2010-09-20 21:13:08.0
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

mirageside-Reymond-19

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ジニョンの身辺が四方八方で守られていることを改めて確認した後、私はその足で
NYグランドホテルへと向かった。

たった今までジニョンとの話題の渦中にいたフランクと、5年前、私達の前から
忽然と姿を消した義母に会う為・・・

そして・・・私の疎ましい人生に決着をつける為・・・

 

ホテルに到着するとソニーが既にエントランスで私を待ち構えていた。

「ひとりで行くと言ったはずだが?」 私はソニーを厳しく睨みつけた。

「たった今、昨日の輩を捕らえました」

ソニーはそんな私にお構いなしに自分の用件だけを話し始めた。

昨日、JFK空港に待機していた義母の車に既にライアンからの刺客が待ち受けていたことを
私は早くから察していた。


「!やはり・・そうだったのか」

「はい」

「・・・・」

「まだ何処に潜んでいるやもしれません・・ですからどうか」

「ひとりで行く。」

「お供させて下さい」

「駄目だ・・フランクとの約束だと言っただろ?」

「ご心配なく・・入り口でお待ち申し上げるだけです」

ソニーはそう言って、私に有無を言わせず私の前を歩いた。

「フッ・・・勝手にしろ」

「はい」

ソニーの心配は理解していた。

彼がこの所執拗に私のそばにいることを望む。

彼の言葉が決して大げさなことではない程に私の周辺が緊迫した状況であることも・・・

今や私の敵はライアンだけではない・・・

組織の人間全部を敵に回してしまったかもしれない。
今こうしてすれ違う見知らぬ人間から突如として刃を向けられたところで
決して不思議なことではなかった。

 

もしもそんなことが起こったら・・・
ソニーはきっと身を挺してでも私を守ろうとするだろう。

それが怖かった・・・

私は自分のことよりも、ソニーを守りたかった。

この18年・・・私から片時も離れることなく人生を共にしたソニーに・・・

一度でもいい・・安楽な人生を与えてやりたかった。

そのためにも・・私は必ず勝たなければならない。

もしも私が敗れることがあったなら・・間違いなく彼は自分の人生にも幕を引く

そんなことがあっては・・・ならない・・・

決して・・・ならない・・・

 

25階の特別客室エリアでエレベーターを降り、2503号室・・・
彼らの待つ部屋の前に辿り着いた時、ソニーは少し安堵したように私に笑顔を向けた。

「若・・・では」

「ん・・」

 

 

フランクに迎え入れられてその部屋に入るとフランクの肩越しに懐かしい人が見えた。

相変わらずの美しさを湛えながら、いかにも僕を意識したように静かに佇んでいた。

「お久しぶりです・・・母上・・・」

「まだ・・母と呼んでくれるの?」

「あなたがパーキンの名を捨てない限り・・」

「アンドルフは・・お元気?」

  義母さん・・・


  あなたがパーキンの名を捨てないのは・・・

 

「買っていただきたいものがあります・・・
 あなたが私達を襲ってまで欲しがっているもの・・・」

フランクの声が私の背後から時を急がせた。


  ああ・・そうだったね・・・

  君がそれを私の前に持ってくるのを

  待っていたんだよ・・・フランク
    

「君の望みは?」

「たったひとつ。」


  そう・・君の望みは最初から最後まで・・・

  たったひとつだけ・・・

 

  そのことが私にジニョンとの出会いを

  余儀なくさせた・・・

  しかし・・・これでやっと・・・


  君たちともお別れだ・・・

 

 

「何をする気なの?そんなことをしたらアンドルフがどうなるか!あなた!
 父親を売る気?!」

 
  そして義母さん・・・

 

  あなたの望みも・・・たったひとつだけ・・・

 

  やはりそうだったんですね・・・

  それが今・・・わかりました


  しかし・・義母さん・・許してください・・・

 

  僕はもう・・・

  止まることはできないんです・・・

 

「父さんも・・罪を償う必要があるんです
 トップとして・・責任を負わなければなりません・・

 いいですか?
 あなたは・・待てますか?」

私はまるで愛する人を宥めるようにいつのまにか、私よりも小さくなった義母の髪を
優しく撫でていた。

 

  
   《レイモンド・・・レイというのね

    なんて可愛い子なんでしょう・・・

    今日から私があなたのお母さまよ》


   《僕に触るな!》


   《レ・・イ・・》


   《レイ・・なんて・・呼ぶな!

    ママでもないのに呼ぶな!》

 

    
  ごめんなさい・・・

  あなたを傷つけていたのは・・

    この僕だった・・・


  あの頃・・・

  誰も僕のことなどわかってくれないと

  自暴自棄になっていた


  突然 母親から引き離され

  その母にもこの世に置き去りにされた


  あなたにとって僕という存在が

  あなたの・・・いや、あなた達の胸を

  どれほど苦しめていたのか・・・

  そんなこともわからずに

  自分だけが傷つけられたと誤解した

  
「・・・パーキン家は・・
 僕のこの手でマフィア組織を消滅させます

 いいですね・・・
 それでも・・・パーキンの名を捨てませんか?」

「・・・ええ・・ええ・・・あなたがまだ・・私を・・・
 母と・・・呼んでくれるなら・・・」

     

 

どれほど足掻き・・どれほど悔やみ・・・

どれほど力の限り拒絶したところで・・・

そうなんです・・・

僕はやはり・・・

レイモンド・パーキンでしかない・・・

   マム・・・僕は・・・


   やっとそれを・・・

 
 

       ・・・受け入れます・・・

    

 


 

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