2007-12-12 00:22:25.0
テーマ:【創作】短編 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)


☆心痛むあまりに、『24話のあとに(その2)』の代わりに、こんなお話を書いてしまいました。いわば、自分の気持ちにけじめをつけるためのお話です。

はっきり言って、まだ不十分なところが多々あります。たぶん、手直しすることになると思います。

 ・・・たとえば、『パイレーツ・オブ・カリビアン』も、死んだと思われていた主人公の海賊さんを復活させましたよね。

 となれば、愛するタムドクについても、こんな感じにしてしまってもいいんじゃないかと思うんです。

ご不快に思われた方、ごめんなさい、スルーしてくださいませ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 扉を開けると、ほのかな灯りの中に寝台の上に、その人がすわっているのが見えた。

「遅くなってごめん。おなかすいたんじゃない?」

声をかけると、かすかな笑みを浮かべる。

「アジクは寝たのか?」

「うん。

親子そろって、ほんとに手がかかるんだから。」

わざとそんなことを言ってみると、その人は恥ずかしそうな顔になった。

「すまない、俺のことを一番よくわかっているのは、やっぱりおまえだから。」

「あ・・、そんなつもりで言ったんじゃないの。
イングニムは、いばってていいんだからね。
スジニ、おれは空腹だ、もっと早く夕餉を運んで来い、とかさ・・。」

あはは・・、と笑ってみせたけど、やっぱりその人は、無精ひげにおおわれた端整な顔に、さびしそうな笑みを浮かべただけだった。


元気になるまでもうちょっとかな、
スジニは手に持った盆を寝台近くの座卓に乗せた。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 アブラム寺の決戦の日から二か月近くがたっていた。

 あの日、黒朱雀に変身した姉のキハといっしょに眩い光の中にタムドクが消えていったとき、スジニはキハの子アジクを腕にかかえたまま、声の限りに叫んでいた。
イングニム~!と。

 それを聞きつけたのか、まずクァンミ城主チョロが、次に斧を片手にチュムチが駆けつけてきたのだった。
すぐに何か大変なことが起こりつつあるのを見てとったふたりは、ためらう様子もなく、鮮烈な光の向こう側に飛び込んでいった。
ふたりが死んだように動かないひとつの身体を抱えて引き返してきたのは、それからしばらく経ってからのことだった。

『取り返して来たぞ!』

チュムチの焼け焦げた顔がにっと笑い、確かめるようにふり向いたスジニに、ちりちりになった長い髪を振り乱したままチョロが黙ってうなずいた。


 そばに寄ってのぞいてみると、それは、鎧や胴着などあちこち焼けただれていたが、確かに彼だった。
いつものようにきれいな顔で、静かに眠っているように見えた。

『ほんとに、帰ってきてくれたんだよね?』

あとからあとから、ぽろぽろと涙がこぼれて仕方がなかった。
イングニムはただ眠っているだけだよね、すぐに目を覚ますよね、と。

 本当は、「もうひとりの人」のことについても、どうしたのかとちゃんと聞きたかった。
でも、なぜかそれはとても聞いてはいけないことのような気がした。
そうでなくても、いつのまにか目を覚ましたアジクがわあわあと泣き喚いていたからだ。

 

 スジニが姉のことを聞いたのは、あれから何日も経ってからのことだった。
尋ねてもいないのに、誰にともなくクァンミ城主チョロが、ぼそりと言ったのだった。

「結局、大神官はみつけられなかったんだ。」


やっぱり・・、とスジニは思った。

姉貴はイングニムをこっちの世界に追い返して、そうして、ひとりで逝ったんだ。
私はだいじょうぶ、と。
なぜなら、イングニムが姉貴のかなしみをひとりで引き受けようとしていたのがわかったからだ。
だって、イングニムのことをいちばんわかっていたのは、姉貴だったもの。
そして、イングニムだって・・。

だいたい、イングニムはやさしすぎるんだ。
だから、姉貴をひとりで逝かせられなくて、
だから、あのとき、天弓で射ることができなくて・・・。

もしかしたら、イングニムが天弓を破壊したのは、もっと別の理由があったのかもしれないと、スジニは思った。
でも、どっちにしても、姉貴は帰ってこない、それがすべてだ・・・。

こうして、やっとスジニは自分の中で区切りをつけたのだった。

 

 そしてともかくも、タムドクは、生きて国内城に帰ってきたのだった。
火傷のあとはあちこちにあったが、不思議なことに致命傷となるようなものはひとつもなく、まさに奇跡だ、さすがチュシンの王だと人々は噂しあった。

 本当のところ、それから何度か危険な状態になるときもあったのだ。
だが、そのたびに、生き残ったコムル村の人々や城内の人々の手厚い看護と、それからタムドク自身の驚異的な体力で、それを乗り越えたのだった。

 とはいえ、タムドクが心に受けた衝撃はかなりなものがあったようだ。

 横になって一日のほとんどをすごすという日々が、まだ続いていた。
以前の快活さは陰をひそめ、必要なこと以外は話す気になんかならないという顔でいる。
あのとき、なぜ、光の向こうに行こうとしたのか、そこで何があったのか、周囲の者たちは気遣って彼に尋ねようとしないし、彼も何も語ろうとしないままなのだ。

元通りに政務が取れるようになるまで、まだ時間がかかりそうな気配だった。


 そんな中で、タムドクは、食事の世話やら着替えやら身の回りのことについては、何かにつけてスジニを側に呼びたがった。
 スジニとしてもそれがうれしいのだが、どうしても他の用事で呼ばれてもすぐに駆けつけることができないこともある。
それに、キハの子アジクの母親代わりを務めなければならない。
チョロの目も気になる。

「おまえは忙しいのだから、ほかの女に頼めばいいだろう?」

スジニの男でもないのに、おせっかいにもそんなことを言ったりする。
普段はすごく口数の少ない男なのだが。

 だが、それはまだいい、
クァンミ城主はまだ聞き分けがいいのだから。

 問題は、ほかの女たちなのである。

「スジニはアジク様のことで手が離せないので、代わりに私が参りました、なんて言っても、全然だめなのよ。スジニの手が空いてからでいい、なんておっしゃるんだもの。」

 ほんと、しょうがないイングニムだねなんてあきれたふりをしながら、スジニは胸がどきどきするのだった。
姉のことを思えば、そんなことさえうしろめたい気持ちになるのだけど。


 その一方で、このごろになってだが、タムドクは師匠のヒョンゴを呼んで、長い時間ふたりだけで話し込んだりするようにもなった。

 イングニム、なんだって?などと、周囲の者たちが期待に満ちた顔で尋ねると、ヒョンゴは、いつものように本気とも冗談ともつかない口調で答えるのだ。

「ああ~、
王が生きてここにおられるのは、まさに天の神のなせるワザというものだ、
とかなんとかいう話をしたんだ。
・・・王よ、あなたは光の中でご覧にならなかったか、
天の神が、おごそかに現れたのを。
そして、神はこうおっしゃったのではないか、
・・タムドク王よ、そなたはまだこちらに来てはならぬ。
下界でやるべきことがまだ残っているはずだ、なんてな。
あ~、つまり、人は生きて何をなすべきなのか、
まさにそういったことをだな、尊い神がお決めになっておられる、そういうことだな。」


 そうかなと、その時スジニは思った。
もしそういうことをイングニムに言った人がいるとしたら、それは姉のキハじゃないかという気がしたからだ。
でも、とスジニは思い返す。
誰でもいいけど、そういうことをほんとにイングニムに言ってくれた人がいたのなら、あたしは、その人にこう言うよ、
ありがとうございます、
ほんとに、ありがとうございますって。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 ともかく、生きて帰ってきてくれたんだから、
それに、このごろ、ちゃんとお粥も食べてくれるようになったんだから。

 ほのかな灯りの中で、スジニは、タムドクが粥を口に運ぶのを見ていた。

「おいしい?イングニムが食べるんだからって、腕によりをかけて作ってもらったんだからね。」

「ああ、そうだな。
・・そういえば、昼間、アジクがここへ来たよ。」

「え?!
そうだったの?
知らなかった、いつのまに・・?」

勢い込んで聞くと、やわらかな笑みが返ってくる。

「手習いを見せてくれた。
お前が教えているのか?なかなかよい字を書いていたぞ。」

ああ、とスジニはうなずいた。

誰かに教えられたらしく、アジクはいつのまにか、イングニムと皆が呼んでいる人が、自分の父だということを知っていたのだった。
父上に見せるんだと言っては、一生懸命に、習いたての文字の練習をしたり、棒術の稽古に取り組んだりしている。
それはそれでいいのだが、油断していると部屋中墨だらけにしたり、額にコブを作ったりする。
なにしろ、ワンパクざかりなのだ。
しかたがないだろう、このタムドク王の血を受け継いでいるのだから。

スジニはそう思って、くすりと笑ってしまった。

「なんだ?」

「なんでもない。すごくいいことを思いついたんだ。」

 スジニはそういって、またくすりと笑った。

このおだやかな日々が続いて、イングニムが元気になって、またみんなで楽しく笑えるときがくるといい。
姉貴もきっとそう思ってるよ、きっとさ・・・。

 

★読み返してみたら、あんまりな箇所がたくさんありましたので、あちこち修正しました。つくづくいやになりました。読んでくださった方に申し訳ないです。



[コメント]

1.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 00:38:12.0 BABAR

お久しぶりです。  あのエンディングなにやら消化不良を起こしていました。  そうですよね、こんなお話の続きがあっても・・・  タムドクを思い、彼のことだけを考えて生きてきたスジニの心に  答えてあげなくちゃね。  また、続きを楽しみにしています。


2.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 00:39:23.0 BABAR

 ごめんなさい!二度もコメントを入れてしまいました。  どうか編集お願いします。


3.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 18:40:27.0 pocha♪

こんばんは!スジニがとっても穏やかで、可愛い女性になっていますね^^なんだか、ホッとします・・。本来、頭もよく賢い女性ですものね。最終話でのキハの目は、とっても優しい目でしたよね。決して黒孔雀の目じゃなかった。。出来れば、タムトクとキハの心の会話のようなものが、少しでもあればよかったのかも??いったいスジニはそんないいこと、思いついたのかしら?なんだかとっても気になりますよ^^


4.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 20:11:02.0 yonyon50

こんばんは、来たヨン♪ ファンタジーだもの、生き返ったって全然問題ない!むしろその方が私は嬉しい。なんたってスジニ派ですから(爆) 『好き』と言えないままキハとの子供の世話をすることになって、離れてしまわなければならなかった。それでもタムドクを気にして、チュロに時々は一緒にお酒を飲んであげて、何て頼むいじらしいスジニ。キハはタムドクが自分と一緒に来てくれた、それだけで心は満たされたのかもしれませんね。だから追い返すような事を言った、そんなことが有ってもいいでしょう。傷も癒え、心も持ち直したらスジニと楽しく笑い合ってくれるといいな~。いいこと?何々?気になる・・・


5.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 23:12:41.0 天の青

BABARさん、こんばんは。ひとつ削除させていただきましたよ。あのラストは私は不満足というほどでもなかったんですけど、ただただ悲しくて仕方がなかったんです。あのラストでは、元気なタムドクの姿をもう目にすることもできないってことになるじゃないですか~~~。 だから、日本での放映が始まるにあたって、自分の中でタムドクは生きていると思うことに決めましたの(笑)。


6.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 23:15:54.0 天の青

pocha♪ さん、キハとタムドクは誤解からすれ違ってしまったのでした。どちらかが、もう一歩あゆみよれば、その後の運命はまた別のものになったかもしれないのに。思えば、ふたりはこんな悲劇に向ってひたすら進んでいくばかりだったのでしょうか。でもね、あちらとこちらの世界に分かれてしまっても、ふたりにはアジクがいますものね。それがスジニが思いついた「いいこと」ですよ、きっと。


7.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-12 23:20:45.0 天の青

yonyon50さん、来てくれてありがとう。そうでした、yonyonさんってスジニ派でしたよね。私も、スジニのシンプルさ、大好きです。こんな感じの女性こそ、気苦労の多い太王タムドクには必要なんだと思います。キハはタムドクを本当に愛していたんですね。だから、帰れといったんじゃないでしょうか。それに、なんといっても子供の存在があります。母ばかりか父も亡くなったということになったら、残された子があまりにもかわいそうですものね。そのあたりのことを、実の母親であるキハは考えたのかもね。


8.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-13 22:05:30.0 ふじとろ

こんばんは。お久し振りです。青様が最終回の続きを書くということを楽しみにしておりましたので、のこのこやってまいりました。私は最終回には半ば怒りにも似たショックを受けましたので、自分のブログにはぶつぶつとつぶやいておりますが、ここでは敢えて愚痴らないことにいたします。でも、青様が私の思いとほぼ同じ願いをここでかなえてくれたと、今夜はすっきりとした思いになれました。ありがとうございました。


9.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-13 22:29:23.0 runri

天の青さま、こんばんは~(^0^)/ (ฺ-ω-)ゥンゥンrunriも考えましたよ~、チョロもチョムチもなぜか不死身で生き返ったのですから、タムドクも実は死んではいないって**:..。o○☆*゚¨ アジクとスジニと残ったみんなでまた幸せに暮らすんです。年齢的にもタムドクは38歳まで生きていたのですから、計算が合いませんよね(*-3-) この続編をお待ちしています(`_´)ゞ!!!


10.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-14 18:58:04.0 hahaです。

 お久し振りです。チョイと覗いて・・・仰け反って居ますがァ~...あれェ~ セッセと更新されていたのですね。 全て読んできました。。。あぁぁぁ・・・ステキにまとめられて 『ペーハー・タムドク』 言葉にできない想いが 全て!この場所にアル。 遅れてキタ・・・外野です。 ありがとうござった。!


11.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-14 23:30:19.0 天の青

ふじとろさん、こんばんは。ラスト、衝撃的でしたね。私はタムドクの選択に、感動と満足をおぼえたのですけど、でも、タムドクがこの世からいなくなるということに耐えることができませんでした。で、自分の中で納得させるために、こんな妄想を抱いたわけです。いろんな状況を考えると、やっぱりこのあとも大王として活躍したんだということにしたほうがいいですよね。


12.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-14 23:34:12.0 天の青

runri さん、そうそう、チョロも天弓で射られても死ななかったわけだし、チュムチも槍で胸を突かれたのに、白虎の神物の力で助かったんですよね。だから・・、ってわけじゃないけど、神様っていうのはちゃんと存在して、下界のいろんなことを見てくださっているはずだから、きっとこんなイキなはからいもしてくださるにちがいありません。そうでしょう?つづき・・、あんまり考えてなかったんですけど。スジニの考えた「いいこと」くらいは、お話にしてみましょうかね。


13.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-14 23:38:35.0 天の青

hahaさん、おひさしぶりです。お元気ですか。元気なお声を聞けて、うれしいです。全部読んできてくださったんですか。ありがとう。このお話を手直しして、サークルにアップしました。よかったら、読んでくださいね。


14.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-16 15:36:16.0 やしち

青様、すごくうれしいです。 私もあのエンディング、絶対戻ってくると一人心の最終話を描いて納得してました。 また、元気になったタムドクにあわせてくださいね♪


15.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-17 00:18:06.0 lin

こちらははじめておじゃまします。最終回でタムドクが天弓を折った行為は納得していたんですが、その後の行動は??でした。だって戦闘はまだ続いてるんですよ~そしてスジニと子供にようやく会えたのに・・うっうっ(私はスジニ派ふっ)いろいろな説はあると思いますが、天の青さんの創作のおかげでとってもしあわせな気分です。こんなのもありだよねぇと大きな声で叫びたい!!続き楽しみにしてます。


16.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-17 19:45:02.0 天の青

やしちさん、こちらにまでありがとう。あら、やしちさんもおんなじことを考えていたんですね。そうよ、私たちのタムドクが死んじゃうはずないわよ!きっと、運命の神様が助けてくれるにちがいないです。


17.Re:【創作】タムドクの復活~24話の後に(その2)

2007-12-17 19:48:42.0 天の青

linさん、はじめまして、ですね?スジニ派ですか?私も実はそうかも。キハは朱雀から開放されれば、タムドクに対する複雑な思いを解消させて、愛の記憶を取り戻したと思うんですね。それに、やっぱりお姉さんだから、きっとスジニやタムドクや、それから大事な息子のことを考えてくれたと思うんですよね。・・というわけで、こんなふうになったらいいな、いいえ、なるはず!と、勝手に妄想して書いたのが、このお話なんです。もう少し続けるつもりですので、よかったら読んでくださいね。


 
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