2007/04/13 09:41
テーマ:自宅 カテゴリ:趣味・特技(カメラ)

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韓国版「ホテリアー」の挿入曲『君に逢える日』が好きです。“君”っていうのは男性が女性を指して言っていることなんですよね。これが“あなた”であるとどっちかわかりにくいし、なんとも甘い雰囲気になるように私は感じます。「君」でよかった・・・。ちょっと切ない響きがありませんか?

 

日本語の二人称って相手に合わせて変化させるようになっています。・・・というか、一般的な二人称代名詞ってないのですね。普段、会話では相手のことを名前、肩書き、ニックネームで呼ぶことがほとんどだと思います。代名詞では「あなた」とか「おまえ」とか「あんた」がわりと使われるのかもしれません。あまり親しくなかったり、相手の名前がわからなかったりした場合は「お宅」、ちょっとガラが悪いと「てめぇ」でしょうか。古典の世界では「そなた」「そち」なんてのもあります。

どうも、昔はその二人称代名詞に「様」をつけて「貴方様」「お宅様」など結構敬意を表して使っていたようです。しかし、時代が下るにつれ低くなっていった気配があるようです。それでも手紙などに使用する場合は今でも「貴方(貴女)」「貴殿」などかしこまった表現を選択するでしょう。

 

“君”という代名詞は口語の場合、場面によっては顔をしかめたくなります。上司が部下に「きみ!」と言う時に使うことがあるからです。Wiktionaryによると「あなた」よりぞんざいで「おまえ」より丁寧とありますがどうでしょう。

 

万葉集に歌われているころの「君」は主君を表していました。大君は天皇のことです。

 月立ちてただ三日月の眉(まよ)根(ね)掻き

    日(け)長く恋ひし君に逢へるかも

                (大伴坂上郎女  万葉集6巻)

坂上郎女の想い人は穂積皇子でしたので、この君は彼であると想像できます。

しかし、時代が下ると歌の世界でも主君ではなくなってくるようです。

 君がため春の野に出でて若菜つむ

      わが衣手に雪はふりつつ

                (光孝天皇  古今集巻一)

百人一首で有名なこの歌の「君」は誰のことを指すのでしょう。男性の読んだ歌ですから女性かとも思われますが、不明だそうです。それにしても、天皇が誰のために菜っ葉を摘んだのでしょう。

 

私は昔、私のことを「君」と表現してくれた手紙をいただいたことがあります。その方は私より年齢の多い男性でした。「君」と書かれた(呼ばれた)ことは嫌ではありませんでした。むしろ恥ずかしいような嬉しいような気分でした。なぜでしょう?口語ではなく、手紙という文字であったからなのかもしれません。普段その彼は私のことを「おまえ」と呼んでいました。 

「君」は単に男性から女性に対してではなく、年上、目上の人から年下、目下の人という意味が含まれています。万葉集のころの主君とは逆の意味ですね。私の妹は子供たち二人に向って「きみたち!(;`O´)o」とよく叫んでいます。二人を同時に叱るときに使うことが多いような・・・

 

しかし、さらに現代社会では男女間で二人の上下関係を含まないでお互いを「きみ」と呼び合うようになっているらしいです。そういえば、だから漢字の「君」ではなく、「キミ」であるのだ・・・とこだわっている若者のブログを読んだことがありました。 

 

今日の写真は我が家のスズランの芽です。妹の旦那様が我が家に結婚の挨拶に来たときに持ってきました。どうも、実家のお母様が自宅に自生していたものを持たせたということです。あまり手をかけていないのですが、毎年株が増えています。今年もたくさんの芽が出ました。

スズランは“蘭”の字が入っていますがユリ科とか。現在日本で見られるのは、日本の野生種であるものと、観賞用に輸入したドイツスズランがあるようです。ドイツスズランは茎が葉より長くなり、花も大きいとのこと。日本の山野のものは茎が葉より低く、さらに花も小さいということでした。その様子から日本のスズランの別名を“君影草”というそうです。さすが日本。粋な名前をつけます。

この「君」は名前の由来から考えるに、男性が女性を表現したものでしょうね。

我が家のスズランはどっちか・・・。私は勝手に“君影草”であると信じることにしました。それは、毎年花の写真を撮ろうとがんばるのですが、花が葉っぱに隠れてしまい、そりゃー大変。うまく撮れないんです。今年は“君影草”というイメージを大事にして撮影に挑戦してみましょうか・・・

 

  

 


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