2006/12/08 21:28
テーマ:ひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

『ベルばら』を読んだ事はありますか?

Photo

 ものすごく久しぶりに『ベルサイユのばら』を読んでいます。

 フランス革命前夜を舞台池田理代子さんのこのコミックについては、ここで改めて説明する必要など、なにもないですね。
 ここで私が言いたいのは、同じようにこれを読んだ友人が力説したことについてです。

 言うまでもなく、彼女はヨンジュンssiをこよなく愛する一人なのですが、これを読んだのは初めてとのことでした。
 これが超有名だということは、十分知っていたのですが、なんとなく今まで手にとる機会がなかったようなのです。
そして・・・、彼女はすぐにとりことなってしまったのでした。

 このあたり、ヨンジュンssiの超有名なドラマのようですね。

 まあ、その超有名なドラマはさておいて、ベルばらにはまってしまった原因として、彼女は、私の顔を見るたびに、熱くかたったのです。
 それは、やはりというか、ヒロイン(いや、ヒーローかな?)であるオスカルにあるというのです。


 ご存知のように、オスカルは、貴族の令嬢として生まれながら軍人とさせるために男として育てられたのでした。そして、その心のうちには、愛する男性への思いが秘められていたのです。
彼女は、そのあたりに魅かれたというのです。

 もうおわかりでしょう?
 心のうちに愛の炎をおしかくして、自分の課せられた任務にまい進するオスカルの姿に、『彼・ヨンジュン』を、わがヨン友は重ね合わせたというのです。
 任務に忠実であること、自ら良いと信じる人々に忠実であること、それがオスカルの魅力のひとつなのですが、そのために彼女は、愛や女としての部分を犠牲にしなければならなかったのでした。
 男と女の違いはありますが、そのあたりが『彼』と重なるというのです。

 もちろん、オスカルの両性的な部分が、ヨンジュンssiが時々感じさせるものに通じるものがあるとも言いたいのでしょうが・・・。

 なるほど・・、と思うと同時に、私などは、心に抱いた愛を押し隠そうとして苦しむオスカルを、かげにひなたに守り、かつ心から愛していたアンドレにも、また、『彼・ヨンジュン』の姿に重ね合わせてみたりもするのです。

 これを読んでくださる方がいるのなら、ちょっとお聞きしたいです。

皆さんは、『ベルばら』を読んだ事はありますか?


2006/12/07 22:58
テーマ:【創作】高句麗王の恋 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

海翔ける~高句麗王の恋 耐えること

Photo

☆「ひっぱりますねえ・・。」なんて言われちゃったので、何とかここまで書いてみました。

でも、Rまでには至らなかったので、期待はずれかも・・・・。

ブログにはRは入れないほうが・・、というご意見もあるので、どうしようかと思案中です。

でも、いずれ避けて通れない道なんですけどね。

次回は、そのあたりも入れてみようかな。

 

~~~~~~~~~~~

 

ジョフンの言葉は、しばらくの間タシラカをしあわせな気持ちにさせた。

高句麗王タムトクとは、百済王によれば、『残虐で野蛮で女好きな・・』とのことだったのに、この国に来てから耳にした話では、若いながら、北方の雄、高句麗の名を不動のものにした英雄だということだった。

そして、彼の乳母であるジョフンは、女であれ男であれ、まっすぐな方なのだといったのだ。

ジョフンの言う通りかもしれないと、タシラカは思った。

彼女がその日草原で見たタムトクとは、無邪気に雲雀の姿を追う少年の心を持ち、
今夜訪ねて行ってもよいかなどと唐突に言って、彼女を戸惑わせた人であり、
それから、ふいにタシラカの頬にくちづけして、驚かせた人だった。


 だが、彼がどんなに心魅かれる人であっても、彼女がどんな思いを抱いたとしても、彼は敵国の王であり、タシラカは人質の身なのだ。
それは、何も変わらないままなのだと、彼女は当たり前のことをかなしい気持ちで受け止めた。


それに、タムトクはもうすぐ正妃を迎えるとのことだった。
妃となるはずの姫をさしおいて、なぜ彼は自分などに声をかけたのだろう?
彼の言葉のどこに、ジョフンの言う真実があるというのか・・・?

本当は、彼にとってタシラカは、ほんのいっときの気まぐれな相手でしかないのかもしれなかった。
となれば、彼がやってきたとき、タシラカはどうすればいいのだろう?


 その一方で、彼が訪ねてきたら長老屋敷の人々はどう思うだろうと、タシラカは思った。
誰にも何も知らせていなかったから、その時がきたら皆さぞびっくりするだろう。
だいたい、自分たちの屋敷にいる人質の娘のところに王が毎朝通ってくるのさえ、
ジョフン以外の屋敷の人々は、首をかしげている様子さえあったのだ。
もしかしたら、タシラカのことを、彼らの敬愛する王をたぶらかしたふとどきな娘などと考えるかもしれない・・・。

また、タシラカといっしょに人質として引き渡された侍女たちは、百済や倭に対する裏切り者だと思うに違いなかった。
特に、ハルナなどは、あからさまにタシラカにきびしい視線を浴びせているのだ。

どちらにしても、彼が今夜やってきたら、彼女は孤立することになるのかもしれなかった。
それでもいいわと彼女は小さな笑みを浮かべた。
頬には、まだ、あのふわりとしたくちづけの感触が残っているような気がしていたのだ。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 タシラカは落ち着かない気持ちのまま、夜を迎えた。
だが、その夜遅い時刻になっても、タムトクは姿を見せなかった。

何ごとか城であったのかと思ったが、何の知らせもない。
タムトクの重臣であり、長老家の長でもあるジュンギも、いつものように夕刻には城からもどっていたのだ。
屋敷の中は変わったことは何もなく、すべていつものままだった。
ジョフンさえ、昼間、つんとして彼女の前から立ち去ったのに、
けろりとして、言ったのだ。

『早くおやすみになったほうがいいですよ。
明日は朝からまた、タムトク様がいらっしゃるでしょうからねえ。』

仕方なしに、タシラカは侍女たちといっしょに、早々に床についたのだった。

 
 寝静まった屋敷の中で、目をさえざえとさせたまま、タシラカは馬の駆けてくる音がしないかと耳をすませていた。

だが、何の物音もしないまま時は経っていく。

今となっては、物静かなたたずまいも、やさしい笑みも、『そなたといっしょにいたい』などという言葉の熱さも、どこか遠い世界のことのように思えてくるのだった。

そして、残ったのはただひとつの思いだけだった。

やっぱり、彼は高句麗の王。
そして、私は人質・・・。

不安な目をした人質の娘に同情して、
ほんのいっときいい夢をみせてやったとか・・?
それとも、ほんの余興程度に、からかってみただけとか・・・?
そういうことなの、タムトク様?

もしかしたら、明日の朝、彼はいつものように馬で駆けてきて、
何事もなかったかのように、
血のついたままの山鳥か何かをどさりと彼女の前に投げ出したりするのだろうか?
ならば、そのときは、私も何食わぬ顔で朝の挨拶などをしなければならない。
にこやかに?
そう、この上なくにこやかに。
いかにも夜中お待ちしていましたのに、などという顔で出迎えてはいけない。
そう、間違っても、赤い目のままうらみ言を言ったりしてはいけないし、
涙をみせたりしてはいけない・・・。

彼は敵国の王なのだから。
私は人質の身なのだから。
何を、どうされても仕方がないけど、
でも、私は、倭の王族に連なる身、
心を強く持って・・、
泣かないで・・、
そう、高句麗の王などには負けないで・・・。

タシラカはそう心に決めた。

それでも、たとえようもなく、タシラカはさびしかった。

タシラカの思いだけが空回りして、部屋の隅にひっそりと息づいたまま、
夜は更けていった。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 どれくらい時間が経ったか・・・、
うとうととまどろんだタシラカは、短い夢をみた。


明るい朝の日差しの中、いつものようにやってきたタムトクにタシラカは言う。

『昨夜は、お見えにならなかったんですね。』

タムトクは無邪気に笑った。

『ハハハ・・・、
私を待っていたのか?
許せ、ほんの戯言のつもりだったのだ。
まさか、そなたが本気にするとは思わなかった。
まもなく、私は妃を迎えることになるが、
そなたがその気ならば、一度くらい相手をしてやってもよいぞ。』

あら、本気になんかするはずはないじゃないですか、
タシラカはそう言おうとした。
でも、涙があふれて・・・、
心がずきずきと痛んで・・・。


タムトク様!
思わず、そう叫んでいた。


そして目が覚めた。
頬が涙でぬれていた。
胸が痛かった・・・。


あたりはまだ薄暗かったが、薄く朝の光が差し込もうとしていた。
やはり彼は来なかったのね、そう心の中でつぶやく。
私は、こんなところで何をやっているのだろう、
ちょっとからかわれた言葉を真に受けて、ひとりでどきどきしたりして、
ばかみたいだと・・。
もう、やめよう、
誰も信じるのは・・・。
誰も愛するのは・・・。
誰も・・・。


そのとき、屋敷の外で、馬のいななきが聞こえた。


 おもわず、タシラカは立ち上がっていた。
引き戸を開け、部屋の外に出る。
薄暗い回廊には誰もいなかった。
静けさに包まれたままの回廊を、小走りに走る。
表門に通じる扉のある方へ・・。

途中、見覚えのある侍女が、続いてジョフンが・・、
突然現れたタシラカを見て、驚いたような顔で何か言ったようだったが、
彼女は何も答えなかった。

タムトク様・・!

ほどなく、外に通じる扉を開けた。

冷たい外気が頬に触れる。


タシラカの視線の先に、見覚えのある姿が、馬からひらりと跳び下りるのが見えた。
胸の奥につんと痛みを感じる。
私は、こんなにもこの方が好きなのだ・・・、
この方を待っていたのだ、
タシラカはぼんやりとそんなことを思いながら、
開け放った扉の前に立ちすくんでいた。

 

「こ、これはタムトク様、今日はまたお早いことで・・・。」

屋敷の門を守る長老家の家臣のひとりが、びっくりしたような声を上げる。

「早いのではない、遅すぎたのだ。」

そんなことを言う大きな声・・・。

そして、後ろに従者らしい若者を一人従えて、彼は足早にこちらに向かって歩いてきた。
すぐに、扉の前にたたずんでいる彼女を見つける。
足を止めて、うれしそうな笑みを浮かべる。

「・・・待っていたのか?
すまない、急用ができてどうしても来る事ができなかった。」


。。。。。。。。。。。。。。。。


 彼女は何も答えないまま、扉の前に立っていた。

「タシラカ、怒っているのだな?」

タムトクの言葉をきっかけに、彼女はくるりと後ろを向くと、
屋敷の中に入っていってしまった。

泣いていたような・・・?

すぐに、彼女の後を追う。


 屋敷の中に入ると、そこで待ち構えていたジョフンが、がしっと彼の腕をつかんだ。

「ちょっと!どうなってるのよ?」

「なんでもない!」

短く答え、その手を振りほどくと、小走りに駆けてゆく彼女の後ろ姿を追った。


 彼女が駆け込んだ部屋の引き戸の前まで来ると、声をかけた。

「入るぞ。」
 
中からは返事はなかったが、かまわず手をかけると、すっと戸は開いた。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


彼女は向こうを向いたままでいる。

「どうしようもなかったのだ、タシラカ。
事情があって、連絡もできなかった。許せ。」

向こうを向いたまま、意外なほど明るい声で、彼女は言った。

「もう、お見えにならないと思っていました!」

「タシラカ・・・」

「タムトク様は、・・・からかわれたのかと思いました。」

「そのようなことを・・・・」

ふっと笑いかけて、今度は真剣な顔になる。

「そなた、本当に、そんなことを思っていたのか?
私がそなたをからかって、それで・・・?」

タムトクはたまらない気持ちになった。
彼女の小さくふるえる肩に手を置くと、後ろから抱き寄せていた。
こめかみのところに唇を寄せて言う。

「私がそんなことをすると思うか?」

彼女はいやいやをするように、首を横に振る。

「私は・・・、タムトク様のことをよく存じません。
お会いしたのも数えるほどですもの。
でも、この方は信じられると、そう思えたから、だから、私は昨日・・・。
なのに、タムトク様は・・・。」

涙がすーっと頬をつたう。

「タシラカ・・・」

「・・いいえ、ほんとは私、
タムトク様はおいでにならないと・・そう思っていました。
お待ちしてなんか、・・いませんわ。
さっさと・・寝てしまいましたもの・・・。」

「わかった。もう、よい。私が悪かった。」

タムトクは、彼女をくるりと自分の方に向けた。

「もう、よい、よくわかったゆえ・・。」

濡れた瞳をじっと見つめながら、タムトクは彼女の唇に、自分のそれを重ねていった。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「ね、ジョフン様、静かになったけど、どうしちゃったんでしょうね?」

いぶかしげに、倭の姫の部屋の方をながめながら、ジョフンの侍女は声をひそめて言った。

「え?そんなことは決まってるじゃないの・・。」

「ってことは、つまり、・・ってことですか?
タムトク様のお相手は、人質の姫君ってことですか?」

「そういうことになるかねえ・・・。」

ジョフンは苦笑しながら言った。

「いいんでしょうかねえ、タムトク様ともあろう方が寵愛されるのが、倭の姫君だなんて・・。」

「いいんじゃないの、べつに・・。
あの王子が選んだのなら、間違いないわよ。
ハン家の娘より、よっぽどいいよ。」

「そ、そうでしょうかねえ・・・。
まあ、あちらはねえ、ハン家の腹黒いスジムが後ろについているわけですからねえ・・。」

うんうん、とうなずいて、ジョフンは続けた。

「まあ、それはそれとしてもさ、ハン家直系の娘は一人しか残っていないからってさ、
まだ7歳の子供をタムトク様の正妃にっていうのはねえ、最初から無理があるんじゃないかと、私は思っていたんだよ。」

「で、でも、形だけだって聞きましたけど・・・。
だって、ハン家から正妃を出すのが慣例だからって、タムトク様も同意されたんでしょう?」

「そうなんだけどさ・・、最初から私は気に入らなかったんだよ。
だから、王子にちゃんとそう言ったのにさ、
王子ったら、『ジョフン、それが政治だ』なあんて、こ~んな難しい顔して言っちゃってたけどさ。
いくら高句麗の王様だからって、そんなにガマンすることないのにさ・・・。」

 


2006/12/06 00:27
テーマ:【創作】高句麗王の恋 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

海翔ける~高句麗王の恋 訪れ

Photo

 朝からひとり、思い悩んでいた。

すべて夢の中で起こったことのように思われた。

『・・・・今夜、訪ねて行ってもよいか・・』

向けられた彼の澄んだ瞳は、こわいくらい真剣で、
草原を渡る風はタシラカをどこか遠くへ連れて行ってしまうようで、
空の青さはまぶしいほどで・・・、
だから、
タシラカは思わずうなずいてしまったのだった。

彼は驚いたように目を見張り、
なにか言いたそうに小さく口を開きかけたが、
たったひとことつぶやくように言っただけだった。

『タシラカ・・・』

それから、彼女の前髪に長い指でそっと触れて、
彼女の頬に唇でやさしく触れた。

タシラカは、身動きもできなかった、
ただ、それを受け止めるだけで・・・。


あのとき、
時間が止まってしまったのだとタシラカは思った。

そっと頬に手をあてると、そこはまだ、
草原での出来事をあざやかにおぼえているかのようだった。
ふわりと触れた感触はやさしくて、
出会ったときの彼そのもので・・、
魂そのものを抱きとめられたような・・・。

『タムトク様・・・』

そっとその名を呼ぶと、今にも涙があふれてきそうで・・・。

あんなふうに澄んだ瞳で見つめられたら、
あんなふうに無邪気に話しかけられたら、
あんなふうに熱い思いをぶつけられたら、
あんなふうにふわりとくちづけされたら・・・・、
誰だってうなずいてしまう。
抗うことなんてできないわ。
そう、誰だって・・・。


でも・・・、とタシラカは首を横に振る。
どうかしていたのよ。
あの方は敵国の王、
夫となるはずだった百済王子を死に追いやった人・・・。

残虐で野蛮で女好きな・・・
百済王の言葉がよみがえる。
鋭い痛みが胸をさす。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「ちょっといいかしら?」

引き戸を開けて顔をのぞかせたのは、ジョフンだった。
返事も待たずに、タシラカにあてがわれた部屋に入ってくる。

「ずっと姫様が部屋にこもったままだからさ、
侍女たちが心配してね、私に見てこいって・・・、
まったく、人使いが荒いんだから。
仮にも人質っていう身分なんだからさ・・・。」

言葉は荒いが、にこにこしながら言う。

侍女たちとは、タシラカといっしょに人質になった、
百済の侍女たち二人と、倭からいっしょにやってきたハルナのことだ。
草原から戻ってきたタシラカの様子が気になって、ジョフンに相談したらしい。

「ご迷惑をかけて、申し訳ありません。」

タシラカが頭を下げる。
ジョフンは手をひらひらと振った。

「いいえ、いいんですよ、そんなこと、姫様が申し訳ないだなんてさ。
・・・で、草原はどうだったんです?
ずいぶん長い、・・その、散歩だったみたいだけど・・・?」

一瞬詰まったが、言葉を選びながら答える。

「いいお天気でした、風が強くて、・・・雲雀の鳴き声が聴こえて・・・」

ジョフンは、へえ、そうなの、などとうなずいてから、にっこりと笑って続けた。

「で、あのさ、タムトク様は、どうだったの?
なにかお話したんでしょう?」

タシラカも、小さく笑みを浮かべて言った。

「子供の頃のお話など、お聞きしました。」

ジョフンは、あはは・・・、と笑うと言った。

「ああ、そうなのよね~♪
あそこらは、王子にとって遊び場だったものね。
トンボやら蝶やら捕まえては羽をむしったり、ウサギを追い掛け回したりしてさ・・・。まあ、子供の悪さは一通りはやったわね。
ほら、いつもくっついているサトっていうしかつめらしい顔した家来がいるでしょう?
あいつといつもつるんでてさ・・・。」

ジョフンは遠い目になってしゃべっていたが、ふたたびタシラカに視線を戻すと言った。

「そんな話をしたってことは、よっぽど姫様のことを気に入ったってことですよ。」

またまた、にっと笑う。
それから、いかにも何気なさそうな様子で続けた。

「それで、あれかしら、
姫様にお城に来るようにとか、
え~と、まあ・・・、そんなようなことをおっしゃったのかしら?」

タシラカはどきっとした。
とっさに何と答えていいのか、わからなかった。

「いえ、べつに・・」

「あら、そうお?
私の見込み違いだったかしらね。
ほんとに、なあんにも言わなかったの?」

ジョフンは、何もかもお見通しよと言わんばかりの顔をしている。
タシラカはうつむいた。
そんなことはいいませんでした、と否定して済まそうかと思った。
だが、タシラカは確かめたいことがあった。

「あの方、タムトク様は、そんな方なんですか?
すぐに女人をお城にお呼びになるような・・・?」

あら、とジョフンはひとこと言った。
ちょっと気を悪くしたようだった。

「それは、タムトク様が女人にすぐにお声をかけるような
軽い男だってことかしら?
まあ、ずいぶんな言いようじゃないの!
それじゃあ、王子がかわいそうってもんだわ!
姫様のためによかれと思って、あれこれとやってくださっているのにさ。
了見違いもはなはだしいよ!」

ジョフンは一瞬押し黙ったが、再び続けた。

「姫様、あなたはどう思っているか知らないけど、
あなたは仮にも人質っていう身分なんですよ。
ご自分が育ったこの長老家にあなたを預けたのだって、
病気にかかった時に王家の薬師をつかわしてくださったのだって、
どれもこれも、異例中の異例!
みいんなびっくりしてますよ!」


「そんなタムトク様の気持ちを思えばこそ、
私だってせいいっぱいお世話しようと思ってるんですからねえ。
そんなことを言われちゃったら、
私の立場だってないわよねえ。」

あわてて、すみません、とタシラカは謝った。
だが、ジョフンの勢いは止まらない。

「だいたいね、相手はどなただと思っているの?
高句麗王タムトク様ですよ!
あの方がそんな方だとお思いなんですか?
やだねえ・・・、いくらここに来てからまだ日が浅いって言ってもさ・・。
いくら深窓の姫君だからって、それじゃ、人を見る目がなさすぎますよ!」

興奮してきたらしく、口から泡をとばすような勢いになってきた。

「王子は、そんな方じゃないんですよ。
三年前に出陣中にお妃様を病で亡くされたときだって、
おそばについていてやれなかったっておっしゃって、ずいぶん悔やまれてね、
それからは、周りの者がお勧めしてもメスネコ一匹だって近づけなかったっていう方なんですよ。」


「まあ、このところ、やっと新しいお妃を迎えることに同意されて、
私もほっとしていたんだ。
それがまた、実は王子はあんまり乗り気じゃなかったんだみたいだ、
なんて話もちらほらと小耳にはさんだりもしてさ・・・。
ま、それはお相手が、あのハン・スジムの娘だから、
私もあんまり気乗りがしないでいたから、どうでもいいんだけどさ・・・。
あ、あら、そんな話をしたかったんじゃないわよ、
ともかくね、私が言いたいのは、タムトク様ってのは、
女に限らず男にも、誰に対してもまっすぐな方なんだってことです!
そんなこと、この国じゃ、みいんな知ってることだけどさ、
この私が言うことだから、間違いないわよ。
先の王妃様、つまりお母上様亡き後、あの方をちっちゃな頃からお世話したのは、誰あろう、このジョフンさんなんだからね。
そこらへんはきっちりとお育てしたつもりですよ!」

はあ、とタシラカが頭を下げる。

「ともかく、そこんところ、よ~くお考えを。よござんすね!」

ジョフンは立ち上がると、つんと頭を上げて部屋から出て行ってしまった。


2006/11/27 22:05
テーマ:【創作】高句麗王の恋 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

海翔ける~高句麗王の恋 草原


 月見の宴の翌日から、朝駆けの後長老家の屋敷を訪ねていくのが、
タムトクの日課になった。
初日に、途中でしとめた血のついたままの山鳥を持っていって彼女に悲鳴をあげられてからは、
彼の手土産は、名前も知らないような野に咲く花だったり、谷川で拾ったきれいな小石だったりした。

だが、そんなものを手にうれしそうな顔で長老屋敷へ馬を走らせる高句麗王の姿に、
サトら側近の者たちは困惑していた。

 王が女人に熱を上げるのは初めてのことではない。

だが、即位と同時に迎えた正妃を病で亡くしてから三年、そんなことも皆無だった。
だから、寵愛する女人ができたことは、正直言って喜ぶべき事なのかもしれなかった。
なんといっても、王はまだ若いのだ、いつまでも亡くなった正妃に義理立てして、女人を遠ざけているようであっては困る。
だが、時期と相手が問題なのだと誰もが思った。
半年後には、大豪族の娘を新しい正妃として娶ることになっている。
この時期に、いかになんでもそれはまずかろう。
それに、熱を上げている相手は敵国の人質の姫だ。
それがどんな影響を及ぼすことになるか、高句麗王を取り巻く家来たちは気がかりだったのだ。


 5日ほど経ったある朝のこと、いつものように馬を駆けさせながら、サトは思い切って王に声をかけた。

「今日も、お立ち寄りになるのですか?」

横に並んで走る王の表情は明るい。

「むろんだ。」

「あえて申し上げますが・・・」

「何も言わなくてよい!」

きっぱりと言う。
そして、ハハハハ・・・という笑い声。

サトばかりでなく、伴走する側近二人が顔を見合わせる。

「そのほうらの言いたい事はわかっている。だから、何も言うな。」

少し作戦を変えることにした。

「いえ、ですから、それほどお気に召したならば、
おそばに置かれたらよろしいかと・・・。
こうして、毎日訪ねていくのは・・・・」

サトの言葉に、高句麗王は手綱を引いた。
黒毛の愛馬が歩みを止める。

「毎朝訪ねていくのが楽しいのだ。
・・・それがまずいとでも、そなたは言うのか?」

すっとした切れ長の目でじっと見つめる。

そんなにムキにならなくても、とサトは思った。
たかが、女のことではないか・・・。

「いえ、ただ、長老の家の者たちも驚いていましたゆえ・・、
王子の頃ならいざ知らず、王のご身分でありながら、などと。」

「ジョフンは喜んでいたぞ。」

「はい、確かに・・・。
ですが、毎朝立ち寄られる王のために、
屋敷内の者たちは、朝餉の用意などにも気を配らねばならず・・・、」

もごもごと続けるサトに、タムトクはふっと笑って言った。

「遠まわしな言い方はやめよ。いつものそなたらしくないな。
・ ・・長老家の者たちが迷惑だからなどというのではない、
ただ、人目につくのがまずいのだ、
ハン家との婚儀のことも考えよ・・・、
つまりそういうことだな?」 

いや、実はもうひとつあるが、だいたいはそういうことなのだと、サトは心の中でつぶやいた。
わかっているなら、それを実行してほしいぜ、と。

しかし、王は照れくさそうな笑みを浮かべた。

「・・・サト、わかっていても、どうしようもないこともあるのだ。
かの姫を、力ずくでそばに召すというようなことはしたくない。」

それから急いでつけ加える。

「・・どうやら、私は、かの姫の心がほしいらしい。
たかが、女のことだ、許せ。」

それから、ハハハ・・と大きく笑って言った。

「今日は、かの姫と二人でそこらの草原を歩くとしよう♪
屋敷内にいるから長老家の者たちに迷惑がかかるのだ。
朝餉は城に帰ってからとるゆえ、支度はいらぬと伝えよ。
・・・ああ、人目につくのはやむをえないな。
そのほうら、迷惑ならついてこなくてよいぞ。」


しかしながら、しかしながら・・・、
かの姫は、王に対してよからぬことをたくらんでいるのでは・・・、
サトはそう言いたかったが、この場ではそれは口にできなかった。

せめて、警備をしっかりとするしかないか、
サトはそう心に決めたのだった。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


ざわざわと風のわたる一面の草原。
朝の光を浴びて、草の背が光る。
柔らかな春のひざしの中で、
タムトクは、タシラカの手を引く。

横に付き従うのは、黒毛の愛馬。
春のゆったりした空気の中で、
ちょっと眠そうにゆっくりと歩を進めている。

こわくない、
タムトクが彼女に声をかける。
なのに、彼女は・・、
恐る恐る手を差し伸べて、そうっと愛馬の鼻のあたりをなでる。
いかにも緊張した顔で・・・。
今度いっしょに乗ろう、そんな彼の言葉にも曖昧に笑うだけだ。


さらに、数メートル離れたところには、
サトら側近たち3人の姿がある。
後に先にと大きな円を描くように取り囲む。


やがて、ざわざわとした風の音が一瞬止んで、
何か別のいきものの鳴き声がした。
雲雀だ!
どこか空の高いところにいるらしい。
タムトクは遠い空を見上げた。
だが、その青さに溶け込んでいるのか、姿は見えない。

顔を上向けたまま、言う。

「・・・を見た事はあるか?」

「ええ・・」

「私もだ。
今日は、見えないな。」

「・・見えませんわね。」

気がつけば、彼女も同じように並んで空を見上げている。
その無邪気な顔!
妙にきらきらしていて、いそいで言葉を探す。

「寒くはないか?」

「いいえ、いい気持ちだわ。」

白い歯がこぼれる。
タムトクも笑みを返す。

「このあたりは、私の縄張りだったのだ。
まだほんの子供の頃のことだが、
雲雀を追いかけたり、蝶を追いかけたり、トンボを取ったり、
後ろにいる、あのサトもいっしょだった・・・。」

タムトクの指し示す方をふり返りながら、彼女がうなずく。

「私が育った所には、こんな草原はありませんでしたわ。
山がすぐそこまで迫っていて・・。
でも、小さな川が流れていて、そこでオタマジャクシをとったり・・・。
乳母の親戚の男の子が、ずかずかと泥の中に入っていって、取ってくれました。
泥がはねて、その子の顔が真っ黒になったりして・・・」

タシラカはくすくす笑う。
タムトクはまぶしそうに目を細めて言った。

「私なら、オタマジャクシだけではないな、
姫のためなら、ドジョウでも、フナでも・・・・。
だから、いつまでもこの国にいよ。」


まあ・・、それきり、彼女は黙ってしまう。
その見開いた大きな瞳を、タムトクは見つめ返す。

そのまま、二人とも、ただ草原の中にたたずんでいた。


やがて、お決まりのように、風がまた吹き始める。
ざわざわと草原を渡る音。
タシラカの長い黒髪が後ろになびく。

「歩こう。」

うなずいた彼女の手を取り、先にたってずんずん歩く。
吹きすぎる風の音・・・。

後ろをふり返らずに、タムトクは大きな声で言う。

「そなたといっしょにいたい。」

彼女の声が後ろから追いかけてくる。

「どうしてですの?
私はあんなことをしたのに・・?」

風の中で聞く彼女の声・・。
まるで、夢の中の出来事のようで・・・。

「私にもよくわからない。ただ、そなたには嫌われたくない。」

そなたには嫌われたくない・・・、
その言葉が風の中で空に舞う。
まるで、夢の中の出来事のように・・・。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 サトは二人の側近たちと少し離れたところに立っていた。
一応、王の警護をしているわけだが、
二人の楽しそうなやりとりは、ちらほらと耳に入ってくるのだった。

サトよりも少し年下のほうが、近寄ってくると小声で言った。

「いい感じですね~♪」

「ああ・・」

サトは短く答える。

と、もう一人、サトと全く同じ年ごろの男が話に加わる。

「これは、タムトク様、本気だな?」

「そのようだな。」

またもや、ぶっきらぼうに返事をする。

「へえ・・、じゃ、じゃあ、ハン家の姫はどうなるんです?」

「ばかだな。あっちは正妃になるんだ。
こっちの姫はよくても側室だな。
タムトク様だっておわかりだ。
比較にもならないよ。
な、サト、そういうことだよな?」

「へえ、そういうことですか。タムトク様、いいな、うらやましいな。」

「静かにしろ!タムトク様はともかく、俺たちは仕事だ。」

浮かれる年下の同僚を、サトたしなめる口調で言った。
なぜか、自分でも不機嫌になっているのがわかった。

「それにしても、いい感じだよな。」

同僚の言葉が、青空に吸い込まれていく。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


風のわたる草原を、どこまでも二人で歩いていきたかった。
が、タムトクはそろそろ、城に帰らなければならなかった。

「今日は楽しかった。」

われながら、気の利かない言葉だとすぐに後悔する。
言いたいことの半分も言えないものだと・・・。

だが、タシラカは微笑みながら、答えた。

「ええ、また連れてきてくださいね。
今度はお花の咲いているところがいいわ。」

ああ・・、とうなずきながら、タムトクはじっと考えていた。
サトにはあんなことを言ったのに・・・、とタムトクは思った。

今度は、明日ではなく、花の咲いているところでもなく・・・、
その言葉を胸の中でくりかえす。

ほんのわずかな沈黙に、
彼女が、ん?というように、小首をかしげる。
風の中でたたずむタシラカ・・・。
タムトクは彼女の手を取った。

「姫、・・いや、タシラカ、今夜、訪ねていってもよいか?」


風のざわめきが大きくなった。

 


2006/11/23 14:41
テーマ:ひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

月9ドラマ・ゲスト出演!なんちゃって・・

Photo

いきなりびっくりするようなタイトルで失礼しました。朝からずっと、こんな妄想がうずまいて頭から離れないんです。それで、これは、一度吐き出さないと息苦しくてたまらんと思ったので、ここに書かせていただきます。

 最近月曜夜9時からのテレビドラマにはまりつつあります。
ご覧になっている方もたくさんいらっしゃると思いますが、クールな音大生、千秋君と、彼にあこがれるピアノ科の女の子、ノダメちゃんのお話です。
このクールな音大生の彼っていうのがなかなかよい!
オーケストラの指揮者をめざしている才能あふれる若者なんですが、今どきの若者チックなところとクラシカルなところが入り混じっている、そこんところがよろしい!
そして、もちろん、音楽に対してすごく真剣なところもいい!
特に、コンクールなどで、オーケストラの指揮者として、タクトを振るときのまなざしと、すっと伸びた背筋、そういった彼を取り巻くものが、ものすごくいい!
(なんだか、どこかの方を思わせるでしょう?)
ろくにコンサートも行ったことのない私も、やっぱり、オーケストラのコンダクターって、こうなんだと思いました。

 で、私は当然ながら、こう思ったわけです。
われらがBYJが、このドラマに一話だけ特別出演するっていうのは、どうかと・・・。

 あ、お怒りになる前に、もう少し聞いてください、お願いします。

 そうですね、彼の役どころは、やはり韓国の新進気鋭の指揮者、ウィーンかどこかのコンクールで上位入賞したこともあるような・・・、それで、現在はどこかちょっと有名なオーケストラの指揮者を務めている・・・。
 で、主人公、千秋クンの噂を聞いて、千秋クンがコンダクターを務める学生オーケストラのコンサートを聴きに来る、しかも、うるわしの婚約者同伴で・・・。

 このあたりで、彼(BYJ)の回想シーンみたいな部分を挿入してもいいですね。
なんだか、あのチアキ君ってあなたに似ているところがあるわね、とうるわしの婚約者(私的にはジニョンさんみたいなタイプ)がささやく、隣にすわった彼はふっと笑って、そうかな?なんて目をふせる。
すると、かつてのコンクールでオーケストラを前にタクトをふる渾身の姿が・・・、
曲はベートーベンの『英雄』。
・・なんていうのはどうでしょう???

 ええ、わかっていますよ~。
彼は次回作の撮影でお忙しいし、今はタムトクがその中に入っちゃってるから、周りがどんなに薦めてもそんな一回こっきりのドラマ出演なんて受けないでしょう。
ただでさえ、中途半端はおいやな方ですし・・・。

 でもね、あのロッテチョコのフォトを見たときから、私は一度でいいから、オーケストラの前に立ったお姿を見たいと思ったんです。
 インスのようなふつうの男もいいかもしれない。でも、彼は元々ふつうの男じゃないんだから、持って生まれた光の部分、オーラを必死に消して・・・、なんて難しいことを考えなくても、そのままのお姿をそっくり映像の中で見せてほしいんです。

もっとも、もうすぐオーラあふれるタムトクに会えますけどね、でも、コンダクター役の彼っていうのもいいでしょう?
 


<前 [1] ... [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20]

カレンダー

2024年10月

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
ブロコリblog