雨の日に出かけるのもいいわよ。」と母は言う。

 「そうかな・・・。」とヒジン。そして少し考えて 良いことを思いついたように

 「ねぇ2人でお酒を飲まない?」と 母に言ってみる。

 厳格な母親は 怒ったように「お酒を?」と言うが ヒジンは

 「いいでしょ?私ももう大人よ!だからママがお酒を教えてよ。」と言い返した。

 その言葉に 母の顔はほころぶのだった。

 「嫌なら 映画を観るのはどう?ママと観たい映画があるの。」と ヒジン。

 ヒジンは 本当に良い娘に育ったものだ。(笑)

 そこへ「郵便です。」と声がした。ギョンスは それが何の手紙だかすぐ分かって

 微笑むのだった。そして大事そうに手紙を持って 居間に戻ってくる。

 母が嬉しそうに手紙を持っているので ヒジンもすぐ分かって

 「お姉ちゃんでしょ?見せて!」と言って 2人で寄り添って手紙を開くのだった。

 そこに書かれていたのは・・・

 ”ママ元気? 私の心配ばかりしてない?

  そしてヒジン・・・

  ママに心配かけてないわよね?”

 その言葉に ヒジンは舌打ちして「よく言うわよね。」と言って笑う。

 ユジンの手紙には 1枚の写真が同封してあった。

 テレーズで知り合った みんなと一緒に撮った写真だった。





 ”今 ここは空港なの。急だけど・・・

  今からニューヨークへ向かいます。

  ニューヨークには・・・・・・・・・”


 ユジンは 韓国にいる家族へ 切々と想いを綴っていた。

 ・・・”私は チュンサンに会いたいのだ”と・・・。
 






 今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはYuちゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~

 

 
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 はぁ・・・長かったユジンのフランスでのお話・・・(;一_一)

 ただ ミヒがテレーズの療養院にいることだけは 

 視聴者には分かって良かったですね(*^^)v

 ユジンは まだ気がついてはいませんが・・・(笑)

 これから 希望のある未来へ向けて動き出しそうです。

 では 引き続き24話の紹介ができるように

 髪の毛を振り乱して 頑張ります(爆)

 では・・・チュンサンの登場の24話を どうぞお楽しみに~(^O^)/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 
 


 

 
  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2010/04/18 18:46
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第23話(前半)

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 「心配しなくても 私がテレーズに行く必要はありません。

  ユジンによろしく!!」そう言って 

 建築家のクロードは電話を切って ため息をついた。

 自分は その地には足を踏み入れたくない・・・

 クロードの悲しい記憶が残る空間が テレーズだったのだ。

 クロードは 机の一番上の引き出しを開けて

 中に仕舞いこんでいた マリア像を取りだした。

 それを目の前に置いて クロードは言った。

 「ジョアン。俺に姿を見せろとでも言うのか?

  ”マリアは祈ることで 救いを求めているのだ。”」

 それだけ言うと クロードは一気にグラスの酒を飲み干した。そしてまた言う。

 「俺が救われて、君が消えるとは・・・。」







 ここでクロードが想っている彼女はジョアンだということが分かり

 先週の22話で 名簿の最後に残ったマリアンヌとジョアンが同一人物なのか

 とっても気になるところだが・・・本心、チュンサン目当てでこのアニメを見てる

 この私には どうでもいいことに思える(笑)クロードさんごめんなさい!!




 

 一方、ユジンからの依頼の仕事を しっかりこなしているルイ少年。

 名簿に載った名前の女性を 片っぱしから訪ねて

 最後に残ったのがマリアンヌだと ユジンに報告しに来ていた。

 そしてルイ少年は 外は暗いからこの場所で本を読みたいと思い

 この礼拝堂で 一晩過ごしたいとユジンに頼んだ。

 「また”凱旋門”を読むんでしょ。」とユジンがルイに言う。

 するとルイは 微笑んでその”凱旋門”の本をユジンに見せるのだった。

 「内容を覚えてしまいそうね。」と 呆れてユジンが言った。
 
 すると 少年は本を大事そうに 両手で持ってこう言った。

 「お父さんが 好きな本だ。母親が毎日読んであげたらしい。」

 (先週も書いたが・・・ルイ少年の母親は目が不自由なはずだが・・・

  と疑問に思うのだが、この回後半でその謎は解ける!お楽しみに!!笑)

 「お父さんが恋しくない?」そうユジンが聞いた。

 すると 少年は頬を膨らませてす ねるように

 「子ども扱いするな。」と横を向いて言った。

 しかし ユジンは「私は 今でもパパが恋しくなる。」と言うのだった。

 それからしばらくして ルイが礼拝堂で眠りについた頃、

 誰かがやって来て 礼拝堂のパイプオルガンを弾き始める。




 
 その音楽は心地の良い美しい音色なのだが

 やはりいくらなんでも 夜中にオルガンの音がしては寝ていられない。

 ルイ少年も 目が覚めた。そしてその人影に驚いてしまう。

 そして少年は 慌ててその場から逃げ去ろうとした。

 ユジンには断って侵入していたが やはり修道院の人間に見つかれば

 怒られると思ったのだろう・・・。

 そして慌てて走るルイは 修復工事で組まれた

 足場の階段に足を取られて転びそうになる。 

 ルイは転ばなかったが、その階段が倒れてしまい

 その階段が 足場自体にぶつかって 足場全体がガラガラ崩れだした。

 その足場の崩壊を見ながら ルイはその場を必死で逃げだすのだった。


             ここでタイトル



 


     第23話 ≪初恋Ⅱ≫ 前半

 

 一夜明けたテレーズ大聖堂。

 そこは足場が倒れて 礼拝堂の修復現場はめちゃくちゃな状態だった。

 足場の材木は窓を壊して はめ込めれていたステンドグラスまでが

 床に粉々に砕け散っていた。

 「誰がやったんだよ!」工事のスタッフが大騒ぎで 窓を見上げていた。



 
 机を挟んでユジンと 女修道院長が向かい合って座っている。

 ルイの仕業だと分かったユジンは 女修道院長の前で頭を下げて謝っていた。

 「申し訳ありません。何としてでも 修復しますので。」

 「どうやって?」女修道院長は眉を吊り上げて 厳しい声でそう言った。

 「方法を探します。」とユジンが言うと 女修道院長は怖い顔で

 「奇跡が起こらない限り 壊れた物は元に戻りません!

  あなたには 今後任せられません!」そう女修道院長は言って 立ち上がり

 「クロードが来たら 彼に責任を問いますから

  ユジンさんは 工事から外れてください。」と言うのだった。

 「でも・・・」ユジンが 困ってお願いしようとしても

 女修道院長は無視して その部屋から出て行ってしまった。






 女修道院長に事故の話を聞いて クロードは仕方なく車を走らせて

 テレーズに向かっていた。それは真っ赤で派手な オープンカーだった。

 その派手な車で 風を正面に受けながら クロードの顔は暗かった。







 ユジンは 作業スタッフに向かって

 「今日の作業は中止です。お祭りを楽しんでください。」言った。

 「嬉しいね。」スタッフは その言葉に喜んで解散して行った。

 彼らを見送って ため息をつくユジン。

 カテリーナが 心配そうに近づいて来たので ユジンは

 「心配しないで。何とかなるから。」と言って背を向けて歩き出した。

 「どこへ行くの?」カテリーナが 驚いて聞くと 

 ユジンは振り向いて「マリアンヌに会いに行かなきゃ。」と言った。

 「彼女が クロードさんの恋人だといいんだけど。」ユジンがそう言うと

 聖母マリアの奇跡だと信じたいカテリーナは

 不服そうな顔をしているので ユジンは言った。

 「カテリーナさん。奇跡が存在するなら 今こそ起きて欲しいわ。」

 するとカテリーナは胸で十字を切って 手を合わて祈るのだった。(アーメン!)

 




 一方、テレーズに向かっているはずのクロードは・・・

 空をいまいましそうに見上げている。・・・なぜだ??(笑)
 
 実は 格好いい真っ赤なオープンカーが パンクしていたからだった。

 クロードは腰に手を当てて どうしようもなく その場に佇んでいた。

 その道には 他には誰の人影もなかった。車も通る気配がない。

 クロードは車に八つ当たりをして その赤い車を蹴飛ばした。

 そして 仕方がないと覚悟を決めて サングラスをかけて

 肩に上着を格好良く担いで 車を捨てて歩き出した。

 その日は 良く晴れた気持ちの良い日だった。 (何か良いことがあるかも!)

 テレーズ大聖堂のあるリジューの村では 祭りで賑わっていた。

 道端では アコーディオンに合わせてトランペットを吹いている

 (アコーディオンとトランペットって・・・凄い組み合わせだ!!笑)

 その音楽に合わせて 女たちは民族衣装をまとって

 楽しそうに フォークダンスを踊っている。こうして 広場は大賑わいだった。





 酒造場で働いている例の髭男は 今日はピエロに扮して

 お客さん相手に 造場の酒を振る舞っていた。

 もう1人の隣のピエロは あの優しい酒造場主のオジサンだった。

 その賑やかなお祭りに迷い込んでしまった 場違いのクロード。

 しかし彼はお酒を見ると その髭男に酒を振る舞われた

 見知らぬ男のグラスを横取りして 知らん顔で飲み干してしまった。

 上を向いて飲んでいると 肩の上着が地面に落ちた。

 その様子を 酒造場の髭男は苦々しい顔で見ている。

 髭男は クロードをなんてずうずうしい男だと思ったのだろう。

 優しい酒造場のオジサンも クロードの登場に驚いた顔だ。

 オジサンは クロードの顔を覚えていたに違いない。


 そんな賑やかな祭りの片隅で ルイの母親は地面にタロットカードを広げていた。

 ルイの母親は やはりプロの占い師のようだ。

 そのルイの母親のいる細い通りを クロードは歩いていた。

 ルイの母親の正面のパン屋の前で 彼女の写真を撮ろうとした男が

 カメラを覗いたまま下がって来たので 危うくクロードにぶつかりそうになった。

 男をよけたクロードは ルイの母親がめくろうとしていた

 タロットカードを踏みつけてしまった。しかしクロードは気が付いていない。

 ルイの母親が必死に引っ張るのだが 踏まれたカードはめくれない。

 クロードが歩きだすと足が外れて ルイの母親はカードがめくれた。

 そして 引いたカードは・・・列車の中で ユジンも引いた・・・

 あの骸骨が杖をついてい不気味なカードだった。

 そのカードをまじまじ見つめるルイの母は 目が見えるのだろうか??

 (目が見えないとしたら どうやってカードの絵柄を知るんだろう?不思議だ!!)

 


 ユジンは自転車を引いて 坂道を登っていた。

 すると坂の下の道を うなだれて歩くルイの姿があった。

 ユジンが気がついて坂を下るのだが、

 ルイがそれに気がついて慌てて逃げ出すのだった。

 ユジンは怒って 自転車にまたがって 追いかけようとする。

 しかし下りの坂道は 運動神経のないユジンには無理だった。(笑)

 スピードを増す自転車に怯えて「ルイ!ルイ!!」と助けの声を上げて

 結局 ルイを通り越して坂をビュンビュン下って行ってしまった。

 ユジンは怖がって ワ~ワ~大声で叫んでいる。

 ルイは驚いて「お姉さん!! 気をつけて!!」と叫んだ。

 ユジンは 猛スピードで下る自転車に 恐怖で顔を引きつらせている。

 「あ・・あ・・・お母さ~ん!!」と叫んだと思うと 石に車輪がぶつかって

 とうとう自転車がひっくり返って ユジンも飛ばされてしまった。

 それを一部始終見ていたルイは ユジンが飛ばされる瞬間に目をつぶった。

 車輪が空回りして転がっている自転車の傍で

 ユジンはうつ伏せになって倒れている。

 ルイは坂を慌てて走り下りて ユジンの元までやって来た。

 「お姉さん!大丈夫??」大声で声をかけて ユジンの肩を揺するルイ少年。

 ユジンは肩目で それを確かめると いきなり起きあがって

 「ワッ!!」とルイを驚かせた。「捕まえた!」とユジンは笑って

 ルイ少年の肩に手を置いた。まるで追いかけっこで鬼をつかまえたように・・・。

 「大丈夫?血が出てる。」とルイは まだユジンを心配していた。

 血と言われて ユジンは「血?どこ?」と不安になる。

 見ればズボンが破れて 膝から血が流れていた。

 (あらま・・・まるで子供がするような怪我・・・でも、痛いわよね。笑)







 クロードはテレーズ大聖堂に到着して

 呆れた顔で 壊れたステンドグラスを見上げていた。

 ”なんでこんなに壊したんだぁ?”と内心思うのだったが

 それでも ユジンを庇おうとしするクロードは

 「これしきで大袈裟な・・・。」と 後ろの女修道院長にそう言った。

 すると怒った女修道院長は クロードのかけていたサングラスを奪い取って

 「”大袈裟”?」と言って睨みつけるのだった。

 クロードは 仕方なく設計図を広げて説明する。

 「いずれ窓も修復します。割れたステンドグラスは ちゃんと弁償しますよ。

  勿論、出来る限り元の状態に修復します。

  弁償額については それからでいいでしょう?」と言うクロード。

 (多分、ステンドグラスは高額だと思う。クロード事務所大ピンチ!!笑)





 「話はそれだけ?」女修道院長は まだ怒った顔で言う。

 「これ以上 話もないし、祭りにも興味はないですから。」

 クロードはそう言うと 腕時計を見て「この辺で帰ります。」と言った。

 女修道院長は「少しでも問題が起きたら 工事の担当は」
  
 あなたに替わる約束だったのをお忘れですか?」と クロードを責めた。

 「誰が?私がですか?」と大袈裟に驚くクロードは 笑いながら

 「契約書には書いてませんよ。」と 憎まれ口を利くのだった。

 女修道院長は 益々眉を吊り上げて怒って言った。

 「契約書ごときを口実に 神様の前で責任逃れをするつもりですか?」

 クロードは「今も この工事の責任者は私です。ただ 代理人を置いただけです。」

 と言って 女修道院長が取りあげられたサングラスを奪い返して 

 それを胸ポケットに入れた。そしてルイが寝ていた敷き物の傍まで来ると

 「見ず知らずの少年が起こした事故だ。私のせいじゃない。」と言った。

 「彼をここに入れたのは 紛れもなく・・・」その先はユジンと

 言おうとした女修道院長に向かって クロードは言った。

 「夜中にパイプオルガンの演奏とは・・・一体誰が?」

 その質問には答えられない女修道院長は カテリーナの方を向いた。

 ”あなたが ちゃんと見張っていないからよ!”というような態度だった。

 カテリーナは 両手の人差し指を合わせて横を向く・・・。

 ”そんな・・・私は知らないわぁ”といった感じだ。(笑

 そのルイの寝ていた敷き物の上に何かを見つけたクロードは それを拾い上げた。

 それは ルイが大事に何度も読み返していた本だったのだが

 始めは事故の砂埃で 本の表紙が見えなかった。

 クロードはその本の埃を手で払うと 

 現れた表紙は 作家レマルクの”凱旋門”だった。

 そして驚いて その本をめくってみると

 ”マリアは祈ることで 神様に救いを求めているのだ。”という箇所に

 アンダーラインが引かれていた。それを見たクロードの表情が変わった。

 クロードは裏表紙を開いてみた。するとそこに刻まれていた名前は・・・

 ジョアンだった!! これは元々は クロードの本だった。

 彼が闘病中に ジョアンにプレゼントした本だったのだ。






 「ジョアン・・・。」クロードは そうつぶやいた。

 それは ずっと忘れられない恋人の名前だった・・・。

 ワナワナ震えだすクロードは 女修道院長の方を向き

 「なぜこれが?・・・一体 誰がこの本を?」と尋ねた。

 カテリーナが「それは ルイが・・・」と答えた。

 「ルイ? 今どこにいるんだ?」クロードは 昂る感情の中でそう聞いた。

 


 ルイはどこにいるかといえば・・・

 自転車で転んだユジンと一緒に マリアンヌを訪ねて療養所に来ていた。

 ユジンは怪我をした膝を そのマリアンヌにちゃっかり手当てしてもらっていた。

 それをルイは 車椅子のお爺さんと一緒に 傍で見ていた。

 ユジンは 膝の怪我を手当してもらいながら 

 しっかりクロードのことを尋ねていた。「では・・・痛!!」

 ユジンが 治療の痛みを堪えながら マリアンヌに言った。

 「あなたは 覚えていらっしゃらないんですね。」

 すると マリアンヌは言った。

 「療養所の規則では 患者が男性の場合、同年代の女性が看病しては

  ならないことになってるのよ。」「そうですか。」とユジンが言う。

 「ボランティアも 昔 中年女性だったわ。」と マリアンヌが言うと

 ルイと一緒に傍で聞いていた 車椅子のお爺さんが

 「ジョアンのことかね?」と聞いてきた。

 ユジンは お爺さんに顔を向ける。ルイも驚いて「ジョアン?」と口にした。

 ユジンは その”ジョアン”という名前を聞いて 思い出したことがあった。










 初めてクロードの事務所に行った時に クロードがユジンに言った言葉だった。

 ユジンにテレーズの修復工事をするようにと 勧めたクロード。

 しかし、そんな大きな仕事を任されても自信がないユジンに

 「これが運命なら?」そう言って クロードはユジンにグラスの酒を勧めた。

 そして 自分もグラスに酒を注いで 自分のグラスをユジンのグラスにぶつけて

 「ジョアンに乾杯!」と言ったのだった。

 あの時は ジョアンの意味が分からなかったユジン(私も!)だったが

 今 ここで”ジョアン”という名前を聞いて 興味を持ったユジンだった。

 マリアンヌは お爺さんを見て

 「そうだ!お爺さんもテレーズで療養してましたよね。」と言った。

 お爺さんは言う。「足がこうなってからは ずっと療養院生活だよ。」

 ユジンは お爺さんに良く聞こえるように 大きな声で

 「クロードさんを知りませんか?」と 聞くのだった。

 あまりにも大声だったので お爺さんは耳を指で触りながら

 「そんな大声でなくても 聞こえるよ。」と言った。(笑)

 ユジンはすまなそうに「すみません。」と謝まるのだった。

 「クロードという名前は知らないけど・・・

  ジョアンといつも一緒にいたバカ男なら知ってるよ。」









 
 
バカ男・・・馬鹿な男・・・(@_@;)

 クロードは このお爺さんに馬鹿って思われたんだ!(爆)

 こうしてお爺さんの記憶から クロードとジョアンの過去が語られる。

 その中身と感動の結末は 後半につづく!!


 

 

  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはこみしゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~



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 ごめんなさい!!色々立てこんでいまして・・・

 すでに 24話の放送があったのにも関わらず

 まだ23話の後半が手つかずです(>_<)

 明日とあさってで 何とか頑張りますので・・・

 後半は もうしばらくお待ちくださいね!! 

 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 
 


 

 

 

 


 

 


 
 


2010/04/10 15:47
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第22話(後半)

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     第22話
 ≪初恋≫ 後半





 建築家のクロードに任されて ユジンは大聖堂の復元の仕事で

 テレーズ大聖堂にやって来ていた。

 夕方到着した早々に、下見を済ませて 夜になっても作業場の机に向かって

 必死に設計図を描いていたユジンの耳に どこからか 女のすすり泣く声が聞こえた。




 ユジンが部屋の扉を開けてみると 真っ暗な廊下の向こうから やはり泣き声がする。

 ユジンは怖くなって 慌てて扉を閉めた。 胸の前で手を合わせるユジン。 

 そして、気を取り直して ユジンはまた机の作業に戻った。

 ”大丈夫・・・何でもないわ。”

 気にしないように 必死で鉛筆を走らせるのだが・・・

 やはり聞こえてくる 不気味なすすり泣きの声に 

 「ああ・・・」と声を出して ユジンは両手で耳を塞いだ。

 そして”やってられないわ!誰が泣いてるのか確かめてやる!!”と思ったのか・・・

 ユジンは ため息をついて立ち上がると 真っ暗な廊下を勇敢に歩きだした。

 廊下に響く 女のすすり泣き・・・背中がゾクッとするユジン。

 しかしユジンんは 勇ましかった!!(きっとお化け屋敷は平気な人種に違いない!)

 眉を吊り上げて 恐怖心を抑えながら ユジンは廊下を進んで行った。

 そして廊下の壁の電気のスイッチに手が触れたので 必死にスイッチを押してみる。

 しかし・・・廊下の電灯は 点灯する気配がなかった。

 (やはりここはホラーの世界なのだろうか??笑)

 ユジンは電気がつかない廊下を また勇気を出して 泣き声に向かって歩いてゆく。

 (凄い!!・・・オバケは苦手な私は 絶対にここで引き返してる・・・。)

 そしてユジンは 階段にたどり着いた。泣き声は階段の上から聞こえてくる。

 女子修道院長が言っていた 2階の突き当たりの角部屋にその声の主はいるのだろう。

 ユジンが階段を上がろうか迷っていると 遠くから灯りが光るのを見つける。

 それはぼんやりと灯りながら ユラユラ揺れてこちらに近づいて来る。

 足音共にその光が近づくと その光はユジンの顔の前で止まった。

 不気味な光に やっと恐怖を感じたのか・・・

 急に眩しくなったユジンは 怖くてそして驚いて目をつぶっった。

 そして・・・目を開けて見ると それは心配そうな顔をしたカテリーナだった。

 (オバケでなくて)安心したユジンは ほっとして力が抜けて座り込んでしまう。

 ユジンの部屋に 一緒に戻ったカテリーナは ユジンの話を聞いて笑いだす。

 思いっきり笑われて 面白くないユジンは カテリーナの差し入れのお菓子を

 バクバク食べている。それに気がついたカテリーナは

 「笑ったりしたら 失礼だったわね。」と まだ笑いながら言った。

 「驚いたんだから。」と ユジンが不満そうに言うと

 「なぜ食事に来なかったの?」とカテリーナが尋ねた。するとユジンは

 「忘れてたわ。」と言うのだった (凄い集中力!!) そして眉をしかめて

 「あの人、夜中によく泣いてるの?」と聞くのだった。

 カテリーナは「さぁ・・・よく分からないわ。」と言うのだった。

 ユジンは胸を手で押さえて「本当に怖かった。」と言い、そして何かを思い出したように

 「これを見てくれる?」と 何か本のようなものをカテリーナに見せて

 「さっき キャビネットの中に見つけたの。」と言った。

 カテリーナは それを手に取って見ながら

 「療養院で働いてた人たちの情報ね。」と言った。

 「事務所に電話して聞いたら クロード先生が休業したのは1990年だって。

  カルバトスも1990年だったわ。そうだ!!”お酒以上の意味がある”

  って言ってたわ。」とユジンが言った。


 ここで私は あのユジンが中年クロードに強引に飲まされたお酒が

 カルバトスだったとうことが やっと分かった。なんてお馬鹿さんな私~(笑)


 「1990年のカルバトス?」何のことだか分からないカテリーナは不思議そうに聞く。

 「話すと長いわ。」そう言って ユジンはその古いノートをめくった。


  私は そのカルバトスがユジンの操を汚さなかったかが まだ心配だ!!

  でも ユジンのあっけらかんとした様子からすると・・・

  中年男に操は奪われなかったような感じで・・・とても嬉しい。

  良かったねチュンサン!!と心の中で思う私であった。

 

 ユジンはノートに何かを見つけて 指さしながら「見て!」と言った。

 「しかも20代は6人だけなの。」と名簿を指し示した。

 「捜すつもりなの?」と 呆れた顔でカテリーナは言った。

 するとユジンは「先生を助けたいの。この仕事も先生のおかげだから。」

 そう言うユジンに カテリーナは「見つかったらどうするの?」と聞いた。

 「さぁ。その時に考えるわ。」とユジンが 明るく言った。

 こうして ユジンのカテリーナ大聖堂での 1日目は暮れて行った。





 

 翌日は良く晴れた空が広がっていた。

 リジューの村の酒造場は 多くの人間が忙しそうに働いている。

 青いリンゴが山盛りに一輪車で運ばれていたが そのうち1つのリンゴが零れ落ちた。

 そしてそのリンゴは 酒造場を見学に来ていたユジンの足元に転がって来た。

 驚いたユジンはそのリンゴを拾うと ズボンで皮を擦って (何とあんぐりと)

 そのリンゴをかじるのだった。(@_@;) あらま・・・ユジンって大胆~!!



 シャキッと良い音がして かじった青リンゴは 瑞々しくて美味しかった。

 青リンゴの味見を堪能していると 突然「ちょっと!離して!!」と大声がした。

 ユジンの目の前で仕事をしていた 酒造場の男たちが声の方へ 駆けだした。

 「出てこい!!お前なんかいらない!!」と 遠くで怒鳴る声がする。

 ユジンも何事かと興味が湧いて みんなの後を追いかけた。

 騒がしい場所では 1人の少年が酒造場で働く 髭を生やした男に殴られていた。

 「誤解です!」少年が 殴った髭の男にそう叫んだ。

 すると髭の男は「ふん。これでもか?」と 少年に向かって

 バッグを投げつけた。その中から リンゴジュースが1本転がった。

 「雇ってやった恩も忘れて、働くどころか盗みを働きやがって!」

 そう髭の男は 少年を怒鳴った。少年はそう言われて 悔しそうに黙っていた。

 ユジンは その少年を見てハッと思った。どこかで見た顔だったのだ。

 「どこかで売るつもりだったんだろ?」そう髭の男は 少年を見下げて言った。

 「違うよ。どうせ捨てた物じゃないか!どうしようと勝手だろ?」

 少年は立ち上がって ふてぶてしくそう言った。

 その態度の悪さに「何を偉そうに!」と また髭男は頭に来るのだった。

 「分かったよ。辞めてやるよ!」少年も そう叫ぶ。

 「人を見る目がなかったな。流れ者なんか雇うんじゃなかった。」

 髭の男は そう吐き捨てるように言った。

 その言葉に少年は 逆上して髭男に向かって行った。

 胸ぐらをつかんで 押し倒し「流れ者だと?」と怒って叫んだ。

 髭男も 負けてはいない。「生意気な奴め!」と起きあがって

 反対に少年を下に組み伏せて 殴りかかろうとした その時だ。

 「2人とも やめろ!!」と 声がした。

 髭男がハッと顔を上げると そこには 昨日ユジンをトラクターに乗せてくれた

 あの優しいオジサンが 怖い顔をして立っていた。

 髭男は オジサンの顔を見るなり「ちょうど良かった!」と言って立ち上がる。

 「あの野郎が ジュースを盗みやがったんです。カバンを見てください。」と説明した。

 その間に ユジンは倒れている少年の前に立った。

 少年は ユジンの顔を見るなり しまったという顔をする。

 そう・・・この少年は 列車の中で ユジンのバッグを奪った少年だったのだ。







 
 酒造場の事務所に連れて来られた少年。その傍で ユジンがオジサンに

 「お願いします。」と頭を下げている。 (お人好しユジン~♪)

 「私達も 警察に通報する気はないよ。祭りも間近だし、

  問題を起こしたくないからね。」と 優しいオジサンがユジンに言った。

 (まぁ ジュース1本で警察もないもんだ。笑)

 「昨日も今日も 無理を言ってすみません。」とユジンはすまなそうに言うと

 「とんでもない。」と 優しいオジサンは許してくれた。

 そのやりとりを見ていた少年は ユジンに借りができて困った顔をする。

 少年をとっちめたい髭男は 不服そうに腕組をして ドアにもたれて立っていた。

 (髭男は 少年が逃げないようにドアで仁王立ちしてたのかもね。笑)

 オジサンは 少年の方を向いて

 「帰っていいぞ。このお嬢さんに免じて許してやる。」と言うのだった。

 すると サッとすぐに少年は立ち上がり 髭男のいるドアに向かった。

 しかし、髭男はドアを 手で広げて通せんぼしようとするのだ。

 少年が髭男を”どきな”と言うように睨むと 髭男は呆れてその少年を通してやった。

 髭男は 生意気な少年に舌打ちをする。

 それを見ていたユジンとオジサンも 少年の態度に呆れるのだった。




 
 ユジンはこの酒造場に 大聖堂から借りた自転車で見学に来ていた。

 自転車を押しながら 帰り路を歩いていると 道端の木の下で

 先ほどの少年が うつむいてユジンを待っていた。

 そしてユジンが近づくと 木陰から出てきて「ほら。」と言って

 先ほど盗んだジュースを ユジンに差し出すのだった。

 ユジンは呆れて「ちょっと!」と怒る。すると少年は

 「これくらいいいだろう。嫌なら別に飲まなくてもいいよ。」

 とふてくさえれた顔で言った。彼にしてみれば このジュースはお礼のつもりらしい。

 ユジンは仕方なく そのジュースを受け取った。

 ジュースを渡すと 少年は「ついてきて。鞄を返してあげる。」と言って歩きだした。

 「それより、”ごめんなさい”の一言もないの?」と ユジンが追いかけてながら言う。

 すると少年は 振り返って「現金が入ってなかったから いつか返すつもりだった。

 だから手数料をくれよ。」と 本当にふてぶてしく言うのだった。

 「手数料?」ユジは驚いて聞き返す。すると少年は言うのだ。

 「忘れ物を 見つけてあげたんだから。」

 それを聞いたユジンは また呆れて大きくため息をつくのだった。

 そして「分かったわよ。」と言う。 本当にあまりにも人が良すぎるユジンだった。

 「また忘れ物をしたら 僕が捜してあげる。ただし 手数料付きでね。」と

 少年は調子に乗って 言うのだった。

 ユジンは少しムッとしながらも 「いなくなった人も 捜してくれる?」と聞いた。

 エッという顔の少年に 今度はユジンが積極的に交渉を始める。

 「勿論、手数料も払うわ。どう?やってみない?」

 ユジンの求めに 少年はニヤリと笑って「OK!」と即、答えるのだった。

 ユジンは少年に手を差し出して 「よろしく。」と、握手を求めた。
 
 少年も笑いながら手を出して この交渉は成立したのだった。



 

 一方、ユジンをテレーズ大聖堂に送り出したクロードは

 例の(ユジンが倒れた)設計事務所で 女子修道院長と電話をしていた。

 「今のところ 彼女が上手くやっているようですね。」

 そう言って 手にした酒のグラスをテーブルに置いた。

 「心配しないで。私がテレーズに行く必要はありません。ユジンによろしく。」

 それだけ言うと すぐにその電話を切ってしまうクロード。

 そしてため息をつくと 机の一番上の引き出しを開けて

 中に仕舞いこんでいた マリア像を取りだした。

 それを目の前に置いて クロードは言った。

 「ジョアン。俺に姿を見せろとでも言うのか?

  ”マリアは祈ることで 救いを求めているのだ。”」

 それだけ言うと クロードは一気にグラスの酒を飲み干した。そしてまた言う。

 「俺が救われて、君が消えるとは・・・。」








 ユジンに人を探して欲しいと依頼された少年は

 きちんと約束を守って 真面目に人探しをしていた。

 ユジンから渡された資料を元に ある療養所を訪ねていた。

 「私を探しに?」車椅子を押した 太った看護婦がそう言った。

 少年は近づいて 「14年前に テレーズで働いていましたよね。」と尋ねた。

 太った看護婦は「それがどうかした?」と聞き返した。

 「もしかして クロードという建築家を覚えていませんか?」

 そう少年が尋ねると 看護婦は「さぁ。」と本当に知らない様子で言った。

 「当時は 目が見えなかったんですが。本当に覚えていませんか?」と少年。

 しかし、それを聞いても その太った看護婦は 首を横に振るだけだった。

 「覚えがないわね。」

 それを聞くと 少年はポケットから手帳を取り出して

 「一緒に働いてた マリアンさんはご存知ですか?」と聞いた。

 すると 太った(クドイ?笑)看護婦は 驚いた顔で
 
 「マリアンヌは ここで一緒に働いてるわよ。」と言うのだった。

 少年は目を輝かせて「今 会えますか?」と聞いた。

 「今日は休みだけど、明日なら会えるわよ。」そう看護婦は言った。

 「ありがとうございます。」少年はお辞儀をしてお礼を言うと

 手に持った1枚のメモを見つめた。そのメモには15人の名前が

 書き連ねてあり その上を赤い線で消してあった。

 たったひとつ残された名前が マリアンヌ・バルトだったのだ。

 少年はその日の晩 早速ユジンに報告に行った。



 2人は大聖堂の礼拝堂で 話をしていた。

 「あとは マリアンヌだけだ。」そう少年が言うと

 「彼女が クロードさんの恋人かも。」とユジンがメモを見ながらそう言った。

 「お姉さんは 本当にポジティブ思考だね。」と少年。

 「数学的な確立からしてみても・・・」とユジンが言うと

 「その手の話は苦手だ。今日は ここに泊るよ。」と少年は話を逸らした。

 「また?」とユジンが言う。どうやらいつものことらしい。

 「外は暗くて 本が読めないんだ。」と 少年が言う。

 「また”凱旋門”を読むんでしょ。」とユジンが聞くと 

 少年は その”凱旋門”の本を ユジンに見せるのだった。

 「内容を覚えてしまいそうね。」と 呆れてユジンが言った。
 
 すると 少年は本を大事そうに 両手で持ってこう言った。

 「お父さんが 好きな本だ。母親が毎日読んであげたらしい。」

 (あれっ?この少年の母親は目が不自由ではなかったのか???)

 「お父さんが恋しくない?」そうユジンが聞いた。

 すると 少年は頬を膨らませて すねるように

 「子ども扱いするな。」と横を向いて言った。

 しかし ユジンは「私は 今でもパパが恋しくなる。」と言うのだった。

 少年は 子どもを抱いた男の像を見上げて 

 「俺は 会ったことすらないから 恋しくなんかない。」と言うのだった。

 その様子を 悲しそうな顔でユジンは見つめる。

 少年は ユジンを振り返って「今 同情しただろ?」と言った。

 ユジンは 「ごめん。もう遅いからここで休んで。でも、気をつけてね。」

 そう言うと 少年は「分かった!」と明るく返事をして 立ち上がった。

 流れ者と呼ばれ 父親の顔も知らない不憫な少年。

 それでも少年は ユジンには心を開いているようだった。



 ユジンは自分の部屋に戻って カテリーナとお茶を飲んでいた。

 「マリアンヌが クロードの彼女じゃなかったら、本当にテレーズの奇跡よね。」

 と カテリーナが言う。するとユジンは言う。「本当に あの話を信じてるの?」

 「奇跡?」とカテリーナ。「うん。」とユジンが頷いた。

 カテリーナは お茶を一口飲んでから ユジンに言った。

 「クロードと彼女のラブストーリーも、テレーズの奇跡も真実じゃないかもしれない。」

 ユジンは驚いて「否定してもいいの?」と言う。

 カテリーナは 「私の信仰が 足りないのかしら。でも、奇跡は信じてる。」と言った。

 そしてカテリーナは ユジンのカップにお茶を注ぎながら

 「私が好きだった父親は よく嬉しそうな顔で 種をまきながら

  花の説明をしてくれたの。種をまいたのも忘れた頃に 奇麗な花が咲くのよね。

  言葉では表せないくらい 奇麗な・・・。」そう言うのだった。

 「ええ。種から育ったなんて 信じられないくらいよね。」とユジンも言った。

 すると カテリーナも頷いて言った。

 「周りで起きている小さなことが 奇跡に思える。

  誰かと友達になることも、恋に落ちることも・・・私が修道女になったこともね。」







 ユジンは「あなたは 修道女に向いてると思うけど・・・。」と言う。

 「本当?」とカテリーナは 嬉しそうに言った。すると「待って。」とユジン。

 「何?」とカテリーナが聞くと ユジンは眉間に皺を寄せて言った。

 「あの音は何?」とカテリーナに尋ねた。

 耳を澄ますと 遠くからパイプオルガンの音色が聞こえた。

 「ルイ!」と 驚いてユジンが椅子から立ち上がった。

 あの少年の名前はルイで・・・

 ルイ少年が 勝手にオルガンを弾いていると思ったのだろう。

 礼拝堂では まだ修復工事の金槌の音が聞こえていた。

 その中をパオプオルガンに向かって 演奏している人影があった。





 礼拝堂で 布団を広げて寝ていたルイは その音で目が覚めてしまった。

 ルイがオルガンの人影に驚いて「ハッ!」と声を発した。

 その声に 人影も気がついて驚く。ルイは走った。なぜ走ったのか?

 自分が不法に入り込んでいたから 見つかるのが嫌で走ったのだろうと思う。

 慌てて走るルイは 修復工事で組まれた足場の階段にぶつかり 

 その階段が倒れて 足場自体にぶつかってそれがガラガラ崩れだした。

 その足場の崩壊を見ながら ルイはその場を必死で逃げだすのだった。

 ああ・・・危うしルイ少年!!!!というところで 22話は終了です。

 

  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはYuちゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~





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 今回の22話は チュンサンのチの字もない回でした(笑)

 23話も バタバタしていてチラッと最後を見ただけですが・・・

 24話から チュンサンが再度登場するようです(*^_^*)

 最後の最後で きっと大盛り上がりがあると思うので・・・

 我慢して待ってましょう~♪ 

 

 

 
 
 

 

 

 
 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 


  


 

 

 

 
 

 


2010/04/07 11:51
テーマ:アニソナ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アニメ☆冬のソナタ☆第22話(前半)

Photo

         ★BGMが重なって聞こえる場合は 上のタイトルをクリックしてください





 
 ユジンを乗せた列車は 風を切って走っていた。

 そして列車の通路で出会った タロット占いのジプシーの女は

 車掌が切符の点検が来る前に 仲間と一緒に移動して行った。

 その女は杖をつきながら 息子にエスコートされて歩いて行く。

 息子は母の横で しめしめというような笑い顔をして歩いて行った。

 少年が笑った理由。それは ユジンのバッグを上手く盗めたからだった。

 少年は目の見えない母の片腕に手を添えながら 

 片方の脇の下に ユジンのバッグをしっかり抱きしめて 

 ユジンの傍から さっさと消えて行ったのだった。





 
 そんなことは全く気がつかない お人好しのユジンは 

 自分の車両の座席に戻ってから ふとバッグのことを思い出すのだった。

 そして占いの女性に付き添った息子の少年が 

 車両を移動する際に 振り向いて 

 ユジンにニヤリと笑いかけたことを ユジンは思い出した。

 そして その少年の後ろ姿を見送った時に 

 少年の脇の下にチラリと見えていたものが 自分のバッグだったとやっと気がつく。




 「あっ!!」と声を出して 自分の間抜けさに気がつくユジンだった。 (笑)

 (もう・・・めちゃくちゃ鈍感すぎるでしょ!!

  それにしても あのバッグはエルメスだったよね??もったいない!!!)

 列車は そんなことはお構いなしにスピードをあげてトンネルに突入した。


                                    ここでタイトル



 


  

    



 第22話 ≪初恋≫ 
前半




 午後4時8分。駅の時計が そう告げていた。

 ユジンは キャリーバッグだけを手にして リジュー駅のホームに降り立った。

 お財布は勿論、奪われたバッグの中だったのだろう。

 ポケットを探っても あるのは コインが4枚だけ・・・。

(私は外貨は全く分からないので・・・映ってるコインがいくらなのか計算できません。笑)





 ため息をついて 困り果てるユジンだったが、勇気を振り絞ってユジンは行動に出る。

 ヒッチハイクで 目的地まで辿り着こうともくろんだのだ。(笑)

 「どこまでいくんですか?」と キャリーバッグを引きずりながら

 ユジンは手当たり次第に 駅に停車している車の持ち主に声をかける。

 「テレーズ大聖堂に行きたいんです。」

 しかし フランス人は不親切なことに ユジンを車には乗せてくれなかった。

 (まぁ・・・不親切というより 大聖堂には行かない車ばっかりだったのだろうが・・・。笑)

 そんな中、ニッコリ笑いながら頷いてくれたオジサンが現れた! (ラッキー!!)

 「ありがとうございます。」とユジンは深々とお辞儀をして そのオジサンの後をついて行く。

 するとそのオジサンが乗り込んだ車は なんとトラクターだった!! (@_@;)

 心の中で”嘘~!!”と叫ぶユジン。しかし 無一文状態なのだから仕方がない。

 トラクターのエンジンをかけて ”後ろに乗りな”と合図するオジサン。

 ユジンは覚悟を決めて そのトラクターの荷台に飛び乗るのだった。



 

 その荷台には なにやら瓶に入ったリンゴジュースが沢山積まれていた。

 ユジンはその瓶が入った木箱の間に 体育座りをして膝を抱えている。

 農園に向かうトラクターの荷台は 思ったよりも爽快で風が心地良かった。

 「ジュースを飲んでいいよ。」優しいオジサンは ユジンにそう言ってくれた。

 「ありがとうございます。」ユジンはお礼を言うと 早速その木箱から

 リンゴジュースの瓶を1本取りだ出して 一口飲んでみた。

 すると笑顔になって「凄く美味しい!!」とオジサンに言った。

 オジサンは「新鮮なリンゴで作ったからだよ。

 ところでテレーズ大聖堂には 祈りに行くのかい?」と ユジンに言った。

 「いいえ。仕事なんです。」とユジンが言うと オジサンは不思議そうに

 「シスターには見えないけどな。」とユジンに言う。

 「建物の復元の仕事なんです。」と説明すると オジサンはまたまた不思議そうに

 「復元の担当は クロードじゃないのか?」と聞いてくる。

 「彼をご存じなんですか?」今度は ユジンが驚いそう聞いた。

 するとオジサンは振り向いて

 「彼は大聖堂の療養院にいたんだ。昔のことだが。」と答えた。

 「療養院?」と ユジンがまた尋ねた。するとオジサンは言う。

 「今は アジア人の女性が滞在しているらしい。

  もう2年になるな・・・。こもってひたすら祈り続けているようだ。」



 

 そんな会話をしながら ユジンはトラクターの荷台で揺られながら

 緑豊かな果樹園の間を通り抜けて テレーズ大聖堂まで向かうのだった。

 (ここで 私はこのアジア人がミヒではないかと思ったりする。笑)

 果樹園の奥にそびえたつ 見事な大聖堂が見えてくると ユジンは立ち上がって言った。

 「あれがテレーズ大聖堂?」「この村の誇りだよ。」オジサンが言った。

 ユジンは目を輝かせながら 「実物を見るのは初めてです。」と言った。




 


 大聖堂の前で荷台から降りたユジンは 

 「ご親切に感謝します。」とオジサンにお礼を言った。

 「お役に立てたなら良かったさ。」と 優しくオジサンがユジンに答えていると

 「酒造場は忙しくないの?こんなところで油を売って!」と 大聖堂から出てきた

 修道女が近づきながら オジサンに厳しい声でそう言った。

 オジサンは「今 帰るところですよ!」そう言って ユジンの顔を見ると

 「今度 酒造場においで。カルバトスが飲めるから。」と優しく言うのだった。

 ユジンは お酒が飲めないくせに 愛想よく頷くのだった。(笑)

 そしてそそくさと 心優しい農園のオジサンは トラクターを猛発進して去って行った。

 そのトラクターの排気ガス、もしくは去った後の土埃に ユジンはむせて咳こんでしまう。

 だが 必死に顔を上げてその修道女を見て「奇麗な所ですね。」と微笑んで言った。

 「はじめまして。チョン・ユジンと申します。」ユジンの挨拶を

 その修道女は 眉間に皺を寄せて聞いている。

 
(あらま・・・修道女なのに怖い顔!!)

 「シスター・カタリーナ!」とその修道女が叫ぶと 奥から優しい顔の修道女が現れた。

 そして 自分自身はユジンに挨拶せずに まず、その修道女に向かって

 「ユジンさんを部屋に案内してあげて。」と言った。

 「はい。」と優しい声で 返事をするシスター・カタリーナ。

 そして ようやくユジンの方を向き その修道女は言った。

 「分からないことがあったら カタリーナに聞いてちょうだい。

  ここは 聖なる場所です。行動には気をつけてくだいね。

  相当優秀らしいけど、我々が仕事を依頼したのは クロードです。

  あなたは 彼がよこした現場監督にすぎません。クロードはいつ来るんですか?」

 修道女は ユジンでは不満なような口ぶりだった。

 ユジンは 困った顔で「今は 手が離せない作業があって・・・

 めどがつき次第に・・・。」と後の方は 消え入るような声で言った。

 やはり 嘘は得意でないユジン。多分、クロードは最後まで来ないのだろう。

 それでも その嘘に気付かないのか(笑) 修道女は頷いて去って行った。

 そして残された シスター・カタリーナとユジンは 修道女がいなくなると

 ほっとしたというように 2人で同時にハァ~とため息をつくのだった。

 あまりにも揃ってため息をついたので 2人は顔を見合わせて 笑い合うのだった。






 ユジンは部屋に案内されて キャリーバッグの中身をベッドの上に広げていた。

 ユジンがエルメスのバッグを盗まれたことを カタリーナに話したのだろう。

 「列車の中は 泥棒が多いから気をつけないと・・・。」とカタリーナが言う。

 (しかし、今さら言われても もう遅い!)

 「それでも 無事に到着できて良かったわ。」とユジンが 明るく言うのだった。

 (そういうユジンの ポジティブ思考は大好きだ!!笑)

 「そうね。ねぇ!クロードさんは 本当に来るの?」と カテリーナが聞いた。

 その質問に驚くユジンに カテリーナは言うのだった。

 「知らないの?女子修道院長が クロードさんにこだわる理由を・・・。」

 ユジンは 分からないので「なぜなの?」と尋ねた。

 「どこまでが真実なのかは分からないけど、テレーズの奇跡を知ってる?」

 カテリーナにそう聞かれて「テレーズの奇跡?」とユジンが聞き返した。

 「ここで祈り続けると 不治の病が治ったり、視力が回復したりするっていう話。」

 そうカテリーナが答えた。「そう言えば・・・。」とユジン。 (知ってたのかい??)

 カテリーナは 急に小声で「こんな話もあるの・・・。」と

 ユジンに秘密を打ち明けるように 口に片手を添えて話すのだった。

 そこで場面は急に変わり 夕暮れの大聖堂が映し出される。





 


 教会のカリヨンが夕刻を告げて、鳴り響いている。

 ユジンは カテリーナに連れられて 大聖堂の中にやって来た。

 夕日を浴びた大聖堂の礼拝堂。

 入口の扉の上には パイプオルガンがある立派な礼拝堂は

 様々な美しいステンデグラスが窓にはめ込まれ 壁にも古い彫刻が沢山あった。

 そして正面には 大きな聖母マリア像がそびえ立っている。

 そんな中で カテリーナはユジンに話の続きを始めた。

 「12年前のことよ。病気で視力を失った 若い建築家がここで療養したの。」

 その言葉を聞きながら ユジンは仕事に使う 礼拝堂の中の写真を撮っていた。

 「そして 看病していた女性と恋に落ちたの。

  世の中に背を向けて 奇跡さえ信じなかった彼が 彼女には心を開いたのよ。」

 カテリーナの話に耳を傾けながら ユジンは祭壇に背を向けて 

 礼拝席に向けてカメラを構えた。





 すると 礼拝席の中央の通路に 自分とチュンサンの姿を見た。

 あの日、チュンサンに強引に誘われて挙げた 結婚式での2人の姿だった。

 ハッとして カメラから目を外して 直にその目で通路を眺めるユジン。

 すると そこには2人の姿はなく、入口に立っているカテリーナが見えた。

 ユジンは、話の中の建築家とチュンサンがダブってしまい、茫然とするのだった。

 ユジンは カテリーナと並んで大聖堂の中の他の棟を歩く。

 手にはメモ帳を持って カテリーナの言葉を書きこみながら歩いている。

 カテリーナは 廊下ですれ違うシスターに挨拶をしながら ユジンに話を続けた。

 「彼女の願いが 神様に通じたのか 彼に奇跡が起きたの。

  でも、彼が視力を得た途端、彼女は姿を消してしまったんだって。

  いいえ。そんな彼女がいた形跡すら見つからなかったそうよ。」

 そんな不思議な話をすると カテリーナは広い聖堂の庭の中に建てられた

 聖母マリア像まで来る。 そしてそのマリア様と同じポーズで 手を合わせて祈った。



 首からカメラを提げたユジンが「それ どういうこと?」とカテリーナに尋ねた。

 すると マリア様の前にいるカテリーナは ユジンに人差指を口の前に当てて

 「シッ!」と声にした。そしてその手で マリアを指して

 「その建築家を看病した女性は この像なの。」と 小声でユジンに言うのだった。

 ユジンは疑って「まさか。あり得ないわ。」と言う。しかしカテリーナは

 「だから奇跡なのよ。」とユジンにささやいた。

 「もしかして その建築家がクロードさん?」とユジン。

 「そういうこと。」と カテリーナが言った。

 ユジンは 顎に指人差し指を押し付けて 考え事をするように

 「療養院にいたことは 聞いたけど・・・。」とつぶやいた。

 カテリーナは またマリア像に手を合わせて

 「是非、彼に来てほしいわ。色々聞きたいの。」と言う。

 ユジンは その言葉を無視して「村が一目で見渡せるわ!」と感嘆の声を出した。

 (多分、クロードが来ないのを知るユジンは 彼のことを誤魔化したかったのだろう。笑)



 オレンジの夕日に包まれた 美しいリジューの村を見渡して

 「酒造場はどこ?」と 聞くユジン。するとカテリーナは

 「あそこの建物 見える?」と指を指した。「ええ 見えるわ。」とユジンが答える。

 その建物からは 白い湯気が湧き上がっていた。

 「あれが カルバトスの酒造場よ。まさに今 酒造りの最盛期ね。

  カルバトス祭りが近いのよ。」とカテリーナ。「お祭り?」とユジンが聞き返す。

 「だから観光客が訪れて来てるのよ。催し物も多いし。是非、一緒に行きましょう!」

 そうカテリーナは ユジンに言った。ユジンは「ええ。楽しみだわ。」と 

 優しいシスター・カテリーナに 微笑むのだった。

 「期待していいわよ。作業部屋に行きましょうか?」とカテリーナは言った。


 そして ユジンが案内された作業部屋は 

 大きな机がドカンと置いてあるだけの殺風景な部屋だった。

 ユジンが 部屋を見回してると 先ほどの女子修道院長がやって来て

 「カテリーナは下がってちょうだい。」と言うのだった。 (あらま・・・。)

 カテリーナは 素直に「はい。」とお辞儀をして 

 ユジンの方を気にしながら部屋を出て行った。

 ユジンは ドキドキしながら女子修道院長と向き合った。



 女子修道院長は「元々、療養院だったから ここは静かで最適だわ。」と言った。

 「療養院?」とユジンは 驚いた。

 ”ここが例の療養院だったの?”と思ったのかもしれない。

 「もう閉院したのだけれど、まだ1人 療養中の人がいるから・・・

  その人には 迷惑をかけないでほしいの。2階の突き当たりの角部屋です。」

 そう言う 女子修道院長に ユジンは気軽に「アジアの方だとか・・・。」と聞いてみた。

 すると 女子修道院長は 急に不機嫌な怖い顔になって

 「誰がそんなことを?」をユジンに聞いた。

 ユジンは 慌てて「いいえ。チラッと聞いただけです。」と誤魔化した。

 女子修道院長は「小さい村なの。変な噂が立たないように 気をつけてちょうだい。」

 そう言って部屋の中を 歩き出した。

 ユジンは 女子修道院長に向かって「分かりました。」と返事をすると

 女子修道院長は 大きな机に手を乗せて「大聖堂のく復元が終わったら

 療養院も改装して 再会するわ。」と ユジンに言った。

 ユジンは「私にお任せください。」と 愛想良く返事をすると

 女子修道院長は また不機嫌な顔をして振り向いた。

 ”私が頼みたいのは クロードです!!”といった顔だ。(笑)

 それに気付いたユジンは またまた必死で誤魔化そうと 手を横に振りながら

 「いいえ、あの・・・”私達”!私達がやるという意味です。

  クロードさんも 療養院の改装の話はしていましたから。」と言うのだった。









 すると 女子修道院長は「嘘が下手なのね。」と ユジンの顔をじっと見て言った。

 「ええっ?」”あら?バレた??”と、内心ドギマギするユジンに 女子修道院長は言う。

 「クロードは ユジンさんに任せて この仕事から逃げる気でしょう?

  我々が あなたを受け入れたのには理由があります。」

 そう言われて ユジンは「理由は何ですか?」と聞いた。

 すると 女子修道院長は

 「クロードが見込んだ人なら きっと信用できると思ったのです。 

  万が一、問題が起きても クロードに責任を問えるからです。

  これで責任逃れは できないはずです。」そう言った。

 「そういうことでしたか。」とユジン。

 「大聖堂は 単なる建物ではありません。私達には 守るべき義務があります。

  ・・・話が長くなったわ。作業員たちはどこですか?」と 女子修道院長。

 「近いうちに来ます。」とユジンが答えた。

 「それでは よろしく頼むわ。」そう言って 女子修道院長は部屋を出て行った。

 ユジンは 女子修道院長を見送ってから

 部屋の扉を閉めて 大きくまたため息をつくのだった。


 


 そしてユジンはその部屋で 早速礼拝堂の復元に向けて 設計図を書く作業を始めた。

 日が沈み晩になっても ユジンは黙々と机に座って作業をしていた。

 だが あまりにも必死で設計図を書いていたので 肩が凝りだして

 「ああ・・・。」と声を出して 自分の左出て右肩を叩く。

 そして また頑張って設計図に向かっていると 何か音が聞こえた。

 ”あれっ?”と思って また自分の肩を叩くユジン。

 すると今度は はっきりと 女性のすすり泣く声が聞こえるのだった。

 驚いて 声のする後ろの壁に 顔を向けるユジン。

 ユジンは そっと部屋の扉を開けてみる。

 すると その女性の泣き声は 確かに廊下から聞こえてくるのだった。

 (あれ~!!ここからホラーが始まるの~??爆)

 というところで 前半の終了です。続きは また後で!!






 
  今回も きょこままさんから 画像をいただきました。ありがとう~

 BGMはこみしゃんの提供です❤ 毎回お世話になってま~す! 感謝~


 

 


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 ああ・・・必死にこの原稿書いてて・・・

 実は 今朝のヨンジュンのワイドショーを見逃してしまいました(T_T)

 ・・・落ち込んでいる歌姫・・・(;一_一)

 でも、自分のアホのせいなので・・・仕方がありません!!

 今日は 今から支度して楽譜を買いに出かけます♪

 帰りに行きつけの美容室へ寄って 

 フット&ヘッドマッサージもして来ま~す!!

 それにしても・・・

 ヨンジュンが日本に来てくれて めちくちゃ嬉しい歌姫です(*^_^*)

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

  

 

 

 

 

 

 


 


 
 

 
 


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