拓本
本日2つ目の記事になってしまいますが、本当はこちらをアップしたいと考えてました。蜂の巣の記事はイレギュラーです。
接写を撮っておもしろいのは何も動植物だけではないだろうと思い、周りを見渡して見つけたのが拓本でした。拓本は元素材の凹凸を利用して墨で影をつくっていくのですが、接写すると和紙の細かい線維がはっきりして面白いかも~って考えたんです。上記は奈良の法華寺にある歌碑の拓本です。拓本自身は歌碑と同じ大きさはあるのですから、約130×35cmの大きさがあります。
ふちはらの おおききさきを うつしみに
あいみるごとく あかきくちびる
歌碑は会津八一氏が法華寺の十一面観音を読んだ有名な歌です。拓本は法華寺を訪れた際に購入しました。掛け軸にでも表装すればいいんですが、そのまま左の封筒に入ったままです。 撮影したのは会津八一氏の雅号“秋艸道人”の『道』の部分です。その字にした意図はとくにありません。あえていうならば、“人生の道”の意味をこめてかな_(^^;)ゞ 紙は生成り色で書道の半紙のような、障子紙のような素材です。撮影したら以外と白く、光でキラキラしていますね。なんでだろ。
私が会津八一氏を知ったのは何回目かの奈良訪問の時でした。確か薬師寺だったと思うのですが、『会津八一と奈良』という本を見つけて購入したからでした。写真好きの私ですから、奈良写真美術館で常設している入江泰吉氏の写真に興味がありました。その入江氏の写真が表紙に見えたので手にとったのだと思います。
新潟出身で奈良へ何度も旅した会津氏。彼は旅人として奈良を想う気持ちを全文ひらがなで詠んでいます。私も旅行で奈良を訪れるのですから、きっと共感するものがあったのでしょう。この本(下記左)は歌の解説と写真があり、私のガイドブックのようでした。旅の前後は付箋を入れて特に何度も読んでいました。
これ↑は後に購入した歌集です。
ある時、会津氏の歌の碑が奈良のあちこちにあることを知りました。その歌碑を巡ることを目的とした旅も出かけたことがあります。猿沢の池あたり、東大寺大仏殿近く、秋篠寺など現在奈良に15ほどあると聞きました。“日吉館”という宿の庭にもあるとか。この宿は文人たちの常宿だったそうで、会津氏もその一人でした。看板も会津氏の書だったかな。もう廃業しちゃったようですけど。
この時期にふさわしい歌をひとつ。 はつなつの かぜとなりぬると みほとけは をゆびのうれに ほのしらすらし 右の本は杉本健吉氏の絵画と会津氏の歌と書がまとめられている書画集です。杉本美術館(愛知県知多半島にある)を訪れた時に購入しました。 この↑写真は1998年5月の唐招提寺です。今も変わってないかな~。
杉本氏を知ったのも法華寺で、会津氏の上記歌の書と杉本氏の十一面観音の版画で構成された作品が展示してあったからです。そのレプリカが売ってたので購入してきました。額に入れて壁にかけていたのですが、実は数ヶ月前にピアノの後ろに落ちちゃいました。未だに拾えず困ってます。
なんだか奈良へ旅したくなってきました。若草山は新緑でそれこそ若草色をしているんだろうなあ。その草の上を鹿の群れが走り回っているだろうなあ・・・と想像してしまいます。
最後は藤原宮址から出土した瓦の拓本です。ものすごい凹凸があって迫力をかんじるのですが、わかりますか?瓦だと歌碑と違って凹凸が逆だからこうなるのかな。
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