2010-05-20 08:40:23.0
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

mirage sidestory-Reymond-2

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mirage sidestory-Reymond-2


      

 

あの時私はフランクがジニョンの元に向かったことを、配下の者からの連絡で確認すると、
ジニョンを探し、時間を見計らって彼女に言葉を掛けた。

案の定タイミング良くその場に現れたフランクが、私のジニョンへのちょっかいに怒りを露にし
私の背中に鋭い刃のような視線を突き刺してきた。

   そう・・・その調子だ

   もっと・・・怒れ・・・フランク・・・


それが私の目的・・・
フランクを怒らせれば、彼は必ずこちらの思う通りに動く


しかし彼女の涙が・・・何故なんだろう・・・

今度は私を正面から突き刺した


   泣かないで・・・

「ジニョン・・・泣くのはお止め・・・」

彼女の俯き濡れたまつげが私の胸を切なく疼かせていた。

   いったい・・・どうしたと言うんだ
   彼女に近づいたのは手段に過ぎないはず・・・


   それなのに何故か・・・


彼らを乗せた車が走り去るのを、私は妙に複雑な気持ちで見送っていた。

   何をそんなに動揺することがある

   レイモンド・・・お前は目的を果たしているだけだ


しかしいつまでも私の脳裏から、彼女の涙顔が離れてくれなかった。




 

 「どうしてあんなことをしたんです?父さん。・・私を信じられませんか・・・」

兄、ライアンがフランクを陥れるべく、裏で動いていたことを知った私は
兄にではなく、父でありボスであるアンドルフ・パーキンに食って掛かった。

「兄さんがやろうとしたことをあなたは何故止めなかった?
 フランク・シンに資金的な余裕があったなら、私達は今頃簡単に敗北してる。」

   そうだ。そのまま沈んでしまえば良かったんだ


「レイモンド!何だ!その言い方は!まるで俺達が奴に負けたような・・
 株は大半を買い戻したんだぞ!」

「もう少しで彼にしてやられるところだった」

「お前が父さんの意向に反して、なかなか成果を上げないから
 援護射撃してやろうと動いてやったものを」

「余計なことだ」

「何!」

「止めなさい・・・」 父がやっと割って入った。

「・・・・・」

「レイモンド・・・私は確かにこの一件をお前に任せた
 しかし・・時間が掛かりすぎているのは事実だ
 私はフランク・シンが欲しい・・お前にそう言った
 それと、韓国のソウルホテルは何の関係があるというんだ
 どうして、フランク・シンにそれほどてこずる・・」

「父さん・・この件は俺にやらせてくれ・・
 フランク・シンという男を何とかすりゃあいいんだろ?
 そんなこと、赤子の手を捻るより容易いことだ」

「余計なことをするな。フランク・シンはあんたには手におえない」
 
「何?!兄貴に向かってその口の利き方は何だ!
 お前がわざわざ入り込んだ大学にフランクの女がいるんだろ?
 何をひと月以上もかけて遊んでる?そんな女・・・」

   そんな女?

「余計なことをするな・・・
    そう言ったのが・・聞えなかったか・・・」

私がライアンの胸倉を掴んで睨みを利かせた瞬間、ライアンの側近が私の背後を
瞬時に取り巻き、私の側近がそのまた背後にぴたりとついた。

私は自分が何に対して熱くなっているのか、その事実に目をつぶるために
ライアンに喧嘩を売っているのかも知れない。そんな思いがふと、胸に過ぎった。


「この案件は・・・レイモンドに一任している・・・
 以後、レイモンドの指示を無視するな」

絶対であるボスの言葉に、不満を露にしながらもライアンは部屋を出て行った。


「レイ・・・
 お前がどうしてそれほどにこの案件に熱を入れるのか・・・
 いつも醒めたような仕事の仕方しかしなかったお前が・・・
 フランク・シンはそれほどにお前を熱くするのか・・・」

「熱く?・・・そんなに熱くなっているように見えますか?・・・
 私はいたって冷静ですよ・・ボス・・・」

   冷静?・・・どこが冷静なんだ?

   確かに私はどうかしている・・・



「レイ・・・今日が何の日か・・・覚えているか?」

   忘れるはずがない



「お前と私にとって・・・大切な人を失った日だ・・・」

   あなたにそんな風に言って欲しくはないよ、父さん・・・



「私にとって。・・・です」

「・・・・レイ・・・」

「そして・・あなたが・・・
 その人から私を・・・奪った日でもある・・・」

   いいや、違う・・・

「ふ・・・冗談ですよ・・・遠い昔の話です」

「恨んでいるのか」

   恨み?・・・

   恨むことであの人が戻るなら

   この世の全てを恨みつくしたさ

「恨み?・・・そんなもの・・・
 エネルギーの無駄遣いだ・・・ボス・・・お任せ下さい・・・」

私は忠誠を誓うかのように胸に軽く手を当てて目を伏せ頭を垂れた。

「フランク・シンは必ずや・・・あなたの御前に・・・」


   そう、私にはもうあなたに沿った途しかない


     何も・・・私にはもう


        ・・・何も無いじゃないですか・・・

 

 
      


 

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