2010-06-18 08:49:19.0
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

mirageside-Reymond-11

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mirage side story Reymond




  

  《ライアン陣営が騒々しくなってきた》

ソニーから受けた彼らの動きに関する報告を気にかけながらも私は
フランクをことごとく煽っていた。


  《私は決して気が長くないんでね・・・》
  

いや・・・彼らふたりに対して、私はあまりに時間を費やしてしまった。

それがライアン陣営に疑念と余裕を与えることとなっていたのは確かだ。

だからこそ
何としても奴らより早く事を進めなければならない。


  《タイムリミットを・・・
   ジニョンの父上が渡米してくるその時まで・・・》


それにはフランクの怒りを強いて買わなければならなかった。

 


「ボス・・・引退のお考えは変わりませんか?」

このところ父は体の具合が芳しくなく、人間ドッグでの検査としながらもこの数日は
病院で静かに休養を取っていた。数日振りに彼らの前に現れた父に対して、
父の側近最古参のモーガンが苦渋の面持ちでそう言った。


「・・・もういいだろう?・・・私は・・疲れた」
椅子に深く腰掛けた父が物憂げに口を開いた。

「しかし・・・このままではファミリーが分裂しかねません」

「・・・・・」

「組織を守る義務もあなたにはお有りだ。」

モーガンは今までも、父に対して言うべきことをはっきりと進言して来た。
父もまた彼への信頼から、彼の忠告は必ず心に留めた。

しかし今回はそんな彼の言葉をも聞き入れる様子はなく、その決心の固さを
顔に忍ばせていた。

モーガンは、わざとらしく溜息を吐きながらも、本当はとうにわかっていた父の思いを
仕方なくも受け入れていたようだった。

そして父は私に視線を移してこう言った。

「いいだろ?・・・もう・・・
 私を・・・自由にしてくれないか?」

父のその目がまるで私にすがっているようだった。

 


父は数日前に横になっていた病室で私にこう言った。

   《レイモンド・・・
    お前の母さんが眠る韓国に行ってもいいか
    そこで余生を送ってもいいか》

   《余生?あなたらしくもないお言葉ですね
    それに・・・母さんはあなたなど、待ってはいない》

   《それでも・・・行きたい・・・
    お前が・・・許してくれるなら・・・》

父のその弱弱しい言葉にその後私は、何も答えなかった。

 

 


「引き継いでくれるだろ?・・・レイモンド・・私は・・・ずっと待っていた・・・
 この時を待っていた・・・
 お前が大人になるのを待っていたんだ」

            止めてくれ・・・
     そんな目で僕を見るな・・・

「嫌だと言ったら?」 私の思わぬ返事に父は驚きを隠さなかった。

「・・・・・」

「自由にしてくれ?
 あなたがそんなことを言うのか?・・・
 あなたが・・・僕の自由を・・僕の愛を残らず奪ったあなたが・・・
 そのあなたが・・・自由が欲しい?笑わせるな!」

「若!」

この年まで、父に対して意識的に反抗することさえしなかった私が
冷ややかに放つ言葉をソニーが慌てて制した。

周りにいた幹部達も私の態度に固唾を呑んでいた。

「僕が大人になるのを待っていた?疲れたから?引退したい?
 そして僕に・・あなたと同じ運命を背負わせるのか!」

「若・・・お止めください」

ソニーが今度は私と父の間に体を入れて立ちはだかった。

どけ!この人には言いたいことが・・」

「言いたいことが・・・山ほどあるんだろうな・・・レイモンド・・・」

父は今まで見せたことがないような寂しい目で、まるで判決を待つかのように
私を見上げていた。


「ボス・・・若は決して本気ではございますまい
 ご心配召されるな・・我々が若を必ずや・・・ボスの地位に・・・
 りっぱな跡継ぎにお育て申し上げる」

モーガンがその場を収めるように私の言葉を遮ると、ソニーに向かって、
私をこの場から連れて出るよう合図を送っていた。

私もまた正直、今この場にいることを望んではいなかった。
このままだと、私は父に対して取り返しのつかないことを口走ってしまいそうだった。
モーガンもソニーもいつもと様子が違う私を察していたに違いない。
私は彼らの言うままにその部屋を後にした。


父はきっと大分前からこの時を決めていた

だから、私の右腕となりうる男・・・フランク・シンを執拗に求めていた
このファミリーを確固たるものにした上で私に引継ぎたかった

そのことに私も気づいていなかったわけではない

しかし・・・私は・・・
その父の思いを利用して別のことを考えている

父にとって・・・大きな裏切りとなることを・・・

そのためには私は鬼にもなる

蛇にもなる・・・そう決めたんだ


しかし父さん・・・

あなたに奪われたと言った・・・僕の愛・・・

もう二度といらないと

捨て去ったはずの・・・愛・・・


その愛が・・・


僕の心の中に涙を落とすんです


何故か・・・


寂しいと・・・恋しいと・・・

 

・・・泣くんです・・・


 

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