茶トラの子猫たち、初めての外出
世の中のつらさをまだ何も知らない赤ちゃん猫の、純真無垢な瞳を見よ。
前年の冬に5匹の子猫を産んでから6ヶ月ぶりの出産。
10日ほど前から家の前で子猫の鳴く声が聞こえてはきていた。
しかしランが子猫を何匹産んだのかは正確にはわからない。
畑の小山の洞穴の中で産んだので確認することができなかった。
畑の小山の隠れ家から外の世界をじっと見つめている赤ちゃん猫。
ただ、何日か前にランが子猫を1匹月明かりの下に連れ出すのを目にした。
巣の穴からも、もう1匹子猫が頭を出した。子猫が少なくとも2匹はいるということだ。
しかし子猫は幼すぎて、まだ外の世界に飛び出すのが怖いらしかった。
好奇心旺盛な子猫が、隠れ家から顔を出し恐る恐る外の世界へ飛び出そうとしている。
10日ほど前から家の前で子猫の鳴く声が聞こえてはきていた。
家の前によく来ていたランのおなかが大きかったので、もしやとは思っていたが、
案の定、子猫たちが鳴いているのはランがなわばりとしている畑の小山の洞穴の中だった。
子猫が巣から出てきて一歩一歩、母猫のところへと歩いていく。
子猫に乳を飲ませるためには何よりも母猫がしっかり食べないといけないが、
最近は一日に何度もランが我が家までやってきたので、
そのたびに僕は猫缶とサバの煮物を出してやった。
子猫たちを育てるのに少しでも助けになればいいなと思いながら。
子猫が巣から出てきて一歩一歩、母猫のところへと歩いていく。
そんな中、今日ついに子猫が初めて外出をした。
とはいっても、もちろん3、4坪の小さな畑にすぎないが。
子猫は目に映る世界が不思議でならないようだ。
畑に植えられたエゴマの葉に鼻を近づけクンクン匂いを嗅いだり、
畑の小山の肥料入れをかわいらしい足でトントンと触れてみたりしている。
畑で心行くまで楽しむ、子猫と母猫の初めてのデート。
母猫は畑の真ん中で、子猫の初めての外出を見守っている。
しかし子猫の外出といっても、空に浮かんだ雲を眺めたり、
カアカアと鳴くカササギの声が気になっておろおろしたりするばかり。
よちよち歩いたと思ったら、草の根っこにつまずいたり、
つまずきついでに座り込んで毛づくろいをしたりしている。
近づこうものなら母猫がうなり声で威嚇してくるので、僕は動けなかった。
僕がカメラを持って近づき注意深くシャッターを押すと、
子猫はびくっとしてエゴマの葉とゴマの実の間に身を隠す。
すぐにそこから出てきたが、また僕と目が合うと、
子猫はあわてて穴の中に逃げ帰る。
しかし好奇心が抑えきれず、すぐにまた穴から出てきて周囲の様子をうかがう。
そして道路を人が通り過ぎると、あわててまた穴の中に隠れるのだった。
-イ・ヨンハン氏ブログ
「雲と鮭、あるいは雨期の旅人宿」、2008/06/10の記事より-
映画化されました
「さよなら、猫よありがとう」が、韓国で映画化されました。
上記は、映画のポスター画像。すっごく素敵じゃないですか?
猫プロジェクトのメンバーもみんな大好きな写真で、
もちろん翻訳本にも収録されています。もしかしたら表紙になるかも??
映画は、原作の猫たちの写真と
映画の監督をされたあるCMディレクターさん撮りおろしの映像が、
本の著者のイ・ヨンハンさんと監督のナレーションで進行する
猫のドキュメンタリー映画です。
ナレーションまでこなすなんて、ヨン先生、器用ですねぇ。。。
さすが詩人さんです。
既に映画の制作はほぼ終わっていて、
11月には全国公開予定とのこと。楽しみですね。
ちなみに、韓国では原作の第3弾が来月出版されるそうです。
今年はじめに出版された第2弾「明朗であれ、猫」も好評で、
「K-POPグループ‘2PM’のメンバーも読んでるって、雑誌で言ってました!!」
・・・と、2PMの大ファンの韓国の出版社の担当のお姉さんが、
すっごく嬉しそうに話してくれました。
第1弾の日本語翻訳本、目下準備中です♪
野良猫学校の都市伝説?
もしかして授業中?いやいや、実は「何だあのカメラ?」とこちらを伺う表情なのです。
「野良猫学校がある。」猫に関心がある人であれば、1度か2度は聞いたことがある話だろう。つまりはこういうことだ。野良猫の世界には人知れず運営されている野良猫学校があって、幼い野良猫はそこで「野良猫として生きる術」を学ぶ。教師は経験豊富な年配の野良猫が務め、入学時期は母猫から乳離れをした頃だとか。
「ご飯ちょうだい・・・!」同情心を誘う思いきりいたわしい表情。野良猫学校で教わったとしか思えない。
以下、野良猫学校の最も重要な授業内容。
1.いかにも不憫な表情で人間にエサをねだる方法 2.塀のぼりと木登り法 3.安全で人目を引かない隠れ家の確保方法 4.猫の挨拶法(野良猫は相手に近づきゆっくりまばたきすることで相手に敵でないことを知らせ、初めて出会った相手とは鼻や頬をすり合わせて挨拶を交わす) 5.猫語(エサねだる時と仲間を呼ぶ時、相手を威嚇する時、攻撃される時、猫はそれぞれ違う声で鳴く。) 6.上手にゴミ袋を開ける方法
野良猫の挨拶法。チューして、頬をスリスリ。
そして元も注目すべき点は、新しく世に出る子猫たちが野良猫学校でなわばりを分け与えられる際には、猫の意思を最大限に尊重して民主的な手続きに従い大雑把になわばりを分け与えられるということ。だから、ほとんどの動物たちがなわばり争いをするのに対し、野良猫にはなわばり争いはそれほど多くはない。野良猫学校では、移動するために他の猫のなわばりを横切ったり発情期になわばりを侵したりすることを、自由に許している。そして、野良猫は学校で情報を共有する。例えばクリーニング屋の前にエサが多いとか、車輪のついたでっかい猛獣に気をつけろ、などといった情報を交換するというのだ。
あの幼な猫も、そろそろ学校に通うお年頃。
そして最後に学校で教えることは、どんなときも胸を張って堂々と生きること。たとえ人間にどろぼう猫呼ばわりされようとも、野良猫としての品位を忘れてはいけない、と。もちろんこれらは野良猫マニアの間で囁かれている都市伝説にすぎないが、中には信憑性がすこぶる高いものもある。実際、飼い猫や捨て猫が野良猫として生き延びることができない理由に、野良猫学校を出ていないから、つまり、学歴不足だからという話もある。
信じるか信じないかは、あなた次第。
-イ・ヨンハン氏ブログ「雲と鮭、あるいは雨期の旅人宿」、2008/05/19記事より-
廊下に立たされている猫、見たことありますか?
ドンニャン:何してんの? ヒボン:うん、罰で立たされてるんだ。君もやってみな!
#1:廊下に立たされ罰を受けている猫を、ご覧になったことはありますか?
僕は見たんです。
明らかに手を上にかかげ、罰を受けている野良猫ヒボンの姿を。
(※韓国では、先生に廊下に立たされるとき、両手を挙げて立たされます。)
本当かって?もちろん、本当に罰を受けているのではなく、
手を掲げて罰を受ける体勢が、なんとも罰で立たされているように見えるのです。
カメラを手にその姿を見守っていた僕も、びっくりです。
殉国したすべてののらにゃんこたちに、黙とう!
あなたは、黙祷する猫を見たことはありますか?
明らかに頭を下げ、うやうやしく黙祷を捧げる野良猫、これもやはりヒボン君。
もちろんこれも黙祷するポーズにそっくりなだけですが。
かなり厳粛でしょう?
わたし今日、空いてるわよ!
#3:あなたは、野良猫のセクシー写真集を見たことありますか?
芸能人のセクシー写真集で見られるような典型的なポーズ。
これは言葉では説明しづらいので、写真でご確認ください。
かなり妖艶でしょう?
うぃ~っ、酔っぱらっちまったなぁ。あれえ、ここ、どこだぁ?。
#4:あなたは、お酒に酔った野良猫を見たことありますか?
うい~っく!お酒に酔って目が据わった状態で壁にもたれかかっている
ヨッパライのような野良猫。
もちろんこれも本当に酔っぱらっている訳ではありません。
しかしこの姿勢は、われらがヒボンの専売特許の姿勢でもあるんです。
-イ・ヨンハン氏ブログ「雲と鮭、あるいは雨期の旅人宿」、2008/04/05記事より-
浪漫猫のお花見
僕だってたまにおセンチになっちゃうの。
サンシュユの花に魅了されたカムニャン。
春の暖かな日差しが降り注ぎ、近所の畑にもサンシュユの花が咲いた。
花を見ると人間は本能的に「美しい」と感じるものだが、
野良猫も花を見ると美しいと感じるのだろうか、と思わされることがあった。
もしかしたら、そうかもしれないという気がする。
ご覧あれ、サンシュユの花の香りにうっとりと目を閉じる、
幸せそうなカムニャンの表情を。
そうでもなければ、近所の野良猫兄妹ヒボンとカムニャンは、なぜ最近
サンシュユの木のそばであれほど多くの時を過ごしているのだろうか。
彼らはいつもそこで、花を眺めたり、遊びつかれて昼寝をしたりしている。
カムニャンがうっとり花を眺めている。
野良猫が花見・・・?
嘘じゃない。少なくとも「浪漫猫」血を受け継ぐヒボンとカムニャンは、する。
数日前、僕は、サンシュユの花をしばらく眺めていたヒボンが
なんとサンシュユの花に鼻を近づけ香りをかぐという
信じられない光景を目の当たりにしたのに、それを写真に撮れず、随分悔しい思いをした。
満開のサンシュユの枝越しにうかがう、カムニャンのシルエット。
もし僕がこの事実を事実のまま誰かに伝えたとしても
そんな訳ないだろう、と笑われるに違いない。
だから今日こそはとカメラを持って出かけた。
ヒボンとカムニャンは今日もサンシュユの木の下で、不思議そうに花を眺めている。
それはまさに、食べ物を見つけたときと同じで、花が「大好き」な瞳だった。
サンシュユの周りを飛び回る虫を前足で捕まえようと、突然動き出すカムニャン。
すでに僕と知り合って長い2匹の猫たちは
僕が近づいても気にもせずに花見をしたり
虫を目で追いかけたりして遊んでいる。
そして、数日前に見たヒボンの花の香りをかいでいる場面を
今度はカムニャンが「見て見て」と言わんばかりに再現してくれた。
カムニャンは確かにサンシュユの香りを感じているようだ。
はじめはただ匂いをかいでいるだけだったが、そのうち目をつぶって
花の香りを吟味しているようだった。
ひどく幸せそうな表情だ。
サンシュユの木の下で花見をするロマンチックな兄妹猫。
皆に信じてもらえるように、僕はその場面を何カットも写真に収めた。
ヒボンも横で花見をしている。
いったい何がそんなに不思議なのか、満開のサンシュユの花をずっと眺めては
高みの枝に咲いたサンシュユを仰ぎ見たりしている。
ヒボンが木の下で長いことサンシュユの花を見上げている。
カムニャンは花の間を飛び回っている虫にも大きな関心を見せた。
はじめは目で追いかけているだけだったが、
そのうち前足で虫を捕まえようと飛びつき、毎回空振り。
サンシュユの花を見つめるヒボンの目は真剣そのもの。
ブーンと羽音を立てて飛び回るミツバチは、ヒボンたちにとっては実に真新しい遊び道具。
冬に生まれたこの野良猫兄妹にとっては
サンシュユの花を見たのも生まれて初めてのはずだ。
花の間を飛び回るミツバチにも初めて出会ったことだろう。
だから世の中のひとつひとつが、彼らには全て不思議に思えるのだ。
花を見ているうちにおセンチになったヒボン。
サンシュユの木陰でしばらく遊んでは、こくりこくりと居眠りをし、
ブーンと飛び回るミツバチの羽音で目を覚ましてはまた横になって眠り、
起き上がってサンシュユの木陰を徘徊したりして
実に2、3時間の間、彼らはサンシュユの花影で遊んでいた。
春の日差しが降り注ぐ畑越しにのぞむ、ヒボンのシルエット。
そして春キャベツが芽吹き始めた畑の畝を通り抜け
お墓のある芝生のほうへと上っていく。
フカフカの芝生がじゅうたんのようにしきつめられているので
ヒボンとカムニャンはよくここへ昼寝をしに来る。
春の日差しが暖かく降り注ぐ丘へ、浪漫猫兄妹ヒボンとカムニャンは、ピクニック。
心行くまで花見を楽しんだからか、彼らの表情も満足げ。
おかげで僕も久しぶりに、サンシュユの木陰で
花見を楽しむことができた。
-イ・ヨンハン氏ブログ「雲と鮭、あるいは雨期の旅人宿」、2008/04/01記事より-
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