2010/03/29 20:18
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

創作mirage-儚い夢-15.ジェラシー

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「 ジニョン! 」

僕が彼女を追いかけようとしたその瞬間、ソフィアが僕の腕を掴んだ。
何かを訴えかけるような彼女の強いまなざしを僕は振り切るように視線を逸らして、
その手を外すと玄関の扉を急いで押した。

しかし、廊下に出てエレベーターの扉に手を掛けた時にはもう遅かった。
ジニョンの悲しい目が閉まり行く扉の細い隙間に見えた。
彼女もまた言葉なく僕に何かを訴えていた。

「 ジニョン!行くな! 」 

僕は降り始めたエレベーターを追うように非常階段の扉を乱暴に開けると
全速力で階段を駆け下りた。

僕が7階から降りきって、エントランスを走って外へ出ると、ジニョンは既に
10M程先を急ぎ足で歩いていた。


「 ジニョン!待って!・・・待て!ソ・ジニョン!

振り向いた彼女の瞳には涙が溢れ、顔は悲しみに歪んでいた。
彼女は僕の姿を確認するなり歩く速度を速めて進んだ。

「来ないで!近づかないで!
 私・・・最初に言ったでしょ?あなたの邪魔をしない・・
 恋人の・・邪魔はしないって・・・」

「ジニョン・・・」

「わかってたわ!・・・わかってるはずだった・・・
 恋人がいる・・・あなたは最初からそう言ってた・・・

 それでもあなたが好きで・・・どうしようもなく好きで・・・
 そんなこと、もうどうでもいいことのような気になってた・・・

 でも・・フランク・・・どうしたんだろう・・・私・・今・・・凄くドキドキしてる・・・
 胸がね・・・潰れそうに・・すごく痛い・・・

 わかってたことなのに・・・私はそれを承知であなたに・・・
 そうよ・・わかってたわ・・だから、大丈夫なはず・・・」

彼女は両の掌を自分の胸に宛がって、まるで自分自身に言い聞かせるかのように言った。

「ジニョン!」

「早く!戻って!あの人が・・・誤解する!」

「誤解?誤解か?・・・誤解じゃないだろ?」

僕は彼女の腕を掴んで無理やり僕に振り向かせた。

「だって!」

「誤解じゃない!」 僕はそう言って、力強く彼女を腕の中に抱き取った。

「だっ・・・て・・・」

「信じられない?」

「信じられない・・・だって、あの人・・あんなに綺麗で・・・
 あなたと・・・凄く・・似合ってる・・・
 私なんて・・・あなたが子ども扱いするの当然よ」

「子供扱いなんかしてない。」

「してる。」

「してない!」

突然僕は彼女の頬を両手で挟んでその唇を自分に運ぶと硬く閉じられたそれを
舌で無理やり押し分け、彼女の舌を自分の中に乱暴に吸い込んだ。

彼女の涙がふたりの合わせた唇を伝って僕に流れ込み、その苦さが彼女の悲しみまでも
僕に残さず伝えていた。

   子ども扱いなんか・・・してない・・・

   こんなにも・・・

   こんなにも・・・

彼女への熱い想いが激しく僕の胸を突き上げていた。
僕はやっと彼女から唇を離すと、狂おしいほどの想いで彼女を見つめた。

「愛してる・・・」

「・・・・・・」

「君は?」

「・・・・・・」

「君も・・・そうなんだろ?」

「・・・・・・」

「何とか言え・・・ジニョン・・・何とか言って・・・」

「・・・・・・」

彼女は無言のまま涙混じりの瞳を僕から逸らして伏せた。

「信じないの?」

「わからない・・・」

「わからない?・・・何故?」

「わからない・・・」

彼女は僕から視線を逸らしたまま「わからない」とだけ繰り返していた。
その言葉がまるで僕を責めているように思えてならなかった。

僕はそれ以上彼女を問い詰めることが出来なかった。

「僕を責めてるんだね・・・」

彼女は首を横に振った。

   わかってる・・・

   ごめん・・・君を抱きしめていながら・・・

   僕はまだ・・・彼女を離していない・・・それは事実だ・・・

ソフィアと僕は互いに恋人であると確かめ合ったわけじゃない。
しかし、僕の彼女への想いは間違いなく恋人へのそれだった。
互いを認め・・・尊敬もし・・・求め合った・・・いや、僕が一方的に彼女に寄りかかり
彼女はただ僕を黙って受け止めてきた。きっとそんな関係だ。

僕にとって、ソフィアという女が他の女とは違う存在で、彼女が僕にとって
なくてはならない人であったことも否定はしない。

   その僕が・・・君と出逢って・・・

   いつの間にか心を君に奪われていった・・・

   いつの間にか・・・誰の入る余地も無いほど・・・君に・・・

   沈んでいった・・・もう・・・浮き上がれないほど・・・

「・・・信じて欲しい・・・僕を・・・信じて・・・」

「・・・・・・」

彼女はただ黙って僕の手を自分からゆっくりと外すと、僕の前から立ち去った。

僕はそれ以上彼女を追いかけられなかった。


   今はまだ・・・追いかけられなかった・・・

 



私はどうしても彼の腕の温もりの中にいることができなかった。

現実に目の前に現れたあの人に・・・

    私・・・震えてしまった・・・

    あの人から目を背けてしまった・・・

    あの人が・・・あなたの・・・

    あまりに美しくて・・・自信に溢れていた・・・

    あの人の目があなたを愛していると私に叫んでた

    ねぇ、フランク・・・

    あの目を・・あの人の目を・・あなたの目が見つめていたのね・・・

    あの人の唇に・・・あなたの唇が優しく触れていたのね・・・

    あの人の髪を・・・あなたの指が愛しく撫でたのね・・・


        嫌・・・ 「嫌!」

私は自分が想像した二人の絡み合う姿を、掻き消すかのように頭を大きく振った。


    どうしようフランク・・・本当に・・・胸が痛いよ・・・

    どうしよう・・・私・・・壊れてしまいそう・・フランク・・どうしよう・・・

    助けて・・・お願い・・・


        「 フランク! 」


    

       

部屋に戻るとソフィアが窓辺に佇んだまま、視線を遠くに送っていた。

「生徒さんは・・・帰ったの?」 彼女は僕を見ないままそう言った。

「・・・彼女は・・・」

「フランク・・・私、やっぱりここに来ることに決めたわ・・・」
彼女は僕の言葉を遮って、突然そう切り出した。

「ソフィア・・・話があるんだ」

「卒業まで・・・待たなくてもいいでしょ?」
彼女は僕の話を、まるで聞こえない振りを通そうとしているようだった。

「聞いて・・・」

「学校へはここから通えないこともないし・・・」

「ソフィア。」

突然彼女は僕に向かって"何も言うな”と掌を見せた。

「彼女のことなら気にしてないわ・・・今までだって・・・
 私がそんなこと訊ねたこと一度でもあった?」

「聞いて・・ソフィア・・彼女を・・・」

「止めて!・・何も・・・話す必要はないわ・・・
 あなたらしくないわ。わざわざ私に了解を取るみたいな言い方はしないで・・・        
 今までと何ら変わりないことよ・・・そうでしょ?」

「今までとは違う」

「今までと違う?何が?何が・・・どう違うの?」

「彼女を・・愛してる。」 

ふたりの間に少しだけ沈黙が流れた。       

「・・・・愛してる?」 彼女がやっとその沈黙を破って震える声で言った。

「彼女を・・・傷つけたくない」

「傷つけたくない?・・・あなたが?・・・」

「・・・・・・」

「あなたが・・・誰を・・・傷つけたくないの?」
彼女は“何を言っているの”と言わんばかりに、僕に確かめるような言い方をした。

「大切なんだ・・・彼女が・・・」

「・・・・・・」

「初めてなんだ・・・こんな想い・・・」

「・・・・・・」

「あなたにずっと話したかったんだ・・・知って欲しかったんだ・・
 いや・・・あなたは・・・もう・・知ってたよね・・・僕の気持ち・・・」

ソフィアは僕を見つめながら黙って僕の言葉を聞いていた。
その瞳にはみるみるうちに涙が溢れ彼女は嗚咽を堪えるように口を手で覆うと
声を殺して泣いた。

今までに見たこともない彼女のそんな様子に僕はただ呆然と息を呑んでいた。

「そんな泣き方を・・・するなソフィア・・・あなたらしくない」

「・・・・・私・・・らしくない?」 彼女は込み上げる涙を堪えるように声を絞り出した。

「・・・・・・」

「どういう意味?」

「・・・・・・」

「私らしい泣き方って?・・・どんな泣き方なの?フランク・・・」

「・・・・・・」

「言いなさい!
 私らしい泣き方ってどんな泣き方?」

「ソフィア・・・」

ソフィアが珍しく大声をあげて涙を拭いもせずに僕を睨みつけていた。

「・・・・・・・僕を・・・愛してたの?・・そんなに・・・」 

「・・・・愛してた?」 彼女はそう言って更に僕を睨んだ。

「あなたは今までそんなこと一度も・・・」

「だから?・・」

「僕の告白をいつもはぐらかしていたのはあなただ。」

「・・・・・・」
「どうして?」
「どうして?」

彼女は僕を睨みつけることで、浮かべた涙を飲み込むきっかけを探していたようだった。

「何故・・・言わなかった?」

「・・・・・・」
「どうして!もっと早くそう言わなかった!」

「言わせなかったのは!・・・あなたよ!」

「・・・・・・」

「あなたが・・・言わせなかったのよ、フランク・・・」

「・・・・・・」

「女はね、フランク・・・心の無い言葉には敏感なの・・・」

「・・・・・・」

「でも・・・それでも・・・嬉しくて・・・あなたの・・・
 心の無い“愛してる”にも胸が震えてしまう・・・そんな自分が情けなくて・・・
 背中を向けるしか・・・なかった・・・」

「本当に愛してなかったと思ってたの?」

「愛してたの?本当に?自分の胸に聞いてみて・・・」

「・・・・・・・」

「ねぇ、フランク・・あなたに“愛してる”・・そう答えていたら・・
 私達は違う結果になった?」

「・・・・・・」

「あの子は・・・そうしたの?・・素直に愛してるって・・返したの?・・」

「・・・・・・」

「私もそうしていたら・・・あなたは本当に愛してくれた?・・・」

僕はソフィアの言葉を聞きながら、彼女に対して、彼女の愛に、自分が如何に
甘えていただけなのかを痛感していた。

「・・・僕はどうしたらいい?」

「・・・私に聞くの?・・・」

「・・・・・・」
「あなたの心が何処かに向かってること・・・とっくにわかってた・・・
 そうよ、この数日、あなたが私を探していること知っていて避けてたわ・・・
 事実を認めたくなくて・・あなたを避けてた・・・

 あなたを追う女にはなりたくはない・・そう思ってた・・・
 いつもあなたの一番の理解者で・・あなたの寂しさを包み込める
 そんな女でありたかった・・・でも・・・そんなの嘘よ・・・嘘・・・

 嘘つきなのは・・・私も同じだった・・・

 本当は・・・いつもあなたのそばにいたかった・・・
 本当はいつも・・・あなたを抱いていたかった・・・

 あなたにくちづけされたまま・・・眠っていたかった・・・
 あなたと・・・静かに朝を迎えたかった・・・

 でも・・あなたはそんな女を必要とはしなかったわ・・・
 そうだったでしょ?」

ソフィアは時折大きくため息をついて心を落ち着けているようだった。

「だから・・・いつも嘘をついた・・・
 物分りのいい女の振りをしてた・・・
        
 あなたを避けている間、今日まで・・・ずっと考えてたの・・・
 私はあなたを・・・あなたの手を離せるんだろうか・・・
 でも・・・少しも答えを見つけれなかった・・・・

 こうしていつまであなたに会わないでいられるか・・
 試してみよう・・そう思ったの・・・でも・・・もう限界・・・

 だから来たのよ・・・あなたの心が何処にあっても・・・
 あなたが私にどんな顔を向けるとしても・・・

 ただ・・・・・逢いたかった・・・あなたにただ逢いたかった・・・
 だからここに・・・来たの・・・」

「ソフィア・・・」 

   僕は・・・      
       
「あの子には・・・あなたの心は重すぎる・・・
 それはあなたが一番よくわかってるはずよ・・・」

「・・・・・・」

「それでも?」
   
   ソフィア・・・

「彼女を・・・愛してる・・・」


   そんな目で見ないで・・・ソフィア・・・


       あなたを置いて・・・


           ・・・行かれなくなる・・・


 





2010/03/29 00:07
テーマ:私の“韓国の美をたどる旅” カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ハナヨ感想文②「 留まる 02 キムチ 」

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私の「韓国の美をたどる旅」^^


 


私の「韓国の美をたどる旅」^^


発酵民族の昇華

まずこの副題にちょっと笑った。韓国人=発酵民族?^^

この章の出だしは、彼が人生初のキムジャンをする日、まず彼の家に同僚が集ってくるまでの彼の行動と、その時の彼の気持ちが綴られているが、ここを読むだけで、彼がとても世話焼きで、ユーモアセンスのある人だということがわかる。

朝8時までに集るはずの同僚が、なかなか姿を現さない。きっと朝食抜きで現れるだろうからと、一時間も掛けて汗だくで食事の準備をしていたという彼。
その料理を冷めない内に食べさせてあげようと、時間を逆算し、かつ、出掛けなければいけない場所への時間のことも考え、調理をスタートさせたようだ。

心配にもなるし、約束の時間は近づくし、真心込めて作った料理も冷めていくので、電話をしないわけにはいかなかった。皆遅くまで仕事をしていたのか、起きられずにいるらしい。

ここで想ったのが、この約束をした同僚という人たち、ヨンジュニは彼らを同僚と呼んでいるが、彼らにとってヨンジュニはボスではないの?そのボスとの約束をいくら前の日に仕事が忙しかったからといえ、また休日の日であるとはいえ、旅の記録を撮るという意味ではれっきとした仕事だよね^^;

逆算してみると、約束時間にギリギリになりそうだったので、到着した一行に、あたふたとタッペクスを食べさせる。(中略)皆はそれを食べて元気が出たようだ。ところが、外に出ると冬なのに暖かいと不満をこぼしている。また寒くなるかと想うと、小言も言えない。今日は我慢しよう。

この文面が冒頭の

主催者の性格が偏屈だとキムジャンの日は寒いという言葉があるから同僚は互いに賭けをしていただろう。

にかかっているわけだが、ここを読んでほほえましく想った。彼は自分でも偏屈だと想っているんだ。そして周りの人たちもそう想っているだろうと、自覚もしている^^;それをちょっと皮肉ったような彼のユーモアセンス溢れる文章に彼の頭の回転の良さを感じた。

この1ページだけで、ひとつのエピソードを通して、彼の人となりが良く現れていて、彼を近くでは知らない私でさえ、彼ってきっと“そういう人なんだろうね”と頷ける^^

そして、彼は時間には厳しい人であることに、ちょっとホッとしたりした^^
私の中では、時間にルーズ=仕事はできない人という概念があるので、例え国は違えど、私の基準をクリアしてくれている(笑)ことに安心^^

次にここでイ・ヒョジェ先生が登場なさるが、彼女は彼に本当に色んなことを体験させて下さったんだな~と、改めて感謝したい。
しかし、ヒョジュ先生、テレビも観ない方のようだが、ヨンジュンを知っていたのかしら^^;でも彼女のデザイン服に彼と出会う前から「ヨン様」と名づけていたという話があるわけだから、知っていたんでしょうね。もしかしたら、社会現象として「ヨン様」を知っていただけで、彼の作品は観たことが無い?そうなのかもしれない。
しかしこの一年余り、彼と接することとなって、彼の作品を観たりしただろうか。でもテレビが無いんじゃ観れないよね(笑)と、どうでもいいことがすっごく気になりました^^

ま、ともあれ、彼を「とても誠実で素敵な青年」と評して下さったヒョジェ先生。要はぺ・ヨンジュンという人気俳優ではなく、ペ・ヨンジュンという人間を高く評価して下さったことを深く感謝したい気持ちです^^


到着して真っ先にしたのは“高矢禮”だった。用意した蒸餅を・・・
って、蒸餅は彼が用意したの?(どうでもいいか^^;)

ここで、私達家族に馴染み深い“高矢禮”の意味を知り、しかもその発端に、これまた馴染み深くなった「檀君」が関っている^^これだけでも最近日本の歴史より、韓国の歴史を勉強していることが多いかも、とちょっと反省し、たまには日本の歴史も勉強してみようかなと、娘が小学生の時に買ったような○時間で覚えられる日本の歴史、なんぞを買ってみようかな^^と、ちょっとばかりの向上心をも得られたりする。

伝統文化と言えば、日本にも沢山の伝統文化が存在するだろう。
しかし、私はそれらを余りよく知らない。生まれて半世紀を過ぎた今も、いったいいくつの日本の伝統文化といえるものを知っているだろうか。

私が生まれた長崎は、その昔外国からの玄関として栄え、中国やオランダ文化も根付いている。街中を歩くと、中国風の建物、シーボルトなどがもたらした洋風の建物。キリスト教徒による異国情緒溢れる教会などが点在し、所謂日本文化とちょっと違った風情がある。私はそんな長崎の街が大好きだ。

しかし、その長崎を離れて、早いもので35年になる。言ってみれば、もう東京が故郷と言える。それでも、帰省した折、おくんちという祭りでの蛇踊りに遭遇した時に鳥肌が立ったこと。幼い時から見て育ったペーロンを見て、胸が高鳴ったこと。精りょう流しの爽快感(この年に亡くなった方の魂を送る行事を爽快と表現してしまうのは失礼だが、行事となってしまった長崎市内で行われている精りょう流しはさだまさしの歌の世界とはちょっと違う)
とにかく、そういう場面に遭遇した時の高揚感といったら、表現のしようも無い。
やはり私はこの街が好きだ、と切に想うのだ。

因みに、私が育った港町に残っていた(今はわからない)精りょう流しは、正にさだまさしの歌の世界そのものだった。高校生の時、その曲をテープレコーダーに入れて流しながら、その光景を見たことを、今でも思い出す。

ちょっと横道に逸れたが、伝統文化というものは、その地に生きる人の“魂”なのかな、と想ったりする。彼がこの韓国の美をたどる旅で得られた様々な文化もきっと、彼が生きていく上で大きな財産となるのだろう。それだけでも、大変な想いをして書いて、こうして本という形にできたことを、本当におめでとうと言いたい。

文化が日常の中で玩具になる必要がある。
“知ることは好きになることには及ばない。好きになることは楽しむことには及ばない。”

論語の一説を用いて語っている彼の精神を心に留めてみた。

“ヨンジュンを知ることはヨンジュンを好きになることには及ばない。ヨンジュンを好きになることはヨンジュンを楽しむことに及ばない。”

そういう意味では、私はヨンジュンで楽しんでいるわけだから、彼の精神に則っているというわけだ。

この章では、キムチの作り方や、彼が懸命に牡蠣を盗み食いしながらキムチ作りに精を出している姿、また彼が家に帰り、その作り方を真剣に復習している過程も書かれていて、楽しそうだなと思ったが、私は今後も決してキムチ作りをすることはないだろうと、とても丁寧に書かれているレシピは流し読みをした^^;(ごめんなさい)

でもキムチの癌やインフルエンザへの効用などを聞くと、そして彼がこれほど一生懸命に作ったことを知ると、キムチが大好きで良かったな~と単純にそう想う^^(しかしながら、まだ高矢禮キムチは経験していない^^;これもごめんなさい)

それにしても、彼のキムチ作り過程の姿はとても美しくて、可愛くて・・・本当にエプロンがこんなに似合う男はいない^^(ハハ・・何でも似合うけどね)

そして彼が作ったキムチを戴けるだろうご友人達が、本当に羨ましいものだ^^
実はこれが一番の感想かも^^



           kurumi  2010.3 桜の花がそろそろ見頃のよう^^
 





 




2010/03/26 00:53
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

創作mirage-儚い夢-14.離したくない

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ジニョン・・・君に・・・
諸手を挙げ降参するしか・・・僕には残されてないようだ・・・

   ああ、君の言う通りだよ・・・

   とっくに君が欲しかった・・・

   とっくに・・・君を抱きたかった・・・
       
   こうして・・・この胸に君を閉じ込めて・・・

   君を・・・愛したかった・・・

   それが僕の本心だ・・・

僕は熱く彼女を見つめ、その手を取りいざなって、彼女をベッドに腰掛けさせた。
そして彼女の前にひざまずき、その白い頬を彼女を見つめたままそっと撫でた。

彼女は自分の頬に触れた僕の手をこの世で一番大切なものを抱くかのように
両手で包みこんでそのまま自分の唇に運び、僕の掌に熱いくちづけをくれた。
それから・・・

僕の手首にそっとくちづけて・・・
僕の頬に小さくくちづけて・・・

彼女は不器用なまでに震えながらゆっくりと・・・
まるで自分の心をひとつひとつ確かめてでもいるかのように、僕へのくちづけを繰り返した。

僕は・・・彼女のなすがままをしばらく黙って見つめていた。

彼女の唇がやがて、僕の唇に到達する頃には彼女の瞳はもう涙でいっぱいだった。

「怖い?・・・」
僕がそう問うと、彼女は涙を性急に飲み込んで大きくかぶりを横に振った。

「・・・あなたに・・・私を・・・」
彼女は言葉にならないほどの情熱を僕の唇に伝えていた。

   わかってる・・・わかってるよ・・・。

   何も言わなくていい・・・

僕は言葉とは裏腹に震える彼女を、愛しさを込めて強く抱きしめた。

その瞬間、彼女の口からまるで今まで息をしていなかったかのような、
切ないため息が宙に向かって漏れた。

そして・・・僕は、彼女の背伸びした幼いくちづけを僕からの熱いくちづけに変えた。

僕の激しいまでのくちづけに、時に息苦しさを訴えるように彼女が僕を押し返し、
そのつど僕は執拗に彼女の手を払いのけた。

少しずつ彼女の体が後ずさりしてベッドの上をすべりゆき、ベッドサイドに接した壁で
彼女が行き止まってしまうまで、僕は彼女の唇から自分の唇を離さなかった。

僕は押さえていた何かを瞬時に解放したかのように、彼女を激しく求めていた。
彼女がまた僕を押し返しても、今度はその手を掴んで壁に貼り付け離さなかった。


   ああ・・・あの日もそうだった・・・

   君に初めて出逢った日・・・

   僕の感情が激しく君を求め、迷うことなく君をむさぼった・・・

   あの時から・・・もう既に・・・決まっていた・・・

   始まっていた・・・

   そうなんだね・・・だから

   君はそれを僕に必死に伝えていたんだ

      あなたはもう私を愛してしまったと・・・

      私たちはもう・・・戻れないのと・・・


   ごめんよ・・・

   僕が素直じゃなかっただけ・・・


   今こうして・・・君に向かう僕の想いを・・・

   君が切なく妖しく受け入れる・・・この日の君を・・・

   僕はずっと待ち望んでいたはずなのに・・・


彼女の濡れた唇の端から、息苦しさとけだるさが入り混じった溜息が漏れて
脱力した彼女の体が僕の唇をすり抜け白いベッドへと崩れ落ちる。

僕の唇が彼女を追い、彼女の耳に・・首筋に・・華奢な肩に・・・
休むことなく・・・余すところなく彼女をついばみ、優しく撫でるように彼女を這った。

そして彼女を包んだベールをひとつひとつ剥ぎ取りながら、彼女の生まれたままの肢体を
碧い月明かりに露出させていった。

彼女は目を薄く閉じたまま、僕の誘導にただ身を任せ、僕の愛を刹那に受け入れていく。

僕の唇が未知の彼女へと向かい、彼女の吐息を少女から女のそれへと変えていった。

「大丈夫・・・力を・・・抜いて・・・」
僕は彼女の耳元に甘くささやき、彼女の心の準備を待った。

彼女のまだ青いつぼみが僕のくちづけに潤い開く・・・その瞬間に・・・
彼女の白い肌が美しい薄紅色に彩を変えた。

そして僕の心には・・・
今までに味わったことのない感動が・・・衝撃が・・・
速く波打つ鼓動の中に生まれていた・・・

≪ああ・・・・愛してる・・・≫ 僕は心の中で叫んでいた

愛してる・・・とは・・・こういうことなのか・・・

それは僕にとって・・・生まれて初めての感情だった・・・
信じられないほどの鮮烈な感情だった・・・

君とひとつになる喜びが・・・
体の芯から頭の先まで突き抜けるような電流となって走った

 

月明かりだけの部屋で、僕は脱力したまま天窓の遥か奥に輝く星を見つめていた。
少しして横を見ると、彼女が僕から顔を背けたまま向こうを向いていた。
僕は体を横にして、その背中をそっと抱いた。

僕はいつまでたっても、いつものように煙草に手を伸ばすことができなかった。

濡れた彼女の体から唇を離せなかった。
彼女との余韻に僕の心がまだ彼女に寄り添ったままだった。

僕は僕の鼻先にあった彼女の濡れた髪の中で深呼吸をした。
それは彼女の甘い香りをひとつ残さず僕の中にしまいこみたかったからだ

「愛してる・・・」
彼女の耳たぶを甘く唇で噛んで、低くささやいた。

「・・・・・・」 彼女は何も言わなかった。

「君は?・・・」 ≪僕としたことが、女に愛の言葉を求めているなんて・・・≫

「・・・・・・」 彼女の答えが無かった。

「どうして黙ってる?・・・もう僕を嫌いになった?」≪ああ、そんなことを聞くなんて・・≫

彼女は黙ったまま頭を振った。

「それじゃあ、どっちなのかわからない・・・
 今のは横に振ったの?縦に振ったの?」 僕は正直苛立っていた。

「・・・・・・」

「ジニョン?」

僕が彼女の乱れた髪を後ろに掻き揚げて覗くと、彼女は静かに泣いていた。僕は彼女の涙に驚いて息を飲んだ。

「・・・・何故・・・泣くの?そんなに嫌だった?」 僕は彼女の涙にひどく動揺した。

彼女はまた大きく頭を振った。

「違う・・違うの・・・・・幸せ・・だから・・・」

そしてやっと外に出せたかのような声を振り絞って僕に答えた。

僕は彼女の頬に掌を当てて優しく自分に向けると、その言葉をくれた彼女の唇に
そっとくちづけながらささやいた。

「僕もだ」

彼女はまるで子猫のように、頭を僕の胸に擦り付けた。

「このまま・・・こうしていよう・・・朝まで・・・」

彼女は返事の代わりに体をゆっくり翻して、僕の胸に顔をうずめた。
僕はまるで宝物のように優しく彼女を抱いた。

    離したくない・・・

    他の誰にも・・・渡したくはない・・・

僕達は静かに更けゆく夜の帳に包まれて、穏やかな眠りの中に互いを確認しあっていた。


・・・そして・・・

心地良い鳥のさえずりの中、目覚めた朝に・・・
自分の腕の中に確かに存在する彼女の感触を実感しながらも、僕はなかなか
目を開けることができなかった。

もしかしたら、昨日のことはすべて夢の中のことで、今、このときもその続きでしかない。
目を開けると一瞬にして、夢から覚めるような恐怖心が僕を躊躇わせていた。

やっと勇気を振り絞ってまぶたを動かすと、彼女が笑ったような寝顔を僕の首に添わせていた。

   夢じゃなかった・・・

   僕の・・・ジニョン・・・

僕は自分でも可笑しいほどに、ほっと胸を撫で下ろして、彼女を思いきり抱きしめた。


        ≪幸せだと自然に笑顔になれるのよ・・・≫

   そうだね・・・ 君の言う通りだ・・・

   僕は今 きっと・・・君の髪に・・・

   この上ない笑顔を埋めている・・・

 

僕の力任せの抱擁に彼女は目を覚ましたらしく、僕の腕の中で彼女が小さくうごめいた。

「ごめん・・・起こしてしまった?」

彼女が声もなくうなづきながら僕の視界から、恥ずかしそうな笑顔を逸らした。
僕は彼女のその気持ちを汲んで、僕の胸に彼女の顔を埋めてあげた。

「今日は何をしようか・・・」

「お仕事は?」 目を輝かせた彼女が僕の首の下から僕を見上げた。

「今日はお休み」 僕は彼女の額に口づけてそう言った。

「本当に?」

「ああ」

「じゃあ、ずっとフランクといられる?」

「ああ・・・ずっと・・・君といる・・・」

「お昼も?」

「何処に行こうか」

「何処でもいいわ!」

「また?何処でもいい・・か・・・」

「だって・・・本当なんだもの・・・本当に何処でもいいの・・・
 あなたと手を繋いで歩ければ・・・それだけで幸せ・・・あなたは?」

「僕?・・・・うーん・・・」

君が目を輝かせて僕の答えを今か今かと待っている。
君の期待する僕の答えをわざとじらして、僕は楽しんだ。

「ねぇ・・・考えないと答えは出ないの?」 痺れを切らせた君が少し口を尖らせた。

「人間には思考が大事だからね」

「人間・・考えすぎてもどうかと思うわ・・・
 感情の赴くままに生きることも大切よ」

「理性がなければ、人間じゃない、ともいう」

「フランク!屁理屈多い!だから、どうなの?
 私といて、幸せなの?そうじゃないの?」 突然君が起き上がって大声を出した。

「・・・幸せ・・・です」

そして君は・・・僕の答えに満足げに微笑んだ。

「ジニョン・・・」

「ん?」

「小さくて可愛い・・・」

そう言いながら僕は起き上がった勢いではだけた彼女の白い胸に、視線を流した。

「きゃあッ!エッチ!向こう向いて!」

「エッチ・・って・・・今更・・・」


   ジニョン・・・

   君をからかう楽しみは・・・やはり止められそうにないよ

   君との戯れが僕に幸せの実感を与えてくれる

   まるで今君が僕に投げたその柔らかいクッションのように・・・

   君の微笑が僕を幸福の波間に沈めていく

   君はいったい・・・何処から来たのだろう・・・

   もしかして・・・君は・・・

   僕に幸せを与えるために神が遣わした・・・

             ・・・天使?

   僕はこうして腕の中にしっかり捕まえて・・・

   この天使を・・・天に帰さなくても・・・


            ・・・・いいかい?


 


その日を境に僕は、彼女との時間を作るために生活のサイクルを全て変えた。
彼女がやってくる時間までに仕事の全てを済ませるようにした。

そう・・・彼女が僕の元にやってくる頃には

   僕は本当の僕になっていたかった・・・

   本当の僕?・・・

   本当の僕・・・

   フランク・シンが本当の僕じゃないなら・・・

   本当の僕は・・・誰なんだ・・・

   

「フランク・・・コーヒー切れたみたい・・・買ってこようか?」 

「ああ・・頼むよ・・・そこにあるお金持ってって」

ジニョンは満面の笑顔を僕に向けて、飛び跳ねるように部屋を出て行った。

「転ぶなよ!」 僕の声が彼女を追いかけ

「は~い」 彼女の明るい声が直ぐに帰って来る。まるで幸せのこだまのようだった。
その瞬間にもまた僕は自分の頬が緩んだのを実感して苦笑いした。

彼女との幸せを誰にも邪魔されたくない、本気でそう考えた。      

レオとの緊迫した仕事上のやり取りも彼女には一片たりとも見せたくなくかった。
今まで味わったこともないこの安らぎのときをいつまでも抱きしめていたかった。

「ボス・・・5時以降連絡をするなとはどういうことだ」 しかしレオは不満を露にした。

「連絡をするなとは言ってない・・・
 メールにしてくれ、そう言っただけだ」

「同じことだ。・・時には即決しなければならないことだって
 出てくるぞ・・・そんな悠長なことで・・」

「忠告はいい。・・・僕は僕のやり方で動くだけだ。
 余計なことを言うな。」

自分の方に非があると、わかっていた。

「・・・・・・」

「その代わり、決して後悔はさせない」

「・・・・・・わかった・・・
 それより、進めていた案件・・全て片がついたぞ」

「そうか・・・それで?」

「20の儲けといったとこだな」

「いつものようにお前の取り分を除いて、残り全て投資に回してくれ
 買い付け先は今送信するリストから・・・選択は任せる」

「了解・・・それじゃ・・」

レオはこの時きっと、言いたいことの半分も言わなかっただろう。

今の僕にとって、何が重要で何がそうでないのか・・・
一秒の油断が大きな損失をもたらす世界に身を置きながら、僕は今・・・
確かにぬるま湯に浸かった精神状態だった。

そんな状態を自分自身が一番杞憂していた。

しかし、例えそれが破滅へ向かう道だとしても、何にも代えられないものを僕は
この胸に抱いてしまった。

   だから・・何だ・・・

   何だと言うんだ・・・レオ・・・

僕は自分の胸にかかったもやを紛らすかのように、煙草の苦い煙を深く吸い込んだ。


その瞬間、玄関で物音がした。     

「戻ったの?・・・丁度コーヒーが飲みたくなったところだ
 早速淹れてくれる?」

「コーヒー?私が淹れてもいいの?」

聞き慣れたその声に驚いて、僕は振り向いた。

「ソフィア・・・・」
ソフィアとの距離が実際よりも遠く感じたまま、僕も彼女も長く沈黙していた。
その沈黙を破ったのはジニョンの声だった。

「フランク!ただいま・・・同じコーヒーなかなか見つからなくて・・
 遠くまで行っちゃっ・・・た・・・あ・・・あの・・・」

ジニョンはソフィアと対面して、彼女が僕の“恋人”であることを即座に感じ取ったのか、
とっさに弁解の言葉を口にしていた。

「あの・・私・・・フランク・・先生に・・家庭教師をしていただいてます
 ソ・ジニョンと申します・・・」

「ジニョン・・・何言ってる?・・君は・・」 僕はジニョンのその言葉に唖然とした。
「家庭教師?・・・フランク・・・あなたを家庭教師にできるなんて
 ラッキーな生徒さんね・・・」 きっとそう思っていないソフィアの声が僕の言葉を遮った。

「いや・・・生徒じゃない」
「あの!先生。・・・私、そろそろ・・帰ります・・・」

そう言って今度はジニョンが僕の言葉を遮ると、買って来たコーヒーをキッチンに置き、
振り向きもせずに慌しくドアから出て行った。

 

       ・・・ 「 ジニョン! 」 ・・・



                        


2010/03/24 00:07
テーマ:私の“韓国の美をたどる旅” カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ハナヨ感想文①「 留まる 01 家庭料理 」

Photo

「韓国の美をたどる旅」の感想を自分なりの視点で書いてみたいと想います^^


 

普段よりずっと遅く目が覚めた。でも、どうしても起きたくない。(略)
くたくたに疲れ果て、こんなふうにぐずぐずしたい日は、誰かに
無理やりにでも起こして欲しい。(略)
そして生気のみなぎるお膳を用意して欲しいと切実に思う。

この出出しの文章がとても好きだ。

率直で、みずみずしくて、彼の純粋さを切に感じる。
できるものなら、こんな朝を一日も早く彼にプレゼントしてあげたいものだと切に思う^^


20代で親元を離れて生活するようになったのは、
両親を楽にしてやりたいという気持ちからだった
が、親だから味わえるちょっとした楽しみを提供できなかったのは
親不孝ではないかと・・・

この文章にも共感するものがあった。

私は18で親元から離れて暮らし、自分で働いたお金で勉強してきた。親に頼ることを大人なのだから、恥と思ってもいたし、親に迷惑を掛けたくない、という想いもあったからだ。しかし、二十代後半で私が子供を持った時、それは今まで親不孝をして来たことだったと実感した。

私は子供を出産する時も実家には帰らず、東京の病院で、主人の母に面倒を見てもらえたら、と考えていた。
ひとつは東北に住む主人の両親にとって初孫でもあり、長崎に出産で里帰りしてしまうと、数ヶ月初孫を見せて上げられないだろうと危惧したことと、もうひとつは実家の母も40代の働き盛りであり、仕事を休ませることを申し訳なく思ったから。
しかしその時、妹からの手紙で、母が頼ってくれなくて泣いている、と言う話を聞かされた。面倒を掛けるのは申し訳ないと考えたことが、逆に母に寂しさを与えていたようだった。

最近私の一人娘も独り立ちし、親としてしてあげられることは少なくなったが、娘が帰って来ると、何やかやと世話を焼き、風邪気味と見ると、「靴下を履きなさい」と24にもなる娘に言ってしまう。

親ってそれが嬉しいのかな、と今頃思う。

主人は娘が気になってしょうがない人だが、私は日頃、独立した娘のことは放っておく方だ。それでも先日ふらりと帰って来た娘に、「何が食べたい?」と聞いたら「ママが作った春巻き」と言われ、「え~~」と言いながらもせっせと作った。

小さい頃から、娘は私が作る春巻きが大好きだった。
高級中華店で春巻きを出されても、大きな声で「ママのが美味しい」と言って、恥ずかしくなったものだ。

ところで私は自他共に認めるが、料理が得意ではない。
今頃になって、主人から「料理教室行ってみたら?」と言われる位なもの。
それでも娘は私が作った春巻きをたらふく食べた上、残ったものを全部持って帰ってしまった^^

この時私はこう思った。 ≪ごめんね、母の味が春巻きしかなくて・・^^;≫



「家庭料理」というお題で書かれているこの章には
韓国の食生活が書かれているが、それは日本の昔ながらの食生活とも通じているものがある

釜で焚かれたつややかで粘り気のあるご飯
光り輝く山菜、みずみずしく元気な野菜には
満ち足りた気持ちと期待感があり
日差しや霧、空気、岩や木までもが薬味となり添えられる
そんな五感を満足させてくれるお膳をに、お腹より心が先に一杯になる


そういえば昔は白いご飯が有り難くて・・と言っても私は戦時中にいたわけではないけれど、白いご飯はやはり貴重だった。母が自分はさておき、私達子供に沢山食べさせてくれていたことを、私は思い出す。


彼はこの旅で出会った方方の何方に対しても、とても敬意を払った対応をしていることが文面からしのばれる。或るおばあ様の嫁入り道具に書かれていた父親からの書について書かれている文面などを読むと、この人は(ヨンジュン)は本当に心根の優しい人だなと思う。
  
嫁いで来る時、お父様が、肝に銘じなければならない心構えや
身持ちをいちいち書いてくださったものだそうだ。
おばあさんの純粋で清らかなお人柄の背景には、
娘に対する父の愛が大きな役割を果たしていただろう。

こういう何でもない(失礼かも)エピソードをこんなふうな文章で取り立てて書けるあなたこそ、ご両親の大きな愛で育った人なんでしょうね^^本当にそう思う。文体も「・・・をしてくださる」「くださった」などがまた、彼の謙虚さが現れていて、読んでいても心地良い。


韓国のお膳は彩が美しい。
確かに彩りのある食事は目でも楽しめる。それって大切なことだと思うが、料理が上手でない私には結構大変だ。

ナムルは均等な大きさで秩序がある

彼の文章の中に「均等と秩序」という言葉を見つけて、「そうか、そうするだけでも綺麗で見栄えがいいかもしれない」と思った。

この本が発行されて、早いもので半年、今更だが、こうして彼の本の中から、色んなことを発見している。

仕事の合間に時間とゆとりがあった日には、こういう風に彼の本を紐解き、感想を書いてみようと思う。

しかし、私はこの本を一冊しか持っていない。(普通?それが意外とヨンジュニ家族の間では普通ではないらしい。)つまり、読む本と飾っておく本、或いは日本語バージョンと韓国語バージョン、というように二冊以上を持っているのが普通なのだそうだ^^先日オフ会で会った人達に聞いた時、それって当たり前、というような顔をされて驚いた(笑)

でもそれもわかる気がする。
私はじっくり読む時も、つい一枚一枚丁寧に捲ってしまう。これって、結構時間のロスだ^^;

今更だが、近い内にもう一冊買ってみよう^^


最後に感想をもうひとつ

彼の奥さんになる人はちょっと大変かもしれない、と日頃思っていたが、この書を読んでその想いが更に強くなった。

現代の味に慣れてしまった私達は昔の「おいしくないご飯」を好まなくなりつつある。
そんな環境で育った人であろう、彼のまだ見ぬ未来の伴侶はきっと・・・

「・・・・・健康食。でも・・・・君、嫌いなの?」

そう言って睨まれそう^^;

いや、それともそんなこと、まったく構わないよ~というほど、デレデレになるかのどちらかだろう。(個人の感想に因るものなので悪しからず^^;)


            kurumi 2010.3




 


2010/03/23 11:25
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

創作mirage-儚い夢-13.でも・・・

Photo


      

   

・・・冗談は止めて!・・・

ジニョンの叫ぶような声が僕の背中に冷たく突き刺さっていた。
彼女が今どんなに悲しい想いで、どれほど悲痛な顔をしているのか手に取るように
僕にはわかる。
それなのに僕は自分の意思で彼女を振り返らなかった。
僕を追う彼女の声をあの男の元に置き去りにしてしまった。

   何故だ!

行き場の無い嫉妬心に駆られていた僕は激しくいらだち、傍らにそびえ立つ樹木に
力一杯拳をぶつけていた。

   どうして、あんなことを・・・

   心にも無いことを・・・言ってしまったんだ


時折後ろを振り返りながら僕は歩いていた。

   何を・・・期待している?・・・

結局彼女は僕を追っては来なかった。追ってくるはずなど無かった。

   君をまた傷つけたのは・・・また・・


   この僕なんだから・・・




 

私はフランクによって気絶しかかっていたジョルジュに肩を貸して、ひとまず近くの
公園へと向かった。彼をそこのベンチに腰掛けさせると、バックからハンカチを取り出した。

「オッパ、待っててね・・・これ、濡らしてくる」

彼のそばを離れようとした時、彼が私の手を力強く掴んだ。

「行くな・・・」
ジョルジュが子供のような目で私を見上げながら止めた。
      
「でも・・その傷・・早く冷やさないと・・・」

「いいから・・・座って・・・」 ジョルジュは私の手を引いて、自分の隣に腰掛けさせた。

私はハンカチを濡らすことを諦めて、彼に従いそこに座った。
「オッパ・・・」

「・・・・・・ざま・・・ないな・・・」 
彼は私が隣に落ち着くと、少しホッとしたように口元に笑みを浮かべ、ポツリポツリと呟いた。

「無理するからよ・・・喧嘩弱いくせに・・・」 
私はいつもと同じに憎まれ口を言う時のように、唇を尖らせてそう言った。

「フッ・・・小さい頃から、いつもそうだったな・・・
 大人たちには“僕がジニョンを守る”そう宣言しておきながら・・・
 実際に守られてたのは俺の方だった・・・幼稚園の頃も・・・小学校の頃も・・・
 お前が俺の前に立ちはだかって、喧嘩をけし掛けてきた奴らに睨み利かせてた・・・」 

彼はふたりがまだ同じ方向を向いていた時のことを懐かしむように宙を仰ぎながら言った。

「そうだった?」

「ああ・・・そうだった。」

「オッパ・・・お坊ちゃんだったから・・・」

「お坊ちゃん・・か・・・よく言われてた・・・気弱で・・・非力な・・・お坊ちゃん・・・
 お前を守れない自分が歯がゆくて・・・強くなりたくて・・・」

「・・・・・・」

「・・・それで・・・家を出たんだ・・・」 

「知ってる・・・だから・・・」 私がそう言うと、ジョルジュは驚いたように私を見つめていた。

「だから・・・追って来たの」 

ジョルジュは変わらず驚いた顔で、沈黙したままだった。

「おじ様に頼まれたの・・・あいつを守ってやって欲しいって・・・」

「おやじが?」

「オッパ・・・跡取りだもの・・・心配してるのよ・・・おじ様
 口では勘当だと言ってても・・・大事な息子なんだから・・・
 私がそばにいれば、道を外すことはないだろうって・・・うちの父と共同戦線張ってた・・・」

「俺はお前の親父に“ジニョンを守るんだぞ”って・・・結局・・・
 お前の方が俺より親父たちに信用あるってわけか」
ジョルジュは呆れ返ったようにそう言いながら、また宙を仰いだ。

「ねぇ、オッパ・・・いつから”俺”って言うようになったの?
 ずっと言おうと思ってたけど・・ちっとも似合わないわ」

ジョルジュは情けないような顔を私に向けて笑った。
「お前を守れる強い男になろうと決めた時から・・・」
ジョルジュはそう言った後、それは冗談だと言わんばかりに大きな声で笑った。

「オッパ・・いいえ・・ジョルジュ・・・私ね・・・小さい頃・・・
 あなたが私の王子様だと思ってた・・・」

「思ってた?・・・・」

「 ジョルジュ・・・運命って言葉信じる?」

「ああ、信じてる・・・俺の運命はお前と生きることだ」

「ジョルジュ・・・・」 私は困ったように彼の顔をみつめた。

「違うのか」 彼は私のその表情の意味をひとつ残らず悟ったかのように、寂しげに呟いた。

「・・・・・私も・・・そう思ってた・・・でも・・・」

「でも・・・何だ・・・」

「でも・・・あの人に出逢って・・・あの人を知って・・・
 最初はね・・・どうしてこんなに気になるんだろうって・・・
 ただ逢いたくて・・・逢いたくて・・・たまらなくて・・・
 一生懸命探したの・・・あの人を・・・
 そして・・・やっと見つけて・・・そしたらね・・・あの人を見つけたとたん
 胸が締め付けらるように苦しくなって・・・・」

「止めろ・・・そんな話・・・」

「感じたの・・・私は・・きっと・・・この人の為に・・・この世に存在してる・・・
 無意識にそう感じたの・・・だから・・・」

「止めろ!
 止めて・・くれ・・・あいつと会ったのはたった二月前だぞ・・・」
興奮したジョルジュから怒りがほとばしり、私の肩に置かれた手の指がそこに食い込んだ。

   痛かった・・・

   だけど・・・ジョルジュ・・・

   ごめんなさい・・・私はもう・・・

   ごめんなさい・・・ジョルジュ・・・


「私ね・・自分でも信じられないの
 ・・・あの人に・・・あんなこと・・・自分のしていることが
 まるで私じゃないみたいで・・・
 でもそれは私なの。・・・彼に向かった私が本当の私・・・
 そうなのよ・・・ジョルジュ・・あなたは誤解してる・・・
 彼が私に何かしたんじゃない・・・私の方なの・・・
 私が・・・彼を勝手に・・・愛して・・・」
       
「違う!」

「ジョルジュ・・」

「違う・・そんなこと!・・・お前の錯覚でしかない・・・
 目を覚ませ・・・ジニョン・・
 さっき、あいつが言ったこと・・お前も聞いただろ?
 ひどい言葉だった・・冷淡な声だった・・・
 あいつは・・あの男はあんな奴だぞ・・・」

「あれは・・彼の本心じゃないわ」

「そんなの・・どうしてわかる!」

「 わかるの!・・・わかるの・・・」
私はジョルジュから目を逸らすことなく自分の想いを告げた。 
  
「お前は!・・・お前は・・・俺の嫁さんになる・・・
 十八年前から決まってることだ・・・」

「それは・・・私達が小さい頃、親たちが決めたことだわ」

「俺はずっと本気だった・・・お前は違ったのか」 

私はジョルジュの真剣な問いかけに、彼の望む答えを返せない自分を十分に悟っていた。

「・・・・・・ジョルジュ・・もう大丈夫よね・・・私・・行かないと・・・」

「行く?・・・何処へ・・・」

「・・・・・・・」

「何処へ!」

「きっと・・・あの人が待ってる・・・」

「待ってる?・・・待ってるもんか!」

「きっと・・・泣いてる・・・だから・・・直ぐに行かないと・・・」

「泣いてる?・・・あいつの言葉・・忘れたのか!」

「ごめんなさい」

「ジニョン!待て!行くな!・・・行かせない!
 俺は・・・俺だって・・・ 」

私は少し足元がおぼつかなくなっていたジョルジュを気にしながらも、彼を振り切るように
その場を走り去った。

「ジニョン!今にわかる!お前は・・・ お前は・・・俺と生きるんだ!
 あいつなんかに渡さない!どんなことをしても・・決して渡さない!」  
   
          ねぇ・・おばさん・・・
          ジニョン・・・可愛いね・・・

                  可愛いでしょ?

          ジニョン・・僕のお嫁さんにしていい?

                  いいわよ・・ジョルジュ・・・その代わり
                  ジニョンを守ってくれる?

          守るよ!きっと守る・・・

                  約束ね・・・

          うん!やくそく!


       お前の母さんと・・・  約束したんだ・・・

   俺だって・・・


       「俺だって・・・」

   泣いてるんだぞ・・・ジニョン・・・

俺は遠ざかるジニョンの後姿をいつまでも追いながら、例え力づくでも止められなかった
自分の弱さが無性に腹立たしかった。


               
ジョルジュの想いは痛いほどわかっていた・・・

   いつかジョルジュのお嫁さんになる・・・

いつの頃からか、私自身も・・・そう信じていたような気がする・・・

   でも・・・どうしようもないの・・・

   彼が・・・フランクが・・・私の心を掴んで離さない

   私が・・・私の心が彼から離れてくれない・・・

   私は自分に正直に生きたい・・・ジョルジュ・・・

   それが例え・・・

   幼い頃から慕ったあなたを裏切ることになったとしても・・・




あれからずっと飲み歩いていた。しかしほんの少しも酔うことができなかった。
夜もかなり更けて、結局僕はアパートに戻った。

部屋のドアにジニョンがもたれて立っていた。
たった今まで、彼女のことを考えながらここに辿り着いていた僕は、その彼女が
不意に目の前に現れてかなりうろたえた。

それでも思わず駆け寄ろうとした自分をやっと制止して彼女に冷たく言い放った。

「何しに来た。」

彼女は僕の言葉を予測していたかのように黙したまま少し呆れたような笑みを浮かべていた。

「僕は人のものに手を出すほど女に飢えてない」

  ああ、何てことだ・・・
  そう言った僕の言葉が呆れるほどにうそ臭い

「帰れ。」 それでも僕は虚勢を張った。

「あなたが待ってるから・・・来たの」 初めて口を開いたジニョンは僕を睨み付けていた。

「ハッ・・・待ってる?ご覧の通り、僕はさっきまで酒飲んで遊んでた・・・
 君を待ってるわけ・・」 ≪無いだろ?≫

「あなたが待ってるから!・・来たの」 彼女はお構い無に、強い口調を僕の言葉に重ねた。

「言ったはずだ・・・他の男と、女を争う気はない。」

「ジョルジュは兄みたいな人・・・そう言ったでしょ!」

「その割には必死に守ってた。」≪そのせいなのか?僕の苛立ちは・・≫

そう言って僕は彼女を睨み付けたものの、彼女の僕を睨んだ目に逆に圧倒されて、
慌てて彼女から目を逸らせた。

     ≪だからあんなにもあいつを打ちのめしてしまった?≫

「あれは、あなたが彼をひどく殴るから!」     

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

「やつのところに帰れ」
「本当に?帰ってもいいの?」

「うぬぼれ屋のジニョンさん・・・僕はね・・・
 あまりに君が僕に熱をあげるから・・・ちょっとからかっただけだ
 そんなこともわからないの?本当に子供なんだね・・君は・・・」
僕は彼女に負けるまい、と虚勢を張り続けていた。

「本当に?」

「・・・・・・・」

「フランク・・・嘘をつかないで」
「嘘なもんか」

その瞬間、彼女が突然僕の胸に飛び込んで僕の体を必死に抱きしめた。
僕は自分の両の手に心と逆の指令を出してそのまま宙に浮かせていた。

「離せ」
「離れない」

「離せ!」
「嫌!」

僕は彼女の肩に手を掛け、その華奢な肩を勢いよく自分から剥がすように離した。
そして急いで部屋に入ると即座に内側からロックを掛けた。

「 フランク!逃げるの?!フランク! 」 彼女の声が僕を追いかけてきた。

   ≪逃げる?・・・バカなことを言うな≫

「 フランク!開けて!開けないと! 」 彼女の甲高い声がフロアに響き渡っていた。
僕は仕方なく、ゆっくりとロックを外してドアを開けた。

「うるさい。・・近所迷惑だ・・・開けないと・・何する気?」

「開けないと・・・・・・考えてなかった・・・」

「・・・・・。」

彼女は呆れ顔の僕を強く睨むと、僕にわざとぶつかるようにして部屋に入ってきた。
そして振り向きざま僕に向かって怒鳴った。

「いい加減にして!」
「それはこっちの台詞だ。」

「もっと素直になって!」
「十分素直だと思うよ」

「ひねくれもの!」
「ひね・・な・・」≪何を言ってるんだ!≫

「私のこと好きなくせに」
「好きじゃない。」

「愛してるくせに」
「愛してない。」

「本当は私のこと欲しいくせに」
「・・・・・・」

「抱きたいくせに・・やせ我慢してる」≪好き勝手なことを言うな。≫
「君ね・・いい加減に」

「私は好き。」
「・・・・・・」

「私は愛してる。」
「・・・・・・」

「私は・・・抱きたい。」
「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・どうやって?」

「えっ?」

「抱いてみな。・・・どうやって抱くの?」

「えっ?・・・・・・・」

彼女は僕の前で顔を真っ赤に染めながら、突然僕の胸に自分の体を投げた。
そして両の手を僕の背中に回し力一杯僕を抱きしめた。


「それから?」

「・・・・・・」

「それから・・・どうする?」

彼女はしばらく身動きもせず僕の胸に顔をうずめて、ただ静かに僕の鼓動を聞いていた。

    そうなんだ・・・

    僕の心臓は既に・・・君への愛しさで苦しく高鳴っていた

もうとっくにその高鳴りが彼女に僕の本心を伝えているだろう。

僕はそれまで宙に浮かせていた両の手を今度は自分の心に素直に従わせて
彼女をそっと包み込んだ。

「できもしないことを口にするな」 そう言いながら僕は彼女の髪にゆっくりと唇を落とした。

「・・・・・・だって・・・本当にそうしたいもの
 私の体も・・・あなたが欲しいと言ってる」

「・・・・・・・」

「あなたが好き・・・あなたを愛してる・・・私の心が・・・体が・・・そう言ってる・・・
 あなたも・・・そうでしょ?私・・・一度もあなたからそう言ってもらってない
 あなたの心を・・・言葉で教えて・・・」


    何故だろう・・・

「君って・・・」

「・・・・・・・」

    心が勝手に君に寄りかかる・・・


「うるさくて・・・勝手で・・・」

「・・・・・・・」


    心が勝手に君を見つめている・・・


「我侭で・・・図々しくて・・・」 
「それで?」

彼女が僕の鼓動を解放してやっと顔を上げた。


「信じられないくらい・・・子供・・・・」
「それだけ?」   

僕は彼女との視線を絡めると彼女の頬に触れた。 

「君といると調子狂ってばかりだ」

そして僕の唇は吸い寄せられるように彼女の唇へと向かう。


「それはあなたが正直じゃないからよ」


    ああ・・・君の言う通りだ・・・


「疲れるんだ・・・」 

「・・・・嫌なの?」 


    僕は・・・正直じゃない・・・

   
「鬱陶しい・・・」 

「・・・・そんなに?」


    本当は・・・


「わずらわしい・・・」

「・・・・本当に?」


    とっくに・・・君を・・・


「ああ・・・耐えられない・・・でも・・・・」

僕は震える彼女の唇の振動を自分の唇で感じていた。
そしてそのまま彼女の唇の上でささやいた。

「でも?・・・」

「でも・・・・・」


    たまらなく・・・君を・・・


「・・ちゃんと言って・・・」


「でも・・・・・

 

      ・・・愛してる・・・」




 







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