新しい「ヨン様」を感じてほしい
元旦を過ぎてから、夫と二人で温泉に行った。
特に話すこともなく、あれこれとひとりで考えていたら、夫がポンと新聞を投げてよこした。
「マンガ、見てごらん。」
マンガ?
それは、社会面に掲載されている4コママンガだった。
初老の夫婦がお雑煮を食べようとしている。
妻「今日のお雑煮は・・・」
夫「キムチが入っている!」
妻「キムチ雑煮!!」
そして、最後に、「ヨン様をしのんで」という妻の言葉のすぐそばには、「いまだにヨン様」という作者のひとことがある。ハートマーク付きで。
夫(マンガじゃなくて、私の、)が言いたいことはわかっている。
世間様っていうのはそんなものなんだよ、でも、いまだに君は『ヨン様』の真っ只中にあるんだね、と、そういうことなのだ。
そう、夫も含めて、そんな認識なのである。
そして、この『いまだヨン様』からはいろんなことがわかる。
① ぺ・ヨンジュンとは過去の人という認識。
実はこれは、最近よく耳にすることである。
昨年年末に出会った知人も、目を丸くして、
「そういう人がまだいたんだ~。
いえね、この間ね、友達と話していたのよ。
あの、ヨン様って騒いでいた人たちって、どこに行っちゃったんだろうって・・・。」
私はなんと返事していいか、わからなかった。
ヨンジュンファンは、まだまだ熱いわよ、なんて答えることはできたが、そんなものではとてもすませることはできないものがあったからだ。
私が『テサギ』の完成を待ちながら、仕事に家事にと平凡な日々を送っているうちに、その日常世界はいつのまにかそんな流れになってしまったのかと思ったのだ。
②『ヨン様』に冬ソナのイメージだけを見ている人々。
冬ソナが、彼を私たちの元に連れてきてくれたことは間違いない。
だから、一般の人々は、ぺ・ヨンジュンに、冬ソナ(または、マフラーを巻いたチュンサン)のイメージを見ている。
そして、5年たった今でも、その傾向が強いことは否めない。
けれども、その間、私は『スキャンダル』のウォンを知り、『四月の雪』でインスを知った。もちろん、冬ソナ以前の作品においても・・。
そんなさまざまな素敵な「彼」が、ぺ・ヨンジュンという俳優の中に内在しているのだということを、私は知っている。
が、巷では、いまだに、ぺ・ヨンジュン=チュンサンなのだ。
「いまだにヨン様」という言葉は、実は、このマンガを書いた作者に、私の知人に、そして当然私の夫も含めた巷の人々に向けたいものなのである。
だから、頼むよ~、と巷の人々に私は言いたいのである。
テレビや映画で放映されている『テサギ』に、ほんのちょっとでも目を向けてほしい。
そこで、タムドクという、まったく知らなかった「ヨン様」を見つけることができるから。
孤独な王子が荒波と戦い、どんなふうに大王となってゆくのか、その心の繊細さ、ふところの深さを感じてほしいから。
それが、ヨンジュンさんの中にある、ひとつの分身にちがいないのだから。
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