ドリームハイ☆第16話No.4
最終話 ≪夢の頂き≫
グクがバイクで ヘミを連れて行ったのは
キリン芸高のオーディションの帰りに来た 川沿いの広場だった。
ヘミはバイクから飛び下りて ヘルメットを外した。
そして ぼんやりした顔で、とぼとぼ1人で歩きだした。
そんなヘミを 優しく見つめるグク。
そして、グクは ヘミが脱いだヘルメットを手に取った。
そして、川べりに佇むヘミに 近づいて溜息をついて言った。
「久し振りだな。・・・覚えてるか?
これを被って 逃げてきただろ?」
グクは その場所がヘミがオーディションに落ちて
悔しくて泣いた場所だ・・・懐かしいだろう・・・
そういう思いを込めて ヘミに言った。
グクは昔のヘミに 戻ってほしくて
ヘミを この場所に連れて来たのに・・・。しかし
「そうね。」と、返事をするヘミは グクの顔も見ない。
沈んだ顔のヘミを見て グクは
「やっぱりダメだ!・・・家に戻って
みんなでパーティーをしよう!!カン先生と
オソン姉さんも一緒に・・・」そう言うのだった。
(わざとサムドンの名前を言わないグク!笑)
すると、ヘミは焦って グクを見て
「なんで急に戻るの?次はどこに行く?」
と、明るい笑顔を作って言うのだった。
そのヘミの顔を グクは寂しそうに見つめて
切ない思いで「そうやって、無理するな。」と言った。
「行こうよ!行こうって!!」ヘミがグクの腕を掴んで言った。
しかし グクは言う。「ヘミ。お前、無理してる。」
固まるヘミに グクは優しく言うのだ。 (グクは本当に優しい!)
「俺には分かってる。今、お前が誰を見てるのか。
俺も、知っていながら・・・無理をした。」
ヘミは グクに心を見透かされて驚いた。
「グク。」・・・そう名前を言うだけで、ヘミは後の言葉が続かない。
グクは言う。「感情なんて、無理したって変わらないさ。」
そう言われて、ヘミの瞳から涙が溢れそうになる。
今まで、グクのために 必死にサムドンへの想いを
閉じ込めようと無理をしていたヘミは 救われた気がした。
「ごめん!」とグクを見上げて ヘミは謝った。
「私、情けないわね。」そう言うヘミに
優しいグクは言うのだ。「ごめん。苦しかっただろう。」
ヘミは グクの優しさに感謝しながら
そんなグクに申し訳なくて、涙が止まらなくなる。
するとグクは 以前と同様、手にしたヘルメットを
ヘミの頭にそっと被せて 泣き顔のヘミを閉じ込めた。
そして「これからは 友達として気楽に接しよう。
昔みたいに 目を合わせたり、一緒に学校に行ったり
気楽にな・・・。」そうヘミに言うグクだった。
ヘミは うんうんと頷いて泣き続けた。
ヘミの涙が止まるまで、グクはヘミの傍に寄り添っていた。
これが、最後のデートだった。
こうして グクの初恋は終わった。
幼い時に出逢って以来、ずっと好きだったヘミを
寛大な心のグクは サムドンへと渡す覚悟をしたのだ。
(ここでは私は思う。冬ソナのサンヒョクとはエライ違いだな!!笑)
若い恋人達が別れた そんなある日。
オヒョクはといえば 校長室へ呼ばれていた。
ノックしてから 恐る恐る校長室へ入ると
校長は椅子に腰かけたまま 振り向きもせずに
手にした大封筒を見つめていた。
そして、いきなり振り向くと「君宛に これが届いた!」
そう言って その大きな封筒を オヒョクに投げつけた。
驚いてその封筒を受け取るオヒョクは
「これは何でしょう?」と 校長に質問する。
すると校長は「EMGレコードの2次合格者だ。」と言った。
「うわぁ!!誰か受かったんですか??」と
驚きながらも 喜びを隠しきれないオヒョク。
すると「そんなに嬉しいか?」と校長が怒鳴った。
そしてフン!と言った様子で 校長は言うのだった。
「生徒が成功して、君まで有頂天になってるな。」
オヒョクは 「何か 私が悪いことでも?」と聞くと
校長は机を叩いて立ち上がり 怒って大声で言う。
「お前は何様のつもりだ?娘の愛を無視しおって!」
オヒョクは聞き返す。
「娘というと シ・ギョンジン先生ですか?」
「そうだ!他に誰がいるというんだ??」と校長。
「シ先生が 私を好きなんですか??」とオヒョク。
「そうだ!!!」と大声で怒鳴る校長。
これには オヒョクは”そうだったのか!”とやっと
ギョンジンの気持ちを理解できて (まったく鈍感にもほどがある!)
驚きの次に 喜びが湧きあがってくるのだった。
そしてオヒョクの態度に「知らなかったのか?」
この時、校長もまた 驚いてオヒョクに聞くのだった。
「はい。知りませんでした。シ先生が僕を好き?」
もう大喜びのオヒョク。校長は”シマッタ!”という顔だ。
「これは驚いた。」笑いながら校長室を後にするオヒョクだった。
残された校長は「カン先生!カン先生!!」と
追いかけるが、取り消そうと思っても、もう遅い!!(爆)
ギョンジンに愛されていることを知ったオヒョク。
しかし、その前に EMGレコードのオーディションに
自分の生徒が 2次合格したということが心から嬉しくて
オーディションに応募した ドリームハイのメンバー
6人を教室に集めて 合格者を発表することにした。
ヘミ達は一列に椅子を並べて腰かけて 神妙な顔で
オヒョクが手にした 合格者の入った封筒を見つめていた。
6人の生徒たちは ドキドキしながら合格者が誰なのか
開封の時を待っていたが、それはオヒョクも同じだ。
いったい誰が??・・・深呼吸して 開封しようとすると
廊下から大声で「本当なのか?」と、叫んで ジンマンが
慌てて 走って来て「合格通知が来たって?」と
オヒョクに詰め寄った。オヒョクは「そうだよ!」と言って
逸る気持ちで、ジンマンの目の前で封を開くことになる。
その前に「誰が受かっても 恨みっこなしだぞ!」と
自信満々のジェイソンがそう言った。ヘミは「早く開けて!
どうせ期待してないから。」と冷めた顔で言う。
しかし、そう言いながら 目はマジだ。(笑)
他の5人も目を見開いて 息を飲んで封筒を見つめる。
オヒョクが そ~っと中の合格通知を引っ張ると
コ・ヘミの名前が書いてあった。
オヒョクもジンマンも驚いて ヘミの方を見る。
「ヘミ!受かったぞ!!」と叫ぶオヒョクに ヘミは
興奮して「わ~!!」と声をあげて立ち上がって
自分に拍手をして大喜びするのだが、途中でハッと気づいて
すまして椅子に座り直して「・・・だと思ったわ。」と言う。
隣のサムドンは 真っ先に嬉しそうに「良かったな!」と声をかけ
ピルスクも「おめでとう!」と笑って祝福した。
しかし、悔しいジェイソンは何も言わないので
隣にいたピルスクは ジェイソンをつつくと
ジェイソンは作り笑顔で「グッド・ジョッブ!」とヘミに言う。
ジンマンが本当に嬉しそうに喜んでいると
オヒョクが合格通知を眺めて 驚いて声を出した。
「合格者は 他にもいるぞ。」
それには みんなも驚いた。また目が輝く残りの5人。
ジンマンも一緒に覗きこみながら 合格通知を全部引っ張りだすと
そこには 6人全員の名前が記載されているのだった。
”なぁんだ”とオヒョクは 笑いながら
「6人全員合格だ!!」と告げた。
しかし、”そんな馬鹿な!”と 5人は信じない。
「冗談はよしてください。」と言うサムドン達。
しかし、オヒョクが「ほら!」とみんなに合格通知を見せると
本当に6人の名前があるので 全員、飛び上がって喜ぶのだった。
しかし、ベクヒが ふと疑問に思ってつぶやいた。
「ちょっと待って!出せば 全員受かるんじゃないの?」
するとジンマンが 大声でオヒョクに言った。
「ほらみろ!!俺はアメリカで成功するタイプなのに!!
出せば良かった!!」とマジで残念がるジンマンに
オヒョクは 隣で呆れている。しかし、グクは真面目に
「確かに変だ。俺は条件も満たしてないのに・・・。」
と不思議がる。そしてサムドンも みんなに
「2次オーディションなんて いつ受けたっけ?」と聞く。
そういえば、自分たちは 1次のオリジナルビデオしか
応募していないことを思い出し、不思議に思うのだった。
そして 6人全員のEMGの2次オーディション合格を
オヒョクから聞かされて驚いたのは
6人の事務所の マ社長も同じだった。
「それでは 最終選考まで通過すれば
EMGからCDを出せるんですか?」と興奮して
「さぞ儲かるだろうな!」と高笑いするマ社長。
それを見るオヒョクの目が 軽蔑している。(笑)
それに気がついたマ社長は 慌てて
「いえ、彼らの夢が叶って 嬉しいですな。」と言い直す。
社長の秘書役の 元、子分も嬉しそうに
「では、6人は早速 練習してるんですか?」と聞いた。
「ご心配なく。じっとしている連中じゃないですよ!」
と返事をするオヒョクも 嬉しそうだ。
そう。ヘミ達は それぞれ個人練習に励もうと意欲満々!!
レッスン室の前で 誰が先に練習屋を使うか
6人の熾烈な争いが始まっていた・・・
といっても、ジャンケンで使用する順番を決めようとしていた。
ジェイソンとピルスクが 恋人同士なのは分かっているグクは
「お前たち、グルになるなよ!」と 2人に釘を刺す。(笑)
「勝った人が 先に練習室を使う!」サムドンがそう言い
ヘミの掛け声で「ハイ!ジャンケンポン!!」と
一斉に手を出してジャンケンをすると 勝者はジェイソンだった。
「俺が先に使わせてもらうぞ!」と喜んで立ち上がり
隣のピルスクの手を引っ張って「一緒に練習しよう!」と言った。
うん!と頷くピルスクに「待った!!」とサムドンが大声を出し
ジェイソンに「俺と一緒に練習しよう。」と言いだす。
(これがサムドンの面白いところだ。やる気満々のサムドンは
ジェイソンとピルスクの気持ちを全然理解していない。笑)
すると、冷静なグクが立ち上がって
「個人戦だと言っただろう!!」と3人をたしなめた。
「やり直しね!!」と ベクヒも立ち上がって
また、最初からジャンケンが始まった。
(折角 勝ったのに、ジェイソンは馬鹿だな!笑)
その6人の様子を 後方の渡り廊下で 嬉しそうに
オヒョクとギョンジンが 仲良く並んで見ていた。
「羨ましいわ。」とギョンジンが言う。
「何が?」とオヒョクが聞くと「あの子たちよ。
何をしてても輝いてる。挫折をしてる時さえ・・・
それが あの年頃の特権よね。」とギョンジンが答えた。
するとオヒョクは言う。「世の中は公平なものですよね。
それに気づくのは 僕らの年頃になってからだ。」
「そうね。」と素直に 笑って言うギョンジンに
「お食事しました?」と オヒョクが誘う。
「この時間だもの・・・」”当然しました”と答えるのを
ギョンジンはハッ!!と気づいて、「いいえ。まだよ!」
そう慌てて答えた。するとオヒョクは言う。
「一緒に食事をしましょう。ご馳走します!」
「いいですよ。」と平静を装って言うギョンジン。
「後で電話します!何食べよう・・・」
そう言いながら 去ってゆくオヒョク。
残されたギョンジンは まるで少女のように嬉しそうに
「夕食はまだよ!」と言いながら 可愛い花の髪留めをして
鏡を覗きこんで 嬉しくてニッコリ微笑んだ。
(ああ、やっとこの2人にも 春が訪れたようだ!!笑)
ギョンジンから離れて オヒョクは6人の元へ降りて
「もっと早く練習を始めればいいのに!!」
そう大きな声で近づいて 笑いながら
「お前たちを見て あのオーディションの
意図が分かった!!」と言うのだった。
「どんな意図なんですか?」と聞くサムドン。
すると オヒョクは答える。
「条件が厳しくても 応募するかを見たんだ。
お前たちは その審査に合格したんだ。」
そうか!と笑うサムドンの横で グクも納得した顔をする。
オヒョクは「無謀なまでのチャレンジ精神。
1次審査は それを見たんだ。」と言うのだった。
「じゃあ2次審査は?」と 不思議な顔でジェイソンが聞くと
「それは分からないな。いつの間に審査したのかな?」
オヒョクも不思議そうに言った。
2次審査が いったい いつ行われたのか?
その謎が解ける日がやって来た。
最終オーディションの会場で ヘミ達6人が座っていると
壇上のEMGレコードの責任者を見て サムドンが気づく。
「あの時の記者じゃないか?写真を撮ってた。」
そう言われて 良く良く見れば・・・そうなのだ。
ヘミたちが学校で フラッシュモブを計画してした時に
カメラを手に取材していた あの釣り雑誌の記者だったのだ。
「あの人がEMGの人だったのね。」と納得するヘミ。
「着替えただけで 別人だな。」と サムドンが驚いている。
「あれが面接だったのかな?」とベクヒが言う。
「そうみたいだ。面白いな。」とグクが笑った。
記者の時とは見違える その壇上の男は言った。
「EMGレコードの応募条件は 厳しかったでしょう?
あんな条件にもひるまず、挑戦をしたこと自体
皆さんは 最初の関門を通過したのです。
私達が求めるのは そんな情熱の持ち主なのです。」
それを聞いて 感心してベクヒがヘミに言う。
「本当、カン先生の言うとおりだわ。」
「あの先生もバケモノね。」と ヘミが笑った。
EMGの男は続ける。「2次試験は お気づきですね?」
それがいったい何だったのか?映像は途絶えて分からない。
しかし、最終審査オーディションの開会式が済み
いよいよ始まる オーディションを前にして
ピルスクは また緊張してしまう。
「キリン芸高の入試の時より緊張するわ!」
ギターを抱えて 会場の廊下の隅で固まるピルスクだった。
「2人しか採らないとは 狭き門だな。」
隣で、ジェイソンもいつもと違って 神妙な顔でそう言った。
「選ばれたら すぐにアメリカへ行くのか?」グクが言う。
「そうでしょう。アメリカでCDを出すんだから。」とヘミ。
すると ピルスクは「じゃあ、みんなとお別れしないと
いけないの?」と 寂しそうに言うのだった。
「じゃあ断るか?」と聞くグクに ピルスクは口を尖らして
「行くわよ!それが夢だもの。」と言い返した。
「そうよ!世界最高の歌手になれるかもしれないわ。」
ベクヒは やる気満々でそう言う。するとサムドンは
「世界最高って どんな気分かな?」とみんなに聞いた。
「きっと 怖いもの無しでしょうね!」ベクヒが明るく言った。
しかし、サムドンは自分で答える。「俺はそうは思わないな。
最高は とても孤独で、不安だと思う。」
(このサムドンの答えは ヨンジュンの心のような気がした。)
ジェイソンも「確かに!」そう頷いた。するとグクが
「じゃあ なりたくないのか?」と笑って尋ねる。
すると サムドンはキッパリ「いや!それでもなりたいさ。」
そう笑って答えるのだった。 (格好いいぞ!!サムドン!!)
その2人のやりとりを ヘミは横で黙って聞いていた。
”そうよね。寂しくても不安でも 選ばれたなら行くべきよ!”
ヘミは そう自分自身を言い聞かせていたのかもしれない。
本当は ヘミはこの6人のメンバーから離れたくはなかった。
特にサムドンとは離れたくない・・・そう内心思っていたはずだ。
でも、もう片方の心は”夢を叶える”努力はすべき・・・
そうも思うのだった。それは自分たちに課せられたものだと
この時、ドリームハイのメンバー6人は 全員
そう思って 夢に挑戦したのではないだろうか・・・。
そして 最終審査は開始された。
サムドンは 自作の曲をピアノの弾き語りで歌った。
美しい声で、心を込めて サムドンは歌い上げる。
”僕の夢は 本当に素敵な形をしてた。
あまりにも素敵だから 絶対に掴みたくなった。
だから その夢が叶うまでの時間も 幸せだと思う。”
それは 偽のショーケースの舞台を終えて 興奮して
サムドンが オヒョクに感謝して言った言葉だった。
ピルスクは 得意なギターの弾き語りを披露した。
”私、絶対にあきらめないで 頑張りますから!!”
どうぞよろしく!!!”
それは ハミョンたち面接官に 寿司の着ぐるみのピルスクが
キリン芸高のオーディションで合格した時に言った言葉だ。
その言葉通り、ピルスクは自らの努力で
蛹から 美しい蝶に生まれ変わっていた。
そして、ジェイソンは 学校一と称されるダンスで勝負した。
”俺の番か?・・・俺の番かと聞いたぞ。”
英語で キリン芸高の入試でつぶやいた彼の言葉が響く。
常に自信満々のジェイソン。しかしそれは 隠れた努力に
基づく「自信」だった。彼の努力も半端ではなかったのだ。
そして、グクも得意なダイナミックなダンスで挑む。
”自分の夢に気づくと 他人の夢も尊く見えるんだね。
歌手になるんだ。これは 決して当てつけじゃない。”
キリン芸高で勉強したい気持ちを 父に打ち明けた言葉だ。
グクは ハミョンに見出されて、このキリン芸高へき来て
初めて夢を持てたのだ。そして、その夢を
グクは すでに自分の力で勝ち取っていた。
そしてもっと大きな夢に向かって グクは羽ばたこうとしている。
ベクヒも舞台で 迫力あるダンスを踊る。
”母の夢にカブトムシが出てきたんです。
カブトムシは 天然記念物でしょ?良い夢では?
私は不良品じゃないですよね?
私は 実力で選ばれたんですよね??”
これはキリン芸高に合格した際 ハミョンに言った言葉だ。
ベクヒの努力と根性は 並みではなかった。
どんな困難にも立ち向かう勇気と努力は サムドンにも
負けないものを ベクヒは持ち合わせている。
ヘミは得意な歌を封印して、ダンスを踊る。
(歌手のオーディションなんだから 歌えばいいのに!
ヘミは合格したくなかったのか?とも思う私。笑)
声楽家の夢を捨て、歌手になる夢を選んだヘミ。
”この漫画の続きは??私には・・・分かる気がする。”
そうつぶやくヘミは 何を分かっていたのだろう。
もしかしたら
”一番努力をした人間が 一番大きな夢をつかむはず!”
そうヘミは 確信していたのではないだろうか・・・。
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