2010/10/26 16:44
テーマ:創作mirage-儚い夢- カテゴリ:韓国TV(ホテリアー)

mirage side-Reymond-25

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「レイ・・お願いがあります」

「ジニョン・・・」

私がジニョンの病室を訪れると彼女が悲愴な顔つきでそこにいた。

「レイ・・お願いです・・私をここから連れ出して下さい」

「・・・・・」

「お願いです」

「・・・・わかった・・待ってなさい・・」

外にはジニョンの父親が待っていた。
私は上の階に未だ入院しているソニーに電話を掛けた。

「ソニー・・動けるか・・・頼みがある
 ジニョンの父上に別れの挨拶をして欲しい・・・」

ソニーは私のその言葉だけで、私が何を求めているかを理解してくれた。


ソニーは期待通りにソ・ヨンスをこの病室の前から連れ出すことに
成功してくれたようだった。

「いいんだね・・」

「はい・・・」

ジニョンの決意を固めたような眼差しが、却って私の胸を突き刺すようだった。


      《ジニョンはきっと・・
       あなたに助けを求めるでしょう

       その時は・・・諦めさせてやって欲しい・・
       それで・・父親とソウルに帰るよう
       説得してやってください》


一昨日のフランクもまた同じだった。

私の意見など、入り込む余地すら残さないほどに彼の心は閉ざされていた。


    どうしても・・・駄目なのか・・・


      《その方が彼女の為です》


    どうしてそんなことが言える・・・


      《愛しているから・・・》


    馬鹿なことを言うな・・・



    この私に・・・

    ジニョンに死の宣告をしろと言うのか、
フランク・・・

    それが君の・・・私への罰だと・・・


    何度君から彼女を奪い去ろう・・そう思ったか知れない

    それでも・・・

    彼女には君しかいない・・・私はそれを認めたんだ


    それでも?・・・それでも行くのか・・・


私は一昨日のフランクの言葉を回想しながら、ジニョンを見つめていた。

 

    ジニョン・・・フランクはもうここへは戻らない

    君の元へは戻らない・・・


ジニョンが次第に青ざめて震えるように私を見上げた。


    どうしてそんなことが言える?・・・

彼女から・・・あの輝くような笑みが消え去る


    その瞬間を・・・


    この私が見なければならないのか?



 


ジニョン・・ごめんよ・・・許しておくれ・・・


フランクのアパートも・・・君達ふたりの別荘も・・・私の手によって処分した。


ジニョン・・・私は今・・・

フランクの決意を知った上で、君を連れて歩いている・・・

君の彼への想いと一緒に歩いている・・・



    フランク!フランク!・・フランク・・



ねぇ・・・ジニョン・・・

彼の名前を繰り返し呼ぶ君を私はこの目で追いながら・・・

自分の胸が圧迫されていく恐怖に震えていた。

   泣くな・・・ジニョン・・・


君の興奮を抑えようと抱きしめた手が、君の彼への激しい想いに・・
簡単に撥ねのけられた。



わかっているんだ・・・

私では・・・駄目なんだということも・・・


まるで子供のように泣きじゃくるジニョンが哀れでならなかった

   ジニョン・・・もうお止め・・・

   そんなに泣いたら・・・

   涙がなくなってしまうだろ?

   そんなに泣いたら・・・

   心の中まで渇ききってしまうだろ?


      

      置いて・・いかないで・・・・

 

       ・・・フランク!-・・・




   君の叫び声が
私の心を押し潰すようだ
 

   
   ジニョン・・・ジニョン・・・ジニョン・・・


   私の・・・君を呼ぶこの声は・・・聞こえないか?


   私のこの想いは届かないのか?



   あぁ・・・愛している・・・


   何度・・その言葉を飲み込んだことか・・・


   今もまたこうして・・・私は君への想いを


   心に封じ込めている


   いや・・・そうじゃない・・・きっと


   君の・・・彼へのその激しい想いが・・・


   私の君への愛を・・・


      容赦なく・・・


          ・・・砕いてしまうんだ・・・ 







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