女鳥羽川
「あの辺りには分水嶺があるなあ」
亡くなった父がよく私に言った言葉です。
“ぶんすいれい”という言葉の響きがきれいだったこともありますが、その意味を知ってから信州を旅することがさらに楽しくなりました。
父が言った“あの辺り”というのは、諏訪、蓼科、松本辺りのことです。私はスキーや温泉、トレッキングで“この辺り”に出かけることは多いのだと思います。その出かける私に父は“分水嶺”を教えてくれました。山が好きで、河川や橋の土木工事を担当していた父らしい言葉です。
“分水嶺”とは水系が分かれる境界となる山脈のことなのだそうです。
上高地を出発している梓川⇒犀川⇒千曲川⇒信濃川は日本海へ注いでいます。だいたい、この河川が全部繋がった河川であったなんて、父の話を聴くまで考えたこともありませんでした。
諏訪湖を源とする天竜川は太平洋に注いでいます。太平洋側の海辺に住む私にとって、河川の水の注ぐ海といえば太平洋でした。
中央道を東京方面から走らせて、諏訪湖SAを過ぎると岡谷JCです。ここから長野道に入るとすぐに長いトンネルがあります。塩尻峠をくぐるのですね。ここを過ぎると松本はもうすぐです。まだ、長野まで高速道路が通っていない頃は、国道20号でこの峠を越えて行ったものです。冬は凍るし、霧で数m先も見えなくなるし、難所でした。この塩尻峠を超えると水は日本海側に注ぐ水系になります。
甲府方面から八ヶ岳周辺、蓼科と華やかなリゾート地を過ぎ、大門街道を行くと白樺湖に出ます。白樺湖の横、車山~霧ケ峰~美ヶ原を結ぶビーナスラインの出発点が大門峠となります。この峠を過ぎると水系は日本海側に注ぐそうです。霧ケ峰~八島湿原の水は諏訪湖の方へ下りるので太平洋側、美ヶ原の水は梓川に合流するので日本海側です。
“この辺り”は湧き水や小さな流れの多い地域です。分水嶺を知ってから“この辺り”に出かけた時は水がどちらに向うのかを考えるようになりました。これをたどっていくと日本海なのか、太平洋なのか・・・。
本日の写真は松本市内を流れる女鳥羽川です。女鳥羽川は犀川(梓川)と合流する河川なので、信濃川になって日本海へ注ぐ川です。全長は20Kmほどなのに標高差が1500mもあるとか。
前回の美ヶ原高原の記事と同じ旅での撮影です。高原では4時30分に出かけて朝日を見たのですが、ここはその麓。2000mの大地の影になってなかなか太陽が姿を現しませんでした。土手をうろうろしながら待つこと約1時間。ようやく川に陽光が差してきました。5時50分ころでした。
ここには朝陽の当たった草と太陽の方向を向くひまわりたちを掲載しました。
ウェブアルバム
夏旅:松本・美ヶ原 |
コメント作成するにはログインが必要になります。