香港版『猟奇的な彼女』? 『I’LL CALL YOU』
現在シネマート六本木にて好評開幕中の「アジア新星流」で、ラム・ジーチョン監督の『I’LL CALL YOU』を観てきました!
香港映画というと、某作品の宣伝文句「ありえねー。」と突っ込みたくなるようなオーバーアクションやゆる~いストーリー、濃ゆ~いキャラクターといったイメージしか持っていなかったのですが、『I’LL CALL YOU』は良い意味で期待を裏切ってくれた作品でした。
平凡でお人好しな青年マンが、かわいいけれど超自己中心的な女の子カレンに振り回される…というストーリーは、ちょっと『猟奇的な彼女』を彷彿とさせます(実際、劇中にもそんなセリフが出てきます)。しかしそれをCGやアニメを使ってコミカルかつファンタジックに描いていて、脇を固める個性的なキャラクターといい、要所要所で飛び出すナンセンスギャグといい、なかなか飽きさせません。
韓国の女の子以上に気が強くてパワフルで、超ワガママなのになぜか憎めないカレンに一度は手痛く振られてしまうマンですが、彼女を忘れようとして長く苦しんだ末に(このあたりの描き方が秀逸!)彼が選んだ方法は、忘れることよりもはるかにすばらしい選択だったのではないでしょうか。
「たとえ失敗してもそれが新しい第一歩になる」
「愛情は強制できない。妥協もできない」
どちらもマンの友人の言葉ですけど、いつの時代にも当てはまる恋愛の真理ではないでしょうか。『少林サッカー』などチャウ・シンチー作品でおなじみのおデブさんタレント、ラム・ジーチョン監督はこの作品で長編デビューを果たしたそうですが、香港映画らしいユルさの中にもさわやかな余韻を残す手腕はお見事!
それにしても、この作品で何といっても衝撃的なのは、「アジア新星流」プロジェクトを総指揮した大スター、アンディ・ラウの役柄…!世界的な俳優がそこまでやっちゃうの!?という感じですが、それだけ彼の映画に対する愛情の強さが伝わります。
何だかんだと見終わってジーンとしているところに、エンディングテーマとして流れる日本のド演歌…。そんな監督のセンスが光る『I’LL CALL YOU』、みなさんもぜひご覧になってください。
ブロコリレビュアーS
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