2010/10/17 02:07
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター」キコはん12「キャデーさんでっか?」後編


 



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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;






BYJシアターです^^


本日は、

キコはん⑫「キャデーさんでっか?」後編です^^



では、ここより本編。
お楽しみください!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



キコはん⑫
「キャデーさんでっか?」後編
(2006.12.31作品 時代背景も思い出してください^^)











「なあ、うちが運転したほうがええのとちゃう?」
「どうして? 僕のほうが上手でしょ?」
「だけど・・・ただ座ってるだけのキャデーさんなんて、変やろ?」


ゴルフ場内の二人乗りカートに、ヨンジュンとキコはんが並んで乗っている。


「別に・・・変じゃないよ。かわいいよ」
「何、言うてんの!」
「そういう格好も結構かわいいよ」
「そうかあ? コスプレに向いてるのかなあ?」

「着物も似合うし・・・きっとチマチョゴリも似合うよ」
「ふ~ん。(笑う)お口がうまいわあ」
「まあね」


寅がカートを止める。



「はい。キャディさん、よろしく!」
「はい。ヨンジュンはん」

「ドライバー、ちょうだい」
「ド、ドライバーでっか?」
「そうだよ」(笑って見ている)

「ふ~ん・・・どれや・・・」
「キャディさん、早く」


「いけず・・・」(呟く)

「なあに?」

「意地悪て言うたのや」
「ふん。(笑う)元気だねえ」
「・・・?」


「さっき、泣いたくせに」


そういいながら、ドライバーを選ぶ。


「泣かせてて、笑ってる・・・」(ちょっと睨む)
「勝手に泣いたんじゃない」


楽しそうに、ドライバーを振ってみる。


「もう、やや・・・」
「では、やります」
「どうぞ」

「じゃあね」



寅が大きくドライバーを振る。




「あ、上手!」
「ふふふ・・・」(笑う)

「だってえ。なんて言うたらええの? ようわからんわあ。あ、ナイス・ミートとか言うのかな・・・?」
「いい感じじゃない。キャディさん、ボールはどこ? 探して」

「ええ! うちが探すのん?」
「そうだよ。走らなくちゃ」

「ひ・ど~~~い!」

「いいよ。一緒に乗っていこう」
「当たり前や!」



また、二人でカートに乗る。



「天気がよくて、気持ちがいいねえ」
「ホンマ・・・」

「楽しい?」
「うん・・・」
「ホンマ!?」(顔を覗く)
「ホンマあ~」


キコが笑った。


「こお~んな広いとこで、二人きりなんて、最高やね」
「でしょ?」
「うん・・・」



「着いたよ」
「もう? ずっとカートに乗ってドライブしていたいわあ」

「ふふふ・・・。駄目~。ゴルフしに来たんだから」
「ホンマにゴルフが好きやね」
「まあね」

「うちとどっちが好き?」
「ゴルフ」
「・・・」

「2番目でいいって言ったのは、キコだよ」


そう言って、また、アイアンを探す。



「意地悪なことばっかり、言う・・・」
「最初に意地悪なことを言ったのは、君だからね」

「・・・」(ちょっと怒った顔をする)
「そんな顔しないでよ」

「あんた、根に持つタイプやね・・・」
「そうお? 記憶力がいいとも言うよ」
「ホンマあ・・・」



「ああ、ちょっと遠かったなあ」
「ねえ、失敗したん?」
「うるさい・・・」


寅は真剣にゴルフをやっている。



キコはちょっと口を尖らすが、真剣な寅の顔が素敵で、見入る。


「どうしたの?」
「別に・・・」

「じっと僕の顔を見てたから」
「・・・素敵やなと思うて・・・」
「ふん。(笑う)でも、また、外した」

「ホンマ? やっぱりうちと回るのって失敗やない?」
「ホントにそうだね・・・」
「・・・」

「でも、いいよ。ゴルフは付け足しだから・・・」
「うん・・・」

「ボールを取りにいかなくちゃ。ねえ、カートを運転してきて」
「うん、ええよ・・・」



寅が歩き始めると、後ろから、寅を呼ぶ声がした。




「ヨンジュン! ヨンジュン!」
「ああ・・・先輩・・・」


どうも俳優の先輩らしい・・・。


「どうだ、元気にやっているか?」
「おかげさまで」
「撮影が延びているんだって?」
「ええ、でも、順調です」
「うん、それはよかった。・・・一人でやってるのか?」
「え、まあ・・・」


「よかったら、一緒に回らないか? こっちは2人で回っているけど」
「ああ・・・。でも・・・今日はこのあと、またチェジュに戻るので・・・一人でさっと回ります・・・」
「そうか・・・。うん・・・。まあ・・・でも、一人じゃ寂しいだろ?」
「ええ、まあ・・・」



すると、キコの声がした。



「パリ・パリ、ヨンジュンッシ!」



先輩とヨンジュンで、キコのカートのほうを見る。



「新人さんかい?」
「え?」
「ずいぶん、ガサツな感じだな・・・。マネジャーに言っておくか」
「いや。僕が早く回るから、時間を見ててって言ったものだから」

「そう。(笑う)君はいつも優しいね。じゃあまた、今度一緒に回ろう」
「はい、ありがとうございます」
「忙しいところ、ありがとう」
「失礼しました・・・」


寅が先輩に頭を下げる。






「どないした?」
「先輩・・・一緒に回ろうって」
「ええ?」

寅が笑って、キコを見た。


「先輩がずいぶんガサツなキャディさんだねって。新人って」
「ごめん・・・」
「でも、よかったよ。断りにくかったから」
「そう、ならええけど」

「でも、ホント、早く回っちゃおう。誰に会うかわからないから」
「ホンマ! 危険地帯やねえ・・・」



寅とキコは、そのあと、真面目にどんどん次のホールを回る。






キコは、寅がゴルフをしている最中、カートの上にあった双眼鏡で、辺りを見回して遊んでいる。
すると、ゴルフ場の一角に、女の人の固まりがある・・・。


ええ?


キコがズームインしてみる。



あ!
ゆき姉さん・・・。



「どうした?」
「マズイわあ・・・」
「なんで?」

「ヨン様の家族が集まってるわ・・・」
「来てるの?」
「うん・・・それに・・・。うちの旅館の姉さんまで・・・」
「本当?」(笑う)

「笑い事やおへん。ああ、そうや。ほら、うちのあとに、あんたの部屋付きになった姉さんもいるのやでえ」
「それは・・・困ったね」(笑う)
「困るがなあ」



そう言って、またキコはゆきのほうを見る。
前列に立って、双眼鏡を覗いている・・・。


「参ったあ・・・」
「でも、こっちには入ってこられないからね・・・」
「でも、あっちも双眼鏡で覗いてはるのや・・・」
「・・・」
「丸見えや・・・」


「これが終わったら、切り上げよう」
「ええのん?」
「だって・・・それはマズイよ」
「・・・うん・・・」







「ねえ、ゆきさん、見える?」
「駄目だわあ。もう少し、倍率高いの持ってくるんだった・・・。失敗したわ」
「仕方ないわね。急にゴルフ場にきたんだもん」

「ねえねえ、ヨン様のチェジュ行きの便、わかったわよ」
「何時?」
「17時10分だって」
「私たちの便は一つ前だから、チェジュでお出迎えできるわね!」
「よかったあ!」

「ずいぶんたっぷり時間があるのねえ。 このあと、どこか回るのかしら・・・」
「ゴルフが好きだから、半日いるんじゃないのお・・・」
「そうか・・・」

「サウナとか入って、ヨンヨンもゆっくりしたいのよねえ」
「そうよねえ。どうする。もう少しいる?」
「いる、いる。近くに来るかもしれないから」
「そうねえ。でも、ゆきさん、残念! 今度はもっと倍率のいいの、持ってこなくちゃ!」
「ホント!」









「おっと失敗・・・」
「どないしたあ?」

「バンカー」
「バンカーなん・・・」

「嵌った・・・」
「嵌ったん・・・」


「繰り返さなくてもいいよ」
「繰り返さなくてもええのん?」

「ねえ」
「ねえ」

「キコ?」
「なあに?」
「やな感じ・・・」
「ドンマイ」(にっこりする)

「何がドンマイだか・・・」



寅はバンカーへ入っていって、ボールをあげようとするが、また嵌る・・・。





「寅ちゃん、何してるのん。遅い・・・」


キコは寅の窮地を知らないので、ノンキにバンカーのほうへ歩いていく。



「寅ちゃん? ヨンジュンッシ?」



寅が視界に入った瞬間、キコの足が滑った。


キャア!



「うむ?」


寅がボールから顔を上げて、周りを見回すが、特別に変わったことはない・・・。


真剣な顔をして、また、ボールの方向を考える。



寅ちゃん・・・・。

ヨンジュンッシ・・・。



「うむ?」


また、顔を上げる。

耳をすます。



「寅ちゃん・・・助けて・・・」

「キコ? キコはん?」


カートのほうを見るといない。


どこ、行っちゃったの?



「寅ちゃん・・・」

「キコ? キコはん?」


「あ~ん。助けて!」


やっとキコの声が聞こえた。



バンカーに足を取られながら進むと、キコが砂に埋まっている・・・。


「どうしたの?」

「わからへん・・・。急に足を取られてもうたが」
「ふふふふ・・・」(笑う)

「なんで笑えるの・・・人がこんなことになってるのに・・・」
「だあって・・・」


寅は笑いながら、キコの所へやってきて、キコを引っ張る。


「深いなあ」
「そやろ?」
「うさぎの穴かな?」
「そやね、きっと」

「ニシキヘビかもしれないね」
「や、やや! 早く、早く出して!」



寅が力いっぱい引っ張って、やっとキコは穴から抜け出した。

「ああ、よかった・・・」
「だけど・・・ふふふ・・・おかしいねえ」

「ひど~い。今、笑ったこと、ずっと記憶に留めておく・・・」
「ふ~ん・・・ええよお」
「ええねんね? わかったあ」


「ああ、こんなに砂だらけになってもうて。ったく・・・」


キコが砂を払う。

寅は笑いながら、砂を叩く。


「もう、あんたの手は借りん・・・いけずやもん・・・」
「また、泣いちゃうの?」
「あほ!」


寅が笑って、キコを見つめる。


「なんや?」
「かわいいねえ」


そう言って、さっと抱きしめた。


「あほ・・・」
「あほでも、ええよ・・・」


そう言って、キコの顔を覗き込んだ。






結局、4ラウンド残したまま、寅はゴルフをやめた。


二人を乗せたカートはコテージに向かう。





「あん人たちから、見えんかなあ・・・」(双眼鏡で、家族が集まっていた方向を見る)
「あそこは、外から見えないところだから、大丈夫だよ」
「うん・・・なら、ええけど・・・。帰る時も注意せな・・・」
「そうだね」






バンカーに落ちたキコとそれを助けた寅は、笑ってしまいそうなほど、砂まみれだ。


「ひどい状態だね・・・」
「ホンマ・・・」

二人はお互いを見回す。

そして、ちょっと笑う。




「玄関で脱ごう」
「・・・うん・・・」(ちょっと躊躇する)
「恥ずかしがること、ないじゃない」
「でもなあ。まだ、朝やんか」
「いいじゃない。(笑う)ああ、まだ、朝なんだ。時間があるね」
「・・・」
「二人の時間・・・」
「そうやね・・・」


「ここで脱ぐしかないだろう? 脱いだらバスルームへ直行!」
「寅ちゃん、お先にどうぞ・・・」
「キコはんからどうぞ・・・」


「寅ちゃんのほうがちょっとやない・・・。下着は大丈夫やろ?」
「そうだね・・・お風呂入れて待ってるね」
「・・・」

「いいじゃない・・・」
「・・・うん・・・」

「逃げようがないよ。そんなに砂まみれじゃ・・・」(見つめる)
「うん・・・。何よ。うちも後から行く!」
「うん」(笑って肯く)


寅が先に下着になって、風呂場へ入っていく。

キコは自分の服を見る・・・砂だらけだ。



寅が戻ってきた。


「はい、バスタオル」(差し出す)
「・・・おおきに・・・」(受け取る)



やっぱり、寅ちゃんは寅ちゃんの気遣いをする・・・。

キコは一人になって、全て玄関に脱ぎ捨て、バスタオルを巻いて、バスルームのドアを開けた。









「なあ、ここて、天窓があるねんなあ・・・」
「木の枝が見えて・・・新緑や紅葉の時期はキレイなんだろうね」


二人で湯船から天窓を見上げている。



「広いお風呂でええなあ・・・」
「温泉とは知らなかったね。昨日はシャワールームで損したね」
「うん。でも、こうして入れたから、ええわあ」

「もっと近くへおいでよ」
「うん・・・」
「なんか、オツだよね・・・。朝風呂って」
「ホンマ。あ、ああ~。声が響く・・・」
「うん。でも、聞こえないでしょ。外には」
「どうだか・・・」

「後で、ここのマネジャーにバンカーの穴のこと、言わなくちゃ」
「そやね」
「今、言うとここへ来ちゃうからね。それまで、誰も落ちないことを祈るしかないね・・・」
「うん・・・」


寅がキコの肩を抱きながら、ハミングをする。


「何? ベートーベン?」
「そう・・・」
「そういえば、うちも予約したよ」
「クラシックス・ヒーロー?」
「うん・・・。あんたがナビゲイトするのやろ?」
「うん、そう」

「いろんな作曲家の曲が集まってるの?」
「そう。34歳の時にね、何を成し遂げたかってね。それぞれ、34歳の時の曲」
「そうかあ・・・。あんたの年で何を書いたかやねえ」
「うん」

「誰が好き?」
「そうだなあ・・・。映画を撮るなら、ショパンかな・・・。そこに恋があるからね」
「ミニョンさんみたいな寅ちゃんが見られるのやね」(笑う)

「ふん。(笑う)そうだね、ミニョンさん・・・。気になるのは、やっぱりベートーベンかな・・・」
「ふ~ん。ベートーベンて、耳が悪かったやろ? だから、あん人が譜面に書いたテンポて、実際の速さと同じかどうかわからないのやて。あん人が頭の中で考えていたテンポやから。ホントのところはわからんのやて。自分でも本当に演奏されてるの、聴きたかったやろな・・・」
「ふ~ん。だから、指揮者によって、テンポが違うんだ」
「そうらしいわ」

「ふ~ん。ベートーベンの内なる激しさっていうか、激情というか・・・あの人の情熱的なところが好きなんだ・・・」
「そうなん・・・。なあ、寅ちゃん。それて、寅ちゃんの心の奥のマグマが呼んでるのとちゃう?」
「そうかもしれないね・・・」

「うん。・・・あんたの、外には見せない激しさや強さがベートーベンと合ってるのや、きっと。あん人ってね、それまでの作曲家さんとはちゃうねん・・・。それまでのモーツァルトなんかは、貴族のお抱えやろ? ベートーベンは作曲することで、初めて収入を得た最初の人なんよ。自立した初めての音楽家」
「よく知ってるね」

「うん、そういう余計なことはいろいろ知ってんねん。寅ちゃん、なんでも最初に始める人ていうのは、内面に強さや激しさがあるのかも・・・。開拓精神? 反骨精神? あんたも新しいこと、していきたいほうやから、きっとその辺に惹かれる何かがあるのやな・・・」
「・・・」



寅がキコの顔を自分のほうに向かせ、軽くキスをする。
キコは、寅の強い視線に、恥ずかしそうにする。




「なあ、足上げられる?」
「え?」


突然、キコが違う話を始めた。


「足、上げてみて」
「こうお?」
「うん。やっぱ、長いわ・・・。でも、毛むくじゃら」
「濡れてるから、そう見えるだけだよ」
「そうお? うちなんかぜんぜんないで・・・」


キコも足を上げる。


「女の人だもん」
「そうかあ」


「毛むくじゃらじゃ、いやなの?」
「うううん・・・好き・・・。寅ちゃんなら・・・なんでも好き・・・」

「ふん。(笑う)でも、一号にはならないんだ・・・」
「・・・」
「でも、今はいいでしょ? 一番好きなんだから・・・」
「・・・うん・・・」


「つまんないこと、考えるのはよそう・・・。なるようにしかならないから・・・」
「・・・」
「今は好きなんだから・・・それでいいじゃない」
「・・・」
「二人とも独身なんだし・・・」



寅がキコを見た。


「あまり泣くと、目がハレるよ・・・」
「・・・ん・・・」(肯く)


「二人でゆっくり休んで・・・昼飯も二人で食べよう・・・」
「・・・ん・・・」(肯く)


「今日はゆったりとできていいねえ・・・」
「・・・うん、そうやね・・・」


「その目は、ハレるね・・・」(じっと見て、笑う)
「・・・」


寅が幸せそうに、愛しそうにキコの頭を撫でた。



二人は寄り添って、また、天窓を見上げた・・・。













終わってしもた・・・。


キコは、飛行機の窓から雲を眺める。


今回は二人でたくさんの時間を持てた気がする・・・。
でも、もっともっとほしかった。

あん人を抱きしめる時間・・・もっともっとぎょうさん・・・。


二人でいる幸せがなぜか涙が出る・・・。

いつもやさし過ぎや・・・。


でも、うちにくれた時間は全部覚えてるで・・・。忘れない・・・。




帰りもふつうの乗用車でわざわざ途中まで送ってきてくれた。

キムさんとの待ち合わせ場所に着く前に、車を止めて、キスをした・・・。




こんなんなって・・・これから、うちはどないしたらええ?



あんたが隣にいないと、立っていられなくなったら?
あんたに抱かれてへんと、寂しくて仕方なくなったら?

あんたが恋しくて恋しくて、辛くて辛くて困ったら・・・?


もう困ってる・・・。


でも、今はあんたの愛がうちの中であふれてる・・・。


だから、すごく寂しいけど・・・大丈夫や・・・。





寅ちゃん!




ヨンジュンはん・・・・・・サランへ!








12部 終わり







2010/10/14 00:38
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん12「キャデーさんでっか?」中編


 



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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;






BYJシアターです^^


続きで~す^^



では、心して、お楽しみください!



ここより本編・・・。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~











キコはんシリーズ⑫
「キャデーさんでっか?」中編
(2006.12.30作品 時代背景も思い出してください^^)







「なあんか変やわ」

キコが笑った。



「でも、よくそんな、おもろい事、思いついたね」
「人って窮するといろんなアイディアが浮かんじゃうものだよ」
「ふん」(キコが笑う)

「キャディさん、よろしくね」
「うん!」

「このコテージの中、見た?」
「うん、ざっとな。二階にベッドルームが二つあったよ」
「そう、どっちにする?」

「・・・う~ん、大きいベッド」
「じゃあ、僕は小さいベッド」
「・・・ふん」(ちょっと胸が苦しい)



「このゴリラのお料理おいしいね」
「うん、JPも頑張ってるよ」
「そやな・・・」

「ねえ、あとで、グアムのお土産、見せて」
「ふ~ん。(笑う)きっと、笑うで」
「なんで?」

「ホンマは・・・寅ちゃんのために買うたのやないのや・・・」
「・・・誰のため?」(ちょっと顔が曇る)

「うちのため・・・。自分のムームーとお揃いで買うたのや・・・」
「・・・くれないの?」

「だってえ・・・。寅ちゃんは・・・もっとええもの持ってるし・・・あんまり、アロハなんて着ないやろ? 
うちが、もし、寅ちゃんと着られたらって夢で買うたのや・・・」

「じゃあ、一緒に着よう・・・」
「ええ?」(甘えるように見る)
「うん」

「なら、見せてあげる!」


キコは荷物のほうへ行って、ボストンバッグの中から、グアムのお土産店のビニール袋を取り出した。


「これ・・・」
「・・・ありがとう」(見つめて笑う)


寅が広げると、紫系の大きな花柄のアロハだった。


「どうお?」

寅が胸に当てた。


「思ってたより、結構、似合うなあ。でも・・・普段は着れないわ・・・」

寅はもう一度、アロハを持ち上げて、広げてみる。


「パジャマ代わりに着るよ。それなら、いつも着れるだろう?」
「・・・おおきに・・・」
「こっちも、ありがとう・・・。お揃いだね」
「うん・・・」


寅はうれしそうにそれをビニール袋にしまう。




「明日は7時スタートだからね。6時には起きたいね。起きられる?」
「起こしてくれはる?」
「ええよ!」(力強く言って笑う)
「ほな、起こして」
「うん・・・」



二人で楽しい食事をして、少しお酒も飲んで・・・。

寅が寝る前に、いつものように、マッサージをしてほしいと言った。

  



キコは先にシャワーを浴びて、パジャマに着替え、キングサイズのベッドの端に座って、持ってきた本を読みながら、寅がシャワーから出るのを待っていた。


もう少ししたら、ヨンジュンはんがお風呂から出て、声をかけに来てくれるはずや。
いつものようにマッサージしてほしいと言うてたから・・・。


しばらくして、キコの部屋のドアが開き、パジャマ姿の寅が入ってきた。

キコのベッドに、大きくダイブするように倒れこんだ。


「寅ちゃん!」(笑う)
「ふん。(笑って)やって」

寅はうつ伏せに倒れたままだ。


「肩と手だけじゃないのんか」
「全部!」
「ふん。(笑う)あんたは大きいからなあ」


キコが布団から出て、寅の横へ行き、寅の長い髪を掻き分け、肩を揉む。

「ホンマに髪が長くなったなあ」
「キコと同じくらいになっちゃったね」
「ホンマ・・・。背中のほうへいくで」

背骨の脇に沿って、ゆっくり指圧しながら、手が下がっていく。


「腰もしっかり揉んでね」
「注文が多いなあ」
「あ、気持ちいい・・・」
「なあ、お尻を押すと気持ちいいよ」
「やって」
「うん」


キコが両手を広げて、寅の両方のお尻に手を置いて、左右少しずらして、手をぐい、ぐいっと押す。


「ホント・・・気持ちいい・・・」
「そやろ? これ、左右、手を揃えないところがミソ。交互に手の位置を変えるとええ感じなのや」
「・・・ふ~ん・・・」

「はい、ここまで・・・」

「足・・・」
「足も?」
「うん」

「あんたの足は長いさかい・・・・。これ、どこまで行っても終わりがないなあ」
「そんなバカな」(笑う)
「万里の長城みたい・・・」

「足の裏は乗っかってええ?」
「いいよ。乗って」
「ほな・・・」

「はい、おしまい・・・」


寅が仰向けになった。


「じゃあ、こっち・・・」
「どこ、すんねん・・・」

「全部」
「やや・・・」(笑う)

「どうして? やって」

寅は目を瞑っている。

キコは寅に跨って、顔のマッサージをする。


「ええとねえ・・・この辺を押していくと、顔のハレが引くんやて・・・」
「ふ~ん」
「そんでなあ・・・首はリンパマッサージやろ・・・。気持ちええ?」
「うん」

「胸? う~ん、わからん・・・」
「その下は・・・」
「なし!」(キッパリ言う)


寅が目を開けて、笑った。

「じゃあ、このまま、手をやって」
「うん! ええよ」


キコは寅に跨ったままだ。
片手ずつ、手を取り、いつものように、全体を揉んで、指を揉む。

「はい、もう片方・・・」
「うん・・・」


今にも寝そうな寅の顔を覗き込む。

「もう寝ちゃいそうやね」
「・・・寝ないよ・・・」


そう言いながら、スースーと寝息が聞こえる。


ホンマにかわいい・・・。
疲れてはるんやろ。


キコは笑いながら、手を揉む・・・。


「終わったでえ・・・」
「・・・うん・・・」

「自分のベッドで、寝なはれえ・・・」
「・・・うん・・・」

「ほら、ヨンジュンはん・・・」

キコが手を引っ張る。

「わかったよ・・・」

眠そうな顔をして、「ふ~」と起き上がり、部屋を出ていく・・・。



ごめんな・・・。
あんたが隣で寝てると・・・うち、胸が痛いから・・・。



キコは、ヨンジュンが出ていったあと、彼が寝ていたところに枕を持っていって、寝る。

あんたの温もり・・・あったかい・・・。








真夜中・・・・。






キャア~~~!!




キコの悲鳴が響き渡った。






キコの部屋のドアが開き、ヨンジュンが入ってきた。


「どうしたの?」

「ヨンジュンはん・・・うちの足元、見て・・・」
「足元?」

細いヘビがちょろちょろと歩いている。


「待ってろよ」


ヨンジュンがスリッパで、バン!と叩き、新聞紙に載せて、キコの部屋の窓から、ヘビを捨てた。


「おおきに・・・」
「部屋の中に住んでたのかなあ。あったかいから、冬眠してないんだ・・・」
「はあ・・・ニシキヘビでのうて、よかった・・・」

「ニシキヘビはそう簡単にはいないよ」(笑う)
「まあな。でも、足元で何か動いてたから、怖かった」

そういいながらも、キコも一緒に笑った。



「さ、もう寝よう」



そう言って、寅は部屋を出ていくのかと思ったら、キコの布団にさっさと入ってきた。

「なんで、あんたがここで寝るのん・・・」
「だって、ニシキヘビが出てきたら、怖いだろ?」
「出えへんて、自分で言うたやない・・・」

「出るよ。お休み!」

寅はさっさとスタンドの電気を消そうとする。


「なあ、少しつけておいて・・・怖いさかい・・・」
「・・・うん・・・」





スタンドの明かりが薄暗くついている・・・。



寅は腕をのばして、キコを引き寄せる。
薄暗い中、二人は見つめ合った。


寅の手がキコのパジャマのボタンをゆっくり外す。

キコの胸が大きく波打っている。
パジャマの下には、何もつけていないので、胸が丸見えだ。

ゆっくり、寅がパジャマを脱がす。

「と、寅ちゃん・・・」


寅が抱き寄せ、キスをする・・・。
今、彼女は上半身、何もつけていない・・・。

「う~ん・・・」


寅がキコの顔を見つめている。


「はあ・・・」

キコの口から息が漏れる。


それでも、寅の手がパジャマのパンツにかかったので、彼女は自分でパジャマのパンツを脱いだ。


寅が少し微笑んだ・・・。

寅の体が少し起き上がって、キコの上に重なる。

キコは呼吸が苦しくなってきた。

寅の顔がまた近づき、キコに長いキスをした・・・。



あ~ん・・・。

もう逃げられへん・・・。

逃げられへんわ・・・。

逃げたら、あかん・・・。

ここで逃げたら・・・あかん・・・。


ああ・・・。


寅の目をやっとの思いで見つめる。




寅が微笑んで、キコに囁いた。

「パジャマを脱がせて・・・」


キコは、少し震える手で寅のボタンを外した。










「おはよう」

キッチンで、バスローブを着た寅がコーヒーメーカーを見ている。


「・・・おはようさん・・・」
「コーヒー入れるよ」

寅はにこやかに言った。

「うん・・・」

寅は、横に立っているキコを見る。
そして、何を思ったのか、抱き上げて、キッチンカウンターに座らせた。


「こんなとこに座って、お行儀悪いやろ?」

キコは控えめに笑って寅を見る。
彼女はもう洗面も着替えも終えて、薄いカットソーとパンツに着替えている。

「いいんだよ」


そう言って、笑ってコーヒーメーカーの準備をする。

「でける?」
「できるよ」
「寅ちゃん、機械に強いよね」
「そんなことないけど・・・このくらいのものは大丈夫」
「そう・・・」

コーヒーメーカーが動き出した。


寅が向きを変えて、キコの前に立った。

「なあに?」
「ふん。(笑う)」

軽くキコにキスをして、頬を撫でた。


「・・・これがしたかったのやな・・・」
「ふん。(笑う)そう・・・キコはちっちゃいからね」
「ふん。(笑う)」


キコは顔を見つめられると、恥ずかしそうに足を揺らした。
寅は横を向いて、コーヒーを見る。


「ほら、ちゃんとできてるだろ?」
「うん・・・」


二人はちょっと躊躇いながら、ぎごちなく少し目を逸らし、向かい合うような、顔を見ないでいるような、微妙な視線を投げ交わす・・・。

それでいて、二人はとても近くにいる。


寅が手をキコの太ももの上に置いた。


「アジアツアのDVDで、砂糖2つは免疫力が下がるて、あんた、言うてたなあ」
「そうだよ。キコはいくつ入れるの?」

「砂糖はいらん」
「砂糖なしね」
「うん。でも、牛乳はいっぱいね」
「わかった。牛乳も沸かそう。ちゃんとしたカフェオレにしてあげるよ」
「おおきに」
「うん」

寅がミルクパンで牛乳を温める。


「ここのミルクて新しいの?」
「うん、ミルクと卵とハムとパンとジュースは、新しいのを入れておいてもらったんだ」
「そうかあ・・・」
「キコが自炊するって言って」
「そうなん・・・」


「いいねえ。君は座ってるだけで」
「ほな、降りるよ」
「いいよ。そこで」(笑う)

「・・・特等席」
「そう・・・キスつきの。いいでしょ?」
「・・・ふ~ん・・・ええよお・・・」

キコはちょっと恥ずかしそうに上目遣いで、寅を見つめた。


「ではまず、キコに。レディファースト。はい、カフェオレ、完成」
「コマウォヨ」


キコがマグカップを受け取り、寅が次のコーヒーを入れるのを待つ。


「いいよ。先に飲んでて。目玉焼きも作ってあげよう」
「うちは見てるだけ?」
「そう・・・」
「ご馳走様」(微笑む)


寅が笑ってキコを見て、フライパンの用意をする。

「いくつ食べる?」
「片目だけ・・・」
「普通、一個って言うでしょ?」
「まあね」(笑う)


「ハムを敷くよ」
「うん」
「二人分、一緒に作っていいよね?」
「うん・・・」


キコは座って、寅が作るのを見ている。




「キコはんて・・・たまに変なこと言うよね・・・」


寅はフライパンの中を見ている。




「うちは二号さんでいいですとか・・・」
「・・・」


フライパンに少し水を入れて、蓋をする。


「でしょ?」(フライパンを見ている)
「・・・」(黙って寅を見つめる)

「そういうのって・・・変だよ」
「・・・」

「一号もいないのに・・・」


寅は、ガスの火を弱める。



「違う?」
「・・・」
「変じゃない?」

「・・・ちっとも、おかしくないよ」


寅がキコの顔をじっと見た。




「そう?」

「一号は・・・譲るから・・・」(やっと言葉にする)

「・・・なんで?」

「・・・うちは・・・ここの国の人やないから・・・」
「・・・」
「ええねん・・・」

「・・・」



「できた?」
「うん」

「お皿取る?」
「いいよ。自分でやるから」
「そうお?」
「うん・・・」


「降りる?」
「うん」

「降ろしてあげるよ」
「・・・」


寅が目の前に来た。
じっとお互いを見据えて、抱きあい、しっかり顔を見つめ合う。

寅がキコの後頭部をしっかり持って、キスをする・・・。
そして、抱きしめる。

「頑固だね・・・」

「・・・お互い様」

「うん・・・。(肯く)じゃあ、二号さん、降りて」


寅に抱かれて下に降りた。






「テーブルで食べる?」
「そうしよう」


二人は少し黙って、朝食を取る。





「今日はいい天気だね」

寅が窓の外を見る。


「ええゴルフ日和やね」
「うん・・・」


「午前中に回って、午後はいったんここへ戻って休んでから、夕方、チェジュへ帰るよ」

「うちが帰るのと同じころ?」
「そうだね」

「うん・・・」


「寅ちゃん・・・」
「何?」

「心配せえへんでええんよ。うちは幸せやさかい・・・」
「・・・」

「な。こんな幸せもあるねん・・・」

「でも、僕は二号さんなんて思ってないから」
「うん・・・」(肯く)

「・・・」

「今日も楽しく過ごそ」


キコが笑った。



「一号さんができるまで、僕といて・・・」

「・・・」


キコはちょっと泣きそうになるが、少し首を傾げて口元に指を当て、泣きそうな思いを堪えて、寅をじっと見つめた。



「寅ちゃんは・・・いつもうちの一番や・・・」

「うん・・・」



二人はしばらくしんみりと見つめ合って、そして、笑った。









後編へ続く^^






注釈~(これは書いた当時のものです)


確か、二人が知り合ったのは、昨年の極秘滞在の時・・・。
あれから、一年以上が経過しました・・・。
楽しいお姉さんから、気持ちのわかる友達へ・・・。
そして、恋人に変化していったとしても自然でしょう・・・。

ただし・・・このお話は「実話」なので・・・^^
ある制約もあるのです・・・・。

恋心がありながらも、これからも「微妙な距離」の二人です・・・。


さて、次回は、もう「キャデー」さんになるしかありません!

いったいどんなことになるのでしょうか・・・。


ではお楽しみに!





2010/10/13 01:12
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコ12「キャデーさんでっか?」前編


 



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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;




BYJシアターです^^


先日、武田鉄也さんが言ってた言葉を思い出しました^^

「ときどき、顔の輪郭とかはっきりと見えない人がいる」
(この場合、龍馬なんですけどね^^)

「そういう人は、持っているエネルギーが強すぎる」んだそうです^^


私の見たペ・ヨンジュン・・・存在が不思議なほど、輪郭がぼやけてます^^

で、

武田のおっさんの意見に「そおうか~~~^^」と思ったわけ~^^

私が老眼だからではないです^^

まあ、近視ですが・・・
隣にいたシンさんは、はっきりくっきり見えちゃってましたからね^^



では、シアターへいきま~~~す^^



~~~~~~~~



ここのところ、キコはんを置いています^^

今日から3回に分けてって、これ、長いんどす^^

でもね~~~~

ここがええとこだす^^v


ということで、

キコシリーズ⑫
「キャデーさんでっか?」です^^

2006年の暮れ、ホントに大晦日にかけて書いた作品です。

寅ちゃんファンには、この12話は読み逃してほしくない回です・・・。



では!



前の11話からしばらく連載していなかったところからなので、
キコはんのご挨拶から始まりますが、

よろしくお願いします^^


喜劇のようで・・・ホワ~ンとあったかく、切ない二人のお話です^^






ではお楽しみください^^v




~~~~~~~~~~~~~~~





おこんばんは^^


キコどす。


こんな高いところから、挨拶なんて
ホンマ、恥ずかしゅうて困るんやけど・・・

kikoさんがな、
皆があんたのこと、心配してるよって
言うさかい・・・。


ご挨拶申し上げます。


今年もお世話になりました。


少し、うちも忙しくて、kikoさんにも
電話もでけんで、ご無沙汰してしもた。

でも、年の暮れに、顔出さんわけにはいかへんやろ^^?


ほな・・・うちと寅ちゃんのお話、

少し聞いておくれやっしゃ^^


これ、前編・中・後編の3回だす・・・。



ほな、ここから本編どす・・・。













なんで、うち、ここにいるのやろ・・・。




グアムののどかなホテルのプールサイド。
キコはんが、本を片手に寝転んでいる。



「キコはん、ねえ、どうする? フラの講習に出る?」

大きなツバの麦わら帽子にサングラスのゆき姉さんがやってきた。

「フラダンス? どうしようかな・・・」
「だよねえ・・・。やっぱりさ。自費でチェジュに行けばよかったね、私たち」
「ホンマ・・・」

キコが、なあんかやる気のなさそうな目つきで、ゆき姉を見る。


「キコはん、ホントに失敗したね。今頃、ヨン様、EXPOの真っ最中よ。それにしても、なんで依りによって今、社員旅行なのよ! それもグアム。 それもこんな時期に!」
「もこみちやろ?」

「そうだねえ。花子があんなのにイカれちゃうから、私たちまで道連れで・・・最初韓国旅行って言ってたのに」
「ホンマ・・・。ちっとも、あの子、もこみちに似てないのに・・・」



キコの旅館の一団は今、グアムのスポーツクラブに2泊3日で滞在している。
依りによって、旅館の社員旅行が「スポーツクラブ」なのか。

マリンスポーツをやりたがったのなんて、もこみちと花子・・・いや、東大生のもこみちだけだ。
板さんたちも仕方なく、ウィンドサーフィンをしたり、慣れないゴルフのスィングを練習している。



「キコはん・・・。女将さんね、もこみちと花子を同じ部屋にしてるのよ」
「ええ・・・大胆・・・」
「だって、子供なんかできちゃってごらん。東大生が手に入っちゃうんだもん・・・。このまま、金づるでは終わりたくないのよ」
「金づるか。女将はん、その辺はわかってはるんや」

「当たり前じゃない。うちの子は、伊東美咲にそっくりって口では言っても、良子ちゃんはどう見ても、花子だもん。親は娘の実力をよく知ってるわよ」

「まるで、戦いやな・・・」
「そう、男と女の戦いよ。もこみちが逃げ切るか、女将さんたちが勝つかね」
「ふ~ん」


男と女の聖戦や・・・。



うちと寅ちゃんなんて、まるで、おとぎ話の世界や・・・。

おんなじベッドに入ったかて、なあんもない・・・。
まあ、キッスはしたけどな・・・。



「寅ちゃん・・・」

「・・・キコはん?」
「え?」

「寅次郎でも見たいの?」
「ふん。(ちょっと笑う)なあんかねえ・・・。見たくなっちゃった!」
「バカね」(笑う)




遠くから、ゆっこの声がする。

「姉さんたち~。フラの講習、始まるよお~」

「キコはん、行く?」
「うううん、うち、ここで、本読んでるわ」
「そうお? じゃあね」




ホンマ・・・。

寅ちゃんに逢いた~~~~い!










「ねえ、なんで、来られないの?」(あ~ん、ベルベットヴォイス!)
「だってえ・・・社員旅行があるさかい・・・」(ちょっと甘えた声)


キコが旅館の柱に寄りかかって、残念そうな顔で、携帯で話をしている。


「ふ~ん」
「・・・仕方おへんやろ?」
「まあね・・・」


でも、『来い!』と言われれば、行くで・・・。



「・・うちが行けんでも、たくさんの家族が行くやろ・・・。ええやんか・・・」
「う~ん、そっか・・・。せっかくチェジュのロッテホテル取ってあげたのにね・・・」
「ええ!」(もったいない!)

「でも、仕方ないね。うん・・・仕事にはチームワークが大切だもん。やっぱり、社員旅行は行かなくちゃね・・・。行っておいで」
「寅ちゃん・・・ふ~ん・・・」(ガ~~~ン)


普段はあんまりくどくどと言わない寅ちゃんなのに・・・、ロッテホテル取ったって、残念そうに言ってはった・・・。
きっと、来てほしかったのやな・・・。

なんか、感じるところがあったのやろか・・・。

ああ、行ってあげたかった・・・って、ホンマはうちが行きたかったのやけど・・・。








「姉さん、ずっと浮かない感じだね」
「ああ、ゆっこちゃん」


帰りの飛行機の中で、2つ前に座っていたゆっこがやってきた。


「ねえ、これ、お土産に買っちゃったあ」
「どれ?」

「コアラのぬいぐるみ。見て。かわいいでしょ」
「コアラて、あんた、オーストラリアや、ないでえ」
「あ、そうか・・・。デューティ・フリーってこれだからやあよ。なんでもあるから!」

「でも、かわいいで」
「そうお?」
「うん!」
「なら、よかった」

「もうすぐ、関空?」
「後一時間ぐらいやないの? なんか疲れに行ったようなもんやった・・・」
「姉さん、大丈夫? なんか疲れた顔してるよ。もっと楽しめばよかったのに。ゆき姉さんだって、ヨン様のEXPO行けなかったってぼやいてたけど、ちゃんとお土産買ってたよ」
「そうかあ・・・。でも、買うもんもないしな・・・」


キコは、飛行機の窓の外を見る。


だって、寅ちゃんは免税店の広告塔やさかい。
免税店に住んでるようなお人に、何買ってく?
何を買ったら、ええと言うのや・・・。


EXPOはどうやったのやろ・・・。
PCもぜんぜん見られんでつまらんかったわ・・・。


キコがまた窓の外を見てため息をつく。


「姉さん、あれ見て」
「どれ?」
「ほら」


飛行機の通路を、もこみちと花子が絡み合って歩いている。
時々、見つめ合って笑っている・・・。もこみちが花子を抱いた。

「大胆だよねえ。女将さんもよくやるよね・・・」


「・・・寅ちゃん・・・」


「姉さん?」
「・・・」


キコが、ぼうっと、もこみちたちを見つめている。


「姉さん、大丈夫?」
「え?」
「今、寅ちゃんて言ったよ」

「ホンマ?」
「うん。だれ?」
「・・・ああ・・・姉貴のところの犬・・・。病気なんだって・・・」
「そうか。それは気がかりだよね」
「うん・・・・」



キコはまた、窓の外を見て、「寅ちゃん・・・」と呟いた。








キコシリーズ⑫
「キャデーさんでっか?」前編






「錦の間、お銚子3本追加!」
「あ、キコはん、これ、隣の赤富士にお願い」
「なんで。赤富士は、ゆき姉さんやないの」
「それがねえ・・・。なんか急用とか言っちゃって、さっさと早引きしちゃったんだよ」

「へえ・・・どないしたのやろ・・・。赤富士やな? うん、わかった・・・。ゆっこちゃん、錦の間のお銚子頼んだで」
「よっしゃ! ねえねえ、姉さん。うちのがね、コアラかわいいって」
「あれ、旦さんへのお土産やったんか!」

「もちろん! フィギュア関係集めてるからさ」
「フィギュアね・・・ぬいぐるみとちやうの?」
「何バカなこと、言ってんのよ、姉さんは!」


ゆっこが笑った。


そうおかあ?
不思議やなあ・・・。



「キコはん、赤富士!」
「へえ!」



キコは赤富士のお膳を3段積んで、廊下を足早に歩いていく。



ああ、今日もよう働いた。
ちょっと日焼けした肌に着物もエスニック風でええなあ・・・。


廊下の鏡に映った自分の姿にキコは見とれた。


これで、ピアスしたら、いけるかもしれへん・・・。


ブーウ、ブーウ、ブーウ。

なんや、電話か・・・。


帯の間から、携帯を取り出して、キコが見る。


「寅次郎」


寅ちゃん!



廊下の隅に行って、電話に出る。


「もしもし」
「もしもし、キコはん?」
「キコどす・・・」
「忙しかった?」
「少しなら、大丈夫やけど・・・ケンチャナヨ」

「そう。(笑う)12月7日なんだけど、こっちへ来られる?」
「なんで?」(行きたい!)

「うん・・・。休みが取れたからさ。ゴルフに行くことになってるんだ、その日」
「ゴルフ?」(うち、でけんよ・・・)

「ゴルフ場で会わない?」
「でも、誰か見てるやろ?」

「いい事、考えたんだ。一緒に回ろ」
「でも、うち、やったこと、ないねん」
「いいんだよ、できなくても。キコは見てるだけでいいから」
「見てたら変やないか?」

「だから・・・キャディさんの格好してさ」
「(噴出す)・・・まるで、スパイ大作戦やな」
「ちょっと楽しいだろ?」
「ホンマ!」
「おいでよ」
「う~ん、すごく行きたい・・・んだけど、これから、忘年会の季節やろ。それに・・・」


あ、そうや。
ゆき姉さんみたいに、急用だったら、誰も止められへん・・・。


「わかった。行く!」
「そうお? それは楽しいな。じゃあ、早速チケット送るね。いつものように、キムさんが空港に迎えにいくからね」
「わかった!」

「ねえ・・・」
「なあに?」
「グアムで、何したの?」
「バナナボート乗って・・・。ジェットスキーも乗ったやろ・・・あんたと一緒やったら、もっと楽しかったやろな」
「ふん。(笑う)」


「なんか・・・お土産ある?」
「・・・グアムの?」
「うん」
「ええと・・・」(一応、一つは買ったんやけど・・・)
「ないの?」
「買ったんは買ったやけどねえ・・・」

「ねえ・・・で、何?」
「ちょっとねえ・・・」
「何?」

「アロハ」
「フ・フ・フ・フ・・・」
「なんで笑うの?」
「あ、ごめん・・・」

「ちょっと派手なんやけど」
「でも、あるんだ」
「うん・・・」
「楽しみにしてるよ」
「うん・・・」




「キコはん! 赤富士、ビール追加!」
「へえ!」


「あ、戻らなあかん!」
「じゃあ、3日後ね」
「うん。ほな、さいなら!」



お仕事、お仕事!
あ、忘れてもうた・・・!

EXPO、頑張ったなあて、言うてあげたかったのに。忘れてしもた・・・。

今度、会うたら言う・・・。

忙しいと、大切な言葉を忘れるわ・・・全く!


全く!という顔をしたあと、キコはにんまり崩れるように笑って、スキップするように、廊下を走っていった。









それから、3日後。

「急用ができて、姉の所へ行く」とうそをついて、また飛行機に乗り込んだ。

それにしても、あの日から、ゆき姉さんはお休みしてる。
どないしたのやろ・・・。




空港に着くと、いつものキムさんが来ていた。


「キムさん!」
「あ、キコはんさん! お久しぶりです」
「お久しぶり。あんたはいつも元気そうやな」

「はい! あ、こちらへどうぞ」
「へえ・・・」
「荷物、持ちます」
「あ、おおきに」


キムさんの車へ乗り込む。


「今回はですねえ。ちょっと変わったところなんです」
「どこ?」

「ゴルフ場にあるコテージなんですよ」
「へえ・・・」

「ただね」
「ただ?」
「うん・・・。リスとか出てくるんですよ」
「かわいいやんか」
「う~ん、かわいいものだけならいいんですけど・・・」
「何?」
「僕もよくわからないんですが。まあ、皆冬眠してるといいけど・・・」
「なんやの・・・不気味やねえ」

「まあ・・・」
「そこって、一軒家?」
「そうです・・・」

「そこで一人で待つの?」
「まあ、そういうことになっちゃうんですけど」
「なんか、怖いなあ・・・」
「隣のホテルが取れなくて・・・満員だったんです」
「そうかあ・・・」

キコは少し不安になる。


「ヨンジュンさんもその辺をちょっと心配されてたんですけどね」
「あんたは少しいてくれはるの?」

キコが笑顔を作って、キムさんに聞く。


「ところが、僕も仕事があって・・・」
「そんなあ・・・。命あってのモノダネやなあ・・・」

「キコはんさん!」
「何?!」

「頑張ってください!」
「・・・仕方ないなあ・・・」





ゴルフ場の敷地内にあるコテージだった。
確かに眺めはよさそうではあるが、人の気配がない・・・。

少し離れたホテルがなぜか華やかな場所に見える・・・。
どの部屋もライトがついていて・・・ああ、人が恋しい!



ふ~ん・・・。仕方ないかあ・・・。
あん人は、人気もんやさかい・・・。
うちはここに隠れてるしかないのやろか。


「ではキコはんさん、頑張ってください。あ、これ、韓国での携帯です」
「おおきに・・・。一人で頑張るしかないのやな」
「ええ。明日の朝一番に、ヨンジュンさんが来ますから。朝、5時にはいらっしゃるそうですから」
「わかった・・・。頑張って待つわ。ほな、さいなら!」




キムさんの車は帰っていった。

まだ午後4時だからいいものの、夜になったらどないしよう・・・。

コテージの中は、暖房も行き届いていて、ぽかぽかと暖かい。
内装はおしゃれな感じで、キッチンも冷蔵庫もある。

電話をすれば、ホテルから料理も取り寄せられる。


寝室を見ると、大きなキングサイズのベッドが、ボン!と一つある。
隣の部屋は、2段ベッド。



ただし、一人ぼっち・・・。


テレビでも見てるか・・・。


テレビを見ても、韓国語だらけ・・・。
雑誌も新聞も・・・もちろん・・・。


あ~あ!


持ってきた本を少し読んでいるうちに、キコは転寝をした。



玄関のチャイムが鳴り響いている。

全く鳴り止まない。



なんやの、今ごろ。

何時や・・・。7時!
ずいぶん寝てしもうた。


今出るがな・・・。



「はい!」
「ケータリングです」
「頼んでませんが」
「キムさんからのお電話で」
「ああ、キムさんね」




キコがドアを開けた。


「わあ!」
「・・・」


そこには、寅が立っていて、満面の笑みで、キコに抱きつくようにして入ってきた。


「待った?」

寅は幸せそうな顔で言った。


「・・・」
「どうしたの?」


キコは口を押さえて、寅を見上げた。


「どうしたの?」
「・・・もう!」(ちょっと胸を叩く)
「泣いてるの?」


キコがちょっと涙を浮かべて、寅の胸に顔をついた。


「大丈夫?」
「なんでここなん? 寂しかったわあ」

「ごめん!」

「なあんも、ないんやで!」
「ごめん!」

「今日、来るなら来るて、言うてよ。そしたら、元気に普通に待てたのに・・・。一人でここで夜を明かすんかと思うたら寂しかった・・・。怖かったわ・・・」
「・・・ごめんよ。脅かそうと思ってさ・・・。きっと驚いて喜んでくれると思ったから。ごめんね。それに、夜来るって、キムさんにも知られたくなかったから・・・」
「うん・・・。まあ、仕方ないな・・・」


「会いたかったよ」(顔を覗く)
「うちも・・・」(笑顔)
「そう・・・?」
「うん・・・」


「そうだ。ゴリラから料理をテイクアウトしてきたんだ。ちょっと待って。車にあるから」
「うん。運ぶの、手伝うで」



寅がコテージの前に止めた車の中から、ゴリラの袋をとり出してキコに渡す。

ナイキのウエアの上下を着込んだ寅は、キコが思っていたより、ほっそりとしていたが、体の動きがしなやかで、全体的には肌はつややかで、暗い外でも輝いて見えた。



「寅ちゃん、元気そうやね」
「まあね」
「仕事が順調なんやね?」
「そうだね。じゃあ、中へ持って行こうか」
「うん」





コテージのテーブルに、ゴリラの料理を広げる。


「お茶、入れてくるわ」
「ありがとう」


「なんか、顔が輝いてるで」
「そう?」
「今のタムトクさんは、剣とか使えて、おもしろいやろ?」
「そうだね。乗馬や立ち回りがあって、結構楽しいんだ」
「よかったなあ」

「なんか、キコの顔も黒光りしてるよ」
「そうお? 少し焼けたから」
「うん、キレイだよ」
「・・・ホンマ?」
「うん・・・」


「はい。お茶」
「ありがとう」

「EXPOは来られへんでごめんな・・・」
「いいよ。職場の皆と行動をともにすることも大事だから」

「うん・・・。でもな、あんたの事が気になって・・・あんまり身が入らんかった・・・」
「そう・・・。なんか悪いことしちゃったね」
「悪くはないよ」(あんたをポゴシッポってずっと思ってたのはうちやもん・・・あんたのせいやない)


「テレビやネットで見たよ、EXPO」
「そう」
「うん・・・少し疲れてた? なんかそんな感じがした」

目がいつもと違ってたよ。


「ちょっとだけね。ちょっとだけ・・・緊張してたし、ちょっとだけ・・・成功するか心配だったから」
「ふ~ん」(そんで、前の日、会いたかったのやね・・・ごめんね)
「でも、そんな風に見えちゃった?」
「うううん・・・かっこよかったよ」
「うん・・・」

「明日は撮影が休みだからね。ここで、ゴルフするから・・・二人で回ろう。あ、キャディさんの服も借りてきたからね」
「おかしい! ホンマにうちが着るの?」(笑う)
「そうだよ。そんなデートもいいでしょう?」
「うん。おかしいねえ・・・」


二人は見つめ合って、笑った。







続く^^




キコはん、キャディさんになっちゃうようですが・・・

では次回、中編をお楽しみに!






2010/10/10 00:46
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん11「東京で逢いたい」後編


 



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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;


BYJシアターです^^


雨の連休になってしまいましたね。
運動会が流れちゃったところもあるかな・・・?

おうちでゆっくりされる方はちょっとキコはんになって・・・
寅ちゃんとの時を楽しんでくださいね^^




大好きなともだち・・・

それが・・・



いよいよ・・・

二人の関係が変わっていく回です・・・。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~








キコシリーズ第11回
【東京で逢いたい!】後編




寅が驚いて、キコの顔を見つめた。


「ハングル、わかるの?」
「少しだけや・・・」
「勉強したの?」
「うん・・・(微笑む)だって、寅ちゃんの言ってること、わかりたいやないか」
「・・・」(見つめる)
「寅ちゃんがつぶやくこと、知りたいやない」
「・・・」
「ええやろ?」
「それで、わかった?」
「うん・・・」(微笑む)

「そうだよ・・・帰りたくないよ」
「うちも。オヌルン ポネゴ シプチアナヨ」(今日は帰したくない)
「キコ・・・」


キコが手を伸ばして、寅の頬を撫でる。


「・・・こんな疲れた顔のまま、帰したくないやんかあ」
「キコ」



すると、見る見る間に、キコの目から大粒の涙が零れ落ちた。


「キコ、心配させちゃったね」



寅がキコの涙を指で拭うが、後から後から、涙が零れ落ちる。



「ごめんよ。泣かせて」
「うううん。うちも止められへん」
「・・・」
「自分の気持ちで抑えることがでけん・・・」



寅がまたキコを引き寄せて抱きしめた。
寅に抱かれたまま、キコが寅の顔を見上げる。



「あんたを思うと、泣ける・・・。自分でも抑えられへんねん・・・」
「・・・泣かないで・・・」
「・・・どうしてやろ? 今日は止められへん」
「いつも泣きたかったの?」
「・・・わからへん・・・。でも、あんたを思うと、辛くて胸が痛くなる。時に泣きたくなる」


「僕もキコが好きだよ」
「うん・・・(頷く)そうやね・・・きっと」
「わかる?」
「うん・・・わかるよ・・・」
「好きだよ」
「うちも。うちが好きなんは、わかりきってたね」(涙を流しながら、微笑む)
「・・・」(微笑む)



寅は、微笑みながら、キコの流れ落ちる涙を拭く。




「ずっと好きや・・・ずっと」
「ずっと好き?」
「うん。あんたの気持ちとは関係なく、ずっと好きや・・・それでええ・・・」
「ふ~ん・・・。(首を傾げて)今は、一緒に好きでいさせてよ」



キコは、涙を流しながら、やさしい笑顔で囁いた。


「ええよお。好きになってくれてて、ええよお」
「おおきに・・・」



キコは自分で涙を拭いながら、


「なあ、来て。帰りたくないなら、ソファに座って話そ」



「それなら、寝ながら話そ。疲れちゃったから」(笑う)
「あんたはいつもそうやね。ええよ」







ホテルのリビングにある大きくて深いソファに二人で寝そべるようにして、足を投げ出して座る。
寅がキコの肩を抱いた。




「ふ~ん・・・こうやって、ゆっくりしていたいよ」
「うちは、あんたの幸せな顔が見たい・・・。今日は疲れてたな・・・」



キコが横を向いて、顔を撫でる。


「こんなに疲れて・・・。仕事だけやないの?」
「ふ~ん・・・いろいろね。気を使うから・・・」
「そうか・・・。少し休むとええ・・・」
「うん・・・」
「寅ちゃん?」



寅は、目を瞑っている。


「う~ん? チョム ピコネ・・・ネイル イルチク イロナヤドウエ・・・」
(ちょっと、疲れてて・・・明日は早く起きなくちゃ・・・)



「なあ、寅ちゃん、明日は早いの?」
「ふ~ん・・・7時には・・・朝食、とるよ・・・」
「そうか・・・。たいへんやな・・・今、何時や?」
「・・・」



「寅ちゃん? 寅ちゃん?」



顔を覗くと、寅は、スースーと寝息を立てて寝ている。



キコはしばらく寅の顔を見つめていたが、頬を撫でて、呟く。




「寅ちゃん・・・ヨンジュンッシ・・・。ノムノム ポゴシッポッソヨ・・・。あんたがいないと・・・スルスルレソ・・・ボゴシッポソ・・・モクソリ トゥッコシッポソヨ・・・。クリウォソ・・・カスミ トンピン ゴッカッタソ・・・ヨンジュンッシ・・・サランへ・・・」
(寅ちゃん・・・ヨンジュンはん・・・。ホンマに逢いたかったで・・・。あんたがいないと・・・寂しくて・・・逢いたくて・・・声が聞きたくて・・・。恋しくて・・・胸に穴が開いたみたいで・・・ヨンジュンはん・・・愛してる・・・)



「ふん・・・。プク シュイセヨ」(ゆっくり休みなはれ・・・)


「うちと一緒にここで寝よな・・・。起こしてあげるさかい・・・布団、かけよか。クーラーが利いてるさかい・・・」




キコは、そっと肩に置かれた寅の手を外し、立ち上がって、ベッドルームに毛布を取りにいった。




寅の目から涙がにじんだ・・・。













キコの目覚ましが鳴った。

5時だ。



「寅ちゃん? 寅ちゃん。起きて・・・。なあ、起きなあかん・・・。部屋に戻らんとあかんやろ?」
「うん?」
「寅ちゃん! うちの部屋で寝てしもたで。起きて」
「ああ・・・そうだったね・・・。今、何時?」
「5時」
「そう・・・。もう少し寝かせて」
「だめや。あんたが部屋にいんかったら、困るやろ? あっちで寝て。なあ」
「そうだね・・・」
「起きてよお」
「うん・・・」



寅がゆっくり目を開けて、目の前で、顔を覗きこんでいるキコの顔を見上げる。




「おはようさん・・・。戻らなあかんやろ?」
「そうだね・・・」



寅がキコのほうに手を伸ばす。



「なんや?」
「引っ張って・・・」
「もう、ふざけてるう・・・」


「重い!」
「もっと引っ張って」
「重い! なあ、真面目に起きてえ。少しでもベッドで寝たほうがええよ」
「うん・・・」
「もう、やや。なあ、寅ちゃん!」
「起きる・・・」




寅が起き上がった。


キコが見ていると、ヨレヨレと、寝室のほうへ歩いていく。




「なあ、あんたの寝室は、こっちやないで」




「なあ、なあ・・・」



もう、寅はキコのベッドで寝ていた。



「もう、帰らな、たいへんなことになるでえ。なあ、寅ちゃん!」
「来て」
「もう、あかん!」
「来て」



キコがベッドの横に立つと、寅が手を引っ張った。




「もう少し、寝かせて」
「でも、マズイやろ?」
「いなければ、ここにいると思うだろ?」
「でも、そんなことになったら、事件やないの?」
「もう少しだけ、寝かせてよ。大丈夫だから」
「ホンマにもう・・・」



「しゃあない・・・。じゃあ、目覚まし、かけるからな。何時に起きる?」
「6時」
「6時な・・・」



キコが目覚ましをセットすると、寅の腕が伸びてきて、キコを包むように抱くと、また深い眠りについた。









朝、ぼうっとした頭で、キコは目覚める・・・。




あれ、今日はなんやったっけ・・・。



あ! 寝過ごした!




キコがドキッとして、隣を見た時は、寅はもういなかった。


時計の針は、8時を過ぎていた。









キコは自分の部屋で朝食をとると、街に出て映画を見たり、ウィンドーショッピングをしたりして過ごした。

でも、心はそこにはない・・・。

何を見ても、少し胸が苦しい。





明日は、寅ちゃんのプロデュースするゴシレで、著名人を集めた食事会と記者会見がある。


寅ちゃんは、もっと東京で遊んでいったらと言うたけど・・・。
うちはもうそろそろ帰ったほうがええなあ・・・。


寅ちゃんの晴れ姿・・・きっとカッコええのやろな・・・。


昨日も息が止まりそうなくらい、素敵やったし。


寅ちゃんとずっと一緒にいたいけど・・・あん人も忙しい身やもん。

あんまりくどくどと、居ったらあかん。
足を引っ張ったらあかん・・・。



そら・・・寅ちゃんも寂しいかもしれんへんけど・・・。












「遅くなっちゃったね」
「気にせえへんでもええよ。ホンマに気にせんで。あんたがうちのことで、時間を気にしてほしくないねん」
「・・・うん・・・わかった・・・」
「うん、そんでええ」
「ねえ、今日は何してくれるの?」
「やや。なんかしてほしくて、来るんか!」(笑う)


「もちろん!」(笑う)
「そんなら、うどんを煮てあげよ」
「うん、いいよ」
「もう、つゆはでけてるんや。うどんを入れるだけやさかい」



キコは、キッチンのほうへ行く。



「何か手伝う?」
「今日は特にない。だって、うどん煮るだけやもん」
「そうだね」



キコが、冷蔵庫から缶ビールを取り出す。


「手え洗って、これ飲んで待ってて」
「うん」



寅がキッチンで手を洗う。


「うがいもしてな」
「ふん」(笑う)



キコは、うどんのたまを袋から出しながら、鍋のつゆが沸くのを待っている。


寅が近寄って、鍋の中を見る。


「何が入ってるの?」
「昨日の残りの豚肉。うどん入れたら、このおねぎも入れるさかい・・・」



キコの目はずっと鍋の中を見ている。

寅がもっと近寄って、キコの腰に腕を回して、顔を覗きこむ。



「・・・そんな・・・近くに来んで・・・」
「・・・」
「後で、マッサージしてあげるさかい・・・」
「・・・」
「う~ん・・・暑苦しい・・・」
「・・・」
「なあ・・・」



寅が背を丸くして、キコに顔を近づける。



「ねえ、キコはいつも何をつけているの? いいニオイがするよ」
「バーべナ」
「なあに? それ」
「柑橘系のお花の香り・・・」
「へえ・・・」
「昔は、恋の媚薬に使われたのや・・・今は心を癒すのに使うけど」
「へえ・・・それで、恋しちゃうんだ・・・」



キコが寅の顔を見上げる。




「イップダー」


寅がキコの顔を覗きこむ。



「え?」
「うん?」



キコが息を吐く。




「キコは、唇がかわいいよね」
「・・・そう?」



ドキドキしながら、寅を見つめる。




「うん・・・柔らかくて・・・」
「・・・なんでそう思うの?」
「うん? 柔らかかったから」(微笑む)
「・・・なんで・・・なんで知ってるの?」


「今朝、キスしたから」
「ええ?」(ちょっと息が漏れる)
「実は、この前もしたんだ」
「・・・う、うちは・・・知らんよ」


「キコはいつも寝ぼけてるからね」
「うそ!」
「・・・」(笑う)
「うそやろ?」
「どっちでもええやんか!」
「うそ・・・うそつき・・・」
「・・・」
「なあ・・・」
「・・・」



寅がキコのアゴをぐっと引き寄せて、キスをした。

顔を離して、二人は見つめあった。



「やっぱり、柔らかい」(囁く)
「・・・。うそやったんや・・・」
「怒ってる?」
「・・・」


寅がキコの向きを変えて、自分のほうへ向かせる。

そして、キッチンのシンクの上へ座らせた。


背の低いキコが少し背が高くなった。



キコの顔に顔を傾けて、寅が顔を近づけるが、二人で同じ方向へ首を傾げるので、鼻がぶつかりそうになって、笑う。

もう一度、真面目な顔をして、首を傾げ、キコの唇にキスをした。
キコも寅の背中に腕を回し、抱きつく。



うどんのつゆがぐつぐつと煮え立った。










寅の好きな肩と腕と指のマッサージを終えて、キコが化粧ポーチを持ってくる。
中を探って、寅に手渡す。



「なあ、寅ちゃんに、これ、あげる」
「何?」

「これ!」(手渡す)
「この棒?」
「うん。これで、顔をこうやって、スリスリして」


キコが寅からまた受け取って、寅の顔をスリスリする。



「顔のムクミが取れるから。あんた、疲れてくるとムクむやろ?」
「・・・ありがとう・・・」(受け取る)


寅は、眉間にしわを寄せながら、手にした美顔棒を見て笑う。




「おかしくても、使うてね」(笑顔で言う)
「うん・・・」
「リンパの流れに沿ってスリスリするとええみたい。うちはその辺、ようわからんけど」
「うん・・・」



寅が笑って、自分の顔をスリスリする。




「そんでなあ・・・うち・・・明日の朝・・・帰るわあ」




寅の手が止まって、キコをじっと見つめる。



「・・・ウエーヨ?」(どうして?)
「・・・・」
「・・・ムスンニリ イッソヨ?」(・・・なんかあったの?)
「・・・アニヨ・・・(首を振る)アムゴット アニエヨ・・・」(・・・うううん・・・何でもおへん・・・)


「だって、明日は・・・」
「・・・大切な日やろ・・・だから・・・見送ったら、帰るわ・・・」
「・・・いてくれないの?」
「はよ、うちへ帰って、テレビで見な・・・」(少し胸が詰まるが、我慢する)


「・・・もう少しいてよ・・・終わるまで・・・」
「・・・」
「いろよ」
「・・・」
「助けてくれないの?」
「・・・役に立てへん・・・」(泣きたいけど、我慢する)
「・・・そんなことないよ。・・・キコはいてくれるだけでいいんだよ」



引き寄せて抱きしめる。



「いるだけでいいから・・・ね・・・」
「・・・」
「それでいいから・・・」
「・・・」











今朝も、寅は早起きをして、出ていった。

今日はキコも寝坊せず、寅より先に起きて、コーヒーを入れ、起きてきた寅の顔をスリスリしてあげた。



「少しは変わった?」
「たぶんね。・・・少しほっそりした」
「うそ」(笑う)
「まあ、そんな感じがするだけかもしれへんけど」(笑う)


「じゃあ、行ってくるね」
「おきばりやっしゃ!」
「うん」
「やっぱり、今日の寅ちゃん、キレイ。うん、すごく顔がスッキリしたわ」
「なら、よかった」(笑う)
「じゃあ、行ってらっしゃい!」




キコは、ドアを開けて出ていく寅をじっと見送った。











午前11時。
キコが窓の外を見る。

そして、部屋の中を見回す。




雨が止んでる・・・。
・・・。
今のうちに、帰らな・・・。

今が引きどきや・・・。


帰らなあかん・・・。






キコは荷造りをして、今朝、寅の顔のマッサージをして、テーブルの上に置き忘れていった美顔棒を見る。

手紙を書いて封筒に入れ、美顔棒に添える。






キコは唇に手をやって、しばらく佇んだ。

そして、名残惜しそうにテーブルの封筒を見つめていたが、荷物を持って部屋を後にした。











「寅ちゃん、

ヨンジュンさん・・・・。


素敵な時間をありがとう。

あなたのお仕事の成功をいつも祈っています。


きっと、今頃・・・あなたはにこやかに挨拶をして、素敵な会を催しているでしょう。



うちも蔭から応援しています。


いつも、いつも応援してるで。

どんな時も!



だって、
大好きな、大好きな寅ちゃんやから!



さいなら!


キコ」












キコが新幹線を降りると、携帯が鳴った。

寅からのメールだ。



「無事に終わったよ」




キコはちょっと微笑んで、携帯をポケットにしまい、足早に駅の階段を下りていった。









THE END





2010/10/09 01:45
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん11「東京で逢いたい」前編


 



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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;







BYJシアターです^^


(追記):
今見たら、40万アクセス、皆さん、いつも覗いてくださってありがとうございます^^

この数字ってすごいです^^

サークルをやっていると、
5年かかって、60万ですから・・・


本当に皆さんがよく覗いてくださるのが
身にしみて、わかります^^

感謝です^^

これからもよろしくお願い致します。


kiko3







ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


本日は11話の前編となります^^

これは寅ちゃんの来日記念に書いたもので、
2006年の7月作品です^^


その前に「深夜の電話」という10話があり、
ざっと話すと、GQコーリアの編集後記について寅とキコはんが語っている章です。
過ぎてしまって読み返すと、とても重苦しい章です。
ブログでは、エンターテイメントとしておもしろいところをアップしているので、
ここを抜かし、11話を連載します。

10話の電話でも、二人の心はより近づいていったということで・・・



では、11話【東京で逢いたい!】をお楽しみください^^v





ではお楽しみください^^v




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


↓当時、来日していた彼へ^^


Hi, joon.

How have you been?



This "Kiko-han" 's story is an installment of a very interesting series!

I'm writting this "Kiko-han"serially.

She is not only funny but also cute and romantic!
She always makes you happy with her vigorous spirit!

And she gave you a Japanese name,"Tora chan".
Do you like it?


I think you would sometimes laugh, and sometimes cry if you read.

I'm sure that you would be moved this series and you could not help loving "Kiko-han" who is a very cute and attractive person!

Please read it!


(現実の追っかけの世界から離れて、どうぞ、楽しいキコはんの世界でお楽しみください・・・)








キコシリーズ第11話
【東京で逢いたい!】前編

(2006.7月作品。時はゴシレオープン直前)









「すんまへん。ここまでお願いします」


キコがタクシーの運転手に地図を見せた。



「ええとここは・・・」
「声に出したら、あきまへん!」

「な、なんでですか?」
「CIAに聞かれたらマズイ・・・」
「そんなあ~。お客さんと私だけですよ」(笑う)
「まあな。(笑う)ここ、行きたいねん」
「わかりました・・・。声に出したらいけないんですね?」
「そうや」


キコがタクシーの運転者にニコッと笑った。






あ~あ、また、来てしもうた・・・。


毎回毎回、これで最後かもと思うのやけど、また逢うてしまうのや。




あん人から、メールが来たのが先週の木曜日。


「東京に行くから、会おう」て・・・。


まあ、この連休を外してきたのはエライ。

うちも働き詰めやったもん。

おかげで、簡単に有給が取れたわ・・・よかった。



それに今回は、先々週、梅田の百貨店のバーゲンで服買うたばかりやし、ラッキーや。

「今回は2~3日、おいでよ」て言うたさかい、服がたくさんいるしな・・・。



温泉街で着ているときはおかしくなくても、梅田に出ると、たまに浮いた感じの時があるさかい、
服装には最近ものすごく気を配っているのや・・・。

ヨンジュンさんに会わん時でも、やっぱりいつもちゃんとしていたいもんねえ。
普段のセンスが出るさかい・・・危ない危ない・・・。



そういえば。

この秋の社内旅行。ソウルに行くて話が出てて、皆で盛り上がって、うちやゆっこちゃんやゆき姉なんか、めちゃくちゃうれしかったのに・・・。


女将はんが、娘の彼氏の速水もこみちくずれの東大生に強請られて、サイパンになってしもうた。

「マリンスポーツがしたいな」

その一言で決まってしもた。

職権乱用や。



ソウルなら、一緒に連れてってほしいて、芸者のしな奴やお三味のおりんちゃんも女将はんに頼んでいたのになあ。

み~んな、一気に冷めたわあ。




でも、今回、ヨンジュンさんが来てくれたから、一人で会いやすい。


社内旅行やと、一人で行動したら、皆に怪しまれるしな・・・。




ああ・・・。


キコはタクシーの外を見る。


今まで温泉街と、たまに出る梅田の百貨店がキコの世界だったのに、ヨンジュンさんとの出会いがあってからは、なぜか東京が、キコにとって、身近になってきている。



寅ちゃんにとっても、うちにとっても、他所の土地のはずやのに・・・・。


ここに思い出が蓄積していくのや・・・。

246やったり・・・渋谷やったり・・・。






「あ! 運転手さん! 今のスーパー、寄ってもらえます?」
「お客さん、あそこはちょっと高いですよ。高級食材ですからね」
「でもな、東京をよう知らんのや。あそこは有名やろ。あそこでええ」
「そうですか? 普通のスーパーの倍はかかりますよ」
「うん・・・でもええ。少し駐車場で待ってて。すぐに買うてくるさかい」
「ええ、いいですけど・・・。戻ってきますよね?」
「うちを信じて!」
「ちょっとねえ・・・」
「ほな・・・。この上着、預けてくわ。これ、高かったんやで」
「・・・わかりましたよ」(笑う)





キコは、有名高級スーパーの店内で、料理の材料を買っている。


「ええと・・・。あん人は豚しゃぶが好きやからな・・・。何グラム買うたらええ?・・・う~ん、800買うて、明日、残りでうどんを煮てもええなあ・・・。それから、お酒と・・・あ、ほうれん草、これ大切。お昆布は持ってきたし・・・。ポン酢も持ってきたやろ・・・。
それから、紅葉おろしを作るさかい・・・。大根・・・。残りは明日煮てもええし・・・。それと・・・おねぎや・・・。それから・・・」


ホンマに高いなあ・・・。


キコは、レジの後で財布の中身を見ている。
ホンマに普段の2倍は軽く使うてしまった・・・。





まあええわ・・・。

新幹線代、寅ちゃんが出してくれたさかい・・・。

最近、交通費出してもろてて、マズイなあ・・・。
そんなことしてると、うちから断れなくなるもん・・・。





キコが駐車場のタクシーに戻った。

「すんまへん。待った?」
「ずいぶん、買い込みましたね」
「そらな。ちょっと手料理するさかい」


「いい人にするんだあ」
「・・・わかる?」
「顔がうれしそうですよお」
「そうか! まあな!」





今回は、ほんの少しやけど、うちの手料理を食べさせてあげようと思うてるのや。

いっつもご馳走になってるさかい・・・。




この前のメールで、ちょっとこんなことを書いたのが発端や。



「寅ちゃん、
いっつもご馳走になってるやろ?

いつか、うちの手料理もあんたに食べさせてあげたいわ。

そんなに下手ではないよ。

キコ」



「下手ではない・・・て、普通は書かないでしょう?

おもしろい表現だね。

では次回、会う時は必ず、食べさせてね。

とら」



「ええよう・・・。

心して食べて・・・文句を言ったら、あかんよ。

キコ」



「覚悟するよ とら」



「ええ心がけや。

あんた、やっぱりエライわ。

キコ」





そしたら、今回の来日で、うちの部屋を、キッチン付きで頼んでくれはった。

これって、作れってことやろ?

あん人は、約束を忘れない人やから・・・。








「お客さん、あそこですよ」
「へえ・・・」

キコはちょっとため息をついて、高層の高級ホテルを眺める。





「着きましたよ。シークレットなホテル」
「おおきに。はい、これでええか」
「はい、おつりね・・・。手料理、頑張ってくださいね!」
「へえ! おおきに!」




笑いながら、キコはボストンバッグと、スーパーの買い物袋を持って、タクシーから降りる。
ロビーに入り、周りを見渡す。



「すごいなあ・・・こんなとこ勤めて、ジニョンさんになりたいわあ」





受付のところに立っていた男がキコに気づいて手を振った。



「キコ・ハンさん!」
「あ、キムはん!」


キムがうれしそうにやってきた。



「こんにちは! お久しぶりですねえ。この間のソウルホテル以来ですね」
「へえ。キムさんもお元気そうやね」
「荷物、持ちます。ずいぶん、買ったんですねえ」
「うん。明日、材料が残ったら、あんたにも、うどんでも煮てあげるわ」
「あ、どうも。おおきに!」
「うまいな、京都弁!」

「おおきに。こっちです」
「へえ・・・」









キコの部屋は大きくて、とても贅沢だ。


「なんやこれ・・・」
「ヨンジュンさんの部屋に近くて、キッチン付きで頼むとこういう部屋しかないんです・・・」
「そんな、勿体無い・・・」
「まあ、仕方ないですよ。ヨンジュンさんがこれでいいとおっしゃったから」
「そんな・・・。悪いなあ」
「ヨンジュンさんがあまり違う階に移動するわけにはいかないので」
「そうか・・・。まあ、そうやけど・・・。2、3人は泊まれそうやな」
「まあ、気にしないでください」
「うん・・・。そうや! 皆に和食作ってあげる。そうすればええやろ?」(にこやかに言う)
「まあ、あんまり気にしないでください。こちらも忙しいので」
「そうか・・・」(ちょっと残念・・・)



キムさんが荷物を置いた。



「ヨンジュンさんが戻られるのは、10時過ぎてしまいます。今日は午後からゴシレの最終チェックに行っていて、かなり時間がかかると思いますから」
「そうか・・・。ええよ・・・。あん人は忙しいお人やから。仕事で来てるのやもん。たくさん、仕事せな。うちも久しぶりに東京見物でもするさかい」
「そうですか?(笑う) ではまた。戻られたら、電話を入れます。午後10時くらいと思ってください」
「へえ、おおきに」
「キコはんさん、ここにはコンピュータもあるから、楽しいですよ」
「そうか? 至れり尽くせりやなあ。おおきに!」







キコは一人になって、高層ホテルの窓から、外を眺めてみる。



ちょっと自分には場違いな場所・・・。


こんな所に泊まって、精力的に仕事をこなす人なんやもんね・・・寅ちゃんは。




部屋の中を見る・・・。

贅沢な間取りの部屋。


うちのために、こんな部屋を借りられる人なんやね・・・寅ちゃんは。



あ~あ、なんか、ちょっと寂しい・・・。




ソウルのホテルはよかった。

あそこは外国やったし、まあまあの部屋やった。




でも、ここは日本や。

うちの国なのに・・・うちが一生泊まれないような部屋を簡単に予約でける。

あ~あ、やっぱり、違うなあ・・・。




まあ、ええわ。
これは、うちの夢の世界や・・・。

大好きな人と過ごす、ほんのちょっとの時間や。楽しもう!




そうや。東京もバーゲンや。

まだ、時間はあるな。

行ってこ!










午後10時半。

キコは風呂も入って、料理の準備もし、あとは寅が来るのを待っていた。

意外に、部屋のPCは役立って、時間が過ぎるのもあまり気にならなかった。






ピンポ~ン!





あ、寅ちゃんや!


キコが走っていって、ドアを開ける。

そこに寅がいた。



「寅ちゃん!」



うれしそうに言って、部屋の中へ通す。


寅はじっとキコを見つめた。



「お久しぶりやな」
「うん・・・」



二人にはちょっと距離があって、キコは笑顔で、寅はなぜかしっとりとした瞳でキコを見つめた。


「う~ん、寅ちゃん!」
「ああ・・」(顔の表情が解れる)



寅がちょっと躊躇して、手を差し伸べようか、迷って、結局、笑顔でやさしくキコを抱きしめた。



「よく来たね」


優しい声でつぶやく。


「へえ。呼んでくれて、ありがとう」


キコが寅の顔を見上げた。



二人は再会の挨拶を終えて、部屋の奥へ進む。





「寅ちゃん、悪いなあ、こんなお部屋取ってもろて。贅沢すぎて、困ったわあ。でも、一生に一度はこんな贅沢させてもらってもええなあ」
「気に入ってもらえてよかったよ。きっと・・・キコはんは・・・この部屋を見て困るだろうと思ったけど・・・これしかないから」

「うん。わかってる。寅ちゃんは、下の普通の部屋には来られへんもんね。考えたら、寅ちゃんの部屋には、寅ちゃんご一行様がいるんやもん。うちが訪ねるのは、変や」
「うん・・・」
「今日は忙しかったなあ。なあ、ゴシレで、試食してきたのやろ?」
「少しね。全部食べたかったけど、遠慮してきたよ」
「悪いなあ。宮廷料理のほうがよかったのに・・・。こっちは夜中やから、簡単なものを用意したで」
「そうお? 何かな?」

「なあ、こっち来て、座って。そうや、なんか飲むやろ?」
「ねえ、冷蔵庫の中にシャンパン、入れてもらったと思うけど」
「あれ、やっぱりそう? そうかなと思うたけど、違ったら、えらい高いもんやろ? ちょっと心配になった。でも、やっぱり、寅ちゃんが入れてくれたんやね」
「うん」



「そうや。なあ、一緒に作って。手伝って。手順覚えて帰って」
「僕も手伝うの?」
「なあ、いいやろ?」
「いいよ」


「なあ、この大根、摩り下ろして」
「大根?」
「うん。なあ、まず、手え洗って」
「わかってるよ」(笑って手を洗う)

「もしかしたら、寅ちゃんのほうがうちより料理上手や」
「そうかな・・・。あ、メール、変だったよね。『そんなに下手ではないよ』って、普通書かないよね」
「そうか? 正直に書いたのやけど。はい、これで擦って」

「こんなのも持ってきたの?」(おろし金を見る)
「うん、薄っぺたいんだもん。持ってきちゃったほうが早いやろ? でける?」
「できるよ。この大根の中に何が入ってるの? 面白いね」
「唐辛子や。ちょっと穴開けて、一緒に摩り下ろすと紅葉卸しになる。ちょっとぴりっとした感じ、ほしいやろ?」
「へえ・・・勉強になるな。ところで、何食べるの?」(笑ってキコを見る)
「今日はね。豚しゃぶ。寅ちゃん、好きやろ?」
「うん」



キコがダシをとった鍋の火をつける。



「これ、沸いたらテーブルで食べよ」



「楽しみだなあ。鍋に何入れるの?」
「豚肉とほうれん草だけ」
「え?」
「驚いた?」

「もっと野菜入れればいいのに・・・」
「それが違うのや。寅ちゃん、これも『わびさび』やで」(笑う)
「ええ?」
「うそや。このな、シンプルさがええねん。これ、常夜鍋て言うねん」
「どう書くの?」



「こうや」

指先を水で濡らして、キコがキッチンの食器棚のガラスに書く。



「つまり、every night お鍋や」
「へえ・・・」
「毎日、食べても飽きないさかい・・・名前の所以はホンマのとこはようわからないんけど。寅ちゃんがソウルに帰ってからでも自分ででけるメニューやで」
「へえ・・・。このダシは?」


「うちは簡単に水にお酒加えて、お昆布でダシ取るねん。昆布は煮すぎたらあかん。沸騰し始めたら取り出す」
「へえ・・・」
「そうせな、ダシ全体にお昆布のニオイがつくからな。でも、それもおいしいよ。それは好み。今日は取り出した」
「へえ・・・」
「日本のおいしい出し汁はな、お昆布をあげたら、鰹節を入れて、さっと沸騰したら、漉すねん。これ、一番ダシ。おいしいんよ」
「そうなんだ。旅館や料亭でいただくのがそう?」
「そうや。さあ、温まった。テーブルのコンロまで持っていこ」

「持ってくよ」
「おおきに。では、うちは寅ちゃんの大根おろしと、薬味持ってくね」







大きなテーブルの角の二人が座る。



キコが鍋の前に豚しゃぶ肉とほうれん草を並べる。


「これでしゃぶしゃぶや」


寅の器に味ポンと紅葉おろしと万能ねぎを入れて渡す。


「しゃぶしゃぶしたら、これ、つけて食べてな」
「・・・」


寅が、キコをじっと見て微笑む。



「なあに?」


キコが笑って寅を見た。



「ホンマにええ仲居さんどす」(寅が笑って言う)
「(笑う)そうか?」

「では、デモンストレーション!」


キコが菜箸で、豚肉を取って、お湯に潜らす。


「ほら、食べて」(寅の器に入れる)
「うん・・・・おいしいねえ、さっぱりしてて」
「な! 今度はほうれん草、食べてみて。しゃぶしゃぶ! はい!」
「・・・これもおいしいねえ」
「な! よかった! 口に合うて」



「こっちのザーサイとねぎのかかったお豆腐サラダも食べてね」
「うん・・・あ、おいしい。いけない! シャンパン、飲まなくちゃ!」
「ええよ。うちの料理にはあわへんやろ?」
「うううん、すごく合うよ」(笑顔で見つめる)



寅が冷蔵庫からシャンパンを取り出してくる。

そして、栓を抜き、二人で乾杯した。



「これ、おいしいなあ。ええもんやね・・・。う~ん、うれしい。おおきに、寅ちゃん」
「・・・。(微笑む)食べよ」
「うん!」




「なあ、寅ちゃん。大根おろしてな、おろしてから、30分置くと、栄養価がなくなるんやて。そやから、食べる直前におろすのがええんやて」
「へえ、何でも知ってるね」
「そうでもないけど、これはホンマのこっちゃ」


「ホント、これ、軽くて食べやすいな・・・毎日食べたいね」
「そやろ? 今日はゴシレの試食やったのに、ありがとう」
「少しずつつまんできただけだから、気にしなくてもいいよ。それに、キコはんの料理は楽しみにしてたから」
「ホンマ? おおきに・・・」


「ねえ、これでおじや作れるの?」
「これはほうれん草のアクが出てるやろ? やめたほうがええよ」
「そうか・・・うん、勉強になるな。ソウルで、JPと一緒に作ってみるよ」
「ゴリラさんのメニューにも足して」
「そうだね。JPはんの意見も聞かないとね」(笑う)
「そやね! う~ん、豚しゃぶセットで、豚肉にほうれん草のサッとうでたのを横につけてもええな・・・。ソースもポン酢系でなくても・・・フルーツ系でもええなあ。ちょっとフレンチっぽいソースにして・・・」
「JPの右腕になれそうだね?」
「そうか!」



「なあ・・・さっき、PC見てたら・・・なんか、追っかけがたいへんそうやね」
「うん・・・」(ちょっと暗くなる)
「韓国てこういうことないの?」
「う~ん・・・。日本人の人が少しね」
「そうか・・・。日本て、昔から好きな歌手とか、追っかけの風潮があるさかい・・・もしかしたら、同じ人たちかもしれへんけど・・・そういう人たちて、鼻が利くからな」
「そう・・・」


「日本のそういう文化も勉強したほうがええで。郷に入っては郷に従えや。そういう人たちの心理とか動きを逆に研究してる人かているやろ? そういう意見、参考にしたほうがええよ」
「そうだね・・・」
「寅ちゃん・・・ここは外国や・・・あんたや孫さんにとっては外国や・・・ちょっと勝手が違うことがあっても当たり前や。韓国で追っかけしてる日本人も外人や。あんたらとは、ちょっと考え方が違うかもしれへん・・・まあ、そういう人は、うちともまた違うけどな」


「・・・そうだね・・・キコはんは外人のくせに、気が合うね」(じっと顔を見る)
「・・・そうやね・・・あんたも外人のくせに、ようでけてるわ」(笑う)

「なあに? それ」(笑って、顔を覗きこむ)
「やだ。(近づく寅を押し返す)なあ、食べて・・・こんな夜中でも・・・楽しいやろ?」
「うん。キコは体に悪いこと好きだね。夜食ばっかり食べてると、太るよ」
「ふん、あほみたい」

「ありがとう・・・。一日中、待たせちゃったね」
「あんたは仕事やもん・・・。それに、うち、今日な、東京のバーゲンにも行けたし。結構満足や」
「・・・そう? よかった・・・」
「デザートもあるで。杏仁豆腐やけど。これ、うちのお得意!」











「じゃあ、また明日・・・。また、夜、遊びにくるよ。あまり、遅くなるようなら、携帯に電話を入れるから。僕に構わず、寝ちゃってください」
「うん、明日は、うどんでも煮るわ・・・残りの大根も料理する。でも、うちのことは気にせえへんで、ええからね。まずはスケジュールありきでどうぞ!」
「そう?」
「うん。それから・・・疲れてなければ・・・よかったら、遅くても一度顔出して。待ってるさかい。うちは夜中でも構へんよ」
「・・・うん・・・。じゃあ」




ドアのところへ行って、寅が振り返った。




「じゃあ・・・」
「え?」
「・・・おいでよ」




寅がキコをやさしく抱きしめた。
キコの頭は、寅の胸の辺りだ。
キコの頭を寅が撫でた。



「ふ~ん・・・。(強く抱きしめる)キコ・・・トラカゴ シプチ アナヨ・・・」(帰りたくないな・・・)




キコが顔を上げて、寅の顔をじっと見つめて、答えた。




「寅ちゃん・・・うちも。オヌルン・・・ポネゴ シプチアナヨ」(今日は帰したくないわ・・・)
「え?」



寅が驚いて、キコの顔を見つめた。










続く・・・


 


2010/10/06 01:42
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

キコはん9「ソウル・ソウル、MYソウル!」後編


 



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これはキコはんのテーマで5年やってます^^;







BYJシアターです^^

ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


本日は9話の後編となります^^


ではお楽しみください^^v




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




キコシリーズ⑨
「ソウル・ソウル、MYソウル!」後編
(2006.5月作品)










はあ?

キコが重たい目を開けると、目の前で寅がにっこり微笑んでいた。


「寅ちゃん?」
「キコ・・・」


はあ・・・?

ああ!

ソウルへ来てたんや!


「寅ちゃん!」

キコはびっくりして、大きな目で寅を見つめた。


「やっと、目が覚めた?」


そういって、ヨンジュンさんが笑った。


「なんや、あんた、人が悪い! どうして起こしてくれんかった! もう!」
「なあ~んか、寝顔がかわいいから、見てたんだよ」
「ホンマにふざけてるわあ」


キコが起き上がろうとすると、寅がキコの手を引っ張って、引き起こした。


「でも、来てくれてありがとう。ホントに来てくれてうれしいよ」
「だって、寅ちゃんがもうチケットもホテルも用意してるてメールしてきたから。慌てて来ちゃったんや」


寅が笑った。


「なんで笑ってるの?」
「あの時はまだチケット、取ってなかったんだ」

楽しそうに笑って、お茶の準備を始める。


「・・・担いだの? うちを騙したの? 真剣に考えてきたんやで!」
「もちろん、来てほしいと思ったけど、キコはんの仕事もあるだろ? こっちのわがままを押し付けちゃいけないと思って。まずは、キコはんがどう思うかなと思って・・・」
「何言うてんのん! あんなふうに書かれたら本気にするし・・・。うちのお姉ちゃんなんか、重病ってことになってるんよ!」


「ごめんね! でも、ふざけたんじゃないんだよ。ホントに会いたかったから・・・」
「・・・」
「寝室の天井がね、燃えちゃったの」
「ええ!! 寅ちゃん、生きててよかった・・・」

キコは火事の様子を知らなかったから、寅から聞いて驚く。


「うん。いない時でよかったよ」


「それはたいへんやったなあ。辛かったなあ・・・」
「でも、もう大丈夫だから」
「そうか・・・」


キコは、お茶を入れてくれている寅をじっと見る。


「うん! でももう大丈夫や! うちが慰めてあげるさかい! 元気出して!」
「ふん。(笑)もう寝顔見たから、かなり元気になったよ! ヨダレ垂らしてたよ」
「ひどい! あんた・・・、ホンマにひどいなあ」


寅がお茶をキコのところへ持ってくる。


「まあ、怒らないで。励ましに来てくれたんでしょ? なら、寝顔くらい見せてよ」
「・・・まあな」

キコが笑って、お茶を飲もうとすると、キコのお腹が鳴った!


「ああ、お腹が鳴ってしもた!」
「そうだ。食事しないとね。もう8時半だし。待たせてごめんよ」
「ええのんよ。寅ちゃんは忙しいお人なんやから。うちは寝て待ってただけやし」
「そうお? ありがとう。ねえ、ゴリラのお弁当でいい?」
「そんなん、あるんや。ゴリラに」
「うん。あそこはテイクアウトもやってるから。ボクたちの分は毎日、ゴリラからテイクアウトしてるの」
「そうかあ・・・」
「何食べたい? ええと・・・メニューがあるんだ」

ヨンジュンがテーブルの上からメニューを持ってくる。

「あんたと同じでええよ」
「ボクは決まったものしか食べないから・・・」


ヨンジュンがメニューを見ている。


「それで、ええ。おんなじもんがええ。ヨン様とおんなじ! それって家族はうれしいのや!」
「そうお? 最近はね、やっと鳥以外のものを食べてよくなったの。体も完成してきたし。JPが牛肉とかいろんな種類のたんぱく質を取ったほうがいいって」(2006.5/16 JPはんの言葉だす)
「そうか。よかったな。それにしても、あんたは徹底してるな。でも、そんなことばっかりしてたら、結婚したら、奥さんは泣くで」
「そう? なんで?」
「だあって、そんな難しいこと、でけんやない? 栄養士の人と結婚するの? まあ、それが早道かも」
「参ったなあ。まあ、JPがいるから・・・」

ヨンジュンはメニューを見ている。


「ほな、JPはんをお嫁さんにするんやな」
「う~ん、いいかも。ねえ、これにしようか・・・。もし、これ食べてもいいって、JPが言ったら、一緒に食べよう」


キコにメニューを見せる。


「なあ、今度は日本語のメニューも用意して!」
「ホントだ!」

二人で見詰め合って笑った。


それにしても、今日の寅ちゃんはめちゃくちゃカッコええ・・・。
ちょっと尋常ではない・・・。

なんで、そんなに輝いてるのや・・・。


「寅ちゃん・・・すんごくカッコええ・・・」

キコはちょっと見とれる・・・。


「何言ってるんだか。あ、注文しておこ。ちょっと隣のスタッフに電話入れるね」
「うん・・・。あ、うち、洗面所借りるで」


「いいよ。あ、キコはん、マスカラ、落ちてたよ」
「ええ!」



キコは驚いて、洗面所へ走る。


「あ、もしもし。ボクたちの夕飯だけど・・・」



なんやの! 寅ちゃん、はよ、言ってよお~。恥ずかしい!



洗面所の鏡を見ると、マスカラなんて取れていない・・・。


そうや・・・これ、ウォータープルーフやもん!

あいつ!

全く!


あ、歯ブラシ・・・。ゲスト用もあるんや。
歯あ、磨いて、キレイにしとこ!





「どうだった?」

寅がソファに座って、笑っている。


「あんたなあ、ちょっとひどいやない? マスカラなんて取れてないのに・・・アホ!」
「アホはないでしょ? ねえ、こっちへ来ない?」


「なあ、それより、ドンヒョクさんのお部屋、見せてえ・・・。ラッキーやなあ、あんたがここに泊まってて」

キコはうれしそうに部屋の中を歩き回る。



「ねえ、ドンヒョクが好きなの?」


寅が聞いた。
キコは笑ってしまう。


「寅ちゃん、あんた、おかしいなあ。(笑って言う)前もうちに聞いたえ。・・・「インスが好きなの?」て。バッカみたい・・・」
「・・・なんで?」



キコはじっと寅を見る。


「あんたが好きやから・・・みいんな好きなのや。わかってるやない」


寅もじっとキコを見て、笑った。


「じゃあ、わかったよ。部屋を案内してあげる。今の言葉に免じて」
「おおきに! ・・・あんたは少し焼きもち焼きや。おかしいで~」


キコは寅に案内されて、ドンヒョクの部屋を見て回った。


久々に見るヨンジュンさんがあまりに素敵で、キコの心中はもうドキドキである。


「ここがベッドルームか・・・。広いベッドやね。あ、うちのお部屋も素敵やったよ。ありがとう」
「そう? それはよかった。ねえ、こっちも見て」
「うん・・・」


部屋を出ようとして、もう一度、キコはベッドを見る。

ここで、あんたは寝てるのやね・・・。





そうこうしているうちに、スタッフの先ほどのキムさんがお弁当を届けてくれた。

キコの顔を見ると、


「お帰りの時は、いつでもお送りするので、声をかけてくださいね」
「おおきに!」


すると、寅がキムさんに、なんやら言うて・・・。

キムさんは、キコに頭を下げて帰っていった。


「どうしたん?」
「別に。業務連絡」
「ふ~ん」


「じゃあ、食べようか。お茶を入れるね」
「うちが入れてあげる。プロやもん!」
「それだったら、日本茶を、プロに入れてもらおうかな」
「ええよう。他にでけることがあんまりないから。こういうことなら、やってあげる」


キコが笑った。


ゴリラのテイクアウトはおいしかった。




「ホンマにJPはんがいて、よかったなあ。まずは健康管理と食事は安心やもんね」
「うん、そうだね」

寅は、キコが入れたお茶を飲んでいる。


「でもなあ、寅ちゃん。人間、無駄も必要やあ。やっぱり、お腹が空いたり、甘いもん食べたくなった時は、食べた方がええ・・・。あんた、風邪引きやすいし、ケガしやすいし、少しは自然に任せることも、体作りには必要なんやと思うんや。頭だけやなくて、体の声も聞かんと」
「ここに、JPがいたら、討論になってたね」
「そうか・・・。よっしゃ! かかってこい!」

キコが腕を上げた。壁にかかった時計を見ると、もう時間が遅い。


「ああ、もう10時過ぎてる・・・。楽しい時間はすぐ過ぎてしまうな・・・。残念やけど、もうお開きやね?」
「・・・どうして?」
「だって、あんた、明日早いやろ? 5時半には出発て言うてたよ、キムさんが。それにあんまり遅くにキムさんに送ってもらうのはマズイ・・・」


「彼の送りはさっき断った・・・」


ヨンジュンがお茶を注ぎながら言う。


「なんでえ・・・歩いてなんか行けへん・・・まあ、歩けない距離ではないけど・・・。10分くらいやもんね! でも、外は暗いでえ・・・」


キコは立って、窓の近くへ行って、外を見る。


「ボクが送るよ」
「だって、寅ちゃん、ポルシェやろ? 夜中でも目立つわあ」
「彼の車、借りたから」


寅がキーを見せる。


「ああ・・・それが業務連絡?」
「そう・・・」
「ふ~ん、なら、そうして」
「うん・・・」


「さ、じゃあ、行くか!」
「どこへ?」
「え? 帰らな」
「なんで?」
「だって、あんたは明日、仕事やろ」
「だから?」
「だから・・・もう元気になったやろ?^^」
「・・・どうして急ぐの?」
「ふ~ん・・・別にうちが急ぎたいわけでもないけど・・・」
「じゃあ、いいじゃない」
「そやけど・・・」


「泊まってって」
「・・・」
「いいじゃない。ここまで来たんだし。ゆっくりしてって。朝、ボクが送るから・・・」



な、な、何をこん人は言うてるのや・・・。



「ねえ・・・」
「だって・・・」
「ああ・・・。変な意味じゃないよ。ここでくつろいでいってということ」
「はあ・・・(驚いた!)」


「いいだろ? たまには人とゆっくり話したいんだ」
「でも、台詞とか覚えな・・・」
「じゃあ後で聞いて。ハングルだから、いい子守唄になると思うよ」
「・・・そやね」


窓際のキコは、ソファに座っている寅をじっと見つめた。



「そや・・・。ほら、インスが花札やってたやない。あれ、教えて」
「う~ん。今度ね」
「そうか」
「それより、マッサージして」
「マッサージか? タイ式?」(キコ①で、ヨンジュンさんにタイ式マッサージをしています)

「じゃなくて、肩とか腕とか指とか・・・結構、指のやつ、気に入ってるんだ」(キコ④で指のマッサージしてます)

「そうお? なら、してあげる」


キコはソファにいって、寅の隣に座る。


「どうしようかな。まずは後ろを向いて。肩からやな」


寅のガッチリした肩を揉む。


「ほな、腕」


前より、腕の筋肉がしっかりしているのに、柔らかい。


「不思議・・・」
「何が?」
「しっかり筋肉になってるのに、柔らかい・・・。不思議や・・・」
「それがJPはんや」
「ホンマに、あん人は、すごいトレーナーなのやなあ・・・。うち、感心した。ちょっと尊敬したわあ」
「ちょっとだけ?」
「う~ん、たくさんは、あんただけ・・・」
「・・・」



「ねえ、指やって」
「うん、ええよえ~」


キコと寅が向かい合って座る。


キコはまず、寅の手の平を指で挟んで押す。


「ずいぶん、マメでけてるなあ・・・よう頑張ってるのがわかるえ・・・」

キコが顔を見上げる。
寅がしみじみとした笑顔で笑った。


「気持ちいいな」
「そうか・・・」


次に指を一本一本、キコの人差し指と親指で強く挟み、マッサージする。


「痛い?」
「う~ん、快感!」
「(囁くように)バカやねえ・・・」(笑う)



「もっとやって」
「うん・・・」


キコがマッサージしている間、寅はじっとキコの顔を見ていた。
キコもそれには気がついていたが、顔を上げることができなかった。



「はい、おしまい!」
「もう、終わり?」
「うん、サービスさせてもらったで」
「そう? じゃあ料金、高いんだ」
「当たり前や・・・」


「ねえ、日本語も見て」
「勉強もするのんか?」
「もちろん」
「うち、遊びに来てるんやで」
「誰のお金で?」
「わかった・・・。簡単なのにしてな」


「うん・・・ええっと・・・」


ヨンジュンが教材を探しにいく。

キコはその後ろ姿を見つめた。
そして、大きくため息をついた。


寅ちゃんはあくまで寅ちゃんや・・・。ぜんぜんカッコ悪いとこがない・・・。



「あった! これ、見て」
「どれ?」
「この、助詞と助動詞」
「あんた、難しいもん持ってくるなあ」


キコが呆れる。


「難しいから、聞いてるの。京都弁講師のキコはんに」(キコ②で教えてます)
「まあ、しゃあない! やるか! ところで、今、何時?」
「11時半」
「う~ん、そうか・・・」
「眠いの?」
「違う・・・。ふ~ん・・・」
「どうしたの?」
「お化粧な、ホンマは取りたいねん・・・。お肌のためには、この時間には化粧は取ったほうがええ」
「なら、顔を洗えば?」
「でもなあ、寅ちゃんの前やろ・・・」
「ぜんぜん、気にしないよ。ついでに、シャワーでも浴びたら、ボクのTシャツ貸してあげるよ」
「そんなん・・・」
「あげる・・・前にハンカチ、もらったから・・・」
「そうお?」
「うん・・・」



キコは、この際、寅に素顔を見られてもいいかと思った。寅がそれで幻滅したら、これで、キコの気持ちにも踏ん切りがつく。


キコがシャワーを浴びて、寅のスポーツ用の大きめのTシャツを着て出てくると、リビングにはもう、寅はいなかった。


「寅ちゃん? 寅ちゃん?」




「こっち~」
「どっち~?」
「こっち~」



寝室から声がする。
キコは大きく息を吐きながら、寝室へ入っていく。


ヨンジュンがベッドに寝転びながら、日本語のテキストを見ている。


「こっちへおいでよ」
「うん・・・」


キコは横に寝転ぶ。


寅が顔を見た。


「なんだ。素顔のほうがかわいいじゃない」
「・・・」
「ホントだよ」
「・・・おおきに・・・」


「ねえ、ここ、教えて」
「どれ?」


キコが寅のほうへ近づくと、寅も石鹸のニオイがした。


「なんで? なんで寅ちゃんも石鹸のニオイがするの?」
「シャワー浴びたから」
「どこで?」
「ここって二つあるんだよ。ベッドルームごとについてるの」
「そうか・・・」
「男のほうが風呂は速いからね。ついでに入ったんだ。ねえ、ここ、教えて」
「うん・・・」


キコがテキストを見ながら、教える。



「よく考えると、キコはんはなんでもできるんだよね」
「そんなことはないよ」






「ああ!」

ヨンジュンが仰向けになって伸びをする。


「今日も一日長かったのやろ?」
「まあね。でも、一日の最後がキコといられて、今日は素敵な日になったよ・・・」


キコを見つめた。
キコは胸が苦しくなる。寅は「キコ」と呼んだ・・・。



「ねえ、一緒に寝転ぼ!」
「うん・・・」

キコは寅の腕枕で、寝転ぶ。

寅が目を瞑った。



「なあ、寅ちゃん」
「なあに?」


「うち、ここに来るのにな、少し迷った。ホンマはね」

「どうして?」

「・・・寅ちゃんのこと、好きやけど・・・やっぱり迷った・・・。でも、こうして、二人、ホンマに仲良しやし・・・リラックスでけるから、来てよかった・・・」


寅が腕枕したキコの頭を自分のほうへ近づける。




「新幹線の中で、頭に浮かんだ言葉、教えてあげよか?」
「どんな言葉?」
「昔の小説のタイトルや・・・」
「教えて・・・」


キコはちょっと黙ってから、ゆっくりと話す。


「『愛は惜しみなく奪う』や」
「・・・」


「好きな気持ちが強すぎて、あげたいパワーが、逆に、愛することによって奪われる・・・。あげたくてもあげられへん・・・。そう思うた・・・」
「・・・・」


「でもな、違うねん。さっき、違うて気づいたんや・・・」
「・・・どんなふうに・・・?」


「奪うだけやないねん・・・。愛は惜しみなく与え、愛は惜しみなく奪うのや・・・。そういうこっちゃ!」



寅がキコを見た。
そして、やさしく微笑んだ。


「いい言葉だね・・・。愛は惜しみなく与え、愛は惜しみなく奪う・・・。そうだね・・・」



「だから、うちは出し惜しみはせえへんよ」


キコは静かに微笑んだ。


「そう・・・そうか・・・」


寅がキコを抱き寄せるように、肩を抱いた。


寅の腕枕で、肩を並べ、二人は眠りについた。








「起きられる?」
「う~ん・・・」


「いいよ、ボクは行くよ。来てくれてありがとう・・・。ゆっくり寝てて」

「う~ん・・・」


「じゃあね、キコ。行ってくるよ・・・・」


寅はじっとキコの寝顔を見つめていたが、最後に、唇に、「チュ」っとして、部屋を出ていった。








キコが起きた時には、もうヨンジュンは部屋にはいなかった。


テーブルの上に、日本語のメモがあり、


「これが部屋のカギです。
締めたら、隣のスタッフの部屋のドアにある郵便ボックスに入れていってください。
今日はソウルの観光をするの? 
楽しんで帰ってください。

来てくれて、本当にありがとう!

うれしかったよ。

とら」




寅ちゃん・・・。

ありがとう・・・。




キコは部屋の戸締りを確認してドアを閉める。

隣のスタッフの部屋のドアについたメールボックスにカギを入れる。中に落ちる音がした。




寅の書いたメモはキコの宝物の一つになった。



今日は、いい天気やな。


きっと寅ちゃんの仕事もうまくいってるのやろな。





ヨンジュンのコテージから、キコの部屋のある新館まで、午前8時の清々しい空気の中を、キコは一人歩く。



緑がキレイや!




♪♪~~

ああ、川の流れのように~~密やかに、ヨンちゃん、あんたを愛したい~

ああ、川の流れのように~いつまでも、あんたにこの愛を届けたい~~~

♪♪~~




ええ歌やあ~。










THE END






では、また10話で・・^^



2010/10/05 01:39
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコ9「ソウル・ソウル、Myソウル!」前編


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Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;







BYJシアターです^^

ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


この回あたりから・・・話は~~~~^^

私の大好きなくだりであります^^




さて。

これが書かれた当時はヨンジュンさんのマンションの火事でちょっと心配しました。


おうちへは帰れず、
ソウルでの宿も、ホテルになってしまったし、
疲れが
癒される場所があるかしら・・・。

食事は、JPさんのゴリラで、
JPさんの管理する献立をいただいているのかな。


なんて心配して、
キコはんにヨンジュンさんに元気だまを届けに行かせたストーリーです^^






ここより本編。

こちらはフィクションです。実際の人物や団体とは異なります。



では、お楽しみください!





~~~~~~~~~~~~~~~








「すんまへん。まだソウルに着きまへんか?」
「お客様、当航空機は時間通り運行しております。今しばらくお待ち下さい」
「はあ・・・そうやね」


キコがため息をつくと、隣に座っている男が笑った。



わかってるがな・・・。
飛行機が時間通りにしか飛ばへんことぐらい・・・。
うちかて、子供やない・・・。



キコは窓の外を眺めた。










キコシリーズ⑨
「ソウル・ソウル、Myソウル!」
(2006.5月作品)




「よっしゃ!これで最後のお客はんを送り出したえ。ゆっこちゃん、お疲れ。ああ、ホンマに忙しかったなあ」
「姉さん、足の裏は痛いし、腰がすんごく痛くて・・・。もう、この連休は忙しすぎて、今年は家族で出かけられなかったし、最低!誰が言い出したのよ。ヨン様のお宿なんて」
「まあ、ゆっこちゃん、そん代わり、入るものは入るさかい、良しとしようよ。チップも結構貯まったやろ?」
「まあね!その点はラッキー!」
「ゴールデンウィークも終わったんやし、遊びに行けばよろし!」
「そうだね! でもさ、中学って中間試験があるんだよね。ついてないよ、今年は」
「今年だけやないやろ? 高校まで続くで」
「あ、ホントだね」
「だんだんに子供も忙しくなってくなあ」


キコとゆっこが玄関先で話をしていると、女将のマサがやってきた。



「今年もご苦労様でした。はい」


大入り袋を差し出した。


「あ、女将はん、おおきに!」
「ありがとうございます!」


キコとゆっこが恭しく受け取り、廊下の隅へいく。



「姉さん、いくらだった? ゆっこは5000円だ」(袋からお札を出す)
「え、パートでもそんなにもらえるんか! なんや・・・」
「姉さん、いくら?」
「教えへん!  なんや大して差がないのんやね」


キコがちょっとブスったれていると、先輩格のゆきがやってきた。


「キコ! あんた、いくらやった?」
「ああ、ゆき姉さん・・・」
「ゆっこに聞こえないように教えて」


キコがゆきに耳打ちする。


「やっぱり~! 最近、パートさんとの差がないねえ。参ったなあ。頑張って損した。がっかりしたわあ」


ゆきが去っていった。



「姉さん、差がないの?」
「あんまりね・・・。女将はんもけちになったな」
「最近、花子にお金かけてるみたいよ」
「とうさんにか?」
「うん。なんかさ、速水もこみちに似てる東大生に貢いでるんだって」(シリーズ⑧にて説明あり)
「へえ・・・。金づるかいな。ふ~ん」



最近、山田花子似の女将の長女がハンサムな東大生と付き合っているらしくて、女将はんはそれに一生懸命である・・・。

しかしそれにしても、今年の大入り袋は寂しかった・・・。まだ、不景気なんやろか・・・。

あ~あ。





ゴールデンウィークは旅館が忙しすぎて、ヨンジュンはんの公式サイトもぜんぜん見る時間がなかった。

毎日、アパートに戻る頃には、もう疲れすぎていて、着替えもそこそこに寝てしまう・・・。





久しぶりにPCをやるかな。

世の中、9連休て言うてたかて、うちらは毎日連ちゃんでお仕事やった。

ああ、しんど。疲れたわあ。

でも、やっと休みをもろうて、今日は朝から、ヨン尽くしや!




今日が5月9日やろ・・・。

この前、ヨンジュンはんに会うたのが、3月15日・・・。


もう2ヶ月近く会うてないんやなあ・・・。


会いたいな・・・。


ええと。

メールのチェック。

あん時はうちに帰ってから、PCでヨンジュンはんと一緒に撮った写真を見てうれしかった・・・。

あれは密かに携帯にも入れた・・・。

人には見せられへんけど、うちの宝や。

それにあれで、ヨンジュンはんの携帯のアドレスもわかったし・・・。




あ!

寅ちゃん・・・。

寅ちゃんからのメールや!


変なタイトル!

「拝啓」やて。


フン(笑)、おかしいな! でも、日本語頑張ってるのがわかるよ。

エライな・・・。





「拝啓、

My dearest キコ。   (へえ、英語も使うてカッコええなあ・・・)


ご無沙汰してしまいました。

お元気ですか?     (うちはいっつも元気やで!)

ところで、ボクは昨日(5/7)家で火事がありまして、
急遽、ソウル・スペシャル・ホテルに移り、しばらくこちらに滞在しています。 (そんな!大丈夫やったの?)

というわけで、しばらくはPCは、こちらのアドレスにメールを送って下さい。

とら



PS:ボクは外出していたので、ケガはありません。大丈夫です。心配要りません」



ええ!

寅ちゃん!

もっと早くPC、開くのやったあ!

全く!

あんた、たいへんなことになってたんやなあ。





ええと、公式は・・・出てないな・・・。
韓公は・・。出てないやろ・・・。
朝○日報も・・・ない・・・。中央○報もないか・・・。


まあ、こういうことは公にはせえへんのやろな。



とにかく、寅ちゃんにメールや!

昨日、くれたのに、ごめんね!

ホンマに家族の風上にも置けんわ!






「寅ちゃん、

アンニョン! 

ごめんなさい。仕事が忙しくてPCチェックしてなかったんよ!

あんた、大丈夫やったの? ホンマに? 

まあ、寅ちゃんが大丈夫やていうんやったら・・・信じるよ。

寅ちゃんは、うそをつくような、お人やないし。 うちは信じてるから。


それにしても、ホテル暮らしやったら、ちょっと落ち着かへんのと、違う?


あんたは、すごく頑張り屋で、負けず嫌いで、しっかり者やけど・・・。

寂しがり屋やし、少しナーバスなところがあるから・・・うちは心配だす・・・。


食事は、ゴリラでしてるの?

JPはんがついてるから、それは安心やね?



でも、済州島とソウルを行ったりきたりしてたら、疲れるやろ?

ホテルで、疲れがとれるのやろか・・・。



うちはあんたのことが心配や。

行けるものなら、あんたのとこへ行って、慰めてあげたい・・・。


元気出してや。寅ちゃん。


キコ」






キコはメールを送った。




寅ちゃん・・・。あ~あ!





それから、キコがちょっと昼寝をしてから、PCを見ると、また寅から来ている。



「キコはん、

なら、来て!

とら」




は?


ホンマに?



固唾を飲む。




これ、本気?

こん人は・・・冗談はいわんお人やけど・・・。



どないしょう・・・はあ・・・寅ちゃん・・・大好きやけど・・・。


でも、会う度に胸が痛くなる。苦しくなる・・。



初めはよかったんや。

なんかウキウキして、楽しくて・・・。



それがだんだん現実的になってきて・・・。

今は、あんたに会うのがものすごくうれしい反面、苦しくなる。


どうしようか・・・ああ、うちには、決められへん・・・。






キコは電話の受話器を取って、いつもの旅行代理店に電話を入れる。

禿げたおっさんが一人でやってる隣町のちっこいとこだ。


「ああ、おっちゃん。ハヤシ・キコや。うん、元気や。・・・うん、今回は東京やのうて・・・ソウルや」
「キコはんも、ついに追っかけになったんか!」
「追っかけなんて・・・聞こえが悪い・・・」
「そうやね。う~ん、キコはんは・・・愛を乞うる人や」
「おっちゃん! 今のフレーズ! 最高や! うちにぴったりや!」
「そうか?」
「うん!」
「で、誰の愛を乞うてるのや」
「それがな・・・」


キコが止まった。


「どうしたん?」
「おっちゃん・・・ごめん・・・もうええわ・・・」
「キコはん・・・。あんた、大丈夫か?」
「また、電話するさかい・・・ごめんな・・・さいなら」




キコはPCの画面を見ていた。



寅から、またメールが入った。


「あさっての午前9時。羽田発の便を予約しました。
明日は、東京ホテルにチェックインしてください。部屋のほうに、チケットを届けることになっています」


寅ちゃん・・・あんた、超本気やね・・・。

もう、チケット準備したんか・・・。


今、この画面を見ているんか・・・。



あんた、今、そこにいるんやね?

うちがここにいることも、知ってるんやね?


うちの返事、待ってるんやね?






なんやドキドキする・・・。


キコは震える指先で返信を打つ。



「とらちゃん、

ごめん・・・。

今回は、ホンマは忙しくて行けへん。

行けるふりして、ごめんね・・・。

キコ」




送信するか・・・。


どうする・・・。





「キコちゃん、この見合いの人、ええ人みたい。パパさんの知り合いなんよ。会うてみるか? 酒屋さん、ええと思うわあ。あんた、客商売に向いてるやろ?」
「でもなあ・・・。まだ・・・。うち、やっぱり今は結婚でけへん・・・」
「今はって。なんで?」
「お姉ちゃん、もう少し待って・・・。ヨンジュンはんが結婚したらするさかい・・・」
「あんた、何言うてるの? そんなこと、本気でパパさんにいえると思う?」
「なら、またわがまま言うて困るて言えばええやん・・・。もう少しや・・・。待って」
「・・・そうやね・・・確かにヨン様もお年頃やし」
「もう少しや」




どうする・・キコ。


この間もそういって、お見合い断ったやない・・・。

あん時、もう少して自分でも言うてたやない・・・。


きっと、あともう少しや・・・。


ヨンジュンはんが独身のうちや。

結婚してしまえば、きっと、こんなチャンスはない。


少し胸が痛くても、苦しくなっても、せっかくのチャンスやないか。

行かな!




キコは今書いた文章をデリートする。




「とらちゃん、

おおきに!

あんたの気持ち、受け取ったえ!

行くで!

待ってて!

うちの元気パワーをぎょうさん持っていくさかい、元気になってや!


キコ」




送信!


しばらくして、



「キコはん。

待ってるよ。


とら」



キコはこの返事を見て、一瞬、泣きそうになったが、すくっと立ち上がって、早速、ソウル行きの準備を始めた。







旅館には、急に姉の具合が悪くなったと電話を入れた。

ヨンジュンはんのせいで、大磯の姉はかなりの重病人だ。女将さんが「なんの、病気なの?」と聞いてきたときは、思わず涙がこみ上げて、女将もそれ以上聞けなかった。

あんたのせいで、芝居の勉強までさせてもらっている・・・。




うちは、2泊3日の着替えとあんたに会う日の服をバックに入れて、電車を乗り継いで、新幹線に乗った。


新幹線の中でも、今回は気持ちがもやもやしている。


気分が重いとはいわんけど、なんかもやもやして、呼吸が苦しい・・・。



今回もうちから、押しかけて行きたかった。

寅ちゃん、あんたのために来たのや!

って、胸を張って行きたかった・・・。



なんか心が重いのや・・・。

恋も重症になると、心がもやもやしてズキズキして重くなる・・・。


ああ、どうしよう・・・。

寅ちゃん、あんたのことは好きだった・・・大好きやったのに・・・。

めちゃ好きやのに・・・。



憧れの人がだんだん現実になって、行き当たりばったりで会っていたのが、確実に会えるようになる。
それも、結果がわかっていて・・・。

普通、恋は違う・・・。
その先があるのに・・・うちは結果がわかっていても、あんたに会わずにはいられないのや。


あんたの顔見て、泣かんようにしたい。

絶対、泣かんように。

元気に、いつものパワーで!

恋はパワーをくれるけど、パワーも奪う。


そうや、「愛は惜しみなく奪う」や・・・。

いいフレーズや・・・寅ちゃんに教えてあげたい・・・でも、今回は、レクチャーは無理やな。

うちの気持ちがうまくついていかへんもん。


寅ちゃん、あんた、いい先生を失くしたで。 うちは、ただの女になってしもた・・・。

アホや・・・うち・・・。

パーボヤ!


ああ!

思わず声が出る。



「なんでしょうか?」
「え?」

車内サービスが回っていった。


「ああ、そやな・・そのお弁当、ちょうだい」
「こちらですね? お飲み物は?」
「ああ、お茶」



そうや、出陣の前はたんと食べなあかん!

あんたと対決するには、うちも女王のパワーを持たな!










金浦空港に着くと、あの若い彼が出迎えてくれた。


「キコ・はん・さん!」
「ああ、キムさん! お久しぶりやね!」

「どうぞ、車のほうへ」
「へえ」
「お荷物は?」
「これだけで来たんよ。どうせ、短い旅や。手荷物で入ってしもた」
「なんか旅慣れてきましたね」

彼が笑った。


「そうか? カッコええ?」
「はい!」



「さあ、どうぞ、お乗りください」
「おおきに」
「では、ホテルへ直行します」
「へえ、どこのホテル?」
「もちろん、キコはんもソウル・スペシャル・ホテルです」
「ホンマ! うち、一度泊まってみたかったんよ。うれしい! おおきに!」

「キコ・はん・さんと、ヨンジュン氏のところは離れていますが、僕がお連れします」
「そうか・・・。まあ、あん人は超VIPやもんね。ああ、名誉支配人か」
「そうですね」
「ふん、そうやな」


「キコ・はん・さん・・・」
「何?」
「この前よりずいぶんおキレイになりましたね」
「はあ?」
「あまりキレイになってたんで、驚きました」
「なんやの・・・もしかして、それ、BOFで流行ってるフレーズ?」
「え?」(赤くなる)
「そうなん?」
「違いますよ。キコ・はん・さんを見たら、そう感じただけです。ボクは、お世辞は言いません」


「そうか? おおきに・・・。もう一人、いつもそういってくる人がいるのや。わかるやろ? 誰か。そやから、今ちょっとな。疑ってみた。家族の人にはそういいましょうとか、そうなってるのかなと思って」
「まさか!」
「ふん、そんなら、ええのや。褒めてくれてありがとう! ちょっと気がラクになったわ」
「なんのですか?」
「うん・・・なんでもない・・・。憧れのホテルやね・・・。うちな、ホテリアのジニョンさんが目標なんよ」
「なんでですか?」
「同業者やろ? だからな、仕事のときは、ジニョンさんと同じ髪型してるのや。きりっとな」
「そうですか」
「うん、あとはぜんぜん似てないけど、髪を下ろした感じとか、勉強になるで」
「そうですか」
「うん」





まずは、キコの荷物を新館のキコの部屋へ入れた。


「なあ、もう行くの?」
「ヨンジュン氏のお戻りは7時半の予定です」
「そう、ほな、まだ時間はたっぷりあるな。うち、シャワー浴びたりしたいねん。 なんか飛行機の中ってニオイがつくやろ? ちょっと臭いやろ?」
「そうしたら、(時計を見て)7時頃のお迎えでいいですか?」
「うん、ええよ。下のアーケードも見たいし」
「では7時に」
「なあ、1階のロビーでええよ。わざわざ上がってこんでも。面倒やろ? うちとあんたが歩いていたかて、誰も気にはせえへんやろ?」
「そうですね。ヨンジュン氏がここに泊まっていることは極秘ですから」
「わかった。ほな、7時にロビーで」





ああ、始まってしもたな。

着ていくものも一つしか持ってこんかった・・・。
よくても悪くてもこれで、行くさかい・・・。



キコはバスルームに入り、自分の顔を見た。

確かに感じが変わった。

なんか変わったな・・・。やっぱり、恋をしてるから・・・。そうやね!

さあ、キレイにしていくさかい、待っててや!





キコは前回より少し伸びた髪をブローした。

今の寅ちゃんとどっこいどっこいの長さやろか。

4月23日の結婚式に列席した写真の寅ちゃんよりは長いな。

あん時もカッコよかった・・・。PCで写真見て、倒れそうやった・・・。



今日はこの朱赤のような鮮やかなアンサンブルを着ることにしてるのや。

この色を着たジニョンさんは、とっても女っぽかったから・・・。


うん、似合うてる・・・。ええわ。


あんたが急に呼ぶから、服を買いにいけなかった・・・。だから、とっておきのアンサンブルを着ていくで・・・。






キコは、さっきの彼に連れられて、ヨンジュンはんの泊まっているコテージまで行った。


「ねえ、もしかしてここって、ホンマにホテリアや。隣は誰が泊まってるの?」
「スタッフです。ですから、いつでも送って差し上げられますよ」
「あんたも泊り込んでるの?」
「ええ、変わりバンコで」
「そうか。それは安心やな・・・ちょっと窮屈で」
「え?」
「なんでもない・・・。今日は何時まで? まさか、今日も8時じゃないやろ?」
「この後は、仕事は入ってないので、ご自由にどうぞ。明日は5時半発です」
「そうか・・。でも、寝坊してもあんたらがいるから、大丈夫やね」
「いや・・・そのう、ヨンジュン氏のほうがちゃんと起きておられるので・・・」
「起こしてもらうのやね? ふ~ん、まあ、ええやん。きっとあん人は寝てないんよ」
「え??」
「冗談や」


キコが笑った。


「では中へどうぞ」




キコは初めて、あの憧れのドンヒョクの部屋へ入った。


ふ~ん。


「なんかええニオイがする部屋やね」
「そうですね・・・。キコ・はん・さんもいいニオイです!」
「そうか。この前、あんたが褒めてくれたから、今日もつけてきたんよ」


そう、あん時、寅ちゃんが、ええニオイて言うてくれたもん・・・。




「ではごゆっくり、どうぞ」
「ありがとう・・・」



キコは部屋を見回して、大きなソファにドカンと座った。






7時半を過ぎても、ヨンジュンはんは戻ってこなかった。



仕事が押しているのやな・・・。

ええよ。ゆっくり待つから・・・。



あ~あ。

それにしても、眠いな・・・。


あ~あ・・・。


キコは大あくびをした。






車が止まった音がして、一歩ずつ階段を上る音がする。

ドアが開いて、誰かが入ってくる。

また、リビングを開ける音がして・・・。



キコの顔に息がかかった。

鼻を何かが撫でた。



でも、今は眠くて、目は開けられない。



また、鼻の下を何かが触った。


キコはくすぐったくて鼻を擦った。



誰かがちょっと鼻で笑った。

また顔に息がかかった。

髪を誰かが撫でた。



う~ん、気持ちええ・・・。



キコの顔が笑った。





「キコ、来てくれたの?」


聞き覚えのあるやさしい声がした。



ふ~ん・・・?

ここは・・・どこやった?



「キコ・・・」



はあ?



キコが重たい目を開けると、目の前に、寅の笑顔があった。













続く・・・^^








キコはんが2部に分かれるのは初めてですが、

今回は二部構成でいきます。




ではまた、明日!


注)キコはんはキコはんどす! めちゃラブラブ、シクシクストーリーでは、あらへん!




2010/10/03 15:28
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん8「チョヌン カムニダ!」






BGMはこちらをクリック

Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;




BYJシアターです^^

ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


今日は久しぶりにフラッシュを作ろうと思ったら・・・
そうだ、FTTPに接続できなかったvv
と思い出した・・・

ある日気がついたら、消えていた・・・。

友人は登録し直せばと軽く言うけど、
最近、そんなことも面倒になってやってない~

ということで、
大きなものをアップできなくなって何年・・・爆




ところで。
このテーマソングを聴きながら
キコはんを読んでくれている方々もいると思うので、
この歌の訳詞もここに置いておきましょう^^

これは連載開始当時に
サークルの友人が訳してくれたもので、
ハングルができないkikoちゃんのniceな選曲を
褒めてくれました^^
(って馬鹿みたいだけど、ちょうど、ストーリーにピッタリなのだ^^)



「私が知っているあなた」


私が知っているあなたは
海の香りのような
石鹸の香りにいつも包まれている
ユーモア感覚あふれる普段のときも
そうでないときも私を楽しませてくれる

時間に遅れそうになって
会いたいよと電話してきたかと思ったら
一気に走ってきて私を驚かせるの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなた以外にないの




何日も何の連絡もよこさず
いきなり現れて
ちょっと忙しかったんだといいながら笑うの

そんなあなたを憎たらしく思いたいのに
そうできないの

時間に遅れそうになって
会いたいよと電話してきたかと思ったら
一気に走ってきて私を驚かせるの

いつでも大切なあなた
多くのことを望んでいないの
私のそばで笑っていてくれたら
それだけで幸せなの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなた以外にないの



待たされるのはいつも私ばかり
あなたが一番私を泣かせるの

いつでも大切なあなた
多くのことを望んでいないの
私のそばで笑っていてくれたら
それだけで幸せなの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなたがいるからなの


♪PAGE「私が知っているあなた」








では、休日はキコはんで軽く笑ってキュンとしましょう^^


本日はキコシリーズ第8弾です!


「チョヌン カムニダ!!」(うちは行くで!!)であります。

これを書いた当時とヨンジュンさんの状況も大きく変わっています。
時代背景も一緒に^^お楽しみください^^v




この主人公のヨン様家族のキコはんは、名前はキコですが、
私とはまったく関わりありません(笑)。
最初ギャグ始まりだったので・・・こんな名前で始まりました。
寅ちゃんがマジになるなんて思わなかったから・・・爆

また、これはフィクションであり、実際の人物や建物・組織とは異なります^^



ではどうぞ!
お楽しみください!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






キコシリーズ第8弾
「チョヌン カムニダ!!」(うちは行くで!!)
(2006.3月作品)










ああ、来てしもうた・・・。

ヨンジュンはんのいる韓国や・・・。







安いツアに無理やり入って・・・来てしもうた。

宿の女将はんにも、ゆっこにも黙って来てしもうた・・・。





「姉さん、お休み取ったんだって?」
「うん。大磯のお姉ちゃんとこへ用事がでけてな」
「そっか・・・。しょうがないね。あ、入学祝いありがとう」
「少しやけど、まあ足しにはなるやろ? 文房具でも買いなはれ」
「う~~ん・・・」(ちょっと甘えた目で見ている)
「まあ、あんたのもんでもええけど・・・」
「そう? 卒業式と入学式につけてくコサージュ、買っていい?」
「そんなん、自分で考えてうまく使うたらよろし。わざわざ断らんでも・・・」
「うそはつきたくないのよ。それにさ、姉さんにも買ったら見てほしいし!」
「ええよ。買うたら見せて!」(笑う)
「うん!」



ゆっこちゃんも今は自分の子の卒業・入学で頭がいっぱいやから、うちの休みもぜ~んぜん疑わなかった。





ああ、これが韓国の空気か。

ソウルやな・・・。





「ハヤシさ~~ん、ちゃんと並んでついて来てくださいね!」
「あ、すんまへん。あのう、今日は東大門市場で買いもんでけるんですよね?」
「ええ、その予定ですよ」


添乗員のまん丸お顔のお姉さんがにんまりと笑った。


「ところで、明日はパークBOFの後は、自由行動でいいんですね?」
「へえ・・・友人に会う約束をしてるんで」
「ハングル、わからなくて大丈夫かしら?」
「ホテルに迎えに来てくれる約束なんで大丈夫やと思います」
「そう? それならいいけど。じゃあ、タクシーに乗るところまで手伝いしますね」
「すんまへん。助かります」
「最終日はすべてご一緒でいいんですね?」
「へえ、よろしゅうに!」



はあ~。始まってしもうたわ・・・。









「キコちゃん、あんたに手紙が来てるわよ~」
「あ、すんまへん。女将はん」


キコが事務室の中へ入っていく。


「女将はん、すんまへ~ん」
「ねえ、前にもこの人から手紙が来てたけど・・・。ちゃんとした人よね?」
「誰からどす?」
「このう・・・(差出人を見る) 虎 次郎さんて人・・・。名前がなんかね・・・」(怪訝そうな顔をする)


キコは心臓が止まりそうになり、顔が真っ赤になった。


「なにしろ、独身のお嬢さんを預かってるわけだから、うちは」(キコを見つめる)


こん人、どうかしてしもうたのやろか??


「うちのお嬢も今東京の大学で一人暮らしでしょう。もう心配なのよ」


そういうことかいな・・・。


「でも、とうさんはしっかりしたお嬢はんやし大丈夫ですよ」
「そうかな・・だといいけど。今、社交ダンス部に入ってるでしょう? そこで東大生なんかと知り合っちゃったもんだから・・・」
「灯台製でっか?」
「そうなの、東大生。それもね、速水もこみち? まこみち?だっけ? あんな顔しちゃって、180センチもある子なのよ!」
「それは・・・ええやないですか」(自慢かいな)
「そう? そうなのかしら? まあ、うちの子も芸能人みたいな顔してるけどね」(笑う)

「そうどすな」(確かに花子ちゃんにも似てるな)
「ねえ、キコちゃんもそう思う?」
「へえ、芸能人みたいや」(目を丸くして言う)


横で番頭さんが嫌そうな目をして、キコを見る。


「そうか。(感心する)やっぱり、キコちゃんもそう思うのね。やっぱり、伊東美咲にそっくりよね。。うん」
「・・・女将はん・・・」
「うん・・・・」
「女将はん、その灯台製とやら、捕まえておいたほうがええですよ。貴重な人だす」
「そうよね? なにしろ、うちの美咲ちゃんがかわいくて仕方ない!って言ってくれるらしいから」
「ホンマに・・・」(驚ききっている)



「あ、いけない! キコちゃんの手紙の話だったわね。この人、大丈夫? ストーカーなんかじゃないわよね?」


ストーカーだったら、ス・テ・キや!


「女将はん、変な人やないですよ。ただ、フーテンの寅さんが流行ってしもうたさかい、逆にかわいそうな人なんどす」
「そう? じゃあもうお年の方ね?」
「え? あ、へえ・・・うちの・・・父親の友人なんどす・・・」
「そうなの・・・。でも、字が少し子供っぽいわね。はい」(手紙を渡す)
「おおきに!」



静々と受け取って、事務室を出ると、小走りに走って、いつもの布団部屋へ直行する。

敷布団を一枚下に引っ張り落とし、そこに座り込む。






「寅ちゃん!」


ああ、やっぱり寅ちゃんや!!




前略。キコはん。             
キレイな字が書けるようになったなあ・・・。

お元気どすか?              
もち、元気や!

この間は、毛糸のパンツ、ありがとう!  
届いたか! 見てくれたんか!

まだ、試着はしていませんが、手編みで作ってくれてありがとう!  
わかった? うちの手編みやで。

前の合わせも工夫してあって、すばらしい作品です。   
やっぱり、わかった? うちの努力! あんたは芸術がわかるお人やもんね!

色もなかなか、独創的ですね。      
そうやろ? あんたに似合いそうやろ?

大切にします。    
大切に・・・使いはせえへんのんか?

また、キコはんに会いたい気分になりました・・・。    
うちはいっつも会いたいで!

そして、ちょっと懐かしさで胸が震えました。       
ホンマ? ホンマに? チョンマリヤ? チョンマリニ?

また、会えるといいな。キコはんはいつが暇かな。    
ええ!!?・・・行っていいのんか?

是非、韓国へ遊びに来てくださいね。          
そら、行ってしまうで? 行くで、ホンマに!

虎 次郎」                        
寅ちゃん!!!!





「寅ちゃん、

うちは元気や。オールウェーズ 元気や!
あんさんがそんな!に、うちに会いたいなら、うちは韓国へ行きます。
あんさんの暇な日。暇な時間、教えて!

行くからにはご馳走してな!
楽しみにしてるさかい・・・。

キコ」





それにホンマに返事をくれるとは思ってなかった・・・。
あん人は律儀な人やから・・・あんな手紙出したの、後で悔やんだけど・・・ホンマに日にちを指定してきたから、驚いてしもうた。


これは来ないわけにはいかへんでしょう。
ヨン様家族としては、VIP待遇や。
行かなんだら、バチが当たってしまうがな。


ヨンジュンはん、うちが断ると思うた?

甘いわ、あんた・・・行くに決まってるやないの!!









「では、こちらのパークBOFでは1時間半の自由時間となります」



インスと写真撮りたいけど、混んでるな・・・・。


「ずいぶん、混んでますなあ。何分くらいかかるのやろ?」


キコが前に並んでいる女性たちに聞く。


「30分くらいは最低かかるんじゃないかしら?」
「そうですかあ・・・」


時計を見ると、もう午後4時を回ろうとしている。

午前中、ナミソム、春川を回ってここへ来た。

インスと写真を撮りたいけど・・・仕方ない・・・。ここで帰るか・・・。


キコはまん丸お顔の添乗員さんを探して、


「添乗員さん。うち、もう待ち合わせの時間になるさかい、ここで失礼します」
「そうですか。じゃあ、タクシーを呼びますね?」
「お願いしてもええやろか?」
「いいですよ。ちゃんとお乗せしますよ」



キコはなんとかタクシーに乗せてもらい、ホテルに戻ってきた。
お迎えが5時には来るので、大急ぎでシャワーを浴び、化粧をする。

肩までの髪を下に向けて、ドライヤーで乾かす。


ふ~~。


まあ、これでええか・・・。
形状記憶パーマにしておいてよかったわあ。
ホンマに簡単でキレイや。

2週間前にわざわざ梅田まで出て、2万円なりで10年ぶりにパーマをかけた。


これも、ヨンジュンはん、あんたに見てもらいたいからや。

そうや。昨日買うたジャケット、着てかな・・・。



パンツにカットソーを着て、昨日、ソウルに来て買ったジャケットを着てみる。

かぎ針で編んだスケ感のある今風のジャケット。
所々に配された花のモチーフがかわいい。丈は短めで、袖が少し長めのラッパ袖。裾と襟周りが少しフリフリとなっている。


クローゼットの戸の大きな鏡で見る。

ええやん。
大人のかわいらしさがあるわ・・・。
これでええわ・・・。


それから、ピアス!
これが揺れるキュービックジルコニア!

ほら、顔が輝いて見えるやんか・・・。グ~や。




はあ~~。それにしても、お腹が空いたなあ・・・。



さっき買うた缶コーヒーでも飲むか。


はあ、ハンバッチャチョンチョーニや。

ふ~~。これで少しはお腹が膨れたかいな。




部屋の電話が鳴った。



「フロントにお客様がお見えです」
「これから降りていきますてお伝えしてください」


さあ、行くか!


ドアまで歩く。

立ち止まって、足元を見る。

あ、靴履いてなかったわ・・・落ちつかなあかん!
ただのお迎えやないか・・・。


靴を履く。
ドアまで歩こうとして・・・。


あ、いけない。
歯あ、磨かんとコーヒーのニオイがするな・・・。
はあ~はあ~、やっぱ、磨かんと!


キコがまた洗面所に入っていく。


トイレもしていかな・・・。トイレて言えへんしな・・・。






一階のフロントへ行くと、若い男性が待っていた。


「ハヤシ・キコさんですか?」
「へえ・・・」
「じゃあ、行きましょうか」
「はあ・・」
「車でお送りします」
「へえ・・・」





車に乗り込み、発進する。
二人ともまっすぐ前を見ている。


「ハヤシさんは、韓国は初めてですか?」
「へえ・・・」
「そうですか・・・」
「・・・・」



「ハヤシさんは、ええと~、お友達なんですか?」
「へえ・・・」
「そうですか・・・」
「・・・・」



「ハヤシさんは・・・」
「キコはんでええどす・・・」
「キコ・ハン・さんですか?」
「へえ・・・・。あ、ハン・キコではないで」(男の顔を見る)
「(笑う)そうですよね・・・。ハハハ・・・一瞬、ハン・キコさんだと思いました」
「まあ、それもおもろいけどな!」(笑う)
「キコ・はん・さん。今日は8時までの予定ですのでよろしくお願いします」
「あ、はい。わかりました・・・。あのう、うちが時間をカウントするんどすか?」(驚いて聞く)
「いや、そういう意味じゃないですけど・・・」
「うちは従っていればええのやろ?」
「ま、そういうことです」



「なあ、変なこと聞くけど」
「なんですか?」
「うちのコロン、どう思う?」
「え?」(耳をキコのほうへ近づけて運転する)


「うちの、今、つけてるコロンや・・・どう思う?」
「(嗅ぐ)いい香りです・・・」
「そうか・・・おおきに・・・うん・・・」


「もうすぐ着きます」



大きな建物の前に着いた。



「ここどすか? レストランではないのんどすか?」(車の中から建物を見る)
「ここの2階のジムにいるので、そちらへどうぞ」


「どうぞて・・・一人で行くのんか? うちだけで?」
「ええ」


「入れてくれはりますやろか?」
「ええ、連絡してあるので」


「う~ん・・・。一緒に来てくれへんの?」(心配になる)
「ええ」


「なんで?」(驚く)
「後をつけられるといけないので、あなただけなら目立ちませんから」
「そうか・・・。うん。そうか・・・」


「どうぞ、降りてください」(キコを見つめている)
「へえ・・・」


「降りて」(じっと見ている)
「へえ」


「降・り・て」
「わかってま!」


「キコ・はん・さん。お帰りも私がお送りいたします」
「おおきに! ほな、行きます!」


仕方なしに一人で降りる。
建物の入り口をじっと見つめて立ち尽くす。

思わず、溜息が出てしまう。


はあ~~。



「頑張ってください!」

振り向くと、さっきの彼が車の中から笑って手を振っている。
キコは少し緊張感がほぐれて、笑って手を振った。




建物に入り、キコは言われた通りに、2階に上がって、ジムと書かれたほうへ向かう。

トレーニングルームの大きな窓を一つずつ覗いていく。一番奥の窓を覗いて、たくさんのマシーンの間に点在している人の顔を確認していくと、奥のほうで、キコに向かって、手を振って、笑っている長身の男性がいる。



ヨンジュンはん!



胸が張り裂けそうにうれしい!


キコも窓の外から両手を振った。
ヨンジュンは右のほうを盛んに指差している。

キコも一緒になって、同じ方向を指差し、そっちを見ると、入り口があった。



こっちへ来いということかな?



キコが入り口のほうへ向かうと、タンクトップのヨンジュンがドアのところから顔を出し、やさしく微笑んだ。


「キコはん、もう少しだから待っててくれる?」
「うん」

そう言いながら、キコの鼻が動いた。


「臭う?(笑う) クールダウンしたら、シャワー浴びてくるから。少し時間をちょうだい」
「ゆっくりでええよ。男前になってきて。焦らんでもええからね。うちの時間はヨンジュンはんのもんやから」
「また~~!じゃあね」(笑う)
「うん!」


いったん、ドアを閉めたヨンジュンがまた顔を出した。



「なあに?」
「うん。キコはんはいいニオイだよ」



笑って、また中へ入っていった。



もう!!

うれしいやんか・・・!



ヨンジュンは、笑いながら元の場所に戻っていった。



まったく・・・。

でも、ホンマやて! 
うちの時間はあんたのもんや・・・。
冗談で言うたんやないよ。

うちの時間、イコールあんたの時間。
あんたの時間、イコール・・・・やめとこ・・・。


シャワーなんて浴びんでもええのに・・・。
今のままがええ・・・。
あんたのニオイがしててええ、好きや・・・。


まあな、あんたは身だしなみのしっかりしたお人やから・・・。







30分ほどして、ヨンジュンがロッカールームから出てきた。

黒のジャケットを着て、いつも通り、シンプルでシックだ。

あんたの私服は好きや・・・。

飾り気がなくて、あんたの良さがホンマによく出ている。




「急がせてすまんな」
「ううん。これでも身支度は速いんだよ」
「そうか・・・あんたはテキパキしたお人やもんね」



「じゃあ、行こうか」
「どこへ行くねん?」
「食事したいでしょう? こんな時間だもの」(腕時計を見る)
「そらな。お腹は空いてるで」
「でしょう?」(笑って見ている)


お腹は空きすぎているのや、うち・・・恥ずかしいくらい。



「ねえ、地下の駐車場まで一緒に来てくれる?」
「もちろんや」
「かわいいね、そのジャケット」(キコのコーディネイトを見る)
「ホンマ?」
「似合ってるよ、すごく」
「そうか? 昨日な、東大門市場で買うたんや。よかった。好みが合うて」
「うん、いいよ、とっても」





「こんな車に乗ってるんか。ええ車やな・・・あれ、ベンツやなかったの?」
「ああ、IMXからプレゼントされたやつ? あれ? あれだと、付回されちゃうから、今日みたいにプライベートの時はこれ。乗って」
「うん・・・」



キコがシートベルトをしていると、


「ベンツに乗りたかった?」


ヨンジュンが笑いかける。


「まさか! まあ、乗れたらすごいけど・・・これだって、うちから見たらすごいで。それに・・・二人乗りなんて・・・こっちのほうが、ぜんぜんええわ!」(こっちの方がええ。この狭さがええ!)
「そう? じゃあ行こう!」



車は地下の駐車場から通りへ出る。



「マニュアルなんやね」
「これ、オートマはないんだよ」
「そうか・・・」



キコはヨンジュンのギアチェンジをする手つきを見て、ドキドキする。



「運転が心配?」
「ケンチャナヨ! ヨンジュンはんは運動神経ええもん。安心して乗ってるよ」
「そう? ならいいけど」



うちは、ただ、あんたの手つきに惚れ惚れしてるだけやもん。

右手がええな・・・力強く動いて、すごくええよ・・・。




「ねえ、和食でいい?」
「和食?」


うちが日本から来ているのに?


「サッパリしたものが食べたいんだ」
「そうか」
「それにキコはんは和食の大家でしょ?」(前を見て笑う)



そうやね・・・。

うちは、他のものはあまりよく知らへん・・・。


確かに、煙の上がった焼肉も話がしにくいし。
ルールだらけの洋食はうちには窮屈や・・・。

そうやね、和食が一番や。


「そうやね! おいしい和食に連れてって」
「うん。気に入ってもらえると、うれしいな。キコはんは本職だから」
「ホンマ! ホンマに本職やわ」



「ねえ、今日はどこを回ったの?」
「午前中、ナミソムと春川へ行ったんよ。チュンサンの家、見てきたよ」
「そう、随分、忙しいね。それから?」
「パークBOFも行った。ええ建物やね、あそこ。中いろいろ見て・・・。ああ、そうや。インスと写真撮りたかったけど、時間がなくて撮れんかった」(ちょっとがっかりして言う)


「そうなの? キコはんてインスが好きなの?」
「え?」(うちはあんたが好きなのや・・・)
「だって、僕とは一緒に写真撮ろうとは言わないじゃない」


言えないじゃない!
そんなん、恥ずかしいやろ?


「そういうわけやないけど・・・記念になるやん」
「あ、そういうことね」
「うん・・・・」
「あ、それになあ、ティ・ロフトも回れんかった・・・」(残念!)
「あそこに行きたかったの?」
「だって、ヨンジュンはんが行くとこやで」


ヨンジュンが笑う。


「僕と一緒より、お店のほうがいいの?」
「あ、ホンマやね。うちってアホみたいや」(笑う)



「でもな、仲居の先輩のゆき姉さんがな、あそこでお土産に買うたお餅がすごくおいしかったって言うてたさかい、ちょっと買いたかったのや。・・・ああ、ゆきさん、知ってるやろ? うちとゆっこちゃんがお世話した次の日の仲居さんやで」
「ああ」
「あん人も、実は、ヨン様が好きなのや」
「そうだったの・・・(笑う)キコはんみたいに強烈じゃなかったから、気がつかなかったな」
「そうか? うちって強烈かな?」(不思議そうな顔をする)


ヨンジュンが声を立てて、笑いながら運転をしている。



「ややなあ・・・感じ悪! なあ、事故らないように注意してや」
「ごめん、ごめん」


「なあ、あんな毛糸のパンツ編んでごめんね。でもな、あん時は、ホンマに寒かったやろ?
うち、ホンマに、寅ちゃんの健康、心配してたのや」
「ありがとう。キコはんだけだよ、あんなのくれたの。楽しいプレゼントだったよ」(笑っている)
「楽しかった?」
「うん」
「それなら、よかった!」


チラッとヨンジュンがキコを見て、笑った。





「もうすぐ着くよ」
「うん・・・。なんか緊張するな」
「どうして?」
「だって、ヨン様と一緒で、粗相があったらマズイやろ?」
「粗相?」(どういう意味?)
「失敗や。うち、ちょっとガサツなとこ、あるさかい。見た目がこうやからな・・・」
「見た目? かわいいよ」
「ホンマ? チョンマイ イップダ~?」
「うん、チョンマイ イップダ~」
「コマウォヨ、ヨンジュンシ!」
「楽しいね、キコはんは。あ、そうだ。一件だけ電話していい? 早めにしておかないとマズイのがあるんだ」
「どうぞ」


ヨンジュンが携帯で一つ用事を済ませる。




「なあ、ヨンジュンはん・・・」
「なあに?」
「明日は、済州島へ行くのんやろ?」
「そうだよ。いよいよ始まるからね」
「そうやね。まずは、クランクイン、おめでとう」
「ありがとう」


「撮影が始まっても、ちゃんと食べなあかんよ」
「うん、大丈夫だよ。いつも食べてるから・・・」
「疲れてても、無理やりにでも食べな、あかんよ。吐いても食べな、体が持たんさかい・・・」
「うん・・・。吐いても食べるって、まるでお相撲さんだね」
「そうや。当たり前やで。体を使う人はそうせなあかん。な!」
「うん・・・。キコはんは、体育会系なんだね」
「難しい言葉、知ってるやないの? そうや。その調子で頑張ってや」
「うん・・・」



こん人は繊細やから・・・明日、コサやから・・・今日、食べられるんやろか・・・。

(注:テサギのコサの前日です。2010.10.3)


「ところで、やっぱり、キコはん、キレイになったよね?」(前を見て運転している)
「また~。あんた、いつもそういうな。お口がうまくなった?」(笑う)
「毎回会うたびにキレイになるから、驚いちゃうんだよ」
「そうか・・・おおきに」
「うん・・・」


信号で止まって、ヨンジュンがキコを見た。


「ホントだよ」(笑う)
「わかってるがな・・・これでも努力してるのや・・・」
「そうなの?」(笑って驚く)
「うん・・・当たり前やろ?」


どお? この髪型! ゆる~~いウェーブがええやろ?

このピアスもキレイやろ?
顔が輝いて見えるやろ?
いろいろ小細工しているのや・・・。





あるビルの地下の駐車場に入り、そのまま、エレベーターで上へ上がる。

和食のお店に入り、個室へ入る。



「へえ、感じのええお店やね。掘りごたつ式か。足が痺れんでええなあ」
「座って」
「うん」



二人は窓に向かって、並んで座る。
大きな窓から見る景色は、ソウルの夕闇を美しく見せてくれる。


「ええ席やね。眺めがええなあ」
「でしょ? ここ、好きなんだよ。それに・・・並んで座るのもいいでしょう?」
「グ~や」(笑って顔を見る)



並ぶのがええ。
向かい合ったら、緊張して食べられへんもん。
横なら顔なんか見なくても、温もりを感じるもん。
あんたを感じるよ・・・。


ええ選択や。ヨンジュンはん・・・・。






「いらっしゃいませ」


仲居さんがお絞りとメニュー、お通しを持ってくる。



「お決まりになりましたら、ボタンを押してください」




「どうする? 何がいい?」(サングラスを取って、メニューを睨む)
「ヨンジュンはんのお勧めのもんでええよ・・・。さっぱりしたものがええのやろ?」
「うん・・・そうだね・・・どうしようかな・・・」


「おつくり・・・お刺身やね・・・好きなもん、選んで」(ヨンジュンの顔をにこやかに見上げる)
「う~ん・・・」(考えている)
「酢の物もええな・・・あ、お寿司がええか? 海老しんじょか・・・これ、山芋だけやなくて百合根を加えてもおいしいのや・・ふ~ん・・・あ、しめ鯖ね・・・これもちょっと皮のほうを火であぶるとおいしいのや・・・あ、これ・・・」
「・・・ねえ、自分で選びなよ・・・任せるよ」(笑う)
「なんでえ?」(驚いて顔を見る)
「キコはんは和食の大家やから!」


二人はちょっと顔を見合ったが、


「よっしゃ! ほな、そうさせてもらうわ・・・。あんたの体にええもん選ぶさかい」
「お・お・き・に!」

ヨンジュンが顔を覗きこんで笑った。

キコは突然、胸がキュンとなり、心臓が一瞬止まりそうになったが、そんな素振りも見せず、静かに息を吐きながら、メニューを選ぶ。




仲居を呼んで、キコが注文をする。
それをヨンジュンがハングルに訳して注文するのだが、キコがあまりにいろいろ手振りもつけて、注釈付きで注文するので、仲居が呆れて、ヨンジュンの顔を見ている。
ヨンジュンが「まあまあ」という顔をして、仲居を見るので、呆れながらも、長々しい注文を書き取る。



「もういいの?」
「うん」
「じゃあ、それでお願いします」


「はい、かしこまりました・・・」(フ~と言いながら立ち上がり、部屋を出ていく)





ヨンジュンがキコを見ている。


「なあに?」
「・・・まったく・・・」(笑ってしまう)
「何がおかしいのや?」
「変だよ・・・でも、楽しいけど」
「何がや?」
「盛り付けまで注文する人、いないよ」


「そうか?・・・まあ、そうやな。でもな、あんた、ウエイトコントロールしているのやったら、あんかけが、どばあてかかってるもん、出て来たら困るやろ?」
「まあね・・・でも、一回の食事くらいなら付き合うよ」
「・・・ごめん・・・。マズかったね・・・。ここ、お出入り禁止とかなったら、どないしよう?」
「もう遅いよ。だったらどうする?」(笑っている)
「ええ? マズイなあ・・・折角あんたが気配りの人なのに・・・ごめん・・・うちのせいや・・・」
「大丈夫だよ。それより楽しみじゃない? どんなものが出てくるのか」
「まあな」(笑う)





料理がキコの頼んだ順にその通りに出てくる。



「ホントだ! おいしいね、こうすると」
「そやろ?」
「うん! 次回はこれでお願いしよう! キコ方式で」(笑って食べる)
「よかった!」
「あの仲居さんのメモ、取っといてもらわないとね」(笑う)
「大丈夫。あんたは頭がええから、覚えてるやろ?」
「う~ん・・・やっぱり、仲居はキコはんに限るね」
「そうか! やっぱりね! あんたは、ホンマに、人を見る眼があるわ」


ヨンジュンが笑ってしまう。


「あ、そうだ。これ、返したかったんだ」
「何?」
「はい」


ポケットからアイロンのかかったスワトーのハンカチを出す。


「ありがとう」
「・・・・」


キコはちょっと泣きそうになった。


「借りっぱなしだったから・・・。ちゃんと僕がアイロンかけておいたよ」
「・・・よかったのに・・・」
「?」
「返してくれへんで、よかったのに・・・」
「・・・・」
「持ってて・・・だめか?」


ヨンジュンがハンカチを見ている。


「そう?」
「うん・・・」
「・・・」
「持ってて・・・ええやろ?」


ヨンジュンがジャケットの内ポケットにしまった。


「じゃあ、持ってるね」
「・・・おおきに・・・」


「キコはんの応援がいつもここに入っているわけだ」


ヨンジュンが胸に手を当てた。


「応援、そうやね」(そして、愛もや・・・)
「大切にするよ」
「うん。あ、ウンギョンはんに変なハンカチて見つからないようにな」
「(笑う)大丈夫だよ」
「そうか。ほな、それは、うちからの、太王様への勇気と愛のプレゼントや。しっかりやりいや」
「・・・ありがとう・・・」




しばらくして、ヨンジュンが時計を見る。



「もう8時か?」
「知ってたの?」(驚く)
「送ってくれた人が8時までやて、言ってたよ」
「そう・・・知ってたんだ」
「うん。楽しかった。ありがとう。うちのために時間作ってくれて・・・」
「いいんだよ。僕も会いたかったし。キコはんに会うと、なんか元気をもらえる気がするから」
「そうか・・・。うん・・・おおきに・・・」



二人は立ち上がった。


「そうだ。写真を撮ろう。インスじゃなくてもいいでしょ?」
「・・・もちろん・・・」


ヨンジュンが携帯を取り出した。


「じゃあ、一緒に『キムチ』で撮るよ」
「うん・・・」


ヨンジュンが抱き寄せて、彼の携帯で写真を撮る。

写真をチェックする。


「なかなかいいね。これでいい?」


キコは見せてもらって、急に胸が一杯になる。



「ええと。キコはんのPCのアドレス、ここに打ち込んで」
「うん」

キコがヨンジュンの携帯にPCのアドレスを入れる。

ヨンジュンが送信した。



「今日はありがとう。明日からドラマ、頑張るよ」
「いろいろおおきに・・・。うれしかったえ」




ヨンジュンがそっとキコの頭を抱くように抱きしめた。
キコの耳にヨンジュンの心臓の音が聞こえる・・・。



「ホントはね・・・。毛糸のパンツを見て、驚いて、ちょっと泣きそうになったんだ。ありがとう。たいへんだっただろ? それに・・・ホントは・・・ずっと・・・ヨギ イッスセヨ・・・」(ここにいらして下さい)


キコが顔を見上げた。


「なあに? 今、なんて言わはったの? 聞こえんかった」
「今日はありがとう。気をつけて、日本へ帰ってくださいねって」
「うん! ありがとう。寅ちゃんも済州島、気をつけてね。成功を祈ってるさかい・・・」




個室のドアが時間通りノックされ、送ってきてくれた彼が立っている。



「ほなな、ヨンジュンはん! また、See you !」
「See you again ! キコはん!」




キコとヨンジュンは見つめ合って、にこやかに別れた。






そして、キコはまた、例の彼の車に乗ってホテルまで送ってもらった。



「今日はおおきに。楽しかったわ。送ってくれてありがとう! お手数かけました!」
「どういたしまして」
「じゃあ」


キコが車を降りると、


「キコ・はん・さん!」
「なんどすか?」
「これ、ヨンジュンさんから電話で頼まれました。お土産にって」


「え?」


見ると、キコが買いたかったといったティ・ロフトのお餅だ。


ああ!


「ヨンジュンさんによろしくお伝えください! いろいろご配慮、ありがとうて!」
「かしこまりました」
「さいなら!」


キコはやっとの思いでそう言って、車のドアを閉めた。

後少しタイミングが遅れたら、涙が落ちてしまったかもしれない・・・。







キコは車を離れると、もう振り返らず、ホテルのエントランスに向かって一直線に歩いていった。







楽しい時をくれてありがとう!


きっとすばらしいドラマになるね。

あんたはもう王の顔をしてたもん。



いつものことやけど、(笑)


コマウォヨ、ヨンジュンはん!


そして、ドラマの成功をお祈りしてるで!





追伸:ホンマにおいしかったわ・・・あのお餅・・・。

お中元に送ってもろても、うれしいんやけど・・・。(笑)


ええよ、今度は自分で買いにいくから!


それまでお元気で!


おきばりやっしゃ!

ヨンジュンはん!








(注)当時のヨンジュンさんの実際のジムは1階で正面に入り口があって、簡単に入れるそうで、
家族のかたで行かれたことがある人って多いのかしら?そうなのかな?
行ったことのない私が書いているのは、変ですが、多少の違いは創作ですので、多めにみてくださいね!


2010/10/02 00:45
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん7






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これはキコはんのテーマで5年やってます^^;




BYJシアターです^^

ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^

前回は元旦で^^;
なんと!@@

本日は2006年バレンタインデイです^^

これからまだまだ2010年までありますが、
これからがいいんです^^


では、2006年バレンタインデイ^^




では、どうぞ。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「おいしいか?」
「うん。正月に日本のお雑煮もいいねえ」
「そうか? お餅もたんとお食べ。お肌がスベスベになるさかい」
「うん、ホントにスベスベになる?ちょうど若返って助かるな」(食べながら笑ってる)
「あんまり若返りすぎんでや、うちと釣り合わなくなるさかい」
「そんなわけないじゃない」(笑う)



「なあ、こっちのお豆さんも食べて。マメマメしくお仕事がでけるように」
「うん。キコはんて、なんでも上手に作るんだね」
「そう言ってくれはると、うれしおす」(首を傾げて笑う)




「ねえ、キコはん。この縞々の毛糸のパンツだけど、ちょっとハデ過ぎない?」(広げて見る)
「そうか? でもあんさんがはくと、かわいいで」
「なんか、雷さまみたいじゃない?」
「うん。そこがええねん。お風呂上りの、ちょっと濡れたあんさんのくせっ毛の髪と、その毛糸の黄色と黒の縞模様が、絶妙にマッチして素敵なのや」(うっとりする)


「そうかな・・・」(眉間にしわを寄せて、不思議そうにパンツを広げて見る)
「そうや」
「うん、まあいいや。あったかそうだから、ロケの日にはくよ」
「そうか? よかった。編んだ甲斐があったわあ。なあ、もう一杯お替わりするか? 二人で旧正月なんてうれしおす」
「うん。じゃあ、お替り!」
「へえ!」








ゴン!








「痛~。なんや、またコタツで転寝してしもうたかいな。あ~あ」





キコは大きなあくびをした。




ここのところ、夜なべして、ヨンジュンはんへの毛糸のパンツを編んではいるが、前身頃の前の部分がうまく編めない。


ヨンジュンはんが愛用しているK・クラインのボクサータイプのパンツを、わざわざ、梅田の百貨店まで行って買うてきた。



四月ではいていたジーンズも同じK・クラインはんのやったから、きっと、あん人の体には合うているのや。




ヨンジュンはんのために、カシミアの毛糸を買った。

何回か洗って、縮みを取って、ヨンジュンはんが扱いやすいようにしてから、編み始めた・・・。




そやけど・・・。




うちのホンマのお姉ちゃんは、昔、編み物教室の先生やったから、ボクサーパンツに合わせて、型紙と編み方を書いて送ってもらったけど、ホンマに難しくて、ようでけへん・・・。







「あ、お姉ちゃん? うん、今、編んでるんやけどな、前の重ねの部分がうまくでけんのや」
「キコちゃん。うち、考えたんやけどな・・・あんなもん、ヨン様は、はかんのとちゃう?」
「そんなこと!・・・ないて・・・。どっちでもええのや・・・。これはうちの愛やさかい・・・。あん人がはくかどうかなんて、うちには関係ない・・・。でも難しい! どうしても、前が割れるのや」
「そうかあ。やっぱり、ボタンつけんとあかんのやないか? 洗っているうちに縮んでくるさかい、ボタンつけんと、型が崩れるよ」






「そうか・・・。でもな。もし、おしゃれに、バタフライのジーンズはいてみい。ジーンズのボタン取って、毛糸のパンツのボタン取って、ホンモンのパンツのボタン取って・・・・・漏らしてしまうがなあ」(バタフライ・・・前がボタン式のジーンズ)
「あんた、アホやなあ」
「そうか?」
「そんなこと、ヨン様に限って心配おへんがな」
「なんで?」
「スターは、うちらとちゃう。トイレなんか行かへん」
「お姉ちゃん! あんた、いつの時代の人間や。行くに決まってるがな。スターかて、トイレくらい行くに決まってるやんか。人間なんやから!」
「そうか? なら、やっぱり前開きやないと困るな。ボタンつけな、形が崩れるで」
「わかった・・・」
「あんた今、スナップのほうが簡単そうやと思うたやろ? ダメやで、スナップは。止める時痛いからな」
「ハハハハ・・・。ホンマや」
「ほなな」(電話を切ろうとする)






「お姉ちゃん、待って。うち、頼みがあるんよ」
「何?」
「戸籍謄本、取ってきてほしいのや。うちのパスポート、見たら、切れてんねん」
「どこか行くのんか?」





「う~ん・・・ヨンジュンはんがな、うちに会いたいって思うた時に、いつでも飛んでいけるようにしたいねん・・・」
「あんた、妄想が過ぎるで」(心配になる)
「まあな、それは冗談。もしロケ見学ツアがあったら、すぐ申し込んで行けるようにしておきたいねん」
「まあ、そうやな。うん、わかった。今週中に役場まで行ってくるわ」
「明日、行ってや」
「そんなん、慌てんでも、ヨン様かて、まだクランクインしてないのやろ?」
「でも、善は急げや、や」
「わかった・・・」






「そういえばキコちゃん、あっちは今、お正月やなかった?」
「そうや。ヨンジュンはんも家族で過ごしたらしいわ」
「そうか」
「うん。きっと長い髪を後ろで縛って、ナ○キの上下着てはったよ」
「そうかな・・・」
「うん。あん人、普段着ではナ○キ好きやもん・・・」
「そうか」
「それで、甥子はんを膝に乗せて・・・」





キコのさっきの夢に出てきたヨンジュンはんは、まさにナ○キの上下だった。





「なあ、キコちゃん?」
「何?」
「あんたがあっちへ行ったら、買うてきてほしいものがあるのや」
「何?」
「うん、ヨン様のく・つ・し・た」
「夜店で売ってるようなやつやろ? 公式のものやないで」
「うん、でもな、ほしいねん」
「あんた、ヨンジュンはんを踏みつけにしたいのんか。ダメや」
「そうやないて。夜な、寝る時に履くのや。ヨン様が足をあっためてくれて、ほっかほかで寝られるやろ?」
「まあ、そうやな」(笑う)





「わかった。ヨン様ソックスやな。書き留めたで」
「それとな・・・。う~ん・・・」
「何? 高いもんか?」
「あとなあ、イーさんのグッズもほしいねん・・・」
「胃ぃでも悪いのんか?」
「ちゃうよお。イーさんの・・・」
「イーさんて、イ・ミニョンさんかいな?」
「いけずな子やな・・・。あのイ・~ンさんや・・・」
「なんやそれ? 若いほう? 年寄りのほうか?」
「あんた酷い言い方するなあ・・・年寄りのほうや」
「ふん! 探せんかも知れへんえ」
「なんで?」
「うちの目にはヨンジュンはんしか映らんさかい。あっても目に入らんわ、きっと」
「そんなこと言わんで・・・」




「お姉ちゃん。あんた、足はヨンジュンはんにあっためてもろうて、心は他の男かいな。いけずうずうしいわあ」
「そんなふうに言わんといて。今な、ちょっと、心が傾いてんねん・・・」
「うちはヨンジュンはんに永遠の愛を誓うてるで」
「う~ん、ちょっとだけ、傾いてるのや・・・」
「お姉ちゃん、四月のプレミアBOXのヨンジュンはん、見はった?」
「まだ・・・買うてないねん」
「何やってるんや・・・。じゃあ、どっかのサイトでヨンジュンはんのメガネなし、見た?」
「うううん・・・」
「何してるのや?」(イライラする)





まったく、お姉ちゃんたら!

ホンマのヨンジュンはんはDVDどころの騒ぎやない・・・

ホンマに素敵や・・・あのお目目・・・。

一度、目が合うてみい。

とろけてしまうわ・・・

ま~ったく、あんたはな~んも知らんから・・・。






「だって、チャコちゃんがお嫁に行っちゃったさかい、PCがつけられへんねん・・・」(「流鏑馬」編で、昨年、姪が大磯で結婚式をしたことになってます)
「何や、だらしがない!」
「あんたと違うて、うちも年やから・・・仕方ないやろ?」
「自分で勉強しいや。電気屋のお兄ちゃんに頼めばええやんか・・・。かっこええで・・・。お姉ちゃん好みのタイプやのに・・・」
「ええやんか!」
「まあええわ・・・。あとで、やっぱりヨン様が!なんて泣いても知らへんで」
「泣かんから・・・」
「わかった・・・年寄りのイぃのグッズね。書き留めたで」
「おおきに」
「じゃあ、お姉ちゃん、明日行ってきてや、役場」
「うん、行くで」
「ほなな」




「キコちゃん!」(泣きそうな声)
「何? どうしたん?」
「・・・ホンマにかっこええの?」
「あんたに、ヨンジュンはんのことで嘘ついたことある?」(鎌倉や東京で会うたことは話してないねん・・・)
「ない・・・」
「な?」
「うん・・・」
「そうやろ?」
「うん・・・」
「未公開シーンのええったら、なかったよ」
「そうか?」
「うん」
「そうか・・・」
「ほなな」




「キコちゃん!」(叫ぶ)
「何や?」
「うち、今から買いにいく!」
「どこへ?」
「夜中までやってるレンタルショップのDVD売り場」
「こんな遅い時間にか?」
「うん、早よ買うてきて、見なくちゃ!」
「そうやな!」
「うん、ほな、行ってくるで!」




「お姉ちゃん!」
「何や?」
「・・・役場は明後日でもええよ・・・今晩は徹夜やろ?」
「うん・・・」
「ほな、楽しんでや。外は寒いさかい、気い、つけて行きや」
「うん、またな。あんたも、きばってヨン様のパンツ編むんやろ? 風邪引かんようにな」
「うん、じゃあな」









拝啓。

ヨンジュンはん、




お正月、ご家族皆で楽しく過ごしはりましたか?


ゆったりとした、ええ時間が持てた?



あと一ヶ月もすれば、
あんさんも撮影に明け暮れて・・・。



どうか、お体に気いつけて、
今のうちに体力、つけておいてや。




バレンタインまでには、何とか、例の毛糸物は編み上げて
送るつもりやから・・・。



笑わんでよ!



楽しみにしててや。






キコはん







2010/10/01 01:58
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん 6






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これはキコはんのテーマで5年やってます^^;






BYJシアターです^^


こちらにキコはんシリーズを置くといって・・・
実は今回分は「お正月」^^

でも、飛ばすわけにはいかないので、

(気持ちの移り変わりが見えなくなっちゃうんで)


シーズンオフではありますが^^;

置きます^^



では

キコはんシリーズ⑥です^^;







~~~~~~~~~~~~~










「明けましておめでとうさんどす。



キコどす。

昨年はお世話になりました。

皆はんにご挨拶せんと、新しい年を始めるわけにはいかしまへん。

新年はいかがお過ごしどすか?

うちは元旦から仕事やった・・・。

やっと、松の内もあけて、うちも休みがもらえました。

今年もよろしゅうおたのう申し上げます。

今日はな、ヨンジュンはんは出てこんけど、
新年のご挨拶ということで楽しんでおくれやす。

ほな・・・また」










シリーズ⑥
「新年明けましておめでとうございます!」











「錦秋の間、お節セット三膳、お屠蘇セット一つ、お願いしまっせ!」
「おっ! キコちゃん、新年早々元気いいね~」
「あったりまえやん! 本年もよろしゅうお願いします! 板長はん!」(軽くウィンクをする)



ゆっこが、後ろからキコの袂を軽く引っ張る。



「姉さん、何もウインクなんてしなくたって!」(ちょっとやな顔をする)
「ええやん。減るもんやないし」
「姉さんたら・・・」



キコとゆっこがお膳の準備をしていると、板場に女将のマサがやってきた。
キコが弾むような笑顔で女将に挨拶をする。


「あっ、女将はん、明けましておめでとうさんどす! 今年もよろしゅうお願い申し上げます」
「うん。キコちゃん、ゆっこちゃん、今年もよろしくね。はいこれ、お年玉!」
「ありがとうさんどす」(恭しくもらって帯に挟む)
「ありがとうございます」(ゆっこも帯に挟む振りをする)



女将が去ると、ゆっこは中身を確認して、キコの耳元で囁く。



「姉さん、いくらもらったの?」
「いくらでもええやん。行くで!」(たしなめるように言う)
「ねえ、教えて!」
「仕事や。ほな、板長はん。錦秋の間、もらってきます。行くで、ゆっこちゃん!」
「・・・は~い・・・」
「あんたは足元が悪いさかい、うちがお節、持ってくわ。お屠蘇、頼むな」
「うん」
「どっこいしょと!」






キコが板場の配膳台から3つ重ねたお膳を持ち上げ、二人はどんどん客間のほうへ歩いていく。






「ねえ、姉さん、いくらもらったの?」
「なんでや。どうでもええやろ」
「だってさ、パートから正社員になったら、少し暮らしが楽になるかなっと思って」
「何言うてんのん。あんたんとこ、ご亭主はんも働いてるやんか。贅沢せな十分暮らせるはずや。今度、あん子も中学やろ。お金、大事にせいや」
「うん・・・でもさ・・・」
「なんやの?」



キコは前を向いてどんどん歩く。




「ヨンジュンさんのさ、『四月』のDVD、まだ買えてないんだ」(しょぼくれながら言う)
「なんで?」
「だって・・・」
「ほら!足元! 敷居踏むで。転げるやないの。気いつけや」
「あ、いけない!」(敷居を跨ぐ)
「ゆっこちゃん。うちは知ってるで。パートはんもボーナス出てるんやてな」
「えっ!」(マズイ!)
「・・・あんた、何が言いたいねん?」
「・・・姉さん・・・『四月』のDVD、貸して!」
「あんた、買わんつもりかいな?」
「うん・・・」(口を尖らす)
「家族の風上にもおけんな」(冷たく言う)
「そんなこと言わなくたって!」
「ヨンジュンはんには、お世話になったやろ?・・・何に使ったん?」



ゆっこは、急にしおらしくなって可愛い子ぶりっこする。



「う~ん・・・joonパパがね、あの子をゆっこママに育ててほしいって言うんだもん・・・」
「ハ~ン。そな、育てたらよろし。うちは、抱っこちゃんを諦めてDVDにしたのや。あんたは毎晩抱っこして寝たらよろし。うちはインスと寝るさかい」
「そんなあ・・・姉さん!」(だだをこねる)
「ゆっこちゃん、錦秋の間や。またあとで話そ」









「明けましておめでとうさんどす。本年もよろしゅうお願いします。さあ、どうぞ、お座りやす。お節とお屠蘇どす。今日はホンマにええ天気で。日本晴れの元旦どすなあ。遠くのお山も、キレイに見えますやろ。暮れに雪が降って、お山も白うなって・・・ホンマにキレイや」(うっとりとした表情で言う)



夫婦とお姑の三人連れの客である。
90近く見えるお姑と60近くになる夫婦だろうか。



「ホントにいい天気だわね。ねえ、パパ、おばあちゃんもこっちに座りましょうよ」


奥方が窓際の籐の椅子から立ち上がり、座敷に入ってくる。


「旦さんもどうぞ、座っておくれやす。どうぞ、お座布使うておくれやす」


キコが上座の座布団を勧める。
旦那が「よっこらしょ」と座る。




「こちらがお屠蘇どす。旦さんからどうぞ」
「あ、すみません・・・」(キコに酌をしてもらう)
「ねえ、パパ、聞いてよお」(意味ありげに夫を見つめる)
「ママ、いいじゃない・・・」(嫌そう)
「んもう・・・パパったら。ねえ、仲居さん。・・・ここの旅館て、去年、ヨン様がお忍びで逗留した旅館よね? ヨン友に聞いて来たんだけど、そうよね?」(キコに期待を寄せて見つめる)
「はあ・・・」(目をそらし、意味ありげに首を傾げる)
「ね、そうでしょ?」(食い入るように見つめる)
「んまあ・・・」(首を傾げてちょっと含み笑いをする。超しぶしぶの感じ)
「ね、そうよね・・・」(うれしそう!)




「はあ、うちらはそういう話はでけんのどす・・・申し訳おへん」(目がねっとりと奥方を見る)
「そうなんだ! やっぱり! そう・・・すごいわ! キャ! どうしよう! おばあちゃん、やっぱり!ここってヨン様のお宿よ!」(うれしそうに姑の肩を何度も叩く)
「ホンマかいな。それはそれは・・・南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・」(涙を流して、拝み始める)
「おばあちゃん、泣かないで。私も胸がいっぱい・・・。ねえ、パパ。写真撮りましょう。お料理もぜ~んぶ!」



「だって、おまえ、これをあの人が食べたわけじゃないだろ?」(また嫌そう)
「そんなこと、どうだっていいじゃない! ヨン様のお宿なんだから!」(少し怒る)
「ああ~。南無阿弥陀仏・・・」(もう拝みっぱなし)
「そう、そう・・・。うれしい・・・。やだ、なんだか顔がニヤケちゃうわ!」









キコとゆっこが廊下を歩いている。



「なんか、おもしろいお客さんだったね」(笑って言う)
「ふん。(笑う)でも、気持ちはわかる・・・。うちらと同じやろ?」(微笑む)
「うん!」
「けど、あのおばあちゃん、相当、ヨン様にノメってるな。お母はんもやけど」
「拝み出したから、驚いちゃった」(笑う)


「どれくらい入ってるかなあ・・・」(もらったプチ袋の中を見る)
「姉さん、あんなこと言っちゃってよかったの?」(心配そうにキコを見る)
「何が?」(プチ袋の中身を確認している)
「ヨン様が泊まったって」
「うちは何も言うてないで。あちらが言うただけや。・・・ゆっこちゃん、大きいのが一枚入ってるわ。山分けしよな」
「本当?」(うれしそう)
「ラッキーやな。・・・少しずつ小出しに教えてあげよな」
「うん・・・」


「そうすればDVD買えるやないか?」
「ホントだね。・・・でも、姉さん貸してよ」(甘える)
「レンタルしなはれ! 300円あれば借りられるやろ?」
「だってえ。特典映像がないじゃない。ああ、禁断のが見たい!」
「そやな・・・う~ん、よかったよお・・・捨てディスクが一枚もない。よう家族の気持ちがわかってる・・・ようでけてる。ヨンジュンはんが皆ええのや」
「ズルイ!」
「何言うてるの?」
「年末に全部見たんでしょう? だったらいいじゃない?」
「駄目や。インスがうちを放さないのや・・・」
「またまた・・・」(ちょっとやな顔をする)
「買うてくれた人にかわいがってほしいて」(ゆっこを横目で見る)
「姉さん!お・ね・が・い!」(キコに纏わりつきながら歩く)
「いやや。あんたんとこのクソガキが踏んづけたらどうすんのや。いやや」(ツンとした顔で言う)




キコがゆっこを置いて、どんどん歩いていく。
ゆっこが憎憎しそうにキコの後姿を見て大声で言う。




「ねえ、姉さん・・・。姉さんのケチ! もう!」



腕組みをしたキコが振り返って、



「・・・・あんたんとこはだめや!・・・うちへおいで」
「ええ! いいのお!」(うれしくなって走ってくる)
「まあな・・・『サン』も買うてあるし」
「『サン』?」
「インスが飲んでたお酒や・・・去年、渋谷の帰りに、新大久保で2ダース買うて宅急便で送ったのや」
「え~え、ホント? ご馳走になってもいいの?」
「うん! でも、うちでや。ええな?」(しっかりと見つめる)
「うん! もお、キムチ鍋作ってあげちゃう!」
「げんきんやな。(笑う)いつも作るのはうちやない」







渡り廊下まで来ると、廊下の大きな窓から、真っ青な空に、白く雪を被ったお山が見える。



キコが立ち止まる。



「ホンマに日本晴れや。キレイやな・・・。一点の雲もない・・・。韓国はもっと寒いのやろか・・・」







ふと、ヨンジュンの渋谷で別れた時の顔が目に浮かぶ。




キコの手を引っ張って、ゆらゆらと揺らした寅次郎の顔。



東京の青山を歩きながら、やさしい笑顔でキコを見つめて、カフェラテを渡してくれた手。



流鏑馬の本番を前にして、指を揉んであげた・・・。
あの大きくてがっちりとしているくせに、柔らかで繊細な指先・・・。



キコの言う言葉を頷きながら、メモを走らせる優雅な手つき。



話しながら、相槌とともに何度も頷く仕草・・・。
しかめっ面をしたり、時々見つめて笑った・・・。

あの、留まることを知らない表情・・・。





流鏑馬の本番の朝。
身を切るような冷たい空気の中で、張り詰めた顔。
信頼という文字を信じさせてくれたあの瞳。





そして、最後に、渋谷で、いきなりギュッとキコを抱きしめた時の顔。






・・・あんたの温もりも匂いも忘れへんよ・・・。










拝啓、ヨンジュンはん。


その後、お元気にしてはりまっか?

今日は、うちのほうの空はキレイに晴れ渡って、清々しい元旦の朝どす。



うちは元気や。
お正月の一日から一生懸命働いてるで。

今年は韓国に行きたいさかい、頑張ってる。
去年はあんたに会えてホンマに最高の年やった・・・。




渋谷で別れて・・・あの後、うちは・・・、少し泣いた・・・。

アホやろ?



でもな。今思えば、神様がくれた特別な時間やった。
人生で一番の時間・・・。




ありがとう。


あんたに会えた去年は奇跡の年やった・・・。
あんたの心に触れられて、ホンマ、幸せやったよ・・・。





ソウルは寒いやろ?
雪が舞ってるか?





ああ、幸せな時はもう過ぎたのやろか・・・。




うううん、そやない!
まだまだこれからもあるよね?





今年は、あんたの力強い姿がテレビで見られるのやろ?

楽しみにしてるで。





体に気いつけてな・・・。
気いつけなあかん。
あんたはすぐ風邪引くさかい・・・。



もう風邪なんか引いてる場合やないで。
頑張らなあかん!




おきばりやっしゃ!


ヨンジュンはん!










♪♪~~

いつも~ヨン~さん~
思って~暮らす~

ほしけりゃ~
あげ~ま~す~

この~い~の~ち~


♪♪~~



「なあに、それ?」
「ドドイツや・・・ちょっと字余りあるけどな」
「なあに?」
「あんたは教養ないなあ」
「ババくさ!」
「うちの気持ちや・・・・」



「ねえ、姉さん。あとさ、お年玉もちょうだい。うちの子、いっつも楽しみにしてるんだからさ・・・」(拝むように手を合わせて言う)
「あんたはもう・・・。調子に乗り過ぎや。ほら、行くで。迎春の間も、お節、出さなあかんやろ」




気分を変えて、キコがさっさと歩き出す。




「姉さん、姉さんたら!」
「うるさい!早ようおいで!」(振り向かずに言う)



キコは袂からそっとティッシュを取り出して、目頭を拭いて、ちょっと鼻をかむ。



「ケチ!」

後ろから、ゆっこが叫ぶ。





「どっちがケチや。アホ」





キコがどんどん歩いていく。

そして、ぴたっと立ち止まり、ちらっと振り返って、ゆっこの顔を睨んだ。







「ゆっこちゃん! 迎春の間も、ヨン様目当てやで。うちらの腕次第でどうにでもなるのや! はよ、おいで!」



「そうだね! うん! 今年は韓国も行くしね!」




ゆっこが気を取り直して、キコに並ぶ。




「何言うてるのん。あんたはあん子の中学入学やろ! しっかり働こ!」
「うん! 姉さん、入学祝いもお願いね! ああ・・・でも、行きたいな、韓国。ヨンジュンさんにもまた会いたいし・・・・・・・・・」











拝啓、寅次郎はん!

今年もこれや!
これはこれで、うちは楽しいのや。


あんたを出しにして、ごめん・・・。



でも。
うちの愛だけは信じてくれるやろ?





待っててや。
行くさかい・・・。



お互い、命賭けてガンバロな!



今年もよろしゅうお願いします!!

な!


寅ちゃん・・・。













そして、皆はん、


ヨンジュンはんとうちのこと、

よろしゅうおたのう申し上げます!





キコはん







注)ドドイツは「7・7・7・5」の世界どす。正しくは3・4・4・3・3・4・5どす。
うちは「ほしけりゃ~」のフレーズが気に入ってるさかい、ここが字余りでも
このまま、歌ってるのや。 キコ


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