おもかげ消せないって言うのが・・・
久しぶりに友人と食事した。
都心の、豪華ではないけど、なかなかおいしいと評判の、エキゾチックなカレー屋さんでの出来事。
ヨーグルトで仕上げた深い味わいのえびカレー、ぴりりとスパイスの効いたタンドリーチキン、ガーリックとハチミツのナン・・・、テーブルに並んだインド料理の数々、それらにがぶりついて、赤ワインを飲んで、私たち三人はぺちゃくちゃとおしゃべりしていた。
そのとき、ざわめきの向こうに聞こえてきた声・・、
「・・だからさ、ヨン様がさ~」
え?なになに?
今、なんて言ったの?
声のするほうを見れば、そこには20代後半とおぼしき女性4人組が、同じように、スパイシーな香りの中でニコニコおしゃべりしている。
「そうそう、・・・で、たいていハマるのよね~。」
「私もね、最初は・・・・って思っていたんだけど・・・」
「あら、そう?・・・どうってことないわよ。」
「それがさ、・・・冬ソナでしょ、それがね、・・・でね・・・」
「で、ここにもそういう人がもうひとり追加ってわけね・・・」
あははは・・・、女4人の高笑いが響く。
なになに?聞き耳をたてても、周囲の雑音が耳に入って、よく聞き取れない。
思わず立ち上がりそうになる。
ちょっと話しかけてみちゃったりして・・・。
たとえば、
『あなたたち、なんのお話?』
いや、ちがったわ、
『あの~、ちょっとお聞きしますが、あなた、ヨンジュンさんがお好きと小耳にはさみましたが・・・」』
いやいや、ここは不審者に見られないように、
『あの、私はあやしい者ではありません。・・・・・お若いのに、ヨンサマお好きとか・・・、どこがいいの、あんな人?』
いやいや、ちがったわ、これじゃ話が違うほうにいっちゃう。
『私も入れて!じつはさ~、私もね~・・・』
ちょっとなれなれしい。
あれこれとひとり思い悩む私。
そうこうしているうちに、当然のことながら、私の思惑とは関係なく、彼女たちの話題は新しい別のものに移っていったらしい。
すでに、『ヨンサマ』のかけらも聞こえないようだ。
あらあら、ずいぶんとうつり気な・・・。
そう思いつつ、やっぱり私はにんまりする。
みんな『冬ソナ』から入るのね、と。
そして、誰だか知らない彼女たちに、心の中でつぶやく。
そこのあなた、心の片隅には、まだ彼が残っているんでしょうね。
話題はどこかに移っていっても、彼のおもかげは消せないっていうのが正しいファンのあり方なんだよ、(え?そうだっけ?)
だから、私ら、せつない思いを、もうず~っとしてるんだよ、
わかってるでしょうね?
もしもし!
以上、不審きわまりないオバサンのひとりごとでした。
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