2009-07-28 00:37:58.0
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」19





BGMはこちらで^^


なんと!
77777の切り番、踏んだ人レスください!^^


BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」19部です。


ではお楽しみください。






母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。

あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。






ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」19





スワンとヒョンスは運転手に案内されて、応接間に入った。
ヨンジョンが母親と一緒に座っていた。


ヨ:どうしたの?(二人に驚く)
運:先生がこちらへお通しするようにと・・・。
ヨ:そうですか・・・それは、ありがとうございます。
母:まあ・・・。


母は、ヒョンスとスワンを感慨深げに見つめた。


母:(立ち上がる)さあ、こちらへお入りなさい。


ス:失礼します。
ヒ:・・・。


ヒョンスはスワンの横にチョコンと立って、スワンが母親に頭を下げると、自分も一緒に頭を下げた。


母は、ヒョンスの仕草に、愛しそうに、孫の顔を見つめて微笑んだ。



ヨ:(立ち上がる)お母様、こちらが今度結婚するキム・スワンさん。それと、息子のヒョンスです・・・。
母:そう・・・。よろしく・・・。ヒョンス・・・あちらのお父様のお名前からつけたのね?
ヨ:はい・・・。
母:そうなの・・・。まあ、二人ともお座りなさい。


二人はヒョンスを真ん中に、ヨンジョンの横にピッタリと寄り添うようにして座った。
母親には、ヨンジョンが既に、この3人の中では家長として存在していることがはっきりとわかった。


母:そう・・・ヒョンス・・・。あなたのお父さんのヨンジョンはね、お祖父様と全く同じ名前なのよ。お祖父様がそのまま名前を下さって・・・とてもかわいがって下さって・・・ね、ヨンジョン。
ヨ:ええ・・・。お母様・・・・お祖父様は・・・。



その時、ドアが開いて、ヨンジョンの父親が入ってきた。
背の高い恰幅のよい男で、少し睨むように3人を見た。

3人は立ち上がった。



母:あなた・・・。ヨンジョンの隣が、息子のヒョンス・・・。それに、今度、結婚されるキム・スワンさん・・・。
父:うん。(頷く)ヒョンスか・・・。まあ、座りなさい。


父:再婚するのか?(ヨンジョンを見る)
ヨ:はい。ヒョンスの母親は、胃がんで亡くなりました。
父:・・・そうか、そうだったのか・・・。

母:ヨンジョンは今、大学で教えているんですって。それで・・・。(息子の成長がうれしい)
ヨ:それで、今度結婚したら、アメリカへ行く予定なんです・・・。
父:何をしに?
ヨ:アメリカ留学時代の友人の会社を手伝いに・・・。また、もとの建築家に戻ります。
父:うん・・・。(じっと息子の様子を見る)


しばし、沈黙があった。


父:今日は結婚の許しを取りに来たのか?
ヨ:それもありますが・・・アメリカへ行ってしまったら、お父様やお母様にお会いする機会もなくなるので・・・。
父:うん・・・。婚姻届は持ってきたのか?
ヨ:あ、はい。


ヨンジョンが胸からスワンとの婚姻届を出した。
スワンはそんなものをヨンジョンが用意してくれていたことに驚いた。

父親はそれを見て、ただ黙って、ペンを出し、サインをする・・・。


スワンとヒョンスは、その姿を不思議そうに見つめた。

この父親は、自分にも、初めて会うヒョンスにさえ、まともな視線も言葉かけもない・・・。


ヨンジョンは父から、婚姻届の用紙を受け取った。


ヨ:ありがとうございます。
父:うん・・・。(立ち上がろうとする)

母:あなた、待ってください。孫を見てやってください・・・。それに、こちらの方のお話も伺いたいわ。(スワンの方を見る)
父:おまえが聞いたらどうだ。
母:あなた。ヨンジョンがここまで来てるのよ・・・。ちゃんと、見てあげて。



父親は、ヨンジョンの顔を見てから、ヒョンスの顔をじろっと見る。

ヒョンスは緊張して、祖父を見つめた。

父親はスワンもじっと見た。
スワンも負けじとしっかりと見つめ返した。


父:まあ、幸せにやっているようだな。おまえの顔を見ればわかる・・・。それで、いいだろう。(頷く)そのまま、頑張りなさい・・・。


そういうと、父はさっさと部屋を出ていってしまった。
残された母親が残念そうに、息子たちを見た。


母:・・・ごめんなさいね・・・。せっかく来てくれたのに・・・。
ヨ:いいんだよ。お父様は、僕たちの結婚を許してくれたし・・・それで十分だよ。(母を見つめる)
母:・・・そうね・・・。きっと、あなたの立派な姿を見られて安心したと思うわ。
ヨ:・・・。

ヨ:お母様。スワンさんは、今、僕と同じ大学で英語を教えているんだ。
母:そうなんですか・・・それで、アメリカへは一緒に行ってくれるのね?
ス:はい・・・。
母:そう・・・。ヨンジョンたちをよろしくお願いしますね。(スワンを見つめる)
ス:はい。(見つめ返す)


ヨ:お母様。改めて紹介するよ。孫のヒョンスだよ。ヒョンス・・・お祖母様のところへ行ってあげなさい。
ヒ:・・・うん・・・。


ヒョンスが立ち上がって、母親の横へ行き、顔を見せる。


母:(目を輝かせて)あなたがヒョンスね・・・。大きくなったのね・・・ヨンジョンに、そっくり。目も鼻も口元も・・・小さい頃のあなたのお父さまにそっくりよ。
ヒ:・・・。
母:この子は利発ね・・・そうでしょう? 顔を見ればわかるわ・・・。それに、新しいお母さまも大好きね? この子の目を見ればすぐわかるわ・・・。


母は孫のヒョンスをじっと見つめる。


ヨ:ヒョンス。お祖母様に何か言ってあげなさい。

ヒ:・・・お祖母様・・・。(少しかすれたような声で呼ぶ)
母:そうよ、私がヨンジョンの母です・・・。あなたのお祖母様よ・・・。お祖母様には、あなたのお父さまは、今でも自慢の息子なのよ・・・。お父さまのこと、忘れたことなんてなかったわ・・・。でも、あなたに逢いにいけなくて、ごめんなさい。あなたを今まで抱いてあげられなくて、本当にごめんなさいね・・・。(愛しそうに、息子にそっくりな孫の目を見る)
ヒ:・・・。


ヒョンスもじっと母親を見つめた。
この人の目はとてもやさしい・・・。



母:いい子に育ったのね。あちらのお祖父様、お祖母様はあなたをかわいがってくれる?
ヒ:はい・・・とても・・・大事にしてくれます。


母は涙が出てきてしまった。

この子は利発で言葉を選んで答えている。
でもきっと、あちらの家では、ふつうに子どもらしく過ごしているのだろう。
初対面の自分とは、そんな風にはできないし、こちらにもまだ遠慮があって・・・。



ヨ:じゃあ、僕たちはこれでお暇するよ。(立ち上がる)
母:ヨンジョン。(寂しそうに見上げる)

ヨ:お母様もお元気で。
母:ヨンジョン・・・。
ヨ:ごめんよ、ここには長居はできない・・・お父様がいるからね。でも、結婚を許してもらえてよかったよ。

母:ヨンジョン・・・元気でね。
ヨ:ええ。お母様もお体を大切にしてください。(見つめる)


ヨ:さあ、行こうか。

スワンとヒョンスを促して、玄関へ向かう。



玄関を出たところで、母親が追いかけてきた。



母:ヨンジョン!


ヨンジョンが振り返って、母を見た。


母:ヨンジョン! あなた・・・お祖父様に逢いたいでしょう?
ヨ:お祖父様は生きているの? (驚く)
母:ええ。心配してたわね・・・きっと、あなたが心配していると思った・・・。
ヨ:・・・。

母:お祖父様のところへ届く手紙の文字が、名前は違っていてもあなたの字に似ていたから・・・きっと、あれはヨンジョンからの手紙だと思っていたの・・・。
ヨ:・・・。(母を見つめる)

母:でも、私にはお祖父様に聞けなかった・・・この手紙は、本当はヨンジョンからのものですか?って。早く聞けばよかった・・・そうすれば、あなたやヒョンスにも逢えたのに・・・。
ヨ:・・・。(愛しそうに見つめる)

母:一年前に、お祖父様は脳溢血で倒れて、ずっと丘の上の大学病院の施設にいるのよ・・・。
ヨ:お母様・・・。
母:心配したわね・・・返事がなくて・・・お祖父様からの返事がなくて・・・。


ヨンジョンは泣きそうになった。


母:お元気よ。とてもお元気。体はもう半身不随だけど、頭はとてもしっかりされているの。
ヨ:施設に入れたままなの?
母:お祖父様がこっちには戻りたくないって・・・。もうお父様とは暮らしたくないって。それに、お父様の代わりにいろいろな会合に顔を出さなくちゃいけない私がかわいそうだって。私に負担をかけたくないって、おっしゃって。


母:ヨンジョン、逢いたいでしょ? 行ってあげて。お祖父様のいる施設はとてもちゃんとしたところだから、安心してちょうだい。その様子も見てくるといいわ・・・。
ヨ:うん・・・。

母:元気でね、あなたも、ヒョンスも、スワンさんも。(3人の顔を順に見る)3人で幸せにおなりなさい。
ヨ:・・・お母様もお元気で・・・。お体を大切にしてください。・・・また、いつかお会いしましょう。



母は涙が出てしまう。

ヨンジョンは「また来るよ」とは言わなかった。
その代わり、「また、いつかお会いしましょう」と言った。


それでもいい・・・自分たちがしてしまったこと・・・夫と一緒に、自分も最愛の息子を捨ててしまったのだから・・・。





ヨンジョンたちが車に乗り込んだ。


母は助手席のスワンに向かって言った。


母:幸せになってね。あの子は、ヨンジョンは、とてもやさしい、いい子ですから・・・。
ス:はい。私もヨンジョンさんのために頑張ります。
母:うん。(頷いて笑った)


ヨ:じゃあ。(顔を母親のほうに向けて車を発進する)



母はヨンジョンたちの車が見えなくなるまで、見送った。




ス:なんか、お母さん、かわいそうだったね・・・。
ヨ:・・・・。
ス:あれでよかったのかな・・・。
ヨ:・・・また・・・時間を空けてくるよ・・・。父が頑な人だから、今のところ、母も従うしかないんだ。もう少し、様子をみよう・・・でも、結婚は賛成してくれたじゃないか。それだけでも進歩だよ。よかったよ。
ス:うん・・・。(ちょっと切ない・・・)






ヨンジョンたちの車は、丘の上の大学病院の付属老人施設の駐車場に入った。

そこは緑の多い作りで、なんとも和やかで、ゆったりとした風情があった。


受付で、「チェ・ヨンジョンを訪ねてきた孫のチェです」と告げた。

受付からの呼び出しで、中からナースが一人出てきた。



ナ:チェ・ヨンジョンさん?
ヨ:はい。
ナ:(笑う)やっぱり。お祖父さんと同じ名前の、自慢のお孫さんね。どうぞ、こちらへ。



ナースに案内されて、彼らは一階の一番奥の部屋へ入った。


ナ:ヨンさ~ん。お孫さん一家がお見えですよ。
爺:なんて言った!

ナ:今日は豪華よ。お孫さん一家よ。
爺:え?


窓辺で車椅子に座っていた祖父が入り口のほうを見た。

懐かしいヨンジョンが子どもと若い女性と一緒に入ってきた。


爺:ヨンジョンか!(うれしそうな声を出す)
ヨ:おじいちゃん!


ヨンジョンが泣きそうな顔になって、祖父の近くに走り寄る。


ヨ:心配したよ。
爺:元気だったか・・・。倒れちまったからな・・・おまえに連絡の取りようがなくて、悪かったな、心配させて・・・。でも、こうしてちゃんと生きとるぞ。
ヨ:よかった・・・。


ヨンジョンは涙を貯めて、祖父を見つめ、痩せて小さくなった祖父の頭を撫でる。


爺:痩せて小さくなっちまっただろう・・・髪もスカスカだ・・・。
ヨ:でも、素敵なままだよ。(微笑む)



祖父は、清潔な感じのおしゃれな部屋着を着ていた。
そして、その人柄が思わせるやさしくてほがらかな笑みを浮かべた。


爺:ほらほら。そっちのかわいいひ孫や別嬪さんを紹介してくれ。
ヨ:二人ともこっちへおいで。


スワンとヒョンスが祖父に近づく。


ヨ:おじいちゃん、これがオレの子だよ。
爺:ヒョンスだ。
ヨ:よく覚えてるねえ・・・。(感心する)

爺:頭はいかれてないんだ。体はちょっといかれちまったが。(笑う)ヒョンス君、かわいいなあ。ヨンジョンの小さな時にそっくりだ。しっかりした感じの子だねえ。
ヨ:うん。こっちが、今度結婚するキム・スワンさん。
ス;よろしくお願いします。(頭を下げる)

爺:ううん・・・そうか・・・。最後に読んだ手紙では、ヒョンス君のお母さんが病気だと書いてあったな・・・そうか。それは、ヨンジョンもヒョンス君も苦労したな・・・。しかし、よかった! こんな別嬪さんで!


ヨンジョンたち3人が笑う。


爺:ヨンジョンはわしの名前を取っただけあって、わしと好みが一緒だから・・・。うん、いいぞ、なかなか。この別嬪さんは。


ヨンジョンが照れて笑った。


爺:明るそうなお嬢さんでよかった。ヒョンス君、君もこのスワンさんが好きだろう?
ヒ:・・・はい・・・。
爺:うん・・・血筋は争えないな。いい目をしてるぞ。




そこへ、ヘルパーのホンさんが入ってきた。



ホ:ヨンさん、今日はよかったねえ。若いヨンジョンさん一家が来たんだって。
爺:よくわかったなあ。ほら、見てごらん。わしの若い頃によく似たハンサムだろう?

ホ:う~ん・・・こちらさんがハンサムなのはわかるけど、それで、ヨンさんまでがカッコよかったかわかんないわよ。(笑う)どうするの? 皆で散歩にでも行ってきますか?

爺:君はホントにいつも頭が回るなあ。
ホ:じゃあ、ご用意しますね。


ホンさんが棚から、カシミアの赤いタータンチェックのひざ掛けをとり出す。


ホ:これ、大事なお客様用ね。(ヨンジョンたちの顔を見る)


今かけているひざ掛けを外し、かけ直す。
髪をくしで撫で付ける。
そして、お気に入りのモスグリーンのマフラーをする。

それをヨンジョンがじっと見つめている。



ホ:ああ、このマフラーって、お孫さんがアメリカに留学してたときに、送ってきたやつだったわね・・・。もしかして、あなた?
ヨ:ええ・・・。(胸がいっぱいになる)


爺:スワンさん、これがわしのお気に入り。ほら、センスがいいだろう? おしゃれ。そこがお気に入りの要素。(笑う)
ホ:まあね、お孫さんの愛もたっぷりだけど。この人、爺さんのくせにおしゃれなの。(笑う)で、部屋着はデパートの通信販売でお取り寄せなんだから。(笑う)

爺:そのくらいの贅沢をしないとここでは生きていけんだろう。
ホ:まあね。他になんの変化がないもんね。じゃあ、お祖父様、行っていらっしゃいませ。(頭を下げる)






ヨンジョンが車椅子を押しながら、4人で庭を散歩する。


ヨ:ここはキレイなところだね。街が一望できるし、緑は多いし・・・。
爺:だから、帰りたくなくなった。(笑う)あの苦虫を噛み潰したような息子の顔を見るより、こっちのほうが清々する。そこのベンチが一番眺めがいいぞ。

ヨ:ここ?
爺:そう、そこ。皆、お座り。



スワンとヒョンスが並んで座る。
ヨンジョンが祖父の車椅子を止め、近くに座る。



爺:スワンさん、ヒョンス君。あのオヤジさんと会ったね。
ス:はい。
爺:うん。ヨンジョン、なんか話をしたのか?
ヨ:いえ、ただ結婚の許しをもらっただけです・・・でも、それで、お父様の気持ちはわかったよ。


爺:うん。まあ、よかった。あいつも心中は、おまえがかわいいんだ。スワンさん、ヒョンス君、あいつはソウル大学を落ちてから、あんな調子だ。気にせんでいい。根は気のいいやつだが、受験の失敗で少し劣等感を持った。それが尾を引いて、生き方が少し窮屈で厳しいんだよ。
ヒ:・・・。


爺:ヒョンス君、お父さんが若くて結婚しちゃったことが気に入らなかったのさ。もっとエラくなってから、結婚してほしかったから。
ヒ:でも、今はお父さんも大学の先生で、エライんだよ。

爺:そうか・・・それはよかった。お父さんみたいにちゃんと生きられる人は、途中何があっても、結局はしっかりした人生を歩むもんさ。あのオヤジはそれが待てなかったんだよ。ヒョンス君は、いい子のようだから、この爺も安心しているよ。


祖父がヒョンスを見て微笑んだ。
ヒョンスも祖父を見て、スワンを見て微笑みを返した。



ヨ:おじいちゃん、今度結婚したら、アメリカの友達の会社を一緒にやっていくんだ。だから、しばらくは逢えないんだ・・・。
爺:うん・・・それはよかったな。おまえは優秀だから、自分の信じた道を進めばいいんだよ。そうか、逢えんか・・・。まあ、いつかまた逢えるだろう・・・。今日は元気な顔を見られただけ、よかった。


ヨ:うん・・・。(頷く)スワン、ヒョンス。このおじいちゃんはね、お父さんが留学する時に、密かにお金を届けてくれたんだよ。
ス:・・・。(胸が熱くなる)


爺:そんなこともあったなあ・・・おまえに会いに行った・・・。あの日は5月だというのに寒かった。二人で食事をして・・・おまえを送り出したんだ・・・。ずいぶん、昔のような気もするし、昨日のような気もする・・・。
ヨ:・・・ありがとう・・・。(祖父の手を握る)


爺:もう十分、自分の足で立てる男になってしまったな。いい男になった。顔でわかるぞ。
ヨ:・・・。(微笑んで手に力を入れて握る)


爺:また・・・お母さんには逢いに来てやれ・・・あれは、お父さんに口答えが出来ない人だから・・・。
ヨ:・・・はい・・・。
爺:お父さんが議会に出ている時は、地元をしっかり守っているぞ。皆に腰を低くしてな。

ヨ:・・・わかったよ・・・。
爺:それくらいかな・・・言い残すことは・・・。
ヨ:おじいちゃん・・・。
爺:大丈夫。まだ、生きるよ。おまえに逢えたわけだし、また、生きる楽しみが増えた。ヒョンスの成長も見守りたいしな。
ヒ:・・・。


爺:そして、スワンさんと幸せになるところも見守りたいしな・・・。ヒョンス君、若いお母さんが出来てよかったな。
ヒ:・・・はい。
爺:だいたいの人は、母親は一人しか出会えないものだが、君はラッキーだった・・・。だから、本当のお母さんのことはいい思い出として、大切にしまって、これからは若いお母さんと楽しく生きなさい。
ヒ:・・・はい。お父さん、おじいちゃんはお父さんと同じようなことを言うねえ。

ヨ:そうか?
爺:そら、おまえの親父さんは、わしの弟子だからな。
ヨ:孫だよ。(笑う)
爺:そうだ、孫だ。(笑う)3人で幸せになりなさい。そうか・・・。お父さんもお母さんもまだまだ若いから、ヒョンス君。君は10人兄弟のアニキになる可能性もある!
ヒ:え!


爺:それも人生の不思議だよ。おもしろい誤算だ。楽しみなさい! いいね。(ヒョンスの顔を見る)
ヒ:はい!


ヨ:おじいちゃん、部屋に入ろうか、寒くなってきたから。
爺:そうだな・・・。ベッドに寝ながら、おまえの顔を見させておくれ。ゆっくりおまえを眺めていたいから。
ヨ:いいよ。じゃあ、中へ入ろうね。









帰りの車の中で、スワンがヨンジョンの顔を見た。


ヨ:なあに?
ス:うん? いいおじいちゃんだったと思って。
ヨ:そうだろう・・・いつも楽しくて、こっちを幸せにしてくれるんだよ。
ス:うん・・・ヨンジョンによく似てるよ。
ヨ:・・・。それに、いつもオレを蔭で援助してくれた人なんだよ。
ス:スーパーおじいちゃんだね。


ス:ヨンジョン、私、なんか、勇気が沸いてきたわ。
ヨ:どんな?
ス:人って、親じゃなくても、その人をちゃんと見守ってくれる人がいれば、グレないで生きられるんだなって。ちゃんと幸せになれるんだなって。
ヨ:・・・うん、そうか。
ス:だから、私も、ヒョンスをちゃんと見守るわ。ママじゃなくても、育ての親のおじいちゃん、おばあちゃんじゃなくても、ちゃんと対峙して育てれば、うまくいくって。そんな自信を今日、もらった気がする・・・。


ヨ:うん・・・。それで、10人兄弟のほうの計画はどうする?(笑う)
ス:やあだあ・・・それは乗らないわよ・・それはやだ。
ヨ:そうかな・・・それに一番、感動したけどな。(笑う)
ス:やあよ。それはや。その計画は没。だめよ、そんなこと、考えちゃ。だめだからね!



ヒ:どうしたの?


後ろで、ヒョンスが起きた。


ス:お父さんがね、おじいちゃんの10人兄弟計画が気に入ったって。でも、やだって言ったの。ムリだもん。ヒョンスだって、やよね?
ヒ:僕は・・・3人くらいがいいな・・・弟と妹がほしい・・・それもいいなって今日、思ったよ。



スワンは胸がいっぱいになった。

やっぱり、元祖ヨンジョンは人生の達人だ。
人の心にやさしく語りかけてくる・・・。

あの人は、老人だったけど、いいニオイがした・・・。ちっとも感性が古びていなかった・・・。




ヨ:さ、一気に大学まで帰るぞ!と思ったけど・・・スワンの家へ寄って行こう。
ス:なんで?
ヨ:婚姻届にサインをもらおう。
ス:・・・。
ヨ:それに、まだヒョンスを紹介していなかったし。ちゃんと3人で行ってお許しを頂こう。
ス:・・・。うん。そうだね。母さんに電話してみる。ちょっとだけ寄りますって。・・・早くしたほうがいいよね・・・。それで、皆で一緒に暮らそう。(後ろを見る)ね、ヒョンス!
ヒ:うん!



ヨンジョンたちの車は方向を変えて、一路、スワンの母のもとへ向かった。




二人の結婚の準備はできた。

あと少しでゴールだ・・・結婚の。


婚姻届を出したら、大学に届け出て、今後の方向を決めよう。

私たちはもう家族だもん。







続く・・・





[コメント]

1.Re:【創作】「アマン」19

2009-07-29 01:13:09.0 ハリーママ

ヨンジュンのお母さんは 少し可愛そうだったね。
お父さんも 本当は ヨンジュンたちに会えて うれしかったんだよね。

お祖父さんも 素敵な人だったね。
これから スワンのお家で ヒョンス君のことも 理解してもらえると
いいね。 幸せになってほしいな^^

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2.Re:【創作】「アマン」19

2009-07-30 00:18:20.0 kiko3

ハリーママちゃん、

気持ちを素直に表せる人とそうじゃない人がいるから・・・。
お母さんはちょっとかわいそうなんだ・・・。

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