2010-04-20 11:53:44.0
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

創作mirage-儚い夢-24.いじわる

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「ねぇジニョン・・・キスしていい?」
僕は後ろから彼女をしっかりと拘束したまま、彼女の耳元に囁いた

「ドンヒョクssi・・・そんなこと・・・聞かないといけないの?」
彼女はまたいつものようにそう言った。

「僕は紳士だから・・・」

「紳士?・・紳士ね~・・・じゃあ、淑女の私は・・・そんな時どう答えれば?」

「んー・・・どうぞ・・って・・・」

「えー・・・そんなの何だか変だわ・・・」

「じゃ・・こうやって・・“いいわ”・・・とか?」 僕は唇を突き出して見せた。

「えー・・・!」
人一倍照れ屋の彼女をからかうのは実に楽しい。
目の前で彼女がみるみる頬を赤く染めていき、一生懸命に僕の言葉を切り返そうとする。

   さっき僕を・・・泣かせた罰だよ・・・
   ちょっとだけ意地悪させて

「いいから・・・していい?」

僕は照れ隠しにおしゃべりを絶やさない彼女の顎を、クィッと後ろ向きに誘導すると
真顔で彼女の答えを待った。

「いい?」

「だから・・いちいちそんなこと・・聞かないで・・・」

「言ってくれないとできない・・・」

彼女は僕から視線を落として、更にその頬が真っ赤に色づく。
僕はその顎を指で持ち上げて彼女の瞳の中に僕を戻した。

「言って・・・“いいわ”って・・・」
あまりに真剣な僕の眼差しに彼女がやっと観念する。

「い・・いいわ・・・」
震えたようなその返事に僕は薄く微笑んでそっと唇を合わせた。
僕の唇と彼女の唇がゆっくりと触れ合って、互いを確かめるようになまめかしく音を立てた。
次第に濡れゆく彼女の唇を軽く啄ばみながら、彼女の吐息さえ許さないほどの
執拗なくちづけに変えていく。

彼女の右手が僕の胸を押し息苦しさを訴えると、僕の腕が彼女の背中をグイと引き寄せた。

彼女のまだ少し濡れた髪が僕の指に絡んで冷たかった。

僕は唇を離さないまま、彼女を抱き上げそのままベッドへと運んだ。
ふたり同時に倒れ込むように横たわりスプリングを弾ませる・・・

その拍子にふたりの唇が離れて、彼女の吐息が小さく漏れた。
そして僕はまた、ジニョンを真顔で覗き込んでわざと尋ねる。

「抱いてもいい?・・・」

「だ・・駄目って言ったら・・・ど・・どうするの?」

「どうしよう・・・」 

「どうしようって・・・」

「どうして欲しい?」

「どうして欲しい・・って・・・」 

「あ・・今・・何を想像した?」

「何も・・想像したりなんか・・」 

「言ってごらん?・・・」 

「・・・・・・」
   彼女が少しべそをかいてきた・・・ 

「フラ・・ンク・・・どう・・して・・・そんなこと・・」 

「君のその反応が見たくて・・」

「・・・・・・」

    この辺で・・・止めないと、本気で拒絶されそうだね

「ドンヒョクって・・・フランクよりも意地悪な人?・・・」

「そうかも・・・」

僕は彼女がまだつむじを曲げない内に、急いで彼女の首筋に唇を這わせた。
そして・・・ゆっくりと彼女を少女から女へといざなう。

「いじわるして・・・ごめん・・・」

「許せない・・・」

「愛してるから・・許して・・・ジニョン・・・」

 
    愛してる・・・愛してる・・・愛してる・・・愛してる・・・

    言葉にするのももどかしいほどに・・・


    だから・・・少しばかりの意地悪は大目にみて・・・

    僕の・・・君への愛しさが・・・溢れすぎて・・・

    君の白く滑らかな肌に零れ落ちていく

    そして・・君は・・・


「もう・・・許したでしょ?・・・」

「い・・・」

    じ・・・わ・・・・・・

君に伝えたい僕の愛を、ひとつひとつ君の吐息と絡めながら

いつしか僕が君に埋もれていく・・・

    あぁ・・・ジニョン・・・

    僕は・・・このまま・・・


    君の中に沈んで・・・しまいたい・・・




「やっぱり・・・ベッドから空が見える方がいいな~」

「うん・・・今度用意するときはそうしよう」

「あ・・でも、ここも素敵よ・・・自然がいっぱいで
 気持ちいいもの・・・」

「じゃあ、あそこ・・・開けちゃう?」 僕はそう言って天井を指差した。

「ふふ・・」

「明日・・業者に聞いてみるよ」

「・・・・・ドンヒョクssi・・本気なの?
 いいわよ、そんなことまでしなくても・・・」 

「言っただろ?
 僕は君のやりたいことは何でも叶えるって」

「でも・・・」

「ジニョン・・・明日は少しドレスアップして、街へ出掛けないか」

「え?だって明日は・・お仕事・・・」

「夕方までには必ず終わらせる・・・迎えをよこすから
 君は準備していて?」

「でも・・・ドレスアップって・・私・・ドレスなんて・・・」

「こっち来て?・・・このクローゼット開けてみて」
僕は彼女のその言葉を待っていたとばかりに、彼女をクローゼットに誘導した。

ジニョンは不思議そうな顔をしながら、バスローブを羽織るとベッドを降りて
僕に近づき、クローゼットの扉を開けた。
そこには事前に用意した数着のドレスやワンピースなどが隙間無く掛けられているはずだ 。

「どうしたの?これ・・・」

「皆、君のものだよ・・・靴もアクセサリーも
 下着も用意してある・・・
 サイズは・・・多分、合ってるはずだけど・・・」

「下着も?・・・
 サイズなんて聞かれたことあったかしら?」

「いいや・・・大体だよ」

そう言いながら僕は両手で輪を作って彼女を抱いている仕草をして見せた。

「ドンヒョク・・・いいえ・・フランクって・・・
 いつも女の人にそうやってプレゼントするの?」

彼女は少し口を尖らせて僕を睨みながらそう言った。

僕は当然彼女が喜んでくれるものと思っていた。

「心外だな・・ジニョン・・・女の人に洋服や靴なんてプレゼントしたの初めてだよ
 それに、サイズはソフィアが教えてくれた」

「ソフィアさんが?・・彼女にそんなこと聞いたの?」

「何を準備すればいいだろうかって・・・そしたら
 着の身着のままだろうから、すべて準備なさい・・って」

「フー」

彼女は呆れ顔を少しオーバーに現して僕を再度睨んだ。

「何?」

「ソフィアさんの部屋・・・あなたのレイアウトでしょ」

「そうだよ・・・」 僕はあっさりと答えた。

「・・・・・・」 ジニョンはそのことが不満だったらしく、僕を更に睨んだ。

「何?」

「・・・・あなたって・・ソフィアさんの言う通りね」

「言う通りって?・・彼女、何を言ったの?」

「女心がまるでわかってない。」

僕を睨みつけた彼女がわざとらしくため息を吐いて、くるりと背を向けると寝室を出て行った。
そしてバスルームに駆け込んだかと思うと、そこからなかなか出て来なかった。
僕は彼女のそんな様子に、愚かにもたじろいでバスルームのドアを叩いた。

「ジニョン!僕、何か悪いことした?
 何怒ってるの?出て来いよ!ジニョン!・・・」

「怒ってないわ!シャワー浴びるの!」

投げつけるようなジニョンの声が中から届くと、僕は余計に困惑した。

「じゃあ・・・僕も一緒に・・」

「駄目!」

「ジニョン!?」

僕はジニョンがシャワーを浴びている間、そのドアの前に座り込んで、
彼女が急に怒った理由を尋ねていた。


「ねぇ、ジニョン・・教えてよ・・どうして怒るのさ
 洋服を勝手に用意したから?君の趣味に合わなかった?

 僕が下着まで用意しちゃったから?
 それは僕が買ったんじゃないよ・・業者の人間に頼んだんだ

 それとも・・・他に理由が?

 ソフィアの部屋のレイアウトがどうのって・・言ってたね
 それがどうかしたの?・・・」

「・・・・・・・」
「ねぇ・・・」

「そこどけて!出られない!」

「あ・・ごめん・・・」

僕が慌ててドアから離れると、まだ怒ったままの顔の彼女がやっと中から出てきて、
僕の横をすり抜けた。
僕は、その後を、くっ付きそうなほどにぴったりと付いて歩いた。

「ねぇ・・教えてよ・・・何を怒ってるの?」

僕は彼女の後を追いかけながら、彼女のご機嫌をおろおろと伺っていた。

   何で僕がこんなことを?

「何でもないわ」

「何でもなくはないでしょ?・・・十分怒ってる顔だけど」

「・・・・・」

「ジニョン!」

「何でもない!」
彼女が急に立ち止まり僕に振り向くと、決して何でもなくはない表情を僕に向けた。

「改めてわかったわ!あなたって!・・・」

「あなたって?」

「・・・・・・・・・何でもない!」

「それはないだろ?言いかけて止めるのはルール違反だって
 いつも君が言ってることだぞ?」 

「言いたくないの!」

「言わなきゃわからないことだってあるでしょ?!」

「言ったら、嫌な女になっちゃう!」

「ジニョン!」

僕は彼女の両手首を掴んで、背ける彼女の顔を無理やり振り向かせた。 
彼女の目から溢れる大粒の涙が、それまで彼女の行動に少しばかりむっとしていた僕を
一瞬にして萎えさせた。

「ジニョン・・どうして?・・泣くの?・・・
 お願い・・・言ってくれ・・・
 君にどんなことをしてあげたら喜んでもらえるのか・・・
 僕はあんなことしか、思いつかない・・・
 好きな人に喜んでもらえることが何なのか、何ひとつ知らなくて・・・
 今何故、君が怒るのかがわからない・・・」

僕は本当に困惑してそう言った。
すると不意に彼女が歪めた顔を僕の胸に埋めた。
そして僕に回した両手を僕の背中に食い込ませた。

「・・・・・・嫌な女だわ・・・私・・・あなたが・・・
 ソフィアさんを大切な人だと言った・・・
 そのことがいつまでもひっかかってる・・・

 ソフィアさんは、フランクはこの部屋に入ったことない・・・
 そう言った・・・でも、それはきっと私を気遣ってのことよ・・・
 わかってるわ・・・でも・・・やっぱり嫌・・・」

「あ・・・」

「あなたとソフィアさんは恋人同士だった・・・
 割り込んだのは私の方なのに・・・
 彼女は凄く優しくしてくれた・・・それなのに・・・
 あなたと彼女のことを考えるといつも胸が苦しくなる・・・」

「ジニョン・・・僕は彼女の部屋に入ったこと無いよ」

「・・・・・」

「確かに彼女の部屋のレイアウトは僕・・・
 家具も僕が選んだ・・・今時はね・・・ジニョン・・・
 パソコン上でレイアウトも簡単にできるんだよ・・・

 彼女に頼まれて僕がコーディネイトした・・・
 でも・・玄関先にも行ったことがない・・・本当だ・・・

 ソフィアが入れてはくれなかった・・そう言った方が正解かもしれないけど・・・
 彼女はそんなことで君に嘘なんかつかないよ

 そんなに・・・彼女のことが気になる?
 僕が言った言葉が君を傷つけてるの?・・・

 ソフィアを大切な人だと言ったこと・・・
 でも・・・僕はただ君に嘘をつきたくなかっただけだ

 彼女がいなければ、今の僕はなかった・・・
 そう言うとまた君を傷つけることになる?・・・

 でも・・・その事実を話さないでいることは逆に
 君への裏切りのような気がした

 僕は君を・・・真直ぐに見つめていたい・・・

 君にも偽りの無い本当の僕を見つめていて欲しい・・・   
    
 もう僕は・・・君を失えないんだ・・・ 

 誓うよ・・・
 これから先・・・どんなことが起ころうと・・・ 

 僕の心は君だけにしか向かわない・・・    
 だから・・・僕を・・僕の心だけを見て・・・」

彼女は無言のまま、僕に回して作った拳に力を込めた。

「・・・・・・ドンヒョクssi・・・・・・」

「ん?」

「あなたにはきっと・・・女心は一生わからないわ・・・」

「そうなの?」

    聞かなかった方が苦しくないこともあるのよ・・・

    フランク・・・

「でも・・・いいわ・・・私に話すことは全て本当のこと・・・
 それは私だけの・・・ドンヒョクssiの心・・・そうなのね・・・」

    ソフィアさんが言ったわ・・・

    フランクの心は・・・あなたには重すぎる・・・

    でも・・・


    それでも・・・私は・・・

    あなたの心を背負いたい・・・


「ん・・・」

「ドンヒョクssi・・・私、行きたいところがあるの・・凄くおしゃれして・・・」

「何処?」

「Three Hundred roses・・・」

「Three Hundred roses?・・・ラスベガスの?」

「NYにもできたのよ・・・あの高級レストラン・・・
 一度行ってみたかったんだ」

「ああ・・いいよ・・・じゃあ、早速予約入れよう・・
 美容室の予約も入れておくよ・・・」

「うん」

「機嫌直してくれた?」

「ごめんなさい・・・」

「じゃあ・・・キスしてい・・」
「だか・・・ぅっ・・」

     ごめん、もう・・・


        ・・・聞かない・・・
 
    

 


 

      






 

 


 

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