2010/10/09 01:45
テーマ:【創】キコはん カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】キコはん11「東京で逢いたい」前編


 



BGMはこちらをクリック

Page「ネガ アヌン クデン」(私が知ってるあなたは・・)
これはキコはんのテーマで5年やってます^^;







BYJシアターです^^


(追記):
今見たら、40万アクセス、皆さん、いつも覗いてくださってありがとうございます^^

この数字ってすごいです^^

サークルをやっていると、
5年かかって、60万ですから・・・


本当に皆さんがよく覗いてくださるのが
身にしみて、わかります^^

感謝です^^

これからもよろしくお願い致します。


kiko3







ここのところ、キコはんシリーズを置いています^^


本日は11話の前編となります^^

これは寅ちゃんの来日記念に書いたもので、
2006年の7月作品です^^


その前に「深夜の電話」という10話があり、
ざっと話すと、GQコーリアの編集後記について寅とキコはんが語っている章です。
過ぎてしまって読み返すと、とても重苦しい章です。
ブログでは、エンターテイメントとしておもしろいところをアップしているので、
ここを抜かし、11話を連載します。

10話の電話でも、二人の心はより近づいていったということで・・・



では、11話【東京で逢いたい!】をお楽しみください^^v





ではお楽しみください^^v




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


↓当時、来日していた彼へ^^


Hi, joon.

How have you been?



This "Kiko-han" 's story is an installment of a very interesting series!

I'm writting this "Kiko-han"serially.

She is not only funny but also cute and romantic!
She always makes you happy with her vigorous spirit!

And she gave you a Japanese name,"Tora chan".
Do you like it?


I think you would sometimes laugh, and sometimes cry if you read.

I'm sure that you would be moved this series and you could not help loving "Kiko-han" who is a very cute and attractive person!

Please read it!


(現実の追っかけの世界から離れて、どうぞ、楽しいキコはんの世界でお楽しみください・・・)








キコシリーズ第11話
【東京で逢いたい!】前編

(2006.7月作品。時はゴシレオープン直前)









「すんまへん。ここまでお願いします」


キコがタクシーの運転手に地図を見せた。



「ええとここは・・・」
「声に出したら、あきまへん!」

「な、なんでですか?」
「CIAに聞かれたらマズイ・・・」
「そんなあ~。お客さんと私だけですよ」(笑う)
「まあな。(笑う)ここ、行きたいねん」
「わかりました・・・。声に出したらいけないんですね?」
「そうや」


キコがタクシーの運転者にニコッと笑った。






あ~あ、また、来てしもうた・・・。


毎回毎回、これで最後かもと思うのやけど、また逢うてしまうのや。




あん人から、メールが来たのが先週の木曜日。


「東京に行くから、会おう」て・・・。


まあ、この連休を外してきたのはエライ。

うちも働き詰めやったもん。

おかげで、簡単に有給が取れたわ・・・よかった。



それに今回は、先々週、梅田の百貨店のバーゲンで服買うたばかりやし、ラッキーや。

「今回は2~3日、おいでよ」て言うたさかい、服がたくさんいるしな・・・。



温泉街で着ているときはおかしくなくても、梅田に出ると、たまに浮いた感じの時があるさかい、
服装には最近ものすごく気を配っているのや・・・。

ヨンジュンさんに会わん時でも、やっぱりいつもちゃんとしていたいもんねえ。
普段のセンスが出るさかい・・・危ない危ない・・・。



そういえば。

この秋の社内旅行。ソウルに行くて話が出てて、皆で盛り上がって、うちやゆっこちゃんやゆき姉なんか、めちゃくちゃうれしかったのに・・・。


女将はんが、娘の彼氏の速水もこみちくずれの東大生に強請られて、サイパンになってしもうた。

「マリンスポーツがしたいな」

その一言で決まってしもた。

職権乱用や。



ソウルなら、一緒に連れてってほしいて、芸者のしな奴やお三味のおりんちゃんも女将はんに頼んでいたのになあ。

み~んな、一気に冷めたわあ。




でも、今回、ヨンジュンさんが来てくれたから、一人で会いやすい。


社内旅行やと、一人で行動したら、皆に怪しまれるしな・・・。




ああ・・・。


キコはタクシーの外を見る。


今まで温泉街と、たまに出る梅田の百貨店がキコの世界だったのに、ヨンジュンさんとの出会いがあってからは、なぜか東京が、キコにとって、身近になってきている。



寅ちゃんにとっても、うちにとっても、他所の土地のはずやのに・・・・。


ここに思い出が蓄積していくのや・・・。

246やったり・・・渋谷やったり・・・。






「あ! 運転手さん! 今のスーパー、寄ってもらえます?」
「お客さん、あそこはちょっと高いですよ。高級食材ですからね」
「でもな、東京をよう知らんのや。あそこは有名やろ。あそこでええ」
「そうですか? 普通のスーパーの倍はかかりますよ」
「うん・・・でもええ。少し駐車場で待ってて。すぐに買うてくるさかい」
「ええ、いいですけど・・・。戻ってきますよね?」
「うちを信じて!」
「ちょっとねえ・・・」
「ほな・・・。この上着、預けてくわ。これ、高かったんやで」
「・・・わかりましたよ」(笑う)





キコは、有名高級スーパーの店内で、料理の材料を買っている。


「ええと・・・。あん人は豚しゃぶが好きやからな・・・。何グラム買うたらええ?・・・う~ん、800買うて、明日、残りでうどんを煮てもええなあ・・・。それから、お酒と・・・あ、ほうれん草、これ大切。お昆布は持ってきたし・・・。ポン酢も持ってきたやろ・・・。
それから、紅葉おろしを作るさかい・・・。大根・・・。残りは明日煮てもええし・・・。それと・・・おねぎや・・・。それから・・・」


ホンマに高いなあ・・・。


キコは、レジの後で財布の中身を見ている。
ホンマに普段の2倍は軽く使うてしまった・・・。





まあええわ・・・。

新幹線代、寅ちゃんが出してくれたさかい・・・。

最近、交通費出してもろてて、マズイなあ・・・。
そんなことしてると、うちから断れなくなるもん・・・。





キコが駐車場のタクシーに戻った。

「すんまへん。待った?」
「ずいぶん、買い込みましたね」
「そらな。ちょっと手料理するさかい」


「いい人にするんだあ」
「・・・わかる?」
「顔がうれしそうですよお」
「そうか! まあな!」





今回は、ほんの少しやけど、うちの手料理を食べさせてあげようと思うてるのや。

いっつもご馳走になってるさかい・・・。




この前のメールで、ちょっとこんなことを書いたのが発端や。



「寅ちゃん、
いっつもご馳走になってるやろ?

いつか、うちの手料理もあんたに食べさせてあげたいわ。

そんなに下手ではないよ。

キコ」



「下手ではない・・・て、普通は書かないでしょう?

おもしろい表現だね。

では次回、会う時は必ず、食べさせてね。

とら」



「ええよう・・・。

心して食べて・・・文句を言ったら、あかんよ。

キコ」



「覚悟するよ とら」



「ええ心がけや。

あんた、やっぱりエライわ。

キコ」





そしたら、今回の来日で、うちの部屋を、キッチン付きで頼んでくれはった。

これって、作れってことやろ?

あん人は、約束を忘れない人やから・・・。








「お客さん、あそこですよ」
「へえ・・・」

キコはちょっとため息をついて、高層の高級ホテルを眺める。





「着きましたよ。シークレットなホテル」
「おおきに。はい、これでええか」
「はい、おつりね・・・。手料理、頑張ってくださいね!」
「へえ! おおきに!」




笑いながら、キコはボストンバッグと、スーパーの買い物袋を持って、タクシーから降りる。
ロビーに入り、周りを見渡す。



「すごいなあ・・・こんなとこ勤めて、ジニョンさんになりたいわあ」





受付のところに立っていた男がキコに気づいて手を振った。



「キコ・ハンさん!」
「あ、キムはん!」


キムがうれしそうにやってきた。



「こんにちは! お久しぶりですねえ。この間のソウルホテル以来ですね」
「へえ。キムさんもお元気そうやね」
「荷物、持ちます。ずいぶん、買ったんですねえ」
「うん。明日、材料が残ったら、あんたにも、うどんでも煮てあげるわ」
「あ、どうも。おおきに!」
「うまいな、京都弁!」

「おおきに。こっちです」
「へえ・・・」









キコの部屋は大きくて、とても贅沢だ。


「なんやこれ・・・」
「ヨンジュンさんの部屋に近くて、キッチン付きで頼むとこういう部屋しかないんです・・・」
「そんな、勿体無い・・・」
「まあ、仕方ないですよ。ヨンジュンさんがこれでいいとおっしゃったから」
「そんな・・・。悪いなあ」
「ヨンジュンさんがあまり違う階に移動するわけにはいかないので」
「そうか・・・。まあ、そうやけど・・・。2、3人は泊まれそうやな」
「まあ、気にしないでください」
「うん・・・。そうや! 皆に和食作ってあげる。そうすればええやろ?」(にこやかに言う)
「まあ、あんまり気にしないでください。こちらも忙しいので」
「そうか・・・」(ちょっと残念・・・)



キムさんが荷物を置いた。



「ヨンジュンさんが戻られるのは、10時過ぎてしまいます。今日は午後からゴシレの最終チェックに行っていて、かなり時間がかかると思いますから」
「そうか・・・。ええよ・・・。あん人は忙しいお人やから。仕事で来てるのやもん。たくさん、仕事せな。うちも久しぶりに東京見物でもするさかい」
「そうですか?(笑う) ではまた。戻られたら、電話を入れます。午後10時くらいと思ってください」
「へえ、おおきに」
「キコはんさん、ここにはコンピュータもあるから、楽しいですよ」
「そうか? 至れり尽くせりやなあ。おおきに!」







キコは一人になって、高層ホテルの窓から、外を眺めてみる。



ちょっと自分には場違いな場所・・・。


こんな所に泊まって、精力的に仕事をこなす人なんやもんね・・・寅ちゃんは。




部屋の中を見る・・・。

贅沢な間取りの部屋。


うちのために、こんな部屋を借りられる人なんやね・・・寅ちゃんは。



あ~あ、なんか、ちょっと寂しい・・・。




ソウルのホテルはよかった。

あそこは外国やったし、まあまあの部屋やった。




でも、ここは日本や。

うちの国なのに・・・うちが一生泊まれないような部屋を簡単に予約でける。

あ~あ、やっぱり、違うなあ・・・。




まあ、ええわ。
これは、うちの夢の世界や・・・。

大好きな人と過ごす、ほんのちょっとの時間や。楽しもう!




そうや。東京もバーゲンや。

まだ、時間はあるな。

行ってこ!










午後10時半。

キコは風呂も入って、料理の準備もし、あとは寅が来るのを待っていた。

意外に、部屋のPCは役立って、時間が過ぎるのもあまり気にならなかった。






ピンポ~ン!





あ、寅ちゃんや!


キコが走っていって、ドアを開ける。

そこに寅がいた。



「寅ちゃん!」



うれしそうに言って、部屋の中へ通す。


寅はじっとキコを見つめた。



「お久しぶりやな」
「うん・・・」



二人にはちょっと距離があって、キコは笑顔で、寅はなぜかしっとりとした瞳でキコを見つめた。


「う~ん、寅ちゃん!」
「ああ・・」(顔の表情が解れる)



寅がちょっと躊躇して、手を差し伸べようか、迷って、結局、笑顔でやさしくキコを抱きしめた。



「よく来たね」


優しい声でつぶやく。


「へえ。呼んでくれて、ありがとう」


キコが寅の顔を見上げた。



二人は再会の挨拶を終えて、部屋の奥へ進む。





「寅ちゃん、悪いなあ、こんなお部屋取ってもろて。贅沢すぎて、困ったわあ。でも、一生に一度はこんな贅沢させてもらってもええなあ」
「気に入ってもらえてよかったよ。きっと・・・キコはんは・・・この部屋を見て困るだろうと思ったけど・・・これしかないから」

「うん。わかってる。寅ちゃんは、下の普通の部屋には来られへんもんね。考えたら、寅ちゃんの部屋には、寅ちゃんご一行様がいるんやもん。うちが訪ねるのは、変や」
「うん・・・」
「今日は忙しかったなあ。なあ、ゴシレで、試食してきたのやろ?」
「少しね。全部食べたかったけど、遠慮してきたよ」
「悪いなあ。宮廷料理のほうがよかったのに・・・。こっちは夜中やから、簡単なものを用意したで」
「そうお? 何かな?」

「なあ、こっち来て、座って。そうや、なんか飲むやろ?」
「ねえ、冷蔵庫の中にシャンパン、入れてもらったと思うけど」
「あれ、やっぱりそう? そうかなと思うたけど、違ったら、えらい高いもんやろ? ちょっと心配になった。でも、やっぱり、寅ちゃんが入れてくれたんやね」
「うん」



「そうや。なあ、一緒に作って。手伝って。手順覚えて帰って」
「僕も手伝うの?」
「なあ、いいやろ?」
「いいよ」


「なあ、この大根、摩り下ろして」
「大根?」
「うん。なあ、まず、手え洗って」
「わかってるよ」(笑って手を洗う)

「もしかしたら、寅ちゃんのほうがうちより料理上手や」
「そうかな・・・。あ、メール、変だったよね。『そんなに下手ではないよ』って、普通書かないよね」
「そうか? 正直に書いたのやけど。はい、これで擦って」

「こんなのも持ってきたの?」(おろし金を見る)
「うん、薄っぺたいんだもん。持ってきちゃったほうが早いやろ? でける?」
「できるよ。この大根の中に何が入ってるの? 面白いね」
「唐辛子や。ちょっと穴開けて、一緒に摩り下ろすと紅葉卸しになる。ちょっとぴりっとした感じ、ほしいやろ?」
「へえ・・・勉強になるな。ところで、何食べるの?」(笑ってキコを見る)
「今日はね。豚しゃぶ。寅ちゃん、好きやろ?」
「うん」



キコがダシをとった鍋の火をつける。



「これ、沸いたらテーブルで食べよ」



「楽しみだなあ。鍋に何入れるの?」
「豚肉とほうれん草だけ」
「え?」
「驚いた?」

「もっと野菜入れればいいのに・・・」
「それが違うのや。寅ちゃん、これも『わびさび』やで」(笑う)
「ええ?」
「うそや。このな、シンプルさがええねん。これ、常夜鍋て言うねん」
「どう書くの?」



「こうや」

指先を水で濡らして、キコがキッチンの食器棚のガラスに書く。



「つまり、every night お鍋や」
「へえ・・・」
「毎日、食べても飽きないさかい・・・名前の所以はホンマのとこはようわからないんけど。寅ちゃんがソウルに帰ってからでも自分ででけるメニューやで」
「へえ・・・。このダシは?」


「うちは簡単に水にお酒加えて、お昆布でダシ取るねん。昆布は煮すぎたらあかん。沸騰し始めたら取り出す」
「へえ・・・」
「そうせな、ダシ全体にお昆布のニオイがつくからな。でも、それもおいしいよ。それは好み。今日は取り出した」
「へえ・・・」
「日本のおいしい出し汁はな、お昆布をあげたら、鰹節を入れて、さっと沸騰したら、漉すねん。これ、一番ダシ。おいしいんよ」
「そうなんだ。旅館や料亭でいただくのがそう?」
「そうや。さあ、温まった。テーブルのコンロまで持っていこ」

「持ってくよ」
「おおきに。では、うちは寅ちゃんの大根おろしと、薬味持ってくね」







大きなテーブルの角の二人が座る。



キコが鍋の前に豚しゃぶ肉とほうれん草を並べる。


「これでしゃぶしゃぶや」


寅の器に味ポンと紅葉おろしと万能ねぎを入れて渡す。


「しゃぶしゃぶしたら、これ、つけて食べてな」
「・・・」


寅が、キコをじっと見て微笑む。



「なあに?」


キコが笑って寅を見た。



「ホンマにええ仲居さんどす」(寅が笑って言う)
「(笑う)そうか?」

「では、デモンストレーション!」


キコが菜箸で、豚肉を取って、お湯に潜らす。


「ほら、食べて」(寅の器に入れる)
「うん・・・・おいしいねえ、さっぱりしてて」
「な! 今度はほうれん草、食べてみて。しゃぶしゃぶ! はい!」
「・・・これもおいしいねえ」
「な! よかった! 口に合うて」



「こっちのザーサイとねぎのかかったお豆腐サラダも食べてね」
「うん・・・あ、おいしい。いけない! シャンパン、飲まなくちゃ!」
「ええよ。うちの料理にはあわへんやろ?」
「うううん、すごく合うよ」(笑顔で見つめる)



寅が冷蔵庫からシャンパンを取り出してくる。

そして、栓を抜き、二人で乾杯した。



「これ、おいしいなあ。ええもんやね・・・。う~ん、うれしい。おおきに、寅ちゃん」
「・・・。(微笑む)食べよ」
「うん!」




「なあ、寅ちゃん。大根おろしてな、おろしてから、30分置くと、栄養価がなくなるんやて。そやから、食べる直前におろすのがええんやて」
「へえ、何でも知ってるね」
「そうでもないけど、これはホンマのこっちゃ」


「ホント、これ、軽くて食べやすいな・・・毎日食べたいね」
「そやろ? 今日はゴシレの試食やったのに、ありがとう」
「少しずつつまんできただけだから、気にしなくてもいいよ。それに、キコはんの料理は楽しみにしてたから」
「ホンマ? おおきに・・・」


「ねえ、これでおじや作れるの?」
「これはほうれん草のアクが出てるやろ? やめたほうがええよ」
「そうか・・・うん、勉強になるな。ソウルで、JPと一緒に作ってみるよ」
「ゴリラさんのメニューにも足して」
「そうだね。JPはんの意見も聞かないとね」(笑う)
「そやね! う~ん、豚しゃぶセットで、豚肉にほうれん草のサッとうでたのを横につけてもええな・・・。ソースもポン酢系でなくても・・・フルーツ系でもええなあ。ちょっとフレンチっぽいソースにして・・・」
「JPの右腕になれそうだね?」
「そうか!」



「なあ・・・さっき、PC見てたら・・・なんか、追っかけがたいへんそうやね」
「うん・・・」(ちょっと暗くなる)
「韓国てこういうことないの?」
「う~ん・・・。日本人の人が少しね」
「そうか・・・。日本て、昔から好きな歌手とか、追っかけの風潮があるさかい・・・もしかしたら、同じ人たちかもしれへんけど・・・そういう人たちて、鼻が利くからな」
「そう・・・」


「日本のそういう文化も勉強したほうがええで。郷に入っては郷に従えや。そういう人たちの心理とか動きを逆に研究してる人かているやろ? そういう意見、参考にしたほうがええよ」
「そうだね・・・」
「寅ちゃん・・・ここは外国や・・・あんたや孫さんにとっては外国や・・・ちょっと勝手が違うことがあっても当たり前や。韓国で追っかけしてる日本人も外人や。あんたらとは、ちょっと考え方が違うかもしれへん・・・まあ、そういう人は、うちともまた違うけどな」


「・・・そうだね・・・キコはんは外人のくせに、気が合うね」(じっと顔を見る)
「・・・そうやね・・・あんたも外人のくせに、ようでけてるわ」(笑う)

「なあに? それ」(笑って、顔を覗きこむ)
「やだ。(近づく寅を押し返す)なあ、食べて・・・こんな夜中でも・・・楽しいやろ?」
「うん。キコは体に悪いこと好きだね。夜食ばっかり食べてると、太るよ」
「ふん、あほみたい」

「ありがとう・・・。一日中、待たせちゃったね」
「あんたは仕事やもん・・・。それに、うち、今日な、東京のバーゲンにも行けたし。結構満足や」
「・・・そう? よかった・・・」
「デザートもあるで。杏仁豆腐やけど。これ、うちのお得意!」











「じゃあ、また明日・・・。また、夜、遊びにくるよ。あまり、遅くなるようなら、携帯に電話を入れるから。僕に構わず、寝ちゃってください」
「うん、明日は、うどんでも煮るわ・・・残りの大根も料理する。でも、うちのことは気にせえへんで、ええからね。まずはスケジュールありきでどうぞ!」
「そう?」
「うん。それから・・・疲れてなければ・・・よかったら、遅くても一度顔出して。待ってるさかい。うちは夜中でも構へんよ」
「・・・うん・・・。じゃあ」




ドアのところへ行って、寅が振り返った。




「じゃあ・・・」
「え?」
「・・・おいでよ」




寅がキコをやさしく抱きしめた。
キコの頭は、寅の胸の辺りだ。
キコの頭を寅が撫でた。



「ふ~ん・・・。(強く抱きしめる)キコ・・・トラカゴ シプチ アナヨ・・・」(帰りたくないな・・・)




キコが顔を上げて、寅の顔をじっと見つめて、答えた。




「寅ちゃん・・・うちも。オヌルン・・・ポネゴ シプチアナヨ」(今日は帰したくないわ・・・)
「え?」



寅が驚いて、キコの顔を見つめた。










続く・・・


 


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