ビビディバビディブー
巷では、いえ、ヨンジュンのカゾクの間では、『タムトク』のほかに、時ならぬ『ドンヒョク』ブームが巻き起こっている。
ご存知、『ホテリアー』日本リメイク版ドラマの放映と本編映画館上映のためである。
あちこちでコトあるたびに吹聴していることだが、私は「ドンヒョク」でヨンジュンssiに嵌ったヒトである。
かつて、『ホテリアー』の第一話のラスト部分、シン・ドンヒョクが、いやフランク・シンが刑務所に入っていくあのサングラス姿を見て、もうこれは堕ちるしかないと思ったのだった。
そんな私だから、今回の一連の騒動(?)の中で、毎日、天にも上る心地でいるのは言うまでもない。
(あ、こちらでも何回か、書かせていただきましたね、はい。)
そんな私に、ある日ある友人が、こんなことをささやいたのである。
「ねえ、知ってる?日本版ホテリアーのドラマのサイトで、エキストラ募集しているよ・・・。」
エキストラ?
ぬぁんですって?!
まさに悪魔のささやきである。
どきどき、わくわくしながら・・・、というよりは、何かあったらおもしろいかも・・・、と思いながら、私はこれに応募したのである。
まさか、悪魔のささやきが現実のものになるかもしれないなどとは、まったく思わなかったのだ。
しかし、しか~し、である、やっぱり・・、というか、私の運はまだまだ捨てたものじゃなかった。
ある昼下がり、ぼ~っとしていた私のところに、テレビ局から電話がかかってきたのである。
「あの~、このたびはご応募ありがとうございました。」
「ええっ?!」
「それで、さっそくですが、あさって午後1時から9時までなんですが、撮影にご協力いただくことはできますか?」
「そ、それは素敵なお話ですけど、でも、なんて急な・・、それに、時間もずいぶん長いんですね。」
「はい、もう少し詳しいことをお話しますと、そのときに、パーティーに出られるようなカクテルドレスを着てですね、来てほしいわけなんですけど・・。」
「・・・パーティーですか?ドレスですか?」
ドレス、パーティー・・・、そして王子様・・・。
私の頭の中では、自然に、そんな夢のような場面が描き出されていた。
そう、何となく、そのパーティーに行けばさるお方が待っていてくださるような・・・。
しかし、しか~し、なのだ、そんなふうに頭の中は妄想いっぱいになったのに、私はこう答えたのだった。
「あの、時間も長いですし、今回はご遠慮します・・・。」
これでぜんぶ終わりである。
電話を切ってから、私は自分に言い聞かせた。
ひとつ、あさっては仕事よ、仕事!
ふたつ、家族(本物の)の夕ご飯はどうするのよ?・・・私は一応主婦だし・・・。
みっつ、ドレスはどうするの?
あんた、この二年でどれだけ太ったと思っているの?
ふつうのスーツだって入らないって言っていたじゃないの!
このみっつめが決定的よね、そうよ、だめよ、とそのとき必死で私は思っていた。
でも、本当はそんなことではないのだということを、自分ではよくわかっていた。
単に、一番ほしいものに向かって踏み出す勇気がなかったのだ。
そう、それが一番の原因なのだと・・。
昔から、私にはそういうところがあった。
一番ほしいものに手が届きそうになると、さっさと逃げ出すような・・・・、
で、手にするのは二番手か三番手でいいというようなものだったりで・・・、
そして、しあわせは中くらいが一番などと、負け惜しみ(?)を言っちゃうようないやなヤツだったのだ。
でも、でも・・・、である。
そんなことでいいのか?
この年になって、いいのか、私??
今回のエキストラは、まだ本物の王子様がご登場あそばされるわけではないのだから、まだ、いいとしても、これがそうでなかったら・・、そう、彼ご本人の出番があるような撮影だったら、私はどうするのだろう?
仕事が・・、家族の夕飯が・・、ドレスが・・・、なんて、また考えるのだろうか・・・?
まさか、そんなことあるはずもないんだから、心配しなくて平気ヨン♪なんて言わないでほしい。
その日、さるお方にこのことをこっそり話したとき、そのお方はいみじくも、こうのたまわった。
「その場に彼がいるのなら、私、ウエディングドレス着て行っちゃう!」
ウエディングドレス着て、どうするんだ!と爆笑しながら、そのとき私は思ったのである。
そうよ、万が一、そんな夢のようなチャンスがめぐってきたら、魔法使いのおばあさんにお願いして、きれいなドレスとかぼちゃの馬車を用意してもらって、ガラスの靴をはかせてもらって、ついでに、ここが肝心なんだけど、20年ばかり年齢を逆戻りさせてもらって、一心にかけてゆくわよ!
そうよ、それが正しい「私」のあり方よ・・、と!
ヨンサマファンは、まったくしょうがないわね~、などと笑わないでいただきたい。
誰がなんといおうと、今まで地味に、平凡にやってきた私に、いろんな夢を見せてくださる方なのである。
★魔法の言葉を、私はまちがえたようです。
「ビビディバディビブー」ではなく、「ビビディバビディブー」が正しいようです。今、訂正しました。
これじゃあ、魔法の言葉も効かないかな?
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