上党山城への道 ヨン 最終話【ネタばれ有り】
Gオンニは米国で事業に成功されている方でとても威厳があって、貫禄(体型では有りません)のある方です。推定年齢も多分60代後半位です。
パンマル(韓国語のタメ口)で話している時はとても恐れ多くて、本来でしたら私のような主婦などを相手になさるような方ではありません。
でもヨン話になるとヘロヘロ~~となってしまって、とても可愛らしい方でした。
ヨンジュンシが大好きという事で、国境も言葉も年齢も超えて 誰とでも親子のように、また姉妹のように一瞬でなれてしまうのですから、ヨンジュンシが私達を家族と呼んでくれるのは本当のことですね。
私「今度ヨンジュンシが近くに来てくれたら、ハンボンマン アナジュセヨ!(一度だけ抱きしめて!)って言っちゃおうかな?」
G「 Do it! Do it!(やっちゃえ!やっちゃえ!)」
私「オンニヌン ハングクサラミニッカ ヨンジュンシエ ギョッテ カソ イヤギハシミョン チョウンデヨ!(お姉さんは韓国人なんだからヨンジュンシのそばに行ってお話しなさればいいのに。)」
G「Because I am the first time that I watch Yong Joon so near, there will not be such a reason why it is possible to be shameful!
(私はヨンジュンさんをこんなに近くで見るのは初めてなんだから、そんな恥ずかしい事が出来るわけ無いでしょう!)」
すると 二度目の休憩のために、談徳が小道を降りてきました。
私達は彼を見て、凍りつきました。
先程の元気な姿とは 打って変わって、顔色は少し青ざめ 片足を少し引き摺っています。
撃毬の撮影の時 落馬して痛めた足を 今の激しいアクションシーンでまた痛めてしまったのかもしれません。
それでも カジョクたちの前を通る時は 微笑を浮かべてゆっくりと カジョクたちの顔を 一人一人確認するように見て歩いてくれました。
私は深く反省しました。
「ドラマの中で最高の演技を皆様にお見せしたい。」と言っていたヨンジュンシの言葉を思い出したからです。
ドラマのワンシーンのどれを見ても素晴らしく、感動するのは俳優さんが命を削って魂を込めているからなんですね。
浮かれていた自分が恥ずかしく、そして申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。でも 朝6時にならないと始発のバスは来ないので、そこから帰る事はできませんでした。
二度目の休憩が終わって、元気を快復した談徳が 一列に並んだカジョクの前を ゆっくりと にこやかに通ります。
そして 私達のすぐ目の前で、韓国家族の方と立ち話を始めました。
すると 何故かGオンニは私の後ろに回って 私をグイグイと押すのです。
私はキルエ チョチョク ピョン(道の向こう側で)、見るとスタッフさんと約束したのですから、車道に出る事は 絶対にできません。
私「オンニ!オットケ ハゴ イッスムニカ?(何やってるんですか?)」
G「プックロプタ!(恥ずかしい!)」
私「オンニ!カセヨ!カセヨ!(行って下さい。行って下さい。)」
G「シロヨ!(嫌よ!) プックロプタ!」
ヨンジュンシにも 私達の会話が聞こえたのかもしれません。
おしくらまんじゅうをしている私達を面白そうに見て、クスッと笑いました。
心臓が口から飛び出すかと思うほど、バクバクでした。
その後の撮影は フルショットのアクションシーンは無くて、レフ板を使って顔のUPを何度も取り直しては、小さなモニターでチェックすることの繰り返しでした。
モニターに顔を近づけて、談徳は金PDと打ち合わせをしているようでした。
朝方 ようやく談徳のシーンは終わり 晴々とした表情で談徳が小道を降りて来ました。
赤いメイクバスに乗って、衣装を脱いで、メイクを落としたヨンジュンシは 黒いマイバッハの後部座席に乗って、
「スゴハセヨ!(お疲れ様!)」と大きな声で言って笑顔で窓から身を乗り出すかのごとく手を振ってくれました。
薄い色のサングラスの隙間から、目の下の小さな2つのホクロが見えました。
ヨンジュンシの乗った車のテールランプは あっという間に遠のいて行ってしまいました。
呆然と立ちつくしていた私はハッと我に返り、走り去った車の方向に向かって手を振りました。
ヨンジュンシ チンシムロ カムサトリムニダ!
終