梅の花と青い空
自宅で療養している父が突然「自分の命はもう長くない。あと1ヶ月はもたないだろう。」と言いました。先月末に退院してきてから約3週間、徐々に食べることができなくなっていきました。今は渇いた喉を潤す水分を口にすることがやっとです。自宅で少しばかりの点滴を毎日していますが、それだけが生きる綱なのでしょう。
お腹が張って苦しいのに何をしてもその感覚は解消しません。また、動くと息が切れ、足元がふらふらしています。寒気が続き、トイレに行く以外はほとんどベッドの中です。先週末受診した折にいつもと違う点滴をしてもらったようですが、症状は少しも改善せず・・・。そんなこんなでここ数日少し鬱気味の父でした。黙って一点をみつめている時間が多かったと思います。
「お腹を切ってしまおうか・・・」はじめはそう言いました。「切って胃を取り出したら苦しいのがなくなるんじゃないか」と。そんなことできるわけないのですけど。そして「自分が死んだ後は・・・」と思いつくことをいろいろと私に伝えていきました。一緒に聴いていた母は「そんなこと言わなくても」と答えていましたが、逃げてもしょうがないことです。「元気なうちに言っておかなくちゃ」という父。私は一つ一つメモを取り、確認していきました。
知らせて欲しい人親戚と友人の名前。
様々な書類と手続き。
お金のこと。
葬儀の方法・・・など。
「また思いついたら言うよ。」
闘病中、何度も意識をなくしたことがある父でしたが、この最期の時間は随分としっかりしています。食べられなくなったことが意識消失を防いでいるのだと思います。まあ、自宅で毎日点滴をしているからかもしれませんけど・・・。
次回20日に受診です。「入院て言われちゃうかなあ」と心配していましたが、入院してもすることはありません。主治医もそれを承知で早くに退院をさせてくれたのです。私は意識がなくなるまで、息を引き取るまで自宅でと思っています。なので、「ずっと家にいればいいよ。」と答えました。
でも最期は医師の確認が必要です。「家で亡くなったら事件になっちゃうでしょ。救急車で病院に行けばいいか・・・」と父。なんとかなりますよ。そんなことまで気にしなくてもいいですってば。
青い空が広がった日曜日、たくさんの梅の花を撮影しました。もうすぐ父の植えた我が家の枝垂れ梅の花も咲きそうです。父は桜をみるのは無理でしょうが、その梅は見ることができるでしょう。たぶん・・・。そういえば、祖父がなくなったのも、祖母がなくなったのも梅の花の時期でした。
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