2011/12/29 12:06
テーマ:ラビリンス-過去への旅- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

ラビリンス-22.僕の天使

Photo



助けてくれた船頭は、オープンカフェに食材を運ぶ業者の男だった。
再び彼のボートに乗り込んだジニョンとルカは、念のために
船内にあったホロシートを借りて身を隠した。

そして、20分程して戻った城下のオープンカフェでは
既に数名の店員達が開店準備に追われていた。

「おじさん!困るじゃないか!食材待ってたんだぞ!」
店員のひとりがボートに向かってがなり声を上げた。

慌しくボートが岸に横付けされる中、ジニョンとルカは、
店員達に紛れるようにして陸に降り立った。

そしてふたりは、船頭に済まなさそうに頭を下げた。
船頭はふたりに“早く行け”というように手の甲を振った。

その頃、橋の上は既に観光客で賑わいを見せ始めていたが
ふたりにとってはその方が都合が良かった。

それでもあの男達の待ち伏せを警戒しながら階段を上がり、
留めてあったバイクへと向かった。
何者かによって倒されたと思われるバイクを素早く立ち上げて、
ルカはエンジンを掛けて、壊れていないか確認した。
「大丈夫のようですね」

「ルカ・・早くここを出ましょう」 
ジニョンは直ぐにもバイクに乗ろうと構えた。

「はい・・・あ、でもちょっと待ってください・・」
ルカは一度掛けたエンジンを切ると、ジニョンの手を掴んだ。

「えっ?・・な・・何?」

「・・こっちへ」
彼はジニョンの困惑を無視して彼女の手を引き、橋を渡った。

「何処に行くの?ルカ」

「ジニョンssiに見せたいものが・・・」
そう言いながらルカは観光客が行き交う橋を、城の方へと向かった。

ジニョンも困惑しながらも彼の歩調に合わせ、小走りに歩いた。

「あの城、別名天使の城というんです・・・
 橋の両側に、天使の像が並んでるでしょ?」
歩きながらルカは前方の城を指差して言った。

「ええ、そうね」

「フランクが好きだった城なんです」

「そうなの?」

城に近い端の袂まで来た時、ルカは欄干に聳え立つ
ひとつの像の前でやっと立ち止まり、言った。

「この像・・」

ルカが目の前の像を見上げたので、ジニョンも倣って
それを見上げた。

「フランクがよく見上げていた天使。」

それは十字架を抱いた、美しい天使の像だった。

「僕は・・・勘違いしていました。」

「・・・勘違いって?」

「エマのことだと思っていたんです。つい最近まで」
ルカはその像を見上げながら続けて言った。

「え?」

「“僕の天使”」

「・・・・・・」

「いいえ、そうじゃないんです・・・僕がそう思いたかっただけ・・
 フランクの大事な人がエマであって欲しかっただけなんです
 きっと・・・きっとそうだったんだ。」
ルカの言葉は次第に確信したように聞こえた。

「実際・・・そうじゃないこともわかっていました
 消してしまっていたんです・・自分の記憶の中の事実を・・
 僕自身で・・・消してしまっていたんです」
ルカは遠い自分の記憶を辿るように続けた。

ジニョンはルカが言わんとしていることがまだ理解できないまま
彼の言葉を黙って聞いていた。

「・・・僕はあの時・・はっきりと聞いていたんですから。」

「えっ?」

「一度だけ・・・
 僕がフランクにあのホテルに連れて行ってもらった時のことでした」

「本当にあそこに行ったことがあったのね」

「ええ・・・その時、フランクはこう言いました。

 “ここは僕の天使の部屋だと。

 この世にひとりしかいない僕の天使だけが・・・
 入ることが許される部屋。

  今日君の11歳の誕生日に・・・特別に招待したんだ”と」

「天・・使?」

「ええ・・・フランクはあの時、確かに言いました。

 “ここは僕の天使の部屋・・・

 僕の・・・
ジニョンの部屋だ”と」

ルカはそう言って、ジニョンを優しい笑顔で見つめた。

 

 

 

ドンヒョクに少し遅れてローマに向かっていた4人は、
車中殆ど無言だった。
しかし、何も語らずとも、それぞれが思いを巡らせジニョンを案じていた。

それはエマとて同じことだった。
フランクのホテルに近づいたその時だった。

「ジニョンさん・・・どんな方?」 エマは静かにミンアに聞いた。

「・・・可愛い方です、とても・・・」

「・・・僕の天使」 エマがそう呟いた。

「えっ?」

「何年か前に、ルーフィーが・・いえ、ルカがそう言ったの。
 あの子・・フランクが言ったその言葉を私のことだと思って・・
 私を喜ばせたくて・・こう言ったわ
 “フランクはエマの為に天使の部屋を作ってるんだよ
 ≪僕の天使の部屋≫フランクがそう言ってた”って・・・」

「天使・・・」

「可笑しいでしょ?私のことじゃないって、直ぐにわかったわ・・
 でも・・ルカには言えなかった
 いいえ・・・私自身がきっと否定してたのね・・・
 その事実を・・信じたくなかったから・・・」
エマは自嘲しながら車窓から外を眺めると、隠すように
一筋の涙を流した。
ミンアはエマの手を包み込むように、自分の手をその上に置いた。

レイモンドはそんなふたりの様子をバックミラーから垣間見ていた。





「ルカ・・・これからどうするつもり?」

「トマゾを呼び出します」

「それで?・・私達は何処へ行くの?」

「ひとまず、ヴェネチアへ・・・そこなら安全ですから
 それで、トマゾにひとりで来てもらえるよう話します」

「そんなことして・・大丈夫?」

「トマゾがジュリアーノの部下だから?」

「・・ええ」

「僕はトマゾを信じたいんです。
 彼が僕を騙すなんて、信じられない。
 彼が・・
 僕の父の敵だなんて・・今でも信じられないんです
 だって・・彼もエマと同じで
 僕達をとても可愛がってくれてました
 
 エマだって・・・
 そりゃあ、フランクのことを考えれば、あなたのこと
 快く思ってないかもしれないけど・・・
 彼女だって僕を騙すとは思えない」

「信じてるのね」

「・・・・・信じたい」

「なら・・信じるべきよ」

「ジニョンssi・・・」

「信じたいものは信じるべき」

「あなたを・・捕まえようとしている人間でも?」

「私は捕まらないわ。」

「・・・・・・」

「あなたが守ってくれるもの」

「だって、僕は・・・」

「いっぱしの大人の男でしょ?」

「・・・・ジニョンssi・・・」

「それにあなたは・・・ドンヒョクssiが・・いいえフランクが
 大切に思っていた子・・
 だから・・フランクにあなたを会わせてあげたい」

「そうかな・・・」

「ん?・・」 ルカの寂しげな顔を見て、ジニョンは小首を傾げた。

「フランクにとって僕はもう・・僕たちはもう・・・
 どうでもいい人間じゃないかな・・・
 もう忘れられている・・と思う・・・」
ルカはうなだれたようにそう言った。

「いいえ。あなたの話を聞いて、私思ったわ。
 フランクもあなた達をとても大切に思っていた。
 それはきっと今も変わらないって。」

「・・・本当に?」 ルカの目が一瞬子供のように輝いた。

「ええ。フランクを・・・見くびらないで、ルカ」

そう言ったジニョンをルカは目をまるくして見つめた。

「な~に?私の顔に何か付いてる?」

「いいえ。本当だなと思って。」

「何が?」

「フランクの言ったこと」

「何て言ったの?フランク」

「僕の天使は・・・すごく強くて・・」

「強くて?」

「怖いって」

「えっ?嘘・・」

「嘘」

「ルカ」 ジニョンはルカを横目で優しく睨んだ。


  ルカ・・・僕の天使はね・・・

  すごく強くて・・・すごく優しくて・・・

  いつも・・・どんなときも・・・

  僕を守ってくれるんだ



       へ~守護神みたいだね



  守護神?

  ああ、そうだな・・・守護神だ


フランクはあの時、そう言って遠い空の彼方を見上げていた

今ならわかります

きっとあの時、このローマの地から遥か遠い空の下の
あなたを思っていたんですね、ジニョンssi

「必ず、守ります」
ルカが突然そう言って、ジニョンの手をしっかりと掴んだ。

「えっ?」

「必ず。僕が、あなたをフランクのところへ」

「ええ」

「行きましょう」

「ええ。」

ルカは掴んだジニョンの手を引いて、渡って来た橋を走って戻った。


     あなたは・・・フランクの天使

     フランクの守護神

     そしてきっと・・・僕の守護神だ


           ・・・きっと・・・







 











2011/12/28 22:55
テーマ:ラビリンス-過去への旅- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

ラビリンス-21.悲しい告白

Photo









ルカの告白は続いた。

「・・・数ヶ月前のことでした。エマが妹の誕生日に来てくれて・・
 いつものように一緒に過ごしていたんです。

 僕達が嬉しくて上機嫌だったのは言うまでもなかったけど・・
 この日エマもいつもと違って妙にハイテンションで・・
 ちょっと不思議に思ってたんです。

 僕達とふざけあってたかと思うと・・・
 突然、彼女が急に黙りこくって・・・
 顔を覗くと、彼女の目が潤んでて・・・
 僕は驚いて・・“どうしたのか”って聞いたんです。

 僕・・・そんなエマを見たことがなくて・・・
 とても心配になって・・・
 肩をそっと抱いて、頭を撫でてあげて・・・

 そしたら急に・・
 彼女が声を上げて泣き出して・・・
 どうしたらいいか・・わからなくなりました

 そんな風に泣くなんて・・無かったですから・・。

 そうしたら・・しばらくしてエマが呟いたんです。

 “フランクが・・韓国へ行ったわ”って・・

 ・・その言葉の意味が僕にはわかりませんでした。
 でもただ泣くだけの彼女に・・何も聞けなかった。
 ・・彼女もそれ以上何も言いませんでした。」

「・・・・・・」

「でも一週間ほど前・・トマゾが僕のところへやって来て・・」

「トマゾ?」

「ええ。彼はエマを僕達のところに連れて来てくれた人です。
 彼がこう言いました。
 フランクはエマを裏切って結婚してしまったと。
 エマのために、フランクの前からその女を引き離すんだと。
 ごめんなさい・・あなたのことです。」
ルカはジニョンにすまなさそうに言った。

「ええ・・続けて?」

「エマのためになるなら、僕は何でもすると言いました。」

「それで私のところへ?」

「はい。フランクとMs.グレイスはミラノへ行っていて、
 事務所にはいないと聞いていました。
 でも直ぐにあなたに会えるなんて思わなかった。
 ジョアンさんといるあなたが、フランクの奥さんだなんて・・
 想像できなくて・・・フランクの相手ならその・・もっと・・」

「・・・・言いにくそうね・・・フランクの相手なら、もっと?・・・
 とにかく・・私がフランクの妻には見えなかった
 そうでしょ?」 ジニョンは笑いながら、ルカの言葉を代弁した。

「・・・・・ごめんなさい・・・でもそれは最初だけです。
 その内に・・・“ああ、この人がそうだ”と思えましたから。」
ルカは慌てて打ち消すようにそう言った。

「そう?」

「ええ・・前にも言ったでしょ?あなたがいつも・・
 “フランクを愛してる”って顔してるって・・あれ、本当です」

「ふふ、それは・・何だか少し・・悔しい気分。」
ジニョンはわざと口を尖らせて見せた。

「ははは、仕方ないです、本当ですから・・・それに・・・」

「ん?」

「それに・・・とても温かかった」 
ルカは静かな口調でそう言いながら、ジニョンを優しく見つめた。

「温かい?」

「ええ、あなたを見ていると幸せな顔をしたフランクが見えたんです」

「そうなの?」 ジニョンも優しい眼差しでルカを見つめた。

「約束では・・・直ぐにあなたを連れ出して、
 ミラノでトマゾに引き渡す予定でした。でも・・・」

「でも?」

「・・・・できなかった。」

「何故?」

「わかりません・・ただ・・あなたを見ていると・・・
 トマゾに渡すべきじゃない、そう思ったんです・・・だから・・
 ミラノのホテルを抜け出したんです。あなたを連れて・・・」

「じゃあ、私を助けるために?」

ルカは首を縦に振った。

「そのトマゾという人は・・・
 その人は私をどういう風にしようとしてると思ったの?」

「・・・・エマのためとしか・・わかりません。ただ・・」

「ただ?」

「この二日でわかったことがあります。」

「わかったことって?」

「調べたんです。」
ミラノに来て、時折ルカがひとりで出掛けていたことが
ジニョンの脳裏を過ぎった。

「調べた?・・何を?」

「知らなかったんです。今まで誰も・・教えてくれなかった・・・」

「・・・・・・?」

「ジュリアーノが僕の両親の仇だということ」

「・・・仇?」

「さっき、5年前に僕の両親が亡くなったこと話ましたよね」

「ええ」

「両親は・・泊まっていたホテルの火災で亡くなったんです」

「・・・・・・」

「僕が11で・・妹は6歳でした。」

「・・・・・・」

「僕らは、何が起こったのか理解できなかった。」

ルカはゆっくりと丁寧にジニョンに自分の辛い過去を語り始めた。
ジニョンはまだ決して大人とは言い難い彼の口から語られる
悲しい出来事を、身を切られるような思いで聞いていた。

「僕たちは両親が死んでしまったことさえ、しばらくの間
 教えてもらえませんでした。
 その事実を知ったのは事件から二週間程経った頃です。
 結局僕たちは両親の死に顔すら見れなかったんです。
 ・・・子供心に、理不尽だと思いました。
 悔しくて・・悲しくて・・
 周りの大人たちに食って掛かって、困らせたんです。

 その頃は何もわかってなかったから・・・

 でも・・やっとわかりました・・・
 あの時僕たち兄妹が逃げるように
 ミラノを離れなければならなかった理由」

「理由?」

「ええ、あの火災で僕達兄妹も死んだことになっていたから。
 その事実を知ったのも二日前です。このミラノに来てから。」

「そうなの?」

「僕たちはずっとヴェネチアを出ることを許されませんでした。
 大人になるまでは出てはいけない、と。

 つい最近までそのことに疑問も抱かなかったんです。
 生活に不自由はなかったし・・学校へも通わせてもらって・・
 親がいないことも忘れさせてくれるほど、
 みんなに親切にしてもらってた・・

 僕がお金のことが心配で大学を諦めようとしていたら
 シュベールさんが・・
 あ、彼は僕たちを世話してくれたカーディナルです
 父が残していた資産があるからと、言いました
 それで大学進学も、医者になる望みも叶うと。
 半年後にはアメリカへ留学をして、望みを叶えなさい、
 彼にそう言われました。
 その代わり、それまでは決してここを出てはならないと。」

「そう・・」

「でもヴェネチアを離れてはならない理由が他にもあったんです。」

「・・・・・・」

「僕らが生きていることをジュリアーノに知られないため。
 すべてはジュリアーノの追っ手から僕らを守るためだったんだと・・・」

「追っ手?・・・」

「5年前、フランクと父は、その男のことを・・・
 ジュリアーノ・ビアンコという男のことを探っていました。
 父はジュリアーノを失脚させるための、証人だったそうです。
 父の存在はジュリアーノにとって脅威だったと。
 だからそのために・・・」

「そのために?」

「殺されたんです・・父も・・母も・・」

「そんな・・」

「間違いありません。」
 
「フランクは今、そのジュリアーノという人の仕事をしているわ」

「ええ。そして・・・もうひとつわかったことがあります。」

「もうひとつ?」

トマゾとエマが、ジュリアーノの部下だということ。
 あなたを連れて行く先が、そのジュリアーノのところだということ。」

「・・・・・・」

「僕は・・・何もかも知らなかった。」 
そう言ってルカは両手の拳を握った。

「さっき部屋にいた時、電話があったのはトマゾでした・・
 彼はフランクのホテルの場所を知っていました。」

「だから逃げたの?」

「ええ。」 ルカは辛そうに考え込んでいた。

「・・・これから・・どうするつもり?」

「・・・・どうしていいか・・わからないんです
 僕はエマがとても大事です
 エマのためなら・・どんなことでもできる・・・
 そう思っていました・・いえ、そう思っています」

「・・・・・・」
ジニョンは苦しそうなルカの心情を察し、口元だけで笑顔を作った。

「・・・・・・ねぇ、ルカ・・・」
「ジニョンssi・・あそこに見えるエンジェル・・・」
「えっ?」
ジニョンが口を開くと、ルカが突然橋の欄干を指差した。

「あれは・・・あなた・・」
「えっ?」
ジニョンはルカが指差す方角を見上げようとした。
しかしその先を確認する間もなく、突然ルカが表情を強張らせ、
「シィ・・」とジニョンに向かって指を立た。
そして乱暴に彼女の腕を引くと、そのまま自分の腕に彼女を抱き、
橋の下に隠れるように身を潜めた。

「どうしたの?ル・・」 
その瞬間、ルカは彼女の口を自分の掌で塞いだ。
「うっ・・」 ジニョンは思わず彼の腕中で身を捩って抵抗した。

「いたか!」
「いいや、城にはいなかった!」
その時、頭上から複数の男の声が聞こえた。

そのせいでルカが声を潜めていることに気づいたジニョンは
ルカに“承知した”と目で合図した。
ルカは頷き、ゆっくりとジニョンの口から掌を外した。

「まだこの辺りにいるはずだ!探せ!」
「はい!」
男達は少なくとも4~5人いるような様子だった。

「ルカ」
ジニョンはルカの視線を川面に誘導した。




「逃がしたのか」
橋の上で待っていた男が、駆け寄って来た男達に向かって
苛立ちを見せた。

「はい。我々が川辺に下りた時は一足違いに、ボートで。」

「追わなかったのか?」

「はい・・いえ・・・その・・すごいスピードでして・・」

「!・・・相手はたかが女と子供だぞ。」

「申し訳ありません。」

男は目の前で小さくなる輩から視線を外すとため息を吐いた。





「ありがとうございました」

ジニョンはボートを降りながら、その主に向かって礼を言った。
あの時偶然、川岸に碇泊しようとしていたボートが視界に入り
ジニョンはとっさにルカをそれに誘導した。
そして、物々しい輩に追われているらしいふたりを察した船主は
迷うことなく一度泊めたボートのKEYを回したのだった。

「いや・・気をつけなされ」

「ジニョンssi・・・ここからフランクに連絡してください」
ボートから降りると直ぐにルカが真剣な顔で言った。

「・・・・・・」

「あなたを迎えに来るように。」

「あなたは?」

「僕は・・・トマゾに会います」

「だめよ・・ひとりじゃ駄目。」

「これ以上あなたを危険に晒すわけにはいきません。
 でも僕はトマゾの本心を知りたい。
 エマの本心を知りたい。」

「・・・・私も・・・知りたいわ。」

「いいえ、あなたはフランクのそばにいなきゃ駄目だ。」

「あなたが。・・・
 私をフランクの元に連れて行ってくれるでしょ?」

「・・・ジニョンssi・・・」

「そうでしょ?」

ルカはジニョンの真剣な眼差しに降参したように手を上げた。
「・・・・・わかりました。・・ジニョンssi、一旦あそこへ戻りましょう。」

「あそこ?」

「サンタンジェロ城」

「えっ?だって・・あそこには・・」

「奴らは僕達が直ぐに戻るとは思わないはずです」




その頃、ドンヒョクはサンタンジェロ城に続く橋の袂で、
見慣れたバイクを見つけ、その周辺にジニョンとルカがいると
懸命に探していた。

しかし、ふたりの姿は何処にも無かった。
しばらくの間、バイクのそばで待ったが、それも無駄だった。

「いったい・・・何処へ・・・」

その時、ドンヒョクの電話が鳴って、彼は慌てて応答した。
「ジニョン?」

電話の主はレイモンドだった。

「まだ見つからないのか」 レイモンドが言った。

「ああ」

「もうすぐローマに着く」

「・・・・・・」

「とにかく会おう、エマを連れて来た」

「・・・・・・」

「フランク。」

「会いたくない。」

「策を練ろう・・今は・・溜飲を下げろ。
 ジニョンのことは・・エマは知らなかったことだ。
 ジョアンにもどうすることもできなかった。
 そうだろ?
 ジニョンは今・・彼女の意思でルカと行動を共にしている。
 違うか?」
レイモンドはドンヒョクを諭すように言った。

「・・・・・・」

「フランク!」

「・・・・ホテルへ。」 ドンヒョクは声の調子を下げて答えた。

「わかった。」


わかっていた。
確かにそうだった。今、ジニョンは自分の意思でルカと一緒にいる。

 ― なら、連絡することもできるはず。 ―


「どうして、連絡しない!」

ドンヒョクは胸を掻き毟られるほどの怒りと不安に震え
傍らのバイクを苛立ち紛れに押し倒した。


   ・・・何故だ!ジニョン・・・

























 


2011/12/11 22:14
テーマ:ラビリンス-過去への旅- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

ラビリンス-20.フランクの心

Photo


《ラビリンスをお読みくださっている皆様へ》

上映会の日までには書き上げようと思っていた作品が、その期間MVで頭がいっぱいになってしまい
こんなにも遅くなってしまいました。皆様ももうストーリーもお忘れになったことでしょう(笑)
できれば最初から再読していただき、この回に入っていただきたいところですが
そんな時間の無い方のために、少しだけあらすじを^^
------------------------------------------
【ここまでのお話】
 ドンヒョクは10年の時を経て、やっとジニョンと結ばれた。
結婚式の1週間後、予ねてより依頼を受けていた仕事のためにふたりはイタリアの地を訪れた。
イタリア・フィレンチェにはドンヒョクの事務所があり、そこで働くミンアとジョアンの手により
或る人物から依頼された案件は既に進行していた。
 フィレンチェに着いた早々ジニョンは、仕事を理由にドンヒョクから置き去りにされてしまった。
それに憤慨したジニョンがジョアンを嗾けてドンヒョクの後を追い掛けようとするが
そこにルカという謎の女性が現れ、ジニョンとジョアンと行動を共にすることになる。
ジニョンはジョアンと共に、ドンヒョクに知れぬよう背後で彼の行動を伺う内に、
彼の傍らに寄り添う美しい女性エマを見かけた。
その女性が5年前ドンヒョクの恋人であったことを知ったジニョンは、複雑な感情を抱く。
 また、ドンヒョクを操ろうと企むジュリアーノというイタリアマフィアのボスは、
その最終手段として、ドンヒョクの弱みであるジニョンを手中にしようと企てていた。
そんな中、ルカがジニョンを連れ、ジョアンの前から姿を消した。慌てたジョアンは、
ジニョンを案じて急遽イタリアを訪れていたレイモンドとミンアと共にジニョンの後を追うが、
既にその事実を知ったドンヒョクに怒りを買うこととなる。
 一方ルカに連れ出されたジニョンは、その行動に何か訳があるのだと感じていた。
(後は19話をお読みください^^;)
-----------------------------------------



ジニョンはルカが運転するバイクに跨り、その腰に腕を巻きつけていた。
少し走ると、ルカの肩越しにビルの隙間から白む空が垣間見え、
夜明けの訪れを告げていた。

ジニョンは数日前、ドンヒョクと同じ道を走った時のことを思い出した。
時間帯が違うだけで、同じ街並みがこんなにも違って見えるものなのかと
彼女は、今自分が置かれている緊迫した事態を案ずることよりも、
その背景の神秘に心を囚われていた。

しばらくしてルカは川沿いでバイクを止め、ヘルメットを取った。
いつも後頭部の高い位置で結ばれていた長い髪は解かれ、
ヘルメットからさらりと赤い髪が零れ落ちた。

ジニョンもヘルメットを取ると、互いに無言のままバイクを降りた。

ジニョンは自分を無視して歩き出したルカの後を、小走りに追った。

橋の麓には川沿いに通じる細く急な石段があり、ルカがそれを
一気に駆け下りると、ジニョンも急いでその後に続いた。
その間中ルカはジニョンを決して振り返らなかったが、
彼女が自分の後を追っていることは背中で承知していた。

階段を下りると、川の辺に無造作に放置された白い椅子が
目に留まった。
見渡すとこの辺り一帯がオープンカフェの店先になっていて、
その椅子はきっと、店仕舞の際、片付け忘れられたものだろうと
推測できた。

ルカはその椅子のひとつの腰掛部分の埃を、自分の袖で
丁寧に拭き取ると、ジニョンに向かってそれを差し出した。
ジニョンは少しだけ微笑んで、彼に従いその椅子に腰を下ろした。
ルカもまた、もうひとつの椅子に、今度は埃もそのままに
腰を掛けた。

「・・・・どうして・・あんなことを?」 ルカが最初に口を開いた。

「どうして・・・こんなことを?」 ジニョンはそれに答えず、逆に問うた。

ルカはジニョンの物言いに思わず笑ってしまった。
「そうですね・・・僕から・・答えるべきですね」

≪僕・・・≫
ジニョンは“彼”のその言葉を肯定するように笑顔を返した。

「あなたを連れて来るように言われたんです」 
ルカは川面に視線を移して言った。

「私を?・・誰に?」 ジニョンはルカの綺麗な横顔を見ていた。

「・・・・・・」 ルカはその誰かの名を答えなかった。

「・・・・・・」 それでもジニョンはルカの口が開くのを辛抱強く待った。

ルカはしばらく沈黙を続けた後、一度目を閉じ、決心したかのように
一息吐いてやっと口を開いた。
「結局は・・僕が決めたことです。僕がそうしたかったから。
 決して誰かに命令されたわけじゃなかった。
 あなたが消えてくれればいい・・本当にそう思ってましたから」

「消える?」

「ええ、フランクの前から・・・」 ルカはジニョンの方に顔を向けた。

「誰のために?」

『フランクは・・彼女のものなんだ。』 
先刻、ルカの口を衝いて出たその言葉と、その時の
彼の切なげな表情が、ジニョンの脳裏に蘇った。

彼が自分自身の為ではなく、他の誰かの為にドンヒョクを
取り戻そうとしていたことは間違いなかった。

「・・・・・・」 ルカはジニョンの顔をじっと見つめていた。
「・・・でもあなたって凄い人だな」 そして彼は話を逸らした。

「えっ?」

「あなたには驚かされてばかりです」

「驚くって?」

「僕が男だって・・さっきわかったでしょ?それなのに・・・
 あなたをさらって・・あなたに怖い思いをさせた僕を・・
 あなたはこうして逃がした。何故です?」

「・・・・あなたを・・怖いと思わなかったから・・・
 それじゃ答えにはならない?」

「・・・・・・僕はこう見えて、いっぱしの大人の男ですよ。」

「そうなの?」

「・・・17は・・大人でしょ?」 
その時ルカは少し不満げに、そして何気なく自分の年齢を告白した。

「17歳なのね・・・確かに、大人ね」

「・・・馬鹿にしたでしょ」 ルカはジニョンの顔を下から覗いて言った。

「アニョ・・」 ジニョンはとぼけて空を仰いだ。

ルカは声を立てて笑った。
「でも、もっと世の中の怖さを知った方がいいです、ジニョンssi」

「オモッ・・お説教?これでも私、いっぱしの大人の女よ」

ジニョンのその言葉にルカはあどけない表情を向け、笑った。
「ほんとに?」

「ふふ・・でも、フランクにもよく言われるわ。
 “君ほど怖いもの知らずはいない。世の中は君が思っているほど
  生易しくはないんだ”って・・・」

「フランクはいつだって正しいです。」 ルカは断言したように言った。

「でも・・・あなたは怖くなかった。」

「僕がまだ・・子供だから?」

「大人の男なんでしょ?いっぱしの。」 ジニョンは首を傾げて言った。

「ははは・・」 
ルカはまたも声を立てて笑った。よく考えてみると、ルカと知り合って、
彼がこんな風に笑うのを見たことは無かったかもしれないと、
ジニョンは思った。
そして彼のその笑い方が、少しドンヒョクに似ていると感じて、
心が和んだことも事実だった。


ルカはなかなか本筋に入ろうとはしなかった。
それでも、ジニョンは決して彼を急かさなかった。
ジニョンの中で湧き出る謎を、彼がひとつずつ解決してくれるのを、
その隣で黙って待っていた。

「ヴァチカン・・ご存知ですか?」 ルカがまた口を開いた。

「訊ねてみたい所よ・・・まだだけど・・・」 ジニョンは答えた。

「この橋を渡って、川沿いを行くと直ぐです」

「そう・・・」 ジニョンはルカの視線を追って答えた。

「僕の両親はそこで死んだんです。5年前。」

「・・・・・・」
ルカの唐突な言葉に、ジニョンは相槌さえ忘れていた。

「・・・・・・エマは・・・フランクをずっと愛していました」 
今度は、亡くなった両親の話ではなく、“エマ”という名を
ルカは口にした。

「エマ・・・・・」≪きっとあの人のことね≫
フランクのそばにいたあの女性のことだとジニョンは確信していた。
だから初めて聞くその名前の主のことは、敢えて聞き返さなかった。

≪そういえばあの時、ジョアンに彼女の名前すら聞かなかった。
 それは私が、あの女性の話を聞きたくなかった・・から?≫

「・・・・あなたも・・フランクをよく知ってるのね」 
結局ジニョンは、“エマ”の話題を避けてそう言った。

「ええ・・・・・あの人・・子供が余り好きじゃないんです。
 特に僕のような生意気な子供は」 そう言ってルカが笑った。

「そんなこと無いと思うけど」

「彼いつも・・僕達にはすっごく無愛想で・・・
 怖いくらいだったんです。」

「きっとこ~んな顔してたのね」 
ジニョンは自分の両目を吊り上げて見せた。

「ええ、まさしく。」
ルカはそう言いながら、ジニョンの顔を見てケタケタと笑った。
「僕は彼のこと、直ぐ好きになりましたけど。
 とにかく僕、わざと彼にまとわり付いていたんです。
 うるさがられて邪険にされても、僕はめげなかった。
 彼に近づきたくて、彼のようになりたくて・・・
 彼の話し方や笑い方や・・歩き方まで後ろでまねたりして、
 本気で怒られたことがあります」

「何だか想像ついちゃう。
 きっとあなたのこと、可愛かったと思うわ彼。」 
ジニョンが言うと、ルカは「そうかな」と嬉しそうに微笑んだ。

「僕の父とフランクはとても懇意にしていて・・・
 僕達は会う機会が多かったんです。
 どんな時も彼は僕を子ども扱いしませんでした。
 為になるからと難し過ぎる本を宛がったり・・・
 チェスの相手をしてくれても、決して容赦してくれなかった・・・
 僕はいつも泣きながら彼に向かってました」
ルカは話しながら、懐かしげに宙を仰いだ。
「それから僕は色んな話を彼にしました。
 好きな女の子のことや、学校で起きたくだらないことまで。
 そんな時も彼は自分の仕事をしていたり、本を読んでいたり・・
 決して僕の話を聞いている風じゃなかった。
 僕はいつも彼の横で勝手におしゃべりしてたんです
 でも、話の途中で口を挟む彼の言葉はちゃんと的を射ていて・・
 聞かない振りをして聞いている、それが憎たらしい程に得意な人でした。
 でもそんな彼が・・フランクが僕は・・・大好きだったんです」
フランクの話は尽きないとばかりに、ルカは目を輝かせ、饒舌だった。

「そう・・・」 
ジニョンはそんなルカを愛しげに見つめていた。




ドンヒョクはその頃ローマのホテルに到着していた。
そこで起きた詳細を、総支配人ベルナンドから聞きながら、
何か手掛かりがないかと、ジニョンの部屋へ足を踏み入れた。

「一緒にいたのはこの子だったか?」
ドンヒョクはベルナンドに、ポケットから一枚の写真を出して言った。

「あ・・いえ、もう少し・・それにこの子・・」
「これは5年前の写真だ。今、彼はもう直ぐ17になる」
ドンヒョクはベルナンドの釈然としない思いを解決させるべく、
そう付け足した。

「ああ、それでしたら・・はい、この子だと思います。
 それにこの子、以前ここへおいでになっていませんか?」

「僕がここを買った頃、一度だけ連れて来たことがある」

「ああ、やはり・・あの時の・・・可愛い坊ちゃんですね。
 ですから何となく見覚えが・・・」

「ああ・・」

「それがどうして今回、フランク様に内緒でこのようなことを・・」

「・・・・ヴェネチアを出すなと、あれほど。」 
ドンヒョクはベルナンドの問い掛けには答えず、
溜息交じりの苛立ちを覗かせて、独り言を呟いた。

「警察へ届けた方がよろしいでしょうか」
ベルナンドは只ならぬドンヒョクの表情に思わずそう言った。

「あ・・いや・・それはいい。」 ドンヒョクは我に返った様子で答えた。





「両親にさえ話さなかった将来の夢を・・
 フランクにだけ話したことがあります」

「将来の夢?」

「ええ、僕は彼に言ったんです。・・医者になりたいと。
 そしたら彼が“それじゃあ、君はイエスのルカだ”って。
 それ以来、彼だけが僕を“ルカ”って・・」

「そうなの・・・」

「楽しかった・・本当に楽しかった・・あの日が来るまでは・・・」

「あの日?」

「・・・・・・」

「・・・あ・・」 
ルカのさっきの言葉が蘇って、ジニョンは言葉を詰まらせた。
≪僕の両親はそこで死んだんです、5年前≫


「僕と妹はその日、ミラノの知り合いの家にいて助かったんです。」

その言葉だけで、彼の両親の死の原因が慮られ
ジニョンは言葉を呑んでしまった。「・・・・・・」

「その後僕達兄妹は、知り合いのカーディナルの世話で
 ヴェネチアの教会で暮らすことになりました。

 学校にも行かせてもらって・・食べるものにも不自由は無かった。
 周囲の人達はとても優しくしてくれたし・・・でも・・・
 本当は寂しかった。父にも母にも会えなくて・・・
 大好きだったフランクにも会えなくなってしまった・・・

 妹は、何故父や母がいないのかということすらわかってなかった・・・
 だから僕はあの子のそばで、泣くことができませんでした。
 本当は僕だって・・・泣きたかったのに・・・」
ルカはそう言いながら、寂しげに笑った。

ジニョンは握り締めた彼のこぶしをそっと包みこむように触れた。

「そんな頃でした。エマが僕達の前に現れたんです。」

「・・・・・・」 
≪エマ・・・そうね・・・彼女のことは・・避けては通れないわね≫
ジニョンは彼の手を離し、姿勢を正した。

「僕達はエマのことを知っていました。フランクの・・・
 恋人でしたから・・・」 
そう言いながらルカはすまなそうにジニョンを見た。

「いいのよ・・気にしないで・・・」 

「・・・それ以来、彼女はたびたび僕達を訪ねてくれました。
 いつも沢山のプレゼントを持って・・・妹はとても喜びました・・
 あ・・僕もだけど・・・・
 僕達はいつも彼女がやってくる日を指折り数えてました。
 僕達が決して寂しくないように・・・
 エマはいつも僕達に寄り添ってくれました。」




「どうしてルカのことをボスに報告しなかったんですか?」
ミンアはずっと疑問に思っていたことをエマに訊ねた。

「・・・・・・」 エマはなかなか口を開かなかった。

「身勝手だと思わなかったんですか?ボスがどれほど・・」

「・・・何を言われても・・反論はしないわ。」
エマはそう言いながら車窓から外を見た。

「答える義務があるわ。」 ミンアは詰問するように身を乗り出した。

「彼らが・・・ルカ兄妹がフランクとの唯一の繋がりだった。」
レイモンドがエマの心を代弁するかのように、静かに呟いた。

「・・・・・・」 
レイモンドの言葉にエマは、ただ黙って彼を睨みつけると
瞳の端から一筋の涙を落とした。





「“何故僕達にこんなに親切にしてくれるの?”
 ある時、僕はエマに聞いたことがありました。
 そしたら彼女・・こう言ったんです。

 “フランクがきっとこうしたかっただろうから・・”って

 僕達兄妹の誕生日がくると・・・
 “フランクが喜ぶわ”
 “フランクもあなた達の成長をきっと見たかったわね”って・・」

「・・・・・・」≪彼女は本当にフランクを愛していたのね≫




「彼は・・・フランクは・・・心だけを持って去って行ったわ・・・」 
エマがやっと口を開いた。「私の・・・心だけ・・・」

「勝手なこと言わないで。元はといえばあなたが・・」 
ミンアはエマを責めるように言った。

「ええ、そうね。わかってる、わかってるわ・・・でも・・・
 ・・あの子達に会うと・・そのことを忘れることができた
 彼への裏切りを忘れることができた

 あの子達に会う度に
 フランクの心を・・彼の代わりに届けている・・・
 そんな錯覚を覚えた

 あの子達を懸命に守ることで・・・
 フランクの愛も取り戻せるような気がしていたのかも・・・」

「・・・・・・」

「だから・・終って欲しくなかった・・・」

「・・・・・・」

「だから・・・伝えなかったの・・・」

エマは溢れる涙に耐えながら、言葉を繋げた。
ミンアはそれ以上彼女を責めることができなかった。





ルカが今、何をしようとしているのか、ドンヒョクは思いを
巡らせていた。

「ルカ・・ジニョンに何を?」

≪エマのためなら・・・そうなのか?、ルカ・・≫

ドンヒョクは湧き上がる苛立ちと反比例するように、ゆっくりと車のギアを入れた。

「ルカ・・・どうか・・・

   私にお前を・・・


          ・・・憎ませるな」・・・







 








イエスのルカ=キリスト教「新約聖書」に収められている四つの正典「福音書」の記者のひとり。
  医者であったと推測される。ルカは十二使徒(イエスの直接の薫陶を受けた弟子)ではない。



 


[1]

TODAY 114
TOTAL 597059
カレンダー

2011年12月

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
スポンサードサーチ
ブロコリblog