2009/07/31 11:36
テーマ:BYJシアター カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

お休みのご案内とキコはん^^

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こんにちは^^

いつも「パラム・ソリ」、「BYJシアター」を読んでくださって
ありがとうございます^^

この土日、ちょっとPCの前を離れますので、
その間、ブログはお休みになります。

また、週が開けたら、覗いてみてくださいね^^







さて・・・

先日のDSのビデオレター・・・
あまりのヨンジュンさんの疲労の色に、
ちょっと心配しました。

でも、
彼はいつもヒンドロい仕事を頑張る人なので、
応援しています。

一年以上書けて、頑張った本がいよいよ最終戦に突入!
全てを出し尽くす思いで、机に向かうあなた・・・。

あともう少しだね^^


なんて、ここで書いていましたら、
「ヨンジュンさんの行動とキコはんの寅ちゃんの行動が
リンクしているので、是非、彼に・・・・」

というメールをいただいたので、本日は短いですが・・・

キコはんシリーズ27をここでもお贈りします。

キコはんをご存知ない方は、「なんのこっちゃ?」と
思うと思いますが、このシリーズは、わたしが4年近く書き続けているものです。

本日は超短いですが、

それでも、今の彼に贈りたいひとときです・・・。

お付き合いくださいませ^^






ではここより本編。
お楽しみください!






「こんばんは・・・」

「え・・・?」

寅が振り返ると、そこに、キコはんが立っていた・・・。




キコはん27【恋人たちの日まで・・・】



「どうしたの!」
「ふん。(笑)」
「チルソッに来るって言ってただろ?」


寅は驚いて、キコの顔を見つめた。

「それはそうなんやけどね・・・。あんたの顔見たら・・・我慢できなくて、来てしもた」
「・・・」
「やっぱりね」
「何?」

「疲れてはる・・・」
「それはしょうがないじゃない。時間がないんだから・・・。あれ? ねえ、どこで、顔見たの?」

「テレビ。ほら、DSの発表会のビデオレターに出たやろ?」
「ああ、あれか」

「もうお目目がしょぼしょぼしてて、瞼がくっ付きそうなぐらいやったから」
「それで・・・来たんだ」
「そう」
「大丈夫だよ」
「大丈夫やないよ」
「あと少し。今はやらなくちゃいけない時だから」

「まあなあ・・・でも、そんなお顔じゃあ・・・駄目や。体がSOS出してるんやないの? 少し休んだほうが効率的やと思うけど」
「ああ、でも、あと一週間だから」
「そやけど、あと一週間て、うちとの約束の日やんか。約束のチルソクやろ?、」
「・・・」
「恋人たちの日は一緒にいるて、約束したけど・・・。そんな約束のために、体壊したら、あかん」
「でもね、その日に合わせて、仕事も進めてるんだからさ、仕方ないよ。8月上旬には入稿しないと間に合わないから」

「そうかあ・・・。でも、うち、もう来てしもたもん。な、少しだけ休んで」
「困ったなあ」
「少しだけや」


そういいながら、キコが寅の原稿のコピーを覗き込んだ。


「赤、入れてるの?」
「うん。PCだけで見ていると、どこがおかしいか、わからなくなっちゃうんだよね。全体見ないと」
「ふ~ん・・・。今日はどれだけ進んだの?」

「ああ、今日ねえ・・・。ここはちょっと考えちゃったからなあ・・・。こんだけ」
「ふ~ん・・・。ねえ、なんか食べはる? お腹すいてない?」
「ふ~ん。あんまり・・・」
「食欲もないのん?」
「うん・・・」

「なあ~」

机に向かっている寅の手をキコが引っ張った。

「こっち来て」
「なんだよ、じゃあ・・・ホントに少しだけだよ。忙しいんだよ」
「うん・・・少しだけ・・・。後は見学するよって」


キコに引っ張られ、ソファに向かう。


「さあ、座って」
「・・・。仕方ないなあ。日本から押しかけられたら、相手をしないわけにいかないね」
「そうや・・・。(笑)」

寅はキコの横に座った。


「なあ・・・耳掻きしてあげよか?」
「ええ~、そんなことしたら、ホントに寝ちゃうよ」
「ええやんか、ほんの少しやもん・・・」

「だったら、手をマッサージして。手が疲れちゃったから」
「ええよお・・・。どうお?」
「気持ちいい。(笑) 左手もね」
「うん」
「ありがとう」
「さあ、耳掻きしよか?」
「ああ、寝ちゃいそうだ」
「大丈夫や。終わったら、起こしてあげるさかい」

「うん・・・」


寅は、キコの膝に頭を乗せて、寝転んだ。


「ええかあ・・・。ほな、するで」
「うん・・・。あ、くすぐったい。(笑)」

「ほら、動かんで。(笑) どお? 気持ちええ?」
「うん・・・・」

「耳掻きて、いつやってもろても気持ちがええよねえ・・・」
「・・うん」


寅は、少しうとうとしてきたのか、「う~ん」と言いながら、もっと寝やすいように、キコの膝に頭をくっつけて小さく膝を曲げた。


「疲れてる時は、寝てしもたほうがええ時もあるで。寝た後は、頭がスッキリするさかい・・・」
「・・・・ん・・・。ス~、ス~」

「寅ちゃん・・・?」

「・・・うん・・・。ス~、ス~」

キコが寅の頬を撫でると、寅はちょっと幸せそうな顔をした。


「おやすみ・・・。後で、ベッドで寝よな。そのほうが、疲れが取れるさかい・・・」
「・・・。ス~、ス~」


「好きやで・・・」






翌日・・・鳥の声で目が覚めると、寅は、ベッドに倒れこむように寝ていた。
洋服も着たまま、ベッドカバーも外さず、その上にうつ伏せに倒れこんでいる・・・。


顔を上げて、目を凝らして、周りを見渡す。

自分以外にはこの部屋にはいないようだ。


昨晩は・・・キコが来て・・・そうだ、耳掃除をしてくれた。

彼女の膝が気持ちよくて・・・昔、母さんにしてもらった時のように、小さくなって彼女の膝を枕に眠りについた。


寅は、起き上がって・・・寝室を出る。

部屋はシーンと静まり返っていた・・・。
机の上も昨夜のまま。
スタンドの明かりもついたままだ。


あれは・・・。


ヨンジュンは、「まいった・・・」とにんまりとして、頭を押さえた。


彼女がそんなに急に訪ねてくるなんて・・・ないよね・・・。
だって、部屋の鍵も開けずに、僕の後ろに立っているはずがないもん・・・。


でも、来てくれたんだ・・・。


ヨンジュンは、リビングの窓を開け放した。
窓から涼やかな朝の風が入ってくる・・・。


おかげでよく眠れたよ。


机の上の携帯を取って開く。
彼女に電話をしようとしたが、彼はすぐにそれを閉じた。

キコだって、自分で気づかないままに訪ねてくれたんだもの。
彼女を脅かすのはやめよう。


君が訪ねてきてくれて、うれしかったよ。

確かに、君のかおりがした。
君の温もりがしたよ。


そして、元気になった・・・。

だから、もう大丈夫。


約束の日には会えるよね?


二人の約束の日まで・・・
二人で・・・頑張ろう・・・

頑張るよ







The End of 27




今、眠ることができないあなたへ

ほんのひととき・・・安らかな眠りを・・・




私は、週末から用があって、PCの前を離れますので、
レス返しがすぐにはできません・・・。

ごめんなさい・・・


皆様もよい週末を!^^




ではまた

Ciao!


kiko3



2009/07/31 00:14
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」22





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BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」22部です。



ではお楽しみください。

(今度の土日はブログをお休みしますので、続きは、月曜日となります^^)





母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。





ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」22






ス:もう・・・勝手に・・・。(まいった・・・)
パ:まあまあ、怒りなさんな。男にはそういう時があるもんだ。
ス:どういう時ですか?
パ:勝負しなくちゃならない時がある。こっちへ向かってるんだろ?
ス:ええ。とりあえず、ここで話そうということになって・・・。
パ:そうか。


研究室のドアが開き、イ・ソンジュンが入ってきた。


ソ:こんにちはあ。あれ! スワン先生!
ス:お久しぶり!
ソ:ここにいたのかあ・・・。
ス:なんで?
ソ:先生、今、教務課で話題の人ですよ。ご主人がいきなりやって来て、二人とも退職しますって言ったって。
ス:ええ! 教務にまで行っちゃったのお・・・もう、駄目だ。

パ:まだ、未練があったのか?
ス:というより、もっと穏便にできないのかしらって・・・。ふ~。
ミ:先輩も大変ですね。


パ:それにしても、一日で手の平を返したように、左遷するなんて、これは大問題だぞ。我々だって、誰かが理事長に気に入らんて、直談判したら、この席にはいられないわけだから・・・。
ミ:ホントですね・・・。



イ・ソンジュンは、皆の話を聞きながら、自分の席に着く。

しばらくすると、ヨンジョンがやってきた。




ヨ:失礼しま~す。(ドアを開けてニコやかに入ってくる)
ス:ヨンジョン! もう!


スワンが怒ったような心配したような顔で、入ってきたヨンジョンを見つめた。


ヨ:・・・ごめんな。
ス:・・・バカ・・・。


パ:まあまあ、スワン君も感情的にならないで。とにかく、これはヨンジョン君には・・・。あ、挨拶がまだだったな。パク・ヘソンです。
ヨ:あ。チェ・ヨンジョンです。スワンがいつもお世話になってます。
ミ:スワン先輩の大学の後輩の、ハン・ミンシャです。ここの助手です。
ヨ:どうぞ、よろしく。



ソ:あのう・・・僕もご挨拶を・・・。
ス:あ、ヨンジョン、こちら・・・。
ソ:イ・ソンジュンです。
ヨ:あ、いつもお話はスワンから・・・。
ソ:え、そうなんですか? いやあ、どんな? (ちょっと赤い顔をする)


ヨンジョンは、ソンジュンを見て噴出しそうになった。



もう、あんな変わり者に、パク教授の後釜を取られちゃったのよ・・・あいつ、ドクターは持ってるけど、ものすごい変わり者だもん・・・ハンサムなんだけど・・・なんか、雰囲気がね・・・それでも、出世コースだもん・・・。



ソンジュンはどんな言葉が出てくるか期待して、ヨンジョンの目を見つめた。


ス:ヨンジョン!(キツイ目で横から睨む)
ヨ:(笑うのをやめて)や、失礼! とても優秀な方だとお聞きしてたものですから・・・。あなたがそのイ先生なのかと思って。今、お顔を拝見してちょっとうれしくなって・・・。
ソ:(顔を赤らめる)そうですか・・・スワン先生、ありがとう・・・。(スワンの方を見る)

ス:・・・どういたしまして・・・。


スワンがソンジュンの顔を見ると、トロケちゃいそうな瞳でヨンジョンの目を見つめて、ソンジュンはにんまりとした。
ヨンジョンのほうはというと、そんなソンジュンに向かって今にも噴出しそうに、ニコニコと笑っている・・・。

スワンとパク教授と、ミンシャが見つめ合う・・・。


もしかして・・・ソンジュンて・・・。


パ:君のご主人は人気があるなあ。(笑う)
ス:ええ、まあ・・・。(バツが悪そうに笑う)


パ:で、どうするんだ? これから。(ヨンジョンを見る)
ヨ:ええ。


二人の会話にスワンが割って入る。


ス:もう、ヨンジョンたら。急に辞めるって言っても、ヒョンスの学校は、どうするつもり?


スワンが咎めるように、ヨンジョンを見つめた。


ヨ:学校があるから、ぐずぐずできないだろう? 学校の噂っていうのがあるから・・・。前だって、オレとジョンア女史の噂が流れてたし。
ス:まあね・・・。でも、大学を告訴なんてしないでしょう? (心配そうに見つめる)
ヨ:さあ・・・。(首をかしげて、スワンをじっと見る)まあ、そんなことにお金を使うのは、勿体無い・・・。でも、はい、そうですかとは言えないだろう。ちょっと、脅かさないと・・・。
パ:その通りだ。チェ君・・いや、ヨンジョン君、こっちに座りたまえ。君たちはなかなかいいカップルじゃないか。爽やかな感じがするぞ。
ス:ありがとうございます。(ヨンジョンを見てうれしそうにクスッと笑う)






ソンジュンはじいっとヨンジョンを見つめてから、自分のデスクに戻り、PCのホームページを開く。


大学審議会・・・。

会員番号2089 イ・ソンジュン

エンター。

パワーハラスメント・セクシャルハラスメントについて・・・。

実体報告及び調査依頼の項目を開き、書き入れる。


●●市●●大学工学部建築学科 チェ・ヨンジョン助教授に対する大学側の不当な人事異動について。

氏が同大学講師と再婚した件につき、不当な人事異動がなされました・・・。
かねてより、交際があった講師との再婚の結婚届を提出後、同氏は助教授の席を追われ、研究所勤務を申し渡されました。両人は、大学奉職以前よりの付き合いで・・・・・・。これは、同建築学科同助教授ジョンア女史の嫌がらせに端を発していることは明らかであり、同女史は、チェ氏に対して同僚以上の好意を持ち・・・・チェ氏を中傷・・・理事長という権力に・・・。また、再婚した同講師も大学のスカラシップを・・・・。

以上、同学部内において、パワーハラスメント・セクシャルハラスメントが公然を行われたことをお知らせします。


エンター。

OK・・・・。







ソンジュンはPCを閉じてまたパク教授の横に行って座り、肯きながら教授の話を聴く男のキレイな横顔を見つめた。


ス:すぐに引っ越すの?
ヨ:教務課で聞いてたら、今月中はまた教員住宅を借りてていいって。だから、必要なものだけを持って、後は引っ越し業者に頼もう。(スワンを見る)
ス:だって、高いじゃない・・・。
ヨ:でも、オレ一人ではムリだよ。スワンの部屋もあるし。
ス:私だって・・・。
ヨ:今はあまり力仕事しないほうがいいよ。(スワンに言い聞かすような目をする)
ス:・・・。



ミンシャがヨンジョンと一緒にスワンを見た・・・。


パ:そうだな・・・。この際、早めに出ていったほうがいいかも知れんな。そのほうがヒョンス君の為かもしれない。ここは狭い街だから。ヨンジョン君、こっちのアメリカの大学のほうの返事はまだなんだ・・・。まあ、善処してくれるとは思うが・・・。
ヨ:ありがとうございます。全てが思い通りにうまくいくなんて、そんな虫のいいことを考えてはいけませんが・・・もしもの時はアメリカに行ってから、もう一度出直してもいいと思っています。 な、スワン?
ス:そうね・・・。

パ:スワン君、いいダンナだ。しっかり付いて行きなさい。うん。
ス:はい・・・。(パク教授を見る)


ミ:先輩・・・体調が悪いの・・・?
ス:・・・うううん・・・別に。大丈夫。
ミ:・・・そう・・・。

パ:じゃあ、壮行会をするか! ヨンジョン君とスワン君の。いや、結婚を祝う会だな。じゃあ、皆で飯を食いに行くか! (立ち上がる)

ソ:先生! 僕もお供します。
パ:(一瞬驚くが)そうか・・・じゃあ、皆で行こう!


ソンジュンは、皆とツルむというのが苦手の上、特別スワンとも仲がよかったわけではないから、正直、パクもスワンもミンシャも内心驚いた。







研究室を出て、レストランへ行くまで、ソンジュンは、教授とヨンジョンにぴったりくっついて歩いている。


ミ:(3人の後ろ姿を見て)先輩・・・。変ですよねえ。ソンジュンって、あっちの方面の人だったのかしら・・・。
ス:かもねえ・・・。

ミ:チェ先生、ソンジュンに対しても笑顔ですね・・・。わかってないのかな。
ス:ホント。
ミ:そっちの気、ありですか?
ス:・・・。ミンシャ・・・もう、セクハラで傷ついてるんだから、それ以上言わないでよ。(ちょっと睨む)
ミ:ごめんなさい。
ス:ふん。(笑う)でも、そうだったりして・・・。
ミ:せ~んぱい!(笑う)







レストランでも、ソンジュンはヨンジョンの隣に陣取って座っている。 スワンとミンシャが前の席からヨンジョンたちを監視している。

横からミンシャがスワンを突く。
二人は、ヨンジョンとソンジュンの様子に目が釘付けで、料理は食べているものの、目は両者をじっと見つめている。



ミ:やっぱり、取られましたね・・・。
ス:・・・うるさい!
ミ:あいつって・・・そうなのかなあ・・・なんか、興味が沸いてきちゃった。
ス:やあね。そんなことに興味なんて持たないの。バカみたい・・・。もう・・・。(そう言いながらじっと見つめている)


ヨンジョンがそんなスワンの視線に気がついて、笑ってスワンを見た。


ヨ:もっと栄養のあるものを食べたほうがいいよ。
ス:勝手でしょ。(小さな声で囁く)

ミ:(耳元に囁くように)なんか、お父さんみたいですね。保護者みたい。いいなあ。(笑う)
ス:もう、やだあ。

ミ:妬ける?
ス:・・・すごく・・・。
ミ:やっぱり・・・。


パ:おお、スワン君。そんな目で新婚のダンナを見るもんじゃない。ヨンジョン君、君たちは新婚なんだ。仲良くしなさい。
ヨ:(笑う)はい。
パ:スワン君もね。怖い顔してるよ。
ス:ふ~ん。


パ:まあ、とにかく、少しは脅しを使ったほうがいいだろうな。実際、へんなデマを信じてしまう人間というものはいるものだ。
ソ:でもやはり、こういうことはちゃんとしたほうがいいですよ。これは、パワーハラスメント、プラス名誉毀損です。
ヨ:そうですよねえ・・・。(肯く)
ソ:そうです。ヨンジョンさん。(なぜか名前で呼んでしまう)ここは毅然としたほうがいいです。(しっかりと見つめる)
ヨ:あ、はい。



ミ:ヨンジョンさんて呼びましたよね?
ス:・・・呼んだ・・・ふ~。


ヨ:スワン、どうしたの? (スワンの顔色が浮かないのに気づく)君のチームの皆が励ましてくれてうれしいじゃないか。
ス:ホント・・・。(気のない言い方)

パ:スワン君。これから二人の人生の旅が始まるわけだ。全く、ロマンチックだ・・・。好きな人と、世界を股に人生の旅を続ける・・・。素敵な結婚生活を送りたまえ。
ス:はい・・・。
パ:しかし、ヨンジョン君はいい男だな・・・。やさしくて、力持ち。男も惚れそうだ。なあ、ソンジュン。
ソ:まさに、その通り。(肯く)


ミンシャが噴出した。










教員住宅のヨンジョンの部屋で、ヨンジョンは夕食の準備をしている。



ヨ:食べたくないって、なんか食べなくちゃだめだよ。
ス:でも、もうお昼でお腹いっぱい。それに、このレモン漬けがあれば十分。(笑う)
ヨ:少しでも、身になる物を食べたほうがいいよ。
ス:じゃあ、チゲのお豆腐だけは?
ヨ:(スワンの顔を見る)まあ、いいか。


ヨンジョンはどんどん野菜を切ったり煮炊きの準備をしている。
スワンはちゃっかりキッチンに背の高い椅子を持ってきて座っている。




ヨ:今日の昼はどうしたの? ずいぶん怒った顔してたじゃない?
ス:だって・・・ソンジュンと仲良く話してたでしょ?
ヨ:それが?
ス:なんかねえ・・・。
ヨ:なんだよ。
ス:あいつがさあ・・・ヨンジョンにちょっと気がありそうだったから。
ヨ:・・・バカ。男だよ。
ス:そんなことはわかってるわよ・・・でもね。
ヨ:(笑う)おかしいよね、君は、ホントに。




ス:ヨンジョン・・・ごめんねえ。もう少ししたら、ちゃんとやるから。ちゃんと家事をするから。
ヨ:これからは時間があるからね。どんどんやってください。(野菜を切っている)
ス:わかってるって。(笑う)でも、今日は、洗濯はやったから許して。
ヨ:わかった・・・。でも、アイロンはオレがかけるんだろ?
ス:やります! やるって!
ヨ:襟を上手にかけてね。
ス:OK!
ヨ:・・・やっぱり、シャツは自分でかけるよ。
ス:信用してないわねえ・・・。
ヨ:まず、自分ので練習してから、オレのをかけて。(笑ってスワンを見る)




ス:もうすぐここも出ていくのね・・・。なんか寂しいな。
ヨ:そうかい? (話しながらも手は動いている)
ス:うん。初めて・・・ヨンジョンと一緒になったところだもん・・・。
ヨ:そうだね。・・・あれから、ジョンア女史と話、した?
ス:うううん・・・なんか話す気にもなれなくて・・・酷すぎて・・・。でも、自分でやってることがわかってるのかなって、ちょっと思ったりするの・・・。全体が見えてないような・・・。大学のことを考えると、こんな学期の途中で担任が変わってしまうなんて、学生には困ったことでしょ? 全て私たちだけのせいにもできないんじゃないかな・・・。他の先生たちはどう思ってるのかしら。


ヨ:さあね。そのうち、全体会議で、問題になるんじゃないの。(冷蔵庫からキムチを出す)
ス:あ、そのキムチ、食べたい!
ヨ:・・・。そういうことには目が早いね・・・奥さんは。
ス:うん・・・。(キムチをもらう)


ヨ:大学を訴えるかどうかは、ソウルに帰ってから決めようと思ってるんだ。
ス:え! 本気なの?
ヨ:名誉毀損の部分をね・・・。まあ、大学時代の友達に聞いてみるよ。ただ、時間がかかることや、お金がかかることはあんまりしたくないけど・・・。
ス:うん・・・。ヒョンスの学校はどうするの?


ヨ:そうだなあ・・・。(手を止めて考える)ソウルに帰ったら、アメリカンスクールを探してみるか。どうせ、短い期間だし、そんなところへやってもいいだろう・・・。家でちゃんと英語、教えてやってよ。それはお願いね。
ス:うん、わかった。任せなさい!


ヨ:オレの仕事の話も煮詰めないとね。でも、幸い、パク先生の言ってた大学なら、場所的にはピッタリだから、ジェイムスの会社に勤めても、同じ所に住めるし。その大学が駄目なときは、今度住む家から通える大学を探して。それでいいよね?
ス:うん・・・大学は選べないってことね?
ヨ:仕方ないじゃない。君は、ヨンジョン・ブランドを選んじゃったんだから。
ス:うん・・・。
ヨ:いいよね?
ス:いいよ。・・・ヨンジョンと一緒が一番だから・・・。ずっと一緒がいいから・・・。

ヨ:(笑う)さあ、炒め物をするからどいて。
ス:わかった。
ヨ:キムチばっかり、食べてるんじゃないよ。全く、偏食だなあ・・・。
ス:だって、そういう気分なのよ・・・。


ヨ:つわりが治ったら、普通の料理が出てくるんだろうな・・・ちょっと心配・・・。(笑う)
ス:もう! ソウルに引っ越したら、母さんに習うから。ね! ね! それでいいでしょ? ねえ?




ヒ:宿題、終わりました。お父様、お母様。
ス:お疲れ様です。ねえ、座って、英語の勉強でもしてようか。お父様が夕飯の支度をしている間。
ヒ:あ、それ、いいかも。お母様が教えてくれるの?
ス:YES!
ヒ:じゃあ、教えてください。(笑う)

ス:お父様、二人で英語の勉強をしてきますね。
ヨ:お願いします。(笑う)








3人で夕食を取っているが、スワンはチゲの豆腐しか食べていない・・・。


ヒ:お母様、こっちのもおいしいよ。
ス:うん・・・今日はこれでいい・・・。


ヒョンスが心配そうにスワンを見る。



ヨ:ヒョンス。今日は、おまえに重大な話があるんだ。
ヒ:何?

ヨ:うん・・・。2つあるんだけどね。一つは、今日、お父さんは大学を辞めたよ。
ヒ:え? (驚く)
ヨ:スワンもね。
ヒ:なんで・・・だって、3月にアメリカへ行くんじゃなかったの?
ヨ:それがね・・・お父さんたちの結婚に反対する人たちがいて・・・今まで通りの仕事が続けられなくなったんだよ。

ヒ:なんで?
ヨ:う~ん・・・大学の中では、簡単に結婚しちゃいけなかったみたいなんだ・・・。
ヒ:・・・そんなあ・・・。

ヨ:だから、大学は辞めた。オレたちにはアメリカへ行くという夢があるからね。それが早く実現するだけだよ。
ヒ:でも、スワンさん・・・お母様の留学は?
ヨ:それも・・・意地悪をされちゃったんだ。留学するのに結婚するなんてって・・・。それで、ちょっと行く場所が変わった。大学の紹介の所じゃなくて、スワンの文学部の時の教授の紹介してくれる大学になりそうなんだ。
ヒ:でも、留学はできるんだ。よかったね、お母様。
ス:うん・・・たぶんね・・・。


ヒ:大学って意地悪な人がいるね・・・。
ス:・・・うん・・・。
ヒ:・・・僕の学校も変わるってことだね?

ヨ:うん・・・ごめんよ。おまえにはホントに悪いと思っているんだ・・・。


ヒ:いいよ・・・。ここは・・・同じ大学に勤めている人の子どもばかりで・・・暮らしにくかったから・・・。
ヨ:・・・・。(驚いてヒョンスを見つめる)
ス:そうだったの? (驚いてしまう)


ヒ:うん・・・成績が出ると、皆で噂し合う。誰が一番かって・・・。面倒くさい。
ヨ:そうだったのか・・・。知らなくて、悪かったな。なんで今まで言わなかったんだ。
ヒ:言ったところで、引っ越せるわけじゃないでしょ? 
ヨ:・・・それで、いじめとかあったのか?

ヒ:いじめられはしなかったけど・・・後から来て、成績がよかったから・・・。なんとなく、皆と付き合いにくかったんだ。
ヨ:ふ~ん・・・そうか・・・。ここもいろいろあったなあ・・・。

ヒ:でも、悪いことばかりじゃないよ。
ス:そうお?
ヒ:だってまた、スワンさんと会えたじゃない? ここに来なかったら、会えなかったよ。

ヨ:うん。そうだな・・・ここはスワンに会うために、神様が来させたんだ、きっと。そういう運命にあったんだな。
ス:(微笑む)そうだね。
ヨ:そう・・・そのために、ここへ来た。
ヒ:そうだよ。だから、それで良しとしようよ。
ヨ:ヒョンス。おまえ、大人の口をきくなあ・・・。でも、そうだ。それで良しとしよう。


ヨ:しばらく、残務整理をして、いよいよソウルを目指すか。ソウルのマンションが結構活躍するなあ。このまま、売らないで持っていたほうがいいかもしれないね。
ス:そうね。あそこも、思い出がいっぱいだし・・・。残しておこう。
ヒ:お母様もこの間、泊まったもんね。
ス:うん。


ヨンジョンと二人で、ソウルのデートを楽しんだ日。
二人で初めて風呂に入った・・・。



ス:ヒョンス。今日、私の文学部時代の先生がね、これから人生の旅が始まるんだよって。世界を股にかけて旅をする・・・ロマンチックだねって。
ヒ:ふ~ん・・・。でも、僕はまず、学校に慣れなくちゃ。
ス:そうだねえ・・・。ヒョンスが一番大変だね。応援するよ。助けられることはなんでもするからね。
ヒ:・・・うん・・・。



そうだ。ヒョンスはまだ子どもで、これから多感な時期を過ごすのに、学校をしょっちゅう変わって・・・。
応援する・・・でも、結局は、自分で乗り切ることだね・・・。

君はもうそんなことは知っているんだ・・・。
だから、私もお為ごかしは言わない・・・自分で、切り開く・・・それをもう、ヒョンス、君は知っているんだね。




ヨ:じゃあ、明日、小学校には、お父さんが挨拶に行って、ここの学校ともお別れだ。
ヒ:・・・。うん・・・わかった。






夜のベッドの中で、二人はヒョンスのことを思った。


ス:ヒョンスにはたいへんなことだね・・・。ソウルで就職してもいいよ。そのほうがよければ。
ヨ:・・・スワン、ここまでやってきたんだ。ボストンには行こう。確かに、今、ヒョンスは辛いだろう。でも、オレたちがついてるじゃないか。将来、あいつのためになったって思えるように、オレたちだけの我儘に終わらないようにしてやろう。その為には、これからはヒョンスのためになるかどうかをよく考えて行動しよう・・・いいね?
ス:うん。私たちは二人でいて幸せなんだもん・・・ヒョンスが少しでも幸せを感じられるように考える。
ヨ:うん・・・。


ス:ヨンジョン。いつ言う? 赤ちゃんのこと。言わなくちゃね、ヒョンスに。ウソを突き通すなんてできないから。
ヨ:スワン・・・ソウルに行って、落ち着いたら。それまで待って。今は・・・まだやめよう。
ス:うん・・・。まずは、ソウルに引っ越してからね。
ヨ:うん・・・。ごめんよ。大事な時期なのに・・・。
ス:うううん、いいの。



ス:ヨンジョン・・・明日、ジョンア先輩に会ってみるかな・・・。研究室の整理もあるし。
ヨ:何を話すの?
ス:私たちは、ジョンア先輩のことを裏切ろうなんて考えたことなんてなかったって・・・。
ヨ:・・・。
ス:それから・・・。・・・。
ヨ:・・・。なあに?


ス:こんなふうに、ヨンジョンを傷つけるなんて・・・許せないって・・・。
ヨ:スワン・・・。
ス:だって、ヨンジョンとアメリカへ行って、あなたのこと、知ってるはずでしょう? どんな人なのか。
それなのに・・・。ヨンジョンを中傷するようなこと、簡単に口にして・・・。それがどんなことなのかも気づいていない・・・それが、どんなに人の心を傷つけることなのか・・・。その人の未来を台無しにすることなのか。・・・私は許さないわ・・・。簡単には許さない・・・。
ヨ:・・・・。







続く



では、皆様、月曜日までご機嫌よう!


2009/07/30 00:48
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」21





BGMはこちらで^^


BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」21部です。



ではお楽しみください。






母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。




ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」21





ス:もしもし・・・ジョンア先輩? スワンです。
ジ:ああ、スワン・・・。そういえば、ご結婚おめでとう。
ス:あ、ありがとうございます・・・。先輩に先に話してからと思っていたんですけど・・・時間がなくて・・・。
ジ:なんで、時間がなかったの?
ス:婚姻届ができちゃったんで・・・すぐに出したくなっちゃって・・・。
ジ:ずいぶん急いでいたのね・・・。

ス:早くこちらで一緒に住みたかったから・・・ヒョンス君とも早く仲良しになりたくて・・・。
ジ:・・・。そう。それで、お引っ越しは?
ス:大学に問い合わせたら、留学するまでの期間、家賃を払えば私の寮のほうも使っていいって。

ジ:あら、そんな事言ってた? そう・・・。でも、留学は無くなったわよ。
ス:・・・え?
ジ:だって、留学している場合じゃないでしょ? 夫も子どももできて・・・。それに、同居したら、また赤ちゃんができちゃうかもしれないじゃない? それでは、アメリカの大学のほうに、こちらの大学の顔が立たないわ。他の先生が行くことになったから。

ス:・・・どうしてですか?
ジ:どうしてって。
ス:今までも男の先生は既婚者もいたはずです。
ジ:・・・。だって、あなたは・・・女でしょう?
ス:それ・・・セクハラですよ・・・。女子の場合の但し書きなんてありませんでした・・・。
ジ:そう? でも、今回は諦めなさい。

ス:それって・・・どなたの指示ですか?
ジ:・・・・教授よ。
ス:そうですか・・・明日、話してみます・・・。


ジ:でも、もう次の人に話は行っちゃってるからね。スワン、結婚生活を大事にしなくちゃ駄目よ。
ス:・・・。

ジ:あなたみたいにかわいい人は、家庭を大事にしなくちゃ、ね。
ス:・・・。先輩・・・私のことを・・・怒ってる?
ジ:・・・何が?


ス:ヨンジョンとは、彼のソウル時代からの付き合いなんです・・・。
ジ:・・・だから?
ス:・・・ここへ来て知り合ったわけじゃないんです・・・。でも、最初、それを言うのが恥ずかしくて、ヨンジョンを知らない振りをしてしまいました・・・ごめんなさい・・・。
ジ:・・・そうだったの・・・。
ス:ここは・・・とても小さな街だから・・・二人が付き合っていることをあまり大っぴらにしたくなかったんです・・・。


ジ:チェ先生の奥様が亡くなって、一年も経っていないんですもの。皆にあなたたちが恋愛しているとは言えなかったわよね。
ス:・・・でも、私たちは、ユンア先生が亡くなった後知り合ったんです・・・前の奥さんのことは関係ありません。

ジ:まあ、いいわ。・・・彼ってそういう人なのね。
ス:・・・どういうことですか・・・「そういう人」って・・・?
ジ:う~ん・・・なんていうか・・・つまり、女なしには生きられない? そんな感じ?
ス:・・・・。


ジ:スワン?
ス:先輩。言ってることの意味、わかってるの?
ジ:え?
ス:彼を、侮辱してるの、わかってる? そして・・・私も。
ジ:・・・あら・・・。


ス:これは、大学という組織の中の縦の関係の話ではありません。一個人として、先輩は、彼を侮辱してます。
ジ:・・・ごめんなさい・・・スワンとは、長い付き合いだから、つい口が滑っちゃって・・・。
ス:つい口が滑って、どなたに進言したんですか?

ジ:どなたにって・・・?
ス:先輩。私が教務に結婚届を出したときは、留学についても問題ありませんでした。なのに、それが駄目で、彼にも・・・もしかして・・・皆が誤解するような噂が流れたら・・・困るわ・・・。
ジ:あなた、私を疑っているの?


ス:・・・でも、私の留学が無くなったのだって変です・・・こちらから辞退するならともかく・・・。
ジ:だから、教授が・・・。
ス:教授はご存知でした・・・。先輩とヨンジョンがアメリカへ行っている間、私にヨンジョンと付き合っているのかと尋ねられたぐらいだもの・・・。
ジ:・・・。
ス:教授は、二人が付き合っていたのは知ってました。もし、留学に結婚するのがまずかったら、その時に言ってくれてたはずです・・・。
ジ:・・・・。
ス:・・・。




ヨンジョンの書斎のドアが開いた。



ス:明日、大学でよく話を聞いてみます。では。
ジ:スワン・・・。


スワンは電話を切った。



ヨ:ん? どうしたの?
ス:今、ジョンア先輩に電話したの。
ヨ:そう。それで?
ス:留学は無くなったって。
ヨ:なんで?

ス:もう、悔しい! きっと潰したのよ。


スワンがちょっとむくれた顔をした。


ヨ:まあまあ、気を落ち着けて。ビールでも飲むか。
ス:なんで怒んないの?
ヨ:落ち着いて次の策を練ったほうがいいだろう?
ス:自分のことじゃないから、ノンキね。



ヨンジョンが笑って、冷蔵庫からビールを取り出す。
スワンは、ダイニングテーブルの上に広げてあった自分の勉強道具を片付ける。


ヨ:あ、そうか。奥様はビールは飲めなかったねえ・・・。じゃあ、君はお茶だね。
ス:自分だけ飲むの?
ヨ:飲ませてよ。
ス:ふ~ん。

ヨ:機嫌が悪いね。
ス:だって・・・なんか解せない・・・留学のこと・・・。ヨンジョンのほうには被害がいってないかなあ・・・。
ヨ:まあ、明日、大学に行けばわかるだろう。
ス:ふ~ん。
ヨ:でも、いずれにせよ、その留学は断るかもしれなかったんだから、いいじゃない。
ス:まあねえ・・・でも、パク教授のほうの返事もまだ来てないから・・・。


ヨ:でも、その留学が無くなると・・・別にアメリカへ行かなくてもいいわけだ。
ス:ええ~! (そんなあ~)
ヨ:そうだろ? お茶飲むか?
ス:うん!


ヨンジョンがスワンのためにお茶を入れる。


ス:ダンナ様はやさしいね。
ヨ:はい、どうぞ。
ス:ありがとう・・・。(うれしそうにヨンジョンを見る)
ヨ:どういたしまして。
ス:ふふ~ん、これ、ご機嫌取り?
ヨ:まあね。(笑って、自分は缶ビールを飲む)


ス:アメリカへ行かないでどうするの?
ヨ:すべて、何もないところから考えればいいんだよ。自分たちがどう暮らしたいかね。
ス:ふ~ん・・・。ヨンジョンは?

ヨ:オレは・・・まず、大学は辞める。学生に教えるのは好きなんだ。でも、つまらないことがずっとひっかかったまま進むことになるから・・・また、設計に戻る。これは、どこでもできるな・・・。スワンだって、ソウルの大学院で、学位を取ってもいいじゃないか。赤ちゃんが生まれたら、お母さんだって、手伝ってくれるだろうし。そのほうがラクかも。
ス:学費は?
ヨ:出してやるよ。今より稼げるようになるだろ。奥様の学費くらい、出してやるよ。
ス:う~ん。


スワンが唇を尖らせた。


ヨ:その案はいや?
ス:だってえ・・・アメリカに留学するのは夢だったんだもん。それを後回しにすると、たぶん、一生行けない・・・。それはわかるわ。子どもの手が放れたらとかいっていたら、自分自身が勉強しづらいようになっていくと思う。

ヨ:じゃあ、行くんだな?
ス:・・・いい?
ヨ:・・・。君が行きたいっていうなら、アメリカの友人の会社のパートナーになるよ。ホントに行っていいんだね?
ス:いいの?
ヨ:オレはどこでもいいよ。どこでもやっていけるし。お父さんはそれだけ、力があるんだよ。(笑う)
ス:ありがとう、お父さん・・・。我儘、いいます。(頭を下げる)


ヨ:ただし、パク先生の留学の話が流れても、まずは、仕事を確保しなくちゃならないから、ボストンには行くよ。そこで、赤ちゃんを産んで、それから、大学院にチャレンジだな。いいね?
ス:うん・・・。
ヨ:わかった・・・。(ビールを飲む)





ヒョンスが自分の部屋から出てきた。


ヒ:お父様、お母様、勉強が終わったので、もう寝ます。お休みなさい。(頭を下げる)


スワンが驚いて、ヒョンスを見る。


ヨ:では、お休み。(ヒョンスに言う)
ス:・・・お休みなさい・・・ヒョンス・・・。



ヒョンスが部屋へ戻っていった。


ス:どうしたの?
ヨ:え? オレのマネをしてるだけ。直に飽きるよ。(笑う)
ス:・・・。
ヨ:お父さんは子どもの頃、どうやって挨拶してたの?って言うから、お父様、お母様、お休みなさいって挨拶してたって言ったんだ。
ス:へえ・・・でも、これで、私との関係が崩れたりしないわよね?
ヨ:大丈夫だよ。遊びだから。
ス:え、でも、心配。見てくるね。



スワンがヒョンスの部屋をノックして、ベッドに入ったヒョンスの顔を見る。


ヒ:どうしたの、お母様?
ス:やだ、ヒョンス。普通にしてね。
ヒ:わかりました、お母様。(笑う)
ス:なんか変よお。(困った顔をする)

ヒ:結婚、おめでとう。
ス:(笑って部屋へ入る)ありがとう。
ヒ:だから、今日はお父様とお母様の邪魔をしないで寝ます。(笑う)
ス:そう? うん・・・でも、その話し方、これからも続くの?

ヒ:結構気に入ってるんだ。
ス:そうなの? なあ~んか変よ。かしこまっちゃってて・・・。

ヒ:実はこれいいんだ・・・。(スワンをじっと見る)
ス:どこが?

ヒ:これで、話すと・・・簡単にスワンさんのこと、「お母様」って呼べるんだ。恥ずかしくなく・・・だから・・・。
ス:・・・。そっか・・・。
ヒ:だから、しばらく、これで話すね・・・話しやすいから・・・。(スワンを見る)
ス:うん・・・。わかった。では、かわいい私の息子のヒョンス、お休み・・・。
ヒ:お休みなさい、お母様。



スワンが幸せそうな顔で、リビングに戻ってきた。


ヨ:どうした?
ス:うん、あれで話すとね、簡単に「お母様」って呼べるからいいって・・・。今日は結婚した日だから、邪魔をしないで寝ますって。
ヨ:(笑う)そうか。



スワンがダイニングテーブルに座って、ヨンジョンを見る。


ス:いい、結婚プレゼントになったわ・・・。(幸せそうな目をする)
ヨ:そうだね・・・孝行息子だな・・・。結婚記念日に毎年、思い出すことが増えたね。
ス:うん・・・。え? あとなんかあったっけ?


ヨ:あとはあ・・・(スワンから目を外して缶ビールを見て笑う)新婚旅行の海辺のホテルで、裸で窓に向かって手を振っていたこと・・・。(笑ってスワンを見る)
ス:ひどい・・・それは忘れてよ。

ヨ:駄目だよ、強烈に覚えているんだから! ああ、こういう人と結婚しちゃったんだなあって・・・。(一人で頷いている)
ス:何よ、それ・・・反省したの?
ヨ:そう。(笑う)

ス:もう、嫌なことだけ、覚えてるのね。
ヨ:そうだね。初めて会った日の昼も・・・。(笑う)寝ぼけてソファから落ちたよね。(ニコッとしてスワンを見る)
ス:もう、どおうして、そんなことばかり、覚えてるの。やだ。いいところだけ、覚えてて!


ヨ:どんな?
ス:どんなって・・・う~ん。(自分でも思いつかない)

ヨ:ああ、そうだった・・・。ソファから落ちたときもスラっとした足がキレイだった・・・。
ス:いいわね。(うれしそうにヨンジョンの顔を見る)

ヨ:海辺のホテルも・・・キュっと締まったヒップに長い足が魅力的だった・・・。
ス:それ、いいわね。そこの部分だけ、覚えておいて。

ヨ:わかった。初めて会った日のダブダブのズボンも黒縁のメガネも忘れる・・・。(目を瞑る)海辺のホテルも長い足だけを思い出すように・・・。


ス:どうお? 記憶を入れ替えた?
ヨ:できた! (目を開ける)


スワンがうれしそうにヨンジョンの顔を見る。
ヨンジョンが缶ビールを持って、立ち上がった。



ヨ:でも、そうすると、顔が、キーラ・ナイトレーになっちゃうんだよねえ。うちの奥さんはキーラ・ナイトレー。いいなあ・・・。(独り言のように言う)

ス:ヨンジョン! 何よそれ!
ヨ:ほら、この間、3人で一緒に見た「パイレーツ・オブ・カリビアン」。あの人、キレイだったじゃない。


ヨンジョンはそういいながら、寝室に入っていく。


ス;もう! なにい! 結婚すると、ホントに男って変わるのねえ・・・。ものの見事に、一夜にして変わったわ!(呆れる)


スワンも追うように、寝室へ入る。
ヨンジョンがちゃっかりベッドに入っている。


ス:もう・・・。
ヨ:まだ、怒ってるの? 今日、結婚したんだよ。おいで。
ス:だってえ・・・昼もしたわよ。
ヨ:新婚だよ・・・。(笑う)
ス:(笑う)・・・もう・・・。



スワンがベッドに入る。


ヨ:君に渡したいものがあったんだ。
ス:なあに?
ヨ:これ。


サイドテーブルの引き出しから出す。


ヨ:これね、元祖ヨンジョンさんが、お祖母様と結婚した時にあげた指輪。


ヨンジョンが小さなダイヤの指輪を出した。


ヨ:つけてごらん・・・。お祖父ちゃんが、好きな人ができたらあげなさいってくれたんだ。
ス:・・・。ユンアさんにはあげなかったの?
ヨ:・・・。うん・・・持ってた・・・。なぜ、あげられなかったんだろうね・・・結婚したのに・・・。
ス:・・・。(ヨンジョンを見つめる)
ヨ:君には、すぐあげたいと思ったのに。(スワンを見つめる)


ス:ヨンジョン・・・。(見る見る目が赤くなる)
ヨ:スワン・・・。ずっと仲良くやっていこうね。
ス:うん・・・。これ、大切にする・・・。つけて。


スワンは、ロイヤルブルームーンストーンのリングを外して、左手を差し出す。


ヨンジョンがスワンの薬指にはめる。
スワンの指には少し太かった。


ヨ:少し大きい?
ス:うん、でも大丈夫。これから太くなっちゃうもん・・・。キレイだね・・・。
ヨ:似合うね。
ス:・・・。(ヨンジョンを見る)


ヨ:何?
ス:なんでもない・・・。これもうれしい思い出になるね・・・。



スワンは、「ヨンジョンばっかり、ズルイ」と言おうと思ったが、言わなかった。

スワンの中に思い出されるヨンジョンは、いつもロマンチックで素敵だ・・・。
ヨンジョンの中に、蓄積していく自分の思い出は、少しファンキーだ・・・。

もう・・・!


ヨンジョンがスワンの肩を抱いて自分のほうへ引き寄せる。
スワンの顔をじっと見て、髪を撫でた。



ヨ:今日は・・・言っておこう・・・。二人の思い出に。
ス:・・・。
ヨ:オレの愛しいスワン。君を好きになって、オレはとても幸せになりました。君がいつもオレをまっすぐ見つめてくれるから・・・オレもまっすぐ、君を見つめられる・・・。君の愛がオレの心にどんどん響いてくるよ・・・・。ちょっとおっちょこちょいだけど、オレには、君がかわいい・・・。かわいいくせに・・・大胆で、やさしくて・・・。
ス:・・・大好きなヨンジョン・・・。ヨンジョン以外の男の人なんて考えられない・・・。いつまでも、私を包んでいて・・・。
ヨ:うん・・・。スワン、君も・・・いつまでも、オレを包んでいて・・・。
ス:うん・・・。


ヨンジョンがスワンをベッドに寝かせる。

スワンがヨンジョンを大きな目で見つめる。


ス:素敵な日になった・・・。すべてが素敵・・・。ヨンジョン、ありがとう・・・。これからもあなたをずっと愛するわ・・・。
ヨ:(微笑む)


ヨンジョンが覆いかぶさるように、スワンに熱いキスをした・・・。












翌日の午後、スワンは、文学部のパク教授の研究室に来ていた。



パ:結婚おめでとう。よかったなあ・・・ハッピーエンドだ。(笑う)
ス:それ、希望します。(笑う)

パ:しかし、いい男を捕まえた。それで、大学のスカラシップは剥奪されたわけだ。
ス:そうなんです。たぶん、ジョンア先輩の横槍だと思う・・・。
パ:う~ん、その実体はわからないなあ・・・。まだ、こっちも返事が来てないしな。何が何でも、留学したいわけだ。
ス:というか、このチャンスを逃すと、留学しづらくなるでしょう? 


パ:まあね。それにしても、ヨンジョン君は頼もしい彼じゃないか。
ス:ええ・・・。
パ:幸せモノだ、君は。ホントのスワンになったな。(優しい目で見つめる)




研究室のドアが開き、ミンシャが入ってきた。



ミ:お待たせしました。
パ:どうだった?
ミ:やっぱり!
パ:うん・・・。
ス:何が?


ミ:やっぱり、建築学科のほうで動きがあるんです。
ス:どんな?
ミ:それが・・・誰が流したかわからないけど・・・チェ先生にはちょっと問題があるって・・・。
ス:何?

ミ:前の結婚が助教授を妊娠させちゃって・・・ごめんね、スワン先生・・・でも、こういう噂・・・大学院を追われて、アメリカで学位を取ったって。それで、今度は隣の研究室のスワン先生に手を出して・・・。

ス:ひどい! 私たち、ソウルで知り合ったのよ。ここで、知り合ったんじゃないわ。
ミ:でも、そういう話になってるの・・・。
ス:それに・・・前のユンアさんは・・・ヨンジョンの子どもがほしかったのよ・・・。それで・・・。ひどいわ。


パ:噂というものはそういうものだよ。事実だけ見ると本当に見える。しかし、その内情は違う・・・。
ス:でも、それで、ヨンジョンはどうなるの?
ミ:なんか・・・研究所勤務に変えられるみたい・・・。
ス:なんで?

ミ:人前に出せないみたい・・・。
ス:首にはしないのね?
ミ:だって、できないでしょ? スワン先輩とは、一応幸せな結婚をしているわけだし、前の奥さんは亡くなられているわけだし・・・。
ス:一応って。ホントに幸せよ。(睨む)

ミ:ごめん・・・。
ス:・・・私もごめん・・・。


パ:授業はどうする? この間、編成を変えたばかりなのに。
ミ:また、代講みたい・・・。こんなことやってると、生徒が来なくなりますよね・・・。
ス:私だけで済まなかったのね・・・。

パ:どうする?
ス:どうするって・・・。
パ:もう、スパッと大学を辞めるか?
ス:・・・。う~ん・・・。それでもいいけど・・・。まずは、ヨンジョンの意見を聞かなくちゃ。ただ、変な噂だけ残るのは困ります。彼の将来のためにも。
パ:そうだな・・・。そこはなんとかしよう。

ス:どうなんとかするんですか?
パ:あっちの教授に話してみるか・・・。
ス:お願いします。このままでは、ヨンジョンには韓国は針のムシロだわ・・・。(泣きたくなる)

ミ:それにしても、ジョンア先生ってやなやつですね・・・。あの人のせいで、うちの学校が地に落ちそうだわ。
ス:ふ~ん・・・。










トントン!

建築学科の教授の研究室のドアがノックされた。


教:はい。
ヨ:失礼します。
教:入りたまえ。



ヨンジョンは教授の研究室の応接セットに座る。


教:もう君の耳に届いているのかね?
ヨ:はい。人事異動ですね?
教:ああ。
ヨ:なぜでしょう。授業のほうも順調ですし、何をしたって・・・僕が結婚をしたからですか?
教:まあ、平たく言うとそういうことだね・・・。


ヨ:スワンとは、ここへ来る前からの付き合いで、隣の研究室になったから、手を出したとかそういうことではありません。それに、彼女が文学部のままなら、なんの問題もなかったわけですよね?
教:そうなるかな・・・。

ヨ:教授は、僕の教員としての資質をどうお考えなんでしょうか?
教:私は、非常にかっていたんだが・・・。

ヨ:それでも研究所へ行けという判断は、先生がなさったのですか?

教:チェ君・・・君を守りきれなくて、すまなかった・・・。
ヨ:・・・・。
教:今回のことは、私の耳に入る前に・・・理事長のところへ噂を流した者がいてね・・・。つまり、君の前の結婚が、学生の君が当時の助教授を妊娠させたことへの責任取りだったということ。そして、そのことで、大学院を追われて、アメリカで学位を取ったということ。それが今度は、隣の研究室のスワン先生に手を出して・・・。とまあ、実しやかに忠言した人間がいたんだ。

ヨ:それで・・・?
教:それで、君を現場に置くことはマズイということになって・・・。
ヨ:僕たちが結婚してたった一日でこんなことになったんですか・・・。

教:うん・・・。そう・・・。ずいぶん、事態が急変して驚いているんだ。私のところに、君たちの結婚についての報告をもらった時には、もう理事長に電話をした後だということだったから。彼女には、先に相談をしてほしかったよ・・・。
ヨ:・・・。(彼女・・・ジョンアか・・・)

教:チェ君。私は、前の君の奥さんをよく知っているんだよ。学会で何度も会ったからね。だから、彼女の気性もよく知っている・・・。建築学科のある年齢のものは、君の奥さんのことを知っている・・・。つまり、君の前の結婚が彼女の同意がなければ、決してありえないことはよくわかってるんだ。だから、そんな噂は気にしない。それに、この前、スワン君に君のことを尋ねたら、ソウル時代からの付き合いだと言っていたし、君たちを、私は信じている。しかし、理事などは、その辺がわからないからな・・・。噂で変な助教授がいると流されたらと保身に回るわけだ・・・。つまらん・・・。私もすっかり嫌になったよ。



ヨ:先生。僕たちは結婚しただけです・・・ただ好きになって結婚しただけです。スワンの留学も取り消し・・・。これは明らかにセクハラです。
教:チェ君!

ヨ:これを事件にしたら、この大学はたいへんなことになりますよ。僕は好きな女と結婚をした。そして子どもを育て、また結婚した。それだけです。それに対しての僕たちへの大学の取った処置には驚きました。
教:チェ君。

ヨ:このことで訴えるかどうかは、よく考えてみます・・・。でも、もうこちらから、僕もスワンも大学を辞めさせていただきます。
教:チェ君!


ヨ:こちらから辞退します。このことは、よく覚えておいてください。このようなセクシャルハラスメントをするような大学には、未来はないと。
教:チェ君、どういうことだ。
ヨ:とにかく、もうこれで縁を切ります。先生にはお世話になりました。失礼します。
教:チェ君!




ドアのところへ行って、ヨンジョンが振り返った。


ヨ:先生、ここは・・・たった一人の嫉妬のために、大学を陥れるんですか? 僕はたった一人の女性を守ってここを辞めます。でも、この事実は、ソウル大時代の友人の弁護士に相談してみます。
教:待ってくれたまえ。



ヨンジョンはそのまま、部屋を出た。

ジョンアが研究室を出てきた。
驚いた顔で、ヨンジョンを見つめた。

ヨンジョンには、いつものやさしさはなく、冷たい氷のような表情で彼女を見つめた。


ヨ:あなたは、ずいぶんな人ですね・・・。



そういって、ヨンジョンは自分の研究室へ戻っていった。










文学部に遊びに来ているスワンの携帯が鳴った。


ス:もしもし、ヨンジョン? え! 辞めたって? 二人とも大学を今辞めてきた?!



近くにいたパク教授とミンシャも一緒に驚き、スワンを見つめた。







続く・・・




2009/07/29 19:18
テーマ:本日の彼・・・ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

少しは休んでね・・・vv

Photo



BGMはこちらで^^





少しは睡眠取ってね・・・。

お目目がくっ付きそうだよ・・・。

寝てられないのもわかるけど・・・少しだけでも休んでね・・・。



そんなお目目になっちゃう状況、よくわかるよ・・・

私もそんなお目目になっちゃったこと、あるから。



とにかく、

階段を転げ落ちないようにね・・・。

そんな、心配しちゃうよ。




joonは電車には乗らないから、

終点から折り返し乗ったまま、帰ってくるなんてこと、ないと思うけど^^



でも、一回、

ふわ~~~~~って、ベッドに倒れて・・・


そのほうが効率的!^^





「まだ、寝たくないよ!」




でもでも・・・おやすみ~~~~~~~^^



チュ^^








自分で、
企画して、
取材して、
写真を撮って、
文を全て書いて、
編集して・・・

全てを自分で
プロデュースする・・・


これは大変な作業だよね。




もちろん、これについては、
プロの助言というものも仰いだであろう。


でも、実際に彼はそれをやっている。



今、膨大に集めた資料を仕分けして、
13章からなる本の割付を組みなおし・・・

「なんだよ、これじゃあ、
入りきれないじゃない・・・vv」


だから、切り落としていくのよ!
という頭の中の声と戦って、


「これで、説明いいかなあ・・・」

もっと言葉を選んだら・・・
ホントにそう思ったの?
なんて、意地悪な声に悩まされながら、

何度も何度も推敲して
原稿を書いているにちがいない・・・・。


もう写真は選んだの?

そっちは得意?^^

作業はいくらでもあるね。





ホントに身を削りながら・・・
一行一行埋めていく・・・

漆器のチョン先生によると(週刊女性)、

彼は点滴しながら、机に向かっているそうで、

いつもながらに、
ヒンドロい作業を彼は繰り返しているらしい。



実際、書くという作業も編集という作業も
やり始めたら時間なんてあっという間だ。

のめり込めば込むほど、
時間などという感覚は
自分の中から消えていく・・・


これを完成させて、
日本に引っ下げてやってくるのだから、

私は大いに労いたい・・・。


どれだけ、厚みのある本になるのだろう・・・。


これを一つ仕上げたら、
きっとしばらくは本なんて作りたくないだろうね・・・。


コラムで、「キムチの漬け方」なんて
いうのもあるんだろうな^^



どんな言葉を選んで、
デビュー戦の本を作り上げるのだろう。





8月上旬には書き上げたいと言っていたから、

あと少しね?^^


まずは、全て無事に入稿できますように!




でもでも、少しは休んでね^^









2009/07/29 00:16
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」20





BGMはこちらで^^



BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」20部です。


ではお楽しみください。





母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。





ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」20






スワンとヒョンスは、スワンの実家の2階の元彼女の部屋でアルバムを見ている。


ヒ:へえ、これがスワンさん・・・痩せてたね。
ス:うん、だって高校生だもん・・・ねえ、この人、わかる?(アルバムを指差す)
ヒ:う~ん・・・あ、あの先生だ!

ス:そう!(笑う)あの先生! 
ヒ:へえ・・・あの先生は・・・・昔からあまり変わらないね・・・。
ス:そうかな・・? うん、でもやっぱり、若かったよ。(笑う)


部屋がノックされた。


ス:はい?


ヨ:ここ?(ドアを開ける)
ス:あ、ヨンジョン。今ね、ヒョンスと一緒に、昔のアルバム、見てたの。
ヨ:そうか。ヒョンス、お祖母ちゃんがお呼びだ・・・スワンのお母さんが。
ヒ:僕?

ヨ:うん、一緒に夕ご飯の支度を手伝ってって。
ヒ:ふ~ん。
ス:私も行く?
ヨ:いや、ヒョンスと二人がいいらしい・・・。

ス:そう・・・。
ヨ:ヒョンス。(行きなさいという顔をする)
ヒ:うん・・・じゃあ行ってくるね。


スワンが心配そうにヒョンスとヨンジョンを見た。



ヨ:ただ、ヒョンスと仲良くなりたいだけだよ。行きなさい。
ヒ:うん!


ヒョンスは立ち上がって、部屋を出ていった。


ス:大丈夫かしら?
ヨ:大丈夫だよ。ヒョンスに・・・あいつの本当の気持ちを聞きたいらしいんだ。
ス:本当の気持ち?

ヨ:うん、スワンやオレには、悪くて言えない気持ち・・・。大丈夫だよ。
ス:そう・・・。母さんになら話すかしら・・・。
ヨ:君のお母さんはやさしい人だもん・・・何かあれば話すかもしれない・・・。
ス:うん・・・。



ヨンジョンは、入り口のドアの建具のところに寄りかかってスワンを見ている。
スワンがヨンジョンのところへ行き、正面から腰に腕を回して、ヨンジョンを見上げた。


ス:私たちに言えない気持ち、あるかもね・・・そういう気持ち、あるよね・・・遠慮して言えないこと・・・。


胸に顔を埋めるように、しっかりと抱きつく。


ヨ:どうしたの?
ス:抱いて、ちゃんと・・・。


ヨンジョンがしっかりと抱く。


ス:ふ~ん・・・。
ヨ:疲れた?
ス:うん、少しね・・・。
ヨ:寝てれば? 夕飯ができるまで。

ス:でも・・・。こうやって、ヨンジョンに抱かれてるほうがいい・・・。
ヨ:スワン・・・。(顔を覗きこむ)
ス:なあに?
ヨ:座ろ。オレも疲れたから。(笑う)
ス:なあんだ。(笑う)



二人で小さな二人掛けのソファに座る。

スワンがヨンジョンの肩に寄りかかる。



ス:母さん、なんか言ってた? あなたとも二人だけで話したいなんて・・・。一人ずつ面接してるみたい・・・。

ヨ:前の結婚の話をしたんだ。スワンがいると、前の奥さんへの気持ちが話せないだろうって。
ス:それで?
ヨ:ヒョンスができて結婚した件を話したよ。その後のことも全部・・・。
ス:辛かったね・・・。
ヨ:聞くほうが辛いかもしれないね・・・。

ス:うん・・・。でも、ヨンジョンが頑張ったことは、きっと母さんもわかったと思うよ。
ヨ:だといいけど。


スワンがヨンジョンの胸に顔をつけた。


ヨ:どうしたの?(顔を覗く)
ス:ちょっと甘えさせて・・・。

ヨ:(笑う)お母さんが、あの子はちゃんとやってるんでしょうかって聞いてたよ。
ス:なあに、それ? (顔を上げる)
ヨ:だから、よく歯軋りや寝言を言ってますよって言っておいたよ。(笑う)
ス:うそ! 一緒に寝てるなんて、言っちゃだめよ!・・・ああもう、うそついたわね!


ヨ:(笑う)お母さんがふつつかな娘ですが、よろしくって。
ス:そう言ったの?(ちょっと胸がいっぱい)
ヨ:うん。
ス:よかった・・・。完全に許してくれてるね。後は、ヒョンスだけ・・・。






母:ヒョンス君は、ハンバーグ、好き?
ヒ:うん。
母:じゃあ、これを一緒に丸めて焼こうか?
ヒ:これがハンバーグの素?
母:そうよ。スワンはまだハンバーグを作ったことないのかしら?
ヒ:うん、まだ。


ヒョンスは、スワンの母親に手を取られて、一緒にハンバークの形を作っている。


母:あ、上手ね・・・。ヒョンス君はスワンの料理は何が好き?
ヒ:オムライスかな・・・。中のライスの味は母さんの味付けだって。
母:そう言ってた? (うれしそうにヒョンスを見る)でも、卵がうまくできなかったはずだけど・・・。
ヒ:それは、お父さんがやったんだ。「オレで愛で包んでやろう」って。(笑いながら言う)

母:・・・そう・・・楽しくやっているのね?
ヒ:うん。(ハンバークを作りながら、頷く)

母:お母さんが亡くなって寂しいでしょう?
ヒ:それはね・・・ホントのお母さんだったから・・・。でもね・・・。
母:でも?
ヒ:お父さんも、今日会ったお父さんのお祖父ちゃんも、あ、この人とお父さんと同じ、ヨンジョンて言う名前なんだよ。二人とも、ママの思い出は大切にとっておいて、新しいお母さんとの生活を楽しみなさいって。
母:ふ~ん・・・それでいいの? それで納得したの?
ヒ:・・・じゃあ、他にどうしたらいいの?
母:・・・。

ヒ:僕は子どもだから・・・自分じゃ選べないよ・・・。でも、スワンさんが好きだから、よかった。嫌いな人がお母さんにならなくて・・・。
母:・・・。

母:韓国を離れてもいいのね?
ヒ:お父さんが、アメリカで勉強することは将来役に立つって。それに、スワンさんも言ってたけど・・・お父さんは韓国の大学にいると、皆、ママのことを知ってるから、思い出して寂しくなっちゃうんだって。だから、僕は二人と一緒にアメリカへ行く。ママのお祖父ちゃんやお祖母ちゃんも心配したけど、お父さんたちと行くよ。だって、僕たち、家族だから・・・。


母:そうか。ヒョンス君は気持ちを決めてるんだ。だったら、おばさんも、言うことないわ・・・。これからは、お祖母ちゃんね。ヒョンス君、私はあなたのお祖母ちゃんよ。よろしくね。(見つめる)
ヒ:・・・はい・・・。







ス:手伝いに行こうかな?
ヨ:いいんじゃない? 二人で話しながら、やってるよ。それに、今、行くとバレるよ。キッチンのニオイが駄目だろ?
ス:そうね・・・。あ、ハンバーグの焼いてるニオイがする・・・。前は母さんのハンバーグ好きだったけど、今日は食べられるかな・・・ちょっと、心配。
ヨ:お母さんに話したらどう? やっぱり、女親のサポートは必要だよ。
ス:うううん、やれるとこまでやってみる・・・。できちゃった婚だって、思われたくないの。ホントにヨンジョンが好きで結婚するのに。
ヨ:わかった、強情だなあ。(笑う)
ス:食べるの、手伝ってよ。残せないから。(笑う)






母とヒョンスの作ってくれたハンバーグを前に、4人は和やかに夕ご飯を食べている。

母は、スワンがヨンジョンといて幸せそうであること、何よりヨンジョンがしっかりと、スワンとヒョンスを携えている感じがして、とても頼もしい。

母が食事の途中、お茶を入れにキッチンに立ち、戻ってくると、ちょうどヨンジョンがスワンの耳元で囁き、スワンがちょっと顔をしかめて、首を振っているところだった。
その顔を見て、ヨンジョンがスワンの皿から、ハンバーグを取って、自分のほうへ移した。
「これは?」というように、アッサリめのおかずを指差すと、スワンがにこやかにヨンジョンを見て、ヨンジョンがそれをスワンのほうへ回した。


やっぱり・・・。


でも、ヨンジョンもスワンもそれについては、全く口に出さなかった。

ヒョンス君のことがあるからかしら?


二人は、どのように、ヒョンスにそのことを打ち明けるのだろう・・・。








ヨ:ご馳走様でした。(頭を下げる)


3人が玄関に並んで帰り支度をしている。


ス:母さん、ご馳走様。また、来るね。
母:ええ、いつでもいらっしゃい。ヒョンス君もスワンと一緒にいらっしゃいね。
ヒ:はい。

ヨ:婚姻届を来週中には出そうと思っているんです。そうすれば、教員住宅で一緒に暮らせるし、大っぴらに三人で出歩けるので。
母:そうね。そうした方がいいわ。早いほうがいいかもしれない・・・。スワン、あなた、具合悪くないわね?(心配そうな顔をする)
ス:うん、大丈夫よ。(微笑む)


母:これね・・・レモン漬け。柚子茶よりさっぱりしているから・・・食べてごらん・・・。
ス:・・・・。(母が差し出した袋を見つめる)
母:ミンスのために漬けたんだけど、たくさん漬けちゃったから。よかったら、食べなさい。
ス:・・・。

ヨ:ご馳走様です。
母:ヨンジョンさん。スワンをよろしくお願いします。これから二人がどんな生活を選んでいくのか、私にはよくわからないけど・・・でも、あなたもスワンもきっとうまくやっていけると思うので、蔭ながら応援するわ。
ヨ:ありがとうございます。
ス:・・・ありがと・・・。(目を合わさずに言う)

母:じゃあ、道中が長いから、もう行きなさい。気をつけてね。
ヨ:はい。
母:じゃあね、ヒョンス君。
ヒ:さようなら。





三人は車に乗り込み、母親に手を振って、別れた。




ヨ:どうしたの?
ス:母さん、気づいてた・・・。
ヨ:・・・。
ス:妊娠している妹のミンスのために、漬けたんだよ、このレモン・・・。つわりがひどい時に食べるように・・・。(泣きそうな顔で袋の中の瓶詰めを見る)
ヨ:・・・。
ス:それなのに、何も言わないで来ちゃった・・・。
ヨ:・・・大丈夫だよ。きっとお母さんは許して下さるよ。
ス:・・・うん・・・。親不孝だね・・・。
ヨ:スワン、これから孝行すればいいよ。
ス:・・・。(ちょっと目が潤む)



ヨ:ヒョンス?


スワンが後ろを振り向く。
ヒョンスは一日の疲れが出て、後部座席で寝息を立てて寝ている。


ス:寝ちゃったね。
ヨ:うん、疲れただろう。明日はまず、病院へ一緒に行って、あれ、見るだろう?
ス:一緒に見てくれるの?
ヨ:うん、楽しみじゃない。
ス:ありがとう。
ヨ:その帰りに、婚姻届を提出して、大学に届けを出す。それで様子を見てみよう。

ス:うん・・・二人とも首になっちゃったりして・・・。(笑う)
ヨ:そんなことはないだろう? 変なところは・・・君が留学する前っていうとこだけだろ?
ス:まあ、そうね。


ヨ:それとも、オレの噂で・・・オレが首になるか・・・。
ス:大丈夫よ。なんか言われても。後少しだもん・・・。とにかく、二人で乗り切ろう。
ヨ:うん。





結局、その日も、スワンはヨンジョンたちの部屋へ泊まった。
もう一人でなんて寂しくて暮らせない・・・。


翌朝、学校へ行くヒョンスを送り出すと、早速二人は計画通りに行動した・・・。








午後の授業に出るため、ジョンアが教務課へやってきた。
教務課の中がざわめいた。


ジ:どうしたのお? 何かあったの?
女:先生は知ってましたよね?
ジ:何が?
女:スワン先生のこと。
ジ:何? ああ、留学することね、もちろん、知ってるわよ。
女:そうじゃなくて、結婚したこと・・・。


ジ:結婚!! (驚く)
女:やっぱり・・・。
ジ:聞いてないわよ。どうしたの。なんで知ってるの? (目を見張る)
女:本日、11時20分に、結婚届けの提出がありました。

ジ:急ね・・・。何があったのかしら・・・。だって、留学するわけでしょう、あの子・・・。
女:それまでの期間、一緒に暮らしたいからだそうです・・・。
ジ:へえ・・・熱愛ね・・・。(出席簿を取る)


女:そう思います?
ジ:そうじゃない? 熱愛以外、考えられないじゃない。何も留学前じゃなくても。帰ってきてからのほうがいい男が捕まるのに・・・。(30の誕生日を迎えた時が一番、焦るのよねえ・・・)



ジョンアが「まあまあ・・・」と言いながら、教務課を出ようとすると、教務課の女の子が意味ありげにジョンアを見ている。


ジ:なあに? まだ何かあるの?
女:先生・・・相手の方、知ってますか・・・?

ジ:相手? 知らない。 私たちの知ってる人?
女:ええ・・・とても・・・。

ジ:誰かしら・・・文学部の同じ研究室のあの男の子?
女:いいえ・・・。(隣の職員を見る)


教務課の皆が知らん顔を決め込んだ。


ジ:あと、誰がいったっけ? あの丸顔の教務課の・・・。
女:違います・・・。

ジ:誰?!

女:お隣の・・・。
ジ:お隣?
女:お隣の研究室の・・・。


ジ:お隣って言ったら、チェ先生しかいないじゃない? (考える)


女性職員はそこまで言って、仕事に戻る。



ジ:チェ先生でしょ? その他のお隣って何よ・・・。ねえ、だあれ!?


女性職員の顔の横に顔をつけて、聞く。


ジ:じゃ、だあれ?
女:・・・チェ先生・・・。

ジ:チェ先生? ふ~ん・・・え!! チェ先生! (驚く)チェ先生はどこ!
女:先生たち、新婚旅行代わりに、今日は海へ行きました・・・。
ジ:海?

女:ええ、チェ先生の坊ちゃんがスイミングスクールから戻るまでの時間しか、二人の自由な時間が作れないからって。
ジ:やだ! イヤらしい! 昼間っから!(眉間に皺を寄せる)

女:? 先生、海を見に行っただけですよ。記念日になるからって・・・。おいしいランチを食べるって・・・。
ジ:あら・・・あら、そう・・・そうなの?

ジョンアは顔を赤くして、くるりと回り、一直線に出口を目指す。


ジョンアが出て行った後、教務課で皆が一斉に笑った・・・。








ス:静かねえ・・・。波の音だけ聞こえて・・・。
ヨ:うん、いい感じだね・・・。お天気もよくて・・・。
ス:結婚しちゃったね。
ヨ:ホント!(笑う)
ス:なんか、夢みたい!

ヨ:だね。海で、好きだって告白して、海に新婚日帰り半日旅行。まあ、いいか!
ス:うん・・・。


ヨ:赤ちゃん、かわいかったなあ・・・。
ス:うん。ちゃんと人の形してたね。マッチ棒みたいに、細くて小さかったけど。
ヨ:でも、元気よかったじゃない。飛び跳ねてて。
ス:ホント! お腹の中でダンスしてた。(笑う)


ス:ねえ、写真、もう一度見る?
ヨ:うん。


スワンが起き上がって、ベッドから降り、バッグから手帳を取り出す。
何気なく見た窓の外で、子どもたちが手を振っている。

スワンもそれに答えて手を振る。


ヨ:スワン。何してるの?
ス:うん? あっちで手を振ってくれてるから・・・。
ヨ:・・・スワン・・・見えてるの? あっちから・・・?
ス:じゃないの? (ノンキに言う)


ヨ:今の自分の格好、思い出してね。
ス:え? 何がぁ? (ヨンジョンのほうを振り返る)あっ・・・・。
ヨ:早くおいで!



スワンは走って、ベッドに飛び込む!



ヨ:君、大丈夫? (怪訝そうな顔)
ス:忘れちゃったのよ。

ヨ:忘れるはずないじゃない。服を着ているかどうかくらい、普通はわかるよ。
ス:忘れちゃうときもあるのよ!
ヨ:そんなあ・・・。
ス:・・・いじわる・・・。


ヨ:・・・・。
ス:・・・・。

ヨ:こんなことで、別れるの?
ス:まさか・・・。

ヨ:(微笑む)じゃあ、仲直り・・・。
ス:(微笑む)うん・・・。


ヨ:でも、普通は気がつくよね。
ス:・・・。
ヨ:そうだろう?
ス:・・・。意外と・・・。
ヨ:意外と、なあに?

ス:意外とネチネチ言うのね・・・。
ヨ:・・・こんなことくらいで、そんなこと言われるなんて心外だなあ・・・。


ス:もう、結婚した日にケンカね・・・。
ヨ:ケンカというほどじゃないだろ?
ス:・・・。
ヨ:スワン・・・。仲直りしよう・・・。


ヨンジョンがスワンを抱く。
二人で顔を見合って笑う・・・。


ヨ・ス:でも、普通は気がつくよね!


ヨ:そうだろ?

ヨンジョンがスワンをぎゅっと抱きしめて、スワンの上に乗った。


ス:気がつかない時もあるわよ!

スワンはうれしそうに笑い転げた。









研究室の中で、たった一人ぽつんとジョンアが座っている・・・。



なんで・・・。
なんで、スワンなの?

やっぱり、あの食堂の前で一緒だった時には、二人はできてたのね!


でも、そんな早くに・・・。
こっちへ来る前からの知り合いだったのかしら・・・。

それにしても、間抜けな話・・・。


アメリカへ行くまで一緒に暮らしたいなんて・・・何、考えているのかしら・・・。

他に理由があるはずよ・・・。


あの夜中に、彼がスワンの部屋から出てきたのも・・・やっぱり・・・。


男と女が急いで結婚しなくちゃならない理由って何かしら・・・。

それも、大した女じゃない女と慌てて結婚する理由・・・。


それって、一般的には「できちゃった婚」とか「親の死に目に会わせたい婚」とか・・・「転勤婚」とか・・・。

「スワンがアメリカへ行っちゃうから婚」か・・・。

そんなことして、チェ先生には、利益なんてないじゃない・・・スワンぐらいの子なんて、たくさんいるんだから・・・。

スワンがアメリカへ行っちゃったら、次を探せばいいんだし・・・。

ま、男は優秀な女より、自分より劣る女が好きよね・・・。

それにしてもねえ・・・。

慌てる理由・・・出来ちゃったのかしら・・・スワンに? あのスワンに?
結婚するぐらいだから・・・そんなこともしちゃうんでしょうけど・・・あのスワンと・・・あんな平凡なスワンと・・・。


出来ちゃったらどうするのよ!

留学は!

そんな時期でも子どもを作っちゃう、あのチェ先生て何・・・?

前の結婚も子どもが先だったような・・・彼って、アブナイ男だったのかしら・・・。

やだ・・・。

これって、問題よね・・・。大学内の風紀を乱す・・・。

籍を入れれば済むと考える男の浅はかさ・・・。
そんなやつだったのかしら・・・。

野獣ね・・・。

さて・・・あの人って、ホントにアブナイ人なのかしら・・・。







ス:ハァックッション!

ヨンジョンの車の中で、スワンがくしゃみをした。



ヨ:風邪引いた? 温かくしてたほうがいいよ。今は風邪薬飲めないんだから。
ス:うん。

ヨ:ハァックッション!
ス:お大事に!(笑う)

ヨ:あの部屋、そんなに寒くなかったよね?
ス:うん。今日、帰ったら、ジョンア先輩と話をしなくちゃ。先輩には、ちゃんと二人がここへ来る前からの付き合いだったって言わないとね。
ヨ:そうだな・・・君が話す?
ス:うん。高校時代からの付き合いだもん・・・。
ヨ:うん・・・。じゃあ帰ろう!


ヨンジョンが、車を発進した。







トントン!



教:どなた?
ジ:ジョンアです。(ドアを開ける)

教:何か用かな?
ジ:ええ、ちょっとお話が・・・。
教:そう・・・じゃあ、ドアを閉めて。


ジョンアが教授の研究室のドアを閉めた。






続く・・・



ジョンアさん、何を考えているんでしょうか・・・。


2009/07/28 23:44
テーマ:グッズ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

冬ソナDS^^ほしいな^^

Photo




これ、ほしいかも^^

まいったなあ~~~~でしょ?
いろいろありすぎ!
だけど、DSは充実しちゃうねえ~~~^^




ディースリー・パブリッシャーは
2009年7月28日(火)、東京・恵比寿にある「恵比寿ガーデンホール」において行った「ペ・ヨンジュンと学ぶ韓国語DS」完成披露発表会で、
ニンテンドーDS向けソフト『冬のソナタDS』を発売すると発表した。


司会は、大村さんだったなんだね^^





今回催された「ペ・ヨンジュンと学ぶ韓国語DS」完成披露発表会は、
事前公募で寄せられた6,000名の中から選ばれた200名の一般ユーザーも
参加して行われた。


 発表会では、「ペ・ヨンジュンと学ぶ韓国語DS」の紹介および、ペ・ヨンジュンさんのビデオレター上映のほか、
ニンテンドーDS向けソフト『冬のソナタDS』の正式発表も併せて実施。さらに、ドラマ「冬のソナタ」の挿入歌を担当したシンガーソングライターのRyu(リュウ)氏による歌の披露もされた。
 ここでは、今回正式に発表されたニンテンドーDS向けソフト『冬のソナタDS』のゲーム内容を中心に、発表会の模様をお届けしよう。


 『冬のソナタDS』は、2002年1月より韓国で放送されたテレビドラマ「冬のソナタ」の物語をペ・ヨンジュンさん、チェ・ジウさんの二人を中心に書き下ろした新シナリオを楽しめるアドベンチャーゲーム。ゲームでは、文章だけではなく、ドラマの名場名を映像で見たり、状況に合ったミニゲームを楽しむことができる。


本作には、ドラマの全20話を楽しめる「ストーリーモード」、ハングル文字で名前を書くといった簡単なゲームを遊べる「ミニゲームモード」、ドラマの撮影シーンの映像や「冬のソナタ」の音楽を鑑賞できる「ギャラリーモード」、主人公・ジュンサンとドラマのロケ地を巡る「デートモード」が用意されている。


●「ストーリーモード」 「ストーリーモード」では、ドラマ「冬のソナタ」の20話分の物語を楽しめる。本モードは、基本的にテキストで表示され、それを読み進めていくことになるが、名シーンに差し掛かると動画で再生されるといったギミックも用意されている。また、テキストの表示をハングルに変える機能や、自動で文章を読み進めるオート機能も採用されている。








●「ミニゲームモード」 「ミニゲームモード」は、「ストーリーモード」で登場したミニゲームを楽しめるモード。用意されているミニゲームは、クイズ形式のものや、ハングルの書き取り問題など、場面に応じたものとなっている。ミニゲームで高得点を取得すると、通常よりも長い動画が流れるほか、「ギャラリーモード」で使用可能なポイント「思い出のかけら」が進呈される。

●「ギャラリーモード」 「ギャラリーモード」では、シナリオモードで流れた動画や、ドラマ撮影シーンの映像のほか、「冬のソナタ」で流れた音楽などを楽しめる。これらは、ミニゲームで獲得した「思い出のかけら」を使って購入可能だ。

●「デートモード」 「デートモード」では、主人公・ジュンサンと、ドラマ「冬のソナタ」の撮影を行ったロケ地をデート感覚で巡れる。デート中、ジュンサンがクイズを出題してくることがあり、この問題に正解すると新しい画像が進呈される。

また、そのほかにも文字の大きさやフォントの変更など、自由にカスタマイズできる機能も充実している。その中には「名前変更」もあり、

ヒロインであるユジンの名前を
自分のものに変えることも可能だ。 ←いいねえ~^^





今回の発表会では、
同社が9月19日(土)に発売予定の『ぺ・ヨンジュンと学ぶ韓国語 DS』の作品紹介も行われた。


その際、本作のガイド役であるペ・ヨンジュン氏からのビデオレターが上映され、スクリーンにペ・ヨンジュン氏が映った瞬間、会場から大きな歓声が上がった。 




ビデオレターでペ・ヨンジュン氏は

「外国語が書けることや話せることはとても素敵なことですが、勉強することは大変ですよね。今回発売される『韓国語DS』で、楽しく効率よく韓国語を学んでもらえると嬉しいです」
とコメントした。





また、『冬のソナタDS』の発表では、ドラマ「冬のソナタ」で挿入歌を担当したシンガーソングライター・Ryu(リュウ)氏がゲストとして登場。『冬のソナタDS』についてRyu氏は、「ヨン様が優しく声をかけてくれます。ファンなら絶対買って損はありません!」と胸を張って答えていた。その後、Ryu氏によるドラマ「冬のソナタ」の主題歌「最初から今まで」と挿入歌「My Memory」が披露され、発表会は幕を閉じた。




◆『冬のソナタDS』
発売元:ディースリー・パブリッシャー
開発元:スコネック/イスコ
対応機種:ニンテンドーDS
ジャンル:ドラマゲーム
発売日:2009年冬予定
価格:5,229円(税込)
プレイ人数:1人



これ、ポチすると思う~^^

でも、通常版しかなくてよかった^^

焦らなくても安いところで買えるよね^^

あ~~ブロコリさん^^v




2009/07/28 01:01
テーマ:彼の研究^^ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

アマルフィみたいのもいいよ~^^

Photo
BGMはこちらで^^


訪問者77777に当たった方、
レスくださいね^^




昨日は、織田君の映画「アマルフィ」を見に行った。

この曲が主題歌・・・。

私たちは、ドンちゃんを思い出しちゃうけどね^^



おもしろかったよ。(内容は書けないから^^)



joonもああいう映画だって撮れるのになあ・・・
なんて、思った^^

海外ロケで思いっきり、ダイナミックな映画に出てほしい・・・。

ローマもナポリも素敵・・・。
パリもjoonには合うよ^^

kikoちゃんの作品で、パリで撮る?^^


今は、執筆で忙しいからね、仕方ないけど・・・。

時間ができたら、あんなのもやってほしいなあ・・・。


回し蹴りもないからね、アクション映画じゃないから、
きっと大丈夫・・・ああ、ちょっと走るね・・・

joonの時は、走らなくていいから^^


joonは、セクシーで苦みばしった大人の男もできるんだから、
そんな魅力を大画面で見せてほしいと思うよ・・・








それにしても・・・

7月も残りわずか。

私は何をしていたのかしら・・・寝てた?@@なんて思うほど、
日々が早く過ぎていく・・・

少しは実りを残したい毎日です・・・。




2009/07/28 00:37
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」19





BGMはこちらで^^


なんと!
77777の切り番、踏んだ人レスください!^^


BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」19部です。


ではお楽しみください。






母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。

あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。






ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」19





スワンとヒョンスは運転手に案内されて、応接間に入った。
ヨンジョンが母親と一緒に座っていた。


ヨ:どうしたの?(二人に驚く)
運:先生がこちらへお通しするようにと・・・。
ヨ:そうですか・・・それは、ありがとうございます。
母:まあ・・・。


母は、ヒョンスとスワンを感慨深げに見つめた。


母:(立ち上がる)さあ、こちらへお入りなさい。


ス:失礼します。
ヒ:・・・。


ヒョンスはスワンの横にチョコンと立って、スワンが母親に頭を下げると、自分も一緒に頭を下げた。


母は、ヒョンスの仕草に、愛しそうに、孫の顔を見つめて微笑んだ。



ヨ:(立ち上がる)お母様、こちらが今度結婚するキム・スワンさん。それと、息子のヒョンスです・・・。
母:そう・・・。よろしく・・・。ヒョンス・・・あちらのお父様のお名前からつけたのね?
ヨ:はい・・・。
母:そうなの・・・。まあ、二人ともお座りなさい。


二人はヒョンスを真ん中に、ヨンジョンの横にピッタリと寄り添うようにして座った。
母親には、ヨンジョンが既に、この3人の中では家長として存在していることがはっきりとわかった。


母:そう・・・ヒョンス・・・。あなたのお父さんのヨンジョンはね、お祖父様と全く同じ名前なのよ。お祖父様がそのまま名前を下さって・・・とてもかわいがって下さって・・・ね、ヨンジョン。
ヨ:ええ・・・。お母様・・・・お祖父様は・・・。



その時、ドアが開いて、ヨンジョンの父親が入ってきた。
背の高い恰幅のよい男で、少し睨むように3人を見た。

3人は立ち上がった。



母:あなた・・・。ヨンジョンの隣が、息子のヒョンス・・・。それに、今度、結婚されるキム・スワンさん・・・。
父:うん。(頷く)ヒョンスか・・・。まあ、座りなさい。


父:再婚するのか?(ヨンジョンを見る)
ヨ:はい。ヒョンスの母親は、胃がんで亡くなりました。
父:・・・そうか、そうだったのか・・・。

母:ヨンジョンは今、大学で教えているんですって。それで・・・。(息子の成長がうれしい)
ヨ:それで、今度結婚したら、アメリカへ行く予定なんです・・・。
父:何をしに?
ヨ:アメリカ留学時代の友人の会社を手伝いに・・・。また、もとの建築家に戻ります。
父:うん・・・。(じっと息子の様子を見る)


しばし、沈黙があった。


父:今日は結婚の許しを取りに来たのか?
ヨ:それもありますが・・・アメリカへ行ってしまったら、お父様やお母様にお会いする機会もなくなるので・・・。
父:うん・・・。婚姻届は持ってきたのか?
ヨ:あ、はい。


ヨンジョンが胸からスワンとの婚姻届を出した。
スワンはそんなものをヨンジョンが用意してくれていたことに驚いた。

父親はそれを見て、ただ黙って、ペンを出し、サインをする・・・。


スワンとヒョンスは、その姿を不思議そうに見つめた。

この父親は、自分にも、初めて会うヒョンスにさえ、まともな視線も言葉かけもない・・・。


ヨンジョンは父から、婚姻届の用紙を受け取った。


ヨ:ありがとうございます。
父:うん・・・。(立ち上がろうとする)

母:あなた、待ってください。孫を見てやってください・・・。それに、こちらの方のお話も伺いたいわ。(スワンの方を見る)
父:おまえが聞いたらどうだ。
母:あなた。ヨンジョンがここまで来てるのよ・・・。ちゃんと、見てあげて。



父親は、ヨンジョンの顔を見てから、ヒョンスの顔をじろっと見る。

ヒョンスは緊張して、祖父を見つめた。

父親はスワンもじっと見た。
スワンも負けじとしっかりと見つめ返した。


父:まあ、幸せにやっているようだな。おまえの顔を見ればわかる・・・。それで、いいだろう。(頷く)そのまま、頑張りなさい・・・。


そういうと、父はさっさと部屋を出ていってしまった。
残された母親が残念そうに、息子たちを見た。


母:・・・ごめんなさいね・・・。せっかく来てくれたのに・・・。
ヨ:いいんだよ。お父様は、僕たちの結婚を許してくれたし・・・それで十分だよ。(母を見つめる)
母:・・・そうね・・・。きっと、あなたの立派な姿を見られて安心したと思うわ。
ヨ:・・・。

ヨ:お母様。スワンさんは、今、僕と同じ大学で英語を教えているんだ。
母:そうなんですか・・・それで、アメリカへは一緒に行ってくれるのね?
ス:はい・・・。
母:そう・・・。ヨンジョンたちをよろしくお願いしますね。(スワンを見つめる)
ス:はい。(見つめ返す)


ヨ:お母様。改めて紹介するよ。孫のヒョンスだよ。ヒョンス・・・お祖母様のところへ行ってあげなさい。
ヒ:・・・うん・・・。


ヒョンスが立ち上がって、母親の横へ行き、顔を見せる。


母:(目を輝かせて)あなたがヒョンスね・・・。大きくなったのね・・・ヨンジョンに、そっくり。目も鼻も口元も・・・小さい頃のあなたのお父さまにそっくりよ。
ヒ:・・・。
母:この子は利発ね・・・そうでしょう? 顔を見ればわかるわ・・・。それに、新しいお母さまも大好きね? この子の目を見ればすぐわかるわ・・・。


母は孫のヒョンスをじっと見つめる。


ヨ:ヒョンス。お祖母様に何か言ってあげなさい。

ヒ:・・・お祖母様・・・。(少しかすれたような声で呼ぶ)
母:そうよ、私がヨンジョンの母です・・・。あなたのお祖母様よ・・・。お祖母様には、あなたのお父さまは、今でも自慢の息子なのよ・・・。お父さまのこと、忘れたことなんてなかったわ・・・。でも、あなたに逢いにいけなくて、ごめんなさい。あなたを今まで抱いてあげられなくて、本当にごめんなさいね・・・。(愛しそうに、息子にそっくりな孫の目を見る)
ヒ:・・・。


ヒョンスもじっと母親を見つめた。
この人の目はとてもやさしい・・・。



母:いい子に育ったのね。あちらのお祖父様、お祖母様はあなたをかわいがってくれる?
ヒ:はい・・・とても・・・大事にしてくれます。


母は涙が出てきてしまった。

この子は利発で言葉を選んで答えている。
でもきっと、あちらの家では、ふつうに子どもらしく過ごしているのだろう。
初対面の自分とは、そんな風にはできないし、こちらにもまだ遠慮があって・・・。



ヨ:じゃあ、僕たちはこれでお暇するよ。(立ち上がる)
母:ヨンジョン。(寂しそうに見上げる)

ヨ:お母様もお元気で。
母:ヨンジョン・・・。
ヨ:ごめんよ、ここには長居はできない・・・お父様がいるからね。でも、結婚を許してもらえてよかったよ。

母:ヨンジョン・・・元気でね。
ヨ:ええ。お母様もお体を大切にしてください。(見つめる)


ヨ:さあ、行こうか。

スワンとヒョンスを促して、玄関へ向かう。



玄関を出たところで、母親が追いかけてきた。



母:ヨンジョン!


ヨンジョンが振り返って、母を見た。


母:ヨンジョン! あなた・・・お祖父様に逢いたいでしょう?
ヨ:お祖父様は生きているの? (驚く)
母:ええ。心配してたわね・・・きっと、あなたが心配していると思った・・・。
ヨ:・・・。

母:お祖父様のところへ届く手紙の文字が、名前は違っていてもあなたの字に似ていたから・・・きっと、あれはヨンジョンからの手紙だと思っていたの・・・。
ヨ:・・・。(母を見つめる)

母:でも、私にはお祖父様に聞けなかった・・・この手紙は、本当はヨンジョンからのものですか?って。早く聞けばよかった・・・そうすれば、あなたやヒョンスにも逢えたのに・・・。
ヨ:・・・。(愛しそうに見つめる)

母:一年前に、お祖父様は脳溢血で倒れて、ずっと丘の上の大学病院の施設にいるのよ・・・。
ヨ:お母様・・・。
母:心配したわね・・・返事がなくて・・・お祖父様からの返事がなくて・・・。


ヨンジョンは泣きそうになった。


母:お元気よ。とてもお元気。体はもう半身不随だけど、頭はとてもしっかりされているの。
ヨ:施設に入れたままなの?
母:お祖父様がこっちには戻りたくないって・・・。もうお父様とは暮らしたくないって。それに、お父様の代わりにいろいろな会合に顔を出さなくちゃいけない私がかわいそうだって。私に負担をかけたくないって、おっしゃって。


母:ヨンジョン、逢いたいでしょ? 行ってあげて。お祖父様のいる施設はとてもちゃんとしたところだから、安心してちょうだい。その様子も見てくるといいわ・・・。
ヨ:うん・・・。

母:元気でね、あなたも、ヒョンスも、スワンさんも。(3人の顔を順に見る)3人で幸せにおなりなさい。
ヨ:・・・お母様もお元気で・・・。お体を大切にしてください。・・・また、いつかお会いしましょう。



母は涙が出てしまう。

ヨンジョンは「また来るよ」とは言わなかった。
その代わり、「また、いつかお会いしましょう」と言った。


それでもいい・・・自分たちがしてしまったこと・・・夫と一緒に、自分も最愛の息子を捨ててしまったのだから・・・。





ヨンジョンたちが車に乗り込んだ。


母は助手席のスワンに向かって言った。


母:幸せになってね。あの子は、ヨンジョンは、とてもやさしい、いい子ですから・・・。
ス:はい。私もヨンジョンさんのために頑張ります。
母:うん。(頷いて笑った)


ヨ:じゃあ。(顔を母親のほうに向けて車を発進する)



母はヨンジョンたちの車が見えなくなるまで、見送った。




ス:なんか、お母さん、かわいそうだったね・・・。
ヨ:・・・・。
ス:あれでよかったのかな・・・。
ヨ:・・・また・・・時間を空けてくるよ・・・。父が頑な人だから、今のところ、母も従うしかないんだ。もう少し、様子をみよう・・・でも、結婚は賛成してくれたじゃないか。それだけでも進歩だよ。よかったよ。
ス:うん・・・。(ちょっと切ない・・・)






ヨンジョンたちの車は、丘の上の大学病院の付属老人施設の駐車場に入った。

そこは緑の多い作りで、なんとも和やかで、ゆったりとした風情があった。


受付で、「チェ・ヨンジョンを訪ねてきた孫のチェです」と告げた。

受付からの呼び出しで、中からナースが一人出てきた。



ナ:チェ・ヨンジョンさん?
ヨ:はい。
ナ:(笑う)やっぱり。お祖父さんと同じ名前の、自慢のお孫さんね。どうぞ、こちらへ。



ナースに案内されて、彼らは一階の一番奥の部屋へ入った。


ナ:ヨンさ~ん。お孫さん一家がお見えですよ。
爺:なんて言った!

ナ:今日は豪華よ。お孫さん一家よ。
爺:え?


窓辺で車椅子に座っていた祖父が入り口のほうを見た。

懐かしいヨンジョンが子どもと若い女性と一緒に入ってきた。


爺:ヨンジョンか!(うれしそうな声を出す)
ヨ:おじいちゃん!


ヨンジョンが泣きそうな顔になって、祖父の近くに走り寄る。


ヨ:心配したよ。
爺:元気だったか・・・。倒れちまったからな・・・おまえに連絡の取りようがなくて、悪かったな、心配させて・・・。でも、こうしてちゃんと生きとるぞ。
ヨ:よかった・・・。


ヨンジョンは涙を貯めて、祖父を見つめ、痩せて小さくなった祖父の頭を撫でる。


爺:痩せて小さくなっちまっただろう・・・髪もスカスカだ・・・。
ヨ:でも、素敵なままだよ。(微笑む)



祖父は、清潔な感じのおしゃれな部屋着を着ていた。
そして、その人柄が思わせるやさしくてほがらかな笑みを浮かべた。


爺:ほらほら。そっちのかわいいひ孫や別嬪さんを紹介してくれ。
ヨ:二人ともこっちへおいで。


スワンとヒョンスが祖父に近づく。


ヨ:おじいちゃん、これがオレの子だよ。
爺:ヒョンスだ。
ヨ:よく覚えてるねえ・・・。(感心する)

爺:頭はいかれてないんだ。体はちょっといかれちまったが。(笑う)ヒョンス君、かわいいなあ。ヨンジョンの小さな時にそっくりだ。しっかりした感じの子だねえ。
ヨ:うん。こっちが、今度結婚するキム・スワンさん。
ス;よろしくお願いします。(頭を下げる)

爺:ううん・・・そうか・・・。最後に読んだ手紙では、ヒョンス君のお母さんが病気だと書いてあったな・・・そうか。それは、ヨンジョンもヒョンス君も苦労したな・・・。しかし、よかった! こんな別嬪さんで!


ヨンジョンたち3人が笑う。


爺:ヨンジョンはわしの名前を取っただけあって、わしと好みが一緒だから・・・。うん、いいぞ、なかなか。この別嬪さんは。


ヨンジョンが照れて笑った。


爺:明るそうなお嬢さんでよかった。ヒョンス君、君もこのスワンさんが好きだろう?
ヒ:・・・はい・・・。
爺:うん・・・血筋は争えないな。いい目をしてるぞ。




そこへ、ヘルパーのホンさんが入ってきた。



ホ:ヨンさん、今日はよかったねえ。若いヨンジョンさん一家が来たんだって。
爺:よくわかったなあ。ほら、見てごらん。わしの若い頃によく似たハンサムだろう?

ホ:う~ん・・・こちらさんがハンサムなのはわかるけど、それで、ヨンさんまでがカッコよかったかわかんないわよ。(笑う)どうするの? 皆で散歩にでも行ってきますか?

爺:君はホントにいつも頭が回るなあ。
ホ:じゃあ、ご用意しますね。


ホンさんが棚から、カシミアの赤いタータンチェックのひざ掛けをとり出す。


ホ:これ、大事なお客様用ね。(ヨンジョンたちの顔を見る)


今かけているひざ掛けを外し、かけ直す。
髪をくしで撫で付ける。
そして、お気に入りのモスグリーンのマフラーをする。

それをヨンジョンがじっと見つめている。



ホ:ああ、このマフラーって、お孫さんがアメリカに留学してたときに、送ってきたやつだったわね・・・。もしかして、あなた?
ヨ:ええ・・・。(胸がいっぱいになる)


爺:スワンさん、これがわしのお気に入り。ほら、センスがいいだろう? おしゃれ。そこがお気に入りの要素。(笑う)
ホ:まあね、お孫さんの愛もたっぷりだけど。この人、爺さんのくせにおしゃれなの。(笑う)で、部屋着はデパートの通信販売でお取り寄せなんだから。(笑う)

爺:そのくらいの贅沢をしないとここでは生きていけんだろう。
ホ:まあね。他になんの変化がないもんね。じゃあ、お祖父様、行っていらっしゃいませ。(頭を下げる)






ヨンジョンが車椅子を押しながら、4人で庭を散歩する。


ヨ:ここはキレイなところだね。街が一望できるし、緑は多いし・・・。
爺:だから、帰りたくなくなった。(笑う)あの苦虫を噛み潰したような息子の顔を見るより、こっちのほうが清々する。そこのベンチが一番眺めがいいぞ。

ヨ:ここ?
爺:そう、そこ。皆、お座り。



スワンとヒョンスが並んで座る。
ヨンジョンが祖父の車椅子を止め、近くに座る。



爺:スワンさん、ヒョンス君。あのオヤジさんと会ったね。
ス:はい。
爺:うん。ヨンジョン、なんか話をしたのか?
ヨ:いえ、ただ結婚の許しをもらっただけです・・・でも、それで、お父様の気持ちはわかったよ。


爺:うん。まあ、よかった。あいつも心中は、おまえがかわいいんだ。スワンさん、ヒョンス君、あいつはソウル大学を落ちてから、あんな調子だ。気にせんでいい。根は気のいいやつだが、受験の失敗で少し劣等感を持った。それが尾を引いて、生き方が少し窮屈で厳しいんだよ。
ヒ:・・・。


爺:ヒョンス君、お父さんが若くて結婚しちゃったことが気に入らなかったのさ。もっとエラくなってから、結婚してほしかったから。
ヒ:でも、今はお父さんも大学の先生で、エライんだよ。

爺:そうか・・・それはよかった。お父さんみたいにちゃんと生きられる人は、途中何があっても、結局はしっかりした人生を歩むもんさ。あのオヤジはそれが待てなかったんだよ。ヒョンス君は、いい子のようだから、この爺も安心しているよ。


祖父がヒョンスを見て微笑んだ。
ヒョンスも祖父を見て、スワンを見て微笑みを返した。



ヨ:おじいちゃん、今度結婚したら、アメリカの友達の会社を一緒にやっていくんだ。だから、しばらくは逢えないんだ・・・。
爺:うん・・・それはよかったな。おまえは優秀だから、自分の信じた道を進めばいいんだよ。そうか、逢えんか・・・。まあ、いつかまた逢えるだろう・・・。今日は元気な顔を見られただけ、よかった。


ヨ:うん・・・。(頷く)スワン、ヒョンス。このおじいちゃんはね、お父さんが留学する時に、密かにお金を届けてくれたんだよ。
ス:・・・。(胸が熱くなる)


爺:そんなこともあったなあ・・・おまえに会いに行った・・・。あの日は5月だというのに寒かった。二人で食事をして・・・おまえを送り出したんだ・・・。ずいぶん、昔のような気もするし、昨日のような気もする・・・。
ヨ:・・・ありがとう・・・。(祖父の手を握る)


爺:もう十分、自分の足で立てる男になってしまったな。いい男になった。顔でわかるぞ。
ヨ:・・・。(微笑んで手に力を入れて握る)


爺:また・・・お母さんには逢いに来てやれ・・・あれは、お父さんに口答えが出来ない人だから・・・。
ヨ:・・・はい・・・。
爺:お父さんが議会に出ている時は、地元をしっかり守っているぞ。皆に腰を低くしてな。

ヨ:・・・わかったよ・・・。
爺:それくらいかな・・・言い残すことは・・・。
ヨ:おじいちゃん・・・。
爺:大丈夫。まだ、生きるよ。おまえに逢えたわけだし、また、生きる楽しみが増えた。ヒョンスの成長も見守りたいしな。
ヒ:・・・。


爺:そして、スワンさんと幸せになるところも見守りたいしな・・・。ヒョンス君、若いお母さんが出来てよかったな。
ヒ:・・・はい。
爺:だいたいの人は、母親は一人しか出会えないものだが、君はラッキーだった・・・。だから、本当のお母さんのことはいい思い出として、大切にしまって、これからは若いお母さんと楽しく生きなさい。
ヒ:・・・はい。お父さん、おじいちゃんはお父さんと同じようなことを言うねえ。

ヨ:そうか?
爺:そら、おまえの親父さんは、わしの弟子だからな。
ヨ:孫だよ。(笑う)
爺:そうだ、孫だ。(笑う)3人で幸せになりなさい。そうか・・・。お父さんもお母さんもまだまだ若いから、ヒョンス君。君は10人兄弟のアニキになる可能性もある!
ヒ:え!


爺:それも人生の不思議だよ。おもしろい誤算だ。楽しみなさい! いいね。(ヒョンスの顔を見る)
ヒ:はい!


ヨ:おじいちゃん、部屋に入ろうか、寒くなってきたから。
爺:そうだな・・・。ベッドに寝ながら、おまえの顔を見させておくれ。ゆっくりおまえを眺めていたいから。
ヨ:いいよ。じゃあ、中へ入ろうね。









帰りの車の中で、スワンがヨンジョンの顔を見た。


ヨ:なあに?
ス:うん? いいおじいちゃんだったと思って。
ヨ:そうだろう・・・いつも楽しくて、こっちを幸せにしてくれるんだよ。
ス:うん・・・ヨンジョンによく似てるよ。
ヨ:・・・。それに、いつもオレを蔭で援助してくれた人なんだよ。
ス:スーパーおじいちゃんだね。


ス:ヨンジョン、私、なんか、勇気が沸いてきたわ。
ヨ:どんな?
ス:人って、親じゃなくても、その人をちゃんと見守ってくれる人がいれば、グレないで生きられるんだなって。ちゃんと幸せになれるんだなって。
ヨ:・・・うん、そうか。
ス:だから、私も、ヒョンスをちゃんと見守るわ。ママじゃなくても、育ての親のおじいちゃん、おばあちゃんじゃなくても、ちゃんと対峙して育てれば、うまくいくって。そんな自信を今日、もらった気がする・・・。


ヨ:うん・・・。それで、10人兄弟のほうの計画はどうする?(笑う)
ス:やあだあ・・・それは乗らないわよ・・それはやだ。
ヨ:そうかな・・・それに一番、感動したけどな。(笑う)
ス:やあよ。それはや。その計画は没。だめよ、そんなこと、考えちゃ。だめだからね!



ヒ:どうしたの?


後ろで、ヒョンスが起きた。


ス:お父さんがね、おじいちゃんの10人兄弟計画が気に入ったって。でも、やだって言ったの。ムリだもん。ヒョンスだって、やよね?
ヒ:僕は・・・3人くらいがいいな・・・弟と妹がほしい・・・それもいいなって今日、思ったよ。



スワンは胸がいっぱいになった。

やっぱり、元祖ヨンジョンは人生の達人だ。
人の心にやさしく語りかけてくる・・・。

あの人は、老人だったけど、いいニオイがした・・・。ちっとも感性が古びていなかった・・・。




ヨ:さ、一気に大学まで帰るぞ!と思ったけど・・・スワンの家へ寄って行こう。
ス:なんで?
ヨ:婚姻届にサインをもらおう。
ス:・・・。
ヨ:それに、まだヒョンスを紹介していなかったし。ちゃんと3人で行ってお許しを頂こう。
ス:・・・。うん。そうだね。母さんに電話してみる。ちょっとだけ寄りますって。・・・早くしたほうがいいよね・・・。それで、皆で一緒に暮らそう。(後ろを見る)ね、ヒョンス!
ヒ:うん!



ヨンジョンたちの車は方向を変えて、一路、スワンの母のもとへ向かった。




二人の結婚の準備はできた。

あと少しでゴールだ・・・結婚の。


婚姻届を出したら、大学に届け出て、今後の方向を決めよう。

私たちはもう家族だもん。







続く・・・




2009/07/27 00:24
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」18





BGMはこちらで^^


なんと!
77777の切り番、踏んだ人レスください!^^

BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」18部です。


ではお楽しみください。








母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。






ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」18





ヨ:スワン? スワン!
ヒ:スワンさん? あれ、どこ行っちゃったのかな?


夜も10時を回って、ヨンジョンとヒョンスがユンアの実家から帰ってきた。
二人はマンションのドアを開けるか否や、スワンを探している・・・。


だって・・・出迎えてくれないから・・・。


今日は、ヒョンスの祖父母のヒョンジュンたちに、ヨンジョンの結婚を許してもらい、二人の新生活へのはなむけに、食事をご馳走になった。

これで孫との縁も遠のくであろうと感じたヒョンジュンが、最後にヒョンスに花札を教えると言い出して、二人は帰りが遅くなった。
でも、ヒョンスにとっては、ずっと育ててくれた祖父との思い出がまた一つ増えたわけで、ヨンジョンも一緒になって、ヒョンスとヒョンジュン夫妻との時間を名残惜しそうに過ごした。


スワンには、ヨンジョンから、「うまくいったよ。夕飯はこっちでご馳走になっていくから」というメールを送ったので、スワンは帰りが遅くなることは承知している。

それにしても、スワンはどこへ行ったのやら・・・。


ヨンジョンの寝室のドアを開けると、スワンがベッドで読みかけの本を横に熟睡していた。


ヨンジョンとヒョンスは顔を見合わせて笑った。

ヨンジョンがベッドサイドの明かりを小さくして、スワンの肩まで布団をかけた。



ヒ:寝ちゃったね。(小さな声で言って笑う)
ヨ:こっちは風呂でも入るか!
ヒ:うん!



スワンは、二人が遅くなるだろうと思い、シャワーを浴びて、ベッドで本を読んでいるうちにうとうと寝てしまった。

ホントは起きて待っていたかったのに・・・。
二人の報告を聞きたかった・・・待ちきれない気分を、我慢して我慢して待っていたのに・・・。

突然やってきた睡魔に襲われて・・・今は、二人のことなど、すっかり忘れて眠っている。





ヒョンスを寝かせ、寝室にやってきたヨンジョンがベッドに滑り込む。
スワンの枕と首の間に左腕を滑り込ませ、後ろから抱きしめた。


ヨ:スワン?
ス:・・・・。


ヨンジョンは上半身を少し起こして、スワンの顔を覗く。


ヨ:スワン?
ス:・・・。(スースーという寝息が聞こえる)


ヨンジョンはまた寝る態勢に戻って、後ろから、スワンのTシャツの中に手を入れ、胸を触る。


ヨ:スワン?
ス:・・・う~ん・・・。
ヨ:ふ~ん・・・。ねえ・・・。



ヨンジョンの手が下がって・・・下着の中へと手が下りていく・・・。


ヨ:ねえ、スワン・・・。
ス:う~ん・・・待って・・・。(ちゃんと答えているのか、寝言なのか・・・)
ヨ:ねえ・・・。ねえ、スワン。
ス:う~ん・・・。


ヨンジョンが触って、少しスワンの体は反応したが、スワンは「う~ん」としか言わない・・・。


ヨ:だめなの?
ス:・・・。


ヨンジョンがまた起き上がって、顔を覗きこむ。


ヨ:ふん。(笑って)泥棒だよ。
ス:・・・わかってるって・・・。(わかっているのか、わかっていないのか・・・)
ヨ:ねえ・・・。


顔を見つめるが、スワンは気持ち良さそうに寝ながら、答えているだけだ・・・。


ス:・・・。
ヨ:オヤスミ。(きっぱりと言う)


ヨンジョンは諦めて、スタンドの明かりを消し、眠りについた。






真夜中・・・。

雷の音がして、スワンは、目を覚ます。
隣にヨンジョンが寝ていた。


ス:あら・・・。ヨンジョン? (なんだあ。どうして、起こしてくれなかったの?)
ヨ:・・・。
ス:ヨンジョン?
ヨ:・・・。


報告、聞きたかったのに・・・。
待ってたのよ、ずっと。


ヨンジョンはスワンの上に折り重なるようにして、寝息を立てて寝ている・・・。


ヨンジョンたら・・・。





ヒ:・・・お父さん・・・。

ドアの向こうでヒョンスの声がした。
スワンは、重いヨンジョンの腕を押しのけてベッドから起き上がり、ドアを開けた。


ス:(小さな声で)どうしたの? (顔を見る)
ヒ:・・・。
ス:なんかあったの?
ヒ:雷の音がして・・・。

ス:(ちょっと微笑んで)怖かった?
ヒ:うん・・・。
ス:(後ろを振り返って、小さな声で)お父さんはよく寝てるから・・・私と一緒に寝よう。
ヒ:・・・。
ス:子ども部屋で一緒に寝よう。行こう・・・。(ヒョンスの背中を押すように歩く)





スワンとヒョンスは今、ヒョンスのシングルベッドで並んで寝ている。
二人の目は斜め上の天井を見ている。


ス:(囁くように)怖かった?
ヒ:うん・・・。
ス:私も小さい頃は怖くて・・・姉の布団や母さんの布団に潜り込んだわ。
ヒ:・・・そうなんだ・・・。あの家のお姉さん?
ス:そうそう、あの家のお姉さん・・・。ヒョンスより小さい男の子がいるのよ・・・。
ヒ:お姉さんと、年が近いの?
ス:姉とはね・・・7歳違うの。妹とは2つ違い。姉と私の間に、本当はもう一人いたんだけど、生まれてすぐ死んじゃった・・・。だからちょっと、母さんもショックで、私と姉の間の年が空いてるんだ・・・。
ヒ:へえ・・・。

ス:だからね。姉は私や妹にとっては、小さなお母さんだった。小さい頃の7歳って凄い差だからね。

ヒ:ふ~ん・・・。僕にも、兄弟ができるのかな・・・?

ス:・・・。どうかな・・・。それは神様だけが知ってるよ。私たちが・・・もっと幸せになりたいと望めば・・・。(そう言っていいのだろうか・・・)
ヒ:望めば?
ス:神様がくれる・・・。でもね、仲良しの家族でも、それで良しと思えばもう来ない・・・。どんなに仲のよい家族でもね。それって、人間が決めるんじゃないんだ。
ヒ:へえ・・・そうなんだ・・・。


ス:今日はどうだった? おじいちゃんたち・・・寂しがったでしょう・・・。
ヒ:うん・・・。僕がお父さんたちと一緒に、アメリカへ行くって言ったから・・・。

ス:そうなの? お父さんから聞いたのね?
ヒ:うん・・・。行きの車の中で。

ス:そうか・・・。ごめんね・・・私たちの都合でいろいろ連れ回しちゃって・・・。
ヒ:・・・お父さんもそう言ってたよ・・・。


ス:うん・・・。大学にいるとね・・・お父さんも辛いんだ・・・本当は。
ヒ:あの先生と噂されてるから?
ス:う~ん・・・それよりね・・・ヒョンスのママも立派な先生だったでしょ? ママを知っている人がいっぱいいるから、いつも、思い出して悲しくなっちゃうんだ・・・。
ヒ・・・そうなんだ・・・。


ス:わざわざ、ヒョンスとの時間を作るために、大学に勤めたのにね・・・忙しくて・・・その上、ママを思い出しちゃうから・・・お父さんも韓国の大学にいるのが辛いんだ、今は。
ヒ:・・・・。


ス:だから・・・もっと違うところで、ラクな気分で暮らしたいんだよ、お父さんも・・・。
ヒ:・・・そうなんだ・・・。
ス:それもあって、一緒にアメリカへ行こうって。



ヒョンスが隣に寝ているスワンの横顔を見た。


ヒ:スワンさんも大変なの? なんか・・・痩せたね・・・あの先生のせい?



スワンはまだ本当の理由は言えない・・・。



ス:あの先生はね・・・私の学校の先輩なんだよ。
ヒ:へえ・・・。

ス:あの先生がね、あそこの大学を紹介してくれたんだ・・・。お父さんにもね。
ヒ:そうなの?
ス:そう・・・だからね、ジョンア先輩に、お父さんと私が結婚するって言うのが・・・なんか悪くて言えないんだ。
ヒ:・・・。


ス:でもね、お父さんは一人しかいないし・・・私たちが幸せになるためには・・・言わなくちゃいけないよね?
ヒ:・・・うん・・・かわいそうだけどね。
ス:そうだよね・・・。だから、あっちへ帰ったら、ちゃんと話さなくちゃ・・・傷つけないように・・・。それに、お父さんも来年になったら、大学をやめちゃうから・・・それも話さなくちゃ・・・。

ヒ:たいへんだね・・・。
ス:うん・・・。明日、ヒョンスも、初めてお父さんのご両親に会うんだね。
ヒ:うん・・・怖い人たちかな・・・今までずっと会わなかったなんて・・・。

ス:わからない・・・。でも、お父さんのご両親だもん・・・悪い人じゃないよ、きっと。
ヒ:なんで、お父さんと会わなかったのかな・・・。

ス:・・・。人ってさ、なんか誤解しちゃうことがあるんだよね・・・。相手のことを間違えちゃう・・・ホントはいい人なのに、悪い人だと思ったり・・・だから、ちょっとした誤解なんだよ、きっと・・・。


ヒ:仲直りできるかな?
ス:お父さんを助けてあげよう・・・仲直りできるように。
ヒ:うん・・・。


ス:ヒョンス・・・。私たちは、お互いを誤解しないようにしようね。
ヒ:うん。
ス:たとえ・・・どんなに辛い時でも、ちゃんと気持ちを話し合おうね。
ヒ:辛い時も?

ス:そう・・・。辛い時って話したくないから・・・誤解することが多いよ・・・だから・・・。
ヒ:お父さんもそうだったのかな?
ス:そうかもしれないね。


ヒ:そうなのかな・・・。
ス:明日は、頑張ろうね。
ヒ:うん・・・。
ス:もう、寝ようか。もう遅いから。
ヒ:うん・・・。


スワンは、ヒョンスの手を取って、二人は手をつないで眠りについた。






翌朝、ヨンジョンが目を覚ますと、ベッドの中にはスワンはいなかった。

起き上がって洗面所へ行き、トイレの帰りに、子ども部屋を覗く。

スワンは、ヒョンスと一緒に寝ていた。



ヨンジョンがスワンの肩を揺らす。


ヨ:(小さな声で)スワン、スワン。
ス:(目を開ける)ヨンジョン? ああ・・・。(隣のヒョンスを見る)
ヨ:おいで・・・。
ス:うん。(静かに起き上がる)


ヨンジョンとスワンは寝室へ戻った。


ヨ:どうしたの?
ス:夜中に雷が怖いって。
ヨ:そうか。
ス:今、何時?
ヨ:えっと・・・6時。
ス:そう。


ヨンジョンが笑う。


ス:なあに?
ヨ:昨日はよく寝てたね。
ス:あなただって、グーグーよく寝てたくせに。(笑う)
ヨ:そう。(スワンをベッドに引っ張る)君なんか、泥棒に触られても、わからないくらい、寝てたよ。
ス:変なことしたの?
ヨ:してないよ。おいで・・・もう少し寝よう・・・。


スワンが笑った。


ヨ:なんだよ。
ス:私って人気者ね。
ヨ:ふん。(笑う)今のところはね・・・。
ス:ひどい!


ヨンジョンは目覚ましをセットし直して、また二人は眠りにつく。

今度こそ、二人はうれしそうに抱き合って・・・。






午前10時を過ぎて、今、三人はヨンジョンの車に乗って、彼の実家へ向かっている。

ヨンジョンの家は、ソウル郊外にある。


父親は長く役所に勤め、今は地元から立候補して、市会議員をしている。

ヨンジョンは、父はとても実直な人だと言った。
真面目に働いて、その功績で現在があると・・・。

最高学府に入学を許されたヨンジョンは、当時は自慢の息子であり、家族の期待の星だった。

母も真面目な父によく尽くした人であった・・・。
だから、大学の先生であるユンアを妊娠させ、学生の身分で結婚という顛末を受け入れた息子を、父が失望して、結婚の承諾だけはしたものの、勘当を言い渡した時、母もそれに従った。


ス:よく晴れてるねえ。
ヨ:そうだなあ・・・。
ス:ここへ来るのって11年ぶり?
ヨ:うん・・・。


あともう少しでヨンジョンの家が見えてくるはずである。



ヨ:ずいぶん、家が建ったなあ。昔はこの辺てススキの原だったよ。
ス:そう・・・。キレイな新興住宅地に変身しているのねえ。
ヨ:うん・・・。


ス:ヨンジョン、まずはヨンジョンだけで会ったほうがいいね・・・。ヒョンスは私が見てるよ。
ヨ:そうだな・・・。



後ろの席で、ヒョンスは窓の外を眺めている。しかし、この父とその両親の間に何があったかわからないが、今日という日が父親にとって重い日であることはよくわかる・・・。



ヨ:ついたよ。車を庭に入れられるかな。


車を門の中まで入れて、家の前に止める。


ス:大きな家だね・・・。(車の助手席から覗く)
ヨ:古いだけだよ。昔、じいさんの代までは、ここの名士だったから・・・。
ス:今もそうじゃない。
ヨ:まあ、そうか。でも、父は勤め人になったから、実際にはずいぶん暮らしぶりは変わったと思うよ。だから、じいさんと父では、かなり性格が違ったよ。
ス:ふ~ん、ヨンジョンは誰似?
ヨ:じいさん。(笑う)いつも一緒にいたからね・・・。ヒョンス、おまえと一緒だよ。(そういって、ヒョンスを見た)


ヒョンスは、ちょっと笑ったが、家の様子を見ている。



ヨ:じゃあ、まずはオレ一人で行くよ。
ス:うん・・・うまく話ができるといいね。
ヨ:・・・。



ヨンジョンが広い玄関に入っていった。






スワンとヒョンスは所在無げに黙っている。中で、ヨンジョンはどうしているのか・・・。




応接間にヨンジョンが座っている。

母親がお茶を入れてきた。


ヨ:すみません・・・。
母:いいのよ・・・。
ヨ:お父様はまだ?
母:ええ、今、こっちへ向かっているわ・・・。ずいぶん、立派になったのね・・・。



母は感慨深げに、ヨンジョンを見つめた。
母は髪が白くなった・・・別れた時は、年より若く見えたのに・・・今でも、60過ぎにしては若いけれど、嘗ての溌剌とした感じはなかった・・・。



母:今日は一人?
ヨ:いえ、3人で。
母:そう・・・あの方も見えたのね?


ヨ:お母様、彼女はもう亡くなったんだよ。
母:え?
ヨ:胃がんで亡くなりました・・・。今日は、息子と・・・今度結婚する人と一緒に来たんだ・・・。
母:まあ、そうだったの・・・。(少し目を落とす)それは・・・お悔やみも言わないで・・・あちらのお宅に失礼してしまったわねえ・・・。

ヨ:いいですよ。僕は勘当されているわけだから・・・。
母:(胸が痛い)・・・。それで、今日は、今度の結婚の承諾がほしいの?
ヨ:・・・実は、結婚したらアメリカへ行くので・・・また会うチャンスを考えたら・・・今を逃してはいけないと思って・・・。

母:アメリカへ?
ヨ:ええ。結婚したあと、アメリカへ留学したんです・・・そこで、学位を取ったから。その時の友人の会社を手伝うことになって。
母:そう・・・建築の仕事をしているのよね?
ヨ:今は、大学で教鞭を取っているんです。結婚を機にまた設計の仕事に戻ろうと思って・・・。
母:そうなの・・・。立派に生きているのね・・・。





スワンたちの待っている車の横に、黒塗りの車が止まって、中から恰幅のいい男性が出てきた。
運転手に見送られ、玄関近くに来て、何やら運転手に指示して、中へ入っていった。



運:あのう・・・。
ス:はい。
運:先生のご子息の関係のかたですか?
ス:ええ。
運:先生が中へ入るようにと。

ス:あ、でも・・・。今はここで待つと・・・。
運:中へ入ってください。先生が中でお待ちです。


ス:あ、はい。ヒョンス、降りよう。
ヒ:うん。



スワンは、小さな飴を口に入れて、助手席の車の鏡で顔をチェックした。
そして、車から降りた。
後ろから降りてきたヒョンスの全身をチェックする。


ス:行こう。何があっても、私たちはお父さんの味方だよ。お父さんがご両親と仲直りできるように、頑張ろうね・・・。
ヒ:うん・・・。



二人は、緊張した面持ちで、運転手の案内で、ヨンジョンの実家の玄関へ入った。










続く・・・



2009/07/26 08:09
テーマ:本日の彼・・・ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

AB秋物撮影・・・

Photo
BGMはこちらで^^



7/24は、アナルド・バッシーニの秋物の撮影でした^^

いつものABjoonで~す^^

ふ~む・・・

先だって、私服のjoonに心が揺れ揺れになった私ですが、
またまたいつものABjoonなので、
すっかり、気分は落ち着いちゃってます^^
って、なんてこっちゃ!^^







なにやら、撮影していますが・・・いつもの感じですね~


ロン毛です^^
キッチリした髪型です^^


服装も・・・別段変わった感じもなく、いつものデザインです^^

マジックはなさそうです^^


安心できます^^爆







撮影のあとは、ゴリラで食べて飲んでリラックスしたjoon^^

今日はまた・・・韓国の美と戦うのかな?^^

たまに、撮影が入ると、気分転換になっていいよね^^

本日もファイティ~~~ン!




東京は、日差しがまぶしい!

夏だねえ・・・

地球温暖化・・・と太陽の低温化・・・
なんか、プラスマイナス考えると、
温暖化しても悪くないような気さえしてしまう私・・・

「氷河期へ向かう地球で生き残るには温暖化が必要です!」なんて
キャンペンがいつかあったりしちゃって・・・


でも、今日はまだまだ暑いですよ~^^


2009/07/26 02:06
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」17





BGMはこちらで^^



BYJシアターです。

本日は「アマン―夏の恋人」17部です。


ではお楽しみください。





母さんは言った。



スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。





ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演
「アマン―夏の恋人」17






ス:これ、おいしいね・・・。


スワンは、古巣の文学部英文科のパク・ヘソン教授の研究室に来ている。
ミンシャが出してくれた海老せんを摘んで、ミンシャとともにお茶を飲んでいる。


ミ:ホントに素敵・・・。そんな指輪を贈ってくれる人ってロマンチックですよね・・・。


ミンシャがスワンの左手を取って、薬指のリングを羨ましそうに見ている。

パク教授が研究室に帰ってきた。


パ:おお、スワン君。どうした?
ス:お邪魔してま~す。ちょっと遊びに伺ってま~す。
パ:うん・・・。ちょっと、小耳に挟んだんだが・・・君の彼は、お隣さんだって。

スワンが赤い顔をして、責めるようにミンシャを見た。


ミ:ごめん・・・。教授にだったらいいでしょ? (顔を覗きこむ)
ス:もう・・・おしゃべり・・・。


パ:まあ、いつかはバレるさ・・・。ところで、それより、教務課は、君の彼氏と先輩の噂で持ちきりだぞ。
ス:(ため息をつく)そうなんです・・・。

パ:アメリカで、スカーフを贈ったって。

ス:ふ~ん。それが・・・。
ミ:それが・・三角関係に発展したの!?
パ:そうなのか!


二人は興味深々でスワンの顔を見る。


ス:違いますよ。本人が言うには・・・スカーフを選んであげただけだって。
ミ:ホントに?

ス:うん。この指輪を買った直後に、ジョンアさんとデパートに行ったから、どういう成り行きだったか、あまりよく覚えてないって言うんです。その時は指輪のことを考えてて・・・。でもね。選んであげただけで、お金は払ってないって言うの。お金を払ってないのは確か。
パ:(笑う)そうか! どれどれ、指輪を見せなさい。


スワンが左手をかざす。


ミ:素敵ですよね・・・。ラブリー・・・。
パ:うん。いい趣味だ。ここに二人の宇宙が凝縮されてあるわけだ。二人の世界か・・・。

ス:先生、それ、素敵! 彼に伝えます。(そう言って、指輪を見る)
パ:幸せそうだな・・・。
ス:(クスっと笑う)ええ。
パ:こいつ、ヌケヌケと。(笑う)まあ、ラブに身を投じるのは素敵なことだ。しかし、ジョンア女史の噂はすごいぞ。

ス:それで、困ってるんです・・・。先輩になんて言っていいか。
パ:そうか。
ス:それでえ・・・私たち、近いうちに結婚することにしたんです・・・。彼が、噂が広まる前に、皆に公表しようって。

ミ:カッコいい! 私もそういう人と知り合いたい! 教授、めちゃくちゃ、カッコいい人なんですよ。
パ:そうだってな。うん・・・留学はどうする。

ス:行きます・・・行く予定です・・・。
パ:うん・・・ダンナを置いてか。
ス:・・・。(答えられない)

パ:なんか、思惑がありそうだな。
ス:別にないですよ・・・・ただ・・・途中で赤ちゃんができても・・・続けられますか?


パクがじっとスワンを見つめた。


パ:その辺は調べておこう。
ス:・・・。
パ:結婚するんだから、それはそうだろう・・・。まずは・・・うん・・・既婚者でも、資格はある。それは大丈夫だ。
ス:はい。


パ:その話をしに来たのかい?
ス:・・・ちょっと、あっちの研究室には、いたくなくて・・・。
パ:なぜ? 隣にいい男がいるじゃないか?
ス:それがマズくて・・・ジョンア先輩と会いたくないんです。
パ:いつまで逃げてる?

ス:今週いっぱい。
パ:それで、片がつくのか?
ス:ええ・・・。彼の先妻さんのご両親にご挨拶に行くまでです・・・。
パ:・・・子どもがいるって聞いたけど。
ス:ええ。その子をあちらが欲しがっているから・・・。ちゃんと話をつけてこなくちゃならないんです。

パ:・・・君の子が生まれても、その子を手元に置くんだね?
ス:ええ。
パ:・・・。君の子どもをその子はどう思うだろう。
ス:わかりません・・・。でも、彼を一番に考えて暮らしていけば、なんとかなると思うんです。
パ:うん・・・。(頷く)

ミ:先生。ヒョンス君は、スワン先輩のこと、よくわかってるんです・・・。きっと、先輩が好きなんですよ。
パ:まあそうでも、こと、自分以外に子どもができると、内心、子どもは辛いものだよ。(スワンを見つめる)
ス:・・・努力します・・・。
パ:うん。(頷く)よく考えて、うまく話を持っていくんだな。子どもの心は繊細だ。
ス:はい。(教授を見つめる)


ミ:先生。そんな先の心配をしても、仕方ないですよ。(笑う)とにかく、ジョンア女史を負かして、スワン先輩が手に入れちゃったんだから、すごい!

ス:そんなあ・・・ただ、私のほうが早く知り合ってたから・・・。うううん、違うわ。私にとっては、運命の人だったのよ。きっと彼にとっても。

パ・ミ:すごい!

ス:え?

ミ:先輩、すごい! すごい! それだけノロケちゃうなんて・・・。それなら、幸せになりますね。
パ:うん・・・。なんか、花嫁の父のような気分だな。(笑う)


教授はそう言って、感慨深げに席についた。


パ:うん・・・。愛は守られた・・・。二人の固い決意で愛は守られた・・・。
ス:?


パ:ところで、君の留学だが、それは本当に必要なのかね?
ス:・・・。
パ:結婚して・・・母になって・・・それでも必要なのかね?
ス:・・・教職を続けていく限り、学位は必要です。それに・・・それは私の長年の夢だったんです、留学も学位も。後で、悔いることだけはしたくないんです。
パ:うん・・・。一人で留学するの? (じっと見つめる)
ス:・・・ええ・・・。
パ:うん・・・。なら、留学中に赤ん坊の心配は要らないだろう? 君たちの愛は守られているんだから。
ス:そうですけど・・・。



スワンはホントのことを相談したいと思った。

実は、私、妊娠しているんです。そして、来期になったら、彼も一緒にアメリカへ行く予定です・・・。
そして、家族で暮らしたいんです・・・。



パ:私のアメリカの知り合いがいる大学で韓国語教師を探しているんだ。そこへ履歴書を送ってみるか?
ス:なぜですか? もう留学は決まっているのに・・・。


パク教授がじっとスワンを見つめた。


パ:なんか解せないんだよね。君の態度は。ジョンア君のことがあるとしても、今結婚をして、夫と子どもを残して、3年間留学する・・・。それは愛を守るためだけ? 運命だなんて言っている相手を残してだ。不思議だよ・・・。(じっとスワンを見る)
ス:仕方ないんです。そういうタイミングになってしまったんですから。


パ:まあ、ちょっと考えさせてくれ。(机の引き出しを開け、探し物をする)
ス:何をですか?
パ:君がちゃんとやっていけるように・・・。
ス:ちゃんとやっていきますよ。


パ:そうかなあ・・・。なんか無理がありそうだぞ・・・。ああ、あった・・・。これだ。この大学は・・・実はこっちのほうがグレードは上なんだよ、スカラシップの大学より・・・。その代わり、公費での留学ではないが、今回の君の成績結果を送ってみよう・・・。ここなら、韓国語の講座を持ちながら、大学院に通うことができる。
ス:先生・・・。
パ:アメリカへは行きたいんだろ?
ス:ええ、だから、それは決まって・・・。

パ:スワン、ここは賭けだな。どう思う? 公費での留学より、実は今の君にはこっちのほうがよくないか? 多少、お金はかかるが。講師料なんて微々たるものだから・・・。しかし、こっちは自由が利くぞ。公費で行ったら、いろいろ制約がつく。君は今、結婚をしたいと言っている。まずはそれが第一目標。二番目は、それに合わせた計画を練ることだ、君たちの愛を守れるね。
ス:ええ・・・。そこは、どこにあるんですか?
パ:ここは・・・ボストンだが、それ、これがパンフレットだ。
ス:はい・・・。(パンフレットを受け取る)






スワンは、考え事をしながら、自分の研究室へ帰っていく。


教授は、何がわかって、何に気がついたのかしら・・・。

まあ、ロマンチストの詩人だから・・・愛の深さを知ってるってことかしら・・・。
不思議だわ・・・。





文学部から工学部へ続く中庭を通って、工学部の建物へ入ろうとすると、またつわりが襲った。

スワンはポケットからハンカチを出して口を押さえ、しばらく立ち止まった。
少し落ち着いて歩き出し、ふと視線を感じて、前の建物の2階から3階へのスロープを見上げると、ヨンジョンがやさしい顔つきでスワンを見下ろしていた。

「大丈夫かい?」彼の声が心に聞こえてくるような気がした。

スワンは微笑んで、ヨンジョンを見た。

だが、ヨンジョンはすぐに学生に囲まれて、学生の輪の中に入ってしまった。





遠くから見たヨンジョンは、スワンのヨンジョンであることは確かだが、多くの学生たちに愛されて、スワンだけに生きているわけではない・・・。
そして、ジョンア先輩が彼を愛するように、彼が一人でいれば、自分よりもっと魅力的で、すばらしい女性が近づいてきても不思議ではない。


同じアメリカでも・・・距離をおいてはいけない・・・。
そして、34歳の彼には、持っている能力を生かした、ちゃんとした仕事をさせなくちゃ・・・。




スワンは立ち止まったまま、しばらく考え、そしてまた、今来た道を引き返す。


きっとパク先生なら、その解決案を一緒に考えてくれるはずだわ・・・。
先生に相談しよう・・・力を・・・大人の知恵を借りよう・・・。







それから、土曜日がやってきて、いよいよソウルへ出発することになった。
初日は、ヨンジョンとヒョンスがユンアの家へ結婚の許しを得に、そして、日曜日には、ヨンジョンの実家へ3人で挨拶に行く・・・。

まずは、3人で、ヨンジョンの車に乗り、ヨンジョンのマンションへ出発した。


ヒ:スワンさんは、うちは初めてだよねえ。
ス:(ドキッとするが)うん。それも楽しみ。(微笑む)
ヒ:僕の部屋の棚を見てね。お父さんが作ったものだから。
ス:そうなんだ。(それはまだ見ていなかった)楽しみ。
ヒ:傑作だよね? お父さん。

ヨ:傑作って、どういう意味かな。いいのか悪いのか?(笑う)
ヒ:両方。(笑う)
ス:へえ・・・。留守番している間、おうちの中をよく見てみるね。
ヒ:うん。


ヒ:ここの3階だよ。(マンションのエレベーターの前に立つ)


ヒョンスがソウルのマンションを案内する。

エレベーターを降りて、ヒョンスが先頭に立って歩き、スワンを案内する。
ヨンジョンから受け取ったカギで、ヒョンスが部屋のカギを開けた。


ヒ:スワンさん、どうぞ。
ス:(笑う)お邪魔しま~す。

ヒョンスがスリッパに気がつかないので、スワンは下駄箱から出しそうになるが、ここは初めての家だ。


ヨ:ヒョンス。スリッパをお出しして。まだ、暖房が入ってないから、足元が冷たいだろ。


ちょっと奥まで入ったヒョンスが戻ってきて、下駄箱からスリッパを出す。

ヒ:そうだった、ホントに冷たい。どうぞ。
ス:ありがとう。ヒョンス君、先にトイレ借りていい?
ヒ:あ、こっちだよ。


ヒョンスとスワンが洗面所に入る。


ヒ:ここのドアだよ。
ス:ありがとう。



ヨ:ヒョンス! 少し窓をあけて空気を入れ替えよう。
ヒ:うん、わかった。じゃあね、スワンさん。
ス:うん。



スワンはトイレを済まして、洗面台に戻り、髪をちょっと直す・・・。
洗面台の横にピアスがあった・・・。


この間、忘れてったやつ・・・。
さっき、ヒョンス君、見たかしら・・・。


スワンはポケットにしまって、リビングへ行く。


ヨンジョンがソファに座って、考え事をしている。
スワンが心配そうに見ると、少し微笑んで見つめた。


ヨ:じゃあ、着替えていくかな。(立ち上がる)
ス:そうね、遅くならないほうがいいわ。
ヨ:今日は何時に帰れるかわからないけど・・・。

ス:大丈夫。一人でお留守番くらいできるわよ。冷麺でも食べて。(笑う)
ヨ:もっと栄養取ったほうがいいよ。
ス:今は喉越しのいいものがいいの・・・。
ヨ:そっか。ヒョンス! 着替えなさい。ちゃんとした格好で行くぞ。

ヒ:うん。(子ども部屋へ行く)

ス:(ヨンジョンに)手伝ってくるね・・・。




スワンは、先日デパートで仕入れたヒョンスの服を持っていく。


ス:今日はちゃんとして行こうね。
ヒ:うん。


着替えを渡す。


ヒ:スワンさん・・・。僕もスワンさんと一緒に暮らしていいんだよね?


スワンは今の一言に、胸が熱くなり、涙が滲む。


ス:いいんだよ、いいんだよ。ヒョンス君は・・・ヒョンスは私の大事な息子だよ。ヨンジョンと同じくらい大切だよ。だから、あっちで何を言われても、私を信じてね・・・お父さんを信じてね・・・。
ヒ:・・・。
ス:わかった? お父さんはあなたを愛してるからね・・・。だから、お父さんを信じるんだよ。
ヒ:うん・・・。わかった・・・お母さん・・・。


そう言って、ヒョンスはこども部屋を出ていった。

スワンは今の言葉に胸がいっぱいになり、立ち上がれなかった・・・。



ヨ:スワン? スワン、行くよ。(子ども部屋に座り込んだスワンを見る) どうしたの?
ス:ヨン・・・・。
ヨ:泣いてるの? どうした?
ス:ヒョンスがね、「お母さん」って言ったの。
ヨ:・・・。

ス:たとえ気まぐれでも、冗談でもうれしかったから・・・。ヨンジョン、絶対手放さないでね。ヒョンスにお父さんを信じなさいって言ったから・・・。
ヨ:うん・・・。スワン、ありがとう・・・。もう、ヒョンスは君を信じているんだね・・・。


ヒ:お父さん、早く行こう。おじいちゃんたちを待たせたらいけないよ。
ヨ:そうだな。じゃあ、行くよ。
ス:車まで見送る。頑張ってきてね。(涙を拭く)


スワンが立ち上がって、子ども部屋を出ようとすると、ヨンジョンがスワンの腕を掴んだ。
そして、額に軽くキスをした。

二人はちょっと見つめ合って微笑んだ。





ヨンジョンとヒョンスは出かけていった。



ヒョンスには、まだ本当のことを言っていない・・・。
パク教授が言うように、子どもの心は繊細だ。

結果、彼を騙したことにならないように、ちゃんとしなくちゃ・・・。


スワンは、あれから、パク教授に今の自分たちの状況を告白した。
それは、賭けだったけれど、今まで育ててくれた教授には、本当のことを話して、相談したかった。

パク教授は今、スワンについての推薦状を書き、スワンのスカラシップの成績に添付して、旧知のボストンの友人に送っている。彼のアメリカ留学時代の親友であり、その大学の教授であるその人がどんな判断をするのか・・・。


ヨンジョンとスワンの明日はまだ不確実だ。

でも、そこには愛があって・・・パク教授の言うように、『二人が愛の決断をしたことで、二人の愛は守られた・・・』と信じたい。



そして、今、パク教授の言った言葉をスワンは反芻している。


子どもはほんの一言でも、裏切りと感じるときがある。そして、たった一言で愛されていると実感することもあるのだと。


大丈夫よね?

ヨンジョンはどこででも仕事ができる人だし・・・私が欲深いことを考えなければ・・・最後駄目なら、今はいったん諦めればいいんだから・・・。
ヨンジョンが言うように、ヨンジョンの稼ぎで、学校に進んでもいいんだし・・・。
とにかく、これは長い目で見よう・・・。

まずは、一つ一つ積み上げて・・・・今は、今日の成功を祈ることだわ。






ヨンジョンは助手席にヒョンスを乗せて、ユンアの実家へ車を走らせている。


ヨ:ヒョンス。
ヒ:なあに?
ヨ:おまえにまだ話してなかったことがあるんだ。
ヒ:なあに?


ヨ:うん・・・。来年になったらね・・・スワンがアメリカへ留学するのは知っているだろう?
ヒ:・・・やっぱり、行くの?
ヨ:うん・・・。それでね、おまえとオレも、アメリカへ一緒に行こうと思うんだ。
ヒ:僕たちも?
ヨ:そう・・・。お父さんはあっちで、また設計の仕事をする。でもね、今度は自分たちの会社だから、ヒョンスのための時間も作れるし、スワンもいるし・・・。
ヒ:・・・そうなんだ・・・。(ちょっと考える)


ヨ:韓国に居たかったか・・・? いつも、オレのせいで、あっちこっち連れまわして、ごめんよ。
ヒ:・・・。
ヨ:でも、長い目で見ると、おまえがアメリカで勉強するのは悪くないと思うんだ。人生の中でそんな時期があってもいいんじゃないかと思う。将来にいろいろな選択肢が増えるからな・・・。まだ、おまえは小さくてわからないかもしれないけど・・・。


ヒ:それで、お父さんも幸せになるの?
ヨ:・・・。


ヨンジョンは今の言葉で胸がいっぱいになった。
大人の都合で、ヒョンスをあちこち連れ歩いて・・・。
でも、きっとヒョンスは父親の自分と一緒に暮らしたほうが彼の将来のためだ・・・。


ヒ:いいよ・・・行っても。
ヨ:ヒョンス・・・。
ヒ:あっちへ行ったのも、最初は僕のためだったんだもんね、いいよ、行っても。
ヨ:・・・ありがとう・・・。


ヨ:しばらく、おじいちゃんたちには会えなくなるよ。
ヒ:うん・・・。でも、僕も一緒に行くよ。
ヨ:・・・。
ヒ:スワンさんがね、一緒に暮らそうって。ヒョンスは、お父さんと同じくらい大切な人だからって。



ヨンジョンは一瞬、涙が出そうになった。
ヒョンスは淡々と話しているが、そこにスワンとヒョンスの思いが凝縮されているように思われたからだ。


ヨ:ヒョンス・・・ありがとう・・・。
ヒ:うん・・・。でも、もしスワンさんがいなかったら、僕たちはどうしてたんだろうね。
ヨ:?
ヒ:お父さんは、アメリカに出張に行っちゃったりして・・・。きっと、おじいちゃんちに預けられてたのかな・・・。


ヨ:そうだな・・・もうスワンは家族だったんだね・・・。
ヒ:そうだね。もう家族なんだね・・・僕たち。


そう言って、ヒョンスは窓の外を見た。


ヨ:ヒョンス。ママの思い出はずっと大切に思っていていいんだからね。スワンもオレもそれを隠せとは言わないからね。わかったね?
ヒ:・・・。



ヒョンスは返事をしなかった。

しばらく、静かに沈黙の時間が流れた。
信号待ちで止まった時、ヨンジョンは、ヒョンスのほうを見た。

彼は静かに泣いていた・・・。

母親を亡くしたことで、彼の人生は思いも寄らない方向に変化していった。

かわいい一人息子のヒョンス・・・。
彼もスワンの登場で、また新しい人生が始まったのだ。






ユンアの家へ着くと、ヨンジョンとヒョンスがかしこまった身なりで現れたので、ヒョンジュンたちは、少しまごついた。

ただ、遊びにきたのではないのだ。


ヒョン:どうした?


玄関でヨンジョンとヒョンスが並んで立っている。


ヒョン:何してる。早くお入り。
ヨ:失礼します。





茶の間にユンアの両親とヨンジョンとヒョンスが向かい合って並んだ。


ヒョン:どうしたんだ、今日は。ただ遊びにきただけじゃないのか?
ヨ:ええ。お話があって来ました。
ヒョン:うん。


ヨ:実は・・・今度、結婚することになりました。
ヒョン・妻:・・・・。(驚く)
ヨ:それで、ご挨拶にきたんです・・・。
ヒョン:うん・・・。

ヨ:結婚したら、アメリカへ行く予定です。
ヒョン:アメリカ?
ヨ:ええ、あちらで友人の会社を手伝うことにしました・・・。まあ、大学の年度が終わってからですが。

ヒョン:ヒョンスは置いていくのか?
ヨ:いえ、一緒に行きます。
ヒョン:・・・。
妻:あなたの都合で、あちこち・・・。それに、新しいお母さんじゃあ、ヒョンスがかわいそう過ぎるわ。
ヒョン:うん・・・。ヒョンス、どうする。ここに残るか? それがいいだろ?


ヒ:行きます。

妻:ヒョンス・・・。ここはおまえの家だよ。我慢なんかしなくていいんだよ。ここにいていいんだよ。

ヒ:お父さんと行きます。

ヒョン:ヨンジョンのいない所で、ゆっくり話すか?
ヒ:うううん。おじいちゃん、僕が行きたいんだよ。お父さんと一緒に。

ヒョン:新しいことだらけだぞ。
ヒ:いいんだよ、新しいことだらけで・・・。お父さんと・・ス、新しいお母さんを信じているから。

ヒョン・妻:・・・。(驚く)
ヒ:だから、心配しないで。


ヒョン:どんな人なんだ? ヨンジョン。結婚するって人は。
ヨ:・・・同じ職場の・・・講師です・・・。
ヒョン:それで、その人もおまえについていくのか?
ヨ:・・・。(ちょっと口ごもる)

ヒ:お父さんや僕を大切にしてくれる人だよ。
ヒョン:ヒョンス。

ヒ:お父さんが、アメリカへ行ってた間、その人と二人で待ってたんだ・・・だから、いい人だってわかってるんだよ・・・。

ヒョン・妻:・・・・。

ヨ:オヤジさん、わがままを許してください・・・。ヒョンスは、オレが再婚しても、お二人の孫に変わりはありません・・・。それは変わらないです。そして、オレの子なんです。だから、オレが育てます。



ヒョンジュンは、ヒョンスの顔をじっと見た。

ヒョンスは、ヒョンジュンたちに甘えた表情をしなかった。
この子は心を決めてきたのだ。
ここへ来るのに、父親を助けようと心を決めてきたのだ。



ヒョン:わかった・・・。おまえに託そう。
妻:あなた・・・。ヒョンス。


ヒ:おばあちゃんのことも忘れないよ・・・。お父さんがね、ママのことはちゃんと思い出として持ってていいって。そのことも話してもいいって・・・。だから、おじいちゃんのことも、おばあちゃんのことも忘れたりなんかしないよ。



母親が泣き出した。今まで、長い間、手塩にかけて育ててきた孫が今、自分たちから離れていく。
それも、ちゃんと自分の気持ちを話して・・・。
涙が止まらなくなった。



ヒョン:うんうん・・・。韓国へ帰ってきたら、遊びにおいで。いつでも来ていいんだからな。
ヒ:うん。


ヒョンスは祖父の言葉に、一瞬泣きそうになったが、ぐっと堪えた。


ヒョン:ご飯を食べていけ。ばあさんが用意したから。新しい門出の祝いだ。
ヨ:はい・・・。(胸がいっぱいになる)

妻:ヒョンスの好きなものばかりだよ。
ヒ:うん。





食事の支度ができるまで、ヒョンスがヨンジョンの手を引っ張って、2階のユンアの部屋へ上がった。


ここで、ヨンジョンは4年間を共に過ごした。

ここで、1年勉強した後、大工として3年間を過ごした。
ヒョンスをおぶって、本を読んだこともあった。小さな息子の風呂もオムツ換えも、全てここでの出来事だ。

それはとてもとても遠い昔のことのように思えた。

そこから、アメリカへ逃げ出して・・・もう二度と戻ることがないと思われた部屋。


ヨンジョンは感慨深げに見渡した。


ヨ:ずいぶん、時間が経ったように思うなあ・・・。
ヒ:もうここには来ないね。

ヨ:たまには、おまえはここに、遊びに来てあげなさい。おまえはたった一人の孫なんだから・・・。
ヒ:・・・うん・・・。



ヒョンスが本棚に行って、アルバムを取り出す。

そして、母親の写真を探した。



ヒ:これ、持っていっていい?
ヨ:うん・・・。おまえの部屋に飾るといい・・・。

ヒ:お父さん。スワンさんは怒らない?
ヨ:怒らないよ、きっと。でも・・・スワンも大切にするんだよ。
ヒ:わかってるよ・・・僕の大切な・・・お母さんなんだから。


そう言って、ヒョンスはヨンジョンに抱きついた。
ヨンジョンも、ヒョンスを抱きしめて、髪を撫でた。


ヨ:ありがとう、ヒョンス。(顔を見つめる)今日のことは忘れないよ。お父さんも、いつでもおまえの味方だからね・・・。
ヒ:うん・・・。




階下から、「夕飯に支度ができたぞ!」という声がした。





続く・・・





一つ一つクリアして・・・。
あともう少し・・・。



2009/07/25 16:00
テーマ:イベント カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

チケット、OK?^^

Photo
BGMはこちらで^^



こんにちは^^

今日の東京は暑い!

夏だ~~~って、もう十分夏なんだけど、
最近、梅雨みたいだったから・・・。











さて。

9月29・30日のチケット取りはうまくいきましたか?

ここには外れた人はいないのかな?

他のサークルのオーナーさんも書いていますが、

各サークル譲ってくださる方がいるので、
もし、チケットが外れちゃった人は、
在籍しているサークルを覗いてみてくださいね^^

チケットコーナーがあると思うので・・・。

かく言う、私の主宰するサークル(joonに恋して)にも
チケットがありますので、
こういう時は有効活用されるといいと思います・・・。


公式の人だけが外れた? そんなこともないと思うので・・・。




ソウルも今日は暑いかな・・・。

CM撮影したというお話だけど・・・秋・冬物かな^^;

まあ、

涼しいお部屋にいるからいいのかな・・・。


日射病にならないようにね~~~


皆もね^^


Have a lovely day !!







2009/07/25 01:22
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」16





BGMはこちらで^^





BYJシアターです。

今日はちょっとボロコリだった・・・?
いよいよイベントのチケットが手に入って、
joonと会うまで2か月あまりとなりました^^
月日の経つのって早いねえ・・・。



本日は「アマン―夏の恋人」16部です。


ではお楽しみください。







母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。






ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演
「アマン―夏の恋人」16




ヨンジョンのポケットの中で、携帯電話が揺れた。


ヨ:ちょっと待ってね。


研究室に質問に来ている学生たちを待たせ、ヨンジョンは窓際に立った。


ヨ:もしもし?
ス:ヨンジョン? 今、大丈夫?
ヨ:学生が来てるけど、大丈夫。・・・どうだった?(やさしい声)



ヨンジョンの声があまりに温かくてやさしいので、スワンは胸がいっぱいになり、泣きそうになる。


ス:うん・・・。やっぱり、風邪。(震える声で言う)・・・じゃなくて、赤ちゃんだった・・・。7週だよ。
ヨ:そう・・・おめでとう。うれしいよ。
ス:うん・・・。いいよね? 
ヨ:当たり前じゃない。それにしても、7週ってすごいね。

ス:出来立てのホヤホヤ。(笑う)最初の何週間は、実際にはお腹に赤ちゃんはまだいないんだって。だから、出来立て・・・。よく気がつきましたねって言われちゃった。
ヨ:そう。お母さんだね・・・。
ス:うん・・・。また、来週行って、超音波で赤ちゃん見せてもらうの。今日はね、まだ小さくてよく見えないんだって。
ヨ:一緒に行こう・・・。(やさしい声)
ス:うん・・・。(胸がいっぱいになる)

ヨ:また、帰ってから、いろいろ聞かせて。
ス:ごめんね、忙しいところ。
ヨ:じゃあ、気をつけて帰るんだよ・・・。



ヨンジョンは携帯を切って、うれしそうに微笑み、学生たちが座っている応接セットへ戻る。



学1:なんか、先生。いいことありました?
ヨ:どうして?
学2:うれしそうだから。
ヨ:そうか。(笑う)ちょっとね。さあ、どこだっけ? 君の実験データ、見せて。
学1:はい。



学生とデータを見ながら、検討していると、ドアのノックの音がする。



ヨ:はい。
ジ:失礼しま~す。(ドアを開け、顔を覗かせる)お仕事中? 先生、お昼、ご一緒しません?



ジョンアが極上の笑顔でヨンジョンを見つめている。
今日のヨンジョンは、花が咲いたように、美しい。


男の人でも、匂やかに美しいってあるんだわ・・・。



ヨ:ああ。(ちょっと困るが)今日はこの子たちと、昼を一緒に取ることにしているので、すみません。
ジ:まあ・・・。熱心な先生でよかったわね。じゃあ・・・またね。失礼!(ドアを閉める)



学生たちが顔を見合わせて笑っている。


ヨ:なんだい? 何がおかしいの?
学1:先生。いいんですか? (笑う)
ヨ:何が?
学1:つまり、ジョンア先生と先生が付き合っているのは、僕たちも知ってるから・・・。
ヨ:何それ?


ヨンジョンが内心、心配していたことはこれだ。



学2:基礎ゼミの皆、知ってますよ、全員。
ヨ:なんで? 付き合ってないよ。(笑う)
学1:でも、すごい噂ですよ。

ヨ:そうなの?!(驚く) どんな?
学2:え~え! 僕たちの口から、言うんですか?
ヨ:教えろよ。

学1:アメリカで、つまり・・・二人の関係が進んだっていうのは、皆知ってますけど(笑う)・・・というか、噂ですけど。
ヨ:何にも進んでないよ。おまえねえ、仕事で行ってるんだよ。
学2:でも、先生。ジョンア先生にスカーフ、買ってあげたじゃないですか。



参った!
やっぱり・・・。



ヨ:そんなあ・・・。困るなあ・・・。
学1:違うんですか?
ヨ:違うよ。

学2:でも、皆そう思ってますよ。ジョンア女史に・・・(笑う)
学1:(一緒に笑う)
ヨ:何?
学2:春が来たって。(笑う)これ、基礎ゼミの定説になってますよ。


ヨ:(二人を見つめる)昼飯、付き合えよ。
学1:先生の驕りですからね。
学2:そう、隠れ蓑になってあげてるんだから。
ヨ:バカ! よし! 地下食のラーメンにしよう!

学1:ええ! あれ、マズイですよ。
学2:ピザにしましょう! 先生。


ヨ:贅沢なやつらだ・・・。


ヨンジョンは席を立って、デスクに参考書と実験データを置きに行き、ふと考える。



ヨ:よし! バイト料として、ピザを奢ろう。


学生のほうを振り返る。


学1:ラッキー!(喜ぶ)
ヨ:しかし、これはバイトだ。
学2:どんな?


ヨ:チェ先生には、実は違う婚約者がいて、しかも近々結婚するらしい・・・。な、よろしく。



ヨンジョンがジャケットを着る。
学生は資料をしまいながら、二人、顔を見合わせる。


学1:先生・・・。そんなうそ、言っちゃっていいんですか? 後で困りませんか・・・?
ヨ:(笑う)ホントだから、困ってるんじゃないか。変な噂が流れたら、婚約者に逃げられるだろ?


ヨンジョンがお茶目な目をして、笑った。





ヨンジョンは、ランチバイキングのピザ屋で学生に食べさせながら、洗面所近くで、携帯で電話をしている。


ヨ:君のお母さんだけでも早く会っておきたいと思うんだ。
ス:今晩ね?
ヨ:うん、だめかな・・・。
ス:いいよ、母に聞いてみる。そうなると、早いほうがいいね。
ヨ:・・・噂は気にしないで・・・。(ちょっと下を向く)
ス:わかってる・・・。この指輪が証拠だもん・・・わかってる・・・。

ヨ:お母さんが捕まったら、また、電話くれる。
ス:うん・・・。





スワンは電話を切って、「ふ~」と息をつく。

産婦人科の帰りがけ、隣街のコーヒーショップで、さっき買った育児書を読んでいた。


母に、いよいよ結婚の報告をする。
ホントは、もっとちゃんとした形で報告したかったが、大学での噂が広まっている今、早めに自分たちのことを公表したい。

ヨンジョンの両親とユンアの両親の説得は難しいかも知れないが、私の母は、いつも、私の結婚と勉強のことを気にかけてくれているので、きっと喜ぶにちがいない・・・。

でも、子どものことはやっぱり内緒にしておこう・・・。
出来立ての赤ちゃんなら、結婚前にできたなんて、誰にも気づかれずに済むかも知れない。

この子は、ハネムーンベービー・・・。

ごめんね、あなたのこと、うそついちゃうけど・・・大切に育てるから。

パパも喜んでいるんだよ。
だから、ホントは、あなたは幸せな赤ちゃんなんだからね・・・。




スワンは母親に電話を入れる。

ス:母さん?
母:あら、どうしたの? 昨日はすぐ帰っちゃったから。
ス:うん・・・ホントは話したいことがもっとあったの。でもね、仕事のことを思い出しちゃったから・・・。
今日は、講義のない日だから、やり忘れたままだと、人に迷惑かけちゃうから。
母:それで解決したのね?

ス:うん。おかげさまで。
母:夜遅くたいへんだったわね。
ス:うん・・・。

ス:母さん、そのう、話したかったことだけど・・・。
母:留学以外にまだあるの?
ス:うん・・・今晩、暇?
母:夜来るの?
ス:うん・・・7時ごろになっちゃうと思うけど。
母:たいへんねえ・・・。会って話すことなの?
ス:うん・・・会って・・・ほしい人がいるのよ・・・。
母:スワン、あなた。(うれしそうな声になる)
ス:うん。
母:どんな人?
ス:今いる工学部の助教授してるの・・・。
母:まあ。すごいじゃない。(うれしい)転勤してよかったじゃない。

ス:そうね・・・ホントにそう・・・。
母:でも、結婚はアメリカから帰ってから?
ス:その前にしたいの。そうすれば、教員住宅で一緒に暮らせるし・・・彼もアメリカへ行く予定だから・・・。
母:スワン・・・。素敵な話ね・・・。待ってるわよ。ご飯用意して待ってるわよ。
ス:ありがとう・・・。じゃあ、そう伝えるわ。彼の車で行くから・・・。
母:うん、母さん、すごくうれしいわ・・・。



ヒョンス君の夕飯の分、頼めなかったな・・・。

それに、食べられるかな・・・母さんならいいか・・・バレても。
私がヨンジョンじゃなくちゃ駄目なんだって言ったら、わかってもらえるわよね。








スワンの母は、うきうきと夕飯のメニューを考える。


スワンがねえ・・・ホントのスワンになったんだわ、あの子。

何がいいかしらねえ。
ふ~ん、どんな人かわからないから・・・。
好みが難しいわ・・・。

それにしても、急ね・・・。

・・・・。

まさかね、留学するんですもの・・・。

・・・・。

でも、やっぱり、喉越しのいいものがいいかしら・・・そのほうが無難ね。







ヨンジョンは5時限めが終わると、急いで、帰り支度をする。


忘れ物はなし!
よし!


部屋を出ようとして、ドアを開けると、ジョンアが立っている。


ジ:お急ぎなの?
ヨ:ええ。これから出かけるので。
ジ:・・・。
ヨ:何ですか?
ジ:ちょっと、基礎ゼミで・・・噂を聞いたものだから。
ヨ:噂?
ジ:ええ。
ヨ:僕のところには何も・・・。僕のことですか?
ジ:ええ・・・。
ヨ:さあ・・・どうせ学生の噂でしょう?(笑う)
ジ:それが・・・。
ヨ:先生。申し訳ない。息子が待ってるんです。早く行ってやらないと。
ジ:でも・・・。
ヨ:先生。噂話なんて気にすることはありませんよ。(微笑む)また、ゆっくり聞きます。すみません!
ジ:・・・わかったわ・・・。行ってらっしゃい。お忙しいのね。(残念そう)
ヨ:(さっさと研究室のカギをかける)じゃあ、申し訳ない。失礼します。



ヨンジョンがエレベーターホールに向かうと、後ろからジョンアがついてくる。まだ、エレベーターは来ないそうだ。


ヨンジョンは走って、階段のほうに回り、駆け下りていった。






ヒョンスの夕飯の支度をして、ヨンジョンがシャワーを浴びて、支度をしている。

ヒョンスが幸せそうに笑ってヨンジョンの近くに纏わり着いている。


ヨ:ちゃんと飯を食べて、宿題して寝ろよ。
ヒ:わかってるよ。
ヨ:連れていけなくて、ごめんよ。

ヒ:いいよ。ちゃんと、スワンさんを下さいって言うんだよ。
ヨ:(噴出す)わかってるよ。
ヒ:お父さんが失敗したら、恨むよ。

ヨ:怖いこと言うなよ。
ヒ:だあってえ・・・。あの変な先生がお母さんになったら、困るもん・・・。


ヨンジョンが着替えの手を止める。


ヨ:なんだ、それ?
ヒ:やっぱり、知らないんだ。(呆れる)
ヨ:どんな話? (真面目な顔をする)

ヒ:あのファミレスで一緒だった先生が、お父さんの彼女だっていう噂。
ヨ:誰から聞いたの?
ヒ:学校で・・・他の先生のうちの子から・・・。
ヨ:それで?
ヒ:だから・・・名前は言わなかったけど、ちゃんと、もうお母さんになる人がいるんだよって言っちゃった。
ヨ:そうか・・・。

ヒ:いけなかった? だって、あの先生とお父さんは関係ないでしょ? スワンさんは・・・ここに泊まったりしてるもん・・・。



ヨンジョンは、今の言葉にドキッとした。
ヒョンスは知っていた。
確かに、同じ家にいるのだ。知らないはずがない・・・。どこまで知っているか、聞きたくもないが、ヒョンスがスワンを認めてくれているんだから、安心していいだろう。


ヨ:いいよ。(やさしく言う)よくやった。



ヨンジョンは、ヒョンスのほうをちゃんと見る。


ヨ:ヒョンス。お父さんとスワンは、おまえと3人で、幸せな家庭を築きたいって思っているんだ。スワンのアメリカ留学の話については、また後で話すけど、おまえを寂しくしない方法を考えるよ。でも、それはまだ内緒。わかるね?
ヒ:うん。ここはすぐ噂になるから・・・。

ヨ:その通り。この間、早く3人で暮らしたいねって、二人で話していたんだ。ところが、今日、大学でね、おまえが聞いたみたいな噂を、お父さんも初めて聞いて・・・。そんなの、スワンに悪いだろ?
ヒ:うん、かわいそうだよ。

ヨ:そうだろ? それに、あの先生にも失礼だよ、関係ないお父さんと噂をされちゃ。
ヒ:うん、そうだね。
ヨ:それでね、皆にお父さんたちのことを早く話すことにしたんだ。
ヒ:それで、急に出かけるんだね。
ヨ:そう、スワンのお母さんは、スワンのことを心配してるからね。
ヒ:うん。



ヨンジョンはまた支度を続ける。


ヨ:いずれ、オヤジさんたちにも報告しに行くよ。
ヒ:うん・・・それまで内緒だね?
ヨ:そう・・・。
ヒ:怒るかな・・・。
ヨ:わからない。でも、その時は、ヒョンス。まずは、おまえと二人で、おじいちゃんとおばあちゃんに挨拶に行こう。
ヒ:それがいいね・・・。なんか言われたら、スワンさんがかわいそうだから。



ヨンジョンがヒョンスを微笑んで見つめる。



ヨ:おまえはすごいな・・・。策略家だなあ。(笑う)
ヒ:だって、スワンさんを逃したら・・・あの先生じゃ嫌だから・・・。

ヨ:あの先生は、絶対ないよ。
ヒ:そう?
ヨ:だって、結婚するのは、お父さんだよ。お父さんの好きな人じゃなくちゃ!
ヒ:そうだね。頑張ってね!







ジョンアは、自分の研究室で、学生のレポートを前に、ため息をついている。

今日の噂は本当なのかしら・・・。



建築学科3年の基礎ゼミの教室を通りかかった時、女の子たちが話していた話・・・。


学3:え? やだ。チェ先生。結婚しちゃうのお! やだあ!
学4:何言ってるのよ。34で子持ちよ。やめなよ、もう・・・。
学3:がっかり・・・。


それを小耳に挟んだジョンアは自分たちの噂がそこまでいっていると思い、顔を赤くする。


学4:でもさ、やっぱり、違ったんだ。あのおばさんじゃないんだ。
学3:そりゃあそうよ。あの先生だったら、もう趣味疑っちゃうもん。
学4:だよね。ジョンアとチェ先生は、やっぱりあり得ないよね。
学3:そうだよ・・・。ジョンアはあり得ない・・・。でも、結婚しちゃうんだあ・・・。
学4:泣くなよお。もっといい男いるって・・・。



え?
私ではないの?
婚約者がいるの? そんなあ・・・。



ああ、本当なのかしら・・・婚約者がいたなんて・・・。



そういえば、アメリカから帰ってきて、教授に報告に行ったとき。


教:ところで、チェ先生とはどうお?
ジ:どうって?

教:そうか。君たちは・・・別になんでもないんだね?
ジ:先生ったら・・・。(笑う)何言ってるんだか・・・。
教:いや。君には・・・結婚よりこっちの仕事を優先してほしいと思ってね・・・。
ジ:まあ・・・でも、私だって、いつかは結婚しますよ。
教:まあ、そうだが・・。うんうん・・・まずは、帰国報告のレポートだな。
ジ:はい。



教授は、何か知っていたのかしら・・・。

ああ、誰かに相談したいわ・・・。



その時「スワン」という名前が頭に浮かぶ。


そうだ。
スワンを誘って、飲みに行くか・・・。

あ、そうだ。
留学の報告にソウルに帰ってるんだ。
明日まで、授業がないから、まだ帰ってないかな・・・。


教員住宅に電話を入れる。


やっぱり、いないわ・・・。

後、誰がいるかしら・・・。


スワン、教授、チェ先生・・・。
その程度か、心を割って話せる人って・・・ホントに交際範囲が狭いわ、ここって・・・。



スワンだけね、もう、10年以上の付き合いは。




高校時代のジョンアは、学校内でも有名な才媛だった。
ほっそりとスレンダーで美しい顔。校内模試はいつも3番内をキープ。
誰もが憧れたい女だった・・・。
でも、その手厳しい物言いが祟って、すばらしいと言われながらも結局、高校3年間を通して、男友達を作ることができなかった。


同じESSの一年後輩のスワンとは、ESSの英語演劇で一緒だった。

ジョンアには、たった一つだけ苦手があった。

それが体育だった。


それは、走り高跳びのテストの前の日のことだった。

体育で平均点を下げたくないジョンアはその日の夕方まで、学校の砂場で、走り高跳びの練習をしていた。


その日の部活の練習を任されたスワンが、部活を終えて、砂場へやってきた。


ス:先輩。終わりました。
ジ:そう。メニューは全部やったのね?
ス:はい。発声練習から、発音、それから、本読みまで。
ジ:ありがとう。公演まであと2ヶ月。頑張ろうね。
ス:はい。先輩、跳べるようになりましたか?
ジ:まだ。だって、高いんだもん・・・。

ス:120cmでしょ?先輩なら、跳べますよ。
ジ:足が上がんない・・・。ベリーロールなんて無理よ。

ス:やってみて。
ジ:無理!

ス:じゃあ、私が跳んで見せてあげる。


スワンは、制服の上着を脱いで、スカートを下ばきの中へ押し込むと、助走をつけて跳んで見せた。

やせっぽちの高校時代のスワンの体が宙を舞った。


ジョンアはため息をついたが、スワンは諦めず、ジョンアの練習に付き合って、助走の歩幅から、跳ぶタイミングを熱心に教えてくれた。
その甲斐あって、最後には、ジョンアも軽く宙を舞い、120cmのバーをクリアした。


あの時、一緒に喜んでくれた、やせっぽちでメガネの、スカートを下ばきに入れたスワンが忘れられない。

結局のところ、テストでは、そのタイミングを忘れて、追試を受けるはめになったが、ジョンアには、あの時のスワンを忘れることができない。


それから、大人になって、付き合いが途絶えても、スワンのことを忘れることができなかった。

彼女の父親の急死にここの大学を紹介したのも、自分だ。


スワン・・・何の変哲もない彼女だが・・・ジョンアが人の手を借りたたった一回の事件。
彼女には・・・その時、借りを作った・・・気持ち的に、あの時のスワンは、ジョンアより勝っていた。

ジョンアが初めて、負けを感じたのが、スワンだった。

もちろん、スワンにとっては、そんなことは友人との間では日常茶飯事で、彼女の記憶の中ではほとんどその姿は消えていた・・・けれど・・・。






ヨンジョンはヒョンスに励まされて、隣街の駅まで車で、スワンを迎えにいく。

スワンもちゃんと正装をして、ヨンジョンを待っていた。


ヨ:寒くなかった?
ス:大丈夫。
ヨ:うん・・・いよいよだね。
ス:・・・ヒョンス君、なんて言ってた?
ヨ:頑張れって。(微笑む)
ス:そう・・・うれしいな。

ヨ:強い味方だろ? 
ス:うん・・・よかった、子どもがヒョンス君で。これって当たりだよね。(笑う)
ヨ:そうだな・・・親子で好みが一緒だったかも。
ス:またあ。
ヨ:じゃあ、行くか。シートベルトをして。気持ち悪くなったら言えよ。



二人の車は、高速に乗り、一路、ソウルを目指した。







母:さあ、どうぞ、お入りになって。スワン、スリッパをお奨めして。
ス:どうぞ。


スワンは、ヨンジョンを見つめて、クスッと笑い、二人は、母に後について、リビングへ入った。

奥から母親がお茶の準備をして、出てきた。


母:遠いところを遥々ありがとうございます。(頭を下げる)
ヨ:こちらこそ、遅くにお邪魔してしまって・・・。
母:いいんですよ。うれしい話は、待ちきれないもの・・・。(うれしそうにヨンジョンを見つめる)
大学で、ご一緒なんですか?
ヨ:はい。研究室がお隣で・・・。


ヨンジョンがスワンを見ると、肩をちょっとすくめて、スワンがうれしそうに微笑んだ。


母:まあ、ご縁があったんですねえ・・・。
ス:チェ・ヨンジョン先生は、とても優秀な建築家でもあるの。とても・・・素敵な人なの・・・。
母:まあ、この子ったら。


3人はにこやかに、お茶を飲んだ。
母親がヨンジョンのニオイに、何か懐かしさを感じる。


この香りって・・・。

ヨンジョンの顔を見る。顔はよくわからないが、声には聞き覚えがあるような・・・。


今日のヨンジョンは、ネクタイはしていないものの、ダークスーツをダンディに着こなしている。
そして、普段かけているサングラスはしていない・・・。


母:ヨンジョンさん・・・。私・・・あなたにお会いしたことがあるような・・・どこでかしら・・・。やだわ・・・年を取るとこれだから・・・。でも、どこかで・・・お会いしたような気がするのよ。


ヨンジョンとスワンが顔を見合わせて、笑った。


ヨ:実は一度・・・。
ス:母さん、姉さんの家で、会ってるはずよ。

母:あの子の家で? いつ頃?
ス:・・・この夏。
母:夏? 夏って?


思い起こす・・・。この夏は、スワンの代わりに留守番に行って・・・。


母:え? あの大工さん?
ス:母さん、すごいわ。よく気がついたわね。そう、あの大工さん。お父さんの代わりに大工さんとして来てたの。おもしろいでしょ?


その話を聞いて、母の顔色がちょっと変わったのを、ヨンジョンもスワンも見逃さなかった。


母:じゃあ、あの坊ちゃんのお父さんね・・・。
ス:そうよ、ヒョンス君のお父さん。

母:再婚なんですか?
ヨ:はい・・・。
母:お子さんもいるのね・・・。
ヨ:ええ。
母:そう・・・。


ス:母さん、なあに?
母:え?
ス:子どもがいちゃ駄目なの?
母:そんなことは言ってないでしょ? でも、この子は家事も得意なほうじゃないし・・・それに留学もするし・・・。
ス:そんなことは、ヨンジョンはよくわかってるわ。

母:だったら・・・婚約だけして・・・アメリカから帰ってきてから、結婚でも。
ス:だから、電話でも言ったでしょ? 彼も一緒にアメリカへ行くのよ。もちろん、ヒョンス君も。
母:それじゃあ、勉強どころじゃないでしょ?

ス:急に何よ! 子どもがいるってわかったら、手のひらを返したように。
母:スワン。何も。

ヨ:お母さん、僕はスワンさんを幸せにする自信があります。どうぞ、僕に任せてください。

母:あなたが今そんなことを言っても、結局のところ、しわ寄せが来るのは、女のほうですよ。これから、難しい年頃になるお子さんを預かって、勉強もして・・・。それでは、スワンが疲れてしまいます。

ヨ:ですから、僕が助けます!

母:全く・・・男の人は・・・。
ス:母さん!



そう言ったあと、つわりがスワンを襲った。急に、吐き出したい気分になった。
でも、ここでつわりだとバレたら、ヨンジョンの立場がますます悪くなる。


ス:母さん。(ウッ!)ヨンジョンさんほど素敵な人はいないわ。普通だった知り合えないような、(詰まる)人なのに! 変な色眼鏡で見ないで。
母:スワン?


ヨンジョンも心配になって、スワンを見る。

スワンは、もう泣きそうな顔をして、嗚咽に言葉を詰まらせながら、話している。
母とヨンジョンの二人が心配そうに見る。



ス:もう、母さん。ヨンジョン自身を見てよ。(言葉に詰まり、顔が泣きそうだ)私だって、いつかは子どもを持つのよ。先に子どもがいたっていいじゃない・・・。(ウッ)こんな素敵な人と出会えたことをなんで喜んでくれないの!

母:スワン、落ち着いて・・・。別に、反対しているわけじゃないの。もう少し、落ち着いて考えても・・・。
ス:母さん!(もう吐きそう)ヨンジョンがいないと、(苦しい!)私、生きていけないの! 初めて好きになった人なのに!(もう駄目!)ヨンジョンじゃなくちゃ駄目なの!



そう言って、スワンは目にいっぱい涙を貯めた。

ヨンジョンも母親もスワンの言葉に胸が熱くなった。



ス:お化粧直してくるわ・・・。


スワンはバッグを抱えて、トイレに立つ。

残された母とヨンジョンが見つめ合う。


母:そんなにあなたが好きなのね・・・。(ちょっと間があって)いいわ。あなたに託します。あの子の目を信じます。
ヨ:お母さん。ありがとうございます。
母:その代わり、ヒョンスのお母さんの親御さんともちゃんと話をつけてくださいね。あの子が幸せになれるように、配慮してください。
ヨ:・・・必ず、幸せにします。




スワンは、洗面台の前で、バッグから、パンを出して一かじりする。


やっぱり、ヨンジョンが言った通りだった・・・。
空腹は駄目ね・・・。吐きそうになっちゃった・・・。

ああ、落ち着いた・・・。

母さん、どう思ったかな・・・。
許してくれるといいけど・・・ホントに彼を愛しているのよ・・・。


スワンは、洗面台の前で、顔を直した・・・。







帰りの車の中。

ヨ:スワン・・・。君を大事にするよ。
ス:ヨンジョン・・・。
ヨ:ありがとう・・・。君の気持ちがうれしいよ・・・。


スワンがクスッと笑った。


ヨ:何だよ?
ス:さっきの?
ヨ:うん。
ス:泣きそうに見えた?
ヨ:うん・・・普通じゃなかったよ。
ス:きっと母さんもそう思ったわね・・・。


スワンはちょっと微笑む。


ヨ:芝居なの?
ス:ってわけじゃないけど・・・でもね、急に吐きそうになっちゃったの。ヨンジョンだけだったら、きっと、「気持ち悪い!」って言ってた・・・。でもね、あそこでそんなこと言ったら、ヨンジョンが白い目で見られちゃうもん・・・。だから、ぐっと我慢したの。苦しかった。(笑う)


ヨ:ひどいやつ・・・。(笑う)
ス:でも・・・気持ちはホントよ。ホントの気持ち・・・。

ヨ:で、具合はよくなったの?
ス:うん。ヨンジョンがパンを買ってくれたでしょ? 少し食べなって。それを思い出したの。バッグに入ってたから、洗面所で少し食べちゃった。それで治っちゃった。(笑う)でも、母さんの料理、不思議だったでしょ?

ヨ:そう? 料理上手だよね。
ス:そうだけど・・・あまりニオイのないもので、喉越しのいいものばっかり・・・。最後に冷麺まで出てきちゃって・・・。きっと、娘が、そんなことで、慌てて結婚するって言ってきたんだと思ったのよ・・・。だから、我慢して食べちゃった・・・。だから、赤ちゃんのこと、逆に言えなかった・・・。

ヨ:それでよかったのかな・・・。女親のサポートって大切だろ?
ス:大丈夫よ。ヨンジョンがいるもん・・・。いつか、母に謝るわ・・・でも今は・・・話したくないの。
ヨ:負けず嫌い・・・。
ス:え?
ヨ:前、お母さんがお姉さんの家でそう言ってたよ。ヒョンスと勉強で戦ってるって。あの子は負けず嫌いだから、こんな参考書まで買ってって。(笑う)
ス:へえ。(笑う)そんなこと、あなたに言ったの? もしかしたら・・・母もあなたが好きかも・・・。気を許した人にしか、娘の自慢をしない人だから・・・。(少し心が軽くなる)
ヨ:それって自慢?
ス:自慢よう! そうでしょ?
ヨ:そうかな・・・?

ス:もう!



まずは一人、母が許してくれた・・・。

これからは難関ばかりだけど・・・。

でも、きっと二人なら、なんとかなるよ・・・。









続く・・・



次回は、ヨンジョンの関係者・・・。

手厳しいのでしょうか?


2009/07/24 00:34
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」15





BGMはこちらで^^






BYJシアターです。
本日は「アマン―夏の恋人」15部です。

ではお楽しみください。





母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。






ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」15





ヨ:もしもし?
ス:もしもし・・・。
ヨ:どうした? 今、実家?
ス:うううん、帰ってきちゃった・・・。
ヨ:なんで?
ス:うん・・・。

ヨ:今、どこ?
ス:高速バス、降りたとこ。
ヨ:これから、迎えにいこうか?
ス:ヒョンス君は?

ヨ:大丈夫。(笑う)あいつから、もうお父さんの愛で、スワンさんを引き止めてほしいって言われてるから。オレが出かけても大丈夫だよ。これから、行くよ。


15分ほどして、ヨンジョンがバスターミナルへやってきた。


ヨ:お帰り。(にこやかにスワンを見る)
ス:ただいま。(ちょっと甘えてヨンジョンを見る)


ヨンジョンが荷物を持って車へ向かう。


ヨ:どうした。元気ないな。バスで酔った?
ス:それもあるけど。

ヨ:ご飯は?
ス:食べたくないの。
ヨ:そう? 風邪でも引いたかな。君は薄着だからさ。


車のキーを開けて、スワンを見る。


ヨ:ホントに元気ないねえ。大丈夫?
ス:たぶん・・・。


二人は車に乗り込む。



ヨ:おうちの方は留学を喜んでくれた?
ス:うん。(にこやかに)それはね。皆も心配してたことだから。でも、ヨンジョンの話までできなかった。誰もこの指輪が婚約指輪だって、気がつかないのよ。失礼でしょ?
ヨ:(笑う)
ス:なんで、ヨンジョンまで笑うの?

ヨ:見せびらかした?
ス:うううん。
ヨ:じゃあ、気がつかないよ。ダイヤじゃないと、人は気がつかないよ。
ス:そうかなあ・・・。(指輪を見る)素敵なのに・・・。

ヨ:このまま、帰る?
ス:・・・。
ヨ:どうする?
ス:少し、話をしなくちゃいけないの・・・。

ヨ:どんな・・・?


ヨンジョンは、スワンの深刻そうな顔が心配になる。


ヨ:結婚は・・・するだろう?(ちょっと不安そうに聞く)
ス:それはするわよ。心配しないで。(笑顔)ただちょっと・・・現実的な話・・・。
ヨ:ふ~ん。うちのリビングのほうが良さそうだね、人に聞かれる心配がないから。たぶん、ヒョンスももう寝てるだろう。
ス:そうね・・・それが一番、安心できそうだわ。






ヨンジョンの家へ着くと、ヒョンスはベッドの中で、本を抱えたまま、眠りについていた。


ヨ:どうする? なんか飲むかい?
ス:うん。柚子茶にするわ。
ヨ:そう? いつも飲まないのに。ついでに、風邪薬でも飲んでおくか。まずは、柚子茶、あれ、どこへいったかな・・・?(棚を探す)

ス:上の棚の右から2番目。
ヨ:あ、そう・・・。(見る)あった。よくわかったねえ。
ス:この間、場所、入れ替えたの。使いやすいように。
ヨ:そう。他所のうちなのに、ご丁寧に・・・。ああ・・・。(スワンの顔を見る)そうだ。

ス:なあに?
ヨ:考えたらさ。もう結婚しちゃえばいいんだよ。そうだろう?
ス:・・・。

ヨ:そうすればさ、ここで、堂々と一緒に暮らせるじゃない。結婚しちゃいけない理由がないんだから。そうだろ?
ス:う~ん・・・。


ヨンジョンは、マグカップに柚子茶を2つ入れて、リビングテーブルに置く。



ヨ:よく考えたら、誰にも遠慮することなんかないじゃないか。どうだい。その留学の話も、既婚者は駄目とかないんだろ?
ス:それはなかった・・・。だって、男の先生で応募する人は結婚している人が多いもん。
ヨ:そうだろ?(にっこりとする)

ス:でもねえ・・・赤ちゃんがいていいとは・・・書いてなかった・・・と思う。(ちょっと下を見て言う)
ヨ:・・・? ヒョンス?
ス:じゃなくてね。・・・赤ちゃん・・・。

ヨ:それは、3年後だっていいんじゃないか。



ヨンジョンは大きなスプーンで、2人のマグカップの柚子茶を順番にかき混ぜ、流しにスプーンを置く。



ヨ:そうだろ? まずは・・・・。え? それって・・・。(スワンのほうを振り返る)
ス:マズイよねえ・・・。(ヨンジョンを見る)

ヨ:ホント?
ス:のような、気がする・・・。
ヨ:どうして?
ス:実家でね、急に吐き気がしたの。
ヨ:何してて?
ス:母たちが料理を作ってるキッチンに入ろうとしたら、そのニオイというか、むあっとした湯気で吐きそうになっちゃった・・・。それで・・・。
ヨ:さっさと帰ってきたわけだ・・・。
ス:そう。


ヨンジョンとスワンが見つめ合う。


ヨ:スワン・・・オレは・・・うれしいよ。ホントなら。(微笑む)
ス:うん・・・。
ヨ:スワンは・・・困るの?

ス:ヨンジョンの子はほしいの・・・。どうしたらいいと思う?
ヨ:うん・・・。せっかくのチャンスは棒には振りたくない・・・か。
ス:わからない・・・。これはまだ仮定の話で、お医者さんに行かないとわからないけど・・・。
ヨ:うん。

ス:最初、ちょっと気が動転したけど・・・。ヨンジョンの赤ちゃんがいるかもしれないって思ったら、うれしいの。(ヨンジョンを見つめる)
ヨ:・・・。
ス:皆に教えてあげたいくらいなの・・・。でも、アメリカも行きたかったのは確か。

ヨ:スワンの気持ちもわかるよ。女はお腹に赤ちゃんができると大変だからね・・・。
ス:全部、ほしいって無理よね? ヨンジョンも、赤ちゃんも、留学も。


ヨンジョンがスワンを見つめる。


ヨ:オレが一番にエントリーしてるの?(笑う)
ス:・・・うん・・・。だって、それがなかったら・・・生きられない・・・。

ヨ:ふん。(笑う) だったら、一番に結婚しよう・・・。それから、考えよう。
ス:・・・。
ヨ:赤ちゃんができたからじゃなくて、一緒にいたいから・・・。それでいいだろう?
ス:・・・うん・・・。教授たちがなんて思うかな・・・。

ヨ:いいよ。外野なんて・・・。まずは、踏み出そう。(スワンを見つめる)
ス:ヨンジョンが辛い立場にならない? もし赤ちゃんができてたってわかったら。

ヨ:大丈夫だよ。もうそんな洗礼は受けてるから。スワンは自分のことだけ、心配していればいいよ。
ス:ヨンジョンのアメリカでの勤め先もしっかり決めないと。
ヨ:そうだね。昨日、ちょっと電話でジェイムスと話したんだ。彼の会社は、品質とデザインの良さで一部に人気が高いんだ。だから、彼のパートナーをやりながら、支社みたいな形で、スワンの大学に近い場所を探してもいい。


ス:・・・ヨンジョンはやさしいね・・・。でも、私はヨンジョンを犠牲にしたくないんだ。ヨンジョンは私なんかより才能も力もあるんだから・・・もっとちゃんと中心部で働いてほしい・・・。いつも、家族の犠牲になるのは、よくないよ・・・。

ヨ:・・・。ありがとう。それはこれから、二人で考えていこう。たぶん、ちゃんとした年棒ももらえるから・・・スワンの学費くらい出せるようになるさ。
ス:・・・。
ヨ:そうしたら、オレが大学に行かせてやるよ。


ヨ:まずは、二人の関係を明らかにしよう。
ス:・・・。
ヨ:・・・うん・・・。ここにいると・・・オレも変に誤解されてるところがあるから。
ス:・・・?






先日、ジョンアを避けて、階段を駆け下りたヨンジョンを待っていたのは、ジョンアだった。


ジ:お疲れ様!
ヨ:先生! (驚く)

ジ:お待ちしてました。教務課へ行くでしょ? ご一緒するわ。
ヨ:先生、待たなくてもいいですよ・・・。

ジ:そんな水臭い。(笑う)ご一緒しましょうよ。こんな素敵なスカーフで選んでいただいたんですもの・・・皆に、見せびらかしたいわ。
ヨ:ジョンア先生。僕が選んだなんて言わないでくださいね。
ジ:あら、どうして? だって、素敵よ。

ヨ:変な意味に取る人もいますから。たまたま、僕がそこにいて、選ぶのを手伝っただけですから。
ジ:・・・チェ先生ってとても厳密なおっしゃり方をするのね。いいわ。そういうことにしましょう。



ジョンアがどんどん先に教務課のほうへ歩いていく。


ヨ:先生! 待って! 待ってください!


ジョンアが振り返る。


ジ:やっぱり、ご一緒したいのね!







ヨ:スワン、とにかく、明日一番に医者に行って確認したほうがいいよ。赤ちゃんができてたら、それはうれしいことだし。そうでなくても・・・オレたちは結婚する。(見つめる)いいね?
ス:ええ。
ヨ:そして、週末、ソウルへ行って、君のお母さんと・・・ユンアの両親の許しを得よう。
ス:ユンアさんの・・・?
ヨ:ヒョンスの祖父母だからね。あそこには、オレとヒョンスで行くよ。そのほうがいい・・・。君を連れていくと、かえって、話がこじれるかもしれないから。ヒョンスは・・・当たり前だけど、オレの姓を名乗っているし、オレと暮らし始めているから、オヤジさんたちには、何にも残らないんだ。一人娘が残した子でも、オレの子だからね。


ス:反対するかしら。
ヨ:こればっかりはわからないな。ヒョンスをほしがっていることだけは確かなんだ・・・。
ス:でも、ヒョンス君はあなたに懐いているわ。
ヨ:うん・・・説得するしかないね。まあ、あの人たちの反対があっても、結婚できるわけだけど。
ス:そうね・・・でも、気持ちよく、スタートしたいね。
ヨ:そうだな・・・。とにかく、誠意を伝えるしかないな。
ス:うん。
ヨ:じゃあ、決まったね。それで行こう。それから、赤ん坊のことを考えよう。
ス:わかった・・・。


ヨ:じゃあ、泊まってって。(笑う)
ス:ヨンジョン。そんな・・・。
ヨ:いいじゃない。

ス:・・・。
ヨ:今日は君を抱いて寝たいんだ。変なことはしないよ。(笑う)

ス:もう・・・。(呆れる)



スワンも本当は帰りたくない。
今日は、ヨンジョンの腕の中に抱かれて眠りたい。


それに・・・本当は、変なこともされたい気分だ・・・。


はっきりと結婚に向かって、お互いを確かめ合った・・・もっと確かめ合いたい。







スワンはシャワーを浴びて、ヨンジョンのベッドの中へ滑り込む。

ヨンジョンが遠くを見て考えている。


ス:どうしたの?
ヨ:うちの父や母にも挨拶しに行ったほうがいいんだろうな。
ス:・・・。

ヨ:もう11年も会ってないんだ・・・。これでもし、オレがアメリカへ行って・・・そのままになってしまったら、もう会うチャンスも無くなる・・・。
ス:ヨンジョン。会いに行こう。二人で・・・うううん、三人で。こうやって、ちゃんと生きているってわかってもらおう。


ヨンジョンがスワンを見つめる。


ス:きっとわかってくれるよ。きっと喜んでくれるよ。こんなに立派になっているんだもん。きっと・・・自慢の息子のままだよ・・・あなたは。
ヨ:・・・。
ス:行こう。きっとこれがいいチャンスだよ。
ヨ:そうだね・・・。

ス:でも、今度は駄目嫁だと思われちゃうかな。(笑う)


ヨンジョンがスワンを見つめて、引き寄せる。



ヨ:そんなことはないよ。スワンを嫌いになる人なんていないよ。



スワンを抱きしめて、スワンのニオイを嗅ぐ。
そして、笑顔で言う。



ヨ:ただし、冷麺ばかり食べてますっていうのは言っちゃだめだよ。
ス:やあねえ・・。もっと料理だって・・・できるようになるわよ・・・。それに・・・。
ヨ:なあに?
ス:子どもの面倒だって、ちゃんと見るわ。
ヨ:・・・。

ス:でも、妊娠していることはまだ言うのはやめようね。誤解されるといけないから・・・。
ヨ:そうだね・・・。ありがとう・・・。さあ、寝るか!



ヨンジョンは気持ちよさそうに伸びをした。



ス:ヨンジョン・・・。
ヨ:なあに?


ス:もう寝るの?
ヨ:そうだよ。君も寝たほうがいいよ、体に障るから。


ス:まだわからないじゃない・・・。
ヨ:何言ってるの?


ス:まだ確定してないんだから・・・。
ヨ:だから?


ス:だから・・・変なことも・・・してよ・・・。
ヨ:もう・・・スワン。



ヨンジョンが腕枕したスワンを抱きしめる。



ヨ:おもしろいねえ・・・。(顔を覗きこむようにじっと見つめる)
ス:でしょ? 確定しちゃったら、もう駄目よ・・・。(笑う)

ヨ:ふん。(笑う)すごい論理。よくそれで、受かったね、試験。
ス:いいのよ。ヨンジョンのお嫁さんに合格したんだから・・・。それが一番・・・。

ヨ:スワン・・・。



ヨンジョンがスワンを抱きしめ、スワンの肩まで布団をかける。



ヨ:あったかくしなくちゃ。
ス:ヨンジョンで十分あったかい・・・。


ヨ:・・・幸せになろうな。
ス:・・・。


ヨ:・・・泣くなよ。
ス:・・・。


ヨ:ふ~ん。(もっと抱きしめる)今の気持ちを覚えていような。
ス:・・・うん・・・。


スワンは鼻をすすりながら、ヨンジョンの胸に顔を埋めた。








翌日の朝一番に、スワンは3駅先の、産婦人科を訪れていた。

この結果でどうなるか、わからないが、
ヨンジョンと結婚して家庭を築くこと、それだけは譲れない確固としたものとして、スワンは意を固めた。



ナースが中から出てきた。


ナ:キム。キム・スワンさ~ん。
ス:はい。



スワンは立ち上がって診察室へ入っていった。








続く・・・




2009/07/23 00:53
テーマ:【創】「アマン」第1部 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【創作】「アマン」14





BGMはこちらで^^






BYJシアターです。

本日は「アマン―夏の恋人」14部です。


ではお楽しみください。








母さんは言った。

スワン、幸せって実は私たちのすぐ近くにあるものよ。

父さんと母さんはね、幼なじみでいつも一緒だったけど、
そこに愛があることに気づかないでずいぶん長い間、回り道しちゃった・・・。

でもね、よく見たら、すぐ目の前に幸せがあったのよ。

おかしいわね。


あなたは夢が大きいから、いつも遠くばかり見ているけれど、
たまには、近くも見たほうがいいわ。

遠くばかり見ていても探せないこともあるのよ。







ぺ・ヨンジュン
チョン・ドヨン主演

「アマン―夏の恋人」14





トントン!


ヨ:はい~。
ジ:おはようございます!


ジョンアが朝一番に、ヨンジョンの研究室を訪ねる。


ヨ:あ、おはようございます。
ジ:先生。一時間目、あるんですよね?
ヨ:ええ。今から出ようと思って。


ヨンジョンは、ジャケットを羽織って、テキストを持った。


ジ:そこまでご一緒します。
ヨ:・・・そうですか。どうぞ。(微笑む)


ジョンアがうれしそうに、ヨンジョンを見つめる。


ヨ:あのう・・・何か?
ジ:先生ったら。(笑う)どうですか?


何が?

ヨンジョンには思い当たらない・・・。



ヨンジョンがジョンアの顔から胸辺りまで見渡す。


ジ:ねえ、似合っているでしょう?


何が・・・?


ジ:今朝、私、感心してしまったの。先生って選ぶのが、即決というか・・・とっても速いのに、こんなに似合っているんですもの・・・。すごいわ。
ヨ:ええとお・・・。(わからない・・・)
ジ:このスカーフの、「この刺繍の部分があなたにはお似合いですよ」って、言って下さった通りなんですもの・・・。もう感動ですわ。
ヨ:ああ、どうも・・・。


このスカーフとオレって、何か関係あるのか・・・。


ジ:これ、大事にしますわ・・・。先生は建築家としてだけでなく、すばらしい美意識をお持ちだわ。(まっすぐな目で、じっと見つめる)
ヨ:ええっとお・・・。(ちょっと頭を掻く)


ヨンジョンは、ジョンアの話がよくわからないが、仕方なく一緒に歩く。



でも、少々「ヤバイ」感じはわかる。


ジョンアは、ヨンジョンを見つめながら、エレベーターのボタンを押す。

ヨンジョンの頭に、「非常階段」という言葉が浮かぶ。


ヨ:ジョンア先生。僕、階段で行きます。途中、教務課で出席簿をもらわないと。
ジ:あら、きっとこっちのほうが速くてよ。もう来るわ。

ヨ:いえ。今、運動不足ですから・・・。では失礼!


ヨンジョンは、にこやかに、しかし、急いで、階段に向かう。そして、飛び降りるように、1階まで降りていった。

ジョンアはエレベーターの前で、幸せそうな顔をする。







ボストンのオープンカフェ。

ジョンアがガイドブックを読んでいると、ヨンジョンがやってきた。

ヨ:お待たせしました。
ジ:いえ。


本から顔を上げると、ヨンジョンが幸せそうな顔で、椅子に座った。
そして、にっこりと笑った。

ジョンアは、今までに男の笑顔を何度も見てきているが、こんなにうれしそうに幸せそうに微笑まれたのは、初めてだった。


なんてキレイな人なの・・・。


ジョンアの中で、今まで燻っていた感情がとてもはっきりしてくる。


こんな人はそうそういないわ・・・。
こんな魅力的な微笑みで見つめられると、ちょっと胸が苦しい・・・。



ヨ:どうです? 何かいい所はありましたか?
ジ:え?
ヨ:う~ん、今、ガイドブックを見てたじゃないですか。
ジ:ああ、そうでした・・・。(ドキドキする)


コーヒーが来る。


ヨ:Thank you ! (カップを口に持っていき)どこかいい所、あった?
ジ:ええとお・・・。ああ、先生、私の買い物、付き合って下さる?
ヨ:どんな?
ジ:ちょっとお洋服とか、小物も見たいの・・・。
ヨ:ああ・・・いいですよ。(暇だし・・・)
ジ:そうお! じゃあ、ご一緒してください!






街の中心にある高級デパートで、ジョンアがスカーフを選んでいる。

ヨンジョンは、小物売り場の前にあるソファに座って待っている。


頭の中は、先ほど買ったリングのことだ・・・。


う~ん、買っちゃったなあ・・・。
スワンに電話をしようか。

君のほしがっていたものを見つけたよって・・・。
それとも・・・。



ちょっと顔を上げると、皮製のかわいい小銭入れが並んでいる。


あれって・・・。



ヨンジョンはソファから立って、その小銭入れを見る。

いかにも、女性好みのかわいいデザインだ。

象、アヒル、ウサギ、豚、白鳥・・・。


スワン・・・。


ヨンジョンは、白鳥を手にして見る。

そして、ちょっとほくそ笑む。
そして、笑う。


う~ん、これ、いいよ。


ヨンジョンは一つ選んで、店員を呼ぶ。




ジョンアは、スカーフをいくつか手にして見るが、どれもいいような悪いような・・・。

ああ、決められない!
そうだ、チェ先生!


ヨンジョンのほうを見ると、ソファに座って、ちょっと幸せそうな顔をして座っている。



ジ:先生! チェ先生!
ヨ:あ、何でしょうか?
ジ:ごめんなさい! お待たせしてしまって。
ヨ:いえ。別にいいですよ・・・今日は、僕は他に買い物もないですし。(また美しい笑顔)
ジ:あ~ん、おやさしいのね・・・。お願いがあるんですけど・・・。スカーフが決められないの。選んでいただける?
ヨ:僕でいいんですか?
ジ:(ちょっと赤くなる)ええ・・・。お願いできますか?
ヨ:ええ・・・。


ヨンジョンが立ち上がる。
すでに、ジョンアの手には、いくつもの買い物袋がある。


ヨ:ずいぶん、買い物したんですね。
ジ:ええ。恥ずかしいわ。(赤くなる)
ヨ:お持ちしますよ。
ジ:いいんですか?
ヨ:ここは、lady firstの国ですよ。さあ。
ジ:すみません・・・。あのお、スカーフはこちら・・・。


ヨンジョンはジョンアの買い物袋を持って、後ろを付いていく。


ジ:ねえ、先生。どれがいいかしら・・・。
ヨ:この中で?
ジ:他でもいいですけど・・・。
ヨ:う~ん。


ヨンジョンは、さらっと見て、水色の薄手のシフォンに刺繍と縁取りをした細長いスカーフを指差す。


ヨ:あれ、いいじゃないですか。先生はスーツが多いから、指し色になるし、あの刺繍がおしゃれで、お似合いになるような気がしますよ。
ジ:まあ、ぜんぜん目に入らなかったわ。店員さんに取ってもらうわ・・・。


今まで、ジョンアが選んでいた生地のしっかりとしたエルメスタイプとは180度違っているが、今着ている、カチッとしたスーツにつけてみると、全体が和らいで、しかもスーツ自体がとても新しい感じに見える。


ジ:あ、素敵だわ・・・。先生、これにします。
ヨ:え、いいんですか? もっと選んでくださいよ。僕はいつまでも待ちますよ。
ジ:いえ、これにします・・・。これがいいです。 


ジョンアが店員を呼んで、買っている。

ヨンジョンは後ろを向いて、また幸せそうな顔をして足をブラブラさせている・・・。

きっと、喜ぶと思う・・・。
うん・・・。


ヨンジョンは、うれしそうに、「はあ」と息を吐いた。


ジョンアは、レジを待つ間、後ろ姿のヨンジョンを見た。
そのなんとも言えないほのぼのとした後ろ姿・・・。

やっぱり・・・素敵・・・。


ジョンアにとっては、大切なスカーフとなった。




ヨンジョンは、自分にはあまり身に覚えのない話をジョンアがしているので、変に思ったが、どう見ても、ジョンアは・・・たぶん。いや・・・明らかに・・・自分を「好き」だ。


ヨンジョンは1階まで階段を駆け下りた。

ふう~。

息を整えて、階段から通路に出てくると、ジョンアがにこやかな笑顔で待っていた。






それから、しばらくして、ヨンジョンのアメリカでの仕事のことは置いたまま、スワンは正式にアメリカ留学が決まった。

最初、スワンの留学には、難色を見せると思っていたジョンアがどちらかというと、上機嫌で幸せそうに後輩の彼女を送り出そうとしている。


それは、悪いことではなかったから、建築学科の会議でもすんなりと、スワンの留学が承認された。
まあ、他の先生にとっては、英語の講師が誰であろうと、全く体制に影響はなかったのだが。




スワンは、姉妹の中で、唯一独身で頑張っている自分を、いつも心配している母に報告を兼ねて、ソウルの実家に一晩泊まりで帰ることにした。父の遺影にも報告をしたい。

できれば、ヨンジョンのことも・・・。






スワンは久しぶりにソウルの実家を訪ねている。

今回のアメリカ留学は、母も気にかけていてくれたことで、こうやってちゃんと挨拶に来られて、スワンは晴れがましい気持ちでいっぱいだ。


まずは、父の遺影に報告して、今、スワンと母親はダイニングテーブルで紅茶を飲んでいる。
母はうれしそうに、娘のスワンを見つめた。


母:よかったわねえ。母さんもうれしいわ。あなたの夢だったアメリカ留学が実現するのね・・・おめでとう。
ス:ありがとう。いつも心配ばかりかけてるけど、今回のこと、母さんにちゃんとした結果を報告できて、すごくうれしいわ。
母:母さんもあなたの勉強のことは心配だったのよ。お父さんが勉強の途中で亡くなったから。でも、ホントによかったわ。
ス:うん、ありがとう・・・。



スワンの実家には、今日は妹のミンスが泊まりに来ている。
ミンスの夫が出張が多く留守がちな上、今は小さな子を抱えながら、2番目の子を妊娠している彼女は、実家に入り浸りだ。


妹のミンスが買い物から帰ってきた。


ミ:あ、お姉ちゃん、来てた。お久しぶり。アメリカへ行くんだって? よかったねえ。


ミンスは、7ヶ月になったお腹をせり出して幸せそうな顔をする。


ス:うん。ありがとう。
母:ソナちゃん、今、お昼寝してるわよ。ほら、買い物袋、貸しなさい。母さんが冷蔵庫にしまってあげるわ。(立ち上がって受け取る)
ミ:あ、ありがとう。(母親に食料品の買い物袋を渡す)ふう。


ミンスはテーブルに着きながら、スワンの指を見る。


ミ:あれ、キレイな指輪つけているじゃない。
ス:あ。これ? うん・・・。


スワンはうれしそうに、自分の左の薬指のロイヤルブルームーンストーンの指輪を見る。縦に15ミリはあるオーバルシェイプのその石は、カボションカットにこんもりと丸くカットされ、まるでそこに宇宙があるかのように美しい・・・。







ヨンジョンが帰国した日。
シティホテルのベッドの中で、ヨンジョンの胸に抱かれながら、スワンはヨンジョンを見上げた。

ヨンジョンが笑った。

ス:何がおかしいの?
ヨ:スワンは本当に幸せそうな顔をするね。(じっと見て、頭を撫でる)
ス:だって、幸せでしょ?
ヨ:そうだよ。(スワンをじっと見て)君を見てると、もっと幸せな気分になる・・・。
ス:・・・。(微笑む)

ヨ:・・・。いいお土産があるんだ。
ス:何?
ヨ:う~ん? ちょっとねえ・・・。ジャケットのポケットに入ってる。
ス:私が探すの?
ヨ:君のほうが近いじゃない。
ス:いいわ! 横着者!

そういって、スワンは起き上がって、ヨンジョンのジャケットを掴む。


ス:どこのポケット?
ヨ:調べて。(笑う)

ス:うう~ん。(外側のポケットを探す)えっと、ここはハンカチ、ティッシュ、財布・・・やだ、ガムが入ってる・・・。(笑う)ここは違うわね。内ポケットだ。ねえ、なんでそんなに笑ってるの?
ヨ:別に。
ス:手を入れたら、カチャって挟むものじゃないでしょうね・・・もしかして、さっきのガムがそう? そういうおもちゃ、あったよね? (楽しそうに言う)
ヨ:バカなこと言ってないで探して。もっといいものだよ。


スワンはちょっと想像がついて、胸がドキドキしてくる。


ス:パスポート・・・。あれ・・・これ? もしかして、これ? (ちょっとガッカリ)
ヨ:そう・・・。それ。


ピンク色の皮製のうさぎの小銭入れだった。


ヨ:かわいいだろ? スワンもあったよ。それにしようかなと思ったけど、首が長くてつかいにくそうだから。こっちにした。
ス:ありがとう・・・。(心なしか寂しい)


ヨンジョンの隣にスワンはうつぶせに寝転がる。

小銭入れをよく見る。
たしかにかわいい・・・。

でも、期待が大きかった分、ちょっと気持ちが萎んだ。

ヨンジョンが横を向き、頬杖をついて、スワンの顔を見る。

ヨ:どうしたの? あまりうれしそうじゃないじゃない。(じっと見る)
ス:そんなことはないけど・・・。

ヨ:何、期待してたの?
ス:・・・。いいの・・・。
ヨ:ふ~ん・・・。(じっと見つめる)
ス:ふ~。(ため息)


スワンが外側から触っている。


ス:これ、なんか、デコボコしてるよ。
ヨ:なんだろうねえ?


スワンはヨンジョンを見てうれしそうな顔になる。


ス:うん! なんだろうねえ! (ちょっと子どもみたいにはしゃぐ)


スワンは起き上がって座り、財布のファスナーをあける。
中にカット綿に包まれたものが入っている。


ス:ヨンジョン! 何だろ!


もう答えはわかっている。

でもでも! ホントにあれよね?!


スワンはうれしそうにカット綿の塊を引き出して、丁寧に広げる・・・。


やっぱり・・・指輪・・・。
ほしかった、あの石・・・。

それも大きくて、とても美しい・・・。


スワンがヨンジョンを見る。


ヨ:何だった?
ス:・・・。
ヨ:なんて顔してるんだよ。ほしかったんだろ?


スワンはもう泣きそうで、眉間に皺を寄せている。

うれしくて、胸がいっぱいだ・・・。



ス:もう。ヨンジョンたら!
ヨ:なんだよ。(笑う)
ス:こんなの、買っちゃって・・・。
ヨ:いいだろ?
ス:う~ん・・・。もう、こんなところに隠しちゃって・・・。(うれしそうな、泣きそうな顔をする)

ヨ:・・・。おいで。つけてあげるよ。
ス:・・・うん・・・。


スワンがヨンジョンに渡す。

ヨンジョンが起き上がって、スワンの顔をじっと見てから、おもむろに、スワンの左手を取り、薬指にはめる。

それはぴったりとスワンの指に収まった。


スワンはそれをじっと見る。

ヨンジョンが愛の証をくれた。


ス:ありがとう・・・。
ヨ:うん・・・。スワン、これから・・・ずっと一緒に生きていこう・・・いいよね? これはプロポーズだよ。たぶん、たいへんなこともあると思うけど・・・。
ス:うん・・・。ずっと一緒にいる・・・。ヨンジョンといたいもん。

二人で見つめ合った。


ヨ:スワン?
ス:・・・。(睨むような、甘えるような目をして見る)
ヨ:・・・。

ス:ヨンジョン! 大好き!


スワンがヨンジョンの胸に飛びついた。

ヨンジョンはかわいいスワンの顔を両手で包んで、やさしくキスをした。







ミ:いいなあ、それ。珍しい石だよね?
ス:うん・・・。愛を育む石なんだ・・・。

スワンがかざす左手を、妹のミンスが一緒に見る。


ミ:へえ・・・。よかったね。いいの、買えて。私ももう少し指が細かったら、そんなのほしいな・・・。あ、母さ~ん。ソナはおやつ食べて寝たのお?

ミンスは席を立って、キッチンにいる母親の元へ行ってしまった。


誰も、「もらったの?」って聞いてくれない・・・。

でも、いいわ。
これは、愛するヨンジョンが、私のために買ってくれたもの・・・。
私のサイズに直して・・・かわいい小銭入れに入れてくれた・・・。



母:スワン。今日はお祝いだもの。ご飯食べていくでしょう? あなたの分も作っていいわね。
ス:うん!


食事の時に、母や妹に話そう。
私には素敵な婚約者がいるって・・・。


ああ、なんか喉が渇いたわ。
お茶でも飲もうかな。


スワンは、母親と妹のミンスのいるキッチンに向かうと、急に、吐き気を催した。
キッチンからニオってくる料理のニオイにたまらなく、胸がむかつく。


スワンは急いで洗面所へ駆け込んだ。



気持ち悪い・・・。



なぜか胃の収まりが悪い。

胃薬をもらおうかな・・・。風邪薬のほうがいいかしら・・・。


洗面所から出てきて、テーブルセッティングしているミンスが目に入る。


え・・・まさか・・・そんなあ・・・。

落ち着いて・・・よく考えるのよ・・・あれって、前回いつあった・・・?
あ~ん・・・そんなあ・・・。

でも・・・。




ミ:お姉ちゃん、どうしたの? そんなところに突っ立ってて。(笑う)手伝ってよ。
ス:うん・・・。(2、3歩歩いて)ミンス、私、帰るわ。

ミ:なんでよ。せっかく来たのに。今日はお姉ちゃんのお祝いでしょう。
ス:うん。そうなんだけど・・・やり忘れちゃったことを思い出したの。

ミ:そんなの、明日でいいじゃない。今から帰っても、もう間に合わないわよ。
ス:でも、ごめん・・・。失礼するわ。


スワンは急いで、帰り支度をする。


ミ:母さ~ん。(キッチンのほうへ声をかける)お姉ちゃん、帰るって。

母:あら、なんで。(キッチンから出てくる)もう支度してるのよ。食べてから、お帰りなさい。ねえ。
ス:それがあ・・・。それじゃ、間に合わないのよ。ごめんね。また、改めて来るから、ごめんなさい!
じゃあね!


スワンが逃げるようにバッグを持って、玄関へ出ていく。


母:あの子ったら・・・いつも、ああなんだから・・・。(後ろ姿を見送る)
ミ:思いついたら、止まれない性分なのよねえ・・・。


二人は、「まただわ」と呆れて、顔を見合わせた。




スワンは、小走りに駅へ急いでいる。
多少は、胃のむかつきがあるが、10月の涼しい風がかえって心地よい。



どうしよう・・・。どうしようか・・・。

でも、きっとそうだわ・・・。

はあ・・・留学まであと5ヶ月・・・。

駄目だわ・・・隠せない!

はあ・・・どうしよう・・・。


参ったなあ・・・。
まずは、ヨンジョン! 
ヨンジョンに会わなくちゃ!



違うといいけど・・・でも、たぶん・・・そうよね。

女の勘て、こういう時には当たるものよ・・・。



スワンは、小走りで、地下鉄の階段を下りていった。








続く・・・



ああ、スワンちゃん!

というところで、次回へ続きます。



ではお楽しみに!


ところで、ロイヤルブルームーンストーンは商用名で、鉱物名はフェルスパーだそうです^^


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