2007-01-03 00:40:33.0
テーマ: カテゴリ:趣味・特技(カメラ)

ささやきの小径

Photo

JR東海の「うましうるわし奈良」のポスターが気になっています。法隆寺の伽藍と“以和為貴”の文字。

私は30歳前後のころ、奈良に惹かれていました。きっかけは20代に読んだ永井路子氏の『茜さす』という小説でした。持統天皇に興味をもった女子大生が大人になっていくというストーリーです。同時期に里中満智子氏の『天上の虹』が始まり(現在も完結していない)、私を奈良とその時代へと夢中にさせました。

一年に何度も旅をしました。一人で行くことが多かったのですが、古道や山の方面などやや寂しい場所へ行く時は、友や妹と一緒に出かけました。そうするうちに、もっともっといろんなことが知りたくなり、歴史小説、推理小説、紀行など奈良に関する本を次々と読み、会津八一氏の歌集、杉本健吉氏の画集、入江泰吉氏などの写真集等も購入(高価なものは無理です)しました。また、地方情報誌『ならら』をはじめ、ガイドブックやムック本もたくさん集めました。

興味をもった時代は、聖徳太子から平安遷都前までの約200年間で、万葉集のころと重なるでしょうか。

奈良に行くと、資料の少ない歴史をあれこれ想像する楽しさと、目にしたものが1000年以上前から続いているかもしれないというワクワクした気持ちを持つことができます。

司馬遼太郎氏が『街道をゆく』の中で「様変わることが常の世の中にあって・・・」と、変わらないもののことをこのように書いています。

人間が海や山を見たいと思うのは、不動なものに接して安心をえたいからではないか。自然だけでなく、人事においても修二会のような不動の事象が継続していることは、山河と同様、この世には移ろわぬものがあるという安堵感を年ごとにたしかめるに相違ない。

そうなのかもしれません。人についても同じで、時間とともに変化したことは喜びであるはずですが、その中に変わらない部分を発見するとうれしかったりします。奈良の変わらないものは、本の中でしか出会えない歴史上の人物を肌に感じさせてくれます。また、太古のことがそこにいる自分と繋がってるような錯覚にもさせます。

 

以前、「いま、奈良にいます」のポスターが欲しいと思っていました。それが先程JR東海のホームページで見られることがわかり、興奮してこんな長い文章になってしまいました。

写真は何度も足を運んだころ撮ったものです。春日大社の二の鳥居から高畑町の志賀直哉旧邸までの細い道を「ささやきの小径」といいます。うっそうとした森の中を通っています。

観光客の多い場所の鹿たちは人に慣れていますが、森の中の鹿はそうではありません。一瞬目があったお互いでしたが、すぐまた森の奥へ消えて行ってしまいました。



[コメント]

1.Re:ささやきの小径

2007-01-03 01:30:51.0 sowon

フォト・ブレイク様こんばんわ。とても深いお話に惹かれて訪問してみました。、「ささやきの小径」のことなつかしく私ももう、ずいぶん昔になりますが春日大社のすぐそばに華道の家元のお家があり先生についていきました。帰り道散策し「志賀直哉邸」にいきました。路地の細道から鹿が覗いたり遊んでいたりいたりして異次元の世界を味わいました。私も京都、奈良は大好きですがこの「ささやきの小径」の名はしりませんでした。中宮寺の弥勒菩薩にもお目にかかりたいです。


2.Re:ささやきの小径

2007-01-03 08:05:28.0 faifu

おはようございます。「ささやきの小径」とは、なんて素敵な名が付いているのでしょう。奈良は母方の出身地で、環濠のある家が今も残っています。母から疲れるほどに先祖の暮らしぶりを聞いていますから、ソクラテスさんの文章に惹かれました。8年前「JR東海奈良学文化講座」に母と受講したときの資料を今引っ張り出して見ています。残念ですが私はその先祖の家を尋ねたことはないのです。


3.Re:ささやきの小径

2007-01-04 04:06:25.0 管理人

sowonさん、はじめまして。「ささやきの小径」は500mほどですが、人間社会が近くにあるとは思えない空間ですね。春日大社から高畑への道は上・中・下と3つの「禰宜道」があるということ。そういえば、他の道も通ったことがあります。「ささやきの小径」は「下の禰宜道」になるようで、なぜここだけそのような名前がついたのかしらん・・・。中宮寺の弥勒菩薩半跏思惟像は美しいですね。聖徳太子の母、穴穂部間人皇女のためのお寺ということですから、母親のイメージなのでしょうか。


4.Re:ささやきの小径

2007-01-04 04:15:41.0 管理人

faifu ・・・raifuさんですよね。環濠があるお宅なんて、歴史がどこまで遡れるのでしょうか。大和三山の見えるあたりの集落ですか?ぜひお母様の実家を訪ねて、いにしえの時代にタイムスリップしてください。


5.Re:ささやきの小径

2007-01-18 12:51:59.0 usshy

25年以上前、夫の転勤で関西に3年半住み、よく名所、旧跡を歩きました。志賀直哉邸も行きました。滝坂の道、山辺の道にも行ったことがあります・・・・。山道に小さなお地蔵さんがいたり、魔崖仏を観たような記憶が・・・はっきりしませんが、休日は混み合うので平日、ひっそりと訪ね歩いたことを懐かしく思い起こさせてくれました。奈良の古寺にも一人でよく行きました。毎月21日の東寺の弘法市には骨董品の掘り出し物はないかと行きましたよ!


6.Re:ささやきの小径

2007-01-18 20:50:26.0 ブログ主(ソクラテス)

さすがusshyさん、奈良は詳しいです。私も滝坂、山の辺歩きました。当尾の里、吉野、天川、室生、柳生など山方面は好きですね。一度、二上山に登ってみたいと思っています。もちろん、古寺や遺跡をたずねての歩きもgood!やはり短期間でもいいから住んでみたいです。いつでも行けるって最高ですね。


7.Re:ささやきの小径

2007-06-25 13:17:16.0 kazyoku

昨年でしたか、キトラ古墳の白虎を鑑賞しました。千数百年の時を超え、狭い古墳の中で筆を走らせて画家に想いを馳せました。腰痛かったろうな、首・肩こったでしょうに・・太古の人々と自分が繋がっていると感じた瞬間・・・ロマンとかけ離れてしまいスミマセン。。「天上の虹」が縁でしょうか、どこかの史料館館には里中真智子さんが監修したパンフレットがありました。


8.Re:ささやきの小径

2007-06-25 14:08:20.0 ブログ主(ソクラテス)

いつだったか、飛鳥大仏と酒船石の中間くらいの資料館に行きました。以前はこんなきれいな建物なかったのに~~と思いながら。その時、そこでちょうど「天上の虹」展やっていいました。今年20巻が出ましたが、ちょうど文武天皇が亡き妃のために陵を造る場面が入っていました。高松塚の近くにある文武天皇陵。そこにも朱雀、白虎、青龍、玄武や天空の星が描かれていたんでしょうね。


 
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