2007/02/04 16:21
テーマ:ひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

亀裂~これってどうなのよ?


 何をきっかけにそんなことになったのか、よくわからなかった。
ただ、気がついたときは、もう激しい言葉のやりとりが始まっていた。

「どうして、あんたはいつもそうなの?!」

「そんなふうに、ふつう言うかな~?
自分だって、好きなことやってるくせにさ!」

「私はいつも、ちゃんとご飯作って、お掃除して、仕事だってして・・・」

「だって、いつもパソコンあけてヨン様の写真見たりしてるじゃん!」

「あら、私だって、趣味のひとつくらいあったっていいでしょ!
あんたの場合はいつだって・・・・・」

そんな言葉の応酬が続いた後で、思わず、娘の右足が、壁に向かって繰り出され、
ドシンという大きな音とともに、安普請の自宅の壁には大きな穴が開いてしまっていたのだった。

 あっ!
そう叫んだのは、私よりも娘のほうが早かった。
本当にそんなことになるとは思わなかったらしい。

そう、私も思わなかったのだ。

女の子なのに、そんなことで・・・、思わず出てしまいそうになった言葉を飲み込んだのは、私以上に彼女が動揺していたからだった。

「どうしよう・・・」

そんな言葉とともに、しゃがみこんで、彼女は『亀裂』に手を当てる。
厳冬のさなかである。
当然、そこからは冷たい風が・・・。

「どうしようっていったって、どうしようもないよね。
今夜は冷えそうだね・・・。」

元気なくうなずく娘の後ろから、なんだ?とのぞきこんだのは、夫である。

 しかられるかと思ったのか、そちらにぼそりと、

「やっちゃったの・・・。」


夫は壁の穴を見てさすがに驚いたようだったが、すぐにかがみこんで『亀裂』の程度を調べる。
それから、すぐ近くにかかっていたままになっていた去年のカレンダーをはがして、その箇所に画鋲で止める。

「とりあえず、これでいい。な?」

にこりともしないで、すましてそんなことを言う。

ええっ!
それを、そういうふうに使うの?!
それって、どうなのよ?

穴の上にかぶせるようにかけられた去年のカレンダー、それは、私がどうしてもとりはずせなかった、憂いに満ちたインスが一面に大きく載っている大きなものだった。

あなたはいつも娘に甘いわね、そして、インスをそんなふうに使うのね・・・、そう思いながら、なんとなく言い出しにくい雰囲気がただよう。

まあ、住宅メーカー勤務の専門家のやることだから・・、とヘンなふうに自分を納得させようとする私。

「そ、そうね・・・。」

そして、もうひとこと、

「ヨンジュンさん、癒し系だからいいかもね・・・・。」

やっとの思いでそう続けた私。
クスリと思わず笑った娘は、私と目が合い、急いで神妙な顔にもどる。

それで、ひとまず小さないさかいは終了し、壁の『亀裂』には応急処置がほどこされ、家の中には平和が戻った。


だが、『亀裂』の上には、依然として、インスの憂いに満ちた顔がある。
娘との小さないさかいの末に生じた結構大きな『亀裂』、その修復に使われたインス。
冷たい風の上にかけられた、憂いに満ちたインスの顔。

胸の中には、依然として複雑な思いがいっぱい詰まっている。
これって、どうなのよ?
そう思いながら、私は、心の中でインスに手を合わせたのだった。


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