日本料理、韓国料理
199ページの、
「韓国が健康的な食べ物の豊富な国として認識されてほしいと思う。それは事実だからだ。…(後略)」
「韓国ではどこに行ってもいい材料、いい食べ物、健康的な材料と食べ物に出会えるというイメージを作ってさえいければ…(中略)・・・外国人観光客の足もたくさん向くのではないだろうか。」
という記載。
彼をフレームのこんなにぎりぎりにおけるって…(笑)
韓国料理の基本は変えないで、辛味など世界中に親しめるようにアレンジするとか。2017年までに韓国料理を「世界五大料理」の一つにするのが目標なんだそう。
ちなみに「世界三大料理」はフランス料理、中国料理、トルコ料理。五大料理なら日本とイタリアが入るでしょうね。
彼は、韓国の大統領夫人が名誉会長を務める、「韓国料理世界化推進団」に名を連ねているが、彼は、上記のようなイメージが現時点の韓国にはないという認識を持っている、ということでいいのだろう。
これについて、自分なりに考えるところがあったので…。
日本料理と韓国料理、現時点でどちらが世界の国々での認知度が高いかと言ったら、それは残念ながら…特に「健康的な料理」と言ったらやはり明らかだろうと思う。
多種多様な料理が広く知られているかと言ったら、まだまだだろうとは思うけれど。
韓国料理と言えば焼肉にキムチに冷麺ぐらいが一般的な認識だった日本で、韓流ブームとともに、さまざまな料理が一般に知られるようになり、中華料理の食材と同じように、普通のスーパーで韓国独特の調味料や食材が買い求められるようになった。韓国料理の料理本も以前とは比較にならないほど数多く出版されているし、TVなどで頻繁に目にする料理研究家の中にも、韓国出身の方も何人かおられるようだ。
もともと日本には、食文化に限らず外国の目新しい文化をためらいなく取り入れ、自分達に適した形にさっさと変化させ、たとえそれがオリジナルとは程遠い形にせよ日常生活に浸透させていく、そういう側面が非常に多いのではないかと思う。(キムチは昔から店頭に売られていたし、他にもカレー、ラーメン、パスタ、ピッツァ、古くは一般的な「洋食」など)
韓国料理が日本にここまで浸透したのは、もともと日本にそういった土壌があったことと、歴史的に関係が深いので基本的な調味料にそう大きな違いがない(しょうゆ、味噌等)為、慣れ親しみやすいことがあるのではないかと思うのだけれど、どうだろうか?
(もちろん、料理の作り手である主婦層に「彼の食べているものと同じものを食べてみたい!」という欲求があったというのも大きいだろう)
韓国料理をアジアのみでなく世界の舞台へと考えた場合、どうなのだろう?上記の理由から、韓国料理の日本での成功をそのまま、例えば欧米諸国に当てはめることは出来ないだろう。
世界に進出して行ったら、おそらく韓国料理は「エスニック料理」というカテゴリー。同じカテゴリーの料理として、昔からフランスにベトナム料理やモロッコ料理、英国にインド料理が深く浸透していて、自国の料理の一部にその要素が取り入れられたりしているのは、歴史的な背景があってのことなので置いておくとして…
日本料理でもっとも世界中に普及している料理といったら「寿司」だろうか。
作り方も(もちろん極めたら大変だけれど)そう複雑なものではなく、現地で採れる食材で合うものがあればアレンジも簡単にすることが出来るし、シーフード&ノンオイルで、低カロリー志向にマッチしている。(そういえば、数年前にパリにオープンした回転寿司店(確かシャンゼリゼ通り)は、今も健在だろうか?)
他の日本料理も基本的には素材を生かしたシンプルな調理なので、醤油(or味噌)、日本酒、昆布と鰹節さえ持っていけば、おそらく世界中で日本料理らしきものを作ることが出来るだろう。(簡単なものに限ります・・・もちろん)
欧米の国々の人々は、ごく一部の人々を除いては、他の国の文化を取り入れることに、特に食文化に関しては慎重かつ消極的、保守的だと思う。「韓国の食べ物は健康的。それは事実だ」→「だから韓国に来て」では、なかなか、世界を納得させられないのではないだろうか。
韓国お茶名人の雀舌茶飲んでみました その1
予算の都合上(笑)大雀、中雀のみ購入。
まずは大雀茶から。茶葉はこんな感じ。
茶葉の色は非常に濃い暗緑色。手摘みで取った茶葉がそのまま揉みながら縒られているようで、茶葉一つ一つが長い。
日本の緑茶のように針のようにまっすぐに細く縒られているのではなく、くるくるっとカールしている。もし真っ黒だったら烏龍茶みたい。
何種類か持っている中国緑茶は淹れる前から葉の時点で日本の緑茶とはかなり香りが違うのですが、韓国緑茶の香りは日本の緑茶とそれほどには変わりがないけれど、草っぽさ、緑くささが弱まって、直接炒ったことによるのであろう香ばしさが加わったようなような印象を受けます。
今回は一人で飲むので、葉は2~2.5gほど。
販売元の推奨するお湯の温度は70℃ですが、試しに95℃、80℃、70℃の3種類の温度で淹れてみました。
これは80℃で淹れたときの水色です。
とても薄い黄色。
他の温度で淹れたときも、色の変化は感じられませんでした。
80℃(2種類の中間あたりを取ってみる)1煎目
色も香りも普段飲んでいる狭山茶(深蒸しで甘みが強く水色は薄緑色)とは全く別物。
さっぱりしていて甘みはあまり感じない
95℃(ヨンジュン氏推奨(笑))2煎目
熱いのをふーふーして飲んでみたら、何だか味が良くわからない…やっぱり無理。
彼は本当にこんな熱いお茶を好んで飲んでいるのだろうか?
しばらく冷ましてから飲んでみると、80℃よりこちらのほうが味わいが濃く感じる(2煎目だからか)。
70℃(販売元推奨)3煎目
香りも甘みもうまみも今回の3種類の中では一番良く出ています。
とても香ばしい。
丁寧に淹れれば6~7煎までさしが利くそうです。
中雀も楽しみ。
少しだけ補足その2
あれから少し気になって調べたのですが、韓国では少し前から緑茶が見直されているそうで、緑茶を使った韓国コスメがいろいろあり、日本でも買えるみたいですね。
また、飲むほうのも安価なものもあって、韓国の郵政省?(epost.go.kr goですから政府系ドメインですね)のショッピングサイトで、40g800円くらいの緑茶を見つけました。
ある程度の質の商品がこの程度で購入できるなら、日本とさほど変わりませんね。
またこれは本当に偶然なのですが、彼の本に登場されるお茶名人のうちの一人の方のお茶を紹介・販売しているところを見つけました。
名人さんの営まれている野生のお茶畑は韓国最大なのだそうで(本の中では3万坪と記載されていましたね)、野生でない在来種の茶畑もあわせ、あくまでも肥料や農薬を使わずに自然農法で栽培されているそうです。
本の中で「政府の支援は受けられないでいる」とあったけれど、10年ほど前にお国から日本の人間国宝に値する表彰を受けておられるようです。全く孤立無援という訳ではないのかもしれないですね。
でももしかしたら本当に表彰「だけ」、だったりするのかも(笑)
お茶の種類は、彼が本の中の脚注で述べているように、お茶摘みをした時期によって三種類ありました。
一番高価なものが細雀、40gで1万6千円ちょっと。
次が中雀(トゥムルチャ)が40gで4700円ほど、そして大雀(セムルチャ)が80gで6500円ほど。
彼が「高いもので50グラム当たり120万ウォン」と述べているのが細雀茶だとすると、輸入業者さんがどの程度マージンを取っておられるのか、わかりますね(笑)
この輸入業者さんが、名人さんのお茶を高く評価している「ヨーロッパ人や日本人」のうちの一人なのかもしれません。
これらのお茶は、日本の緑茶と同様に70~80度ほどのお湯で淹れるようにすると、6~7回煎が利くそうです。熱湯で淹れてはいけないということではないそうで、でも味がいっぺんに出てしまい煎が利かなくなるそうです。
…ということは、熱湯で淹れると味が濃いのかな?
ただ本当にこの方のお茶は韓国の最高級品で、大統領府で要人へのお土産に使われたりするお品だそうです。
日本の「皇室御用達」のようなお品なんですね。
[追記]
韓国緑茶の収穫時期による分類について、もう少し詳しいものを見つけたので記載しておきます。
分類に使われる収穫時期とは本の記載のとおり
陰暦の二十四節気の「穀雨」(4月20日頃)「立夏」(5月5日頃)
※穀雨の終わりごろが、日本の新茶摘みの時期として有名な「八十八夜」
ということは、韓国も日本も、甘くて美味しいお茶の収穫される時期は同じなんですね。
穀雨前…………雨前茶
1芯1葉・1芯2葉といわれる芽の先端部分が多い
茶摘みはすべて手作業
甘みが強い
穀雨後…………細雀茶(チョンムルチャ)
開いたばかりの小さな茶葉が多い
芽の先端部分の割合は雨前より少ない
甘みと渋みのバランスが取れている
立夏頃…………中雀茶(トゥムルチャ)
立夏以降………大雀茶(セムルチャ)又は立夏茶
収穫の時期が後になるにしたがって茶葉は当然育つので大きくなる
芽の先端部分も含まれるがだいぶ大きくなっている
渋み成分・タンニンが多く含まれしっかりした味
この本は「チョンムル」という読みを2箇所で使っていて、
本文では「雨前」に「チョンムル」と、脚注では「細雀」を「チョンムル」と呼んでいます。
後者が正解っぽいですが、はっきりしませんね。どなたか詳細をご存知の方教えてください。
少しだけ補足
昨日のお茶についての記事をたくさんの方が読んでくださったようで、ありがとうございます。
すこしびっくりしています。
「韓国の良質な緑茶でお茶生活を送るとするとそのコストは1ヶ月5~10万」という記載は、他の嗜好飲料を全く飲まなかった場合の金額で、少し極端だったかもしれません。
私たちはその時々の食事やお菓子に合わせて、コーヒー、紅茶、烏龍茶など、様々な飲み物を選びますものね。彼もお茶好きだそうですが、そればかり飲んでいる訳でもないでしょう。
ただ、緑茶に関しては、あまり長い時間は置いておけないですよね?
新茶の季節に買い求めたお茶は、他の季節に買い求めたお茶とは香りも味も違うように感じます(あー新茶だ!と思うから、かなりバイアスがかかってしまっているのかもしれないけれど)。
きちんとしたお茶屋さんなら、製茶されたお茶は最も適切な環境で保管されていますよね。一般家庭の保管環境なら尚更、質の変化は著しいのではないでしょうか。
(彼は本の中で年数の経った緑茶を試していますが、「煎茶の本質から外れ、半発酵茶に近い」と述べているので、既に別物と考えたほうがいいのでしょう)
100グラム1万円以上するような高価な緑茶を、半年かけてたまに淹れて飲むというような、棚の奥に仕舞い込んでおいたブランデーを出してきてちびちび舐めるような楽しみ方は、緑茶に関してはできないように思います。
滅びかかった茶文化の継承を考えるなら・・・
内容とは全然関係ないですが・・・
みんなに一生懸命手を振ってくれるこんなに優しい王様。お茶好きだとおっしゃるなら、お金に糸目をつけず、世界中から美味しいお茶をいっぱい集めてきて差し上げたいです。あ、でもこの時の設定は王様ではなく江戸時代の朝鮮通信使(=大使)でしたっけ。でも何だか王様にしか見えないです(笑)
日本人は3度の食事の後、おやつの時間にお菓子と一緒に、お客様がいらしたら少し良いお茶を…と、1日何度も緑茶を飲む。
私が普段使っているのは100グラム2千円までで、新茶の時期などは少し贅沢をして3千円くらい。せいぜい1ヶ月5~6千円というところだろう。
前述のお茶名人のパク・ドンチュンさんの作られるお茶はごく僅かで知り合いに配る程度ということで、一般には手に入らないそうだ。
もし韓国の(彼が満足できるクオリティの)お茶を手に入れようとすると、シン・グァンスさんの作られる50グラム120万ウォン(=100グラム約2万4千円)。あるいは彼が普段飲んでいる80グラム8万ウォン(=100グラム約1万円)。
彼は1日0~2回ほどしか飲まないから、一筒(=80gということなのかな?)1ヶ月持つのだろう。
私たちは、いくら出の良いお茶だとしても、使用後十分に開いてしまった茶殻を置いておいて、数時間後に使いまわすようなことは普通しない。その度に茶殻を捨てて新しい茶葉を使う。食後に、あるいはおやつと一緒にと気軽に使うとしたら、1回に1人2グラム使うとして4回使ったら1日8グラム、1ヶ月で8×30=240グラム。お茶の葉だけに2万5千円近く…。お茶名人さんのだったら5万円以上かかる。
1人で飲むということはあまりないし、そうなると5万10万、お茶の葉だけの為に吹っ飛ぶ。
これを「高くない」「…円程度」と言えるのは、やはり「オカネモチサン」だろう。
私が今まで飲んだことのある日本の緑茶の中でもっとも高価だったのは、京都の宇治の玉露の最高級のもので、100グラム1万円ぐらいだったと思う(もっと高価なものもあると思う)。
茶葉は細いこよりのように美しく、淹れた水の色は薄い上品な黄緑色で、香りは非常に高く鼻腔にまとわりつくような風味ととろりとした甘みがあり、普段飲んでいるものとは全くの別物で、確かに素晴らしかった。
でも、やはりそう気軽には買えない(悲しいことに彼の普段使いとほぼ同額)けれど、たまの贅沢に買ってもいいな、と思えるお値段。
韓国の、一度衰退したお茶文化を、将来に継ぐべき文化遺産として復活させたいなら、一般の人たちが気軽に買える値段でなければならないだろう。
この本を読んだ「ヨン様」家族の日本人が、体験ツアーなり何なりで大挙して押し寄せて、ただでさえ生産量が少なく、ために日本国内の最高級の緑茶の数倍のお値段がする緑茶を買い占めるようなことになってしまったら、どうなるのだろうか?
外貨は稼げるだろう。PR大使の役割は実際、そういうところにあるのだろうし。
その時はいいけれど、伝統文化の継続的な復活にはならないだろう。
国内の良い品質の生産物を、国内の一部の富裕層と海外の人たちだけが知ることができるというような状況を、彼は本当に望んでいるのだろうか?
この項を読んでいて、最終的に残ったのは、こんな疑問でした。
何だか今日はお金の話ばかり。
さもしくてごめんなさい。
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