2010/10/03 15:28
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん8「チョヌン カムニダ!」






BGMはこちらをクリック

Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;




BYJシアターです^^

ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


今日は久しぶりにフラッシュを作ろうと思ったら・・・
そうだ、FTTPに接続できなかったvv
と思い出した・・・

ある日気がついたら、消えていた・・・。

友人は登録し直せばと軽く言うけど、
最近、そんなことも面倒になってやってない~

ということで、
大きなものをアップできなくなって何年・・・爆




ところで。
このテーマソングを聴きながら
キコはんを読んでくれている方々もいると思うので、
この歌の訳詞もここに置いておきましょう^^

これは連載開始当時に
サークルの友人が訳してくれたもので、
ハングルができないkikoちゃんのniceな選曲を
褒めてくれました^^
(って馬鹿みたいだけど、ちょうど、ストーリーにピッタリなのだ^^)



「私が知っているあなた」


私が知っているあなたは
海の香りのような
石鹸の香りにいつも包まれている
ユーモア感覚あふれる普段のときも
そうでないときも私を楽しませてくれる

時間に遅れそうになって
会いたいよと電話してきたかと思ったら
一気に走ってきて私を驚かせるの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなた以外にないの




何日も何の連絡もよこさず
いきなり現れて
ちょっと忙しかったんだといいながら笑うの

そんなあなたを憎たらしく思いたいのに
そうできないの

時間に遅れそうになって
会いたいよと電話してきたかと思ったら
一気に走ってきて私を驚かせるの

いつでも大切なあなた
多くのことを望んでいないの
私のそばで笑っていてくれたら
それだけで幸せなの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなた以外にないの



待たされるのはいつも私ばかり
あなたが一番私を泣かせるの

いつでも大切なあなた
多くのことを望んでいないの
私のそばで笑っていてくれたら
それだけで幸せなの

いつも愛しているわ
どうしたらわかってもらえる?
だって私がこの世に生きる理由は
あなたがいるからなの


♪PAGE「私が知っているあなた」








では、休日はキコはんで軽く笑ってキュンとしましょう^^


本日はキコシリーズ第8弾です!


「チョヌン カムニダ!!」(うちは行くで!!)であります。

これを書いた当時とヨンジュンさんの状況も大きく変わっています。
時代背景も一緒に^^お楽しみください^^v




この主人公のヨン様家族のキコはんは、名前はキコですが、
私とはまったく関わりありません(笑)。
最初ギャグ始まりだったので・・・こんな名前で始まりました。
寅ちゃんがマジになるなんて思わなかったから・・・爆

また、これはフィクションであり、実際の人物や建物・組織とは異なります^^



ではどうぞ!
お楽しみください!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






キコシリーズ第8弾
「チョヌン カムニダ!!」(うちは行くで!!)
(2006.3月作品)










ああ、来てしもうた・・・。

ヨンジュンはんのいる韓国や・・・。







安いツアに無理やり入って・・・来てしもうた。

宿の女将はんにも、ゆっこにも黙って来てしもうた・・・。





「姉さん、お休み取ったんだって?」
「うん。大磯のお姉ちゃんとこへ用事がでけてな」
「そっか・・・。しょうがないね。あ、入学祝いありがとう」
「少しやけど、まあ足しにはなるやろ? 文房具でも買いなはれ」
「う~~ん・・・」(ちょっと甘えた目で見ている)
「まあ、あんたのもんでもええけど・・・」
「そう? 卒業式と入学式につけてくコサージュ、買っていい?」
「そんなん、自分で考えてうまく使うたらよろし。わざわざ断らんでも・・・」
「うそはつきたくないのよ。それにさ、姉さんにも買ったら見てほしいし!」
「ええよ。買うたら見せて!」(笑う)
「うん!」



ゆっこちゃんも今は自分の子の卒業・入学で頭がいっぱいやから、うちの休みもぜ~んぜん疑わなかった。





ああ、これが韓国の空気か。

ソウルやな・・・。





「ハヤシさ~~ん、ちゃんと並んでついて来てくださいね!」
「あ、すんまへん。あのう、今日は東大門市場で買いもんでけるんですよね?」
「ええ、その予定ですよ」


添乗員のまん丸お顔のお姉さんがにんまりと笑った。


「ところで、明日はパークBOFの後は、自由行動でいいんですね?」
「へえ・・・友人に会う約束をしてるんで」
「ハングル、わからなくて大丈夫かしら?」
「ホテルに迎えに来てくれる約束なんで大丈夫やと思います」
「そう? それならいいけど。じゃあ、タクシーに乗るところまで手伝いしますね」
「すんまへん。助かります」
「最終日はすべてご一緒でいいんですね?」
「へえ、よろしゅうに!」



はあ~。始まってしもうたわ・・・。









「キコちゃん、あんたに手紙が来てるわよ~」
「あ、すんまへん。女将はん」


キコが事務室の中へ入っていく。


「女将はん、すんまへ~ん」
「ねえ、前にもこの人から手紙が来てたけど・・・。ちゃんとした人よね?」
「誰からどす?」
「このう・・・(差出人を見る) 虎 次郎さんて人・・・。名前がなんかね・・・」(怪訝そうな顔をする)


キコは心臓が止まりそうになり、顔が真っ赤になった。


「なにしろ、独身のお嬢さんを預かってるわけだから、うちは」(キコを見つめる)


こん人、どうかしてしもうたのやろか??


「うちのお嬢も今東京の大学で一人暮らしでしょう。もう心配なのよ」


そういうことかいな・・・。


「でも、とうさんはしっかりしたお嬢はんやし大丈夫ですよ」
「そうかな・・だといいけど。今、社交ダンス部に入ってるでしょう? そこで東大生なんかと知り合っちゃったもんだから・・・」
「灯台製でっか?」
「そうなの、東大生。それもね、速水もこみち? まこみち?だっけ? あんな顔しちゃって、180センチもある子なのよ!」
「それは・・・ええやないですか」(自慢かいな)
「そう? そうなのかしら? まあ、うちの子も芸能人みたいな顔してるけどね」(笑う)

「そうどすな」(確かに花子ちゃんにも似てるな)
「ねえ、キコちゃんもそう思う?」
「へえ、芸能人みたいや」(目を丸くして言う)


横で番頭さんが嫌そうな目をして、キコを見る。


「そうか。(感心する)やっぱり、キコちゃんもそう思うのね。やっぱり、伊東美咲にそっくりよね。。うん」
「・・・女将はん・・・」
「うん・・・・」
「女将はん、その灯台製とやら、捕まえておいたほうがええですよ。貴重な人だす」
「そうよね? なにしろ、うちの美咲ちゃんがかわいくて仕方ない!って言ってくれるらしいから」
「ホンマに・・・」(驚ききっている)



「あ、いけない! キコちゃんの手紙の話だったわね。この人、大丈夫? ストーカーなんかじゃないわよね?」


ストーカーだったら、ス・テ・キや!


「女将はん、変な人やないですよ。ただ、フーテンの寅さんが流行ってしもうたさかい、逆にかわいそうな人なんどす」
「そう? じゃあもうお年の方ね?」
「え? あ、へえ・・・うちの・・・父親の友人なんどす・・・」
「そうなの・・・。でも、字が少し子供っぽいわね。はい」(手紙を渡す)
「おおきに!」



静々と受け取って、事務室を出ると、小走りに走って、いつもの布団部屋へ直行する。

敷布団を一枚下に引っ張り落とし、そこに座り込む。






「寅ちゃん!」


ああ、やっぱり寅ちゃんや!!




前略。キコはん。             
キレイな字が書けるようになったなあ・・・。

お元気どすか?              
もち、元気や!

この間は、毛糸のパンツ、ありがとう!  
届いたか! 見てくれたんか!

まだ、試着はしていませんが、手編みで作ってくれてありがとう!  
わかった? うちの手編みやで。

前の合わせも工夫してあって、すばらしい作品です。   
やっぱり、わかった? うちの努力! あんたは芸術がわかるお人やもんね!

色もなかなか、独創的ですね。      
そうやろ? あんたに似合いそうやろ?

大切にします。    
大切に・・・使いはせえへんのんか?

また、キコはんに会いたい気分になりました・・・。    
うちはいっつも会いたいで!

そして、ちょっと懐かしさで胸が震えました。       
ホンマ? ホンマに? チョンマリヤ? チョンマリニ?

また、会えるといいな。キコはんはいつが暇かな。    
ええ!!?・・・行っていいのんか?

是非、韓国へ遊びに来てくださいね。          
そら、行ってしまうで? 行くで、ホンマに!

虎 次郎」                        
寅ちゃん!!!!





「寅ちゃん、

うちは元気や。オールウェーズ 元気や!
あんさんがそんな!に、うちに会いたいなら、うちは韓国へ行きます。
あんさんの暇な日。暇な時間、教えて!

行くからにはご馳走してな!
楽しみにしてるさかい・・・。

キコ」





それにホンマに返事をくれるとは思ってなかった・・・。
あん人は律儀な人やから・・・あんな手紙出したの、後で悔やんだけど・・・ホンマに日にちを指定してきたから、驚いてしもうた。


これは来ないわけにはいかへんでしょう。
ヨン様家族としては、VIP待遇や。
行かなんだら、バチが当たってしまうがな。


ヨンジュンはん、うちが断ると思うた?

甘いわ、あんた・・・行くに決まってるやないの!!









「では、こちらのパークBOFでは1時間半の自由時間となります」



インスと写真撮りたいけど、混んでるな・・・・。


「ずいぶん、混んでますなあ。何分くらいかかるのやろ?」


キコが前に並んでいる女性たちに聞く。


「30分くらいは最低かかるんじゃないかしら?」
「そうですかあ・・・」


時計を見ると、もう午後4時を回ろうとしている。

午前中、ナミソム、春川を回ってここへ来た。

インスと写真を撮りたいけど・・・仕方ない・・・。ここで帰るか・・・。


キコはまん丸お顔の添乗員さんを探して、


「添乗員さん。うち、もう待ち合わせの時間になるさかい、ここで失礼します」
「そうですか。じゃあ、タクシーを呼びますね?」
「お願いしてもええやろか?」
「いいですよ。ちゃんとお乗せしますよ」



キコはなんとかタクシーに乗せてもらい、ホテルに戻ってきた。
お迎えが5時には来るので、大急ぎでシャワーを浴び、化粧をする。

肩までの髪を下に向けて、ドライヤーで乾かす。


ふ~~。


まあ、これでええか・・・。
形状記憶パーマにしておいてよかったわあ。
ホンマに簡単でキレイや。

2週間前にわざわざ梅田まで出て、2万円なりで10年ぶりにパーマをかけた。


これも、ヨンジュンはん、あんたに見てもらいたいからや。

そうや。昨日買うたジャケット、着てかな・・・。



パンツにカットソーを着て、昨日、ソウルに来て買ったジャケットを着てみる。

かぎ針で編んだスケ感のある今風のジャケット。
所々に配された花のモチーフがかわいい。丈は短めで、袖が少し長めのラッパ袖。裾と襟周りが少しフリフリとなっている。


クローゼットの戸の大きな鏡で見る。

ええやん。
大人のかわいらしさがあるわ・・・。
これでええわ・・・。


それから、ピアス!
これが揺れるキュービックジルコニア!

ほら、顔が輝いて見えるやんか・・・。グ~や。




はあ~~。それにしても、お腹が空いたなあ・・・。



さっき買うた缶コーヒーでも飲むか。


はあ、ハンバッチャチョンチョーニや。

ふ~~。これで少しはお腹が膨れたかいな。




部屋の電話が鳴った。



「フロントにお客様がお見えです」
「これから降りていきますてお伝えしてください」


さあ、行くか!


ドアまで歩く。

立ち止まって、足元を見る。

あ、靴履いてなかったわ・・・落ちつかなあかん!
ただのお迎えやないか・・・。


靴を履く。
ドアまで歩こうとして・・・。


あ、いけない。
歯あ、磨かんとコーヒーのニオイがするな・・・。
はあ~はあ~、やっぱ、磨かんと!


キコがまた洗面所に入っていく。


トイレもしていかな・・・。トイレて言えへんしな・・・。






一階のフロントへ行くと、若い男性が待っていた。


「ハヤシ・キコさんですか?」
「へえ・・・」
「じゃあ、行きましょうか」
「はあ・・」
「車でお送りします」
「へえ・・・」





車に乗り込み、発進する。
二人ともまっすぐ前を見ている。


「ハヤシさんは、韓国は初めてですか?」
「へえ・・・」
「そうですか・・・」
「・・・・」



「ハヤシさんは、ええと~、お友達なんですか?」
「へえ・・・」
「そうですか・・・」
「・・・・」



「ハヤシさんは・・・」
「キコはんでええどす・・・」
「キコ・ハン・さんですか?」
「へえ・・・・。あ、ハン・キコではないで」(男の顔を見る)
「(笑う)そうですよね・・・。ハハハ・・・一瞬、ハン・キコさんだと思いました」
「まあ、それもおもろいけどな!」(笑う)
「キコ・はん・さん。今日は8時までの予定ですのでよろしくお願いします」
「あ、はい。わかりました・・・。あのう、うちが時間をカウントするんどすか?」(驚いて聞く)
「いや、そういう意味じゃないですけど・・・」
「うちは従っていればええのやろ?」
「ま、そういうことです」



「なあ、変なこと聞くけど」
「なんですか?」
「うちのコロン、どう思う?」
「え?」(耳をキコのほうへ近づけて運転する)


「うちの、今、つけてるコロンや・・・どう思う?」
「(嗅ぐ)いい香りです・・・」
「そうか・・・おおきに・・・うん・・・」


「もうすぐ着きます」



大きな建物の前に着いた。



「ここどすか? レストランではないのんどすか?」(車の中から建物を見る)
「ここの2階のジムにいるので、そちらへどうぞ」


「どうぞて・・・一人で行くのんか? うちだけで?」
「ええ」


「入れてくれはりますやろか?」
「ええ、連絡してあるので」


「う~ん・・・。一緒に来てくれへんの?」(心配になる)
「ええ」


「なんで?」(驚く)
「後をつけられるといけないので、あなただけなら目立ちませんから」
「そうか・・・。うん。そうか・・・」


「どうぞ、降りてください」(キコを見つめている)
「へえ・・・」


「降りて」(じっと見ている)
「へえ」


「降・り・て」
「わかってま!」


「キコ・はん・さん。お帰りも私がお送りいたします」
「おおきに! ほな、行きます!」


仕方なしに一人で降りる。
建物の入り口をじっと見つめて立ち尽くす。

思わず、溜息が出てしまう。


はあ~~。



「頑張ってください!」

振り向くと、さっきの彼が車の中から笑って手を振っている。
キコは少し緊張感がほぐれて、笑って手を振った。




建物に入り、キコは言われた通りに、2階に上がって、ジムと書かれたほうへ向かう。

トレーニングルームの大きな窓を一つずつ覗いていく。一番奥の窓を覗いて、たくさんのマシーンの間に点在している人の顔を確認していくと、奥のほうで、キコに向かって、手を振って、笑っている長身の男性がいる。



ヨンジュンはん!



胸が張り裂けそうにうれしい!


キコも窓の外から両手を振った。
ヨンジュンは右のほうを盛んに指差している。

キコも一緒になって、同じ方向を指差し、そっちを見ると、入り口があった。



こっちへ来いということかな?



キコが入り口のほうへ向かうと、タンクトップのヨンジュンがドアのところから顔を出し、やさしく微笑んだ。


「キコはん、もう少しだから待っててくれる?」
「うん」

そう言いながら、キコの鼻が動いた。


「臭う?(笑う) クールダウンしたら、シャワー浴びてくるから。少し時間をちょうだい」
「ゆっくりでええよ。男前になってきて。焦らんでもええからね。うちの時間はヨンジュンはんのもんやから」
「また~~!じゃあね」(笑う)
「うん!」


いったん、ドアを閉めたヨンジュンがまた顔を出した。



「なあに?」
「うん。キコはんはいいニオイだよ」



笑って、また中へ入っていった。



もう!!

うれしいやんか・・・!



ヨンジュンは、笑いながら元の場所に戻っていった。



まったく・・・。

でも、ホンマやて! 
うちの時間はあんたのもんや・・・。
冗談で言うたんやないよ。

うちの時間、イコールあんたの時間。
あんたの時間、イコール・・・・やめとこ・・・。


シャワーなんて浴びんでもええのに・・・。
今のままがええ・・・。
あんたのニオイがしててええ、好きや・・・。


まあな、あんたは身だしなみのしっかりしたお人やから・・・。







30分ほどして、ヨンジュンがロッカールームから出てきた。

黒のジャケットを着て、いつも通り、シンプルでシックだ。

あんたの私服は好きや・・・。

飾り気がなくて、あんたの良さがホンマによく出ている。




「急がせてすまんな」
「ううん。これでも身支度は速いんだよ」
「そうか・・・あんたはテキパキしたお人やもんね」



「じゃあ、行こうか」
「どこへ行くねん?」
「食事したいでしょう? こんな時間だもの」(腕時計を見る)
「そらな。お腹は空いてるで」
「でしょう?」(笑って見ている)


お腹は空きすぎているのや、うち・・・恥ずかしいくらい。



「ねえ、地下の駐車場まで一緒に来てくれる?」
「もちろんや」
「かわいいね、そのジャケット」(キコのコーディネイトを見る)
「ホンマ?」
「似合ってるよ、すごく」
「そうか? 昨日な、東大門市場で買うたんや。よかった。好みが合うて」
「うん、いいよ、とっても」





「こんな車に乗ってるんか。ええ車やな・・・あれ、ベンツやなかったの?」
「ああ、IMXからプレゼントされたやつ? あれ? あれだと、付回されちゃうから、今日みたいにプライベートの時はこれ。乗って」
「うん・・・」



キコがシートベルトをしていると、


「ベンツに乗りたかった?」


ヨンジュンが笑いかける。


「まさか! まあ、乗れたらすごいけど・・・これだって、うちから見たらすごいで。それに・・・二人乗りなんて・・・こっちのほうが、ぜんぜんええわ!」(こっちの方がええ。この狭さがええ!)
「そう? じゃあ行こう!」



車は地下の駐車場から通りへ出る。



「マニュアルなんやね」
「これ、オートマはないんだよ」
「そうか・・・」



キコはヨンジュンのギアチェンジをする手つきを見て、ドキドキする。



「運転が心配?」
「ケンチャナヨ! ヨンジュンはんは運動神経ええもん。安心して乗ってるよ」
「そう? ならいいけど」



うちは、ただ、あんたの手つきに惚れ惚れしてるだけやもん。

右手がええな・・・力強く動いて、すごくええよ・・・。




「ねえ、和食でいい?」
「和食?」


うちが日本から来ているのに?


「サッパリしたものが食べたいんだ」
「そうか」
「それにキコはんは和食の大家でしょ?」(前を見て笑う)



そうやね・・・。

うちは、他のものはあまりよく知らへん・・・。


確かに、煙の上がった焼肉も話がしにくいし。
ルールだらけの洋食はうちには窮屈や・・・。

そうやね、和食が一番や。


「そうやね! おいしい和食に連れてって」
「うん。気に入ってもらえると、うれしいな。キコはんは本職だから」
「ホンマ! ホンマに本職やわ」



「ねえ、今日はどこを回ったの?」
「午前中、ナミソムと春川へ行ったんよ。チュンサンの家、見てきたよ」
「そう、随分、忙しいね。それから?」
「パークBOFも行った。ええ建物やね、あそこ。中いろいろ見て・・・。ああ、そうや。インスと写真撮りたかったけど、時間がなくて撮れんかった」(ちょっとがっかりして言う)


「そうなの? キコはんてインスが好きなの?」
「え?」(うちはあんたが好きなのや・・・)
「だって、僕とは一緒に写真撮ろうとは言わないじゃない」


言えないじゃない!
そんなん、恥ずかしいやろ?


「そういうわけやないけど・・・記念になるやん」
「あ、そういうことね」
「うん・・・・」
「あ、それになあ、ティ・ロフトも回れんかった・・・」(残念!)
「あそこに行きたかったの?」
「だって、ヨンジュンはんが行くとこやで」


ヨンジュンが笑う。


「僕と一緒より、お店のほうがいいの?」
「あ、ホンマやね。うちってアホみたいや」(笑う)



「でもな、仲居の先輩のゆき姉さんがな、あそこでお土産に買うたお餅がすごくおいしかったって言うてたさかい、ちょっと買いたかったのや。・・・ああ、ゆきさん、知ってるやろ? うちとゆっこちゃんがお世話した次の日の仲居さんやで」
「ああ」
「あん人も、実は、ヨン様が好きなのや」
「そうだったの・・・(笑う)キコはんみたいに強烈じゃなかったから、気がつかなかったな」
「そうか? うちって強烈かな?」(不思議そうな顔をする)


ヨンジュンが声を立てて、笑いながら運転をしている。



「ややなあ・・・感じ悪! なあ、事故らないように注意してや」
「ごめん、ごめん」


「なあ、あんな毛糸のパンツ編んでごめんね。でもな、あん時は、ホンマに寒かったやろ?
うち、ホンマに、寅ちゃんの健康、心配してたのや」
「ありがとう。キコはんだけだよ、あんなのくれたの。楽しいプレゼントだったよ」(笑っている)
「楽しかった?」
「うん」
「それなら、よかった!」


チラッとヨンジュンがキコを見て、笑った。





「もうすぐ着くよ」
「うん・・・。なんか緊張するな」
「どうして?」
「だって、ヨン様と一緒で、粗相があったらマズイやろ?」
「粗相?」(どういう意味?)
「失敗や。うち、ちょっとガサツなとこ、あるさかい。見た目がこうやからな・・・」
「見た目? かわいいよ」
「ホンマ? チョンマイ イップダ~?」
「うん、チョンマイ イップダ~」
「コマウォヨ、ヨンジュンシ!」
「楽しいね、キコはんは。あ、そうだ。一件だけ電話していい? 早めにしておかないとマズイのがあるんだ」
「どうぞ」


ヨンジュンが携帯で一つ用事を済ませる。




「なあ、ヨンジュンはん・・・」
「なあに?」
「明日は、済州島へ行くのんやろ?」
「そうだよ。いよいよ始まるからね」
「そうやね。まずは、クランクイン、おめでとう」
「ありがとう」


「撮影が始まっても、ちゃんと食べなあかんよ」
「うん、大丈夫だよ。いつも食べてるから・・・」
「疲れてても、無理やりにでも食べな、あかんよ。吐いても食べな、体が持たんさかい・・・」
「うん・・・。吐いても食べるって、まるでお相撲さんだね」
「そうや。当たり前やで。体を使う人はそうせなあかん。な!」
「うん・・・。キコはんは、体育会系なんだね」
「難しい言葉、知ってるやないの? そうや。その調子で頑張ってや」
「うん・・・」



こん人は繊細やから・・・明日、コサやから・・・今日、食べられるんやろか・・・。

(注:テサギのコサの前日です。2010.10.3)


「ところで、やっぱり、キコはん、キレイになったよね?」(前を見て運転している)
「また~。あんた、いつもそういうな。お口がうまくなった?」(笑う)
「毎回会うたびにキレイになるから、驚いちゃうんだよ」
「そうか・・・おおきに」
「うん・・・」


信号で止まって、ヨンジュンがキコを見た。


「ホントだよ」(笑う)
「わかってるがな・・・これでも努力してるのや・・・」
「そうなの?」(笑って驚く)
「うん・・・当たり前やろ?」


どお? この髪型! ゆる~~いウェーブがええやろ?

このピアスもキレイやろ?
顔が輝いて見えるやろ?
いろいろ小細工しているのや・・・。





あるビルの地下の駐車場に入り、そのまま、エレベーターで上へ上がる。

和食のお店に入り、個室へ入る。



「へえ、感じのええお店やね。掘りごたつ式か。足が痺れんでええなあ」
「座って」
「うん」



二人は窓に向かって、並んで座る。
大きな窓から見る景色は、ソウルの夕闇を美しく見せてくれる。


「ええ席やね。眺めがええなあ」
「でしょ? ここ、好きなんだよ。それに・・・並んで座るのもいいでしょう?」
「グ~や」(笑って顔を見る)



並ぶのがええ。
向かい合ったら、緊張して食べられへんもん。
横なら顔なんか見なくても、温もりを感じるもん。
あんたを感じるよ・・・。


ええ選択や。ヨンジュンはん・・・・。






「いらっしゃいませ」


仲居さんがお絞りとメニュー、お通しを持ってくる。



「お決まりになりましたら、ボタンを押してください」




「どうする? 何がいい?」(サングラスを取って、メニューを睨む)
「ヨンジュンはんのお勧めのもんでええよ・・・。さっぱりしたものがええのやろ?」
「うん・・・そうだね・・・どうしようかな・・・」


「おつくり・・・お刺身やね・・・好きなもん、選んで」(ヨンジュンの顔をにこやかに見上げる)
「う~ん・・・」(考えている)
「酢の物もええな・・・あ、お寿司がええか? 海老しんじょか・・・これ、山芋だけやなくて百合根を加えてもおいしいのや・・ふ~ん・・・あ、しめ鯖ね・・・これもちょっと皮のほうを火であぶるとおいしいのや・・・あ、これ・・・」
「・・・ねえ、自分で選びなよ・・・任せるよ」(笑う)
「なんでえ?」(驚いて顔を見る)
「キコはんは和食の大家やから!」


二人はちょっと顔を見合ったが、


「よっしゃ! ほな、そうさせてもらうわ・・・。あんたの体にええもん選ぶさかい」
「お・お・き・に!」

ヨンジュンが顔を覗きこんで笑った。

キコは突然、胸がキュンとなり、心臓が一瞬止まりそうになったが、そんな素振りも見せず、静かに息を吐きながら、メニューを選ぶ。




仲居を呼んで、キコが注文をする。
それをヨンジュンがハングルに訳して注文するのだが、キコがあまりにいろいろ手振りもつけて、注釈付きで注文するので、仲居が呆れて、ヨンジュンの顔を見ている。
ヨンジュンが「まあまあ」という顔をして、仲居を見るので、呆れながらも、長々しい注文を書き取る。



「もういいの?」
「うん」
「じゃあ、それでお願いします」


「はい、かしこまりました・・・」(フ~と言いながら立ち上がり、部屋を出ていく)





ヨンジュンがキコを見ている。


「なあに?」
「・・・まったく・・・」(笑ってしまう)
「何がおかしいのや?」
「変だよ・・・でも、楽しいけど」
「何がや?」
「盛り付けまで注文する人、いないよ」


「そうか?・・・まあ、そうやな。でもな、あんた、ウエイトコントロールしているのやったら、あんかけが、どばあてかかってるもん、出て来たら困るやろ?」
「まあね・・・でも、一回の食事くらいなら付き合うよ」
「・・・ごめん・・・。マズかったね・・・。ここ、お出入り禁止とかなったら、どないしよう?」
「もう遅いよ。だったらどうする?」(笑っている)
「ええ? マズイなあ・・・折角あんたが気配りの人なのに・・・ごめん・・・うちのせいや・・・」
「大丈夫だよ。それより楽しみじゃない? どんなものが出てくるのか」
「まあな」(笑う)





料理がキコの頼んだ順にその通りに出てくる。



「ホントだ! おいしいね、こうすると」
「そやろ?」
「うん! 次回はこれでお願いしよう! キコ方式で」(笑って食べる)
「よかった!」
「あの仲居さんのメモ、取っといてもらわないとね」(笑う)
「大丈夫。あんたは頭がええから、覚えてるやろ?」
「う~ん・・・やっぱり、仲居はキコはんに限るね」
「そうか! やっぱりね! あんたは、ホンマに、人を見る眼があるわ」


ヨンジュンが笑ってしまう。


「あ、そうだ。これ、返したかったんだ」
「何?」
「はい」


ポケットからアイロンのかかったスワトーのハンカチを出す。


「ありがとう」
「・・・・」


キコはちょっと泣きそうになった。


「借りっぱなしだったから・・・。ちゃんと僕がアイロンかけておいたよ」
「・・・よかったのに・・・」
「?」
「返してくれへんで、よかったのに・・・」
「・・・・」
「持ってて・・・だめか?」


ヨンジュンがハンカチを見ている。


「そう?」
「うん・・・」
「・・・」
「持ってて・・・ええやろ?」


ヨンジュンがジャケットの内ポケットにしまった。


「じゃあ、持ってるね」
「・・・おおきに・・・」


「キコはんの応援がいつもここに入っているわけだ」


ヨンジュンが胸に手を当てた。


「応援、そうやね」(そして、愛もや・・・)
「大切にするよ」
「うん。あ、ウンギョンはんに変なハンカチて見つからないようにな」
「(笑う)大丈夫だよ」
「そうか。ほな、それは、うちからの、太王様への勇気と愛のプレゼントや。しっかりやりいや」
「・・・ありがとう・・・」




しばらくして、ヨンジュンが時計を見る。



「もう8時か?」
「知ってたの?」(驚く)
「送ってくれた人が8時までやて、言ってたよ」
「そう・・・知ってたんだ」
「うん。楽しかった。ありがとう。うちのために時間作ってくれて・・・」
「いいんだよ。僕も会いたかったし。キコはんに会うと、なんか元気をもらえる気がするから」
「そうか・・・。うん・・・おおきに・・・」



二人は立ち上がった。


「そうだ。写真を撮ろう。インスじゃなくてもいいでしょ?」
「・・・もちろん・・・」


ヨンジュンが携帯を取り出した。


「じゃあ、一緒に『キムチ』で撮るよ」
「うん・・・」


ヨンジュンが抱き寄せて、彼の携帯で写真を撮る。

写真をチェックする。


「なかなかいいね。これでいい?」


キコは見せてもらって、急に胸が一杯になる。



「ええと。キコはんのPCのアドレス、ここに打ち込んで」
「うん」

キコがヨンジュンの携帯にPCのアドレスを入れる。

ヨンジュンが送信した。



「今日はありがとう。明日からドラマ、頑張るよ」
「いろいろおおきに・・・。うれしかったえ」




ヨンジュンがそっとキコの頭を抱くように抱きしめた。
キコの耳にヨンジュンの心臓の音が聞こえる・・・。



「ホントはね・・・。毛糸のパンツを見て、驚いて、ちょっと泣きそうになったんだ。ありがとう。たいへんだっただろ? それに・・・ホントは・・・ずっと・・・ヨギ イッスセヨ・・・」(ここにいらして下さい)


キコが顔を見上げた。


「なあに? 今、なんて言わはったの? 聞こえんかった」
「今日はありがとう。気をつけて、日本へ帰ってくださいねって」
「うん! ありがとう。寅ちゃんも済州島、気をつけてね。成功を祈ってるさかい・・・」




個室のドアが時間通りノックされ、送ってきてくれた彼が立っている。



「ほなな、ヨンジュンはん! また、See you !」
「See you again ! キコはん!」




キコとヨンジュンは見つめ合って、にこやかに別れた。






そして、キコはまた、例の彼の車に乗ってホテルまで送ってもらった。



「今日はおおきに。楽しかったわ。送ってくれてありがとう! お手数かけました!」
「どういたしまして」
「じゃあ」


キコが車を降りると、


「キコ・はん・さん!」
「なんどすか?」
「これ、ヨンジュンさんから電話で頼まれました。お土産にって」


「え?」


見ると、キコが買いたかったといったティ・ロフトのお餅だ。


ああ!


「ヨンジュンさんによろしくお伝えください! いろいろご配慮、ありがとうて!」
「かしこまりました」
「さいなら!」


キコはやっとの思いでそう言って、車のドアを閉めた。

後少しタイミングが遅れたら、涙が落ちてしまったかもしれない・・・。







キコは車を離れると、もう振り返らず、ホテルのエントランスに向かって一直線に歩いていった。







楽しい時をくれてありがとう!


きっとすばらしいドラマになるね。

あんたはもう王の顔をしてたもん。



いつものことやけど、(笑)


コマウォヨ、ヨンジュンはん!


そして、ドラマの成功をお祈りしてるで!





追伸:ホンマにおいしかったわ・・・あのお餅・・・。

お中元に送ってもろても、うれしいんやけど・・・。(笑)


ええよ、今度は自分で買いにいくから!


それまでお元気で!


おきばりやっしゃ!

ヨンジュンはん!








(注)当時のヨンジュンさんの実際のジムは1階で正面に入り口があって、簡単に入れるそうで、
家族のかたで行かれたことがある人って多いのかしら?そうなのかな?
行ったことのない私が書いているのは、変ですが、多少の違いは創作ですので、多めにみてくださいね!


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