少しマニアックな『Sweet Rain 死神の精度』レビュー
先日、金城武主演の『Sweet Rain 死神の精度』を観ました。 【死】を扱った作品なのに、主人公(?)の死神の精神状態とシンクロしているかのような、終始軽い雰囲気で物語は進んでいきますが、鑑賞後に爽やかな余韻を残してくれる秀作でした。 本作は、3つの物語から成るオムニバス形式の作品ですが、全ての物語が繋がっており、また、その伏線の張り方もとてもオシャレだなと感じました。 特筆すべきは、やはり近年邦画に出ていなかった金城武の存在感だと思います。見た目はもちろんですが、個人的に金城武の魅力は、あの【声】だと思います。テレビなどで聴いていても印象的なあの声は、劇場という閉ざされた空間の中で聴くと、異様な心地よさを感じさせます。 また、ドラマ「神様、もう少しだけ」でもよく走っていましたが、女性を引っ張って走る姿があれ程、様になる役者は彼を置いて他にいないと思います。 パーティーしてたら自由の女神の首が飛んできたり、熊に乗った少女が羅針盤を探して冒険するような作品もインパクトありますが、小春日和には散歩がてら、こういう良い意味で軽く、後味が爽やかな作品も良いのではないでしょうか(因みに本作品はずっと雨ですが)。 コモエスタチャン |
香港版『猟奇的な彼女』? 『I’LL CALL YOU』
現在シネマート六本木にて好評開幕中の「アジア新星流」で、ラム・ジーチョン監督の『I’LL CALL YOU』を観てきました! 香港映画というと、某作品の宣伝文句「ありえねー。」と突っ込みたくなるようなオーバーアクションやゆる~いストーリー、濃ゆ~いキャラクターといったイメージしか持っていなかったのですが、『I’LL CALL YOU』は良い意味で期待を裏切ってくれた作品でした。 平凡でお人好しな青年マンが、かわいいけれど超自己中心的な女の子カレンに振り回される…というストーリーは、ちょっと『猟奇的な彼女』を彷彿とさせます(実際、劇中にもそんなセリフが出てきます)。しかしそれをCGやアニメを使ってコミカルかつファンタジックに描いていて、脇を固める個性的なキャラクターといい、要所要所で飛び出すナンセンスギャグといい、なかなか飽きさせません。 韓国の女の子以上に気が強くてパワフルで、超ワガママなのになぜか憎めないカレンに一度は手痛く振られてしまうマンですが、彼女を忘れようとして長く苦しんだ末に(このあたりの描き方が秀逸!)彼が選んだ方法は、忘れることよりもはるかにすばらしい選択だったのではないでしょうか。 「たとえ失敗してもそれが新しい第一歩になる」 どちらもマンの友人の言葉ですけど、いつの時代にも当てはまる恋愛の真理ではないでしょうか。『少林サッカー』などチャウ・シンチー作品でおなじみのおデブさんタレント、ラム・ジーチョン監督はこの作品で長編デビューを果たしたそうですが、香港映画らしいユルさの中にもさわやかな余韻を残す手腕はお見事! それにしても、この作品で何といっても衝撃的なのは、「アジア新星流」プロジェクトを総指揮した大スター、アンディ・ラウの役柄…!世界的な俳優がそこまでやっちゃうの!?という感じですが、それだけ彼の映画に対する愛情の強さが伝わります。 何だかんだと見終わってジーンとしているところに、エンディングテーマとして流れる日本のド演歌…。そんな監督のセンスが光る『I’LL CALL YOU』、みなさんもぜひご覧になってください。 ブロコリレビュアーS |
『鐵三角 TRIANGLE』(2007)
前回初めてレビューブログを書いたのですが、間の抜けた評論家のような格好悪い文体になってしまいました。『レター 僕を忘れないで』を素敵に紹介したかっただけなのですが。本当はそんなキャラでもないので今回からはフツーにT子の口調で書かせていただきます(笑)。 先日、東京国際映画祭提携企画として開催中の香港映画祭http://www.int-acc.or.jp/hkff/に行ってきました。オープニング作品はツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーの3人がバトンタッチ形式で撮ったという異色の作品『鐵三角 TRIANGLE』3人とも香港映画界を代表する監督たちです(その個性は、これまたバラバラ)。どんな映画なのかあまりリサーチせずに観に行きました。どこからどこまでがどの監督の演出なのか、気になって気になってドキドキしながら作品を鑑賞いたしました(笑)。案の定、なんとなくですが雰囲気でわかったようなわからないような。この映画のスゴイところは3人の監督の意図するものが結局は同じだというところ。3人とも同じ思いを抱いて香港という街で生きているのだということがひしひし伝わってくるような、そんな映画でした。拝金主義と言われる香港社会の中で抱く疑問や葛藤を映画に込めたような気がします(単なる想像ですが)。サイモン・ヤム、ルイス・クーなどの俳優もよかったですがやっぱり私としてはラム・シュー(ジョニー・トー映画の常連!)が出てきたことによってパンチの効いた映画に仕上がったんだと勝手に盛り上がっていました。 |
タイ映画『レター 僕を忘れないで』
ここ数年、泣ける映画には出会ってこなかった。いや、わざわざ観ないようにしていたのだと思う。この映画を観た時、忘れられてそのままになってた地雷が急に爆発するかのように、泣いた。泣きまくった(今、改めて思い出してもそんな自分の姿にゾッとする)。 映画というものの定義をここで問うつもりもなく、見方は人それぞれだと思うが、映画は「感じるもの」だと思って観たい。音楽がココロに染みるように、映画もココロに染みるものでありたい。私はアジア映画を観ると妙に感情移入するクセがある(私もアジア人だから?)。案の定、今回もそうだった。タイ映画は数えるほどしか見てこなかったが、この映画はとても美しくセンチメンタルになる秋にぴったりの1本だった。音楽もすごく素敵で、サントラが欲しいぞ!と思ったりもする。そしてまた、二人の会話がタイ語という言語によってよりほほえましく愛らしく思えるところも素敵だ。
「これからずっと先のことかもしれないけど、僕たちはまた必ず出会う」
輪廻転生の考えが根深いタイならではの言い回しなのかもしれないが、自然に「そう!そうだよ!また必ず出会うよ!」とか心の中で思ったりした。完全に映画に入り込む24歳・独身(笑)。不思議と、自然に運命とか縁とかいうものを感じられる映画だった。ディウとトンの愛からそれを感じると言ったほうがいいのかもしれない。タイという土地は、人々がとても温かかったこと、笑顔が素敵だったことを思い出す。「仏像はその土地の顔をしている」と一般的に言われるが、タイの仏像は確かに笑っていた。それも、とても素敵な笑顔で。色々な仏像を見てきたが、あの時の感情は今も鮮明に覚えている。ものすごく笑顔で、でもどこか寂しそうで。見ているこっちがなぜかセンチメンタルになってしまう。映画の中のトンを見ていると、アユタヤ王朝がビルマに破れ、そのまま残されたその仏像を思い出す。素敵な微笑とその微笑に秘めた寂しげな姿、そして何かを見守り続ける温かく強い眼差し。映画の感想から多少ズレてしまったが、久々に映画を観て感傷に浸り、その日の夜はベタにインスタントのトム・ヤム・クンを食べた。そのトム・ヤム・クンの辛いったらない。私もインスタントではなく、美味しいトム・ヤム・クンが食べたい。トンのように料理をしてくれる人を見つけなくては・・・。
ブロコリレビュアーT子
『レター 僕を忘れないで』 あらすじ 首都バンコクでプログラマーとして働くキャリアウーマンのディウは、祖母の妹の葬儀で訪れたチェンマイで、地元の農業試験場に勤める青年トンと出会う。ふたりの遠距離恋愛が始まる。ディウは、ルームメートの親友の死をきっかけに、チェンマイへ移り住み、やがてトンと結婚する。トンの献身的な愛に包まれた温かい生活はしばらく続くが、突然、ふたりにあまりにも切ない試練が降り注ぐ。トンは、不治の病に冒されていた……。
『レター 僕を忘れないで』公式サイト
|
| [1] |


