2010/10/04 08:47
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

mirageside-Reymond-21

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「レイ・・」 
義母は不安げに私の顔を覗いていた。

私と判り合えた矢先に、自分の息子であるライアンが、私を・・そしてフランクを
追い詰めている。
たった今、フランクとソニーが部屋から走り去っていく姿を、彼女がどんな思いで見送ったか。
しかし今は私とてフランクと同じだった。
義母の思いにまで心を掛ける余裕など微塵も無かった。

「今は何も聞かないで下さい。あなたはここで待っていて欲しい。
 心配するなとは言いません。ただ、私を信じてくれるなら、ここにいてください。」

私がそう言うと、義母は黙って頷いた。


私はホテルの非常出口を使って階下へ降りると誰にも尾行されないように
他の車を使って裏口から外へ出た。


ジニョンを助ける前に、あの書類を奴らに奪われるわけにはいかない。


「Mr.レオナルド・パク?レイモンド・パーキンです
   フランクから連絡が入りましたか?・・」

「はい・・」

「では私が告げる場所まで・・その書類を」

「承知しました」

 




「ライアンを出せ」

私はレオナルド・パクと連絡を取った後でライアンに電話を掛けた。

「何のようだ・・・」
ライアンは少しだけ気を持たせるように私を待たせて、やっと電話に出てきた。

「取引をしないか」

「取引?」

「ああ・・今から私は例の書類を手に入れる」

「例の書類?何のことだ?」

「とぼけるな・・・私はお前に組織を譲る。
 あの書類もだ・・
 しかし・・この首謀者がお前でないとしたら」

「俺でないとしたら?」

「お前に渡す必要も無いだろう・・・予定通りFBIに渡す」

「FBI?お前・・それがどういうことか・・」

「ああ・・わかってるさ・・」

「お前・・最初からそのつもりで?組織を潰す気でいたのか?」

「そうだと言ったら?」

「そんなことが許されるとでも思ってるのか!」

「私が許した。」

「ふざけるな!・・あの女はどうなってもいいんだな」

「ふっ・・やはりお前の仕業か」≪馬鹿な奴≫

「・・・・」

「だったら・・話は早い・・本当言うと、そんなことはどうでもいいんだ
 組織がはびころうが・・潰れようが・・私にはもう関係ない」

「どういうことだ」

「この前・・お前が言っただろ?この私がたかが女に手を焼いている、と・・
 組織よりもそのたかが女の方が大事になった・・・
 だから・・・このNYとももうさよならだ。

 いいか・・
 しかし本当に、彼女と引き換えでなければこの取引は成立しない。
 お前の子分達にようく言い聞かせておけ
 彼女にほんのわずかでも危害を加えることがあったら・・
 組織も・・何もかも・・全滅だと・・」

「・・そんなことができるわけ・・」

「できないとでも?・・」

「・・・・」

「取引・・成立だな。」

「わかった・・書類と引き換えにあの女を無傷でお前に返えすと約束しよう      
 親父が組織の参謀にと望んだフランクはこっちがいただく」

「好きにしろ。」


ライアンにとって、私という存在は邪魔でしかない。
きっと彼は私を亡き者にしようと考えているだろう。

書類を持ってアジトへ出向いたとたん、彼の手の者に刃を向けられる
それは覚悟の上だった。

しかし、たった今彼と交わした取引が形の上だけでも成立した以上
ジニョンの安否は保障される可能性が高くなった。
少なくとも私がその場に到着するまでは・・・


ソニーにはフランクとジニョンに危害が及ばない限り、私が到着するまで待てと伝えた。

何としてもあのふたりだけは助け出さなければならない。

ソニーも同じ思いを抱いているはず。
旧友ソ・ヨンスの愛娘であるジニョンを救い出すこと、きっとそれだけを考えているだろう。


それだけに・・・
フランクと共に行かせるべきではなかったかもしれない。

ソニーという男は私に忠誠を誓いながらも、決して私の言いなりになる男ではない。


私は一刻でも早く彼らの元へ辿り着こうと
思い切りアクセルを吹かせた・・・

どうか・・・神よ・・・

もう二度と・・・


私の大切なものたちを・・・


   ・・・奪いたもうな・・・










 

 


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