2012/10/22 23:03
テーマ:歌姫のひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

呆れてる??

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  12月のクリスマスの仕事へ向けてGO!

  ということで、今日は朝からベルの練習

  で・・・帰りには

  スヒョン・ツアーの前金を送金してきました


  はぁ・・・

  本当に 行っちゃうぞ~~!!(笑)

      ┗( ^ 0 ^ )┛


  



  今日は 夫が代休で朝からゴルフに行って

  夕方前には帰宅したので、義母を早めに迎えに行ってもらい

  先月の夫のコンサートの録画DVDが出来上がって届いたので

  夕食前に 義母と3人で鑑賞しました!!(*^_^*)

  会場が盛り上がった 良いコンサートだったのが

  録画映像からも 凄く伝わったので
  
  義母は コンサートの模様を心から喜んで見てました


  で・・・

  夕食は 夫も義母も大好きな ヒレステーキ

  あはは・・・

  歌姫、めちゃくちゃ2人の機嫌取ってます!!

        (*´艸`)ププ

 

  でも・・・

  今日は言えなかったぁ・・・(>_<)


  ああ ツアーのこと、いつ言いだそうかな・・・

          (^_^;)

 

  



  あれっ??

  ヨンジュン 歌姫に呆れてる??


        (^_^;)


  


2012/10/21 16:57
テーマ:歌姫のひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

悪魔が宿る

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  えへへ・・・

 歌姫って悪い妻と嫁に違いない。

 神様、天国のママ・・・

 こんな歌姫をお許しください!!!

     m(_ _)m


 
 実は・・・

 まだ夫や義母の承諾を得てないのに

 例のスヒョン君のファンミ韓国ツアーを

  
   申し込んでしまった!!!


     (*´艸`*)


 で・・・

 もう心は 韓国へ飛んでいる~


 でも・・・

 夫にいつ白状しようかな・・・

 と悩んでる歌姫です。(-.-)

 


 




 怒られても平気!!


 絶対に行ってやる!! ┗(`へ´)┛


 決心は固い歌姫です!!

 

 まぁ・・・

 いつも言い出したら聞かないのを

 夫や義母は知ってるので(爆)

 機嫌は悪くなるでしょうが・・・

 「行くな!」と鎖で縛られたりしないはず~

 
 事後承諾で 旅行会社から案内が届いたら

 「行ってきますね~

 2人に報告しようかなぁと思ってます。


 ひひひ・・・

 悪魔が宿ってる歌姫なのであった。

 



 
 そうそう・・・

        ↑ 


 スヒョン君もかけてる

 アラレちゃん眼鏡!!

 
 やっぱり 未だに韓国では

 アラレちゃん眼鏡が流行してるみたい。


 





 それにしても・・・

 日本の芸能界で アラレ眼鏡かけてるって

 歌姫は 大村 崑(古~~!!爆)と

 アンジェラアキくらしか思いつかないけど・・・(≧∀≦)

 
 


2012/10/20 11:18
テーマ:キム・スヒョン カテゴリ:韓国俳優(その他)

行っちゃうかもしれない❤

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 ええ~~っ??

 スヒョン君のファンミがある??


       \(◎o◎)/!


      しかも場所はソウル!!


      韓国ツアーで行くファンミ!!

 

 




 

 もう心臓バクバク!!


 だって内容が凄い~!!


  1.参加者全員とのハイタッチ会

  2.ゲームや質問コーナー等トークショー

  3.未公開映像上映

   4.直筆印刷サイン入りポスター1枚付

 






  参加者全員とハイタッチ!!


        (@_@;)


 もう 行くしかない!!!


     と、心は私に訴える・・・!!(-.-)


 
 




 と、まったく同じ内容を

 ここではない場所で書いてる(スミマセン!)

 スヒョンブログにも書いちゃいました~

      (^_^)/



 このツアーは スヒョン君の

 ロッテホテルのモデル就任記念のイベント


 だから当然、宿泊先はロッテホテル


 ★追記★ ホテルはロッテばかりではなく、色々でした!!



 歌姫ね・・・

 行っちゃうかもしれない~

     (*´艸`*)






 だってぇ・・・

 今年は きっと

 ヨンジュンイベントないもんね(笑)


 

 

 


2012/10/19 21:56
テーマ:キム・スヒョン カテゴリ:韓国俳優(その他)

ZIOZIA!!

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 今日は 息子のスヒョン君!!

 
 スヒョン君は サムドンの頃から比べると

    すごく大変身したのよ!!

     \ (*´∀`*) /




 

 昨年、ドリハイイベントで見たスヒョン君と

 今年の特別試写会でのスヒョン君が違ったように

 あれから また2か月過ぎて・・・

 最近のスヒョン君は またまたいい男になった。

 自信が男を磨くのだろうか?

 
 今日は スヒョン君の最新画像を

     ここで紹介しちゃいます~


 
 


 ↑

 ZIOZIAという男子服メーカーの新CM&メイキング

 ↓

 

 


 スポーツウェアやアウトドアメーカーの

 スヒョン君も爽やかで、可愛くて

    いいんだけどね~~


 韓国へ行けば、他にも化粧品や

 飲料水や電化製品や・・・

 ありとあらゆるCMに出演してます!!!




 
 NHKさん!!!

 キム・スヒョン主演の

   『太陽を抱く月』の放送を

 よろしくお願いいたします~~!!


 

 

 


2012/10/18 22:01
テーマ:歌姫のひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

それでいい~♫

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 次男の結納が、来月に迫ってきました。

 「着物を着なくちゃいけませんか?」

 と、先ほど次男の彼女から 電話で質問があって

 「私だって着物なんて着ていかないし

  フォーマル的な感じだったらいいんじゃない?」

 と歌姫。または・・・

 「式の後の食事とか どうすれば?」

 「別に食事なんてしなくてもいいけど

  でも、Hちゃんの家族と何処かで食事しながら 

  お喋りして、仲良くなるのもいいよね。

  その日はどうせ 静岡に1泊するし~

 などなど・・・なんでもいいよ~と、

 ざっくばらんに会話したつもりだけど

 なんでもいいよっていう返事は

 相手は不安になってしまうものだったかな??

 あの返事で、大丈夫だったかな??

 と・・・電話を切ってから不安になってます。

 






 

 次男のお相手、Hちゃんには お父様がいません。

 彼女が大学生になったばかりで

 突然、お父様を事故で亡くされて・・・

 長女であるHちゃんの下には 弟が2人いて

 それまで専業主婦だったお母様は

 それはそれは 苦労されたらしいです。


 歌姫よりも年下なお母様なので

 結納なんてチンプンカンプンで

 ドキドキしているらしいんですが・・・。


 「こちらは長男の時に 

  一応形式で結納という儀式をしたので

  差別しないで 同じようにしてあげたい

  と思ってるだけだからね。

  あんまり難しく考えなくていいよ!」

 と Hちゃんにアドバイスしたんだけど・・・

 分かってもらえたかな??(*^_^*)






 Hちゃんがしっかり者なので

 お母様は 娘に頼って生きてるみたいな感じだから

 これからは Hちゃんの夫になる次男にも

 しっかり頼って、これからは今までより

 少し楽な人生を送っていただければいいと思っています。

 

 なので、またまた

 長男に続き、歌姫の次男は 

 マスオさん的人生になりそうです(笑)

 

 まぁいいさぁ~

 歌姫が呆けたり、夫に先立たれてヨボヨボしたら 

 海の見える素敵な介護施設に入れてくれれば

 それでいい~(笑)

 で、朝から晩まで 好きな韓ドラ観てさ~

 美味しい物食べて ポックリ天国へ行けたら

 それでいい~♫ (*^_^*)


 


2012/10/17 21:15
テーマ:歌姫のひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

そうなの??

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 今日は午後から激しい雨になりました。

 雨が激しくなる前に 帰宅しましたが

 今日は フランス料理教室でした。

 
 その前に 先週の金曜日の

 パン教室での試食のフォト


 


 この日は 甘くて美味しい

 お菓子のようなパンばかりでした

 

 そして、今日のフランス料理は

 教えていただいたのが

 かぼちゃのスープ

 サーモンのポワレ・チュード


 


 

 午後に帰宅すると

 横浜にいるハトコから小包が届いていて

 中身は新大久保で買ったという

 ヨンジュンのシールとヨ・ジング君のお菓子

 あ!!ジング君は歌姫の四男です!!(爆)

 スヒョングッズは 見つからなかったそうで・・・

 まだまだ スヒョン君は日本では認知度が低いんですね。

       (-.-)

 ハトコは今、歌姫の影響で

 『太陽を抱く月』にドップリハマっていて(笑)

 放映後にいつも感激メールをくれます~

       (*^_^*)

 

 

 

 それにしても・・・

 新大久保は人が少なくて驚いたと

 ハトコの手紙にありましたが・・・

    そうなの??(@_@;)


 
 こんな時だからこそ

 民間レベルでは交流したいと思う。

 
 ハトコはそう言っております。


    歌姫も大賛成!!!


 仲良くしたい・・・

 それはきっと みんな同じだと思うもの。


 

 そうそう・・・今日は最後に

 ヨンジュン事務所に迎えてほしい

 名子役 ヨ・ジング君を紹介しちゃう~

  ヨンジュン、よろしく~!!!(^_^)/


     

 

 

 
 

 

 

 

 


2012/10/16 10:31
テーマ:歌姫のひとりごと カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

夢の中で・・・

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 元気なの??


 うん。元気だよ!!


 ふうん・・・

 私は心の中でつぶやく。


 なら、たまには

 「僕は元気です!って 

 表に出て 挨拶くらいすればいいのに・・・


 

 

 仕事はしてる??


 
 してるよ!!

 

 ふうん・・・

 また 心の中でつぶやく私。


 いったい、あなたの仕事って何??

 何がそんなに 忙しいの??

 


 


 


 夢で聞いた その声は

 そっけないような 温かいような・・・

 この世の者では ないような・・・


 

 顔は うつむいて見えなかった。




 
 夢で聞いた その声は

 良く響き渡る 太く 低く

 蕩けるような 美声だった。

 

 


2012/10/15 13:37
テーマ:太陽を抱いた月 カテゴリ:韓国TV(その他)

『太陽を抱く月』第1話(3)

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 こっそり隠月廊の塀を乗り越えて 


 宮殿の外へ出ようとしたことが


 国王である父、成祖の耳に入ってしまったフォンは


 成祖に呼び出されて ひどく叱れていた。


 「宮殿の外が そんなに魅力的なのか?


  一体 何の不満があるのだ!」


 大声で怒る成祖の前で フォンは小さくなって


 「ヤンミョン兄上に会い


  学問を論じたかったのです。」と言った。


 「そなたが論ずる相手は 師匠たちだ!」


 また成祖の大声が飛ぶ。しかしフォンは言い返した。


 「恐れながら、侍講院の授業は楽しくありません。」


 侍講院とは 世子の教育を担当する官庁のことだ。


 「何だと?」成祖はフォンを睨みつけて言った。


 フォンは必死に懇願した。


 「厳しい論争なしに 限界の壁は越えられません。


  疑問も持たずに 世の中を知ることができますか?


  書筵では不可能なことが・・・


  兄上とは可能なのです!」


 フォンの言葉に 成祖は益々声を荒げた。


 「それを言い訳にするのか?」


 フォンは 父の怒りに泣きそうになりながら


 小さな声で言うのだった。


 「他に出る方法がなかったので、塀を越えたのです。」


 成祖の怒りはフォンを越え、周囲に飛んだ。


 「そなたたちは 何をしておったのだ!!」


 フォンの後ろで正座していた臣下たちは皆


 慄いて、成祖に深くお詫びのお辞儀をするのだった。


 フォンは臣下たちに申し訳なくて 涙がこぼれそうだ。


 「輔徳以外の官僚を罷免にし


  書筵は しばし師傅と賓客が受けて持て!!」


 成祖はひれ伏す臣下たちに そう怒鳴った。


 臣下たちは また深々とお辞儀をして了承した。


 そして成祖は 息子のフォンに向かって


 「世子は毎晩 追加で勉強するようにしろ!


  そして今後は 外出する時の同行は許さぬ!」


 と言い、フォンに父との外出も断られてしまった。


 これでフォンは またまた宮殿の外の世界から遠くなった。


 それは 義兄、ヤンミョン君とも遠くなったことを意味した。


 フォンはうなだれて こぼれ落ちそうな涙を堪えた。


 


 その晩。ユン大妃は 部屋で趣味である盆栽を剪定していた。


 そこへ「大妃様。史判様がお見えです。」と女官の声がした。


 史判様とはユン・デヒョンのことだ。


 大妃はデヒョンに部屋に来るように命じていた。


 「ようこそ。」大妃はデヒョンを招き入れる。


 そして盆栽に気が付いたデヒョンに


 「近頃は 盆栽を育てるのが楽しみです。


  いかがですか?」自分の盆栽をデヒョンに見せて


 「枝の曲がり方が 美しく堂々としていませんか?」


 デヒョンに大妃が感想を求める。するとデヒョンは


 「豪快な勢いが そびえ立つ松のようです。」と褒めちぎる。


 しかし、大妃は少し怖い顔つきになり


 「盆栽の妙味をご存じですか?」と尋ねる。


 デヒョンは答えた。


 「苗木を 好みどおりに育てることではないですか?」


 すると大妃は満足そうに笑って そして真顔になって言う。


 「そのとおりです。でも、盆栽は見た目よりも難しいのです。


  時を逃すと望みどおりの形にするのに苦労します。」


 その言葉を聞いて 世子のことを言っているのだろうと


 デヒョンは 鈍いなりに理解して笑った。


 「侍講院が大変な騒ぎだったとか。」と聞く大妃に


 「大々的な人事の異動があるでしょう。」とデヒョンは言う。


 「今こそ世子が 良い師匠に会わなければ・・・


  本当に心配です。侍講官は次の国王を育てる地位ですから。」


 と大妃は言った。するとデヒョンは醜く笑って

 
 「すでに手を打ちました。」と大妃にささやくのだった。


 大妃は「王位を継ぐ世子のためにも


 政治のためにも 一族の役目は多いのです。


 特に史判の責任は重大です!」とデヒョンに念を押した。


 ユン大妃が大事だと思う政治は 国家や民のためではない。
 

 自分の血縁者たちと外戚の繁栄、ただそれだけだった。


 嫌、そのために彼女は王妃となって 


 今は大妃の座に就いたといっても過言ではなかった。


 だから様々な大事な役職には 外戚の者に就かせたかった。


 そして 国王をも自分の意のままに動かしたかったのだ。


 しかし、息子の成祖は外戚をよく思っていなかった。


 成祖は真面目に 国王の責任を果たそうとする誠実な王だった。


 そのためにユン大妃は孫の世子は 自分の思い通りに操りたかった。


 外戚から侍講官を選び、フォンを教育することを望んだのだ。


 
 

 

 

 
 フォンが成祖から叱られたと聞きつけて


 その晩、母の王妃ハン氏は 成祖の部屋にやって来た。


 「殿下、世子の気持ちをご理解ください。


  打ち明けられる友もなく、


  責任と禁忌だけが 強要される生活です。


  ヤンミョン君の入宮をお許しください。


  殿下が婚礼前のヤンミョン君を外に出し


  一切、入宮させないために 世子は寂しさを・・・」


 そこまで言うと、書物を読むフリをして聞いていた成祖が


 急に本を閉じて 怖い顔で王妃を怒鳴った。


 「我儘で国が守れるのか?


  皆 帝王学を学び王位に就いている!


  民を守るべき者が 自分を抑えられなくてどうするのだ!」


 「しかし、殿下。」我が子が可愛くて 懇願する王妃に


 「王妃も下がれ。誰かいるか?王妃のお供をしろ!」


 と成祖は冷たく王妃を拒んでしまった。


 成祖が世子のフォンと庶子のヤンミョン君を差別するのは


 実は国王としてだけはでなく、父親としての愛があった。


 成祖はヤンミョン君が可愛くないわけでは決してなかった。


 ただ、正室が世子のフォンを産んだからには


 兄であっても ヤンミョンが 王にあろうなどという望みを


 決して抱かせてはならぬと思うからだった。


 そんな望みを抱けば 必ず命を落とすからだ。


 昔、可愛い義弟のウィソン君が謀反を起こしたとして


 逆賊として刃に倒れたように


 ヤンミョン君が 同じように逆賊になることがないように


 自分は決して太陽にはなれないのだということを 


 ヤンミョンが小さい頃から


 成祖は徹底して 彼に思い知らせたのだ。


 しかし、そんな成祖の父としての愛は誰にも理解されなかった。


 唯一理解したのが ヤンミョンの母である


 禧嬪パク氏だったかもしれない。


 禧嬪は常に「殿下と世子のために生きよ。」


 そう我が子のヤンミョンに言い聞かせていた。


 それが母として 我が子の命を守るすべだったからだ。

 


 王妃が成祖の寝殿から出てくると 国王の側室である


 禧嬪パク氏が 成祖の寝殿に向かって歩いてきた。


 2人は互いにお辞儀をして挨拶を交わすと


 王妃が禧嬪に「誰も入れるなという王命だ。」と言った。


 「申し訳ありません。」と詫びる禧嬪。しかし王妃は


 「そなたは悪くない。ヤンミョン君は挨拶にも来ないか?」


 と優しく声をかけるのだった。


 「しばし旅に出たと聞きました。」禧嬪がそう言うと


 「殿下が冷たく扱うから 来にくいのだろう。


  入官したら 挨拶に来させなさい。


  東宮殿に寄ってくれたら なおよい。」と言う王妃は


 息子のフォンに兄を合わせてやりたいと思う優しい母だった。


 そして禧嬪とヤンミョンを思う優しい女性だった。

 禧嬪は深く頭を垂れて 王妃を見送った。


 

 


 フォンが自分を恋しがっているとは知らずに


 自由な旅をしていたヤンミョン君。


 野生の雉を2羽仕留めて 肉屋の主に交渉する。


 「土産を買うから 高値をつけてください。」


 店の主は「あんまり見ない顔だが素人か?」と聞く。


 するとヤンミョンは 素直に


 「通りすがりの者です。


  旅費を稼ぎたくて捕まえてみました。」と言った。


 狩りをして旅を続けるというその好青年は 


 あまりにも気品があって、美男子だった。


 「どれどれ・・・」と主は見事な雉を品定めを始めた。


 主がいくらか決めかねていると ヤンミョンの目に


 長い行列が目に入った。店の主に尋ねると 


 8歳の子供が脈も診ずに病気を言い当てると言う。


 「お守りみたいな石があって 万病に効くという噂だから


  みんな群がっているんだ。」と言う店の主。


 万病に効くと聞いて ヤンミョンは微笑んで言った。


 「迷っていたお土産は あれにしようかな。」

 すると・・・


 「星宿庁の国巫、チャン・ノギョンを超える


  子供巫女だ!!名医も驚いた万病を直す神秘の石!!


  限定50個だ!!残り少ないから 番号札を取って!」


 そう大声をあげて 診療所に呼込む男がいた。


 「ください!」と人々は その男に群がって番号札を奪い合った。


 ヤンミョンも 番号札を必死で手に入れた。


 そこへ今では国巫の座に就いているノギョンが 


 お供の巫女を連れて現れる。


 「あれです。子供を利用して 悪事を働いています!」


 傘を被って顔を隠していたノギョンに お付きの巫女が言った。


 「食べ物を与えず、子供が死んだら 別の子供を買い 


  商売を続けています。酒場に売ることもあります。」


 巫女が訴えると ノギョンは「中へ入って確かめよう。」と言った。


 ノギョンが並んでいる人々の横を通り過ぎて


 診療所へ入ろうとすると ヤンミョンが手を広げて前を塞ぐ。


 「ちょっと失礼。番号札をもらいなさい。悪いが私が先だ。」


 そう言ってヤンミョンは ノギョンに番号札を見せて


 門の中へ入って行った。


 ノギョンは外の行列に戻ろうとするが 


 ヤンミョンに すこぶる高貴な気を感じて振り返り


 ”朝鮮の空に 2つの太陽・・・と心の中でつぶやいた。


 そして門の中へ入り もう一度ヤンミョンを凝視して


 彼から放つ輝く太陽の気をノギョンは感じ


  ”2つの太陽”の1つに間違いないと確信する。



 

 


 そのヤンミョンのくぐった診療所の門の中には


 ”神秘の石”と書かれたのれんがかけられ 横の棚には


 様々な石が積まれ それぞれに番号と値札がついていた。


 座敷の縁側に腰掛けた小さな女の子が目を閉じて


 病人を前に座らせて 「肩に邪悪な気が漂っている。


 五十肩だな」などと言って診断すると


 横にいる男が筮竹を振って 怨霊がついているからと言い


 高額な”神秘の石”を患者に買うように勧めていた。


 ノギョンはそれを見て憤慨した。


 ヤンミョンは その巫女という少女を観察して


 これは詐欺だと見破ってしまう。


 患者のフリをした男が 順番を待つ間で


 どこが悪いのか聞きだして 筮竹を持つ男へ合図を送り


 その男が目を閉じた少女の背中に、患者の様子を指で伝えていた。


 巫女役の少女はやせ細り、唇は乾き切っている。


 「イノシシを捕まえる時に 足をひねってしまって。」


 と偽の患者の男に言い わざと足をくじいたフリをして 


 自分の番が来たヤンミョンは 少女の巫女の前へ座った。


 「獣の怨霊に取りつかれ 足に怪我をしたな。」と言う少女。


 しかし突然・・・


 「あ!!おじさんに光が見える!」と言い出した。


 これには後ろで聞いていたノギョンが驚く。


 ”お前にも この方の太陽が見えるのか?”


 「とても綺麗な・・・黄色?紅色かな?」


 少女が目を閉じて ヤンミョンに感じるという光。


 ノギョンは この少女に霊力があることを認めた。


 「光?何の光ですか?」ヤンミョン君も驚いて尋ねた。


 すると「お腹がすいた。」と少女は 本音をもらした。


 すかさず隣の男が少女の足を強くつねった。


 痛がる少女を無視して「災いだ!災いだ!」と男は筮竹を振り回し


 「仙女様のお告げであなたの足は4号で治ると言っています。」


 とヤンミョンに言うのだった。するとヤンミョンは立ち上がり


 「痩せてはいるが、腹は膨らみ腸から変な音も鳴る。


  内臓が悪く、分泌物が減少し、気と血液が足りないぞ。」


 と言った。石を売りつける男は「何を言ってるんだ?」と驚くが


 「飢えと脱力による病気だ!」と ヤンミョンは怒鳴り


 男に向かって「神秘の石 2号で治すか?」と言って


 少女の襟を開いてみると 首には沢山のアザが見えた。


 袖をめくれば 腕にも大きなアザがあった。


 「他にいくつ傷がある?」とヤンミョンが男を責めると

 
 「この子はアザができやすくて・・・」と


 慌てて誤魔化す男の姿を見て


 治療を待って庭に並んで座っていた村人たちが


 詐欺では?と勘づき騒ぎ出した。ヤンミョンは少女に


 「目を開けろ。」と言って 懐から菓子を取り出した。


 その菓子を見て 喜んで菓子を奪い口に入れる少女。


 「馬鹿!バレるだろ!!こらっ!!」男は少女の頭を叩く。


 「だってお腹がすいたもん!」と泣きじゃくる少女。


 これで完全に少女は偽の巫女で 


 神秘の石も偽物で詐欺だったと分かってしまい、


 診療所に支払った金銭を取り戻そうと暴動が起こった。


 ヤンミョンはその隙に 少女を抱えて門まで行き


 そこにいたノギョンに向かって「官軍を呼んでください。」


 とお願いして 今度は少女をおぶって走りだした。


 「おじさん!早すぎて目が回る!」と背中で叫ぶ少女に


 「腹が減ってるからだ。少し我慢しろ!医院に行くから。」


 ヤンミョンは少女に言いながら走り続ける。そして


 「それに”おじさん”はよせ!」とマジで少女に文句を言った。


 そう。ヤンミョン若くして博識があり、聡明な青年だった。


 聡明さは国王の成祖譲りだが、むしろその英明さが


 世子を脅かす存在になりかねないと成祖が懸念し


 ヤンミョン君を冷遇した理由に他ならなかった。


 それにしても 足の速いヤンミョンだったが、


 町の地理を把握している詐欺師の男たちに待ち伏せされ


 少女を奪い取られてしまう。「おじさん!」と泣き叫ぶ少女。


 「助けて!嫌だ!ぶたれたくない!」騒ぐ少女を抱えた男の前に


 立ちはだかったのは ノギョンだった。


 「その子を降ろしなさい!」ノギョンが命令すると


 その後方から 官軍が押し寄せて来る。


 男はそれを見ると 少女を降ろして


 「捕まえろ!」という官軍を背に 大慌てで走り出した。


 残された少女は ノギョンの前で心細そうに泣いていた。





 


 


 一方、詐欺師軍団に囲まれたヤンミョンは


 「私がちゃんと育てるように預けてやる。」と


 詐欺師を説得中だった。


 しかし、詐欺師は「お前のせいで商売は台無しになって


 2度とここへは来られなくなった。」と怒るのだった。


 そしてヤンミョンを殴りつける詐欺師に


 ヤンミョンは笑って「私を怒らせるな。」と言った。


 「俺を怒らせたら もっと怖いぞ、この野郎!」


 今度は蹴りをくらったヤンミョン君。


 「もう一度警告する!私を怒らせたら 本当に危ないぞ!」


 そう言うヤンミョンの首根っこを掴む詐欺師に


 「私の剣術の師匠は 科挙に首席で合格したんだ!」


 と言うのだが 詐欺師は


 「お前の師匠が科挙の合格者なら


  俺の親父は王様だ!馬鹿を言うな!」


 そう言って ヤンミョンを殴りつけ、地面に倒した。


 これで ヤンミョンの堪忍袋の緒が切れた。


 むっくりと起き上がると 優しい顔が一変していた。


 「私は殿下を存じ上げているが・・・」


 そう言って 詐欺師を睨みつけて


 「お前みたいな息子はいない!」と言った途端に


 詐欺師に 豪快な飛び蹴りを入れるヤンミョン君。


 蹴飛ばされた男は 遠くまで吹っ飛んでゆく。


 そう。ヤンミョンの武術の腕は超一流だったのだ。


 大勢の詐欺師軍団は 次ぎ次にヤンミョンの餌食となった。


 あっという間に 全員を倒してしまうヤンミョンに


 詐欺師の親分は恐れおののいた。


 


 
 その晩、ヤンミョンは都まで帰ってきた。


 高台から宮殿の灯を見つめて 彼は父の国王を想った。


 心の中でヤンミョンはつぶやく。


 ”殿下、無事に旅を終え 帰ってまいりました。


  お目にかかり ご挨拶できず恐縮です。”


 そして 自分を慕う可愛い弟のフォンを想った。


 ”邸下も お元気でしょうか?”


 同じ頃、フォンは眠れず 庭で月を見ていた。


 兄に会いたくて ため息をつき 前へ歩けば


 お付きの臣下や女官たちも一緒に 前進した。


 左に歩けば また同じように 金魚の糞がついてきた。


 フォンは嫌になって 振り返り怒鳴る。


 「私は逃げないから 放っておいてくれ!」


 そう言うと 風に吹かれて花びらが舞った。


 ヨヌと出会った時のように・・・。


 フォンは 昼間出会ったヨヌを思い出して 微笑んだ。


 「私が世子だと知ったら 小言が増えそうだ。


  でも・・・もう会うこともないか・・・。」


 そう言って空を見上げると 真っ赤な傘広がって


 木の枝にひっかっかて フォンを見下ろしていた。


 今日、ヨヌと自分を結び付けてくれた赤い傘だ!!


 


 

 同じ時刻。ヨヌは女官から渡された手紙を広げていた。


 ヨヌは書かれた文字を口に出した。


 「画円書方。


  ・・・絵にかくと丸く、文字にすると角張る。


  これは分かるけど・・・卯生酉死。


  兎は生きて鶏は死ぬ?これは何のこと?」


 ヨヌが謎解きに夢中になっていると


 「お嬢様。ソルです!」とお付きの少女が部屋に入ってきた。


 「まだ謎解きを?」と呆れるソルという少女に


 「兎が生き、鶏が死んだらどうなる?」と尋ねるヨヌ。


 ソルは「鶏が死んだら 朝寝坊するのでは?」と答え


 「もうお休みください。旦那様に叱られます。」と言った。

 
 ヤンミョンは夜道をとぼとぼ歩いていた。


 そしてある家の塀まで来ると 周囲を見回し


 微笑むと、軽々と飛んで塀の上に登ってしまった。


 そして塀の中の屋敷を眺めるヤンミョン。


 それはヤンミョンに いつも温かく接してくれる


 師匠とその家族がいる場所だった。


 父の成祖から世子の弟と差別され


 冷たく突き放されていたヤンミョンにとって


 学問以上に 大きな愛を与えてくれた


 ホ・ヨンジュのことを ヤンミョンは父のように


 とても慕っていたし、息子のヨムは大親友だった。


 そして・・・その妹である美しい少女のヨヌも


 ヤンミョン君にとっては 大切な人だった。




 

 
 屋敷をいつまでも眺めていると


 驚いたことに ヨヌが庭に出て来るではないか!


 こんな夜中に何をしている?


 ヤンミョンは息をひそめて ヨヌの姿を見つめた。


 ヨヌはフォンのナゾナゾの手紙を手にしていた。


 夜空に向かって それを広げて透かして見ている。


 ヤンミョンは 不思議がった。


 ヨヌはため息をついて言う。


 「月明かりで隠し文字が見えると思ったのに。」


 と何も変化のない手紙にガッカリするヨヌ。


 しかしふと、ソルの言った


 「鶏が死んだら 朝寝坊するのでは?」


 という言葉を思い出し


 「朝・・・卯の時間。」と頭をひねった。


 そして もう一度手紙を見て つぶやく。


 「卯生酉死。卯の刻に生まれ、酉の刻に死ぬ?」


 卯の刻とは午前5時~7時。


 酉の刻とは午後5時~7時だ。


 ヨヌはハッと思って 地面に枝で絵や字を書いた。


 「絵に描くと丸く、文字にすると角張る。


  卯の刻に昇り 酉の刻に沈む・・・


  日よ! お日様だわ!!日・・・」


 笑顔でつぶやいた途中で ヨヌの顔がこわばった。


 あの時、怒って若君が言いいかけた


 「私を馬鹿にしてるのか?私は我が国の・・・」


 を思い出したのだ。


 「あ・・・太陽!」そう謎が解けたところで


 ヨヌはフォンの正体が分かり、驚いて腰を抜かしてしまう。


 フォンが赤い傘に”もしや また会えるのか?”


 と尋ねて ヨヌに会いたいと思って期待していることなど


 その時のヨヌは 思いもしなかった。
 

 ヨヌは昼間、出会った男の子が世子と知って 


 君主や政治を批判してしまったことを 心から悔やんだ。


 ヨヌは心の中でつぶやく。


 ”邸下。ご存じですか?


  もう会えないということを とても有難く思います。”


 ヨヌは国家君主のことを あれこれ語るのは罪だと思ったし

 
 それを聞いた王の息子である世子は 


 さぞかし 自分のことを怒っているだろうと思ったのだ。


 ただ、もう2度と会えないと思うと
 

 なんだか寂しい気持ちが湧いたヨヌだった。


 暗い顔でうつむくヨヌに 塀の上で見ているヤンミョンは


  ”また会えてうれしいぞ!ホ・ヨヌ!! ”と 


 心の中で叫んで、微笑むのだった。

                    


                                   第1話 完


2012/10/15 12:30
テーマ:太陽を抱いた月 カテゴリ:韓国TV(その他)

『太陽を抱く月』第1話(2)

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   望みどおりに生まれた我が子。

 
 それはそれは 月のように輝く可愛い女の子だった。

 
 その娘を愛おしそうに胸に抱きながら 貞敬夫人は言った。


 「本当に月のように可愛いわ。ヨム。あなたも妹が可愛い?」


 ヨムと呼ばれた幼い子も それはそれは可愛い男の子だった。


 ヨムは生まれたばかりの妹の顔を覗き込んで 微笑んで言った。


 「はい。とても可愛いです。」


 貞敬夫人は満足そうに娘を見つめて、幸せそうに言うのだった。


 「赤ちゃん。あなたは煙雨(ヨヌ)。許煙雨(ホ・ヨヌ)よ。


父上が明の国へ行かれる前に名前をつけてくれたの。気に入った?」


 ヨヌと名付けられたその子は 母親の問いかけに可愛い笑顔を見せた。


 夫人もヨムも そのあまりにも可愛い笑顔に 


 またまた頬が緩むのだった。


 そのヨヌと呼ばれた娘こそ アリが行く末を心配し、


 ノギョンに守るように頼んでいた女の子だとは

 
 貞敬夫人も誰も 知る由もなかった。

 

 ヨヌの生まれた晩。


 ノギョンは こっそりアリの墓参りをしていた。


 八つ裂きにされたアリの体を集めて 墓に葬ったのはノギョンだった。


 突然、アリの最後の言葉が響いた。


 「私の代わりに 守って欲しい子がいるの。」


 ノギョンは途方に暮れながらふと天を仰ぐと 満月が輝いていた。


 ”月のような女の子よ。”アリがそう囁いた気がした。






 

 それから年月は流れ・・・ 


 宮殿では放榜礼のために 大勢の者が準備に忙しく働いていた。


 放榜礼とは 科挙の合格者が 


 国王から褒美を受ける華々しい儀式である。


 そんな中「ここにあった赤い傘と椅子はどこへいったんだ?」

 
 といぶかしげな声がした。


 「大変です!!お菓子がなくなりました!!」

 
 慌てる女官の声もする。


 「ここにあった油紙はどこだ?」

 
 なにやら 式典で使われる様々な物が


 いくつか消えてなくなっているようだ。

 
 嫌、消えていたのは物だけではなく・・・


 実は国王成祖の次男、王世子のイ・フォンも消えていた。

 いつものように 内官のヒョンソンが


 「邸下。昼の講義の時間でございます。」と言うが


 世子の部屋の外から合図するが応答がない。


 「遅れていますので 急いでお召し物を・・・」と言いかけて、


 ヒョンソンは嫌な予感がした。


 もしや、また悪い癖が!!そう思って 


 フォンの部屋を覗いてみれば そこはもぬけの殻だった。


 式典用の傘や椅子、菓子などを盗み出したのは 


 悪戯好きの王世子、フォンだった。


 フォンはこっそり使われていない宮殿の部屋に隠れて、


 世子の衣装を脱ぎ捨て、翼善冠も頭から外し


 頭巾を被って平服に着替えた。


 そして油紙に書かれた宮殿の地図を広げた。


 そして隠月廊を確認すると、


 まとめてあった荷物を 鞄に詰めて背負い 


 フフッと微笑むフォン。


 その明るい微笑みは まるで太陽のように眩しかった。



 

 


 一方、宮殿の外では 

 
 輿に揺られて到着した高貴な夫人とその娘がいた。


 貞敬夫人と娘のヨヌだった。

 

 ヨヌは宮殿に到着したのも気が付かず、


 輿の中で本を読みふけっていて なかなか出て来なかった。
 

 「本を読んで酔わないの?急ぎなさい。ヨムの晴れ姿を見逃すわ。」


 ヨヌを促し、輿から手を引いて連れ出す貞敬夫人。


 夫人は月のように輝くほど美しい娘を たいそう可愛がっていた。


 そして娘と同じく美しいその兄、ヨムもまた、


 夫人にとっては愛する自慢の息子だった。


 今日はそのヨムが 放榜礼で科挙の首席合格として


 国王から直々に褒美をいただくことになっていた。


 科挙・大比科には文科と武科に分かれており、


 文科では学問を武科では武術を習う。


 文科の首席合格者が許炎(ホ・ヨム)が、ヨヌの兄。


 武科の主席合格者は金題雲(キム・ジュウン)という


 これまた美しい好青年だった。

 
 賢く優しく美しいヨムと凛々しく美しいジュウンは同じ歳で、


 この美しい若者が並んで座る姿は 誰もが見とれてしまうほどだった。


 そして、国王が主催のこの式典には臣下たちも勿論、列席した。


 ユン大妃の命でウィソン君の暗殺を成功させたユン・デヒョンは


 大妃の後ろ盾で”史曹判書”という高い位について、

 
 下品な顔に似合わない高貴な衣装で参加していた。


 その横で上品な穏やかな顔で列席しているのが 


 ヨムとヨヌの父、”弘文館 大堤学”のホ・ヨンジュだった。


 学問を積み、知識が豊富で誰にも公平で、


 穏やかなヨンジュは 君主、成祖の絶大な信頼を得ていた。


 デヒョンは内心面白くなかった。


 ホ・ヨンジュの息子が主席となれば 彼の株がまた上がる。


 成祖が益々ヨンジュを大切にするのではないかと懸念したからだ。


 中身がなく、ただ大妃の後ろ盾だけで出世した


 野心だけは大きなデヒョンにとって 


 ヨンジュは大きな大きな壁だった。




 

  式典の準備が整い、王のお出ましとなる寸前に 


 母の貞敬夫人に連れられて走って会場入りしたのはヨヌだった。


 式典が始まる直前に ヨムは横に並んだ武科主席のジュウンを見た。


 ジュウンもヨムと目が合って、二人は笑顔で軽く会釈を交わした。


 この二人は同じ師(ヨンジュ)に学んだ学友で、

 
 実はとても親しい仲だった。


 お互いにそれぞれ 主席で合格できたことを喜びあっていたのだ。


 母はヨムを見つけて 嬉しそうに


「あそこにヨムがいるわ。」とヨヌに小声でささやく。


 ヨヌも すました顔の兄を見つけて嬉しそうに微笑んだ。


 ヨヌにとって、ヨムは大好きな自慢の兄だった。


 そして、この二人は互いを尊敬しあう 本当に仲の良い兄妹だった。

 「息子には負けるけど ウンもいい顔をしてるわね。」 貞敬夫人が言う。


 「ウンて誰?」とヨヌが聞く。母は「あなたは初めて見るわね。」と言って


 「あっちに座っているのがウンよ。

  ヤンミョン君と一緒に父上の下で学んだの。


  2人ともヨムとは大の仲良しよ。」と言って説明する。


 「文武科の首席合格者が父上の教え子だから 盛大にお祝いしましょう。」


 そう言う母の横で「また倉がからっぽになりますね。」横でヨヌが笑った。


 それには母もつられて 声を出して笑うのだった。


 その笑い声が届いたのか、ヨムが気が付いて 2人に微笑んだ。


 美しい3人親子の微笑む姿は 

 式典の参列者の中で際立って輝いている。




 
 

  さて、放榜礼とは別に 普通通り行われる世子の講義。


 内官のヒョンソンは 世子のフォンの姿が消えてしまったことに


 大慌てで宮殿を探し回っていた。


 ヒョンソンは警備の禁軍兵士たちに命令する。


 「昼食を下げたばかりだ。まだ宮中にいらっしゃる!


  殿下のお耳に入ったら 我々は厳罰を免れないぞ!


  早く探すのだ!!」


 ヒョンソンは生きた心地がしなっかった。


 そこへ「殿下のおなり!!」と 宮殿中に大声が響いた。


 「ひれ伏せ!」と命じる声がして 国王成祖が輿に乗って登場した。


 放榜礼の参列者は みな地面にひれ伏して君主の成祖を迎えた。


 優美な雅楽が響く中、「敬意を表して礼を尽くせ!」と声がして


 成祖は玉座へ堂々と向かう。参列者は深々とお辞儀をした。


 ヨヌも礼儀正しく地面にひれ伏して、お辞儀をしている。


 しかし、そのヨヌの頭上を可愛い黄色の蝶が飛んでくる。


 その蝶はまるでヨヌに「こっちよ!」と誘うように


 ヨヌの周りでヒラヒラ揺れた。


 ヨヌはその蝶が気になって仕方がない。


 突然、蝶は空に舞い上がり 「こっちよ!」と飛んで行った。


 


 

 


 一方、ヒョンソンの目を盗んで、部屋を脱出し


 隠月廊の塀から宮中から出ようとしている世子フォン。


 隠れていた隠月廊の扉を開け、外を覗くと誰もいない。


 しめしめと外へ出れば 太陽がまぶしい。


 「日焼けはいかん!」とつぶやいたフォンは


 盗んで用意していた真っ赤な傘を広げた。


 そして満足そうに 堂々と隠月廊の庭を歩いた。

 


 
 その頃、科挙の入学の式典では 


 主席合格者の表彰が発表されていた。


 「文科 首席合格者 ホ・ヨム!


  武科 首席合格者 キム・ジュウン!前に出よ!!」


 成祖は微笑んで 美しい2人の青年を見つめていた。


 それから成績の順に合格者が呼ばれる中、国王の前で

 
 自分の息子と教え子の名前が真っ先に呼ばれたヨンジュは


 今日ほど嬉しく晴れがましいことはないと思っていた。


 そのヨンジュを妬ましく見つめているのは デヒョンだった。


 デヒョンには息子はいなかった。


 いたとしても、ヨムのような優秀な息子であるはずもなかった。


 しかし、野心家で強欲なデヒョンは 


 ヨンジュが成祖に気に入られていることが面白くない。


 私利私欲をただ肥やしたい一心で 出世がしたいデヒョンと

 
 正しく清く生きて 多くの民に幸せをもたらす世にしたいと


 息子や教え子たちに 世のために働いてほしいと心から願い


 君主に仕えるヨンジュとは 天と地ほどの差があったのだ。


 そして華やかな入学の式典は順調に進む中、


 貞敬夫人は夫のヨンジュが


 息子を目を細めて見つめているのに気が付いた。


 「父上を見てごらんなさい。嬉しそうだわ。


  ほら、口角が下がっている。


  あれは 嬉しさを我慢している時の顔よ!」


 娘のヨヌにそうささやく貞敬夫人だったが、ヨヌの反応がない。


 あら?と思って隣のヨヌを見ると 姿が見えない。


 ヨヌはどこへ行ってしまった?


 貞敬夫人は 急に青ざめるのだった。




 
 


 母の隣で式典を見学していたはずのヨヌは


 黄色い蝶に導かれて 宮中を一人で歩いていた。


 なぜ、こんなに何もかも忘れて蝶を追いかけたのか


 後から思い返しても ヨヌには答えが出なかった。


 "ただ、蝶が自分を誘ったのだ。


 あのお方との縁を結ばせるために・・・。"

 ヨヌは美しい微笑みを浮かべながら


 可愛い黄色の蝶を追いかけた。


 蝶は 隠月廊へ向かって飛び続けた。


 隠月廊では フォンが塀に梯子をかけて


 宮殿を脱出するところだった。


 片手で赤い傘を持ちながら 慎重に梯子を上るフォン。


 一番上までようやく上ると 塀の外の景色が見えた。


 ようし!!と思って 塀を乗り越えようとした時


 突然、隠月廊の庭の木戸が開く音がした。


 ギョッ!!と思って 振り向けば そこに現れたのは


 フォンが予想したヒョンソンや兵士の姿ではなく


 蝶を追いかける 花のように美しい少女だった。




 


 

  そう。それは 式典を抜け出したヨヌだったのだ。


 その美しさ、可愛らしさといったら言葉にならないほどだ。


 フォンは ヨヌに思わず見とれて 釘づけになった。


 ヨヌはフォンがいることなど知らずに 蝶に夢中だった。


 蝶は隠月廊の庭をヒラヒラ舞って、塀の外へ飛んで行った。


 ああ行ってしまった!と思ってふと我に返ったヨヌは


 塀を乗り越えようとしているフォンの姿に気が付いた。


 ヨヌとフォンが目が合って、しばらく互いに見つめ合った。


 ヨヌの驚いた顔もまた、フォンには可愛く見えた。


 しかし、脱出するはずだったことを思い出したフォンが


 マズイ!!と思った瞬間に 体制を崩して梯子の上から


 ヨヌに向かって 真っ逆さまに落ちてしまった。


 しかし、咄嗟に 運動神経の良いフォンはヨヌを庇って


 自分の腕の中にヨヌを倒れこませた。


 その時、フォンの持っていた赤い傘が 天から


 花びらと共に 2人の上に舞い降りた。


 傘は倒れて気を失った2人を隠すように
 

 まるで相合傘のように フォンとヨヌを包んだ。


 それは 天が2人の縁を固く結んだ瞬間だったのだ。



 


 

 そして 優しい風が花びらと傘を吹き飛ばすと


 2人は同時に目を覚まして 見つめ合った。


 フォンもヨヌも 親兄妹以外に こんな近くで


 異性と向かい合ったことはない。


 2人の胸の鼓動は高鳴り、慌てて立ち上るフォンとヨヌ。


 そしてお互いに また目を合わすと


 すぐに反らして 恥ずかしそうに2人は下を向いた。


 フォンは1つ咳払いをして 気持ちを落ち着かせてから


 「見たところ 女官ではなさそうだが


  どうやってここへ入った?」とヨヌに尋ねた。


 ヨヌは即座に「そういう若君は なぜ塀を


 乗り越えようとしていたのですか?」と聞き返した。


 するとフォンは 怒って言った。


 宮中には 自分に言い返す者など


 国王の父以外にはいなかったからだ。


 「生意気な!!質問は私がする。早く答えよ!


  宮殿への無断侵入は大罪なのだぞ!!」


 ヨヌはひるまずに答えた。


 「私は文科に首席合格者した兄上の放榜礼に参りました。」


 するとフォンは鼻で笑って「信じられるか!」と言った。


 「信じないのは勝手ですが、


  泥棒を見過ごすわけにはいきませんから!


  今、禁軍を呼びます!」


 ヨヌにそう言い返されて 慌てるフォン。


 禁軍の元へ行こうとするヨヌの腕をつかんで


 「禁軍とは何だ!泥棒だと?」とフォンはまた怒った。


 しかしヨヌは フォンが地面に落とした鞄を 


 ほら!というように見た。
 

 ヨヌはその鞄の中には盗品が入っていて


 フォンを 宮殿を逃げ出す泥棒に違いないと思っていた。


 「出口を探していたのだ。」とフォンが言い訳をした。


 「私も兄上が文科に首席合格して・・・」と言いかけ


 ヨヌがいぶかしげな顔をするのを見て 


 しまった!文科はヨヌの兄だったと思い出し


 「武科に合格したから 放榜礼に出席を・・・」と言い直し


 鞄を拾い上げると 中から盗んだ菓子などが転がってしまう。


 ほら見たことか!とヨヌは フォンを睨んだ。


 フォンは激しく動揺し「こ・・・これは だから その・・・」


 言葉に詰まりながら「これは兄上が殿下から・・・」


 と必死で フォンが誤魔化そうとする途中でヨヌは叫んだ。


 「誰か~!!泥棒ですよ~~!!隠月廊に・・・」


 隠月廊に泥棒がいると言おうとしたヨヌの口を


 フォンは慌てて手でふさいだ。


 ヨヌの声を聞きつけた禁軍の兵士たちが


 「何者だ!」と言いながらやってくる。


 絶体絶命!!のフォンだった。

 フォンはヨヌを憎らしげに見ると


 ヨヌの手を取って 隠月廊から逃げ出した。


 フォンは決してヨヌの手を離さなかった。


 どんどん宮殿の庭を走って 禁軍から逃げ出した。




 

 

  禁軍からはるばる逃れて 遠くの庭までやってくると


 フォンはヨヌの手を離して 怒って言った。


 「お前のせいだ!お前がいなければ 走ることもなかった!」


 ヨヌも怒った。「さっきから失礼ですね!」


 フォンは「年下だから当然だろ!」と言い訳をした。


 まさか、自分が世子だとは明かせない。


 「年下だと断言できますか?若君のお年は?」


 ヨヌも負けずに言い返す。頭の回転の良いフォンは


 「お前の歳から2つ引いてみろ。」とヨヌに言った。


 「では11歳ではありませんか!だから・・・」


 ヨヌが言いかけると フォンは得意そうに


 「ほらみろ!私のほうが2つ上だ!」と胸を張った。


 ヨヌは悔しくてそっぽを向いて、フォンから離れようとした。


 するとフォンは慌てて「待て!何処へ行く?」と


 ヨヌの手をまた握って、捕まえた。ヨヌは怒ったまま


 「先ほど話した禁軍に・・・」と言いかけると


 フォンが遮って言う。「言ったではないか!私は泥棒でなく


  武科に首席合格した兄・・・」と言かけると


 今度は ヨヌが怒って遮る。


 「口を開けば 人のせいにして嘘をつく!!


  武科の首席合格者は兄の親しい友人で


  弟はいないと聞きました!」そうヨヌは言い切った。


 しかし本当はキム・ジュウンには 弟がいないなどということは


 ヨヌは知らなかった。賢いヨヌはフォンが嘘をついていることを


 確かめるために 自分もよく知らないジュウンのことを


 そう言ってみせたのだが、これにフォンはまんまと引っかかった。


 「そ・・・そうなのか?弟はいないって?」


 おどおどして、ヨヌに聞き返す。


 ヨヌはやっぱり フォンを嘘つきで泥棒だ!と思って


 禁軍を呼ぼうと背を向けた。するとフォンは


 またヨヌの手を握って「そうか!分かった!」と観念した。


 「正直に話してやる。」そう言うと腰を下ろして話し出すフォン。


 「今さら隠しても仕方ない。実は・・・兄上に会いたかったんだ。」


 ヨヌは呆れて「また武科の首席合格者だと言うんですか?」と言う。


 「いや。そうではない!」フォンは強く言い返すと


 深くため息をついてから 悲しそうな顔になって話し出した。



 




 「私の兄上は 母親が違っても 誰よりも温かい人だ。


  文武に長けていても 科挙を受けられない人だ。


  国を支える人材だが、出世はできないんだ。


  父上を敬っていても 父親の愛を受けられない。


  大勢に愛されているが 大勢の前に出られない。


  そして、そうするしかないのは 私のせいなんだ。


  父親の目を恐れてか、兄上は私に会おうとしない。


  だから、私が兄上に会おうとしたんだ。


  これで分かったか?」


 ヨヌはいつの間にか フォンの隣に座って


 フォンの話に素直に耳を傾けていた。


 ヨヌはフォンの話を理解して 優しく言うのだった。


 「自分を責めないでください。」


 フォンは驚いて「えっ?」と聞き返すと、ヨヌは言った。


 「若君が嫡子であることも 兄上が庶子であることも


  自分では決められません。


  ですから 自分を咎めることではありません。」


 ヨヌに今まで責められてばかりのフォンは 


 優しい言葉を急に ヨヌの口から聞いて戸惑った。


 「さっきは口を開けば 人のせいにすると言って


 叱ったではないか!」とフォンはヨヌに言う。


 すると美しい顔で 透き通ったヨヌの声が横で響いた。


 「君子は天を恨まず。人を咎めません。」


 フォンは驚いた。「論語を読んだのか?」


 「そして農夫は畑を咎めず。楽工も楽器を咎めません。


  問題は自分にあり 相手にあるのではありません。


  若君を大事にしてくれる温かい方なら


  たぶん、弟を咎めないでしょう。


  ですから、若君も自分や人を咎めないでください。」


 ヨヌの言葉は フォンの心を温かく満たした。


 しかも 理にかなった説明で フォンは納得できた。


 今まで思い悩んでいたことが 明るく吹き飛んだ気がしたのだ。


 ヨヌは話を続けた。


 「それに嫡子庶子の問題は 殿下が解決すべきです。


  人材が埋もれ 兄弟が疎遠になる制度は


  正す必要がありませんか?


  朝鮮の法は理解できないものが多いです。


  同じ人間なのに 貴賤があるのもそうですし・・・


  父上がよく女が書物を読むのは


  法に反すると言いますが・・・」


 フォンは 自分より年下の女の子なのに論語まで勉強し


 ましてや国政まで論じられるような


 ヨヌのような 聡明な女性に出会ったのは 


 生まれて初めてだった。


 フォンは 口をポカンと開けてヨヌを見ていた。


 それに気がついたヨヌが あっ!と口を手で押さえた。


 女だてらに殿下や政治を批判してしまったのだ。


 ヨヌは困った顔をした。フォンはそれを見ると呆れた顔で


 「つまり・・・殿下の政治が間違っていると言いたいのか?」


 とヨヌがあまりにも可愛いので からかった。


 すると、ヨヌは慌てて


 「いいえ・・・そうではなくて。」と口ごもる。


 困った顔のヨヌもまた それはそれは可愛かった。


 フォンは立ち上がって、わざと意地悪そうに


 「今度は私が禁軍に行かねばならないな。」と言った。


 ヨヌはフォンの腕をつかんで


 「お待ちください!」と懇願した。


 「では どうすればいいかな?」と面白そうにヨヌを見るフォン。


 「あの・・・今日言ったことは 聞かなかったことに。」


 と言うヨヌに フォンは笑って


 「では 私が泥棒でないことも分かったか?」と言った。


 しかしヨヌは「いいえ。」と言う。


 「何でだ?何が問題だ?」と驚くフォンに ヨヌは言った。


 「さっきの荷物はどこから持ってきたのですか?」


 するとフォンは「私の物だ!すべて私の物だ。分かったか?」


 と言うのだが ヨヌは納得しなかった。


 「あれはすべて高価で珍しい物でした。


  若様が持てる物ではありません。」


 ヨヌにそう言われて フォンは怒りだす。


 「大目に見てやったら 調子に乗って!


  私を馬鹿にしているのか?私は我が国の・・・」


 世子と言おうとして フォンはためらった。


 王世子たるものが 塀を乗り越えて


 宮殿を抜け出そうとしたなどと知られては


 マズイと思い直したからだ。それで結局、仕方なく


 「私は我が国の・・・内侍だ。」

 
 と 言ってしまったフォンだった。







 

 その頃、宮中では 放榜礼の儀式が滞りなく済み


 いなくなった娘のヨヌを心配した貞敬夫人が


 泣きそうな顔で禁軍の兵士に訴えていた。


 「いなくなってから2時間は経つ。


  奥には行ってないから 宮中にいるに違いない。


  何としても見つけてちょうだい!」


 そう言う夫人の目の先に 突如・・・ 


 ヨヌが男の子と並んで歩いて来る姿が飛び込んでくる。


 ヨヌは内侍だというフォンに


 「教えてください。高価な物が買えるほど


  禄が高いのですか?」と質問して歩いていた。


 貞敬夫人は安堵して ヨヌの方へ走って叫ぶ。


 「ヨヌ!」母の声がして気が付いたヨヌは


 「母上!」と言って、自分も母の元へ急いで駆け寄った。


 貞敬夫人はそれは嬉しそうに ヨヌに走り寄って


 「どこにいたの?」とヨヌを胸にしっかりと抱きしめた。


 貞敬夫人の後ろから走ってくる兵士に向かって


 今度はフォンが駆け寄った。そしてお辞儀する兵士に


 「黙っていろ!」と口を開かないように命令した。


 「ずいぶん探したのよ!」心配していた貞敬夫人は


 ヨヌが無事に戻ってきた嬉しさが勝って


 ヨヌを叱るのではなく、優しい笑顔で娘を迎えた。


 それだけ深くヨヌは母から愛されていたのだ。


 フォンはそんなヨヌを横目にして 凄い形相で


 「ひと言も話すな!絶対にだぞ!


  口を開いたら処罰する!!」と兵士を脅した。


 ヨヌは禁軍の兵士を見つけて「すみません!」と声をかけ 


 フォンのことを言いつけようとするのだが フォンは


 「罪を認めて 禁軍に自白した!これでよいか?」と


 ヨヌに確認する。まだいぶかしげな顔のヨヌ。


 「ああ・・・盗んだ物はすべて隠月廊にあるから


  今から一緒に行こう!」と兵士に言うと


 困った顔で口をつぐんだ兵士を引きずって
 

 フォンはヨヌから逃げるように去って行った。


 あっけにとられている間に フォンの姿は見えなくなる。





 

  それから ヨヌが母親と一緒に宮殿の門を出て


 輿に乗って帰ろうとしていると 門の中から


 一人の女官が慌てて走って来て、ヨヌを呼び止めた。


 「これを渡してほしいと頼まれました。」


 そう言って、女官は小さな包みをヨヌに差し出す。


 ヨヌが驚いて「誰がですか?」尋ねると 女官は


 「”隠月廊の若様”だとおっしゃいました。」と言う。


 ヨヌはすぐにフォンのことだと気が付いて


 「ああ、あの内官様ですね。


  ところで何ですか?」と包みの中身を聞くヨヌ。


 それは フォンがヨヌにしたためた手紙だった。


 「話したいことは多いが 話せないのが辛く


  考えるほど腹が立ち 悔しいと伝えろ!」


 と言いながら書いた手紙には ナゾナゾが書かれていた。


 「賢い子なら 意味が分かるだろう。」


 そう言ったフォンの言葉を そのままヨヌに伝える女官。


 「その他には?」と質問するヨヌに


 「夜道に気をつけろと言え。」と言ったフォンの言葉を


 伝言する女官に ヨヌは嬉しそうに微笑んで言った。


 「心配してくれるなんて 悪い人ではないんですね。」


 そしてヨヌは手を伸ばして フォンからの手紙を受け取る。


 そして女官に微笑んでお辞儀をすると


 ヨヌは楽しい思いをした宮殿から離れるのだった。


 そう。ヨヌはフォンを世子とは夢にも思わずに


 しかし、品の良い男の子を悪い泥棒とも思えずに


 ただ思う存分、兄ではない男の子と


 初めて言いたいことを言い合って 


 とても面白かった時間を過ごしたと・・・


 この日の出来事は ヨヌの胸に深く刻まれたのだった。

 

                                    つづく


2012/10/15 11:38
テーマ:太陽を抱いた月 カテゴリ:韓国TV(その他)

『太陽を抱く月』第1話(1)

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   「太古の昔。空には太陽が2つ。


  月も2つあったそうです。


  そのため 昼は暑すぎて、夜は寒すぎました。


  天地の万物が混乱し、民が苦しみにあえいでいた時


  不世出の英雄が現れ、太陽と月を1つずつ弓矢で射落とすと


  ようやく平和が訪れたと言います。」


 朝鮮国王の母であるユン大妃は その権力を誇示していた。


 大妃の親族である外戚の政治家もまた、大妃の後ろ盾をいいことに


 国王の目を盗んで、好き放題な悪行をふるっていた時代。


 ユン大妃は一族の中でも特に野心家の政治家の


 ユン・デヒョンを 部屋に招き入れ、


意味深な太陽と月の昔話を聞かせながらお茶を出した。


 大妃はまずお茶を一口含み、

  ユン・デヒョンを正面に見据えて言葉を続けた。


 「同じように 乱世には英雄が必要です。違いますか?デヒョン?」


 ユン・デヒョンは いぶかしげな顔で大妃を見つめた。大妃は言う。


 「異腹の弟も 血縁だからと主上は ウィソン君を甘やかしすぎました。


  ですからウィソン君を国王に推す輩が現れるのです。


  それなら仕方がありません。

    英雄が現れるのを呑気に待てないのです。」


 鈍いユン・デヒョンは困った顔をして 大妃に言う。


 「恐れながら大妃様。お言葉の意味が分かりません。」


 するとユン大妃は「英雄になりなさい!忠臣になるのです。


 主上の立場を察して あなたは功臣になりなさい!


 天に太陽は1つ。大殿に国王も1人。


 ウィソン君はその存在自体が国王の威嚇となる・・・

 
 必ず落とすべき太陽なのです!」





 

 先の国王の正妻であったユン大妃は 我が子、国王成祖の未来を脅かす


 側室の子である優秀なウィソン君の存在を 疎ましく思っていた。


 野心家であるユン・デヒョンなら 自分の申し出を断らないだろうと思い、


ユン大妃はデヒョンに 成祖の腹違いの弟の

ウィソン君の暗殺を命じたのだ。


 ユン大妃の願いを叶えれば 


政治家としての後ろ盾を得られると思うユン・デヒョンは 


命令通りにウィソン君の暗殺を企て、実行する。









  
 それは満月の夜のことだった。

 まず、真夜中にウィソン君の家の柱に

 
 国王になる祈願の札を張り付け 次に庭を掘り起し、


 嘘の謀反に関する書を埋め、ウィソン君の寝室へ向かう刺客軍団。


 しかし、武道にも長けていたウィソン君は 

 すぐに身の危険を察知して刀を抜いて、刺客たちに立ち向かった。


 その時、ウィソン君の危機を感じて目覚めた巫女がいた。

 ウィソン君を密かに慕うアリという名の巫女だった。


 慌ててウィソン君の元へ行こうと 着替えを用意するアリと

 一緒に寝ていた巫女のノギョンは 驚いて声をかけた。


 「何があったの?こんな夜中にどこに行くの?」


 すると「感じなかった?間違いなく殺気だった!」と言い


「あの方が、あの方が危ない!」と、アリは夢中で夜中に

 行くなと制止するノギョンを無視して ウィソン君の元へ走った。


 走るアリの後を追いかけるノギョンは、突然霊気を感じて足を止めた。


 明るい満月の晩、邪悪な気が満ちていて

 ノギョンは不吉なことが起きると予感する。

 



 


 自宅の屋敷の庭で 黒装束の刺客軍団に立ち向かうウィソン君。


 剣の腕のたつウィソン君には 刺客たちも、なかなか仕事が果たせない。


 しかし、多勢に無勢で やむなく刺客の剣に倒れていまったウィソン君。


 背中を切られ、膝を地面に付いたウィソン君に

 近づいて声をかけたのは ユン・デヒョンだった。


 「お久しぶりです、ウィソン君様。」


 デヒョンを見て、ウィソン君は言った。


 「うちに しつこく来ていた者か。私を後ろ盾にしたがっていたのに、


  方法を変えたのか?それとも、他の後ろ盾を見つけたのか?」


 すると ユン・デヒョンは笑いながら言う。


 「見つけましたとも。今後は国王を後ろ盾にするつもりです。


  おっしゃいましたな。”近頃は猫も杓子も権力を狙う” 


  ”政治は君子が行うもので、猫や杓子には出来ぬ”と。」


 血にまみれたウィソン君は、それを聞いて激怒して言った。


 「偽の謀反ごときに騙される殿下ではない!

  殿下が誰の言葉を信じると思う?」


 しかし、笑いながらデヒョンは言葉を返した。


 「残念ですが、もう殿下には会えませんぞ。

 その前に、あの世に送りますから。」


 デヒョンは醜い笑い顔で、腰から剣を抜き、


 「ご安心ください。

 一番の友達である大司憲様が、先に行って待ってますから。」と言った。


 デヒョンは国王、成祖も友人のように信頼している

 大司憲をも謀反人に企てていたのだ。


 腹違いでも仲が良く、優秀な弟のウィソン君を

 誰よりも信頼していた国王、成祖。

 成祖にウィソン君の殺害を納得させるには 


 ウィソン君と仲の良い大司憲が共謀して 成祖を裏切り

 謀反を企てたという理由を作り上げる必要があったのだ。


 大司憲、チョンアムはデヒョンが命じた刺客に 首を吊られて殺害された。


 それは自殺と見せかけるもので、偽の遺書までしたたかに用意した。


 「チョンアムが何をしたというのだ!!」ウィソン君は益々激怒した。


 デヒョンは言う。「忠言だと上奏する内容は 外戚のことです。


 大妃様がご立腹なのも 無理はありません。」


 怒りに立ち上がり、デヒョンに剣を向けたウィソン君だったが、

 
 深手を負っていたウィソン君を仕留めるのは 簡単なことだった。


 デヒョンは大妃の言う英雄になるために、

 自らの剣で ウィソン君を切った。


 その一部始終を ウィソン君の危機を感じてやってきたアリが

 塀の外で目撃してしまう。


 叫びそうになり、慌てて口を手でふさぐアリ。


 ウィソン君を殺害したデヒョンは アリに気づかず

 「今日は良い日だ。」とつぶやいた。


 「月明かりがお供すれば、墓場への道も寂しくないだろう。」


 そう言って、ふと塀を振り返るデヒョンの目に、震えるアリの姿が映った。


 「追え!!」慌てて叫ぶデヒョン。アリは必死で逃げ出す。


 アリは足が速かった!!なかなか刺客は追いつけない。


 林の中を走り回るが、崖に追い詰められ、

 足を滑らして崖から転落してしまう。


 アリを探す刺客たちだったが、

 そこには巫女の印の赤い襷しか残っていなかった。


 その頃、国巫は星宿庁の巫女たちを集合させていた。


 並んだ巫女の顔をくまなく確認した国巫は

 震えるノギョンに「アリはどこだ?」と、尋ねる。


 ノギョンは困った顔で答えに詰まった。








 
 ユン大妃はデヒョンの報告で、ウィソン君の暗殺は達成したが 

 
 それを巫女アリに目撃され、刺客たちからアリが逃れたことを知る。


「アリ・・・アリか。」つぶやくユン大妃に デヒョンは言った。


 「霊感が強く、ノギョンと肩を並べる 次期、国巫候補者です。

 
 負傷したので遠くへは行けません。

 近隣を探しているので もう少しお待ちください。」


 すると大妃は 面白そうに言った。


 「王族と巫女の恋か。天のお助けですね。」と笑っている。
 

 アリにはウィソン君の家の使用人をしていた過去があった。


 その時からウィソン君をアリが慕っていたと 大妃はすぐに見抜いた。


 デヒョンは それならば、

 アリが便殿に駆け込んで真実を語るのではと恐れたが、


 頭の回転がすこぶる良い大妃は アリの巫女としての身分を利用して 


 ウィソン君の暗殺を闇に葬る方法を思いついていた。


 アリがウィソン君を国王にしたいと願って お札を書いて祈ったと 


 アリをも謀反の重罪にして 処刑してしまおうと企んだのだ。


 そう。ウィソン君の暗殺を考えたユン大妃は 

 本当に強かな怖い女性だった。


 こうして、ウィソン君は巫女のアリにそそのかされて、

 謀反者を企てた逆賊に仕立てられた。

 友の大司憲も加担していたが 過ちに気づいてウィソン君を殺害し、


 大司憲自身も自害したことにし、偽の大司憲の遺書を証拠に仕立て、


 デヒョンはアリを貶めるためには、

偽のお札をも用意して 国王成祖に報告したのだった。


 札に書かれた文字は 星宿庁の国巫が、

太陽の気を高めるお札だと成祖に証言した。


 ウィソン君が太陽の気を高める札を持つというのは 

国王の座を狙うことを意味する。


 しかもその札はアリの書いたものだと 

 大妃とデヒョンの息のかかった国巫は成祖の前で口にした。


 国巫は自分の身が第一で、国王の前でも平気で嘘をつける


 巫女にあるまじき女だったのだ。


 アリが義弟をそそのかしたと思う成祖は

 激怒して「その巫女を必ず捕えろ!」と命じた。

 





 

 大罪人にされてしまったアリは 崖から転落した際に負った大怪我で、


 刺客から逃れるために林の中を彷徨っていた。


 しかし、力尽きて林の中の道まで出ると倒れてしまう。


 そこへ、立派な両班の奥方を乗せた輿が通りかかる。


 奥方は臨月の大きなお腹を抱えて、出産祈願を終え帰途の最中だった。


 行く手に倒れた血まみれのアリを見つけて仰天する付き人。


 その悲鳴を聞いて輿から出てきた奥方は 


 今にも息も絶え絶えのアリを救うために

 付き人が止めるのも聞かずに 優しく自分の輿に乗せた。


 指名手配されたアリを捕まえるために都では検問が敷かれたが、

 夫人はそこでもアリを庇った。


 輿に隠したアリから流出した血を検問官に怪しまれてると、

 早産しかかったフリを演じて奥方は検問を突破したのだ。


 アリの命を救った心優しいこの夫人は、

 大司諫のホ・ヨンジュの妻、貞敬夫人シン氏だった。


 大司諫とは 国王をいさめる特異な機関である

 司諫院の中でも最上位の役職である。


 絶対君主である王をいさめるのだから、

 大司諫は最も実直で有識な者が職を担っていた。


 「このご恩は忘れません。私のためにお召を汚し、陣痛のふりまで・・・」


 検問を突破できたアリは 輿から降りてに心から貞敬夫人に礼を述べた。


 「ふりではなかった。さっきは死ぬかと思った。

 私でなく、この子が救ったのよ。」と優しく言う貞敬夫人。


 アリは夫人の突き出た大きなお腹を見て

 「月のように美しい子です。」と言った。


 それを聞いて「では、お腹の子は女の子なの?」と貞敬夫人は喜ぶ。


 「さそうでございます。」と言うアリに


 「巫女というのは本当なのだな。」と

 可愛い女の子を望んでいた夫人は微笑んだ。


 アリには月の化身のような輝く女の子が見えていた。


 「高貴な運命を背負われた・・・」と言いかけて アリは口ごもる。


 世子に見初められ、世子嬪に選ばれる姿が見えたと思ったら 


 呪いをかけられて苦しんで、最後には葬られる姿を見たからだ。


 急に黙り、呆然とするアリを見て「どうしたの?」と夫人が尋ねるが


 「いいえ、何でもありません。」とアリは誤魔化した。


 そしてアリの体調を心配する優しい夫人に


 「今日のご恩は死んでも忘れません!」と また深くお礼を述べた。


 「私は巫女ではないけれど、人を見る目はあるのよ。

  あなたは悪い人ではないわ。」


 そう明るく言って、夫人は輿に乗り別れた。


 アリはありがたくて涙をこぼしながら 


 貞敬夫人の輿が去るのを見送るが、途中で輿を追いかけて
 

 「奥様!!お嬢様は 私が死んでも必ずお守りします!!」と

 輿の中の夫人に力強く告げた。
 

 貞敬夫人は嬉しそうに、

 よろしくというように微笑んで アリと別れるのだった。
 

 血まみれのアリは重症の体を引きずって

 歯を食いしばって街を歩いていた。
 

 ウィソン君の暗殺を 君主に伝えようと必死だったのかもしれない。
 


 しかし、刺客軍団がアリを待ち構えていた。


 アリは罪人として捕えられ、拷問を受けることになる。










 

 国巫が書いた偽りのお札で濡れ衣を着せられ、


 見せしめのために星宿庁の巫女の前で、


 白装束姿に赤い紐で手足を縛られ、股裂きの刑で拷問されるアリ。

 
 アリの悲鳴が響き渡る。親友のノギョンは耐えられなかった。


 助けてあげてと国巫に目で訴えるのだが、

 国巫は決して目を合わさなかった。


 拷問を指揮していたのは 言うまでもなくユン・デヒョンだった。

 偽の札をアリにかざして「誰に頼まれた?」とアリを尋問する。


 アリはどんなに拷問されても

 「そんなお札 私は知りません。」と言い続けた。


 デヒョンは「今からでも正直に話せば 死体だけは残してやる。」

 と意地悪く言う。


 「書いた覚えがないのですから 頼んだ人もいません。」と 

 自分とウィソン君の無実を訴えるアリ。

 
 「逆賊に頼まれたという証拠があるのに しらを切るのか!!」

 大声をあげるデヒョン。

 これにはアリも黙っていられなかった。


 何の罪も落ち度もないウィソン君を暗殺し、


 逆賊という汚名を着せたデヒョンが許せなかった。


 「今、逆賊と言ったのか?証拠があるだと?


  偽の証拠を作ったお前こそが 逆賊ではないか!」

 と声を張り上げるアリに 
デヒョンは焦って

 「けしからん女だ!舌を抜かれたいのか!!


  本当のことを言え!!」と 負けずに大声で叫んだ。


 しかし。アリも負けていない。

 
 「こやつ~~!!」凄まじい剣幕で デヒョンに向かって叫んだ。
 

 そして言うのだ。


 「私だけが見たと思うのか?私を消せば


  お前は終わると思っているだろう。そうはいかぬ!


  天の月がお前を見ていた。お前の刀には あの方の血だけではなく、


  あの日の月光が染みついたのだ。見ていろ!!


  いつかお前の醜態が月明かりに照らされ、


  その月明かりが お前の息の根を止めるだろう!!」

 

  デヒョンは内心、慄きながらも


 「何をしている!早く締め上げろ!!」と 更なる拷問を大声で命じた。

 

 前にも増して 激しく拷問されるアリだったが、

 決してアリは自分を曲げなかった。


 自分が拷問の苦しさから逃れるために 

 嘘を言えばデヒョンの思う壺なのだ。


 尊敬こそされ、微塵の汚点もないウィソン君が 

 デヒョンの罠で逆賊になることが許せなかった。


 拷問初日。血まみれの傷ついたアリを 門番に賄賂を払って

 
 こっそり牢獄に訪ねたのは 親友のノギョンだった。


 アリは死人のように牢の中で倒れていた。


 驚くノギョン。「アリ。アリ。」と声をかけると アリは目を開けた。

 
ノギョンは泣きながら

 「どうしてそんなに愚かなの?だから言ったでしょ!

  あそこに行っても無駄だと。」 とアリを責めた。
アリは言う。


 「私は一度も あの方が国王になるのを望んだことはないわ。

  あの方も同じだったわ。」

 ノギョンはアリの手を取って

 「分かってる。さぞかし悔しいでしょう。」と優しく言った。


 それを聞いたアリは

 「それならいいの。あなたが分かってるなら。」と嬉しそうに言った。


 「よくないわ!!」ノギョンは胸が張り裂けそうだった。


 「事実を知っていても、友達を助けることもできないのに。」

 ノギョンは泣いてそう言った。


 「泣かないで。これもすべて、神様のご意志よ。」

 アリはもう何も思い残すことはないようだった。


 ノギョンは「何が神様なの?霊感も意味がないわ!


 いっそのこと、殿下に 何もかも打ち明けてちょうだい。

 私も一緒に・・・」


 言葉の途中で アリがノギョンの手を強く握り返して言った。


 「私の代わりに 守ってほしい子がいるの。」アリは必死だった。


 先日、自分を信じて優しく輿で運んでくれた恩人の娘を 

 
 アリは災いから守ってあげたかった。


 「太陽を近づけたら 災いを招き 滅びてしまうけど、


  太陽を守らねばならない運命を背負った子よ。


  その子が無事でいられるように あなたが守ってあげて!」


  切々と懇願するアリに ノギョンは戸惑う。

 

 「いったい、どういうこと?」


  誰のことをアリが守れと言っているのか 

 ノギョンはさっぱり分からない。

 しかし、その時 牢屋の番人が慌ててやってきて 

 早く出ろ!と手招きした。

 

 自分が賄賂をもらって、ノギョンを牢に入れたことがバレれば 

 自分の首が危ないと思う番人。


 しかしノギョンは

 「誰を守れと言うの?」としつこくアリに食い下がった。


 「私の命は これまでだわ。あなたは生きて!星宿庁を守って!」


 アリは遺言のように伝えたい想いをノギョンに吐き出すが、

 ノギョンの知りたい守るべき子をうまく説明できない。


 「アリ、その子は誰?」

 アリの元をなかなか離れないノギョンに怒った番人は 


 腕をつかんでノギョンを牢獄から放り出した。


 翌日。尋問に答えなかったアリの処刑が 

 見せしめのように公に行われた。

 アリは手足を紐で縛られ、それぞれを4匹の牛に繋がれて、

 八つ裂きの刑に処せられるのだ。


 処刑の前にアリの目に映ったものは 


 太陽のように眩しい2人の男の子と 

 月のように美しい女の子だった。


 「2つの太陽と 1つの月。3人がご無事でありますように!!」

 霊感の強い巫女のアリは これから生まれ来る


 月のように美しい女の子を巡って起こる悲劇を予感して、

 
 ひたすら天に祈ったのだった。


 アリが祈りを捧げ終わった瞬間に大太鼓が響き渡り、

 ノギョンの目の前で アリは処刑された。


 アリの命が絶えた頃。まさしく美しい月のような女の子が誕生した。

 
 それはアリがノギョンに「守って!」と心から頼んだ

 
 大司諫ホ・ヨンジュの娘だった。 

 
                                               つづく


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