24話の後に~戦いすんで(その1)
☆最終話を見て、どうしてこんなに胸が痛むのか、そのわけを考えてみました。
それをこんな感じにまとめてみました。
いつもの『ないしょ話』とは違いますが・・。
【フッケについて】
名もなき兵士の刃の冷たさ。
失われてゆく意識の中で、『ペーハー・・・』と声なき声をあげた。
その目に映ったのは、雄々しく戦うチュシンの王の姿。
もう一度、ペーハー・・、と呼びかけ、何ごとかひとこと、ふたこと・・。
彼が最後に仕え、愛した若い王。
思い描いてきた伝説のチュシンの王そのままに、力強く戦う姿形を目に焼きつけながら、
フッケはゆっくりと目を閉じた。
真っ赤に染まった顔いっぱいに、笑いが浮かんでいた。
【コ将軍について】
タムドクはゆっくりと兜を取った。
視線の先には、倒れている将軍の姿。
駆け寄ってその腕に抱けば、老いた忠臣は何ごとかか細い声で訴えるように・・。
それから、ペーハー・・、と。
幼いころから気がつけば側にいた。
孤独な王子に武芸を仕込み、時には身を挺してかばい、
時には涙ながらに諌め、
陰に日向に若い王をささえつづけた将軍。
長い髪には白いものが入り混じり、
やせた身体は小さく感じられて・・。
やがてそれが冷たくなってゆくのを、その重さを、
タムドクはその腕に感じていた。
なぜだ?!
【宿敵ヨン・ホゲについて】
ゆっくり顔を上げれば、そこに宿敵の騎馬姿があった。
愛する者を斃した男もまた、彼が幼いころには友と呼んだ者。
なぜだ?!
かなしい目で見返せば、
相手ははげしい顔で襲いかかってくる。
ホゲ!
宿敵を槍ごとつかんでひきずりおろせば、
相手はあっけなく地上に落ちた。
立ち上がりこちらを見たその目は、思いのほかおだやかで・・。
そう、思いのほか!
こうするしかないのか!
渾身の力を込めて槍を投げれば、いともたやすく宿敵は倒れた。
まるで、それを待っていたかのように!
こうするしかないのか!
はげしい戦の場。
一瞬のきらめきの中で失われてゆく命の数々。
チュシンの王とは、なんだ?
チュシンの王の統べる世界とは、いったいなんなのだ?!
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