2007/04/23 01:05
テーマ:HN(ソクラテス)について カテゴリ:その他(その他)

茶臼岳

Photo

先日、知人たちと那須の茶臼岳に登山をしました。まだ残雪がありましたが、天気が良くて遠くまで見渡せ、眼下には那須高原が広がり、とにかく爽快でした。ここは車とロープーウェイでかなり高いところまで行けるので、1900mの頂上までは約1時間ほどで登れます。イオウガスの噴出する山で、写真でわかるように草木がなく、ゴツゴツした石や岩ばかりです。急な斜面ですから、登りはじめからかなりゼーゼーしてきます。苦しいです。こんな苦しい思いをして、なぜ登るんでしょうね。

 

今回は私のHNが“ソクラテス”となったわけについて記したいと思います。こんな堅苦しいHNで登録してしまい、本当はちょっと恥ずかしいです。下記の言葉から拾いました。

 満足した豚であるよりは不満をもった人間であるほうが、

 また 満足した愚か者であるよりは不満をもったソクラテスで

 あるほうが、より良い                【J.S.Mill】

これは19世紀イギリスの哲学・経済学者であるJ.S.ミルの有名な言葉です。彼の書物は福沢諭吉など自由民権運動の人々らに大きな影響を及ぼしたそうですが、私は彼のことをきちんと学んだわけではありません。また、彼の著書を読んだわけではありません。たまたま、19世紀のイギリスについて調べ物をしているときに出会い、この言葉を知りました。なので、浅い知識と偏った考え方で理解しているかと思います。

ミルのこの言葉は、ベンサムの『功利主義』である「人間の行為の根本的動機は快楽を求めて苦痛を避けること。快=善=幸福」をやや改変した思想の中で述べられています。ベンサムの主義は幸福と満足を混同して考えられているといわれ、「豚の快楽主義」と非難されたようです。また、社会の中の多くの人々が幸福であること、つまり「最大多数の最大幸福」を目標としたそうですが、利己の快楽を追うことと社会の幸福の繋がりが明確になっていないようです。

 

ミルは快楽は量ではなく質に価値があると言っています。また、人が本当に幸福を感じるのは自分の能力を活かして満足を得たときであるということです。つまり、快楽には高級なものと低級なものがあり、人間の知的活動が生み出した高級な快楽が人間を幸福にするのだ・・・と私は彼の言葉を理解しました。

この考えは人は進歩する存在であるということが前提となります。上記文の“豚”と“人間”、“愚か者”と“ソクラテス”の違いで、それが低級な快楽と高級な快楽に繋がるようです。そして、「個性の自由な発展が人の幸福に必要な要素である」と、人の進歩には自由が必要であると『自由論』に記しています。自由とはわがまま勝手に振舞うことを言うのではありません。他人に迷惑をかけない思考、感情、意見、生活などのことでです。

 人は自分自身に対しては、すなわち自分自身の精神と

 身体に対しては、その主権者である      【J.S.Mill】

幸福はそれ自身を直接目的として得られるものではなく、何らかの理想(例えば他人の幸福、人類の向上、芸術・学問など)を目標として追求したときに副産物として得られるのだそうです。幸福になるということは人間らしく生きていくということなのかなと考えます。しかも、常に“より良い”を目指して自分を進歩させていくこと・・・ウーン (Θ_Θ;)

社会の幸福の増大は個人の幸福の増大によるのだそうです。

 

私が考えられたことは以上のようなことです。ちょうどヨンジュンさんに夢中になり始めた頃にミルの思想との出会いがあり、何か一致するものを感じました。そのため、私はHNを“ソクラテス”にしたのです。哲学者としてのソクラテスについては何も知りません。

一生は有限なものですから、どうせ生きるならより幸福でありたいと思います。幸福はとりあえず欲求を満たすものではなく、能力を最大に活かして何かに取り組んでいくことであるとミルについて斜め読みして学びました。

最近の殺伐した事件を知るたびに、人間の能力ってなんだろうと思います。自らの欲求が満たされないことで他人を傷つけたり、命を奪ったりします。現代社会は生きていくことが難しいのか、人の生きていく力が落ちたのか・・・。そんなことも考えてしまいました。

 

ミルは倫理学を「人間性と人間社会についての科学に対応したアートの一部である」と言い、社会科学方法論として三段論法や帰納法についても書いています。知能指数が180であったという頭脳をもった彼について、私がきちんと理解できるはずもなく、このブログをまとめるにあたって、古い本をひっぱりだしてきました。

 

ところで・・・山に登ることは私にとっては快楽を得る行為のように感じますが、幸福に繋がるかは自分しだいなんでしょうね。

難しくて肩の凝りそうな話題になってしまったので、春の那須で撮影した花たちを最後に掲載します。

 

       ヒメオドリコソウ            キクサキイチゲ

 

 

     コブシ                       つくし

 

また、長いブログになりました。読んでいただいた方、感謝いたします。


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