2008-12-01 22:56:12.0
テーマ:奈良 カテゴリ:趣味・特技(その他)

新薬師寺

Photo

奈良は自然と歴史を楽しめる場所です。神社仏閣や草木に古の物語を探ることができます。また、都が置かれた1300年前のことだけでなく、後の文人や芸術家たちがロマンをもとめて旅した足跡もあり、歴史に歴史が重なっているところだなと思います。さらに、私は中学の修学旅行、20代からの頻繁な自分の旅(ひとり、家族、友などで10回以上)の個人的歴史を持っています。
そのようないろんな歴史が凝縮されて引き継がれている景色の中に身を置くと、恐れ多くも、聖徳太子や持統天皇や聖武天皇などの歴史上の人物が自分の身近な人の思い出であるかのように錯覚することがあります。


まあ、とにかくせっかくならいろいろ下調べ・・・というか、知識を頭に入れて出かけると、より旅がおもしろくなるのだと思います。
今回は急だったせいと紅葉撮影に夢中になっていたので、予習なしで出かてしまいました。写真を整理しながら今ごろ本を見たり、ネット検索したりしています。


写真のお寺は春日大社から歩いて15分ほどのところにある新薬師寺です。光明皇后が聖武天皇の病気祈願で747年に建立したのだそうです。住宅街の中に静かに佇んでいますが、本当はとても大きな伽藍だったとか。そんな址が最近見つかったそうです。

本尊は薬師如来です。でも12神将の方が有名かな。
本堂でいくつかお守りが売っていたのですが、瑠璃(ラビスラズリ)を使用したものが多くありました。なぜ?

   
薬師如来の本名は“薬師瑠璃光如来”とおっしゃるのだそうです。西方の極楽浄土とは反対の東方瑠璃光浄土に住んでおり、その名の通り人々を病や苦しみから癒す方らしいです。《仏像ネット》というサイトによれば、瑠璃光浄土病院の院長みたいなもんで、医療ボランティアみたいな仕事をする方なのだそうです。
西方が死後の世界を約束しているのに対し、瑠璃光浄土は生きている今の世界を約束しているとかで、ちょっと親しみを覚えます。
なんで瑠璃なのかというと、地面が瑠璃でできており、道は金なんだって派手な世界だわさ。でも、金と瑠璃色の配色って、服飾的にはいい色合いかもしれません。

ところで、本来、薬師如来は月光菩薩と日光菩薩という研修医みたいなヤツを従えているそうですが、ここ新薬師寺には2人はいません。災害でいなくなってしまったようです。しかし、警備員である12神将は昔から変わらず円陣を組んで勤務しています。筋骨隆々な彼らは塑像でできていて、その姿はギリシャの彫刻のようです。そのためなのか知りませんが、お堂に大きなステンドグラスがはめ込まれていました。


“みうらじゅん”と“いとうせいこう”の執筆した本に『見仏記』というのがあります。彼らのブツ(彼らはこう呼んでいる)の見方は宗教とか歴史とかにこだわらず、現代人の、自分なりの感覚であり、とても面白く、以外と旅行者的には役に立つのではないかと思います。
みうらじゅんだと思ったけど、新薬師寺の12神将を観るのに堂内をグルグルと走ってみたとか。そうしたら、12体がメリーゴーランドのように見えたとか。うーん、どうだろう。

   

この香↑を購入しました。

仏像の盗難というのが今でもありますが、ここ新薬師寺にあった香薬仏師というかわいい仏像が昭和18年に盗まれてしまったそうです。未だに出てこないとか。どこか外国に売られてしまったか・・・。

ここの境内は萩が有名です。その花の時期は華やかなのだろうなと思っていたら、葉の黄葉もいけてます。萩の葉も色づくんですね。
前ブログの水面の落ち葉のような池があったり、お抹茶で休憩するところがあったりと、なかなか女性が好みそうな静かなお寺でした。

ちなみに、余談ですが、そのとなりにある奈良市写真美術館が大好きです。故・入江泰吉さんの素敵な写真の展示やや奈良に関する本が読めます。


今日の写真はすべて新薬師寺で撮影したものです。どのお寺もそうですが、堂内撮影禁止なんですよね。だから、つい仏像をみることがおろそかになる私でした。

お寺に行く時に撮影以外で私がすることはご朱印です。拝観料プラスアルファのお金がかかるのですが、集め始めたら止まらなくなりました。みうらじゅんによると、これは仏像のサインなのだとか(本当の意味は違いますよ)。そう思ったらミーハーな私としてはもらわないわけにはいきません。
   



[コメント]

1.Re:新薬師寺

2008-12-02 15:04:14.0 yu-53

こんにちは。
さざんかのやわらかい色がやさしくて、こころ癒される写真です。

奈良もいいですね。2回しか行ったことがないのですが。
広隆寺の弥勒菩薩が大好きで、中宮寺の菩薩半跏像も見てみたいと
思っていたのですが、ついつい京都で降りてしまい、なかなか奈良まで
足を伸ばす事がなかったのです。ソクラテスさんのブログを読んでたら、
大和路を旅したくなりました。

ところで、
弥勒菩薩とよく似た半跏思惟像をソウルの国立中央博物館に見に行っ
た時、学芸員の方に(弥勒菩薩を知ってると言うので)
「広隆寺の弥勒菩薩とペ・ヨンジュン、似てますよね」って言ったら、
笑っていました。
ほんとよく似てると思いますよ。
あの気品あふれる横顔、微笑み…   語り出したら止まらなくなるので
この辺で。

私もご朱印集めていますよ。
天台寺に寂聴さんの法話を聴きに行ったのがきっかけで。
写真を撮るのも撮られるの苦手なものですから、旅の思い出には最高
です。そして、印してくださった方とお話をしてミニ知識を得るのが楽しい
です。
韓国でもご朱印をもらえるって、今春行ってきた友達が教えてくれまし
た。今度行く時は忘れずに持参したいと思います。
ソクラテスさんの集印帖、見事ですね。

コメント削除

2.Re:新薬師寺

2008-12-03 13:25:23.0 ブログ主(ソクラテス)

yu-53さん、お返事が遅くなってすみません。
奈良は京都のような華やかさはありませんが、大陸と日本のつな
がりを感じることもでき、お勧めです。

広隆寺の弥勒菩薩と中宮寺の伝如意輪観音、この二つの半跏像
は本当に美しいです。それにアルカイックスマイルといい、手の形といい、
足の組み方といいよく似ていらっしゃいます。広隆寺の像はアカマツ
の一木造りとか。中宮寺の像は黒くてツルリンとしてブロンズを思わ
せる姿なのですが、こちらも木造なんですってね。やや女性的で色
っぽいです。

広隆寺の弥勒菩薩とヨンジュンさんが似ていらっしゃるという話、どこ
かで聴いたことがあります。優しい顔で考え事をしていらっしゃる姿
がそれを思わせるのでしょうか。


広隆寺は秦氏という朝鮮半島から渡来された氏族のお寺ですね。
聖徳太子とも関係が深く、秦河勝という人物が仕えていたと物語で
読んだことがあります。太子の息子は山背(やましろ)皇子といい
ますが、現在の京都に住んでいた秦氏に育てられたからそういう名
のかなと勝手に思っています。

中宮寺は聖徳太子のお母様、間人皇后のためのお寺だということ
ですから、女性を思わせる像が安置されているのかもしれません。
黒どちらも聖徳太子に関係あるお寺だわ~。

話が飛んでしまいますが、池田理代子氏のマンガ『聖徳太子』はとて
も美しくてかっこいいです。タムドクの眉毛を細くしたような顔です。


韓国のお寺もご朱印があるのですか?渡韓の際は必ず持っていく
ようにします。


3.Re:新薬師寺

2008-12-04 11:48:33.0 yu-53

おはようございます。
こちらは大掃除日和?の良い天気ですが・・・まだいいか~と又こちらに
お邪魔しています。

聖徳太子ゆかりの寺っていろいろあるんですね。
勉強になります。ありがとうございました。マンガ『聖徳太子』も読んで見
たいと思います。
中宮寺の菩薩半跏像は東京国立博物館で公開された時、見に行きまし
た。美しかったです。こういう時は四方から見れていいです。
でも、お寺で見るとまた違うんでしょうね。
黒光りしてたのが印象的でした。

昨日の朝○新聞に
「阿修羅ファンクラブ」の会長で「見仏記」の著者みうらじゅんさん.....と
紹介がありました。ソクラテスさんのブログを読んでなかったら、読み流
していた記事かもしれません。
「国宝 阿修羅展」が来春開催されるそうですが、混雑するんでしょうね。

ご朱印の話ですが日本のものとは違うかも…いい加減な情報でごめん
なさいね。友人は慶州の『仏国寺』 『石窟庵』でもらったそうです。未だ
見せてもらっていないので何とも言えませんが。

ヨンジュンは韓国のどんな所を紹介してくれるのでしょうか。
楽しみですね。

コメント削除

4.Re:新薬師寺

2008-12-04 14:20:31.0 ブログ主(ソクラテス)

yu-53さん、阿修羅のステキな情報をありがとうございます。
ヽ(*'0'*)ツ ワァオォ!!絶対に観にいきます!
興福寺の宝物館でガラスケースに入った阿修羅が生身で観る事がで
きますね。しかも360度可能だということで、正面以外の顔も良く見
えるって嬉しいです。それに、もしかしたら上記URLのような写真が
撮れる?わかりませんけど。

2010年に遷都1300年をむかえる奈良はそれに向けていろんな工
事が進んでいるのだそうです。お寺の修復もその一つなんでしょう
か。今年は唐招提寺の修復があり、鑑真和像とかも全国の旅にで
ていましたね。興福寺も何か変えるのかな?

みうらじゅんさんという不思議な方を良く知らないのですが、彼の描
くブツの絵は楽しいです。物凄い仏像オタクのようですよ。JR東海の
「うまし うるわし 奈良」のHP゙に「みうらじゅんの仏像探訪記」のコ
ーナーがあり、彼の絵や探訪の動画があるので、よかったら見てくだ
さい。

余談ですが・・・先日から『見仏記』を我が家で捜しているのです
が、『見仏記2』しか本棚にみつからないのです。捨てた?誰かに
貸した?不安になってきました。以前、ダンボール箱に入れておいて
本を両親が廃品として焼き芋屋さんに渡してしまったことがあるの
で・・・。


 
▼この記事にコメントする

コメント作成するにはログインが必要になります。

[ログインする]


TODAY 219
TOTAL 506705
カレンダー

2024年10月

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
ブロコリblog