2010/04/04 23:32
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

創作mirage-儚い夢-18.逃避行

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空港を後にした車の中で僕たちはしばらく無言だった。

この二日間に・・・
僕が自分自身に打ちのめされていた間に、彼女の身に起こっていたことを思って
身が切られる思いだった。

本当に失えないたったひとつのものを、実際に失うところまで来て僕はやっと自分の心に
決着をつけることができたというのだろうか。

しかし今はまだ・・・この想いを言葉に出して彼女に告げることを躊躇する自分がいた。

それは・・・まだ僕の奥底に潜むソフィアへの想いなのか・・・
それでも、僕は彼女の手をしっかりと握って離さなかった。

「怒ってるの?」

僕が前方を見据えたように黙したままハンドルを握っていると、彼女が恐る恐る
僕の顔を覗きながら声を掛けた。

「・・・・・」

「手・・・痛い・・・それに・・・フランク・・・怖い顔してる・・・」

「・・・・・」

「やっぱり・・怒ってるのね・・あなたに黙って帰国しようとしたから?」
「・・・・・」

「でも、あなただって。・・・その・・・連絡もくれなかったし・・・
 それに・・・きゃー!」
僕は突然、車を乱暴に路肩に移動すると、急ブレーキをかけ止めた。

「びっくりした・・・フランク・・・どうしたの?危ないじゃない!」
「・・・・・」

「フランク?・・・」
「・・・・・・愛なんて・・・」 僕は相変わらず、彼女から視線を外したままだった。
「・・・・?」
「愛なんて・・・邪魔なだけだ・・・そう思ってた・・いつも・・
 そう思ってた・・・」
「・・・・・」

「これから僕は・・・世の中を這い上がっていかなきゃならない・・・
 愛だの恋だのと、生ぬるいことに囚われてる暇なんて無い・・・
 そう思ってた・・・
 それなのに・・・その僕が・・・今何処か・・可笑しくなってる・・・
 とても本当の自分とは思えない・・・

 自分自身をコントロールできないなんて・・・どうかしてるんだ・・それって・・ 
 それって・・みんな・・・
 君のせいだ。・・・・すべて君のせいだ・・
 君のせいで・・・ 僕はまるで可笑しくなってしまった・・・」

「私が・・いない方がいいってこと?」
彼女の声は怒ったように、少し震えていた。しかし僕はその声を無視して続けた。

「・・・君さえいなければ・・・こんな苦しい想いをせずに済んだんだ・・・
 人の気持ちなんて・・・僕には何ら関わり知らぬこと・・・
 ただ仕事のことだけを考えて・・・ただ・・上に上り詰めることだけを考えて・・・
 世の中なんて楽に渡れたはずだった・・・」

「じゃあ・・迎えに来なきゃよかったじゃない」 彼女が不満を露に目に力を入れた。

「君さえ現れなかったら・・・」 それまで正面を見据えていた僕は彼女に向き直って続けた。
「君からの電話を受けてから・・・さっき、空港で君を見つけるまで
 僕がどれほど心配したか・・・わかる?

 君が遠くへ行ってしまうと思って・・・狂いそうだった・・・
 本当に・・・死ぬかと想うくらい心臓が張り裂けそうだった・・・

 君が・・僕の前からいなくなることが・・どれほど僕を恐怖に陥れることになるのか・・・
 君はきっと・・想像もできないんだろうね?・・・」 

僕はそう言って、彼女の目を更に強く睨んだ。

「・・・・・・」

「どうするつもりだったんだ?」

「・・・・・・」

「もし・・・あのまま、韓国へ戻ってしまって・・僕に何も言わずに戻ってしまって・・
 ・・・あのまま・・・はぐれてしまってたら・・・僕は・・・
 どうやって・・・君を・・見つければ・・・」 

        フランクはそう言ったまま・・・

        深く澄んだ褐色の瞳の端から一筋の涙を落とした

「フランク・・・」

「・・・・・・」

「フランク・・・ごめんなさい・・・もう・・しないわ・・・もうこんなこと・・しない・・・」

        今 私の目の前で涙を流すこの愛しい人は・・・
        私の・・・私だけの・・・フランク・・・
        そうよね・・・

        あなたを信じて・・・いいのね?・・・

        私は彼の頬に掌を添えて・・・指でその涙を拭いた

        彼は私の手を自分の手で包みこむと

        涙を拭った私の指にそっとくちづけをくれた

「ごめんよ・・ごめん・・君の方が辛かったのに・・・
 君のこと・・ずっと・・・ごめん・・・」 
僕は自分が何を言いたいのかわからなかった。言いたいことが言葉に現せなかった。

                         

「ひとつだけ・・・聞いてもいい?フランク・・・」
「・・・・・・」

「彼女のこと・・・」  
「・・・・・・」          
「・・・・・・・私・・・あの人に会って・・・凄くショックだった・・・
 いいえ・・・あの人の存在がショックだったんじゃないの・・・

 でも私・・・あの人に初めて会ったあの日・・・
 あの人の目に・・・簡単に射抜かれたみたいで・・・
 まるで逃げるように部屋を駆け出した・・・

 あの人のあなたを想う気持ちがきっと・・私にそうさせたんだと思う・・・
 私は・・・あの時・・あの人に簡単に打ちのめされて・・
 降参したんだわ・・・きっと・・・」

「それで?」

「えっ?」

「それで・・・降参したまま・・・逃げようとしたの?」

「・・・・・・・そう・・・なのかな・・・」

「彼女は・・・ソフィアは・・・僕にとって大切な人だ・・・」

「・・・・・・・」
僕がそう言った時の彼女の目は今にも泣きそうな程だった。

「そんな顔しないで・・・ジニョン・・・
 ごめん・・・きっとこの想いはこれからも変わらない・・・

 今更この感情が・・男と女としてじゃない、と言ったら卑怯かもしれない・・・

 彼女が僕を深く愛してくれていることも・・・
 その彼女の想いを僕が断ち切れず悩んだことも・・・事実・・・
 僕は彼女にあらゆる意味で愛を求めていた・・・それも事実だ

 でも今・・・
 どんなに考えても・・・どんなに悩み抜いても・・・
 僕の中に息づいている女はたったひとりだった・・・

 ただひとりだけなんだ・・・僕が愛している女は。」

「・・・・・・・ただひとり?・・それは・・誰?」
彼女の涙が少しずつ渇き、僕へ向ける眼差しに、微かな余裕が見えた。
僕を信じる余裕が生まれていた。

「・・・・・・・教えない。」
僕は込み上げた涙をすすり上げて、タダひと言そう言った。

彼女は呆れたような笑顔で一度フロントガラスの方を向いて、再度僕に向き直り
小さく睨んだ。 「フランク・・・」

この時僕たちは、互いの瞳の中に映る自分の微笑みに満足していた。
だからこそ、優しく愛しさを込めて抱き合い、互いを慰めることができた。

「愛してると言って・・・」 ジニョンが大人びた口調でそう言った。

「愛してる・・・」 僕はそんな彼女に真摯に答えた。

「君だけだと・・・言って・・・」

「君だけだ・・・」      

     だったら・・・

     だったら・・・いいわ・・・あの人があなたの大切な人でも・・・  

     本当はね・・ちくりと胸が痛いけど・・・許してあげる・・・

「私も・・・」

「ん?」

「私も・・・愛してる人はひとりだけ・・・」

「・・・それは・・・誰?」

「・・・・・・教えない・・・」

「いいよ・・・教えてくれなくても・・・」

       彼はそう言いながら私の唇に静かにくちづけて

       私の言葉を心で聞いた

       静かに流れるこの時間(とき)を・・・

       ふたりだけで漂っていたかった・・・


       いつまでも漂っていたかった・・・


   君だけを・・・      あなただけを・・・


        ・・・愛してる・・・

 

 

あいつの前から彼女を連れ去ったことが何を意味するのか、これから僕は彼女の為に
何をしなければならないのか。

・・・ただ・・・
彼女を自分から切り離すことはもうできない。
    

彼女の話から、このまま彼女を僕のアパートに連れ帰ってもあいつに、簡単に
探し当てられてしまうだろう。

  今はまだ・・・僕には何も無い・・・

  何より韓国の彼女の身内に語れる歴史が無い・・・
  それはジニョンを愛する人達にとって、きっと重大なことだろう

僕は自分の断たれた歴史を一笑に付すような、名声と地位と財産を手に入れたいと
今まで以上にそう思った。


彼女との愛を成就するために成さなければならないことがある。今は、それだけが
僕の成すべきことだと、そう思っていた。

 

僕は取り敢えず、彼女をマサチューセッツの学校へ連れて行った。

夜遅く着いた時、校舎にはまばらに灯りが灯っているだけだった。僕は迷わず
自分の研究室に向かった。部屋に入ると、彼女は周囲を見回して言った。

「ここが・・・フランクがお勉強してるところ?」

「ああ・・・」

「ここ・・・さっき、門のところに、ハーバードって・・・
 もしかして・・・あの、ハーバード?・・・」

「あの?・・ハハ・・確かここは世界にひとつだと思うよ」

「・・・・・フランクって・・・凄い人なのね・・・」 彼女が頷きながら、感心して言った。

「ここでは変わり者で通ってるよ。・・・ね、疲れたでしょ?・・少し寝るといい・・・
 隣の部屋に仮眠用のベッドがあるから、使って?・・・」
僕はそのドアを目で示しながら、彼女に言った。

「でも・・・」 彼女が不安げに僕を見上げた。
「この部屋は僕の個室みたいなものなんだ。ベッドも僕の専用だよ・・・
 だから安心しておやすみ?・・・明日のことは、明日考えよう・・・」 
僕は彼女の不安を拭うように優しく言った。

「ええ・・・フランクは?」

「ん・・僕はちょっとやることがあるんだ」

「そう・・じゃあ、お先に・・・おやすみなさい」 彼女はやっとドアノブを握った。

「おやすみ・・・あ・・待って・・・」

「・・?」

僕は彼女の手首を掴むと、グイと抱き寄せて彼女の耳にくちづけながら囁いた。

「大丈夫・・・大丈夫だよ・・・君のことはきっと僕が・・守る・・・
 どんなことがあっても・・・離さない・・絶対に離さない・・いいね。」

「うん・・・」 彼女は僕の背中に回した腕に力を込めてただ頷いた。



『いったい!何を考えてるんだ!お前・・俺を殺す気か!』

レオの怒鳴り声が受話器を耳に当てるまでもなく響き渡った。

「すまない」 僕は素直に彼に謝るしか無かった。

『すまない?そんなことで済む仕事じゃないんだぞ!
 取り敢えず今回は俺の判断で切り抜けた・・しかし。
 お前・・本当に・やる気はあるんだろうな。』

僕をボス・・と呼ばないレオの言葉が怒りの程を現しているようだった。

「必ずやる。」 僕は何んとかそう答えた。

『・・・・・・明日、いや・・もう今日だな・・・
 会って話がしたい・・・それまでに資料の用意を・・・いいな。』

「あ・・・ああ」

この三日間、ろくに寝ていないことなど何の理由になろうか・・・
レオの怒りは当然のことで、僕は何ひとつ言い返す術を持たなかった。

『何だ?何か問題があるのか?』

「いや・・・何も無い。」


僕はレオとの会話を終えると直ちに、仕事に取り掛かった。
資料の分析に手間取って、やっと目処が付いた頃、気がつくともう朝日が昇っていた。

「フランク・・・」
一瞬睡魔が襲った時、隣の部屋のドアが開いて、ジニョンが不安げにこちらを見ていた。
「ん?・・・あ・・おはよう・・・起きたの?」

「寝なかったの?・・・」

「ん・・・」 僕は両目の間を指で摘んで、気休めに疲れを和らげた。

「大丈夫?」 彼女は心配そうに僕の顔を下から覗いていた。

「大丈夫・・・君のキスがあれば・・・」 僕は彼女を心配させまいと微笑んで見せた。

「フランク・・・フフ・・・じゃあ・・」
彼女はまるで女神のように微笑んで僕の頬を啄ばむようなキスをした。

「コーヒー・・・それ?」
「ああ」
それから、僕の部屋と同じコーヒーセットが置かれているのを見つけた彼女は、
慣れた手つきでコーヒー豆を挽いた。
僕はそれを彼女に任せて、資料の最終仕上げを急いだ。

 

「フランク?・・・」

研究室のドアをノックもせずに開け、僕の名を呼びながらソフィアが入って来た。

その瞬間、ジニョンは思わず隣の仮眠室へと走り去った。

逃げるな!」 僕は彼女に向かって叫んだ。「・・ジニョン・・出て来い。」 

ジニョンはゆっくりとドアを開けて、僕とソフィアの前に立った。


ソフィアは僕たち二人を交互に見て一度目を閉じた後、ひとつため息をついて僕に顔を上げた。

「昨晩・・何度もレオ弁護士から連絡があったわ。
 あなたの所在を知らないだろうかと・・・
 ・・・知らないと答えた・・・本当のことだったから ・・・
 でも朝方になって、どうしても気になって、ここへ来てみたの・・・
 そしたら明かりが・・・いったいこれは・・・どういうこと?」 
ソフィアは冷静な口調でそう聞いた。

「彼女を連れて・・逃げて来た」 僕は結果だけを率直に言った。

「逃げて?・・・」

「理由は言わないよ・・・でも・・・
 今、彼女をひとりにするわけにはいかない。」

「ハッ・・・それで?フランク・・ここは学校よ
 しかもこの棟は部外者立ち入り禁止。・・あなたはここの責任者でもあるわ
 そのあなたがあろうことか・・・」

ソフィアが呆れたようにため息をついて、僕ではなく、ジニョンに視線を向けた。

「住む場所を用意するまで・・・見逃して・・・」 僕はソフィアにそう言うしかなかった。

「あなた・・・大詰めを迎えた仕事があるんじゃないの?」 

その通りだった。正直僕は今、或る取引において窮地に立っている。

「ああ・・これから・・NYに帰る。レオと会わなけりゃならない」

「・・・彼女は?」

「一緒に・・・」

「あ・・フランク・・私は・・・何処か小さなホテルに
 あなたのお仕事の邪魔したくない」 ジニョンが口を挟んでそう言った。

「いや・・・一緒に連れて行く。」 僕は彼女に強く言った。

「だって・・」 ジニョンは困惑したように口ごもった。

「・・・・・・私が・・・預かるわ・・・」 その時ソフィアが言葉を挟んだ。

「・・・・・!」

ソフィアの突然の言葉に僕もジニョンも驚きを隠せず、彼女を振り返った。

「あなたの仕事が落ち着くまで・・・彼女を私が預かる・・・
 今、取り掛かってる仕事・・・不意にしたら、今までのあなたの苦労が無駄になる・・・
 そうでしょ?違う?」

「だけど・・・せっかくだけど、それはできない。」≪そんなこと・・できるはずがない≫

しかし、ソフィアは少しも引かなかった。そして彼女は僕にではなくジニョンに聞いた。

「あなたはどう?フランクはあなたをひとりにしたら誰かに連れて行かれる・・・
 きっと、そう思って恐れてるみたいね・・・理由はわからないけど・・
 でも、彼の仕事に、間違いなくあなたは邪魔になるわ・・・
 それでも・・・彼に付いていく?」 ソフィアはジニョンを真直ぐに見据えてそう言った。

「・・・・・・・いいえ。」 ジニョンはソフィアを前に姿勢を正した。

「じゃあ・・・どうするの?」

「・・・・・・・ここに・・残ります。あなたと。」 

「そう・・・なら、話が早いわ・・・フランク・・・
 そういうことだから・・・」 ソフィアは僕に振り向いてそう言った。

「ソフィア・・・どういうつもり?」 僕はソフィアの真意がわからなかった。

「どういう?・・・私が彼女を・・・どうにかするとでも?」 彼女が小さく笑って見せた。

「そんなこと思ってない。」

「なら・・任せなさい。」

「フランク・・・私は大丈夫・・・お仕事行って来て・・・
 お願い。・・・これ以上あなたの邪魔をしたくない」

必死に懇願するジニョンの目を見ていると、僕は仕方なく頷くしかなかった。


確かに、NYに連れ帰っても、仕事の間、結局は彼女をひとりにしてしまう。

まだ、彼女をNYから遠ざけていた方が安心はできた。

「・・・ソフィア・・こんなこと・・あなたに頼めた義理じゃないのはわかってる・・
 でも僕は・・・彼女をもう・・・失えない・・・」 
僕のその言葉はどれほどソフィアを傷つけていただろう。
しかし今の僕には、そんなことを考える余力など残されていなかった。

「いいから・・・早く、行きなさい。」 ソフィアは僕を真直ぐに見てそう言った。

結局僕はジニョンをソフィアの元に残してレオの待つNYへと急いだ。

 

ソフィアさんはフランクを見送った後、しばらくドアを見つめ小さくため息をついた。
そしてゆっくりと私に振り返った。

「・・・・さて・・・自己紹介がまだだったわね・・・ソフィア・ドイルよ
 多くは語らなくても・・・いいわね・・・」

そう言いながら彼女は白くて細い手を、私にそっと差し出した。

「ソ・ジニョンと申します」

「知ってるわ・・・この前あなたが自己紹介したじゃない?
 フランクの生徒だって・・」 彼女はそう言って笑った。

私は罰が悪くなって、苦笑いして俯いた。

「私が少し校内の用事を済ませる間・・・ここに・・・あ・・
 いいえ・・・私に付いて来る?」

「あ、はい。」

ソフィア・ドイル・・・

私はこうして彼女と初めて、真直ぐに対面した。

   理知的で・・・

   何もかもに隙がない・・・

私は彼女が校内の用事を片付けて歩く間、彼女の後を黙って付いて歩いた。

   斜め後ろから覗く彼女の凛としたうなじが私に、

   小さく・・ため息をつかせた


   フランクを・・・心から愛している・・・


         美しい人・・・

 

   でも・・・

      私もあなたに負けないほど・・・フランクを・・・


        ・・・愛しているんです・・・





 


2010/04/04 10:44
テーマ:私の“韓国の美をたどる旅” カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ハナヨ感想文③「 留まる 03 韓服とくらし 」

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「韓国の美をたどる旅」読書感想文^^



 








韓国の民族衣装チマチョゴリ
私は残念ながら袖を通したことは無いし、テレビや雑誌以外で実物を見た経験もない。

韓服は、時には体のラインを果敢に現す官能的な服であると同時に(風が吹いて体に巻きついたり、雨にびっしょり濡れたりした韓服を見よ!)
ってヨンジュンssi、いつ見たの?^^

ま、それは深く追求しないとして、確かに色っぽそう^^


ゆったりした懐の中に隠してしまう、品位のある服だ(腕や脚が太いのか細いのか、脚が長いのか短いのか、腰がふくよかなのか華奢なのかという長所や短所といったものは現れない)

日本の着物もしかりだけど、韓服はその点で言えば、着物を超えていると思う。
チョゴリはボレロ丈のようにかなり短いし、チマはウエストより高い位置から、プリンセス又はベルラインに広がっているので、確かに身長が低かったり、足が短くても太くても隠せそう^^
 しかし、韓国の人って、もともとスタイルがいい人が多いと思うんだけど気のせい?
愛の群像に出てくるジェホの親戚の叔母さんのような体格の人、余り見かけないんだけど(ドラマでは・・・^^;)
チュンサンさんのオモニも美人でスタイルいいし、ユソクのオモニも女優さんだったし(でもメイクが怖かった)、ドンヒョクのオモニも私の創作の中では美人で素敵な人^^
って、関係ないか^^;


綿を入れて着れば冬服、綿を抜いて着れば夏服

そうなんだ・・・と感心した。
でも、綿を入れた冬服というものは映像の中でも見たことがない。

冬ソナでユジンとサンヒョクの婚約式の時、両家のオモニ達が韓服を着ていたけど、確か、あれは冬だったよね。でも、綿は入ってなかったような・・・室内だったからなのかな。


一番上の外衣さえ脱げば寝巻き、仕事をする時は紐一本でぎゅっと結び、たくし上げれば作業服、綺麗に洗ってアイロンをかければ外出着だ。

私が知っているドラマでの韓服(もちろん、ヨンジュニ作品のみですが^^;)
スキャンダルは別格として、上に上げた冬ソナ以外では、愛の群像でのジェホのイモとシニョンssiのオモニ。四月の雪のソヨンssiの白の韓服(喪服)。くらいかな。


そして日本の民族衣装といえば着物。
結婚式での和装は、白打掛(白無垢)、色打掛、本振袖というのが定番である。(中には十二単を着る人もいるけど、それは稀)
結婚式と言えば、花嫁は白、と思いがちだが、最近は白以外、つまり色打掛や黒本振袖で挙式する人もいるし、認知されてもいる。

また、黒振袖挙式が流行っていた一時代もありました。最近でも、おばあさまがお召しになった黒本振袖をご持参される新婦もいます。(私の中では黒振袖挙式で印象にあるのが、横溝正史原作“病院坂の首くくりの家”の映画での桜田淳子^^)

しかし、先日国際結婚のカップルがいらして(私の職業は婚礼業です)、日本人である新婦の希望で黒本振で挙式した人が、新郎であるアメリカ人ややはりアメリカの友人達から、「花嫁が何故“白”を着ないのだ」と追求されていた。もちろん、日本人であっても、お年を召した方はそれを強く思う方も未だにいる。結局そのケースは新婦の「白は絶対に嫌」という強い意思でそれを押し通すことになったが、アメリカ人にとっては、本気で理解に苦しむ所だったらしい。

伝統や文化は国によって様々。そして同じ国でも各地域で違ったものもある。
伝えて来た人達によって、時の流れの中で形を変えていったものもあるかもしれない。
これもまたこの書で言われている “形を変えて伝えられていく伝統”というものかなと思う。
ヒョジェさんがおっしゃっている“ヨン様ブラウス”のように伝統の布が形を変え、100年後200年後も韓国の伝統として残って欲しい この言葉って、的を得ていると思った。
日本も韓国も、その時代時代で形を変えながらもきっと、伝統は残っていくんですね^^


また、日本の着物というのは奥が深い。
未婚者の第一礼装としては振袖(本振袖・中振袖)
既婚者の第一礼装は男性は黒紋服に仙台平の袴、女性は黒留袖。

日本の着物には“格”というものが存在し、TPOに合わせて着るようにできている。
例えば、既婚女性の場合は留袖、色留袖、付下げ、色無地、訪問着と格が下がっていく。
小紋や紬の着物などは、どんなに高価な品であっても、普段着としかならず、改まった場所に着るのはマナー違反となる。

ヨンジュニが書いている韓服の万能性。これは大げさに言えば、一枚あれば何処でも着れるということだろうか(もちろん、実際に一枚をそうしている、と言うわけでは無いにしても)。だとすると、日本の着物とはちょっと違ってるのかな。



韓服が持つ美しさをより引き立たせるのは、まさに天然染めだ。

ここで8ページにも渡り、紅花染めの行程に触れているが、私は“カラーコーディネート”を仕事でやっていたので、“色”には少なからず興味がある。
といっても資格を取るために本当に勉強していた一時期に比べると、必死に覚えた色名の多くを忘れてしまったが、昔の人が付けただろう色名には、なるほど、と思わせるものが沢山あって、結構覚えるのは楽しかった^^

私が好きな色名の中に、“ラピスラズリ”というのがある。日本名は瑠璃色といい、夜に広がる空の色をいう。
この色名が好きだった理由は、たぶん言葉の響きなのだと思うが、様々な色の名前がどうして付けられたのかな、と考えたりすることも好きだった。
“ラピス”はラテン語で“石”、ラズリはペルシャ語の“空”が語源らしいが、考えると、どうしてこの名前を付けた時、わざわざ違う国の言葉を合わせたんだろう。その時にいた人がたまたまそれぞれの言葉を使う人だったのかな、など考えてみたりして^^


紅花は黄色い花なので、赤い色素と黄色い色素を持ち合わせている。
彼は本当に細かい部分までちゃんと勉強しているんだな、ということが随所の文章でよくわかる。

しかし、ここの文章は「紅花は黄色い花だが、赤い色素と黄色い色素を持ち合わせている」と訳して欲しかったかな^^と思う。韓国語はどうなっていたのかな^^


色といえば、人間はいったいどれ位の色を識別できるでしょう。
“日本人は1000色以上を見分けることができる”と何かの書物で読んだことがある。もちろん、私は実験したことは無いし、その書物も何だったか覚えていないので定かではないが、
アジアの人は欧米の人よりも多くの色を識別することができるというのは本当らしい。それは瞳の色(虹彩)に関係しているそうだ。日本では古くから“重ねの色目” などと言われる繊細な配色があったのも、黒い瞳を持っていたからだと。
 
そのことを知った時私は、「ああ、日本人に生まれて良かったな」と思った。花、草、海、山、土・・・私達の周囲に溢れる自然には全て色がある。つまり、多くの色を識別できる私達は、それらの色が織り成すコントラストを数多く楽しむことが出来るということだから^^

ところで、人間が色を識別する原理は光と色の波長にあるわけだけど、この勉強は単純なようでかなり難解である^^;だってね、りんごは何故赤く見えるのか、という答えに、「リンゴの表面の色の波長が長く、700nmあるから赤に見えるのよ」と言われても、「???」でしょ?^^私も勉強している時は、何となく理解した、ということにしておいた、位だったけど(笑)、色って本当に不思議。

でも人生に色が無かったら、わびしくて、無機質で、人間は心豊かではいられなかったのではないかと思う。

この本は表紙がモノクロでありながら、ページを捲ると随所に“色”が使われている。それは韓国の民族衣装の色だったり、キムチの色、ワインの色、花の色、山々の色、素敵なポジャギの色だったり。

彼はこれを執筆するに当たって、きっと何色もの色に出会っただろう。それって、とても素敵なこと、幸せなことだと思う。そして彼はその出会った色たちを、私たちにも惜しげもなく見せてくれている。それは自ら撮ったものであったり、自らが感じたことであったり、考えたことであったり。

私達はうっかりすると、日常に追われ、せっかく存在する様々な色を見逃してしまうこともある。
それは実際の“色”に限ったことではなく、心で感じる“色”も含めてだ。

イ・ヒョジェさんのように自然に同化するように生きている人達はきっと、そんな色の世界を楽しんでいるんだろうな。
ヨンジュンssiも、日頃の発言などを聞くと、きっと根本はこういう自然に生きたい人なんだろう、と思ってしまうが、それはちょっと困ったものだ。彼にはまだまだ俳優として生きて欲しいから^^
お願いだから私達のためにも、今はまだ、農業に勤しむのは我慢して欲しい^^;

それはそうと、ヒョジェさんを紹介している文中に、日本に栗原はるみがいるなら
とあって、驚いた。栗原さんて、韓国でも有名なんだ^^

ともあれ、
たまには他の何ものにも煩わされず、自然の色探しに出掛けてみるのもいいかな^^

最後に、自然の大切さをさりげなく思い出させてくれるこの書を心から有り難いと思った^^
そして読み進めて行く内に感じたこと・・・ヨンジュンssi、あなたってやっぱり、只者ではない^^



       一年に一時の桜色を心に留めながら   kurumi




 





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