2009/06/30 00:52
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」8





BGMはこちらで^^





BYJシアターです。

本日は「愛しい人」8部です。


今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。

物語も大詰めになってきました。

ジュンス(joon)とテスの恋の行方は・・・。

どこに到達点があるのか・・・。

そして、マリは・・・。




ではお楽しみください。








あなたに出会えたことが
私の人生を彩る


この恋を

貫こう


たとえ
どんな障害が
あっても



私は
この恋に

生きる



だから


あなたも

助けて




愛しい人!



私と

一緒に

生きて







ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」8部





【第8章 愛することの重さ】

テスが病院へやってくると、受付の前のベンチに編集者のパク・スンジンが座っていた。

テ:パクさん・・・。
パ:テスちゃん・・・。(立ち上がる)ジュンちゃん、今検査に行ってるよ。意識もしっかりしているし。大事をとって、検査を受けている。
テ:体のほうは、どこもケガはなかったのね?(顔を覗きこむ)
パ:足をね・・・骨折してるだけだよ。
テ:電話で、軽傷だって!
パ:一般的に、1ヶ月未満のケガは軽傷って言うんだよ。
テ:そんなあ。他は? 他は大丈夫なのね?
パ:たぶんね。検査の結果を見ないとわからないけど。
テ:パクさん、いい加減じゃない!


パ:仕方ないだろ? まだわからないんだから。とにかく、エアバックが作動して助かった。それに、突っ込む前にマリさんの様子が変な感じになってたんで、駐車できるところを探しながら走ってたから、そんなにスピードも出てなかったみたいだし。ビルの工事現場に突っ込んだんだけど、外側に張られていたテントが、スピードを減速してくれたみたい。でもね、それがフロントグラスを覆ったんで、前が見えないまま、掘ってあった地下室用の穴に落ちたんだから、たいへんなことだよ。
テ:深かったの?
パ:みたい。でも、ちょうど、地下に足場が組まれていて、それに引っかかりながら落ちていったから、よかったんだよ。でも、怖かっただろうなあ。
テ:そう・・・。(胸が痛い)
パ:ジュンちゃんは、運が強いよ。


テスはパク・スンジンの話を聞いていて、ジュンスを思うと苦しくなってくる。
軽傷といっても、自分が考えていた軽傷とはわけが違った。


テ:病室で待っていればいいのかしら?
パ:うん。そうして。テスちゃんがいる間、ちょっと社へ戻ってきていい?
テ:ええ。後で連絡する。
パ:サンキュ!
テ:ゆっくりでいいですよ。シンジャ先生にはさっき電話しながらきたから。今日は休めるし。
パ:そう。ジュンちゃんの力になってあげて。テスちゃん、気を確かにね。
テ:うん、ありがとう。


パクは、テスの肩を叩いて勇気付け、帰っていった。

テスは玄関に近いスペースで、シンジャに電話をする。
ジュンスの事故の様子を話し、とりあえず、一週間の休暇をもらった。


病室に入り、窓の外を見ながら、ジュンスが戻るのを待った。


しばらくして、ストレッチャーに乗ったジュンスが戻ってきた。
左足を包帯でグルグル巻きにして、足を吊っている。
二人とも目が合って、胸がいっぱいになったが、何気ないフリをして、ナース達に挨拶をし、一緒にベッドへ移す手伝いをした。
ナースを見送ると、テスはジュンスの横へ立った。


ジ:テス・・・。
テ:大丈夫? 
ジ:来てくれたんだね。
テ:うん。パクさんがね、あなたの携帯を見て・・・。連絡してくれたの。
ジ:そうか。見たのか。聞いた?
テ:・・・うん。
ジ:愛しの羊。おまえにぴったりだろ?
テ:・・・ジュンス・・・。(涙が出てくる)

ジ:そんな顔するなよ。この間みたいに元気にしてろよ。
テ:うん。でも・・・。よかった。あなたが無事で・・・。
ジ:体中痛いけど、なんとか大丈夫。
テ:左足、骨折したの?
ジ:うん、足にはエア・バックは出てこないからね。つぶれなかっただけよかったよ。
テ:ジュンス。(そんなあ・・・)
ジ:昨日、手術をして、金具で骨を繋いでいるんだ。
テ:そう・・・。

ここまで言って、テスは黙って、ジュンスを見つめた。


ジ:驚いた?
テ:うん・・・。一瞬、心臓が止まるかと思った。
ジ:オレも驚いた・・・。
テ:何があったの? 事故の様子は聞いたけど。その前に何があったの?
ジ:・・・・。
テ:教えて・・・。
ジ:・・・。
テ:マリさんが、ジュンスが死んじゃったって、少しおかしかったみたい・・・。
ジ:そうか。
テ:彼女も無事よ。少し・・・気持ちが高ぶってるけど。


ジュンスとテスが見つめ合った。


ジ:パクさんは?
テ:会社へ行ったわ。その間、私が面倒見てあげる。いい?
ジ:(テスの言葉にジーンとする)ありがとう。だったら、もっと近くへ来て。パクさんはいつもオレの手を握ってくれたよ。
テ:やだ。(笑って、イスを近づけて座る)これで、いい?
ジ:もっとちゃんと握ってくれたよ。
テ:パクさんてそういう人なの?
ジ:そう。知らなかった?(笑う)もっとギュッと握って。力を入れて。


テスがギュッと握って顔を見る。


ジ:顔を撫でてくれたよ。(当たり前のように言う)


テスは立ち上がって、顔を見下ろし、頬を撫でる。顔中に細かい傷があり、ところどころに絆創膏が貼ってある。

テ:顔もずいぶんケガしちゃったのね・・・。(見つめる)
ジ:うん・・・。マリが覆いかぶさった時に、マリの洋服のカフスとかピアスとかなんだかいろいろ当たったんだ。
テ:そう・・・。(やさしく顔を撫でる)


ジ:それから、パクさんは・・・。
テ:もう、それ以上はしなかったはずよ。
ジ:牽制したな。
テ:・・・。(やさしく微笑む)これは私から・・・。


テスがジュンスにやさしくキスをする。


ジ:・・・。パクさんのより、いいよ。
テ:うん・・・。(微笑む)


テスはまたイスを引いて、ジュンスの近くに座った。


ジ:何もしなくていいから、ここにいて。
テ:いるわ・・・。だから、眠って。
ジ:もったいないな・・・。(テスを見る)
テ:手を握っているから・・・。
ジ:途中でパクさんの手と変えないでよ。
テ:うん・・・。寝て。


ジュンスが目を閉じた。



別れの日、二人で時を過ごして、テスは今と同じように、夜が明けていくしじまの中で、ジュンスの寝顔をじっと見つめていた。
これで世界が終わってしまえばいいと思ったあの瞬間。
ジュンスは美しい寝顔で寝ていた。
そして、テスは少しずつ、体を離し、ベッドから降りて、寝ているジュンスを残し、部屋を後にした。



今、ジュンスが目の前で寝ている。
静かに寝息を立てて・・・。


でも、今のジュンスはあの時と違って、少し痩せて、傷ついて、包帯に巻かれ、ひっそりと眠っている。


苦しいほどに、恋しかった人。
ジュンスを思うと、胸が痛くて、切なくて切なくて・・・会いたくて会いたくて。

そんなにまで恋しかったジュンス・・・。
こんなに傷ついて・・・。


テスはもう一度立ち上がって、片手で、顔を撫で、髪を撫で付ける。

こんな姿になってしまったジュンス。

愛しい、愛しいジュンス。

テスは涙がとめどなく流れてくる。鼻をすすりながら、ジュンスを眺める。


ジ:泣かないで。


ジュンスが目を瞑ったまま、言った。


テ:ジュンス。こんなことになるなんて・・・。あなたがかわいそうすぎるわ。


ジュンスが目を開けた。


ジ:テス。泣かないで。昨日の、マリの状態をよく把握していなかったのは、オレだから・・・。マリは・・・少し、心を病んでいる。オレに出会ったせいで・・・。あいつが新人の頃、よく一緒に仕事をした。でも、オレには、マリに特別惹かれるところはなかった。確かに、可愛かったけど・・・。でも、それだけだった。オレが恋に落ちるには子供過ぎて・・・。あいつはいつもとても元気で明るいから、交際を申し込まれても、軽くかわしたんだ。それがある日、仕事から、帰ったら、スタジオの前に座り込んでいた・・・。声をかけたけど、返事がなくて。最初、暗がりで状況がよくわからなかった。よく見ると、スカートがびしょ濡れだった。それで、顔を起こしてみると・・・手首を切っていたんだよ。それが始まりだった。それから、少し元気になってきたところで、オレはあいつから離れようとしたんだ。そうしたら、電話がかかってきて、これから、ガス栓を捻るって。オレは慌てて、あいつの部屋へ行って・・・・。ガスが充満している部屋の中へ入って、ガスの元栓を止めて、窓を開けた。そして、あいつを引き摺り出して、救急車を呼んだんだ。
テ:なんてことなの!


ジ:それからは怖くて、あいつを一人にできない。ガスの自殺未遂があってから、ずっと一緒に精神科に通っているんだ。そんなことを続けて、一年して、オレはあいつを一生面倒見る覚悟をした。それが去年。去年から恋人同士になったんだよ。あいつは喜んだ。オレももしかしたら、このままうまくやっていけるかもしれないと思ったんだ。
テ:・・・。
ジ:おまえに出会ってなかったら、今でもずっとそのまま、同じ暮らしをしてたよ。
テ:ジュンス・・・。
ジ:でも、出会っちゃったんだ。おまえに。こんなに好きになってしまうおまえに。不思議だね、人の出会いって。
テ:ジュンス。

ジ:昨日は事故の少し前に、急に、マリが、「おまえにはオレを渡さない」って言い出して・・・。どうしてそう思ったのかな・・・。
テ:ジュンス。
ジ:確かにオレの中では決意してたんだ。テス、オレは、おまえと一緒になりたいって。愛しているおまえを不幸にして、自分もおまえが恋しくて・・・そんなのってやっぱり変だって。でも、なんで急に、マリが言い出しかがわからないんだ。


テ:ジュンス・・・。私、今度のことでは、マリさんが許せないの。
ジ:テス。
テ:あの人、自分のことしか考えてないわ・・・。自分のしたことの重大さがわからないのかしら? 
あなたのこと、あなたの命をどう思っているのかしら・・・。それに、私・・・。
ジ:ユニちゃんのこと?
テ:ええ。わかった? 私がそのことを思い出すって。あなたの車が歩道に乗り上げて、工事現場に突っ込んだって聞いて、あなたが他の人を巻き添えにしていたらどうしようって、とても苦しくなったの。怖かったけどパクさんに聞いたら、それはなかったって。安心した・・・。でも、もしかしたらって考えたら、ぞっとして苦しくなったの。そんなことをあなたにさせる人。あなたを人殺しにする人って、いったい・・・。

ジ:テス。あいつには、周りが見えないんだ・・・。もしかすると、自分のことも。オレのことも。見えてないのかもしれない・・・。たまに思うんだ。マリは本当にオレを愛しているのだろうかって。ホントにオレが見えているんだろうかって。
テ:ジュンス。
ジ:あいつの心が歪んでしまったのはオレのせいだけど、その先に、ちゃんと本当のオレがいるのかって。ホントのオレが好きなのかって。恋に恋しているだけなんじゃないかって。
テ:ジュンス。・・・これから、解決していきましょう。私、もう、あなたを諦めない!
ジ:テス!(テスの決意に驚く)

テ:もう隠れない。もう心も隠さない。あなたを愛していること、隠さない。
ジ:テス!
テ:・・・辛かった。あなたと別れて辛かった。身も心も、あなたがいなくちゃ寂しくて・・・。一人でなんか生きられないわ。辛くって。
ジ:テス。
テ:それでもなんとか頑張ったの。ホントに頑張ったのよ。でも、この間、あなたに会ったら・・・。我慢できなくなっちゃったの。もう気持ちを抑えることができなくなっちゃったの。
ジ:テス! オレもおまえがいないと、心が空っぽになってしまうんだ。おまえと一緒にいたいんだ。
テ:私、一緒にマリさんのことも考えるわ。あなたと一緒にいたいの。あなたのそばにいたいの。そばにいてもいいわよね?
ジ:テス! いて。ずっとそばにいて。
テ:ジュンス、あなたが好き。きっとずっと好きよ。ずっとずっと愛せるわ。

テスはジュンスのベッドに腰掛け、ジュンスの顔を両手で包む。
ジュンスもテスの顔を撫でて、テスが顔を近づけ、二人は久しぶりに長いキスをした。








次の日、編集者のパク・スンジンにジュンスを預けて、テスはシンジャの元を訪ねた。


シ:そうか・・・。たいへんだったね。で、どうする?
テ:先生には悪いんですけど、急にこんなことになっちゃって・・・。私、仕事を辞めます。ジュンスに付き添いたいんです。

シ:うん。そっか。残念だけど、仕方ないね。わかった。・・・無期限休暇をあげるわ。
テ:え?
シ:だって、仕事失くしちゃったら、あなただって困るでしょ? それに私はあなたが好きだし。コッキリは大切な後輩だし。ポ~ンとあなたを放り出せないのよ。
テ:先生!
シ:この責任は、ドンヒョンに取ってもらうわ。
テ:ドンヒョン先生にですか?
シ:うん! 新しいアシスタント、よこせって電話する。だから、テスは心配しなくていいよ。こっちはなんとかするから。
テ:(胸がいっぱいになる)すみません。
シ:テス! それだけ思う人なら、捕まえなくちゃ。ね! 手を放しちゃだめよ!
テ:はい・・・。
シ:一度擦れ違うと、元には戻れないから・・・。
テ:先生・・・。
シ:こういう時こそ、全身全霊尽くさなくちゃ。
テ:はい!





テスはジュンスの看護に専念することにした。




ジュンスは動けないものの、顔や体の傷は順調に治ってきている。
食欲も出てきた。


テスがジュンスの体を拭く。
すべての世話をテスは進んで自らの手で行った。


ジュンスの検査結果も特に異常は見られず、外傷を負っているところだけが傷ついていることがわかって一安心した。



あとの心配はマリだった。




入院して10日ほど経ったある日、ジュンスの弟のテジョンがやってきた。
イラストレーターのテジョンは、ここのところ、インド、東南アジアと回って、一昨日帰国したところだった。帰国してみると、兄の担当編集者のパクからの留守番電話が入っており、慌てて仕事を片付け、病院へやってきた。


テジ:アニキ!


息を弾ませて、テジョンが病室へ入ってきた。


ジ:おい! おまえ、生きてたのか!
テジ:それはこっちの台詞だよ! 大丈夫なの? お袋に電話した?
ジ:いいよ。オレのことで心配させるなよ。
テジ:でもさあ、一人じゃたいへんだろ?
ジ:う~ん・・・。


部屋付きのトイレが流れる音がして、しばらくすると、テスが尿瓶を持って出てきた。

テスとテジョンの目が合った。
テジョンがテスの手にしているものを見る。


テ:あ、こんにちは。

テスも今さら、手にしているものを隠せない。

テジ:こんにちは・・・。こちらで、面倒見て下さってるんですか?
テ:・・・ええ・・・。(困った顔になる)
ジ:こっちへ来て座れよ。
テジ:え、ああ。(テジョンがジュンスの横へ行く)
ジ:心配かけたな。
テジ:うん・・・。パクさんに聞いたけど、たいへんなことになっちゃったね。


後ろから、テスが声をかける。


テ:私、ちょっと購買に行ってくるわ。テジョンさん、ゆっくりしていって。後でお話ししましょう。
テジ:そうですね・・・。(少し頭を下げる)


テスが部屋を出ていった。


テジ:(ジュンスの顔を見る)そういう関係・・・。
ジ:(ちょっと赤い顔をして)うん。
テジ:好きなの?
ジ:・・・結婚したいんだ。
テジ:そうなの? そんなに好きなんだ。
ジ:うん・・・。(恥ずかしそうに目を伏せる)
テジ:へえ・・・そうなんだ。本気なんだね。(ちょっと笑う)アニキがそんな顔するなんて・・・ホントに惚れてるんだ・・・。
ジ:うん。(笑)

テジ:そうかあ・・・。それはたいへんな事態だな。マリさんは気づいてたの?
ジ:わからない・・・。事故のほんの少し前に、急にテスには渡さないって言い出して・・・。
テジ:そうか・・・気持ちが弱いから・・・辛かったんだろうなあ・・・。
ジ:うん・・・。
テジ:今、彼女、どうしてるの?
ジ:隣の病棟にいるよ。気持ちが不安定だから・・・。右手を骨折したらしいけど、それ以外はなんとか回復したみたい。
テジ:会ったの?
ジ:いいや・・・。
テジ:なぜ?
ジ:なんていったらいいか、わからなくて・・・。テスが様子を覗きに行ってるんだ。定期的に。見えないようにね。

テジ:誰かついてるの?
ジ:マネージャーのホンさん。
テジ:そう・・・オレ、帰りに寄ってみるよ。
ジ:そうか?
テジ:うん。友人として見過ごせないからね。それは、こんなことになっちゃったのは、彼女が悪いけど。心の弱い人だから・・・。普通じゃないでしょ? ガラスみたいな人だから・・・。ちょっとかわいそうだよ。
ジ:うん。悪いな。仕事、忙しいの?
テジ:まあね。今回のイラスト旅行記、出すからさ。それだけだから・・・ちょくちょく顔を出すよ。ホントにお袋に言わなくていい?(心配そうに見る)
ジ:言うなよ。ホントに心配するから・・・。
テジ:でも、この足だろ?(ギブスで固まっている足を見る)
ジ:会わなきゃ、足を引き摺って歩いていてもわからないさ。(じっと見つめる)
テジ:アニキ・・・。


テスが戻ってきた。


テ:ねえ、もうすぐお昼よ。
ジ:テジョン、テスと一緒に食堂で食べてこいよ。
テジ:うん。
ジ:たまには・・・テスも誰かと一緒に食事したいんだよ。
テ:そんなあ・・・。(胸がいっぱいになる)
テジ:じゃあ、ご一緒しましょう。(テスを見て笑う)
テ:・・・ありがとう。まずはジュンスね。王様が食べてから、僕同士で食べましょう。
テジ:ああ、わがまま言ってるんだ。(ジュンスの顔を見る)
ジ:少しね・・・ほんの少し。(笑う)


テスが笑った。



ジュンスの昼食を済ませ、二人は病院の近くの食堂で、昼食をとり、今、病院のベンチに座って話をしている。


テジ:そうだったんだ。別れてたんだ・・・。それなのに、どうして、捨てられると思ったのかな?
テ:なぞね・・・。
テジ:それにしても、なんか、人生ってわからないね。オレの書いた求人広告で来て、アニキが採用して・・・。
テ:ホント。不思議ね。
テジ:もしかしたら、あの求人広告には、魔法がかかっていたのかもしれない。見えない字で、「本当の恋人求む」って。テスさんだけ、見えたんだね。
テ:・・・。(にこやかにテジョンを見る)
テジ:そうか・・・。アニキにも見えたんだよ。だから、採用したんだ。この魔法を解ける人が来たってわかったんだ。
テ:・・・。(見つめる)テジョンさんて、素敵。きっといいご本ができるわ。そう思う。
テジ:ありがとう。ときどき・・・マリさんに会いに来るよ。友人として。
テ:そうお? ありがとう。


テジ:あの人は、気持ちが弱いから・・・アニキも頑張って世話したのに・・・。残念な結果だね・・・。
テ:・・・。(俯く)
テジ:かわいそうでもあり、ちょっと叱りたい気分でもありかな・・・。
テ:うん・・・。でも、生きててよかった・・・。(下を向いたまま言う)
テジ:そうだね。・・・とにかく、あなたもアニキも、彼女のところへはいけないだろうから、会ってくるよ。少しずつ気持ちを聞くよ。
テ:うん。そうしてくれるとうれしい。変な言い方だけど、彼女を放っておけないのよ。
テジ:(じっとテスを見る)わかった。じゃあ、また来るよ。わがままなアニキをよろしくお願いします。
テ:ええ。
テジ:これからもたいへんかもしれないけど・・・。(真剣な目をする)
テ:テジョンさん。私、ジュンスと一緒にいられて、とても幸せなの。だから、大丈夫!(じっと見つめる)
テジ:うん!(笑う)






テジョンは小さなブーケを買って、マリの病室を訪ねた。

ノックする。


マ:はい。
テジ:お邪魔しま~す。

マ:テジョン!(懐かしさに目が潤む)


テジョンがマリの顔を見る。すっかり痩せ細り、真っ白な顔をしている。


テジ:どうだい。具合は?
マ:うん。今、薬を飲んでるから、少しだるいけど、元気よ。
テジ:腕をケガしたの?
マ:うん。骨折・・・。
テジ:そう・・・。

マリがテジョンを見る。


マ:怒んないの? お兄さんを殺そうとした女よ。
テジ:うん・・・。ゆっくり話を聞くよ。慌てなくていいよ。
マ:(溜息をつく)皆、そういうの。やさしく・・・。私がひどいことをしたのに。皆、そう言うわ・・・。
テジ:とにかく、まずは体が元気になることだよ。
マ:うん。・・テジョン・・・。彼に会った?
テジ:うん、会ってきたよ。左足を骨折しているから、動けないんだよ。
マ:そうなの。一人だった? 誰かいるの?
テジ:(首を傾げてマリを見る)さあ、付き添いさんがいるのかな。オレが行った時は一人で寝てたよ。
マ:そう・・・。


テジ:会いたいの?
マ:・・・わからない・・・。もう会ってもらえそうにない気がする・・・。(涙が出る)
テジ:どうかな・・・。(顔をよく見る)
マ:私なんか死んじゃえばいいと思ってるよね。
テジ:そんなことはないだろ。
マ:そうお?
テジ:そういう人じゃないだろ?
マ:たぶん・・・。


マリがぼうっと窓の外へ目をやる。


マ:なんだか疲れちゃった・・・。いろんなことが。(額に手をかざす)薬のせいかな・・・ちゃんと考えられないの。ぼうっとしちゃって。もっとジュンスのこと、いっぱい考えたいのに。疲れちゃって・・・。
テジ:寝てろよ。休んだほうがいい。それで元気になってから、いっぱい考えたらいいよ。
マ:うん。(ベッドに横たわる)
テジ:焦らなくてもゆっくりでいいんだよ。(布団をかける)
マ:うん・・・。また来てくれる? 来てくれるとうれしいんだけど・・・。
テジ:来るよ。
マ:来てね・・・。ジュンスの様子も聞かせてね。会いにいけないから。
テジ:わかった。じゃあね。



テジョンの会ったマリはひっそりとしていた。
薬が効いているのか、テジョンの知っているマリではなかった。

テジョンの知っているマリ。
いつも元気で明るくて・・・それでいて、ある日突然、激昂してしまう。自殺未遂を繰り返す。
時にあふれすぎる感情が収まらず、どうしようもなく塞ぎ込んだり、一人大泣きをしていたマリ。


今のマリはのっぺらぼうのようだ。



テジョンには、今のマリが不憫で、お説教もできなかった。





マリは朝の回診のあと、朝食を食べている。
マネージャーのホンさんが、薬と水を用意する。


ホ:今日は顔色がいいね。このまま、元気になるといいね。(顔を覗く)
マ:うん。
ホ:ちょっと会計に行ってきていい?
マ:いいよ。
ホ:じゃあね。すぐ戻るから。


ホンが部屋を出ていった。マリは朝食を食べ終わって、薬の前に水を飲む。

薬を口に入れようとして考える。



ここのところ、いろいろ考えたいのに、考えをまとめることができない。

ジュンスのことも。
あの事故のことも。
あのメールのことも。
これからのジュンスとのことも。


じっと薬を見て、手に取り、化粧ポーチのポケットにしまう。


これを飲んでいてはだめ。
何も考えられなくなる。


マリは水だけ飲んで朝食のトレイをベッドサイドに置いた。






夜のジュンスの病室。テスが動き回っている。


ジ:テス。寝付くまで、隣に寝て。


ジュンスが、洗濯物をたたんでいるテスに言う。


テ:もう、甘えんぼさん。(笑う)
ジ:いいじゃないか。こんな時くらい。
テ:なんか、甘えるくせがついてるわよお。リハビリが始まったらビシビシやるから、覚えておいて!
ジ:いいよ。そのほうが早く治るから。(笑う)


テスがジュンスの横に添い寝する。
テスがやさしく、ジュンスを腕枕して、抱く。

ジ:もっと顔を近づけて・・・。

ジュンスが目を閉じたままに言う。

テ:この間、テジョンさんに本当のことを言えばよかった・・・。ホントに人使いが荒いって。それに甘えんぼだって。
ジ:言わなくてもわかってるよ。(目を瞑ったまま言う)
テ:そうお・・・。なんか、眠くなっちゃった・・・・。
ジ:・・・寝ちゃえよ。朝まで誰も来ないよ。
テ:そうね・・・ああ・・・眠い・・・。ホントに、もうだめ・・・。



疲れきっているテスは、すやすやと眠りに落ちる。
ジュンスもその横で気持ちよさそうに眠りについた。





マリはここ2日ほど、密かに薬をやめている。

ここのところで、やっといろいろなことを集中して考えられるようになった。

あんなことをしてしまった自分を、ジュンスは許してはくれないだろう。

もう二度とジュンスには会えないかもしれない。

私の全てだったジュンス・・・。
それを失ってしまうなんて・・・。

でも、どうしてこうなったの・・・。

そうあの女よ。後から来て、ジュンスを取っていった。
ジュンスの心を奪っていったのよ・・・。

あの女さえ、いなかったら、ジュンスと私は今でも幸せなカップルだったのに・・・。

未来の全てを書き換えたのは、あの女よ。

それにしても、もうあんなことをしてしまったんだもの。
ジュンスは怒っているにちがいない・・・。

薬を飲まないと、叱るジュンス。
ちゃんと、話し合いをしないで、あんなことをしたから、きっとものすごく怒ってるにちがいない。

これから、どうしたらいいの・・・。

ジュンスを取り戻せるかしら・・・。

ムリかしら・・・。
でも、やっぱり、ジュンスにそばにいてほしい・・・。




マリはフラフラと病室を出た。
今日はマネジャーのホンさんは午後から会社に呼ばれていた。
マリの今度の対策を練るため、今、会社でミーティングに出ている。



マリは、フラフラと廊下を歩いて、階段を上っていく。



テスは、毎日、午後4時過ぎにマリの様子を見に来る。
それは、マリが知らないだけで、ナースたちは、遠くからマリの様子を見るテスを毎日見かけている。
マネジャーのホンさんに連れられて、娯楽室でTVを見たりお茶を飲んだりする時間だ。
ホンさんはテスを知っていて、マリの様子がわかるように、毎日、娯楽室へ連れていく。


今日もテスがやってきた。
娯楽室を覗いてもマリはいなかった。


周りを見回しながら歩く。

マリの病室の前を通ると、ドアが開いたままだ。

ちょっと覗いてみるが、いない。


今までに、開けっ放しで出歩いたことがあったかしら。


少し待ってみるが、マリは戻ってこない。
何かの検査かもしれない。諦めて帰りながら、ナース・ステーションの前を通る。

ちょっと聞いてみようかな・・・。


テ:すみません。303号室のチャン・マリさんは今、検査か何かですか?
ナ:ああ、マリさん。いいえ。今日は付き添いの方がいらっしゃらないから、お部屋にいるんだと思いますよ。
テ:それが、病室の戸が開いていて、中にいないんです。
ナ:ええ!(驚く)


ナースが出てきて、マリの部屋を見る。


ナ:どうしたのかしら。一人じゃあマズイわ。あの人・・・。
テ:そんな・・・。



テスも心配になって辺りを見回す。
廊下を進んでいくと、階段がある。

上? 下?

上は屋上・・・下は・・・・。

屋上・・・。屋上!



テスは階段を駆け上がって、屋上へ出る。


マリがいた。



マリは、フェンスの前に座り込んでじっと考えている。
静かにテスが近づいた。


テ:マリさん・・・。(やさしく声をかける)


マリが振り返って、テスを見た。


マ:あなた! なんでここにいるの!(驚く)
テ:・・・。
マ:ジュンスといるの?
テ:あなたのお見舞いに来たの・・・。
マ:うそばっかり!
テ:うそじゃないわ・・・。

マ:あなたでしょ? ジュンスをたぶらかしたのは! あなたのせいで・・・あなたのせいで、もうジュンスのもとへ戻れないじゃない!
テ:マリさん・・・。
マ:ジュンスにあんなことしちゃって。(涙が出る)ジュンスにもう許してもらえない・・・。もう私をキライになっちゃう・・・。
テ:マリさん。落ち着いて・・・。(やさしく言う)


テスはマリの様子をじっと見ている。


テ:マリさん?
マ:皆、皆、あなたのせいよ。何でコッキリなんかに来たのよ! あんたみたいなオバサンが来る所じゃなかったのに! 何で、あんたが好きなの? 私よりずっとオバサンなのに! 私のこと、見たくて仕方がない人がいっぱいいるのに・・・。こんな私が恋人なのに、何で、あんたなんかのほうがいいのかしら? 私のほうがぜんぜんいいのに・・・。ジュンスはおかしいわよ! ジュンスに何をしたのよ! なんでジュンスがおかしくなっちゃったの?
テ:マリさん・・・。


マ:ああ、もう! 何であなたなの! 何であなたなのよお! 何であなたに負けちゃうのよお!(激しく泣く)バカみたい! バカみたいじゃない! 負ける相手が違うわ!(泣きじゃくる)私が一番のはずなのに・・・・。
テ:・・・マリさん。


マリは泣くのをやめて、一瞬間、静かになった。そして、顔を上げる。


マ:ああ、死んじゃえばよかった!(急に気持ちが変わる) 二人で死んじゃえばよかったのに! 全部、あなたのせいよ! ジュンスがいなかったら、生きられないのに。こんなに愛してるのに! もう、ジュンスは私を許してくれない・・・。私のしたことを許してくれない・・・。あんたのせいよ!
テ:マリさん・・・。落ち着いて。ジュンスはきっと・・・。
マ:もう死んでやるわ!(フェンスを跨ぐ)


マ:ジュンスに愛されないなら、死んでやる! もう死んでやるわ!
テ:マリさん!


マリがテスを睨みつけている。テスもじっとマリを見つめる。



テ:そうね。死にたければ、私、あなたを止めないわ。


マリがその言葉に驚いて、テスを見る。


マ:やっぱり、本性を出したわね! あなたっていう人の本性はそれね!
テ:マリさん! 私、今回のことで、あなたのこと、ものすごく怒ってるの。あなた、わかる? もしかしたら、ジュンスは、人殺しになっていたかもしれないのよ!
マ:私が死んだら?
テ:あなたじゃないわ・・・。もし、誰かが歩道を歩いていたら・・・。ジュンスは人殺しになっていたのよ。
マ:・・・。


テ:私には娘がいたの。5歳の。でもね、大雪が降った次の日、幼稚園バスを待つ列に車がスリップしてきて・・・轢かれて亡くなったの。
マ:子供がいたの・・・。(驚く)
テ:もう、2年以上前の話・・・。私は辛かった・・・。娘を殺した人を、憎んで憎んで、ずっと恨み通したかった・・・。でもね、もしかしたら、自分もそうやって人を轢いていたかもしれないのよ。その人だって、わざとじゃないの。前の日の雪がキレイに除雪されてなくて、凍っていて、そこでスリップしちゃったの。私は苦しかった・・・恨みたい相手は、恨めない人だったのよ。それでも、たった一人の娘を奪われて、苦しくて辛くて、死にそうだった・・・。マリさん、あなたはそれを故意にやったのよ。もしそこに小さな子供の列が歩いていたら? あなたは自分のことしか考えていない・・・。ジュンスの気持ちも、ジュンスの命も、他の人を巻き込んでしまうかもしれない危険も、何も考えていなかったのよ・・・・。


マリは呆然として、テスを見る。


マ:・・・あの日。ジュンスから、なんてメールをもらったの? 
テ:メール?
マ:ジュンスがあなた宛に書いた携帯のメールよ。私が見た時、最後の文の途中だった・・・。彼、なんて送ったの? 最後になんて書いてあったの?


テ:メールなんてもらってないわ。私がスタジオを離れてから、一回もメールも電話ももらってないわ。(きっぱりと言う)
マ:うそ! うそつき!
テ:だったら、今、見たら。私、ここに携帯持ってるから。


テスがポケットから携帯を出す。


テ:見て!
マ:そんなあ・・・。じゃあ、どうして・・・。
テ:たとえ、彼が打っているところを見たとしても、私は受け取ってないわ・・・。送信してないんじゃないの?

マ:ジュンスが私と別れるような文面だった・・・。あなたがいないと寂しいって。あなたを不幸にしたままにできないって。ジュンスもあなたがいなくちゃ生きられないって・・・。だから・・・だから、決意したって・・・。
テ:(涙が出てしまう)それで、彼にあんなことをしたの?
マ:私から離れようとしたから・・・。あなたなんかに渡したくなかった!(涙があふれる)


テ:あなたは・・・。・・・・どうしてそうやって、命を粗末にするの?


マ:・・・・。
テ:そんなに簡単に捨てられる命なら、自分ひとりで、未練なんか残さないで死んじゃえばいいのよ。
マ:・・・ひどい・・・。
テ:だって、あなたにとっての命って軽いんでしょ?
マ:・・・・。


テ:私が娘を失って嘆いた日々なんて想像できないでしょ? あなたを助けたジュンスの気持ちも想像できないでしょ?
マ:ジュンスは・・・。私を・・・。
テ:二度もジュンスを巻き添えにして・・・。ガスが充満している部屋へあなたを助けにいったジュンスの気持ちなんて、わからないでしょ?
マ:・・・。
テ:彼だって命がけだったのよ!もしかしたら、あなたが助かって、彼が死んだかもしれないのに・・・。なぜ、ジュンスの命を弄ぶの? あんなに一生懸命守ってくれた人なのに・・・。
マ:彼が愛してくれなかったからよ! 私を置き去りにしようとしたからよ!

テ:あなたの愛が彼を生かそうとしなかったからよ。いつも、ジュンスを恐怖の淵において、好きな人をいつも苦しめて・・・。もっとやさしく愛してあげればよかったのに・・・。脅しなんか使わなくても、彼は愛してくれたのに・・・。ジュンスはあなたを一生背負っていこうとしてたのに。かわいそうだわ・・・。かわいそうすぎるわ・・・。
マ:・・・。


マリはテスをじっと見つめて苦しそうな顔をした。

そして、決意したように、くるっと向きを変えて、5階建ての病院の下を恐々、覗きこんだ。

テスは走って飛び込み、マリに抱きついて、マリを引き倒した。



今、マリは静かにベッドで眠っている。
ドアにカギをかけられて・・・。

一人、寂しくベッドで眠っている。



テスが助けたところへ、ナースたちがやってきた。
マリの心は今、均衡を失っている。


でも、マリは助かった瞬間、テスを大きな目で見つめて、テスに抱きついて泣いた。






第9部(最終回)へ続く






人を愛することは素敵だ

なのに、なぜこんなに
苦しいのか

私の愛し方が間違っているのか・・・。



マリの心はどこへ行くのでしょうか。

ジュンスは。
テスは・・・。



次回は、最終回です。





2009/06/29 17:05
テーマ:負けない力! カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

準備OK?再会の準備^^

Photo

BGMはこちらで^^


タイトル、ミニョンさん的に言ってみました・・・
あの人は、もういないけどね・・・



時は6月29日!になってしまったね^^



まさにあと3ヵ月で、ぺ・ヨンジュンとの再会の日となる^^


さて、
皆さんは準備OK?


ビリー・ザ・ブート・キャンプを手にしたか?
サルサを踊って痩せるか?

「すいません。このフラダンスコースで、3ヵ月で痩せますか?」
と文化センターの窓口で尋ねたか?

朝食前のランニングを始めようと考えたか?

犬の散歩も競歩にするか!^^


とか、皆さんのご計画は順調に進んでいるだろうか・・・?



「ねえ、韓国で、プチ・・・やってくる?^^」
「え~~~~え!」
「私、やっちゃおうかしら・・・」

なあ~んて人もいるかもしれない・・・。

なんせ、
Just 3months !


無駄にしないように、過ごしたい・・・。


「ママ~、コーラ飲む~~?」
「う~ん^^」

なんてことを言ってはいけない!


「ええと・・・あと、ドリンクバイキングね^^」
なんて、注文してはいけないvv


「やだ、このみたらしだんご、おいしそう^^」
なんて、100円だんごを買ってはいけない!


「ねえ、エレベーターで上がらない?」
なんて。。。上がらない!


「やだ、この枝豆、上手に茹だった^^」
なんて、食卓に出す前に、つまみ食いをしてはいけない・・・。


「あら、このケーキ、おいしそう。ケーキも頼んじゃお!」
なんてノンキに言ってはいけない・・・


さて、あなたは、全てを振り切って、
3ヵ月後に、再会できるだろうか・・・?


なんてね^^



きっとできない^^

毎回そうだ。

それで、失敗するvv

joonに会えなくても、チングには会うわけだ。

そして、
こういう印象を残す・・・

「kikoさんて、ふっくら色白・・・」


たまか、一生に一度しか会わない人がいるわけだから・・・
それはヤバイです。

前回は、ファンデが切れて、白いお顔で出かけました・・・
オフ会の写真も、びっくりするほど、横に幅があり・・・

ハッキリ言って、ヤバイです!



ここで、皆さん、思い出しましょう。


あの愛するぺ・ヨンジュンの座右の銘を!

「一期一会」!


その通り!


もう二度と会わないかもしれない人々に、
「あの人ってね」なんて、イマイチの印象を残さないようにしましょう^^


だよ?^^



なんて言っても、多くの方はきちんとされているだろう。
問題は「私」であり、あなたではありません^^


とりあえず、

3ヶ月・・・もう、時は止まりませんよ~~^^

行けないかもしれないのにvv・・・なんて悩むことはない。
美しくなるチャンス、行けなくても実行できるに越したことはない。

ある日、突然!

「ごめん、チケット無駄にはできないわ・・・代わりに行ってくれる?」
なんてことだってあるのだから!

でしょう・・・?^^v




体調の悪い人は、この3ヶ月で調整できるといいねえ・・・

それを願うわ。

当日、あそこに座っていられる体力が付きますように!

祈ってます^^







2009/06/29 00:49
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」7





BGMはこちらで^^




BYJシアターです。

「愛しい人」7部です。

今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。

ジュンス(joon)とテスの恋の行方は・・・。

どこに到達点があるのか。

でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。


ではお楽しみください。





あなたに出会えたことが
私の人生を彩る


この恋は
私だけのもの


たとえ
あなたがどう思おうとも



私は
この恋に

生きる




だから


あなたを

絶対

手放さない



愛しい人!



あなたの

全ては

私のもの





ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」7部



【第7章 恋の炎】


テスがスタジオに戻っても、シンジャはまだ戻ってきていなかった。
バッグを置いて、午後の撮影の準備をテキパキと始める。


テス、オレはまだ諦めてないよ。
おまえがいなくちゃ・・・。


ジュンスの言葉が蘇る。
ジュンスの言葉が何度も何度もテスの中でこだまする。

テスは胸が締め付けられて、涙がこみ上げる。


諦める覚悟をしたのに・・・。


テスは涙が次から次へあふれてきて、座り込んで泣いてしまう。

シンジャがスタジオに入ろうとすると、座り込み、声を潜めて肩を震わせ、泣いているテスがいた。




マ:ねえ、まだ終わらないの?

マリがスタジオの元テスの席に座って、イスを左右に揺らしながら、向かいのデスクで、電卓を叩いているジュンスに話しかける。


ジ:ちょっと静かにしろよ。今、計算してるんだよ。
マ:そう。(イスをぐるっと回して後ろを向く)そんなこと、得意じゃなかったのに・・・。最近、真面目ね。またパートさん、雇えばいいのに・・・。なんで急にオバサン、やめちゃったのかしら・・・。
ジ:おい、気が散って計算できないじゃないか・・・。(ジュンスがイライラする)


ジュンスはまた、最初から計算し直す。
もともと、ジュンスは経理が得意ではなかった。
テスが来る前は、少しいい加減でも、出張旅費の請求も遅れがちでも、気にしなかったが、テスがキチンとやってくれていたので、そのペースを崩したくない。


マ:いつまでかかるのかな・・・。(イスを元に戻してじっと見る)
ジ:あ~。(もうイヤになる)うまくいかないな・・・。
マ:ねえ、ジュンス!


マリは、立ち上がって、ジュンスを見て、自分のデスクに寝そべるようにして、ジュンスの方へ向かう。


マ:ねえ、今日はもういいじゃない!


ジュンスが顔をあげた。
少しマリを睨んでいたが、気持ちを切り替える。


ジ:うん・・・。じゃあ、食事に行くか!
マ:やった!(うれしそうに微笑む)
ジ:でも、そのあと戻ってきたら、これをやるから、おまえは帰れ。(イスを反らして座り、マリをじっと見る)
マ:え~え! つまんない!
ジ:じゃあ、もう帰れよ。ここのところ、忙しいんだ。(また仕事にとりかかろうとする)
マ:わかったわよ。食事をしてから、か・え・る! ジュンス、ホントに誰かに来てもらったほうがいいわ。前は一人でやってたのに・・・。なんで、できなくなっちゃったの?


ジュンスは立ち上がって、ジャケットを着ながら、「本当に、なんで、できなくなってしまったんだろう」と思う。

テスが来る前は、どうやって仕事をしてたのか・・・不思議だ。

確かに、テスが来てから出した写真集が当たって、仕事は増えた。だが、基本的には同じことをしているはずだ。

テスは一つ一つをキチンと仕分けして、やりやすいように決済箱を作ったり、システマチックに仕事をまとめてくれた。
しかし、それはテスと二人だったから、やりやすかっただけで、一人では却って煩わしい。


マ:ジュンス。ホントにパートさん、雇ったら?
ジ:(顔を見ないで)もう、誰も雇わないよ。
マ:なんで? オバサンで失敗したの? あの人、どうしちゃったの?
ジ:(マリの言葉が気持ちを逆撫でる)オバサンなんていうな。(財布をポケットに入れる)
マ:だって!
ジ:ヤンさんだよ。(マリをじっと見る)
マ:わかったわよ! ヤンさん。でも、どこ行っちゃったの、あの人。
ジ:自分の合った仕事を見つけたんだよ。
マ:そうなんだ・・・。じゃあ、しょうがないわね。(にこっとして)じゃあ、マリが手伝う?
ジ:おまえは絶対いらない!(ちょっと睨んでから笑う)じゃあ、行くか!
マ:うん!






夜中、一人、仕事を終えたジュンスは、デスクで大きく伸びをする。

シーンと静まり返ったスタジオを見回す。
座り手のいないデスクが自分の目の前にある。


テス、テス、ヤン・テス・・・。



テスの名前を口にしてみる。

携帯を取り出して、メールを打つ。


「元気にしてるか?
オレは寂しいよ」


じっと、携帯の場面を見て、ジュンスはポンとボタンを押す。


削除。

閉じる。


ああ・・・。


また、携帯の画面を開く。


「おまえがいないと
空っぽだ。テス、おまえは?」



じっと見て、削除する・・・。



「ヤン・テス」

名前修正。

「オレのテス」

修正。

「愛するテス」

修正。

「愛しいテス」

修正。



「愛しの羊」

登録。


あ~あ・・・。


ちょっとした心の隙間。
何もしていない時間・・・・テスを思い出して辛い。


今はね、仕事が助けてくれる。慰めてくれるわ。夢中になれるの。


テスはそう言った。

テスもオレと同じように、何もしない時間が空しいのか・・・辛いのか・・・。



ジュンスはフイルムを持って、地下の暗室へ下りていく。

暗室のライトをつけて、準備をする。

奥の壁に飾ってある写真を見る。


赤いライトの中で、テスが笑っている。
幸せそうに笑っている。



コッキリ! 私は・・・あなたがいるから生きられる! それだけ! どこにいてもね!


テスの声が聞こえる。
ジュンスは涙ぐむが、涙を拭って、自分の気持ちを振り切るように、仕事の準備を始めた。






あの日、ジュンスと会ってから、テスの気持ちは大きく揺れている。

ここまで我慢してきたものが・・・まるでマグマが噴出したように、ジュンスが恋しい。
蓋をしておいたものが、蓋さえ内側から押し流してあふれ出る。

ジンスが恋しい。


あの日を思い出して、テスは自分の腕を抱いた。

出版社に戻る途中、強くジュンスがテスの腕を引っ張った。
あの時、ジュンスが力強くテスの腕を握り締めた感覚が抜けない。忘れられない。

そして、それが恋しくて仕方がない。


ジュンスの力強く抱く腕を思い出す。

手を、
指を、
思い出す。


恋しい!


抱かれた時の胸の厚さを、
温もりを、
ニオイを。


懐かしい・・・恋しい・・・。



朝、ユニのグラスにオレンジジュースをついで、テスは、それをじっと見つめた。


初めてのロケの日に、ジュンスが「行っておいで」と言って、買ってきたプーさんのグラス。
ここには、テスだけではない、ユニへの愛までも詰まっているようで思えて、テスはジュンスが恋しい。

まるで、ユニまでジュンスの子供のように、三人は家族だったように、ジュンスが懐かしい夫であったかのように、ジュンスが恋しい。


何を見ても、感じても、ジュンスが恋しい。


恋しさが日ごと、テスの中で膨張し、テスを呼吸困難に陥れる。

一時、乗り切れると思った、あの感情が、今はもっと大きく、何倍にもなってあふれ出てくる。


頭だけでなく、

心だけでなく、

腕だけでなく、

目も、

耳も、

唇も、

首筋も、

うなじも、

胸も、

ウェストも、

腰も、

下腹部も、

股(もも)も、

足のつま先までも、


体全体が、

テスの中にある細胞の全てが、ジュンスを恋しがる。



テスは今、最大の窮地に陥った・・・。






夜のバーのカウンターで、ドンヒョンとシンジャが飲んでいる。


ド:どう、テスは、頑張ってる?(グラスを傾ける)
シ:うん。ものすごく一生懸命やってるわよ。あの子にはスタイリストが合ってるわ。それに事務もできるし、助かってるの。(微笑む)
ド:おい。なんでもかんでもやらせて、こき使うなよ。(タバコを吸う)
シ:わかってるわよ。ところで、あの子って、コッキリの彼女だったのね。(ジントニックを飲む)
ド:聞いたの? テスから?
シ:うううん。この前、A出版で撮影してたら、隣のスタジオで、コッキリが仕事してたのよ。あっちが終わって帰ろうとしたところで、コッキリがテスを見かけて。テスと話をさせてほしいって。
ド:そうか・・・。うん・・・。(タバコの灰を落とす)


シ:驚いちゃった。あなたとコッキリって、気マズイ仲じゃなかったの? どんな理由かわからないけど・・・。ずっと音信不通って感じじゃなかった?
ド:う~ん・・・。オレも、たまたま少し前にあそこへ行ってて、ジュンスとテスに偶然会って、少し話して・・・それから知ってるんだよ。(タバコを吸う)
シ:そうだったの。でも、なんで別れたのかしら? あの子、コッキリと会った後、一人で泣いてたからさ。痛々しくて、声もかけられなかったわ。(ジントニックを飲む)
ド:ふ~ん、そうか・・・。

シ:ねえ、あの二人って同い年? そのくらい?
ド:う~ん、そうか、そうだな。同い年だ。確かに。

シ:そう・・・。(懐かしそうな目をする)昔、同い年の恋人がいたわね、私たちも。
ド:そういえば、そんなのもいたなあ・・・。
シ:ひどい言い方ね、あなた。(横目で見て笑う)
ド:いやあ、あれは苦(にが)かったよ。(グラスを見て苦笑する)
シ:そうだったの?
ド:ああ、苦い思い出だ。「私は仕事のほうを選ぶわ」とか言っちゃって。うん・・・あれは、ビターテーストだった。(グラスを傾けて、見つめる)
シ:ビターテースト?(ドンヒョンのグラスを一緒に見る)
ド:そう、記憶しておいて。(笑ってシンジャを見る)あれはビターテーストだった。
シ:(目が合って顔を赤くさせながら)ふ~ん。髪の短い女はキライじゃなかったの?
ど:いや、あの経験が、キライにさせた。そういうもんさ。(笑う)
シ:そうだったの・・・。
ド:ま、おまえみたいな鈍感な女にはわからない話さ。


シ:・・・。
ド:傷ついた?
シ:・・・傷ついたわ。ひどい・・・。


ド:そう? でも、まだオレが傷つけたよりは軽いはずだよ。
シ:・・・。
ド:(バーテンに)あ、バーボン、お代わり。(タバコを吸う)
シ:タバコ、やめなさいよ。肺がんになるわよ。
ド:いいさ。別に見取ってくれる女もいないんだから。(吸う)
シ:仕返しするつもりね? 私に・・・。
ド:ああ、命を賭けてね。(シンジャを見つめる)
シ:・・・バカね!(笑う)







今日は、月に一度のマリの診察日だ。


二回目の自殺未遂から、マリは定期的に精神科の医者のもとを訪れている。
当時運ばれた大学病院の医師が自宅で開業しているクリニックだ。


そこは、普通の住宅地にあり、全くの普通の民家である。
玄関が通りから見えないような作りになっている以外は、全く変哲もない普通の一軒家である。

そこの家庭的なこじんまりとした部屋のカウチに寝転んで、月に一度、医者と話をする。

それが診療だ。


ジュンスやマリのように、生活時間が不規則の人間には、とてもありがたいクリニックだった。
たとえ夜でも、お互いの都合がつけば、診察してもらえる。

ジュンスはよくこの医者に夜電話して、マリの様子を伝えた。



今日は、ジュンスの中に芽生えている決意をこの医者にも聞いてほしい。

それが無謀なのか、あるいは実行可能なのか・・・。


この2年の付き合いで、医者は、マリのジュンスへあふれる思いは知っている。


しかし、実際のところ、ジュンスがどれほどの思いでいるかはわからない。

このクリニックへ通い出して、一年経った時、ジュンスは自分の中で決意した。

マリの面倒をずっと見ていくことを・・・。
自分がいなくては、心が不安定になってしまうマリを見捨てていくわけにはいかなかった。


でも、今は・・・マリは、以前より、ジュンスにとっては人生の重い足枷になっている。

本当に愛している女とは結ばれることができない。

そして、テスを愛したことにより、マリはより色褪せて、一生背負っていくにはあまりにも重い荷物になってしまった。


テスを知る前は、それでも・・・マリと一緒の人生もそれなりに悪くないと思っていた。
マリはジュンスを愛してやまなかったし、マリのかわいい面もジュンスには理解できた。

たぶん、人は、この程度、好きなら恋人であったり妻であったりするのかもしれないとも思った。


仕事で会う女たちも、マリと大して変わらないように思われた。

テスに会うまでは・・・。


ちょっとした気まぐれ・・・。
なぜか、彼女を採用してもいいとひらめいた瞬間。


自分は何を思ったかわからないが、今日という日を迎えるなんて、思ってもいなかった。


激しい恋の相手。
抑えようのない熱い感情が、ジュンスの中であふれている。


たぶん・・・マリの自分への感情、それはまさに、自分がテスを思う気持ちと同じなのだ。

そんなマリを・・・。


しかし、マリを背負うと決めた日の気持ちに比べて、今のジュンスには、もう苦痛しか残されていない・・・。






マリが来るまで、ジュンスはスタジオで仕事を片付け、最近の日課になったテスへのメールを打っている。
それは発信されることはない。

ただ、ジュンスが自分の気持ちを書き綴るだけだ。

そして、削除・・・。




2階の洗濯機が終わった音が聞こえる。



シャツだけは干して、あとは乾燥するか。


ジュンスが立ち上がって、2階へ上がっていく。







マリは、ジュンスとの約束の時間にスタジオへやってきた。



マ:ジュンス? ジュンス!



ジュンスはスタジオにはいなかった。
マリは、ブラブラとスタジオの中を歩きまわる。

ジュンスの携帯が開いたままだった。


今まで、ジュンスの携帯をチェックしたことはなかったが、開いて置かれたままの携帯が、マリを呼んでいるようにも思える。


マリが携帯を手に取る。


ドキドキしながら、中を見ようとすると、2階で音がした。

ジュンスが何かやっているようだ。


マリは焦燥感にかられながらも、携帯の画面を見る。




メールの途中で席を外したようだ。

読む。



「元気か。オレはいつものように寂しいよ。
でも、今日は一つの決意をした。
ずいぶん、悩んだが、おまえを諦めることができないから。
おまえを泣かせたまま、別れることなんてできないから。
おまえがいないと、オレは生きていけないから。
今日、オレは、」



マリはじっとその文面を見つめる。



自分の知らないジュンス。

自分の知らないジュンスの世界がそこにある。




女?

私以外の女?

こうやって、恋人として、認められている私以外の女?

そっちがいないと生きられないの?

私以外の人がいないと、ジュンス、あなたは生きられないの?




宛先・・・「愛しの羊」?



何これ?

冗談かしら・・・。


誰?


あっ!!



マ:ねえ、ジュンス! あなた、羊となら地下へいくのね!
ジ:羊じゃないよ、この人はカメラマンの卵だ。



あの羊・・・。



ジ:オバサンじゃないよ。


あの羊。

ヤン・テス!!



マリの中で何かが弾けた・・・。






2階の音が近づいてきた。


マリは慌てて、携帯をジュンスのデスクに置き、自分は反対側の席に座る。


ジュンスが下りてきた。



ジ:ああ、来てたのか。声をかけろよ。
マ:うん・・・。
ジ:どうした? 具合が悪いのか?(マリの顔をじっと見る)


マリは、ジュンスを見つめるが、胸が苦しくて、答えられない。


ジ:どうしたんだ。・・・大丈夫か!


ジュンスがマリの前に来て、顔をようく見る。
マリの目付きがおかしい・・・。


ジ:じゃあ、行くか。30分で着くから、そのくらいは大丈夫だな。


ジュンスは、力が抜けたように座り込み、じっとジュンスを見ているマリを支えるように抱き起こし、スタジオの玄関まで抱きかかえていく。

玄関まで来て、


ジ:あ、ちょっと待って。


急いで、自分のデスクまで行き、携帯を取る。
画面を開いて、削除する。


マリから見ると、ジュンスがメールを送信しているように、見える。



あの女に、メールを送ったの?

今日、あなたは何をするつもり?

もしかして・・・
私を捨てるの?


その話をしたいの?


あなたがいなくちゃ生きられないのに・・・。

あなたなしの人生なんて有り得ないのに。


あなたは簡単に私を捨てられるの?

できないでしょ?

できるはずがない・・・。

今までだって、別れられなかった。

絶対、そんなことできない。

そんなこと、させない!





ジュンスが戻ってきた。


ジ:じゃあ、行こう。大丈夫か?(やさしい目で見る)


マリは目を見張りながら、ジュンスを見つめるが、一言も発しない。
ジュンスはマリの変調に心を乱しながらも、ワゴン車にマリを乗せる。

少し、不安になりながらも、運転席に座ってもう一度マリを見る。


ジ:すぐ着くからな。・・・そうだ。寝てろ、な。寝てればいい。



ジュンスは車を出した。


ジュンスは心配しながら、ちらっちらっとマリを見るが、マリは押し黙って座っている。




あと5分くらいで、クリニックへ着く時だった。

マリが口を開いた。


マ:私を捨てる気?(焦点の定まらない目をしている)
ジ:え? (耳を疑う)
マ:あの女と一緒になんかさせない・・・。
ジ:マリ?
マ:あんな女になんか、絶対渡さないわ!(強い口調で言う)
ジ:マリ!
マ:ジュンスは私だけのもの。私だけのものよ! 私以外の人が触っちゃだめ。だめよ!
ジ:マリ、落ち着け!
マ:ヤンなんかにあげない。あげるはずがないじゃない! ジュンス、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは・・・。
ジ:マリ! マリ! 



ジュンスはマリをちらっと見ながら、車を止められる場所を探しながら、運転する。



急には止まれない。今、二車線の内側にいる。

ここでは止まれない。



車線を変更する。

右側に出られた。



どこかで駐車しなくては!




マ:ジュンス! あなたは一生、私だけのものよ! 誰にも渡さない! 私の命だもの!




マリがシートベルトを外し、ジュンスに覆いかぶさった。


そして、マリが大きくハンドルを切った。



車は、大きく右へ逸れて、歩道を越え、工事現場の中へと突っ込んでいった。








朝一番にテスの携帯がなった。

編集者のパク・スンジンだった。

テ:もしもし?
パ:いやあ、テスちゃん。
テ:どうしたの、こんな朝早くから?
パ:うん・・・。テスちゃん、ジュンちゃんとはケンカ別れしたわけじゃないよね?
テ:なんで?
パ:なんで辞めたの?
テ:・・・。私にはスタイリストのほうが合ってるんじゃないかって。発展的辞職よ。(笑)コッキリ先生も知ってる先生よ。
パ:シンジャ先生ね。
テ:そう。なんか、問題でもあった?
パ:いや・・・。


パク・スンジンは少し考えてから話し始めた。


パ:なら、言うけど、ジュンちゃん、昨日、交通事故に遭ってさ。
テ:え!(胸がズキンとする)
パ:でも、軽傷なんだ。だから大丈夫なんだけど。一応検査も兼ねて入院しているんだ。
テ:そう・・・・。
パ:それで、病院に運ばれた時、一時意識がなかったから、オレのところに連絡がきたんだよ。うちの企画書持ってたから。
テ:命に別状はないのね?
パ:ああ。


テ:そう・・・。車で?
パ:ああ。
テ:人を轢いたとかじゃないですよね?
パ:ああ。
テ:そう・・・安心しました・・・。
パ:それで、所持品の携帯で、君の名前を見て。
テ:別に私の名前を見たって・・・。
パ:それが・・・。「愛しの羊」っていうのがあって・・・。


テスは胸が詰まる。


パ:もしかして・・・テスちゃんかなと思って、番号見たら、オレの持ってるテスちゃんの番号と同じだったんだ。


テスは涙がこみ上げて言葉が出ない。


パ:テスちゃん?
テ:ごめん・・・ちょっと待って。


テスは涙を拭いて、気持ちを整える。


テ:ごめんなさい・・・。
パ:いいんだよ・・・。それで、知らせてあげたほうがいいなと思って・・・。
テ:・・・ありがとう。でも、私には何もできないでしょ? 
パ:いや・・・。


テ:マリさんは? マリがいるでしょ? 先生についてるの?
パ:それが・・・。マリさんが、ジュンちゃんが運転している横からハンドルを切って、工事現場へ突っ込んだんだ。



テスは血の気が引いていく。



テ:・・・どうして? どうして!
パ:理由はわからないけど・・・マリさんがうわ言みたいに、「ジュンスを殺しちゃった」って言ってて。
テ:それで?!(胸が苦しい!)
パ:今は精神安定剤を飲んで寝てるけど・・・。「ジュンスが死んじゃった」って、何度も何度も言って、パニックだった。


そんなあ!!


テ:で、先生は! ジュンスは! ジュンスは本当に軽傷なの? ホント? ホントに大丈夫なのね? (泣く)
パ:テスちゃん!
テ:ジュンスは、ジュンスは、今どこに入院してるの? 行くわ。今すぐに行くわ!
パ:テスちゃん!
テ:どこ? どこよ? 教えて! そんな、そんな、ひどいわ! ひどすぎるわ!



テスは、急いで着替えると、バッグを掴み、マンションの部屋を出ていった。







第8部へ続く





熱い思い・・・。

それぞれの心を燃やす

熱い炎。

それは、自分を燃やし、

相手をも燃やし尽くす・・・。



ジュンスとマリは・・・。

そしてテスは!





2009/06/28 11:22
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」6






BGMはこちらで^^





BYJシアターです。

本日は「愛しい人」第6部です。

今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。

ジュンス(joon)とテスの恋の行方は・・・。
どこに到達点があるのか。
でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。



ではお楽しみください。





あなたに出会えたことが
私の人生を彩る


この恋は
私だけのもの


たとえ
あなたを失ったとしても



私は
この恋に

生きる




そう決めたの


だから


もう
さようなら



愛しい人!




あなたを

もう
苦しめない





ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」6部




【第6章分かれ道】


翌日の午後8時。ソウルホテルの地下のバーを覗くと、カウンターにドンヒョンが座っていた。
テスが近づく。久しぶりに、スカートをはいている。


今日は珍しく早めにスタジオを出た。
ジュンスは「何か用事があるのか?」と聞いたが、テスが「ちょっとね」というと、それ以上は聞いてこなかった。
テスには今、ジュンスしかいないことは、よくわかっていたが、自分のことが原因で別れていこうとするテスに、「どこへ行くんだ」などと、ジュンスには問い詰めることができなくなっていた。



マンションに戻ったテスは、シャワーを浴び、久しぶりにフェミニンな装いをして出かけた。


足も素足にサンダルで、引き締まったキレイな足を見せている。


テ:ドンヒョン。


ドンヒョンが振り返った。


ド:おい、今日は実にセクシーだな。
テ:そう? 普通よ。スカートはいてるだけ。
ド:そうか? 女盛りという感じだな。
テ:そう?(微笑む)
ド:座れよ。
テ:ええ。
ド:何飲む・・・。
テ:何がいいかしら・・・。
ド:おまえは酒飲みだったよな。(思い出したように笑う)



もう二人の間柄は、昔に戻っていると、テスは思った。
彼はその親しさで話しかけてくる。



ド:仕事はどう?
テ:う~ん、順調かしら。(カクテルを飲む)
ド:コッキリはどう?
テ:いい人よ・・・。
ド:だろうな。あいつはそうだ・・・。(タバコを取り出す)一服するよ。
テ:どうぞ。

ド:今日はどうして会う気になった?(タバコに火をつける)
テ:う~ん。たまにはデートもいいかなと思って・・・。(つまみのキス・チョコを口に入れる)
ド:結婚したよね、一回?(じっと見る)
テ:ええ。(じっと見る)
ド:オレと別れてすぐに・・・。どうした?
テ:どうしたって?
ド:こうしているということは一人だろ?
テ:じゃ、そういうことよ。(見つめる)
ド:子供はいなかったの? 



ドンヒョンはタバコを置いて、バーボンを飲む。
テスはその言葉に、ユニではなく、ジュンスを思い出した。


ジ:(テスを後ろから抱きしめる)ねえ、またほしい? 赤ちゃん。


テスの顔が赤くなった。



ド:ごめん、いけないこと、聞いた?
テ:うううん・・・。亡くなったの。幼稚園の送迎バスを待ってる列にね、自動車がスリップして・・・。雪の多い日だった。ちゃんと除雪もできていなかったのに・・・。(目を落とす)あの日、休ませるべきだったわ。うちで一緒に雪だるまを作ればよかった・・・。なのに、私ったら、幼稚園の庭で、皆で雪投げしたほうが楽しいと思って・・・。ちょっと間だった。ほんのちょっとの間。テーブルの上に置き忘れたお便り帳をマンションの部屋へ取りにいったの・・・。その間の出来事・・・。マンションの入り口にバスが迎えにくるのよ。だから、ほんのちょっと、他のお母さんにユニを頼んでいって・・・。一緒にいれば、私が代わりになれたかもしれない。・・・あの子と一緒にしねたかもしれないのに・・・。(涙ぐむ)
ド:そうだったのか。辛かったな。
テ:うん。そして、今は一人よ。(カクテルを飲む)


ド:(顔を覗き込んで考える)で、もうその傷は・・・かなり癒えたんだ。
テ:(顔を向けて)どうしてそう思うの? ユニのことはいつも心にあるわ。
ド:でも・・・輝いてるからさ。(じっと見る)
テ:そうかしら・・・・。


ド:今、気がついたよ。おまえ・・・・。(言いかけてやめる)
テ:なあに?
ド:まあ、いい。(バーボンを飲む)
テ:・・・・。(何?)
ド:話って何?
テ:う~ん。(ちょっと下唇を噛む)
ド:部屋で聞ける? ゆっくり。(じっと見る)



テスはそこまで考えてこなかったので、少し驚いて、ドンヒョンを見た。



ド:(バーテンに)チェックして。ご馳走様。(テスを見て)そこまでは考えてこなかったんだ。
テ:ええ・・・。(驚いた顔をする)
ド:(伝票にサインする)じゃあ、考えて。行こう。(立ち上がる)
テ:ドンヒョン!待って。



ドンヒョンはさっさと、会計を済ませて、外へ出ていった。
テスは困ってしまうが、ついていく。


ガラス張りのエレベーターの中で、二人は両端に立って見つめ合う。



ドンヒョンの目は狩人だ。
テスは息苦しくなって、早くこの場から去りたい。

エレベーターを降りた途端、ドンヒョンが手を握った。
テスは驚いてその手を見る。


ド:おいで。



部屋に入り、ドアを閉める。部屋の入り口のダウンライトが、テスを照らしている。
ドンヒョンがぐっと抱きしめてキスをした。


そして、じっとテスの顔を覗きこんでいる。


ド:やっぱり・・・。
テ:何が?
ド:どうしたいんだ。オレに抱かれるのか?
テ:(苦しい)・・・・。(ドンヒョンの顔を見つめる)
ド:どうする気で来たんだ?
テ:(息が苦しい)・・・どうするって?
ド:何がしたくて来た。男を忘れたくて?
テ:・・・なあに、それ?(震える声で聞く)

ド:さっき、気がついたよ。
テ:何を?
ド:そして、今のキスで。
テ:何が?

ド:おまえの相手が誰か・・・。
テ:・・・・。(じっとドンヒョンを見つめる)


ド:ジュンスだ。
テ:・・・・。




ドンヒョンはテスを放し、部屋の中へ進む。



ド:どうして忘れたいんだ? あいつも一人じゃないか。
テ:・・・。なぜ、コッキリだと思うの?
ド:あいつといた時のおまえは輝いていた。さっきも、あんな悲しい娘の話をしながらも、おまえは輝いていた・・・。ふと、恋をしていると思った。そしたら、ジュンスが頭に浮かんできたんだよ。おまえにかかってきたオレの電話を切るジュンスが。普通はあんなことはしないさ。おまえに関心がなければね。
テ:そんな風に思うの?
ド:それにおまえの目付きは、ジュンスにそっくりだ。自分で気がつかなかった?
テ:・・・。(知らなかった)

ド:なぜ、あいつと別れるんだ。
テ:あの人を苦しめたくないから・・・。あの人には・・・他に捨てられない恋人がいるのよ・・・。
ド:それで、おまえが引き下がるのか・・・。
テ:・・・そう・・・。
ド:それでいいの?
テ:たぶん。(つぶやくように言う)


ドンヒョンがテスの手を引っ張って、ベッドに押し倒した。


ド:それで、おまえは満足なのか?(テスの上に圧し掛かって言う)自分が犠牲になれば満足なのか?
テ:それしか手立てがないのよ。


テスが燃えるような目をして、訴えるように、ドンヒョンを見つめた。
ドンヒョンはじっとテスを見つめてから、立ち上がる。


ド:それ以上、不幸になるな。


ベッドに寝ているテスを見る。


ド:成り行きに任せるな。そんな簡単に成り行きに身を任せるなよ。
テ:・・・・。(目を瞑る)
ド:座ろう。ゆっくり話を聞くよ。


テスは起き上がって、ドンヒョンを見た。


テ:あなたって、ジュンスと似ているわ・・・。
ド:ふん、あいつが弟子だよ。
テ:そうね・・・。二人とも、そんなにやさしい言葉を女にかけられるのに、なぜ、女を泣かせるのかしら・・・。
ド:そうだな・・・。(少し微笑む)なぜだろうな。・・・まあいい。おまえの話を聞こう。
テ:・・・・。


ド:どうした?
テ:話しにくくなっちゃったわ。
ド:でも、頼みがあってきたんだろ? ホントは会いたくなかったオレに、会いにきたんだから。
テ:・・・本当は・・・ジュンスのもとを去るのに、あなたに仕事を世話してほしかったの。せっかく覚えた仕事だもの・・・それにすごくおもしろいし。続けたいなと思って。
ド:そうか・・・。
テ:頼ってもいい?
ド:オレでいいの?
テ:ええ。来る前はちょっと迷いがあったけど。あなたに頼むことがいいのか・・・。今はなんか、あなたを信用できるの。・・・助けて。
ド:・・・オレを許してくれるの?
テ:許すって・・・。
ド:10年前におまえを泣かせたこと。
テ:もう忘れた・・・。もういいの。今思うと、私もあなたには合わなかった・・・。長く付き合える相手じゃなかったわ。

ド:ジュンスを愛してるんだ。
テ:・・・。
ド:ジュンスを愛してるんだろ?
テ:ええ、そう。ジュンス以外はもう愛せないの。
ド:そうか。
テ:こんな言い方して怒った?
ド:いや・・・。おまえの目がそういってるから。(笑う)それでも、別れるんだ。
テ:ええ。
ド:ふ~ん。(俯く)なぜだ?もう少し頑張ったらどうだ。


テ:あの人が恋人を捨てられないから・・・。彼を愛しすぎて、自虐的になってしまう人なの。それで、ジュンスは彼女を受け入れたの・・・。もう別れることができないの。
ド:それで、幸せなのか? ジュンスもおまえも。
テ:・・・わからない・・・。でも、彼は捨てられないの。私も、命掛けの人と別れてって言えなくなってしまって・・・。
ド:ふ~ん。辛いな。


テスはなぜか、ドンヒョンに自分の気持ちを全て告白した。
ドンヒョンが、まるで保護者のように、テスの気持ちに寄り添った。






テスがスタジオ「コッキリ」を最後にする日がきた。

机を整理して、決済箱を机の上にわかりやすいように置く。

テスがジュンスの仕事のために作り出したシステムだ。



ジ:ホントに行くのか?(テスの横に立って聞く)
テ:うん。
ジ:仕事の目星はついてるの?
テ:なんとか。大丈夫よ。今までもやってきたんだから。心配しないで。
ジ:・・・・。(心配になる)
テ:ジュンス・・・。今日は最後だもの。一緒に過ごしましょう。いい?
ジ:・・・おまえはそれでいいの?
テ:ええ。一緒に2階でご飯を食べて・・・一緒に過ごしましょう。


ジュンスは黙って、じっとテスを見つめた。







テスが、スタジオの2階のベッド脇で、窓の外を見ている。


テ:今日は月も明るいわね。
ジ:・・・・。



ジュンスが服を脱ぎながら、テスを見ている。

テスはカーテンを開け放ち、レースのカーテンだけにする。



テ:このほうがいいわ。スタンドの明かりより。



そして、ベッドサイドのスタンドの明かりを消した。



ジ:これでも、十分明るいね。
テ:うん。



テスがベッドに腰かけ、服を脱ぐ。

ジュンスは、その姿をじっとやるせない気持ちで見つめた。












窓のカーテンを開け放ち、真夜中のベッドの上で、二人は見つめ合っている。

仰向けに寝たジュンスの上に、テスが跨って、じっとジュンスを見下ろしている。

ジュンスもテスの瞳をじっと見つめる。


テスがやるせない顔をして、ジュンスの頬を撫でる。
そして、胸を撫でる。

「ああ・・・」テスが溜息を洩らし、ジュンスを見つめる。

そして、ジュンスに顔を近づけて、顔全体を見回した。



テ:日が変わったわね。あなたの誕生日・・・。
ジ:そうか。ちっともおめでたくないね。(苦しそうに笑う)
テ:うううん。おめでとう。ここで一緒に祝えてうれしいわ・・・。



二人で見つめ合っている。



ジ:もう本当に決めちゃったの?
テ:うん・・・。
ジ:こんなに愛していても・・・。
テ:うん・・・。
ジ:おまえは強情だね・・・。
テ:うん・・・。


ジュンスの頬にテスの涙が落ちた。


ジ:こんなに泣いてるくせに・・・。別れるなんて・・・。
テ:・・・・。
ジ:こんなに苦しいのに・・・別れるなんて・・・。
テ:・・・・。
ジ:こんなに求めているのに・・・別れるなんて。
テ:・・・。
ジ:・・・こんなに愛してるのに。



また、ポタッと涙が落ちた。

ジュンスがテスの頬を撫で、涙を拭う。



テ:・・・ごめんね。(少し声が震えている)
ジ:・・・生きていけるの、一人で?
テ:・・・。わからない・・・。
ジ:テス。
テ:でも、やってみるわ・・・。
ジ:・・・オレは、生きていけないかもしれない・・・。(見つめる)
テ:・・・。(やさしく見つめる)
ジ:・・・。
テ:大丈夫よ・・・思い出があるから・・・。




テスの胸を触っていたジュンスの手は、みぞおちを通って、まっすぐ下りて、テスの帝王切開の線をなぞる。



ジ:オレの子は産んでくれないんだ・・・。(傷をなぞりながら言う)
テ:・・・。・・・。うん。
ジ:もう一緒にいてくれないんだ・・・。
テ:(悲しい顔をする)もう!


テスの目から涙が零れ落ちてくる。


ジュンスがテスの顔を見上げて、テスを切ない目で見つめる。
ジュンスは少し起き上がり、テスを引き寄せるようにして、抱きしめる。


ジ:ごめんよ! ごめん! オレのせいだよな。おまえがこんなに不幸なのは! ごめんよ! オレが好きになって、おまえを苦しめるだけだったね。ごめんよ!(涙が出る)
テ:ジュンス! ジュンス、あなたが好きなだけなの。それだけ! ジュンス、ジュンス!



最後の夜を、二人は眠ることなく、切ない思いで過ごした。








9月になって、テスは、指定された時間にドンヒョンのスタジオへ行くと、中からドンヒョンが出てきた。
事務の女の子に、

ド:ちょっと出てくるから。なんかあったら携帯入れて。
事:わかりました。



テ:おはようございます!(元気に言う)
ド:・・・来たな!(しっかり見つめる)
テ:はい!
ド:じゃ行くか。
テ:どこへですか?(慌てる)

ド:一緒においで。君に紹介したい人がいるんだ。別にオレのところじゃなくてもいいだろう?
テ:・・・ええ。
ド:歩きながら話そう。
テ:はい。



テスはドンヒョンについて、一緒に歩く。ドンヒョンは早足で、スタスタと歩く。

自分のスタジオの入っているビルを出た。
テスは一生懸命歩き、ドンヒョンに並ぶ。



ド:女性カメラマンで、アシスタント、探してるのがいるんだよ。(ドンドン歩きながら話す)
テ:・・・。
ド:人物じゃなくてもいいだろ? 商品だって、静物だって。こっちのほうが確実だ。
テ:そうですか?
ド:うん。グラビアに載る写真じゃなくても、小さなものをコツコツと積み上げていけば、食っていけるよ。
テ:はい。
ド:生活ができるようになったら、本当に自分の撮りたいものを考えればいい。
テ:・・・。(頷く)
ド:テス。仕事というものは厳しいものさ。そんな簡単には評価されない。おまえは、オレやコッキリを見ているから、簡単に考えているけど。
テ:そんなことはないですけど・・・。
ド:オレもあいつも才能があるんだ・・・。それはわかるだろう?(笑ってやさしく見つめる)
テ:そうですね・・・。(笑顔で頷く)
ド:だから、おまえを活かせるところを考えた。



ドンヒョンが立ち止まった。
テスも止まって、ドンヒョンを見る。



ド:おまえはいい女になったな。強くなったし・・・その目がいいよ。(見つめる)
テ:・・・。(見つめ返す)
ド:おまえならできる。それだけ意志を強く持っていれば、やっていけるさ。全てを賭けてみろ。おまえの全ての時間を新しい生活に。
テ:・・・。(真剣にドンヒョンを見つめる)
ド:コッキリのところでやっていけたんだったら、やっていけるさ。
テ:先生・・・。
ド:先生か、いい響きだ。・・・オレについたら、コッキリが哀しむよ。


テスが俯いた。


ド:おまえのためもあるけど、コッキリのためにもおまえを独り立ちさせたいんだ。


テスがドンヒョンの顔を見た。



ド:おまえは知らないと思うけど、オレがあいつから奪った女の・・・子供の後始末をしたのが、コッキリなんだ。
テ:え?(驚く)


ドンヒョンがゆっくり歩き出す。


ド:子供がお腹にいたのを知らなかった・・・。コッキリが付き添って、医者に行ったのさ。(少し俯く)
テ:・・・。
ド:コッキリはそこまでしか、知らないだろうけど・・・その女が後で慰謝料を請求してきて、わかったんだ。オレはコッキリに借りがある。テス、あいつはいいやつだった・・・。才能もあって、一生懸命で、でも・・・それを裏切ったのは、オレさ。
テ:ドンヒョン・・・。
ド:まあ、しっかりやれよ。いいカメラマンだから。広告を多く手がけているんだ。アパレルメーカーやブティックなんかでも、彼女の写真で商品カタログを作りたがっているところが多いんだ。そういう写真の取れる、ちょっとセンスのあるね、そういうスタッフを探していたから、君に向いていると思う。まあ、経験のなさは、オレの話術でカバーしよう。
テ:ドンヒョン・・・。
ド:気風のいい女だし。オレの大学時代の同級生なんだ。コッキリの名づけ親なんだよ。あいつについていけば大丈夫だ。あいつについて、大きな仕事を見ながら、君は小さな仕事を積み上げろ。いいな。
テ:はい!


ドンヒョンとテスは、女性カメラマンの待つ、近くのカフェへと入っていった。









夜。ジュンスが一人ベッドに寝転んで天井を見ている。


オレの子は産んでくれないんだ・・・。
・・・。・・・。うん。
もう一緒にいてくれないんだ・・・。


テスの静かに泣く声が聞こえる。


一人で寝られる?
わからない・・・。


もう顔も見せてくれないの?
・・・うん。


もう触れられないの?
・・・うん。



ジュンスがテスを抱く。



もうだめ・・・。明日になったら、触っちゃだめ・・・。もうおしまい・・・。



ジュンスがゆっくり、テスの体をなぞる。
テスがゆっくり、ジュンスを撫でる。



忘れない・・・。
・・・。
おまえもオレを忘れないで。忘れないって言って。



ジュンスがテスをもっと抱く。



うん・・・忘れない・・・。絶対に忘れないわ・・・。




天井が曇り、ジュンスが涙を拭った。








10月も半ばを過ぎて、出版社の地下で撮影していたジュンスは、仕事を終えてスタジオを出た。
すると、隣の小さなスタジオへテスが入っていく。

ジュンスは驚いて目を見張る。
中から女が出てきた。



シ:テス! 先に行って、席取っておくね~。
テ:わかりました~。



女はジュンスに気がついた。


シ:コッキリ!(にこやかに微笑む)
ジ:シンジャ先輩。そこで仕事してたの?
シ:そうよ。ねえ、元気なの?  ・・・少し痩せた? 仕事のしすぎじゃないの?


ジ:まあね。(ちょっと微笑む)ねえ、今のアシスタント?
シ:そうよ。
ジ:・・・ヤン・テス?
シ:そうよ。あなた、知ってるの?
ジ:ああ。・・・誰かの紹介?
シ:あいつの。ドンヒョンの。(ちょっと鼻にシワを寄せる)
ジ:ドンヒョンの?
シ:うん。彼の関係の子かしらね・・・。よくわからないけど。でも、感じもいいし、仕事もできるからいいんだけど。


ジ:先輩。彼女と話がしたいんだ。時間くれる?
シ:(顔を見つめて)・・・。もしかして、あなたの彼女なの?



ジュンスが寂しそうに微笑んだ。



ジ:久しぶりなんだ。
シ:話したいの?
ジ:うん・・・。
シ:あの子もいいのかしら?(ちょっと困る)
ジ:うん、大丈夫。彼女だって、オレに会いたいさ・・・。

シ:そう・・・理由がありそうね。じゃあ、テスには、私一人で食事に行ったって言っておいて。4~50分でいい?
ジ:ありがとう。恩に着るよ。


シンジャがジュンスの肩を叩く。


シ:いいのよ。かわいい後輩だもん。いいの! じゃあね。






シンジャはドンヒョンとは大学時代の同級生で、ジュンスも駆け出しの頃は彼女によくかわいがってもらった。


ジュンスはスタジオの入り口に立って、中のテスの様子を見ている。

ジュンスのところにいた時と変わらない働きぶりで、片付けをしている。
ボードを手に取って、これから撮影する洋服や小物をチェックしている。

「OK!」と独り言を言って、バッグを取り、ドアのほうへ向く。



ジュンスが立っていた。


テ:ジュンス・・・。
ジ:久しぶりだね。


テスが知っているジュンスより少し痩せた彼がいた。


テ:痩せた? 忙しいの?(顔をよく見る)
ジ:うん、そうだね。
テ:私、行かなくちゃ。先生が待ってるの。
ジ:シンジャ先輩には話した。4~50分、時間をくれるって。
テ:そう。先生と話したのね。

ジ:一緒に飯でも食うか。
テ:(ジュンスを見て)喉を通るかしら・・・。
ジ:おまえは泣きながらでも、食べるじゃないか。大丈夫だよ。
テ:バカ・・・。(微笑む)








出版社へ来た時によく二人で行った、行きつけの小さな食堂へ行く。

ジ:仕事は楽しい?
テ:ええ。静物写真やカタログが多いでしょ? その時に使うクロスとか周りのものをコーディネイトするのが楽しいの。
ジ:スタイリスト?
テ:うん。先生が、私はそっちの道のほうが合ってるんじゃないかって。それで、今は先生と組んで、私はスタイリストをやってるの。
ジ:そうか。やっと自分らしい仕事を見つけたんだ。(やさしい目で見つめる)
テ:うん。
ジ:よかったな。
テ:うん・・・・。

テ:ジュンスは、仕事は順調?
ジ:うん、そっちはね・・・。
テ:何か問題があるの?
ジ:それは大有りだよ。(テスをじっと見る)おまえは、問題はないの?(じっと見つめる)
テ:・・・。
ジ:もう酒は飲んでない? 
テ:うん、今はね、仕事が助けてくれる。慰めてくれるわ。夢中になれるの。
ジ:そうか。
テ:・・・別れた直後は辛かったけど・・・飲まなかった・・・。
ジ:・・・我慢したの?(やさしく見る)



テスは、ジュンスの言葉に急に涙がこみ上げてくる。



テ:ジュンスのことをお酒で誤魔化したくなかったの。辛い気持ちもちゃんと受け止めたくて。全部、受け止めたくて・・・。(涙で目が潤んでしまう)
ジ:うん・・・・。
テ:・・・ジュンスは?

ジ:うん・・・。オレはまだ・・・。(テスをじっと見つめていたが、ちょっと俯いて)まだ、ジタバタしているよ・・・・おまえが忘れられなくて。
テ:・・・。
ジ:おまえは?
テ:・・・。
ジ:忘れたの?


テ:・・・。(俯く)
ジ:先輩が、おまえはドンヒョンの紹介だって。あいつと関係があるの?
テ:どういう意味?(顔を上げる)
ジ:つまり・・・。(じっと見る)
テ:私を信じられない?
ジ:いや・・・。
テ:そんな簡単に気持ちは変わらないわ・・・。
ジ:わかってる・・・。ごめん。


テ:仕事を頼んだのよ。彼に。
ジ:おまえのためにそこまでするんだ・・・。(驚いて顔を見入る)
テ:・・・。違う・・・コッキリのためよ。
ジ:オレのため?
テ:そう、コッキリのため。
ジ:なんで? (眉間にシワを寄せる)
テ:怒らないで聞いて。ドンヒョンが言ってた。あなたが好きだったって。でも、裏切ったのはオレだって。その借りがあるって。
ジ:それで?
テ:それで・・・私をちゃんと独立させることがあなたへのお返しになるって・・・。
ジ:(驚く)あいつに言ったの、オレたちのこと。なんで?
テ:あの人・・・あなたに似てたわ・・・。
ジ:・・・。
テ:ちゃんと話を聞いてくれた。・・・だから、怒らないで。
ジ:・・・。(辛そうに見つめる)
テ:許せないかもしれないけど、ちゃんと私たちの力になってくれたわ。ジュンス、ごめんなさい・・・。でも、ドンヒョンはちゃんと助けてくれたわ。
ジ:・・・。(辛そうにテスを見つめる)








食堂から出て、出版社へ戻る道を歩いている。

急に、ジュンスがテスを大通りに出る手前の木陰へ引き込む。

ジュンスがテスの腕を掴んでいる。


テ:ジュンス!
ジ:ホントに、ドンヒョンとはなんでもない?(睨むように見る)
テ:ジュンス・・・。(見つめ返す)
ジ:・・・。
テ:何でもないわ。わかるでしょ? 確認しなくたって。


ジュンスがテスをもっと自分のほうへ引き寄せる。


テ:ジュンス!
ジ:テス、オレはまだ諦めてないよ。(睨んでいる)
テ:・・・。
ジ:おまえがいなくちゃ・・・。
テ:(辛い)・・・・。もう行きましょう。
ジ:おまえの気持ちを聞かせろよ。

テ:わかってるくせに。それに、前にも言ったでしょ。私の気持ちは私だけのものにしておくって。
ジ:・・・。もう一度聞かせて。
テ:・・・疑うの?
ジ:うううん。疑ったりはしないよ。でも・・・。
テ:行きましょう。仕事しなくちゃ! 先生を待たせてるわ。
ジ:(やるせない顔をして)・・・おまえは元気でいいよ。(手を放す)
テ:(思いを振り切って)先に行くわ!




テスが少し走っていく。

そして、立ち止まり、ジュンスのほうを振り返る。



テ:コッキリ! 私は・・・あなたがいるから生きられる! それだけ! どこにいてもね!




そういうと、テスは走っていった。


ジュンスは、昼間から道の真ん中で泣きそうになった。







第7部へ続く






ジュンスと別れ、自分の道を歩み始めたテス。

諦めることのできないジュンス。

これからいったい、ジュンスは・・・。



2009/06/27 21:59
テーマ:ぶらぶらと・・・ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

パークBOF本日の戦利品^^

Photo

BGMはこちらで^^









本日は、友達とパークBOFへ^^
彼女がまだ行ったことがないというのでテクテク^^



ところが!

玄関に入るなり、待ち受けていたのが、これ!



サイズは、29cm×10.7cmと小さな壁掛け^^

でも、タイルでできているって、めずらしいでしょう?

厚みもあって、周りの額もマホガニーみたいで重厚感あり^^


ということで、

バーゲンに参加する気はなかったのに^^;



いきなり、

「これ、取り置きしてください!」

と言ってしまった私vv


値段は内緒!



これ、かなりのお気に入りとなりました^^

壁にかけると品もあってとても素敵です^^


いろいろポスターは、額入りで売っていました。
メモ帳やベアのお着替え衣装も半額です。

うちのベアちゃんは・・・箱入り息子なので、
着替えはいらないので・・・
でも、パンツなんかもありました^^




私はあと、ポスターなんかも買ったけど、
それは、忘年会などの景品のお楽しみに^^


(携帯で撮ったからちょっと写りが悪いけど)



今度の移転先は・・・山手線「大塚」駅の近くだそうですよ^^


よりお近くになった方もいるのでは?





2009/06/27 02:07
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」5





BGMはこちらで^^




BYJシアターです。



では本日は
「愛しい人」5部です。

この回は、ちょっとハンカチが必要です・・・vv


今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。


ジュンスとテスの恋は簡単に成就できない・・・。

でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。



ではお楽しみください。






あなたに出会えたことが
私の人生を彩る


この恋を
続けるために

いったい
何を犠牲にするのか



愛しい人!


私は
あなたを
愛している



あなたと
私の心が
揺れて

大きく
大きく揺れて


私たちの恋に

答えはあるのだろうか








ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」5部






【第5章 愛しい人】



テ:もしもし、スタジオ「コッキリ」です。あ・・・・。


テスが受話器を持って固まった。
向かい側に座っているジュンスがテスを見た。
テスは、イスをクルッと回して後ろを向いて、電話に答える。


テ:こんにちは・・・。
ド:どうした? 驚いたか。(笑う)この間、会って懐かしくなっちゃってさ。君もずいぶん、いい女になっててびっくりしたよ。
テ:・・・・。
ド:どうだ。一緒に食事でもしないか?
テ:・・・。
ド:どう? いつなら空いてるの?
テ:・・・今とっても忙しいので、申し訳ないんですけど、私・・・。
ド:食事する時間ぐらいはあるだろ?
テ:それが、ちょっと。


ジュンスが席を立って、テスのほうへ回った。テスが見上げると、ジュンスが目の前に立っている。


ジ:誰?
テ:・・・。
ジ:誰から?
テ:(受話器を押さえて)ドンヒョン先生・・・。(困った顔)


ジュンスは何も言わず、電話機のほうで、電話を切った。


テ:ジュンス! ちょっと! いきなり何するのよ!


二人は見つめあう。

また電話が鳴った。
ジュンスが出た。


ド:どうした。電話が切れたぞ・・・。


その一言を聞いて、ジュンスは電話を切った。


テ:ジュンス、ちょっと・・・。そんなやり方しなくても。
ジ:じゃあ、なんで誘いを躊躇してる? 誘われてるんだろ? あいつから。
テ:それは・・・。
ジ:今日はもう電話に出るな。
テ:そんなわけにはいかないでしょ?
ジ:留守電にしておけよ。ホントに必要な電話だったら、携帯にかかってくるだろ。



ジュンスが睨んで、自分の席へ戻っていく。
テスは仕方なしに、留守番電話に切り替えた。


テ:そんな顔しないでよ!


ジュンスの背中に向かって叫んだ。
ジュンスはテスを睨みつけてから、自分の仕事にとりかかった。



テ:怒んないでよ! 別に私は何も悪いことしてないでしょ!


ジュンスは自分の仕事をしながら、答える。


ジ:怒ってなんかいないよ・・・。ただ、あんな男と付き合うな。
テ:・・・。
ジ:同じことを繰り返すな・・・。
テ:・・・あなたならいいの?
ジ:(顔を上げる)オレとあいつと、おまえには同じようなもの?
テ:・・・。知ってるじゃない・・・。私の気持ちなんて。(少し目が潤むが、睨む)


ジュンスは切なそうにテスを見つめた。


テ:そんな目をしないで。そんな顔をして、惑わせないで・・・。
ジ:・・・。悪かった。


ジュンスは下を向いて仕事を続けた。
テスは、じっとジュンスの仕事をする姿を見つめた。







夜、マリのマンションの食器棚の引き出しをジュンスが開けている。


マ:ごめん! 今、スプーン出すから。
ジ:いいよ。自分でやるよ。


ジュンスは、大きなアイスクリームのカップを持って、引き出しからスプーンを取り出す。
アイスクリームをすくって一口食べ、食器棚の棚にあるマリの薬置き場を見る。
そこに、マリのために処方された薬の袋が入っている。


アイスクリームをおいて袋の中を見る。


ジ:マリ。(マリのほうへ振り返る)おまえ、飲んでないの?
マ:・・・。(困った顔をする)
ジ:薬は一日一回、必ず飲む。そういう約束だろ?
マ:・・・でも、最近調子がいいのよ。
ジ:・・・。
マ:そんな恐い顔しないで。ホントに具合がいいの。


ジ:この間、現場で急に泣き出して止まらなかったって、ホさんが言ってたぞ。気持ちが不安定になるんだから、薬だけはちゃんと飲めよ。
マ:うん・・・。
ジ:それがオレとの約束だろ?(じっと見つめる)
マ:ごめんなさい・・・。
ジ:守れよ。他のことは何もおまえに押し付けてないだろ?
マ:ジュンス。ごめんなさい・・・。


マリは急に涙が出てくる。


ジ:いいよ。明日からでも。もう寝ろよ。オレも明日が早いから帰らなくちゃいけないし。(アイスクリームを冷凍庫へしまう)
マ:うん。でも、寝つくまでいてね。
ジ:・・・。(少し考えて)ちょっとタバコ、買ってくるよ。
マ:うん・・・。




ジュンスはマンションの外へ出てから、携帯で電話を入れる。


ジ:あ、もしもし。キム・ジュンスです。夜分にすみません。チャン・マリのことで・・・。いつもお世話様です。ここのところ、薬を飲んでいないみたいで・・・。ええ。私は別に住んでいるものですから。はい。・・・先日、撮影中に急に泣き出して止まらなかったと、マネージャーから報告があって・・・。そうですか。夜飲んでもいいんですか? いつも朝ですよね。私も明日は朝からロケに出るものですから、ご相談したくて・・・。ええ、ええ・・・・。



ジュンスが暗い夜道を歩きながら、電話で話をしている。










翌朝、テスが、一人でロケに出かけるジュンスに、コーヒーポットを渡している。


ジ:サンキュ!(ちょっと笑顔でテスを見る)
テ:うん。気をつけてね。帽子持った?
ジ:あ、そうだ。忘れそうになったよ。
テ:海なんていいな。私も行きたいな。
ジ:・・・一緒に行くか?(やさしい目で見る)
テ:うううん・・・。(首を横に振る)ここで仕事してるわ。今日はあっちのスタッフとやるんでしょ? 見ているだけなんて、変に思われるから・・・。
ジ:そうか・・・。じゃあ、行ってくるから。
テ:うん。
ジ:何かあったら電話して。
テ:わかった。行ってらっしゃい。


そういった後、ジュンスはちょっとキスをしたい気分になったが、テスを見つめるだけで、出かけていった。







ジュンスを見送って、テスは一人になってから、深い溜息をついた。

ホントは、こんな朝早くから来なくてもよかった・・・。
ジュンスはいつものように自分で支度をして出かけていける。


でも、私が来たかった。

一緒に準備をして、送り出したかった。


テスはスタジオの窓を開けて、外を見る。
まだ、6時前で、空気も爽やかだ。人通りもない。



あの酔っ払って、路上に寝転んだ日から、ジュンスとの関係が微妙に変化した。


もう、ジュンスとはベッドをともにしない・・・。


お互い、不思議な距離で仕事をしている。

外へ出れば、気の合ったいいパートナーで仕事をして、皆と一緒に屈託なく笑う。
でも、スタジオへ戻ると、少しお互いの気持ちに遠慮がある。


今、仕事以外のジュンスがどんな生活をしているのか、よくわからない。



ああ、切ないなあ・・・。


それでも、最近のジュンスが疲れているのを見ると、食事の世話もしたくなるし、いろいろ言いたくもなる。


今日は、暑い外でのロケなので、こんな朝から来てしまった。
ジュンスが私のことを遠くから切なそうに見ていたのもわかる。

でも、気づかないフリをした。


あ~あ・・・。


テスはやるせない顔をして外を眺めている。








海での撮影の合間に、帽子を目深にかぶったジュンスがパラソルの下で、ポットからコーヒーを飲んでいる。

暑い外でのロケの時は、テスがジュンスのために、ポットいっぱいに氷を入れ、濃い目のコーヒーを入れてくれる。
休憩時間にそのアイスコーヒーを口にする度に、ジュンスの心は揺れた。


パラソルの下で涼やかな風に吹かれ、打ち寄せる波の音や近くの喚声を聞きながら、ジュンスは深い溜息をついた。




ジュンスとテスは、一時のような親密な交際はしていない。

それなのに、よりお互いの心が寄り添って、相手を思いやる気持ちになってきている。恋しさが、愛しさが、前にも増して心の中に広がっていくのを、二人は、やるせない思いで感じていた。








夏も終わりに近づいて、秋冬用の撮影が始まり、ジュンスとテスは毎日忙しく過ごしている。

写真集「君の街」の成功で、ジュンスの仕事は順調だ。


今日のジュンスの仕事は2本あり、一つ目の仕事の時間が押したので、テスだけ先に、2つ目の現場のセッティングに走った。

いつもの出版社の男性編集者のパク・スンジンが約束のカフェテリアで待っていた。
テスが息を弾ませてやってきた。


テ:パクさん! ごめんなさい。先生も時間には入れると思うけど。(肩から重いバッグを下ろす)
パ:まだ大丈夫。こっちもさ、急に入れてもらったから。テスちゃん、悪いね。
テ:え?
パ:タクシーで来たの? 一人でたいへんだね。
テ:仕事だもん。(笑う) 先にセッティングだけしておきますね。このベランダ、借りてるんですか?
パ:そう。
テ:ふ~ん。(光線の具合を見る)
パ:テスちゃん一人でもカメラマンできそうだね。(笑う)
テ:そんな!(笑う) やっぱり、先生じゃないとね。まだ私は素人だから。
パ:でも、よく働くよ。テスちゃん、雇ったのって正解だったね。
テ:そう? よかった・・・。(セッティングしながら話す)


パ:最初は普通の女の人が出てきたから、驚いたけど。(笑う) なんで普通の人雇うのって。
テ:そうよね。今思うとなんで雇ったのかしら。(笑う) 気まぐれよね。
パ:なんかひらめいたのかな。(笑う) でもさ、経費もちゃんと期日までに出てくるようになったし、スケジュール調整もやってくれるし。先生の面倒も見てくれるし。助かるよ。
テ:面倒? なんか意味深。(笑う)
パ:まあ、ジュンちゃんには恋人がいるけどね。


テスは胸がキュンとした。


テ:マリさんのこと?(確認する)
パ:そう。よく知ってるねえ。
テ:うん、見かけたことがあるから。
パ:そうか・・・。
テ:長いんですか?
パ:そうね・・・。う~ん・・・。
テ:なあに? 奥歯に物が挟まったみたいな言い方。なんかあるんですか?


パクが少し考える。


パ:まあ、テスちゃんはこんなに頑張ってるんだから、いいかな、言っても。
テ:何?(本当はドキドキしている)

パ:う~ん。あの子がグラビア・アイドルでデビューしてから、もう3年なんだけどね。・・・これ、人には言わないでね。内緒にして。今、売り出し中だから。
テ:ええ・・・。
パ:デビューしてまもなく、ジュンちゃんに惚れちゃったのよ。
テ:(ドキッとしながらも冷静に)いくつの時?
パ:21だったかな。デビュー当時、割合頻繁にジュンちゃんが撮ってたから。それで、好きになっちゃったみたいで。ジュンちゃんて頼れる感じがするじゃない?



テスは胸が痛い。


テ:それで?
パ:それでね、ジュンちゃんのとこ、押しかけて・・・。
テ:それで?
パ:ジュンちゃん、大人だからさ、相手にされなくて。それで、やっちゃったの。(手首を切るマネをする)
テ:え? マリさんが?(驚く)
パ:そう。それも、わざわざジュンちゃんのスタジオ「コッキリ」の前に行ってさ。
テ:・・・それで・・・?


パ:ジュンちゃんが発見して、助かったけどね。
テ:それで・・・付き合ってるの?
パ:一回、ジュンちゃんが離れようとしたら、またやっちゃったのよ。今度はガスで・・・。そういう人って、何回もやるじゃない。
テ:そうだったの・・・。(苦しい)
パ:うん。だから、ジュンちゃんもずっと面倒見ていくんじゃないの。一年前くらいから、ジュンちゃんも年貢を納めたというか諦めたというか、恋人として普通につきあってるからね。普通の感じで付き合ってるでしょ?
テ:ええ。・・・そうなの。そうだったの・・・。見た感じ、かわいい人だけど。明るい感じもするし・・・。
パ:うん・・・かわいいけど、キケンだよお。ホント、相手が命がけだからね。感情の起伏が激しいんだよね。元気な時とそうじゃない時がぜんぜん違うもん。 ジュンちゃんもちょっとかわいそう。ジュンちゃんのせいじゃないんだけどね。まあ、今が幸せならいいんだけど。
テ:うん・・・・。


そんなことがあったなんて・・・。





カフェテリアの中から、ジュンスがやってきた。
にこやかに、編集者に手を上げた。


ジ:お待たせ。(微笑む)
パ:やあ、まだお嬢さんは来てないから、大丈夫。急で悪かったな。
ジ:この貸しは大きいよ。(笑う)


ジュンスがテスを見ると、テスはちょっと俯いて、顔色が青ざめている。


ジ:どうした?
テ:うううん・・・。(首を横に振った)
ジ:顔色が悪いぞ。(見つめる)
テ:うん。ちょっと失礼して、化粧室へ行ってきます。


パクが心配そうにテスを見つめた。
テスはパクに「言っちゃだめよ」と目配せして、化粧室へ向かう。


ジ:パクさん、どうしたの?
パ:テスちゃんは優しいから。


パクはテスを見送って、それ以上何も言わなかった。







帰りのジュンスの車の中でも、テスは物憂げに外を見ていた。
ジュンスは気になり、ちらっちらっとテスを盗み見する。


ジ:どうしたんだ?
テ:うん・・・。先生には関係ないわ・・・。(ドアに肘をかけて頬杖をつきながら、外を見ている)
ジ:先生か・・・。(苦々しい顔をする)
テ:ジュンスだって、一人で黙って考え事したい時があるでしょ?
ジ:まあ・・・でも、どうした? (気になる)
テ:自分は何も言わないくせに、私ばかりに聞かないで。(少し目が潤んでいる)


ジ:言ってみろよ。(気になる)
テ:やだ・・・。
ジ:・・・。
テ:あなたって、いつも私に聞くだけね。自分のことは、ちっとも話さない・・・。いつも肝心なことは話さないのよ・・・。
ジ:・・・。どうした?
テ:自分は何にも言わないで、私に聞いてくる・・・。そんなに気になる?(テスがジュンスのほうを見る)
ジ:・・・。
テ:私のことが気になる?
ジ:・・・話せよ、気になるじゃないか。(前を見て運転している)
テ:だったら、ちゃんと心配してよ! 心配できないんだったら聞かないで・・・。
ジ:どうしたんだ?
テ:・・・。


テスは横を向いた。涙が出てきて、ジュンスに顔を見せることができなかった。







スタジオに戻って、荷物を置き、ジュンスが溜息をついて、テスを見た。
テスも荷物を置いて、ちょっと溜息をついて、何気なくジュンスを見る。
ジュンスがじっとテスを見つめている。


テスはやさしい表情をして、ジュンスに近づき、ゆっくりジュンスのウェストに腕を回して、ジュンスを抱く。二人は見つめ合った。


ジ:どうしたの?(やさしく聞く)
テ:うううん・・・(首を横に振る)ちょっとこうしていたいだけ・・・。


テスはジュンスの胸に頬ずりして、深呼吸して、「ふ~ん」とやるせない声で出して溜息をついた。


ジ:テス?(やさしく声をかける)
テ:抱いて・・・。


ジュンスがテスの腰をぐっと引き寄せて抱きしめる。

何も言わず、テスの頭を撫でる。
そして、テスも、ジュンスを自分からも抱きしめるように、抱かれている。


お互い、もっと密着するように抱き直し、お互いの鼓動を体で聞いている。


それだけで、相手の思いが流れ込んでくるようで、言葉なんてなくても、愛しさが、恋しさが体を通して語りかけてくるようだ。







ジュンスとマリの関係を聞いてから、テスは切ない。

今までのように、ジュンスに抵抗したり、彼を問いただすことができなくなってしまった。


ジュンスは言った。

「おまえとは別れない。おまえが必要だから」


きっとそうなんだと思う。ジュンスは私を好きだ。


ちゃんと自分のものにできないもどかしさで、私に冷たかったり、私に嫉妬したりする。

言葉で説明できない分、体で私を抱いた。



そんなジュンスが愛しい。

たまにお互いを見つめ合う目がやるせなくて、切ない・・・。


愛しさが募るばかりだ。

もう自分の立場が二番手だとか、そんな考えをかなぐり捨てて、私は彼を抱きしめたい。



愛しい人。

ジュンス・・・。


あなたが誰のものでもいい。
私はあなたをこんなに愛している。

あなただって、同じように私を愛しているんでしょう?







ジ:どうしたんだ? おまえ、最近元気がないぞ。


ビュアでポジフイルムを確認しながら、ジュンスが言った。


テ:別に・・・。

ジュンスが顔を上げて、隣に立っているテスを見た。

ジ:別にって・・・理由を言えよ。
テ:理由なんてないわ。
ジ:そんなはずがないだろ?


ジュンスがテスの目をじっと見つめる。


テ:・・・。何が見える? 私の目の中に。(見つめ返す)
ジ:・・・。
テ:何が見えるの、先生。写真を撮る時、心は読まないの?
ジ:おまえの心は複雑すぎる・・・。

テ:(少し微笑む)簡単でしょ? 一番。
ジ:・・・。一番難しいよ。
テ:うそよ、知ってるくせに。
ジ:・・・わからない。
テ:・・・。

ジ:テス、どうした?
テ:気になる?
ジ:ああ。
テ:どのくらい?
ジ:おまえが感じてるくらい・・・。
テ:そう? たったそれだけ?
ジ:・・・。


ジュンスがちょっと悲しい目をした。


ジ:キライになった?
テ:・・・。
ジ:もう愛せない?
テ:・・・。(胸が痛い)
ジ:もうオレはいらない?
テ:・・・。(泣きたい)
ジ:答えて・・・。

テ:(ちょっと鼻をすする)あなたは? 私のことをどう思ってるの?
ジ:・・・。
テ:もう好きじゃない?
ジ:・・・。
テ:もう飽きた? どう?


ジ:好きに決まってるじゃないか・・・。



テスがやるせない目をしてジュンスを見る。



ジ:どうした? 何が辛いんだ?
テ:・・・全部。
ジ:・・・。もう、オレには、くってかからないのか?
テ:・・・うん。
ジ:・・・。もうそんなに好きじゃないの?(不安になる)
テ:うううん・・・。もういいの・・・。

ジ:何が?
テ:もういいのよ。
ジ:何が?
テ:もう、どうでも・・・。
ジ:・・・・。
テ:どうでもいいの。
ジ:テス。・・・もう愛してくれないの?(唾を飲む)
テ:うううん・・・。(首を横に振る)
ジ:じゃあ、何がどうでもいいの?

テ:もう、あなたが誰のものでも、どうでもいいの・・・。
ジ:テス・・・。(答えを教えて)
テ:あなたを愛している自分の気持ちだけで、もうそれだけでいいの。(涙がこぼれる)
ジ:オレの愛もいらないの?(胸が痛い)
テ:うん。(声を出して泣きたい)


ジ:別れるということ?
テ:・・・うん・・・。
ジ:・・・。(胸がとても痛い)
テ:・・・。
ジ:そんなことを考えないで。
テ:・・・でもね、もうとっても苦しいの。
ジ:なんで・・・好きなら、別れるなんて言わないで。
テ:あなたを苦しめたくないのよ、これ以上。
ジ:・・・。


テ:あなたがとっても愛しいの。抱きしめてあげたいの。
ジ:テス・・・。
テ:でも、もうその気持ちは自分だけのものにしておくわ。
ジ:どうして?
テ:ジュンス・・・。マリさんと別れられないんでしょ?
ジ:・・・・。
テ:だから・・・私がラクにしてあげる・・・。


ジュンスは泣きたい気持ちになる。

今、自分の手から、テスが離れようとしている。


ジ:そんなことを言うなよ。(顔を覗き込む)
テ:私がいると、あなたが迷うから・・・。
ジ:テス。そんなことを言うな。(腕を掴む)

テ:ジュンス。私はあなたが好きで、自分の立場が二番手でもなんでもいいから、あなたといたいとも考えたわ。でも・・・でも、それはお互い不幸よね?
ジ:テス。
テ:だって、それはマリさんを裏切ることになるし。あなたを裏切り者にしたくないの。私もそんな人生を生きたくないのよ。
ジ:これからどうするんだ?

テ:わからない。でも、あなたのそばにいちゃだめよ。もう離れないと・・・。


ジュンスがテスを引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。


ジ:そんなことを言うなよ。そばにいろよ・・・。
テ:・・・。でも、きっと潮時ってあるのよ。あなたが結婚して・・・本当に幸せになるためには・・・私がいちゃだめよ。でも、もう少し近くにいさせてね。行き先が決まるまで。カッコよく別れたいけど、職がないんだもん。(泣き笑いの顔で、ジュンスを見つめる)
ジ:テス・・・。(涙が出てしまう)


テスがやさしくジュンスの涙を拭った。







しばらくしたある日。
ジュンスが暗室へ下りて、テスが一人、デスクで仕事をしていると、電話が鳴った。


テ:もしもし、スタジオ「コッキリ」です。
ド:今、コッキリはいないのか?
テ:・・・ドンヒョン?
ド:うん。この間、電話を切ったのはあいつだろ?
テ:どうしてそう思うの?

ド:ちょっとね。あいつには恨まれているから。
テ:恨まれること、したのね?
ド:う~ん。

テ:何の用ですか?(強い口調で言う)
ド:おいおい。君も恐くなったな。まるで、コッキリみたいだよ。
テ:ご用は?
ド:・・・飯でも食いに行かないか?
テ:また、そんなこと言って・・・。
ド:どう?

テ:ねえ、うちの先生に何したの? なんで恨まれてるの?
ド:勝手に恨んでるだけさ。(笑う)この間、出版社の前で声をかけた時も、まだあいつの中にわだかまりがあったみたいだし、あいつもしつこいなあ・・・。
テ:だったら、声なんかかけなければいいじゃない。
ド:まあな・・・。
テ:コッキリに許してほしいのね? あなたのことを。・・・あなたは彼を好きなんだ。
ド:ま、どうかな! ねえ、どう? コッキリのアシスタントさんとは食事がしたいな。

テ:どうして私を誘うの? 女なんていくらでもいるじゃない?
ド:う~ん、気になるんだよ、君が。
テ:コッキリといたから?
ド:・・・そうかもしれない・・・。

テ:人の女が好きなの?
ド:そんなわけじゃないよ。(笑う)君とコッキリは・・・そうなの?
テ:違うわよ・・・。言ってみただけ。あなたを試しただけよ。
ド:・・・どう? 会わない?
テ:ドンヒョン、私・・・・。(少し考える)いいわ。会いましょう。
ド:え、ホント? 今日はついてるなあ。(喜ぶ)どこで会おうか・・・・。
テ:ねえ、ちゃんとお話ができるところがいいわ。少し、あなたとお話したいの。
ド:わかった・・・。じゃあ、ソウルホテルの地下のバーはどう? あそこのカウンター。
テ:いいわ。

ド:明日の晩は空いてる?
テ:ええ。
ド:じゃあ、う~ん。8時にどう?
テ:ええ。行くわ。
ド:楽しみにしてるよ。(囁くように言う)
テ:こちらこそ。(気を引くように言う)


テスは受話器をおいて、じっと電話を見て考えている。




ジュンスが階段を上がってきた。


ジ:おい、昼飯でも食べにいくか?
テ:(ジュンスのほうを振り返る)そうね。暑いから、さっぱりしたものがいいわ。
ジ:そうだな。(ジュンスがデスクの上に写真をおいた)


二人は、スタジオの玄関のドアの前へ来る。


先にドアを開けようとしたテスの髪を、ジュンスが後ろからやさしく撫でた。
テスが振り返ると、ジュンスが切ない目をして、テスを見つめている。

だが、テスはにこやかに笑った。


テ:さあ、行きましょう!
ジ:うん・・・。


テスがサッとドアを開けると、ギラギラとした昼の日差しが二人を吸い込んだ。

車のクラクションが聞こえる。

まだ日差しの強い8月の終わり。二人は並んで、街へ出かけた。





6部へ続く。




確かに思う人はいる。
そこに、確かな愛がある。

愛しい人!

でも、そこに留まることはできない・・・。



2009/06/26 10:16
テーマ:負けない力! カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

同じ誕生日の彼・・・

Photo
BGMはこちらをクリック「Never Gone」





そうそう・・・
マイケル・・・残念だったねえ・・・

ウル・ヨンジュンと、誕生日が同じだった彼・・・

最後のコンサートに向けて
「今度は、モムチャンになりた~い^^」って
体を鍛えてた彼・・・

頑張ってムキムキを目指してたのかな・・・

心臓に負担がかかったのだろうか・・・


ホントの死因はまだわからないけれど。




joonがその昔、短期間で肉体改造ができたのは、
やっぱり若かったってこと、あるよね。

最近は、菜食主義のせいか、
膝に負担をかけないようにしているせいか、

とても痩せているけれど・・・

もうあんまり、肉体的に無理をしてほしくないね。



って、私たちも切実に、気をつけようね^^


9/29までに、痩せなくっちゃ!って無理は禁物vv


joonよりマイケルに近い人・・・超えてる人のほうが多いんだから、

無理して、あの●行き・・・なんてことにならないように。


マイケルのチケットじゃなくて、ヨンジュンのチケットを手に入れようね^^





こんなことを書いているけれど、

最近、50代の素敵だった人たち、
時代を切り開いてきた人たちが、早すぎる死を迎えているからとても残念!

いまわのきよしろう・・・といい、栗本薫(中島梓)といい・・・・

一つの時代が終わったって・・・早すぎ・・・vv

まだまだ走ってる途中だよね




皆も多少お肉に恵まれてても、
そのままでいいから!

イベントでは、元気な姿で、お会いましょう!^^


もう、行く気です^^v











2009/06/26 03:07
テーマ:彼の研究^^ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

joonのチュモン?^^

Photo
BGMはこちらをクリック




 

このフォト、最近出回ってるけど^^

でも、これには一言、言いたい^^

皆これをタムドクって書いてるから。

私は、これは「チョモン」だと思っている。

ハッキリ言って、思い込みも激しい私^^
ホントのことは知らないけれど・・・。









もともとは三役で始まったテサギ。
でも、それだとストーリーがバラけるからと、2役に変更したでしょ。
それで、消えた役。

これは、どう見ても、老けてる。


タムではない。

それに、joonだとしても老けています。



やっぱり違う役だと思うの。

髪型、顔の渋さ、アゴひげ・・・。




↓当時、捕獲したフォト。


これと同じ役柄って気がするでしょ?

チョモンじゃないかな・・・。




顔に「あざ」のある男かしら?


それにしても、消えてしまった役だけれど・・・


これも、

甘ったるいファヌンとも
若くてピカピカのタムとも違う

大人の匂う男で、素敵だったように思う^^


3人いたら、迷うよね^^
誰がいいか^^


でも、動いてる「この彼」も見たかった気がする私です^^



2009/06/26 00:50
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」4




BGMはこちらで^^




BYJシアターです。


「愛しい人」4部です。
今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。


ジュンス(joon)は、必ずしも気のいい男ではありません。

でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。




ではお楽しみください。









こんなはずではなかった
私の人生はこんなはずではなかった・・・


33歳にして愛人



あの人には

恋人もいて
ちゃんとした仕事があって
ちゃんとした人生がある



なのに、

私には・・・何があるの?
全てが中途半端で
先も見えない

あの人には先が見えているのかしら?

こんなはずではなかった

こんな状況で幸せを感じるはずではなかった・・・






ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」4部





【第4章 愛のありか】

テスの仕事は、夕方前には終わっていたが、このまま、帰る気にはなれず、ジュンスが帰ってくるのを待つことにした。


あの日から、ジュンスと自分の距離はこんなに近くなったはずなのに。

仕事へ出かける時もいつも二人。
時に、テスはジュンスの部屋に泊まった。

二人で食事の支度をして、二人でくつろぎ、ジュンスはテスを抱いた。


そこには、何も入り込む余地などないようにも思われたが、テスには聞きたくても怖くて聞けないことがあった。

それは、マリのことだった。



普通はこれだけ近い距離の恋人なら、前の彼女とは別れたと、彼のほうが言ってくれるはずである。
それなのに、ジュンスはそれについて、一言も言わなかった。


テスが泊まらない日に、マリと会っていたのか・・・。
それとも、マリが押しかけてきただけなのだろうか?

テスの頭の中を、繰り返し繰り返し、そんな思いが交錯する。


あの人が私を騙していたのか・・・。
でも、どっちがホントの愛なの?

二人とも好きなの?

それとも、一人は本妻的な恋人で、一人は愛人なのか・・・。

私はどっち?


ジュンスのいない生活を考えてみる。

自分には、もう何もないような気がする・・・。

あの人を愛していることでいっぱいで、それを取り除くと、空っぽだ。









テスは2階へ上がって、ベッドを見つめた。

マリはキレイにベッドメーキングして帰っていった。
テスともジュンスとも違うベッドメーキング・・・。


流しを見る。
グラスとカップが2つずつ洗って置いてある。


テスは悔しさで涙が出てきた。


なんで・・・。
なんで・・・。








午後10時近くになって、ジュンスが帰ってきた。
スタジオ奥の電気がついているので、ジュンスがデスクのほうを見た。
テスが座っていた。


ジ:どうした? まだいたのか?(驚く)
テ:ええ・・・。(見つめる)
ジ:オレがいない時はさっさと帰っていいぞ。
テ:ええ・・・。(じっと見つめる)
ジ:どうした?(荷物を置く)



テスが立ち上がって、ジュンスのほうへ歩いてくる。


テ:マリさん、泊まったのね・・・。
ジ:・・・。(テスの顔を見ている)
テ:そのために、私を昨日早く帰したの?
ジ:・・・。来ちゃったんだよ。いきなり・・・。
テ:でも、泊まったんでしょ?
ジ:・・・。
テ:なぜ?
ジ:なぜって・・・。
テ:答えて。


ジ:・・・。
テ:あなたは・・・あなたは、私と付き合い始めても、マリさんとは別れてないのね? ・・・なんで?


ジュンスがじっとテスを見て、はっきりとした口調で答えた。


ジ:マリは捨てられない・・・あいつはオレがいないと生きていけないから。(テスの目をじっと見る)
テ:・・・・。(驚く)



テ:あなたは・・・私なら捨てられるの?
ジ:・・・・・。(見つめる)


テ:私なら、一人で生きていけるの? 今までそうしてきたから?
ジ:・・・・。
テ:ねえ。なぜ、黙ってるの! 理由があるはずでしょ? 理由がなくちゃ、そんなこと、言わないでしょ?



テ:ねえ、はっきり言ってよ。おまえはただの遊びだからって。彼女とは比べようがないんだよって。オレの中ではぜんぜん重さが違うんだよって。
ジ:・・・・。(じっと見つめている)
テ:なぜ言えないのよ! 言いなさいよ、早く! 何か言ってよ。どうしていい子ぶるのよ! あなた今、私にマリは捨てられないって言ったのよ! 別れないってことでしょ? じゃあ、私は? 私は何? ねえ、私はあなたにとって何なの? はっきり言ってよ。おまえなんか遊びだったって言ってよ。早く!
ジ:・・・。(苦しそうに見つめる)


テスがジュンスの胸を叩く。ジュンスがテスの腕をぎゅっと掴み、睨みつけている。


テ:早く言ってよ! 本当の気持ちを言ってよ!


腕を押さえられたテスは、足でジュンスを蹴った。
ジュンスは蹴られながらも、テスの腕をきつく掴んだまま放さない。


テ:もう!もう! 何なのよ、あなたは!


テスは泣きそうになりながら、ジュンスを蹴るが、ジュンスは手を放さない。


テ:バカ!

もう今にも泣き出しそうだ。


ジ:気が済んだ?


ジュンスがテスを睨んでそう言った。

彼はそれしか言わなかった。

ジュンスを見上げたテスの目に、涙があふれた。

ジュンスがテスを抱きしめ、結局、マリのことはあいまいなまま、テスはジュンスと別れることもできなかった・・・。










翌朝、テスは昨夜飲んだ酒が抜けきれず、重い体を引き摺りながら、自分のマンションの洗面台の前に立った。

なんという疲れた顔・・・。
少し浮腫んでいる。

最悪だわ・・・。




昨夜は遅かった。
でも、彼のところに泊まる気にもなれなくて、真夜中にタクシーで家まで戻った。


結局、ジュンスとはよりが戻って、家に帰ってから、浴びるように酒を飲んだ。




出勤の準備をして、テスは玄関で靴を履こうとしている。
靴べらを持って、前かがみに屈んだ。
自分でも気がつかなかったが、下を向いた時、テスは、自分の涙が床を濡らしたのを見て驚いた。


こんなあいまいな関係のまま、またあの人のところへ行こうとしている。


いったい、私はなんなの・・・!


テスは自分自身に嫌気が差して、部屋へ引き返した。


そして、ベッドに入る。
自然と涙が次から次へとこみ上げてきた。


彼は、本当のところ、私をどう思っているの?

恋人ではないの? 
私たちの関係って、恋人ではないの?

・・・愛人?
そうなの?
私は、あなたのただの愛人なの?!



そして、ジュンスは一言、テスに言った。

「おまえとは別れない。オレにはおまえが必要だから」


ああ!









午前10時近くになって、テスの携帯が鳴り続けている。

見ると、ジュンスからだ。
居留守を使っていても、ひっきりなしにかかってくる。きっとこちらが出るまで切らないのだろう。


ついに、テスは電話に出た。


テ:もしもし・・・。
ジ:おい、なぜ、来ない?
テ:今日はとても行く気になれません。(涙がこみ上げる)
ジ:・・・早く来いよ。
テ:行けないって言ってるでしょ!(泣き声だ)
ジ:休んでいいなんて言ってないぞ。
テ:じゃあ、今日は具合が悪いので、休みます。(きっぱり言う)
ジ:だめだ。出てこい。
テ:イヤ・・・。
ジ:仕事はしろよ。
テ:できないわ。(辛そうに言う)
ジ:甘えるな、出てこい。(冷たく言う)
テ:ムリです・・・。(突っ張る)
ジ:ムリでも、出てこい。
テ:とても行けないわ・・・。(また泣き声になる)
ジ:おい、仕事は休むなよ。1時間後に撮影に出かけるぞ。早く来い。
テ:ねえ、私・・・。


ジュンスの電話が切れた。
ジュンスの電話は有無を言わさなかった。

テスはしばらくベッドの上で考えるが、仕事先に迷惑をかけるわけにはいかないので、今日は仕事に出ることにした。









スタジオへ行っても、ジュンスとは目を合わせずに、スケジュールボードに従って、撮影機材の準備をした。
ジュンスも黙々と準備をしている。



結局、昨日は、ジュンスの力に負けて彼を受け入れてしまった・・・。
あんな後味の悪い思いをしたあとだったのに・・・テスはその時、ジュンスを力いっぱい抱きしめていた。



テスは自分が情けなかった。



ジ:おい、行くぞ。


ジュンスが淡々とした声で、テスに声をかけた。


結局、この人に従って自分は動いている・・・彼の仕事だもん、私が抜けたところで問題ないじゃない!


テスは撮影機材と共に、ジュンスのためのコーヒーまで用意して、車に乗り込む。


運転席のジュンスがテスをじっと見つめている。
テスはジュンスの顔を見ない・・・。

これ以上、彼にのめり込んでいくのはイヤだ。

昨日は昨日。今日はちゃんとジュンスと話そう。



ジュンスの運転する車は、今日の撮影現場である出版社へと向かった。







出版社の地下室にあるスタジオで撮影を終え、建物の外での撮影の前に昼食を取ることになった。
ジュンスとテスは、行きつけの近所の食堂へ昼食を取りにいくことにした。



二人は無言のまま並んで歩き、出版社の前の道を渡ろうとした時、後ろからジュンスを呼ぶ声がした。


男:ジュンス! おい、ジュンスじゃないか! 久しぶりだな。


ジュンスが振り返ると、自分のカメラマンの師匠であったチェ・ドンヒョンだった。現在は、女優や高級婦人誌のグラビアの写真を撮っている超売れっ子だ。前に、マリがドンヒョンに撮ってもらったと喜んで話をしたことがあった。


ジ:あ、先生。ご無沙汰しております。

ジュンスがとても硬い口調で挨拶をした。

ド:うん。(微笑む)おまえも最近、ずいぶん活躍してるじゃないか。
ジ:はあ、ありがとうございます。(少し頭を下げる)
ド:まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだな・・・。

ドンヒョンはそういって何気なくジュンスの隣に立っている女を見た。

ド:テス? ヤン・テスか?(じっと見る)

テスがドンヒョンを見て困ったような顔をして立っている。
ジュンスは二人の関係を知らないので、二人を交互に見つめる。


ド:ジュンス、彼女は?
ジ:うちのアシスタントです。
ド:そうか・・・、君も、写真の仕事を始めたのか。・・・懐かしいなあ・・・。(うれしそうな顔をする)
ジ:彼女をご存知なんですか?
ド:ああ、その昔ね。(テスに向かって)久しぶりだね。(じっと見て微笑む)


テ:ええ、お久しぶり・・・・。
ド:ふ~ん・・・。結婚したんじゃなかったの?
テ:え、ええ。(ジュンスを見て)今、仕事中なので失礼します・・・。


ドンヒョンはいつものカンで、テスの服装や様子から彼女が一人者であることに気づく。


ド:そうか・・・。(テスのほうを見て)今度、一緒に食事でもどうだ? 写真の話でもしよう。
ジ:・・・。(テスの様子を見ている)

テ:(困って)ええ・・・でも、今忙しいんです・・・。
ド:ジュンス、時間を作ってくれよ。昔、好きだった人なんだよ。(笑う)


ジュンスの顔がキュッと引き締まった。そして、厳しい目つきでテスを睨んだ。
テスが俯いた。



ジ:そうですか・・・。彼女と直接、連絡を取ってください・・・。私はその辺のことはわかりませんので・・・。
ド:そうだな・・・。近いうちに、電話するよ。ジュンスのスタジオでいいんだろ?
テ:・・・・。(困惑する)
ド:じゃあ・・・。


ドンヒョンは元気に笑って、手を振って、出版社のほうへ去っていった。




テスは前に、写真の現像を当時の恋人から習ったと、ジュンスに打ち明けたことがあった・・・。




ジュンスが怒ったような目つきで、テスをじっと見つめている。
テスはジュンスの視線に胸が痛くなって、通りの反対側を見て、さっさと通りを渡った。



ジュンスが後から通りを渡り、テスの横に並んだ。


ジ:あいつがおまえの元恋人だったのか・・・。
テ:ええ・・・。(前を見ている)
ジ:あいつがおまえに写真を教えたのか?
テ:(立ち止まり)ええ、そうよ。(ジュンスを見る)
ジ:そうか・・・。


テ:ジュンス、あなたと彼の関係は?
ジ:オレの師匠だよ・・・。



今度はジュンスが先に歩き出した。


テ:ジュンス。(追う)
ジ:・・・・。
テ:ねえ、ケンカでもしたの? なんか・・・さっきのあなたの様子、変だったわ・・・。


ジュンスがテスの顔をちらっと見た。


ジ:オレの恋人を奪い取っていった男だよ。
テ:・・・ジュンス・・・。


そういって、ジュンスはさっさと先を歩いていってしまった。








二人はいつもの小さな食堂に入った。


向かい合って座ったジュンスが、怖い顔でテスを見つめている。


テ:なあに?
ジ:あいつの元女か・・・。(睨んでいる)
テ:そんな言い方はやめて。大学4年の時に知り合ったのよ。一年も付き合っていないわ。それで、写真を少し習ったの。
ジ:そう・・・。(苦笑して、舌打ちをする)あいつの手口だな・・・。
テ:・・・。
ジ:一緒にあいつの暗室へ行ったの? (テスを睨む)
テ:・・・。(じっとジュンスを見つめている)
ジ:そうだね。おまえは暗室の手順を知っていた・・・。(見つめている)
テ:それがどうしたの?
ジ:・・・そういうことか・・・。(まいったという顔をして横を向く)



二人は黙り込んだ。


テスは暗室の中で彼がテスを抱いたことを思い出した。きっと、ジュンスも同じことを思っているに違いない・・・。




二人の前に料理が出された。


箸を持ちながらも、二人とも料理を見つめているだけで手をつけない。


テ:ジュンス・・・。(顔を上げる)


ジュンスが少し怒ったような顔をして、テスを見た。


テ:ジュンス・・・。怒らないで・・・。怒ることじゃないでしょ・・・。もう10年も昔の話よ。
ジ:怒っちゃいないよ。・・・ただ、ひどいめぐり合わせだと思っただけだよ・・・。


テ:ジュンス・・・。(料理を見ながら)まるで汚いものでも見るような目で私を見ないで。
ジ:・・・。(鋭い目付きでテスを睨んでいる)


テ:今のあなたは、彼に近いことをしているのよ。(顔を上げる)そうでしょう? だって、私は愛人だもの・・・。恋人ではないんでしょう?
ジ:・・・。
テ:結局、あなたはマリさんとは別れなかった・・・。私の気持ちわかる? 今、どんな気持ちか・・・。とても惨めなのに・・・あなたとこうしているのよ。(吐き捨てるように言う)
ジ:・・・。
テ:あの人を、今のあなたは責められないわ・・・。
ジ:・・・。(苦々しい顔をして、窓の外を見た)



それでも、二人は仕事のため、そこで食事を終えて、出版社へと戻っていった。










ジュンスとテスの感情は、ドンヒョンの出現によって、よりよじれを生じさせた。

テスと関係しても、恋人のマリと今まで通りに付き合っているジュンス。
そして、ドンヒョンとテスの過去に、ジュンスがイヤな感情を持っていることは、明白だ。

それなのに、ジュンスへの愛を断ち切れない。
彼と別れるべきだと思うのに、その気持ちの倍返しで、ジュンスへの愛が広がっていく・・・。

彼だって、私のことを好きよ、きっと。
ドンヒョンと私の過去をあれだけ嫌がるのは、私が好きな証拠よ。
だって、ただの遊びだったら、あんな目はしないわ・・・。


でも、ジュンスをどんなに思っても、今のテスの立場は変わらない。


彼がマリと別れない限り、私はジュンスの「愛人」でしかない。











ジュンスと知り合って、しばらく安定していたテスの心が壊れた。

テスはまた今の状況から逃げたくて、夜な夜な、浴びるように酒を飲んでいる。


一人で家にいることが辛い。
ジュンスの温もりを求めている自分が悲しい。

転々として、一人で眠ることができない。

ユニのグラスを見る度に胸が熱くなる・・・。



ユニを失った後も辛かった・・・。

でも、あの時は、ユニがいつもそばにいて、心を助けてくれた。
いつも、テスにやさしく囁きかけてきて、テスの辛さを和らげてくれた。

でも、最近は、ユニはテスを慰めない・・・。
自分のことを忘れ、女として生きようとする母親には助け舟を出さない。





テスは今日も、仕事からまっすぐ家に帰ることができなくて、ジュンスと二人でよく出かけた馴染みのカウンターバーへ寄る。

一人カウンターに座って、酒を飲む。
ただ一人、黙々と酒を飲む。

もう、ユニはつまみを食べろとは言わない・・・。









ジュンスはテスが帰ったあとも、デスクで仕事を続け、やっと2階の部屋へ戻る。
冷蔵庫を開けて、ビールを取り出す。

ここのキッチンでひと頃、テスがジュンスに料理を教えてくれた。

「あなた、もっと薄く切らなくちゃ。こんな厚いの、だめよ」
テスが笑った。

テスは教えるだけではなく、おいしい料理を作ってくれた。
そこには、やさしい愛情が入っていて、ジュンスの心を満たした。






ドンヒョンとテスが過去に恋人であったことが、ジュンスの過去の恋を思い出させた。

当時、愛していた女を師匠である男に奪われた。
それがもとで彼はドンヒョンの元を去り、独立した。

あの時の彼女は、それからすぐにドンヒョンとも別れた。
そして・・・その後始末に、自分は付き合わされた。


彼女が産婦人科の手術室にいる間、まるで、その責任の一端が自分にあるように、その廊下で彼女の安否を気遣った。

苦い思い出。
もう名前すら忘れかけていた恋人だったのに。それがテスとオーバーラップしてくる・・・。



テスに対して、今の自分はあのドンヒョンと同じように、あいまいに自分の都合だけで接している。


マリがジュンスの恋人の席にいる。


自分は、テスを恋人ではなく愛人にした・・・。




自分の心に従って掴んだはずの恋だったのに。

愛しているのに。


ジュンスは今、一番愛しているはずのテスに一番の苦痛を与えている。


テスと別れること、テスを失うことは、今のジュンスにはできない。

苦しそうに、辛そうに、悲しそうに、ジュンスに抱かれるテスを見ていても、ジュンスはテスを手放すことができない。



先日のドンヒョンの一件で、ジュンスは混乱し、テスをあんな目で見つめたことを悔やんだ。
ドンヒョンに引っ掛けられて自分から離れた女は、昔の恋人で、テスではないのに。





ジュンスは急にテスに会いたくなった。
明日の朝になれば、彼女はここへやって来るが、今彼女に会いたい。

テスには何も悪いところなどないのに、彼女を奈落の底に落としている。
ただオレがテスを愛しているために、彼女は奈落の底へ落ちた。

テスに詫びなくてはいけない。全てがオレのせいだ。





ジュンスがテスの携帯に電話する。
しかし、彼女は出ない。
何度も携帯に電話を入れるが出ない。

家に電話して見る。出ない。


こんな真夜中に、家にも帰らず、こんな時間まで何をしているのか・・・。

たった一人の彼女に行くところはあるのか?
ユニの待つ家以外に・・・。


ドンヒョンか・・・。
あいつとこんな夜更けに一緒にいるのか・・・。





ジュンスは居ても立ってもいられず、街に出た。
テスが立ち寄りそうな店を回って歩く。


二人でよく飲みにいった店のマスターがジュンスに挨拶する。


マ:ああ、テスちゃんなら、さっきまで飲んでたよ。一人で浴びるほど・・・。どうしたの? ケンカでもしたの?
ジ:いや・・。何時頃帰りました? 
マ:15分くらい前かな。
ジ:サンキュ! じゃあまた!



ジュンスは店を出て近くを探し回る。

もう時計は2時近くだというのに、テスはどこへいったんだ・・・。







泥酔状態になったテスは、もう人通りのない通りに寝転んだ。


はあ・・・。


大の字になって寝転ぶ。





ジ:おい、テス! 大丈夫か? 起きろよ。どうしたんだ! こんなところで寝るなよ。テス!(テスの体に手をかける)
テ:うるさいな。何よお~。(手を払う)


テスは男に触られて驚いて、開かない目をなんとか開き、その男の顔を見ると、テジョンが顔を覗きこんでいる。


テ:テジョンさん? ジュンスの弟のテジョンさん?
テジ:・・・うん・・・・。
テ:お久しぶりね。元気だった?
テジ:こんなところで寝てたら危ないだろ?(やさしく言う)
テ:どこ?(ちょっと周りを見渡す)
テジ:道の真ん中だよ。
テ:ええ? (うそ!)
テジ:さあ、起きよう。起きましょう。


テジョンに肩を貸してもらって、起き上がろうとするが、体が重くて起き上がれない。



テ:ごめん・・・。重いよね。
テジ:ホントだね。(笑)引き摺っていくよ。とにかく、道の真ん中はダメだよ。
テ:うん・・・。


テジョンは、テスの両脇に腕を通して、道の端に連れていく。


テジ:どうしたんだよ? こんな時間まで・・・。心配させやがって・・・。(怒ったような顔で見つめる)
テ:私が酔っ払いだったの、知らなかった?
テジ:知らない・・・。
テ:う~ん・・・そうよね、アニキも知らないもんね。もう、2年も酔っ払ってるの。(笑う)おかしいでしょう?
テジ:おかしくはないけど・・・。(悲しそうに見つめる)
テ:娘を亡くしてから、ず~~と酔っ払ってんの。・・・でもね、アル中じゃないのよ・・・。そう、アル中じゃないの・・・。でも、毎晩、飲まないと眠れないの・・・。でも・・・でもね、ついこの間までは、飲まなくても大丈夫になってたの・・・。
テジ:・・・。(胸が痛い)
テ:でも、まただめになっちゃった!(笑う)バカだよね~。
テジ:体に悪いよ。(やさしく見つめる)
テ:そうね・・・。うん。しばらく、飲まなかったけど・・・。また、飲んじゃった・・・。(寂しく笑う)


テジ:大丈夫?
テ:うん。いつものことだから・・・。いつもは家で飲んでるから、転んでも大丈夫なんだけど・・・今日は外だからね・・・。ごめんね。心配かけたね。
テジ:それはいいけど・・・。アニキを呼ぶ?


テ:なんで?
テジ:だって、アニキのほうがいいだろ?
テ:テジョンのほうがいい!(笑う)アハハハ・・・。あなたのほうがいいわ!
テジ:そう?
テ:うん。あんなろくでなし!
テジ:その言い方はちょっとさあ・・・。
テ:いいのよ、あんなやつ!
テジ:・・・・。(じっと見つめる)
テ:あんなやつ、どうでもいいわ・・・・。(言い切る)
テジ:そんなにダメ?
テ:うん! 私を惑わすだけの、バカやろうよ。


テジ:アニキが好きなの?(声は軽いが、顔は真剣だ)
テ:キライだと思ってた?
テジ:そんなことはないけど。
テ:好きよ。だ~い好き! フフフ・・・はあ~。(笑う)・・・好き過ぎて困ってんのよ。・・・諦められなくて困ってんの。
テジ:・・・・。(胸が痛い)
テ:でもね。あいつは・・・私なんかどうでもいいの!
テジ:どうでもって・・・。
テ:だって、ちゃんと恋人がいて、楽しそうじゃない。


テジ:ちゃんと気持ち聞いてみたの?
テ:うううん・・・でも、わかる・・・。


テジ:そうかなあ。
テ:うん・・・。


テジ:・・・君がアニキの部屋に泊まってたの、知ってるよ。
テ:・・・そう? ホント? いつ?(人に見られたことってあったのかしら・・・)
テジ:うん・・・。
テ:そう・・・。


テジ:遊び?
テ:まさか・・・私って、そんなに軽い感じ?
テジ:イヤ・・・。
テ:私は好きじゃなくちゃ、イヤ・・・。でも、あいつはどうかな・・・。彼女もいるんだし・・・私と寝ても、あの子と付き合ってるもん・・・。
テジ:・・・うん・・・・。


テ:あっちが遊びで、私と付き合ってるのよ。(吐き出すように言う)
テジ:そうかなあ・・・。
テ:ねえ! 私、愛人! どう? この響き!
テジ:・・・・。
テ:最低でしょ?
テジ:・・・。(辛い)


テ:でもね、でも、幸せなの・・・。バカだよね・・・。一緒にいると、辛いのに、その瞬間、幸せなの・・・。変だよね・・・。
テジ:テス・・・さん・・・。(胸が痛い)
テ:私、頭がちょっと変になってんの。・・・きっと、そう・・・。



テジ:さあ、帰ろう。
テ:まだ、一緒にいて。寂しいから。
テジ:送っていくよ。
テ:一緒にいて。一人じゃ、やりきれないから。
テジ:立って。
テ:一緒にいて・・・。
テジ:いいかい。僕に負ぶさって。大丈夫?
テ:一緒にいてね。
テジ:・・・うん・・・。
テ:ハア・・・。ありがとう・・・。
テジ:テスさん? テス? おい? おまえ、しっかりしろよ。 寝ちゃったのかよ、おい! テス! 起きろよ!
 







テ:あ~あ。テジョン君!


テスはベッドで伸びをして、目を覚ますと、そこはスタジオの2階のジュンスのベッドだった・・・。

なんで?
なんでここにいるの?

昨日、テジョンに会って・・・・。

あ!


テジョンがソウルにいるはずはない。
イラストレーターの彼は今、インドにスケッチ旅行に出ている・・・。



キッチンのほうで音がしている。

ジュンスがコーヒーを入れている。


彼の足音が近づいてくる・・・。


ジ:起きた?
テ:うん・・・。
ジ:コーヒーでも飲むか?
テ:うん・・・。
ジ:こっちへ来いよ。
テ:うん・・・。

ジュンスの声がやさしい。


テスが痛い頭を抱えて、ダイニングへ向かう。途中、階段の横を通る。

この階段を背負って上がったんだ・・・。



テ:昨日はありがとう・・・。階段、たいへんだったね。
ジ:え? ああ。逆さ吊りで、引き上げたから、後で体が痛いと思うよ。
テ:うん・・・。でも、ありがと。


二人はテーブル越しに、控えめに見つめ合った。

ジュンスの用意したコーヒーを飲む。
二人とも黙っている。


ジ:・・・仕事はちゃんとしろよ。
テ:・・・わかってる。
ジ:・・・・。
テ:・・・・。



ジ:じゃあ。(立ち上がる)オレは下で仕事してるから。適当に下りてこいよ。
テ:はい。



ジュンスが階段を下りようとして、立ち止まり、


ジ:もうあんまり・・・酒は飲むな。
テ:・・・・。
ジ:返事は?
テ:わかった・・・。
ジ:うん・・・。





ジュンスが階段を下りていった。

テスが気持ちを吐露した相手は、ジュンス本人だった。でも、彼はそれについても何も語らなかった。








5部へ続く






心のそこにある思い・・・。

そして、ジュンスの胸のうちには何があるのでしょうか?







2009/06/25 08:46
テーマ:彼の研究^^ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

いつか、こんな日が!^^v

Photo
BGMはこちらで^^



ウル・ぺ・ヨンジュンがやってくるとわかって
活気づいてる私たち^^

joonも俳優の仕事だけでなく、
韓国を世界に知らしめるのに
本当に頑張ってるね^^

取材中のjoon~、かわいくて愛しいねえ^^



ホントにこんな人は、そうそう出てこないvv

何百年に1人の逸材だよね^^


きっと、歴史に名を残すよね。


20世紀後半に生まれ、21世紀の世界にアジアを代表する俳優となり、
そして、ブラブラブラ・・・・・^^



「へえ、まだ、アジアって時代の人なんだね」

「そうそう^^ この小さな国から出てさ、世界を一世風靡したんだよ」

「へえ、すごい人だね」

「あ、ただ一つ残念な点は、俳優でありながら、若い時代の作品が少ないことだって」

「ホントだ・・・うそみたいに少ないね・・・」


なんて、子供たちは、世界偉人伝を読んでいる。







「ねえ、ファン・ジニ。おもしろかったよ」


「私ねえ、今、ぺ・ヨンジュン、見てるの」

「あのDVD、面白い?」

「結構ね・・・。だけど、長いんだ。チュモンかぺ・ヨンジュンかって長さvv」

「で、どこまでいったの?」

「まだ、30代半ば・・・今見てるところ、アニメ冬ソナってのの、アフレコやったんだけど、
本人を出せって暴動になっちゃって、アニメの中に、ぺ・ヨンジュンだけ、実写で
作り直したって、すごい事件のところなの!」

「すご過ぎ!」

「ママがここからがいいって言うんだけど・・・。
うちの曾おばあちゃんが嵌ってて大変だったらしいんだ。この暴動にも参加したみたいvv」

「そうなんだ・・・vv」

「なんか、最期はこの人がダンナだったって思い込んで死んじゃったの」

「すごいおばあちゃんね!」

「でしょ?^^」


「あ、でも、それ、本でも読んだよ。そういう人続出しちゃったんだって」

「やっぱり」

「それで、『愛する妻たち』のために、共同墓地作ったらしいよ」

「へえ・・・」

「でも、そんな人ばっかりでなかなかいい女に出会えなくて、この人、苦労したみたい」

「まだ、30代はストーリーに若い人出てこないのvv」

「それ、見てて、キツくない?」

「そうなの。でも、あと、20話見ると、恋愛が入ってくるらしいから」

「な、がいね~~~。大変な人だったのね!」

「でも、キムチを世界一の漬物にした人だもん。
エスキモーがキムチなしでは過ごせなくなったのってこれ以降だって」

「うそ! エスキモーのお料理じゃなかったんだ」

「そう、違うのよ!」


なんて、若い子たちは、
今や料理の歴史とともに、ぺ・ヨンジュンの自伝的DVDを見ている・・・


ああ~~~~

そんな時代まで、

ババも生きたい!^^


いや、その前に、


9月のイベントに行きたいものじゃ^^v





2009/06/25 00:46
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」3




BGMはこちらで^^


BYJシアターへようこそ。

こちらは、2006年4月から連載したものです。



本日は「愛しい人」3部。

今回は相手役にキム・ヘスさんを迎えて大人の恋の物語です。


ジュンス(joon)は、必ずしも気のいい男ではありません。
でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。





ではここより本編。
お楽しみください。








こんなはずではなかった
私の人生はこんなはずではなかった・・・


33歳にして愛人



あの人には

恋人もいて
ちゃんとした仕事があって
ちゃんとした人生がある



なのに、

私には・・・何があるの?
全てが中途半端で
先も見えない

あの人には先が見えているのかしら?

こんなはずではなかった

こんな状況で幸せを感じるはずではなかった・・・






ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しいひと」3部








【第3章 交錯する心】

ジュンスとテスが、暗室での仕事を終えて、一階へ上がっていくと、テジョンとマリが楽しそうに話している。


マ:ジュンス!(満面の笑顔)


飛びつこうとすると、彼の後から、テスが階段を上がってきた。
マリはそれに驚いて、ジュンスを睨みつけた。


マ:暗室へ連れていったの?
ジ:なんで? 仕事だよ。
マ:へえ・・・。私には入っちゃいけないって言ってるくせに!
ジ:おまえは何をするかわからないからさ。こっちは仕事をしてるんだよ。


ジュンスがデスクの方へ行こうとするが、マリが前に立ちはだかる。


マ:オバサンと暗室で仕事?
ジ:オバサンて、この人はヤンさんだよ。(イヤな顔をする)
マ:羊と二人なら、地下へも行くのね?
ジ:この人は羊じゃなくて、カメラマンの卵だから。

マ:・・・いつから?
ジ:え?
マ:ただのお手伝いじゃなかったの?
ジ:最初から卵だよ。だから、ここにいる。


ジュンスはちょっとうんざりした顔でマリを見て、マリの横を通り過ぎて、自分のデスクへ向かう。テスもそれに続いて少し困ったような顔をして、マリの横を通り過ぎた。


マリは助けがほしくて、テジョンを見た。
テジョンも両手を広げて、「さあ?」というジェスチャーをしているだけだ。



マ:ジュンス!


ジュンスのデスクまで行く。


マ:ねえ、ねえったら! ジュンス!
ジ:何だよ?
マ:ムシしないで!
ジ:してないだろ? もうすぐ終わるから待ってろよ。
マ:・・・。


ジュンスがマリを見上げると、マリは子犬のような目をして、ジュンスを見つめている。



ジ:わかったよ。ヤンさん、申し訳ないけど、テジョンと二人で食事してやってくれる? 残業代はつけるから。



さっきは、テジョンから自分を守るために一緒に地下へ潜ったのに、今はテスをテジョンのもとへ送った。

やっぱり、マリが一番大事なんだ・・・。



ジ:いいでしょ? こいつは話がおもしろいから、付き合ってやってくださいよ。
テ:・・・ええ・・・。
ジ:じゃあ、お金はヤンさんに預けるから。おまえは彼女に食べさせてもらって。


テジ:OK! アニキ。じゃあ、ヤンさん、行きましょう! ねえ、ファースト・ネームは何ていうの?
テ:テスです。
テジ:テスさん・・・。かわいい名前だなあ。じゃあ、テスさん、行きましょう!
テ:ええ。



ジュンスは、テジョンが「テスさん」と呼んだ時、ちょっと反応して、上目遣いにテスの顔を見た。

テスもその視線に気がついたが、それの意味するところがよくわからなかった。




テスとテジョンは、二人を残してスタジオを後にした。
テスがちょっとスタジオを振り返った。


テジ:どうしたの? 気になる?(笑う)
テ:いえ・・・。
テジ:恋人同士だもん。楽しくやってるよ。オレたちも楽しく食事しましょうよ!
テ:・・・ええ。
テジ:アニキ、いくらくれたの?


テスがお金を見せる。


テ:なんだ、それだけ? ねえ、安いことで食べて、残りを二人で山分けしない?
マ:ええっ!
テ:そうしようよ、ね!


テジョンは気楽そうに、テスを見て笑った。








それからしばらくした、7月のある休日。

「休みだけど、午後からでいいから、出勤してくれる? ちょっと手伝ってほしいんだ」とジュンスから電話が入った。



テスがスタジオへ入っていくと、ジュンスが鼻歌を歌いながら、2階から軽やかに階段を下りてきた。


テ:なんか、ご機嫌ですね!(声をかける)
ジ:ああ、来たか。(うれしそうに見る)
テ:急ぎの用ですか?
ジ:うん、まあね。


ジュンスはそういうと、にこっと笑った。


ジ:実はね、この前出した「君の街」が好評で売れ行きがいいんだってさ。
テ:ああ、やっぱり! あの写真集、よかったもの。モノクロの感じもよかったし・・・女の子が主役だけど、街に生命力があるというか・・・。街の息使いみたいなものがよく出てたもの・・・。
ジ:(うれしそうに)そうか?(目を輝かせて顔を見る)

テ:ええ。ほら、女の子が振り返って立ってるの、あったでしょ? バックの空を、雲がものすごい勢いで流れてる感じもよく出ていたし・・・それに、街がなんとなくノスタルジックで、すごくよかった・・・。
ジ:そうかあ。おまえにそういってもらえるとうれしいよ。おまえに金一封出すよ。(ちょっと睨みつけて笑った)
テ:え、ボーナス? うれしいけど・・・でも、どうして? いいんですか?
ジ:ふ~~ん。おまえのおかげで、女を撮る目が少し変わったって感じかな・・・。


ジュンスは頷きながら、テスの前を通りすぎて、デスクへ向かう。


テ:私のおかげ?(ジュンスをじっと見ている)
ジ:そう・・・。


ジュンスは自分の席に座ると、イスを反らしながら、テスの顔をじっと見ている。


ジ:おまえが女を感じさせてくれたから・・・。(強い視線でじっと見つめる)
テ:!!


テスは今のジュンスの言葉で胸を射られたように、立ち尽くした。

もし後ろに壁があったら、テスはジュンスの放った矢に押されて、ボン!と壁に貼り付けられていただろう・・・。


テスはぼうっとした目で、ジュンスを見つめた。


ジ:そう、おまえが女を思い出させてくれた・・・。(笑う)最近、マリもそうだけど、若い子ばっかり撮っていたから、女のニオイとか温もりとか・・・色気とか、柔らかい面や意志の強さとか、そんなのを忘れていたように思う。それを思い出させてくれたんだ。



テスはジュンスがどういう気持ちで言っているのか、よくわからない・・・。


単純に、私にお礼を言いたいの?
それとも・・・私に好意を持っているということなの?




ジュンスが立ち上がった。


ジ:ということで、今夜はご馳走するよ。
テ:・・・。
ジ:いいだろう?(笑って見つめる)
テ:ええ・・・。

二人は、仕事の時は大抵一緒に食事をしているというのに・・・ジュンスは改めてテスを誘った。


ジ:今日はオレが手料理を作るから。
テ:え! そうなの?!


テスの胸がキュンとした。
この人が私のために料理を作る・・・。


テ:ありがとうございます。(にこっとする)
ジ:うん・・・。仕事が終わったら、2階で食べよう。
テ:はい・・・。



初めての2階・・・。
それはプライベートな空間・・・プライベートな時間だ・・・。



仕事を片付けて、夕方、二人は2階へ上がった。

初めて見るジュンスの部屋はワンルームで広々としている。

キッチンからはベッドは見えにくいが、部屋全体が見渡せる。なかなか小奇麗に暮らしている・・・。

そうか・・・マリさんが泊まるもんね・・・。




ジュンスは、早速料理にかかった。


ジ:パスタでいいよな? あと、手羽先をオーブンで塩コショウで焼く。それだけだけどいい?
テ:ええ、十分! う~ん。(周りを見渡す)先生、私、テーブルセッティングをします。
ジ:そう、ありがとう。ここにフォークやスプーンが入ってるし・・・。この辺の引き出し、紙ナプキンも入ってると思うから。見て。
テ:はい。



テスはテーブルを拭き、テーブルセッティングをする。
ジュンスはパスタを茹でながら、ソースを作っている。



ジ:もうすぐできるから。そうだ、冷蔵庫にレトルトのビシソワーズが入ってるから、カップに移して。サラダも、もう冷蔵庫から出してくれるか?
テス:はい。


冷たくなっている有名ホテルのビシソワーズをカップに移す。ガラスのしゃれたボールに入ったサラダを取り出す。



テ:あ、シーフード! 大好き! おいしそう! これ、ドレッシングはどうしますか?
ジ:なにか冷蔵庫に入ってないか?
テ:う~ん・・・ないです。
ジ:あ、買い忘れたか・・・。
テ:先生、ドレッシングなら私が作りますよ。
ジ:できる?
テ:(笑う)だって、6年も主婦してたんですよ。何が好き? フレンチ? ワイン&ビネガー? サザンアイランド? カレー味? しょうゆ味?
ジ:いろいろできるんだな。(笑う)
テ:ええ。
ジ:ちょっと待て。今、パスタができたから・・・オレに、フレンチ、教えて。


ジュンスがパスタを盛り付け、テスの横に立つ。


テ:簡単ですよ。ビネガーに塩・コショウして、オイルを加えたらOKです!
ジ:ふ~ん。


ジュンスがボールにビネガーを入れ、塩・コショウして、オイルを入れようとする。


テ:だめよ。オイルを入れる前に混ぜなくちゃ。
ジ:そうなんだ。(驚く)
テ:そうよ。ちょっと貸して。(混ぜる)
ジ:やらせて。こう?
テ:そう。そこにオイル。(ボールにオイルを入れる)
ジ:これで混ぜるの?
テ:そうよ。
ジ:これだけ?
テ:それだけ。
ジ:へえ・・・。
テ:それが基本形。ねえ、もっとちゃんと混ぜて。
ジ:こう?
テ:そう・・・。舐めてみて。


ジュンスがちょっと舐める。


ジ:ホントだ、うまい! おまえ、料理の天才だな。(感心する)
テ:でしょ? でも、塩もコショウも入れたのは先生よ。(笑う)
ジ:まあ、そうだね。(笑う) でも、ちょっと尊敬したよ。
テ:ふん。(笑う)でも、こんなの、小学生でもできるわ。
ジ:そんな簡単かな?
テ:ええ、全て手順を間違わなければ、おいしいわ。
ジ:そうか。・・・おまえ、いいこと、言ったよ。写真と同じさ。手順を間違えるな。いいな?(目がやさしく笑っている)
テ:はい。(うれしい気分だ)
ジ:じゃあ、食べるか!



二人は料理を持ってテーブルへ行く。
テスが座ると、ジュンスがシャンパンを持ってきた。


ジ:まずは乾杯しよう!
テ:はい。


栓を抜いて、乾杯をする。

シャンパンまで買って・・・。


マリさんが今、ハワイだから? それで私と乾杯してるの?



二人は向かい合って、笑顔で食事をし出す。



テ:このパスタ、おいしい!
ジ:そうか? うん、ありがとう! このサラダもうまいよ。料理はよくするのか?
テ:最近は忙しいでしょ?(笑う) だから、あまりできないけど。
ジ:今度、違うドレッシングも教えて。
テ:ええ、いいですよ。
ジ:何が一番好きなの? 得意は?
テ:う~ん、最近はね、ガーリックソルト!
ジ:何それ?
テ:サラダにパッパって、ガーリックソルトを振りかけて、おしまい~~。(笑う)
ジ:そうか・・・。それもいただこう。(笑って見つめる)






食事もワインを飲みながら、進んでくると、ジュンスがテスに尋ねた。





ジ:(ワインのグラスを見ながら)おまえに初めて恋を教えたのは誰だ?
テ:・・・それがどうしたんですか?(あまりに直球な言い方で驚く)

ジ:誰? どんな人? どんな人だった?(鳥の手羽先を手に持つ)
テ:そんなの、教えられないわ・・・どうでもいいことでしょ?
ジ:ふ~ん、女にとってはどうでもいいことか・・・。
テ:・・・。(自分の過去など言いたくない)・・・男には大切?
ジ:うん、まあな。


テ:先生は初めて女を意識したのはいつ?
ジ:10歳の時。
テ:初恋?(笑ってワインを飲む)
ジ:違うよ。(手羽先を置いた)テジョンから聞いて知ってるだろ? オレのお袋のこと。男と駆け落ちしちゃったの。



この間、テジョンから、なぜジュンスと自分の母親が違うかを聞いた。
ジュンスの母親が駆け落ちをして・・・テジョンの母親が後妻に入ったと。
ジュンスが本当の母でない、育ての親である自分の母親をとても大切にしてくれるということを、テジョンは、感慨深げに話した。



ジ:6歳の時にオレを捨てて、男のもとへ走ったんだ。・・・10歳の誕生日の日、学校帰りのオレを待ち伏せして、プレゼントをくれた・・・。お袋がオレを抱きしめた時に匂った香水・・・。胸が苦しかった・・・。「元気でね」って言って、手を振って帰っていった・・・。オレは、もっとお袋と一緒にいたくて、あとから追いかけたんだ。・・・・やくざみたいな男と一緒だったよ。あのお袋は・・・女だった・・・。
テ:そう・・・・。
ジ:なんか、10歳にして、男と女の世界を見たという思いがした。感覚的に理解したって感じかな。それで、家へ帰ったら・・・いつものように、優しいテジョンの母親がいて、オレのために蒸しパンを作ってくれていた・・・。だから、オレには、あいつの母親がホントの母親なんだ。
テ:うん・・・。(頷く)


テスが優しい視線で・・・ちょっと母親のような目で、ジュンスを見た。


それで、お母さんを大切にしているのね・・・。




ジ:本題に戻る。(笑って)どんな人だった?
テ:なぜ、そんなに聞くの?
ジ:う~ん・・・。どうやったら、おまえのような女ができるのか・・・。
テ:なあに、それ・・・。先生、それって、女性に対してとても失礼な言い方ですよ。
ジ:そうか・・・。うん・・・。最近、若い子ばかり見てるからな・・・。まだ、皆未完成だから・・・。(ワインを飲む)


テ:男の人って、最初の男になりたがるって言うでしょう・・・。先生もそう?
ジ:(笑う)おまえには一本やられたな・・・。それはあるけど・・・。ケース・バイ・ケースだろ?
テ:うん・・・。でも、そういう気持ちもあるんだ・・・。それって何? 女に対する征服欲? それで彼女に優越感を持ったり満足したりするの?
ジ:・・・。難しいことを聞くな・・・。だから、ケース・バイ・ケースだよ。



ジ:おまえは初めての人のことを思い出すの?
テ:バカみたい・・・。(呆れる)そんなことより、今、誰を好きかのほうが重要よ。
ジ:そうか。
テ:そうよ。

ジ:でも、どんな人だった?(じっと見る)
テ:くどいわ!(睨む)
ジ:教えて。
テ:なぜ?
ジ:知りたい。
テ:なぜ?
ジ:う~ん。
テ:なぜ?理由を言って。
ジ:おまえを知りたいから・・・。
テ:(胸が苦しくなってくる)・・・なぜ・・・なぜ、知りたいの?
ジ:・・・なぜだろう・・・。おまえの全てを知りたい。
テ:どうして?
ジ:どうしてか・・・。
テ:言って。
ジ:・・・。
テ:言って!(苦しい)


ジュンスがテスをじっと見つめた。


ジ:おまえがほしいから。
テ:(息ができない)・・・好きなの?
ジ:おまえを手に入れたいから。
テ:好きなの?
ジ:たぶん・・・。
テ:あいまいね・・・。
ジ:あいまいじゃだめ?


テ:・・・だめ・・・。
ジ:気持ちは発展していくだろ?
テ:言って。今の気持ち・・・。
ジ:・・・。
テ:はっきり言って。
ジ:・・・。
テ:先生には・・・。
ジ:ジュンスでいいよ。


テ:・・・ジ、ジュンスには、マリさんがいるでしょ。
ジ:それが?
テ:だって・・・。恋人でしょ?
ジ:これはおまえとオレのことだよ。
テ:なんで? マリさんも関わってるでしょ?
ジ:オレがおまえを好きだということだよ・・・マリには関係ない。




でも、マリさんも関わってるでしょ・・・・。
好きって・・・好きって・・・そんな・・・。



テ:もう帰るわ・・・。
ジ:コーヒーくらい飲んでいけよ。



二人は睨み合った。
マリの名前を口に出してから、二人の間が気まずくなった。


結局、二人は黙ったまま、コーヒーを飲んだ。


テスが化粧室から出てきて、




テ:ホントに帰るわ。(ジュンスを見る)
ジ:送るよ。
テ:飲んでるもん・・・。だめよ、車は。大丈夫。いつも一人で帰ってるじゃない・・・。今日はご馳走様でした。




ジュンスが壁に寄りかかって、テスをじっと睨んでいる。

その顔を見ると、胸がキューンとなってきて、苦しい。



でも、恋人のことが解決していない人と、恋なんてできない・・・。




テスはバッグをとって、黒い鉄の階段を下りていく。


後ろから、ジュンスがテスの腕を引っ張った。

テスは転びそうになった。

ジュンスがテスの腕を力いっぱい握り締めている。
ジュンスがテスを引き上げて起こし、抱こうとした。



テ:手を放して。
ジ:・・・・。(テスを睨みつけている)
テ:ねえ、痛いわ。手を放してちょうだい。
ジ:だめだ。
テ:どうして? 
ジ:・・・。テス。



彼が初めて名前を呼んだ。




テ:・・・・。
ジ:テス、おまえが好きなんだ・・・。おまえだって、キライじゃないだろう?



二人が見つめ合った。


時に、ジュンスに見とれているテスがいた。
時に、マリと二人のところを恨めしそうに見つめるテスがいた。



ジ:テス・・・。


ジュンスが間近でじっと見つめるので、テスは目のやり場がない・・・。


どう思ってるの? どう思ってるの? 一番? 私のほうが好き? 
どっち・・・? ねえ! ねえ!  ねえ! どっち?


ホントに好きなの??




ジュンスの目を真剣に見つめるテスの顔に、ジュンスの顔が覆った。

それは、長くて熱いキスだった。











ジュンスは、テスを後ろから抱くようにして腕枕で寝ながら、テスの乳房を撫でていたが、その手はテスの下腹部に移動した。




ジ:このお腹の傷は?
テ:帝王切開であの子を産んだのよ。
ジ:そう・・・・じゃあ、勲章なんだ、おまえの。
テ:そうね・・・。


下腹部に縦に少しケロイド状になっている長い傷を撫でる。


ジ:痛かった?
テ:手術中?
ジ:うん。
テ:うううん。だって、麻酔が効いてたから。
ジ:普通の手術と同じ?
テ:うん、同じ・・・。逆子だったから、自然分娩では産めなかったの。
ジ:全身麻酔?
テ:うううん。下半身麻酔。手術中は寝ていても、赤ちゃんを取り出してから、先生が声をかけてくれて、生まれたばかりのあの子を見られたわ・・・。
ジ:・・・そうなんだ。すごいね・・・。
テ:うん。


ジュンスはしばらくテスのお腹の傷を撫でていたが、急にぎゅっと抱き締めて、耳元で尋ねた。


ジ:また、ほしい? 赤ちゃん?
テ:・・・・。(胸が詰まった)



ジュンスの言葉はやさしいのに、テスには答えられない・・・。

そんな言葉、そんな言葉・・・。テスの胸が熱くなった。


そんなチャンスはあるのかしら?

また人生をやり直すチャンスはあるのかしら?

そのチャンスに、ジュンス、あなたは含まれているの?



テスは寝返りをして、ジュンスをじっと見つめる。

ジュンスが熱くテスにキスをした。










テスが時計を見る。

テ:帰るわ・・・。
ジ:もう少しいろよ。
テ:でも、着替えも持ってきてないし。
ジ:貸してやるよ。オレのTシャツでもジーンズでも好きなのを。


そういって、ジュンスがテスの手を掴んだ。
その手を振り解くように、テスが起き上がった。


ジ:どうしたの?
テ:それはダメよ。明日は、撮影があるもの。あなたの服なんて、皆、知っているもの。


テスがジュンスを見つめた。


ジ:大丈夫だよ。(笑う)
テ:ダメよ。わかるわ・・・そういうことはすぐに・・・。



私だって、あなたの持っている洋服はわかっているもの。
そんなことしたら、皆が気づくわ・・・。


ジ:もう少しいて・・・。車で送るから。
テ:・・・・。
ジ:朝一番で着替えに送っていくよ。それでいいだろ?
テ:うん・・・。


テスはジュンスをじっと見つめた。


あなたの温もりを放したくない。
でも、これは私のものなの?

今だけ?
今だけなの?


声に出して確認することが怖くて、できない。
揺れる思いを言葉にできない・・・。




私はこの人に恋している。
この人の、こんなわがままを許すほど、私は、この人に恋している。

でも、この人はどう思っているのだろう。

マリさんと別れてくれるわね・・・?





ジュンスに出会って、私の人生はまた回り始めた。
娘のユニを失った日から、私の思考回路は、いつも同じところをぐるぐると回っているだけだった。

それがジュンスと出会って、ユニの死を運命だったと少しずつ受け入れることができるようになってきている。

あんなに乗り超えることが難しいと思われた事件が、少しずつ、自分の中で和らいでいく。



ジュンス、ジュンス!



ジュンスがテスの体を抱きしめて、また、テスはジュンスの腕の中へ落ちていった。







ジュンスと関係を持ってから、テスにはますますジュンスはなくてはならない人となった。

テスとあの日を過ごしてから、マリはパッタリと遊びに来なくなった・・・。


別れてくれたのだろうか・・・。


聞きたいのに、聞くと彼を失いそうで、聞けない歯がゆい自分がいる。













8月に入って、暑い日が続く中、ジュンスは一人で、ロケに出かけた。

テスは出版社に提出する旅費の精算書を書かなければならなかったので、昼近くになって、スタジオへ出勤した。



今日は、ジュンスは午前4時起きで、一人ロケに出かけたはずだ。




閉め切ったスタジオの中はムッとして、テスは窓を開けて空気を入れ替える。
自分一人なので、冷房は入れず、今日はこのままでもいいだろう。

コーヒーメーカーのスイッチを入れ、自分のデスクに座って、出張旅費のエビデンスをまとめた書類箱をデスクの上にポンと置いた。





すると、2階で音がして、階段を下りてくるヒールの音が聞こえてくる。


2階から、マリがスッピンで下りてきた。

テスは驚いて、呆然と、マリを見た。



マ:あら? おはよう! どうしたの? 今日は、ジュンスは4時起きで出かけたわよ。
テ:・・・残ってる仕事があったので・・・。
マ:そう? ご苦労様!(微笑む)今朝早かったから、また寝ちゃったの。そしたら、こんな時間になっちゃった!


そういって、マリが笑った。
まだ20代前半のマリはスッピンでも光り輝いて美しい。

その自信・・・そう、充足感に裏付けられた自信と美しさに、テスは圧倒された。



マ:じゃあね。・・・あなた、何時頃までいるの? 今日は、ジュンスの帰りは遅いわよ。(ちょっと心配そうに言う)
テ:仕事を終えたら、適当に帰ります。
マ:そう? じゃあね! 頑張ってね! バイバイ!


マリが自信たっぷりに帰っていった。







昨日、ジュンスは言った。

「明日は早出だし、まる一日かかるから、おまえは来なくてもいい」と。

そして、私を早く帰した。


そういうこと?
そういうことなの?


まだ、マリともそういう関係だったの?

私とそういうことになっても・・・まだ、ずっと続いていたのね・・・。




テスはデスクに座り込み、こみ上げる悔しさと絶望感に、胸がいっぱいになった。









4部へ続く。


いったいこれはどういうことでしょうか・・・。









2009/06/24 09:06
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」2




BGMはこちらで^^


BYJシアターへようこそ。

こちらは、2006年4月から連載したものです。

作品は、脚色は2つだけで、あとは全てオリジナルストーリーとなります。

いろんな年代の女性と恋するぺ・ヨンジュン演じる彼がいますが、
ここのブログでは、全体的に年齢がアップしています・・・。

この「愛しい人」はとても人気のあった作品です。
またまた長いです・・・。
そして、こちらは、9部まであります。


今回は同じ年の二人です。
相手役にはキム・ヘスさん。
大人の恋の物語です。


9月の来日までのしばしの間・・・
こちらのシアターでお楽しみください^^

ジュンス(joon)は、必ずしも気のいい男ではありません。
でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。


注)これを書いた2006年には「キム・ジュンス」さんという人がいることも知らなかったし、
昨年、チャン・ヒョクが同じカメラマンで「コッキリ」という名前で出演することもまだまだ未知のことでした。
事実は小説より奇なり!



注:ビュア・・・写真のネガやポジを見るために、下からライトを当てた台。
        写真屋さんによくあります。
        (それをルーペで拡大して写真をチェックします。)





ではお楽しみください。









こんなはずではなかった
私の人生はこんなはずではなかった・・・


33歳にして愛人



あの人には

恋人もいて
ちゃんとした仕事があって
ちゃんとした人生がある



なのに

私には・・・何があるの?
全てが中途半端で
先も見えない

あの人には先が見えているのかしら?

こんなはずではなかった

こんな状況で幸せを感じるはずではなかった






ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス

「愛しい人」2部






【第2章 気づいた思い】


車がスタジオを出てしばらくすると、ジュンスがちらっとテスを見た。


ジ:君に言っておかないといけないな。
テ:何をですか?
ジ:君、オレがどんな写真を撮っているか、知らないんだろ?
テ:あ、すみません・・・。(ホント! 何にも調べてない・・・)
ジ:うん・・・。じゃなければ、女性がオレのアシスタントになろうとは思わないだろうから。
テ:・・・そんなマズイ写真なんですか?(ギョっとしてジュンスを見る)



ジュンスは信号待ちをしながら、体を捻って、後ろに積んである彼の写真集を一冊取ってテスに渡す。



ジ:この子、知ってる?


テスに尋ねた。


テ:いえ・・・。
ジ:グラビアアイドルなんだよ。
テ:そうなんですか・・・。(開いて見る)
ジ:見て、感想、聞かせて。今日もそういう仕事だから。


テスは顔を上げて、ジュンスの横顔を見た。
彼は真面目な顔付きでそういって運転している。



開いて、中を見ると、確かにアイドルがいろんなポーズをつけて、笑ったり睨んだり、セクシーだったりする。

それは服を着ていたり、セミムードだったり、あるいはまったく何も身に着けていなかったりする。



テスが、じっとその写真集を見ている。

あまりに静かに見ているので、時々気になって、ジュンスが彼女の様子を覗く。



ジ:どう?
テ:・・・。
ジ:これから一緒に仕事に行く気になった? それとも、やめる?
テ:・・・。



ジ:ねえ? (どうなの?)
テ:今日も裸ですか?
ジ:いや、着てるけど、少しは胸を出すかもしれないな。まあ、成り行きだけど、こういうのは。
テ:そう・・・。
ジ:どう?
テ:外ですか? 中ですか?
ジ:中。
テ:そうですか・・・。



ジ:ねえ、どうする? (ギャアチェンジする)
テ:どうするって、行きますよ。仕事だから。(きっぱり言う)
ジ:それで感想は?
テ:どれの?
ジ:その写真集の。
テ:ああ・・・キライじゃないです。
ジ:そう?(意外な感想にちらっとテスの顔を見た)


テ:ええ。
ジ:どんなところが?
テ:う~ん・・・外で撮ったものが好きです。
ジ:どこが?
テ:女の子の良さはよくわからないけど。色とか。光とか、空の色とか雲の流れとか・・・風も感じるし・・・質感も好きだし。いい写真だと思います。この子がかわいいかどうかは、わからないけど。表情はいいけど・・・この子に味があるのかどうかはわからない、私には子供過ぎて。
ジ:ふ~ん。
テ:何ですか?
ジ:なかなかセンスがいいなと思って・・・気に入ってくれてありがたいよ。(前を見たまま笑う)
テ:私も、先生の写真が好きでよかったです。




ジ:これで一つクリアしたわけだ。
テ:そうですか?
ジ:ああ、まずは合格。オレとやっていくのにね。(ちらっと見て笑う)
テ:ありがとうございます。



ジ:君のこと、聞いてもいい?
テ:何をですか?
ジ:・・・見る気はなかったんだけど・・・君の履歴書を見たんだ。
テ:それで?
ジ:うん。実際に働いたことがあるのは、たった5年なんだね。
テ:そうです。
ジ:大学を出て3年働いたあと、どうしたの? 年から考えて結婚して辞めたのかなと思って。
テ:そうです。


ジ:それで・・・また最近、仕事を始めて・・・オレみたいなところでいいの? 時間はマチマチだし、体力も使うし、奥さんがやるような・・・。
テ:実は離婚したんです。それで、仕事を始めました。
ジ:そっか。
テ:私・・・。
ジ:いいよ。事情はわかったから。
テ:もう少し言わせてください。
ジ:・・・。
テ:娘がいたんです。その子が交通事故に遭って、娘を亡くした後、結婚生活も崩壊してしまいました。
ジ:いいよ。そんなに詳しく話さなくても。オレはただ、奥さんがこんな仕事をしていて、いいのかなと思っただけだから。だって、カメラマンになるつもりはないんだろ?
テ:夫には、愛人がいて・・・そっちへ行っちゃったんです。
ジ:・・・・。
テ:ごめんなさい。余計なこと言いましたか? ただ、今の私は時間がたっぷりあって、自由の身だと言いたかっただけです。
ジ:そうか・・・。わかった。




ジ:娘さんはいくつだったの?
テ:5つ・・・。熊のプーさんが好きで・・・。そのグラスを一昨日、割っちゃったから・・・。
ジ:割っちゃったから?
テ:新しいの、買ってあげなくちゃ。(呟くように言う)



信号待ちで、ジュンスがテスを見た。


ジ:必要なの?
テ:毎日、お水やジュースをあげているから、それで。
ジ:そうか。
テ:今日、帰りに買わなくちゃ。忘れないようにしなくちゃ。(自分に言い聞かせる)


またジュンスがテスを見た。
娘のことを話すテスは、少し心理状態がおかしな感じだ。



ジ:もうすぐ着くぞ! 初めての現場だな。しっかりやってください!(笑う)
テ:はい!





そこはホテルだった。

ここのスィートルームを使って、今超売れっ子のグラビア・アイドルの撮影だと、ジュンスが言った。
地下の駐車場に入り、ジュンスとテスが撮影機材を手分けして運ぶ。



ジ:おはようございま~す。
男性編集者:おはよう、ジュンちゃん。あれ? こちらは?
ジ:アシスタントです。
テ:ヤン・テスです。よろしくお願いします。(頭を下げる)
編:へえ・・・。


編集者やメイク、スタイリストが、皆、興味深々で、テスを見つめている。



編:アシスタント、雇ったんだ。(驚く)
ジ:うん。なんかおかしい?
編:だって、普通の人みたいじゃない?(荷物を運ぶテスのほうを見て言う)
ジ:それのどこが変?
編:・・・・。


若いカメラマン志望の子ではなく、ただの30近い女性である。
周りの興味本位な視線を無視して、ジュンスがテスに仕事を教えながら、撮影の準備をする。



ジ:いいか。これでライティングの数値を調べる。こうやって、見るんだ。やってごらん。
テ:はい。こうですか?(カチャ!)
ジ:そう。わかった?
テ:はい。


ジ:じゃあ、今度はこっちへ来て。




メイク:なあんか丁寧よね~。ジュンちゃんていい人だったんだねえ。
スタイリスト:うらやましい・・・。私もジュンちゃんのアシスタントになりたかったな。
メ:やだ!(笑う)
ス:だって、そう思わない?(苦笑する)


メークの女性や編集者たちが、ジュンスとテスの様子を見守っている。


じきに、アイドルが入ってきた。


ア:おはようございま~~す。よろしくお願いしま~~す!


メークと衣装の準備をしている間、テスはフィルムの準備をする。



いよいよ、22、23歳と思われるキレイな女の子が出てきた。


ア:センセ~、よろしくお願いしま~~す!(甘えた声)
ジ:じゃあ、そこに立って。う~ん、ちょっと首傾げてみようかな。あ、今の感じ、いいねえ。君、その目、すごくいいよ。今の感じでいってみようか!


ジュンスの仕事を見守りながら、テスは彼の指示を待つ。

テスはジュンスに集中していて、まったくアイドルの変貌も目に入らなかった。

裸のアイドルの脇に立って、ライティングのチェックをした時も、気持ちはジュンスに集中していて、
アイドルはただの置物のようにしか思えなかった。



ジ:じゃあ、ここで休憩!
編:お疲れ様で~す。


ジ:ヤンさん、ヤンさん!(テスを呼ぶ)
テ:あ、はい!
ジ:休もう!
テ:あ、はい!
ジ:緊張するなよ。(笑う)
テ:あ、はい・・・。
ジ:君、オレしか見てなかっただろ?
テ:そんなことは・・・。
ジ:あの子が裸だったの、知ってる?
テ:え! そうだったんですか!(驚く)


ジ:やっぱり。(笑う)
テ:笑わないで・・・。
ジ:ごめん。エライよ。ちゃんと仕事してて。合格!(顔を覗きこんで笑う)
テ:・・・・。
ジ:あ、そうだ。ちょっと買い物に行ってきたら?
テ:何をですか?
ジ:うん・・・こっちへ来てごらん。


テスはジュンスと一緒に、窓際に立つ。



ジ:ほら、あそこに食器を売ってる店があるだろ?(指差す)来る時、車から見かけたんだ。
テ:あ、ホント。
ジ:行っておいで。
テ:え?
ジ:プーさん、買うんじゃなかったの?
テ:ああ・・・!
ジ:行ってきたら、今のうちに。
テ:はい!




編:ジュンちゃん、アシスタントさん、泣かせた?(ニヤニヤしながら言う)
ジ:なんだよ?
編:怒ったの?
ジ:怒ってなんかないよ。人聞き悪いな。(苦笑いをする)
編:そう・・・今、擦れ違ったら、ちょっと泣いてたからさ。
ジ:・・・・。




窓の外を見ると、テスが通りを渡り、店の方へ走っていく・・・。

あいつ、泣いてたんだ・・・。

テスが店の中へ入っていくのをジュンスがじっと見ている。





しばらくして、ジュンスがポットのコーヒーを飲んで休んでいると、テスが袋を提げて、幸せそうな顔をして帰ってきた。



テ:先生! ありました。それもおんなじのが! 古いお店だったけど、ホコリが一杯乗っかった箱の中に、同じプーさんのグラスがありました。(うれしそうに見つめる)
ジ:そうか・・・よかったな。
テ:はい!
ジ:・・・。


ジュンスが幸せそうに微笑むテスを見つめる。


テ:あと、お土産! これ、食べませんか。鯛焼き、売ってたから、買っちゃった!
ジ:いくつ買ったの?
テ:20個!
ジ:え!
テ:だって、ここで二人だけでなんて食べられませんよね。
ジ:よく気が利くな。(笑って見つめる)
テ:皆に配ってきますね!
ジ:うん・・・。(頷く)


テスが幸せそうな顔をして、鯛焼きをスタッフに配っている。
さっき、テスが涙ぐんでいたと思った編集者が驚いて、顔を見ながら、受け取る。



テ:最後になっちゃったけど、はい、先生も食べてください。(袋を渡す)
ジ:サンキュ!


袋の中を見ると、たった2つしか残っていなかった。


ジ:(一つ取って渡す)おまえも食べろよ。(顔を見る)
テ:いただきます。(笑顔で答える)



ジュンスとテスは並んで座り、鯛焼きを食べた。


テスはなんか幸せだ。


昨日までは寂しさと絶望感でいっぱいだったのに、プーさんのグラスが手に入っただけで、未来がまた開けたような気がする。
今日はもう酒に頼らずに寝られそうな気がする。


そうだ。今、この人は私を、「おまえ」って呼んだ。
先生との心の距離も少し縮まった気がする。
うん、全て順調!



ジ:よし! 始めるか!


ジュンスが元気に立ち上がった。





結局、その日の撮影は5時間にも及んだ。

なんというアイドルか知らないが、彼女は超売れっ子で今日一日しか時間が空いておらず、彼女のデビューした雑誌の特別撮り下ろしの写真集らしい。
アイドルが最後にうれしそうに、薄いキャミソール姿でジュンスに抱きついて喜んでお礼を言った。



とにかく、今日はいい日だった・・・。
とりあえず、うまくいった。

明日も、うまく行きますように・・・。






ジ:ここでいいの?(車を止める)
テ:ええ、ありがとうございます。このすぐ近くなんです。でも、先生。後片付け、しないで帰っていいんですか?
ジ:今日は許そう。(笑う)初日だからな。じゃあ、また明日。9時には来てくださいね。
テ:はい。
ジ:鍵は明日、作るよ。
テ:はい。お疲れ様でした。(頭を下げる)




テスは、ジュンスのワゴン車をにこやかに見送った。


あっ、いけない! 今日もお給料のこと、聞くの、忘れた!








それからのテスの仕事は、小さな失敗はあったが、全体的には順調に進んでいると言える。
テスなりに努力しているし、わからないことはジュンスに確認をしながら、メモった。
ジュンスは同じことを何度か聞いても、特にイヤな顔をせず、淡々と教えた。


それに、気になっていたお給料もまずまずだったし・・・。


当初、ジュンスが提示した金額に、テスが「えっ!」という驚いた顔をしたので、上乗せがついた。
テスとしては・・・「こんなにもらっていいんですか!」だったが、ジュンスはそれまで人を使ったことがなかったので、相場がわからず、慌てて上乗せしたのだ。

だから、テスはそれに応えて、今一生懸命働いている。

ジュンスの仕事は、ホントに時間がマチマチだったし、日によっては、ほとんどまる一日働きづめという日もあった。
でも、今のテスには、他にやることがない・・・。
それにいろいろな人と出会えるので、それも目新しくて楽しい。
こうやって、仕事が山積みの生活もなかなかハリのあるものだ。


そして、ジュンスも少し得をした。
テスはまるっきり時間に拘らなかったし、それに何より、テスは経理の仕事ができたから。
ただの若いアシスタントではそうはいかなかったから・・・。もともとお金の計算がうまくできないジュンスにとっては、絶好のパートナーと言えた。






テスが勤め出して、2ヶ月近く経った。
仕事にも慣れ、ジュンスとのコンビネーションも順調になってきた。
それにつれ、先生の、例の彼女のスタジオを訪れる回数が増えてきた。

テスはその理由がよくわからなかったが、それは何気なく聞こえてきた二人の会話からわかった。



ジ:おまえ、ちゃんと仕事してるの?(ルーペでビュアの上のポジフィルムを覗きながら言う)
マ:(ジュンスに纏わり付きながら)してるわよ。前よりいい仕事来てるし。
ジ:あんまり、ここに入り浸ってるのはよくないぞ。(手は休めず仕事をしている)
マ:だって・・・。
ジ:(マリの顔を見て)来・過・ぎ。


ジュンスはビュアのライトを消して、ポジフィルムを持って、デスクへ行く。


ジ:前は週2だったじゃない。そのくらいのほうがオレも仕事しやすいしさ。
マ:だめ? 4日も来たらだめなの?(ジュンスの後を追う)
ジ:そんなに相手ができないからさ。
マ:つまんない。(ふて腐れる)
ジ:なんだよ?
マ:だって、ほら・・・いつも、「オバサン」いるんだもん。つまんない・・。


テスの耳に痛く突き刺さる言葉だ。

オ・バ・サ・ン!


ジ:こっちだって仕事してるんだからさ。(デスクで仕事をしながら言う)
マ:前は仕事しているジュンスを見てるだけでも、二人きりだったじゃない。今はいつも3人だもん・・・。(横目でじろっとテスを見る)


ジュンスがマリを呆れたように見た。
テスは二人と同じ場所にいづらくなって、立ち上がった。


テ:先生、私、この色校正、届けてきます。他に何か用、ありますか?
ジ:う~ん。そうね・・・ヤンさん、悪いけど、2時間ほど時間潰してきてくれない?
テ:・・・あ、はい・・・。
マ:いってらっしゃ~~い。


マリがうれしそうに手を振った。




最近のテスは、さっきみたいな会話の後、自分の気持ちがガクンと暗くなるのがわかる。


マリに嫉妬しているわけではない!と思うが、少なくとも、自分の気持ちがここのところ、ジュンスに依存してきているのはわかる。


普通の職場と違って、二人きりで行動していることが多いせいか、恋人でもない、ただ雇い主に対して、気持ちがかなり依存してきている。


見た目には普通にしているが、心はかなり傾いている・・・・。


二人だけでいる時、ジュンスはよく、テスを「おまえ」と呼ぶ。
それは、親しさの表れでもあるけれど・・・彼にとっては、テスが男でも女でも同じなんだと思う。

でも、ジュンスが自然と口にする「おまえ」という呼び方が、テスの心をよりジュンスに惹きつける。
ジュンスの前では、女を出さず、サバサバして見せているテスだが、心は、相当、ジュンスに寄りかかっている。


先日も、デスクに座っているジュンスの横に立って、出張旅費を説明していた時、テスは自分が目まいでも起こしたのではないかと思うほど、ジュンスの方へ体が倒れかかりそうになった。
ジュンスに吸い寄せられたというのか、自然に体が彼のほうへ傾きそうになった・・・。そのまま、心に任せていたら、きっとジュンスの膝に座り込んでいたに違いない。

そう、心理描写を描いたら、テスはジュンスの方へ倒れ込み、抱きついていた。




ジュンスはどんな気持ちで「2時間潰してきてくれない?」と言っているんだろう?


私が女だとは思っていないから、言える言葉であることは確かだろうけど。


前はこんな時間を使って、買い物をしたりしていたが、最近は沸々とこんな考えが浮かんできて、開放感を持って、楽しく買い物ができない。

本を持って、カフェに入っても、頭の中を回っているのは、ジュンスとマリのことだけだ。



つまり。


この2ヶ月でハッキリわかったことは、ちょっと悔しいが、たぶん・・・いや、そうではない・・・まさにだ。

まさに、私が、「先生であるジュンスに恋をしている」ということだ。




それも、ジュンスが心を許して話をしてくれればくれるほど、私の中では、ただの片思いから、彼を自分のものにできないかという考えに変化していく。


最近の自分のヨコシマさがイヤだ。

結婚もして、子供も生んで、離婚も経験しているのに、若くてかわいい彼女がいる人に振り向いてほしいと思っている。
あんなにコケティッシュな彼女がいるのに・・・「オバサン」の自分の思いに気づいてほしい。
応えてほしいと思う・・・。


ユニのグラスを買った日の喜びが、あのグラスを見るたびに、ジュンスへの思慕へと日々、変形していく。


あんなに若くてかわいい恋人の代わりに私が収まることって・・・ないだろうな。でも・・・。




初日に見た、階段の上で、裸に毛布を纏ったマリの姿。
あの時よりも、今のほうが深い意味を持って、私の心を揺り動かす。


なぜか最近、あの姿が私を悩ます・・・。

何気なく、先生の顔を見た時にも、マリのあの姿が、ふわっと頭に浮かぶことがあるからだ。
それには参る・・・。

あの時、マリには私はどう見えたんだろう・・・。



あ~あ・・・。







時間を潰して、スタジオに戻ると、ちょうど2階からジュンスが降りてきた。

その姿を見ているだけでも、テスの胸はキュンと痛くなる。

いったい2階で何をしていたの・・・。

ちょっと恨めしい目付きでジュンスを見ていると、ジュンスがテスを見て言った。


ジ:どうした? 校正は届けたのか?
テ:はい。ポジもできてました。

ジ;じゃあ見るか。
テ:はい。

ジ:並べて。
テ:はい・・・。


ビュアのライトのスイッチをつけて、ポジフィルムを並べ、ジュンスが来るのを待つ。

ジュンスがルーペを持って、テスの横に来て、一枚ずつ、ポジを覗く。


ジ:どうした?(ポジを見ながら言う)
テ:え?
ジ:なんか変だぞ。
テ:別に・・・。


ジュンスが写真を選んでいる隙に、体を少し階段の方に寄せて、2階を覗く。
マリが毛布に包まって、下を覗いているような気がする・・・。


ジ:おい!
テ:はい!(ドキッとする)


ジュンスのほうを振り向くと、ジュンスがポジを覗きながら、話しかけてくる。


ジ:2階には誰もいないよ。
テ:え? (ドキッとする)


テスは自分の気持ちを読まれたと思って緊張する。


ジ:マリはとっくに帰ったよ。
テ:そうなんですか・・・。(顔が赤くなる)


ジ:あいつがうろうろしていると、仕事がはかどらないからな。こっちも遊びながら仕事するわけにはいかない。その辺をちゃんと話して帰した。
テ:そうだったんですか・・・。
ジ:・・・だから、おまえもちゃんと仕事をしろ。
テ:え?


なんでそんなことを言うの?

テスは胸が苦しくなった。
ジュンスが顔を上げて、テスを見た。


ジ:おまえ、この頃、気がそぞろだぞ。(テスの顔を睨む)
テ:・・・。(胸が苦しい)
ジ:集中しろよ。
テ:はい・・・。
ジ:それから・・・・。ちゃんと、カメラの仕事を覚えたほうがいい。
テ:・・・。
ジ:いつまでも、バイト気分じゃいられないだろ? 
テ:・・・。(俯く)
ジ:この先、どうするんだ?(真面目な顔で見る)
テ:それは・・・。(困る)
ジ:将来、一人立ちできるように、やってみろよ。男なんかに、頼らなくても生きていけるように。
テ:・・・はい。(頼っちゃだめ・・・?)
ジ:やる気はあるのか?
テ:はい。




ジ:うん・・・。じゃあ、こっちへ来て、一緒に写真を選んでみろ。
テ:はい。(緊張する)


テスはジュンスの真横に並び、ルーペを受け取って、一枚ずつポジを見ていく。


そして、選んだ。

ジュンスが一枚ずつ、どこがいい?と聞く。テスは真面目に自分の感じたことを言った。
ジュンスがそれを聞きながら、なぜ、その写真が使えないかを説明していく。

雰囲気だけで見ていたものを、ちゃんと雑誌のフォーカスに合わせて選ぶことを教わった。


テスが思っていたより、ジュンスはポリシーがあった。
写真の仕事を教えるジュンスは、少し怖い感じの目付きだが、それがまた魅力的で、テスはますますジュンスへの思いを強くしていった。




それから、少しずつジュンスは、テスにカメラマンとしての仕事運びを教え出した。









そんなある日、不精ひげを伸ばした若い男がスタジオへ入って来た。


テ:あのう・・・どちら様でしょうか?
男:・・・。アニキは?
テ:先生ですか?
男:そう、コッキリ。
テ:今、ちょっと出ていますが・・・。
男:警戒しなくてもいいよ。弟だから・・・。
テ:はあ・・・。


しばらくすると、ジュンスが帰ってきた。


男:お~、アニキ!(手を振る)
ジ:おまえ! どこへ行ってたんだよ。
男:ごめん! ちょっとふらっと・・・。
ジ:ふらっとじゃないよ。お袋が心配してたぞ。
男:悪い。ちょっとね。いいとこがあってさ。逗留しちゃったんだよね。
ジ:へえ・・・。(横目で睨む)


ジュンスがテスを見る。


ジ:弟のテジョン。
テジ:よろしく! 異母兄弟のキム・テジョンで~す!
ジ:バ~カ!(笑って頭を軽く叩く)


テジ:アニキ。もしかしてこの人・・・。
ジ:え? ああ・・・。


ジュンスが気まずそうにテスの顔を見る。


テ:何ですか?(何があるの?)
テジ:ホントにアシスタント、雇っちゃったんだ。
テ:??
テジ:オレが勝手に書いたんだ、あの求人広告。


テ:え? そうなの!
テジ:あんた、知らなかったの?
ジ:もういいよ。そのことは・・・。
テジ:へえ・・・。
テ:どういうことですか?


テジ:この人が一人で忙しそうだから、ちょっと求人広告を書いてドアに貼ってあげたのよ。


テスがジュンスを見る。


テジ:ホントに応募した人がいたんだ・・・。
ジ:テジョン。おかげでいい人が来たよ。ありがとう!

テジ:そう? それはよかった。(うれしそうにする)
ジ:おまえ、いつまでここにいるの? こっちは忙しいんだけど。(嫌そうな顔をする)
テジ:あっそう。でも、飯くらいは食わせてよ。
ジ:ああ。じゃあ、待ってろ。
テジ:うん。いつまででも待つよ!



ジュンスはフィルムを持って、地下の暗室へ下りようとして、テスを見る。
そして、テジョンを見る。


ジ:ヤンさん、一緒に暗室へ来て。
テ:私もですか?
ジ:そう。ここにこいつと二人でいるのはよくないからさ。
テジ:なんだよ~。
ジ:何を言い出すかわからないから。早く一緒に来て。
テ:はい。



二人で狭い地下の暗室に入った。
テスが笑い出した。


ジ:どうした?
テ:なんか・・・よっぽど、弟さんと二人にするのがイヤなんですね。
ジ:(笑い出す)まあね。ここにおまえをキープしておいた方が安心だからな。
テ:そんなにヤバイの?
ジ:ヤバイなんてもんじゃないよ。そうだ。折角だから、一緒にやってみるか? 写真、焼いたことある?


テ:・・あ・・・。昔、もう10年以上前ですけど・・・。2~3回。
ジ:そうなんだ。ああ、学生時代少しやったって言ってたね。
テ:ええ・・・。



そう・・・。昔の彼と一緒に。彼の暗室で、教えてもらった・・・。



ジ:じゃあ、手順はわかるね。
テ:でも、10年前だから・・・。
ジ:うん・・・。じゃあ、説明しながら、やるか。おいで。こっちから説明するよ。まずは液剤はこっちの棚にある・・・。




テスは思い出した。
「彼」は今のジュンスくらいの年頃だった。


年上の「彼」はテスの後ろにピッタリ立って教えてくれた。

現像液に浸した紙の上に、「彼」に抱かれて笑っているテスが浮かび上がった。

「彼」はうれしそうにテスを後ろから抱き、「写真っておもしろいだろ?」と言って頬を寄せた。
そして、テスも幸せに酔って、「彼」にキスをした。





ジュンスの説明は、非常に実務的だった。

あの時のような熱気はなく、淡々と進む。
でも、仕事をする目は、「彼」より真剣だった。














3部へ続く・・・





2009/06/23 13:22
テーマ:本日の彼・・・ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

イベント&大好きなTシャツでアテレコ^^

Photo
BGMはこちらで^^







オンジェ オディソナ・・・・
(いつでもどこでも)

このTシャツとベスト^^

これ、今年のパターン^^


う~ん、キレイだ~~~^^


これは、この春からのお気に入りの袖長Tシャツ(前にご紹介したけど、FSや取材にも着ている^^)

と、ベスト!^^



大きなフォトで見ると、ホントにキレイです・・・。



そんなあなたに会いたいです^^



アニメ冬ソナでは、この動くあなたに会える?^^

韓国の美では、下のような動くあなたに会える?^^


どうしようね^^
どっちも行きたいね^^


アニメとツアの紹介ばかりに時間をかけたら、嫌だよ・・・。

少なくても、
観光や伝統工芸などの紹介は、
ぺ・ヨンジュン! あなたのナレーションを希望します!^^







↓陶芸joon^^(前の記事「かわいいねえ」よりフォトが大きいのでまたまたアップ^^)






↓サークルの玄関だけど、かわいいので置きます^^
このまま、映画の1シーンになりますね・・・やってください!
こういう役!!


2009/06/23 08:46
テーマ:イベント カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

かわいいねえ^^

Photo

BGMはこちらで^^





オモ^^

期待を裏切って、一張羅ではないポスター!

かわいいねえ~^^

振り返ってほしいねえ^^



今回のイベントは、アニメ ハゴ チェク^^


アニメ冬ソナ~放送記念~
9月29日(火)16時会場、18時開演
ぺ・ヨンジュン、チェ・ジウ、リュ・スンス

「韓国の美」出版イベント
9月30日(水)14時会場、16時開演
ぺ・ヨンジュン他・・・

東京ドームにて




2回あってうれしいねえ~

この日のために休まず、お仕事頑張ってる私^^

9月29、30日(火・水)と、こんな微妙な曜日、時期だね。
皆、なんとか休みを取れるように頑張ろうね^^





韓国の美のほうでは、
joonの取材しているところのフィルムが流れるんだろうね~^^

楽しみだね^^



 
かわいい^^
それにしてもホッソリ^^ こんな彼が来るのかな・・・痩せなくちゃ!




キムチ漬けたり、陶芸したり、漆塗ったり・・・
そんな姿が見られると思うとうれしいねえ~^^



「ヨンジュンさん、
ゴシレキムチとヨンジュンキムチ、どっちがおいしいんですか!」

なあ~~~んて突っ込み絶対あり!で^^


とりあえず、サービスで「ゴシレキムチィ~、ハハハハハハ^^」

なんて答えそうである^^



9月は日韓フェスティバルもあるから、
東京入りは20日頃だろうか・・・。


もう出ずっぱりで、joonが見られるね^^
こんなの、めずらしいよね。

かわいく、素敵にしてきてね^^


「君もキレイになって来ないと、駄目だよ!^^」

なんて、釘を刺されそう・・・vv


仕事もいっぱいだけど、
結構、日本も楽しめるね^^


楽しい滞在になるといいねえ~^^

スンスさんが一緒だから、きっと今回も楽しい旅になるにちがいない!




チケット取り決戦は、公式会員先行で7月11日19時から?


東京ドームは広いから、ホントにまめまめしいjoonちゃんだね^^


それでも、同じ場所に集えるのを楽しみにしよう^^



今回は何回、ドームを車で回ってくれるのかしら・・・^^

グルングルンと、何回でもいいよ~~~

目が回るほど回ってね~~~~~~^^v







2009/06/23 00:09
テーマ:【創】愛しい人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「愛しい人」1

Photo


BGMはこちらで^^


BYJシアターへようこそ。

こちらは、2006年4月から連載したものです。
作品には、
いろんな年代の女性と恋するぺ・ヨンジュン演じる彼がいますが、
ここのブログでは、全体的に年頃がアップしています・・・。

この「愛しい人」はとても人気のあった作品です。
またまた長いです・・・。
そして、こちらは、9部まであります。


今回は同じ年の二人です。
相手役にはキム・ヘスさん。
大人の恋の物語です。


9月の来日までのしばしの間・・・
こちらのシアターでお楽しみください^^



ジュンス(joon)は、必ずしも気のいい男ではありません。
でも、ジュンスに惹き込まれていくテスの気持ちは、とても切なくて、
その想いも苦しさも・・・共感できる・・・と思います。



ではお楽しみください。


注)これを書いた2006年には「キム・ジュンス」さんという人がいることも知らなかったし、
昨年、チャン・ヒョクが同じカメラマンで「コッキリ」という名前で出演することもまだまだ未知のことでした。
事実は小説より奇なり!





こんなはずではなかった
私の人生はこんなはずではなかった・・・


33歳にして愛人



あの人には

恋人もいて
ちゃんとした仕事があって
ちゃんとした人生がある



なのに

私には・・・何があるの?
全てが中途半端で
先も見えない

あの人には先が見えているのかしら?

こんなはずではなかった

こんな状況で幸せを感じるはずではなかった






ぺ・ヨンジュン 主演
キム・へス
「愛しい人」





【第1章 出会い】


テ:もう昨日はママ、酔っ払っちゃって。グラス、割っちゃってごめんね。ユニが大好きなプーさん、今日買ってくるから。今日はママのお気に入りのグラスでよろしくね! 怒んないでよ。今日もさあ、職探しで、ママ、参ってるのよ・・・。ホントについてないよね・・・ごめんね。


テスは、お気に入りのカットグラスにミネラルウォーターを注ぎ、リビングの真ん中に置いてあるサイドボードの上の娘の写真の前にグラスを置く。



テ:ママってホントにパーボヤ。失業して、あんたのグラスも割って、最低な気分・・・。でもね、今日も頑張っていい仕事探すから。応援してね。



着慣れないリクルートスーツを着て、マンションの部屋を出る。




ここ一ヶ月。職探しに明け暮れている。

大学を出て、実際に勤めたのはたった3年。それから、結婚をして、ユニを生んで・・・。夫の稼ぎで生きてきた。
それが、娘の交通事故を境に全てが崩れるように、テスの家庭は崩壊してしまった。

娘を失った彼女の心を支えてくれるはずの夫には、外に女がいた。


うちに帰るのがイヤだった?
私が毎日、飲んだくれて泣いてたから・・・。

そう?
イヤだった?

あなたにとっても、大切な娘じゃなかったの?


そんなに心が離れていたなんて・・・知らなかった。


アル中にはならなかった・・・。
なれなかった・・・まだまだ理性がいっぱい残っていて・・・。

死ぬほど苦しかったのに。辛かったのに・・・。
アル中にはなれなかった。


もう心が結び合えない夫といることに、テスは自らけじめをつけた。
そして、2年前に離婚して、テスは今、5歳で亡くなった娘の遺影と二人暮らしをしている。


試行錯誤しながらもやっと掴んで、軌道に乗った仕事も会社が倒産してしまって、今では、テスには仕事すら残っていない。

何もない、今の私・・・。


33歳なんて面倒臭い年頃で、職まで失って、どうしたらいいのよ!


履歴書を持って、毎日、新聞をチェックして、就職雑誌をチェックして・・・職安に行って・・・。
あと、何をしたらいいの?


職:あなたね、高望みしすぎですよ。もう少し、お給料下げたらどう?


笑いもせず、あの職安の親父は言った・・・。


何よ、これ以上下げたら、ご飯も食べられないじゃない。



夫だったあいつは、若い元愛人と結婚して、かわいい子供に恵まれているというのに。
幸せそうに過ごしているというのに。


でもね。
あいつが結婚して家庭を築いてわかったことがある。
それは、私が望んだ生活じゃなかったから。
元々、私たちって違う人種だったのに・・・若すぎて気がつかなかった。

・・・でも・・・たぶん、あいつは気がついていたんだ。
だから、女を作った。

なのに、私は気がつかなかった。
家庭のことに没頭していて。

ユニがかわいくて、それだけで幸せで・・・。








今日も面接に振られ、テスは、物思いに耽りながら、重い足を引き摺って、一人ポツポツと歩いていると、グリーンにペイントされた2階建ての建物に、水色のドアのある不思議なスタジオの前に来た。



フォトスタジオ「コッキリ」(象)



ふ~ん、象さん、こんにちは。



水色のドアに、張り紙が貼ってある。




「フォトスタジオ・アシスタント募集


腕に覚えはなくてもいいです。
やる気と、笑顔と、時間のある方を募集しています。

詳しくは中でお尋ねください」




へえ・・・年齢は?



証明書の写真とか扱ってるのかな?
すごいジジイのスタジオかもしれないな。
こんなとこに張り紙で求人するなんて、なあんか・・・あんまり人気がないのかもしれない。




テスはちょっと行き過ぎるが、なんだか、その妙なドアが気になる。

グリーンに水色のドアのスタジオ。
このセンスって・・・いいのか、悪いのか、微妙だな・・・。


いったいどんなやつ?


行ってみるかな。
恥は掻き捨て・・・。

でもね・・・。



また少し歩く。


でも、今の自分に残っているものを考えると、その不思議なドアが呼んでいるような気もする。


テスはしばらく、その建物の近くに立って、人の往来を見ている。

誰もあの張り紙を気にしない。皆、行き過ぎてしまうのだ。



テスしか悩まない・・・。

なんだろ?

行ってみるか!




テスがその水色の鉄のドアを押すと、スッと開いた。




中へ入ると、受付などなくて、無愛想な非常階段のような黒の鉄の階段があって、その奥はどうもスタジオらしい。無愛想な階段は上下に道が分かれていて、地下と2階へと続いている。


地下は真っ暗で、ここを降りると奈落の底へ落ちそうだ。



テ:すみません! すみません! どなたか、いらっしゃいませんか?
声:何か御用ですか?


男の声がした。


テ:誰?


うろたえて周りを見回す。


声:右手にあるボタンを押して話してください。
テ:ええっと~。どこ? ええっと。待って。見つからないわ。ああ、これか。


壁に張り付いたインターフォンを見つける。ボタンを押しながら話す。


テ:あのう、外の求人広告を見てきたんですけど・・・。
声:・・・そう・・・。10分待ってください。今、暗室で写真を焼いているので。いいですか?
テ:あ、はい。


声:そこにベンチがあるでしょ? 座って待っててください。
テ:あ、はい。


テスは、壁のインターフォンに顔をつけるように話してから、ベンチを探し、座ってみる。

ベンチに座って、落ち着いて周りを見回すと、シンプルだが、しゃれた感じのスタジオである。


斜め前に大きな鏡があって、ちょうどベンチの上にはダウンライトがあるので、まるで、ベンチに座っているテスを映し出すための鏡のようだ。

全身には疲労感をたたえ、顔は少しやつれていて、不安そうな目で周りを見渡している。



顔がやつれたな・・・。
なんか雰囲気も暗い。これじゃあ、面接に落ちるはずだわ。暗すぎるもん。


大きな鏡に向かって笑ってみる。

少し口角を上げて笑う。首をかしげて笑う。

う~ん、もう少し・・・顎を引いたほうがいいかな・・・。
う~ん、こう?







男:うん、それが一番いいな。

テ:え!


テスはギクリとして、声のする方向を見た。


男:今のが一番いいんじゃないの。


背の高い、白いTシャツを着た、メガネをかけた男が目の前に立って笑っている。


テ:あのう・・・。
男:ここのコッキリ(象)です。
テ:ああ・・・。(頷く)
男:あなたは?
テ:ヤンです。(羊)
男:フフ、羊さん?(驚いて笑う)
テ:人間ですけど、姓がヤンです。ヤン・テスです。
男:そう。(笑う)で、どういうご用件ですか?
テ:あのう、外の求人広告を見て・・・。
男:広告? (少し訝しそうな顔をする)



男はそういって、扉の外を見る。そして、剥がして戻ってきた。



男:ああ、これで来たんだ。(広告を見ている)
テ:そうです・・・。
男:うん・・・。


男はちょっと考えて、テスをじっと見る。


男:これ見て、どう思った?
テ:どうって?
男:つまり・・・君がこれに該当すると思った?
テ:わかりません。
男:じゃあ、なぜ、入ってきた?(たたみかけるように話す)
テ:え?
男:だって、なんか思って入ってきたんだろ?

テ:まあ、そうだけど。
男:どこが気に入ったの?
テ:え?

男:君、気に入らなくても仕事があればOKなの?
テ:そういうわけじゃないけど。
男:じゃあ、どういうわけ?
テ:どういうわけって・・・。
男:言って。(考える暇を与えない)
テ:え?
男:これ、面接だよ。
テ:え、面接なんですか?

男:そう。君のペースじゃなくて、僕のペースで答えて。
テ:そんな。
男:理由はなし?
テ:いえ。
男:じゃ言って。
テ:えっと・・・私。
男:私?
テ:大学時代に少し写真をやってました。

男:そう。それで?
テ:それで?
男:そう。それで?
テ:その時の知識を生かしてですね。

男:いったい、君、いくつ?
テ:え?

男:年だよ。
テ:あの、年なんて! (失礼ね!)
男:就職するんでしょ?
テ:ええ。
男:年くらい教えなさい。
テ:えっと。
男:自分の年がわからないの?
テ:そんなバカな。
男:そうだろ?
テ:えっと。
男:いくつ?
テ:33!

男:そんな年なの! (驚く)
テ:何がいけないの?
男:だって、そんな年でいいの?

テ:何が?
男:仕事。
テ:仕事?
男:アシスタントだよ。

テ:ええ。

男:ホントに?
テ:ええ。
男:呆れたな。
テ:何でですか?
男:もっとちゃんとした仕事につきなさいよ。
テ:そんな!
男:こんな子供みたいな仕事じゃなくて。
テ:いいじゃないですか!
男:君のために言ってるんだよ。
テ:だって。
男:だって?
テ:だって・・・。

男:だって?
テ:他に・・・。
男:他に?

テ:他に・・・仕事がなかったんです。




男:そうか・・・それで来たんだ。
テ:・・・だめでしょうか・・・。


男:う~ん。



男がテスの全身を眺めた。



男:体は丈夫そうだね。(顔を睨む)
テ:はい。
男:そう・・・僕の仕事は時間がマチマチだし・・・何時帰れるか、わからないよ。
テ:・・・いいです・・・。


男:ふ~ん。まあ、いいか・・・。
テ:え?


男:採用するよ。(簡単に言う)
テ:ホントに?
男:ああ。


テ:・・・・。(拍子抜けして、ちょっと困る)
男:うれしくないの?


テ:いえ・・・ありがとうございます。
男:うん・・・。


男:いつから始められるの?


テ:いつからでも・・・。
男:そう・・・じゃあ、明日からでいい?
テ:はい。



男:じゃあ、よろしく。僕はコッキリではなくて、キム・ジュンスです。
テ:私は・・。
ジ:ヤン・テスさんだね。
テ:はい・・・記憶力がいいんですね。
ジ:まあね。・・・ところで、僕も33だよ。同じ年だ。
テ:そうですか・・。(少しホッとする)
ジ:何月生まれ?

テ:10月。
ジ:僕は8月。2ヶ月年上だね。敬ってね。(見つめる)
テ:わかりました。
ジ:じゃあ、今日はご苦労様。



テ:あのう・・・。
ジ:なあに? まだ何かあるの?
テ:ええと・・・。
ジ:早く言って。
テ:あのう、履歴書、今持ってます。見ますか?
ジ:う~ん。なんか必要かな?
テ:・・・。
ジ:まあ、もらっておくか。何かの手続きの時に必要かもしれないから。
テ:はい。


テスはバッグの中から履歴書を取り出す。
ジュンスは受け取っただけで、見ようともしなかった。


ジ:じゃあね。
テ:あのう、明日何時に来たらいいですか?
ジ:そうか・・・朝8時に来られる?
テ:8時ですか?
ジ:撮影がロケだから、早めに出ないといけないから。
テ:わかりました。
ジ:それから・・・。(テスの服装を見る)もっと動きやすい服装で着て。ジーンズでいいからさ。
テ:わかりました。(笑う)




そこへ、ドアが開いて、若い女の子が入ってくる。どこかで見たことのある顔だ。
何かのモデルだっけ?





マ:ジュンス!
ジ:ああ。(笑顔になる)
マ:待った~?


女はテスに気がついて、振り向く。


マ:あら? お客様?
ジ:明日から、アシスタントとして働いてくれるヤンさん。
マ:そう・・・今日は。よろしくね・・・私はジュンスの恋人のマリ。・・・ねえ、アシスタント、雇うなんて聞いてなかったわよ。
ジ:まあ、いいさ。じゃあ、君はまた明日ね。


テ:失礼します。


テスは二人に頭を下げて、スタジオを後にした。






なんか簡単に決まっちゃったな・・・。
あ、いけない!

お給料のこと、聞かなかったわ。

明日でいいか・・・。

もし安かったら・・・やめる。
やめる? それはやめるでしょ? 
やめるか・・・。う~ん。






マリがジュンスの横に立ち、腕組みして、ジュンスの顔を見つめている。


マ:ねえ、なんで雇ったの? 今まで一人でやってきたのに。(ちょっと疑問)
ジ:なんでかな・・・。まあ、いいさ。


ジュンスは写真の整理をしながら、話す。


マ:おかしいわ・・・。それも女で、あんな年寄り。
ジ:年寄りって、(笑う)オレと同じ年だよ。
マ:女としては、オバンよ。
ジ:君から比べればね。
マ:若い子、好きだったのに。
ジ:別に恋人を選ぶわけじゃないよ。
マ:まあね。まあ、そのほうが安心ではあるわね。(ジュンスの様子を見ながら)ねえ、まだ終わらないの?お腹、空いちゃった!
ジ:遅れてきたくせに。(笑う)
マ:ねえ、(顔を覗き込む)今日の撮影、誰だったと思う?
ジ:さあ・・・。
マ:あのドンヒョンよ。あなたの先生!
ジ:へえ。じゃあ、いい雑誌なんだ。
マ:もち! もうグラビアアイドルは飽きたわ。バカみたいな男の子しか見ない雑誌でポーズ取ってるなんて、もうイヤ。今度のは女性誌のモデル! 素敵なドレス、着たのよ。ちょっと格が上がったわ。ファッションリーダーなんて呼ばれるようになったら、カッコいいじゃない?(うれしそうに言う)


ジュンスが顔を見て笑う。


マ:でも、まあいいわ。バカみたいなグラビア雑誌であなたと知り会えたんだから。(笑いながら、ジュンスにしな垂れる)
ジ:そうかい? それはよかったね。(女を抱く)


ジ:今日は、泊まっていく?(ちょっと甘えた目をしてマリを見る)
マ:明日の朝、あの女が来るんでしょ? ヤンさん。
ジ:仕事だからね。君は寝てていいよ。僕たちは支度して出かけるから。
マ:そう? じゃあ、ゆっくりしていく・・・いいわね?
ジ:じゃあ、まずは食事に行くか! ミス・グラビア・アイドル、チャン・マリ殿!(笑顔で顔を覗きこむ)
マ:OK!

マリがジュンスの頬にキスをした。






ダイニングテーブルに座って、グラスを片手に、テスが揺れている。


テ:ユニ、やっと仕事見つかったよ・・・。はああ。でもさ、どうなるか、わかんない・・・。だけど・・・不思議と不安はないんだ、いつもみたいに。まだなんにもやってないし、あのカメラマンのこともよく知らないけど、なんか、ぜんぜん不安がないわ。変ね。私、酔ったかな・・・。(酔いながら笑う)


グラスにまた酒を注ぐ。


テ:ああ、つまみね。あんたはホントによく気がつく子だわ! そうよ、お酒だけ飲んでいたらダメ。明日は初日だもん。ちゃんと早起きしていかなくちゃ!



テスは立ち上がって、ほろ酔いの体を引き摺るようにして、冷蔵庫を開ける。
食べ物を見繕っていて、ハッと気が付く。


そして、後ろを振り向く。
そして、リビングの真ん中に置かれた娘の写真の前に立つ。


水の入ったグラスを見つめる。


テ:ごめん・・・ごめんね。プーさんのグラス、買うの、忘れちゃった・・・。


今まで、ユニのことを忘れたことはなかった。

どんな時も、ユニを優先してきたのに。


今日は、家へ帰ってからも、グラスの水も替えていない。


テ:ごめん・・・。ママ、疲れていたのね、きっと・・・。あんたはいつもママの気持ちを助けてくれるのに・・・。ごめん、明日は買ってくるからね、必ず。









翌朝。スタジオの前で、足踏みするように、テスが立っている。
4月の頭といっても、まだ朝は肌寒い。

時計は午前7時45分だ。
時間に遅れないようにと、少し早く来た。
でも、よく見ると、このドアには呼び鈴がついていない。

あの人が出てこない限り、中へは入れない。
それに、電話番号も知らないのだ!
彼に連絡のしようがない。


スタジオの2階。
階段を上がると、仕切りのないワンフロアになっている。独身のジュンスが暮らしやすいように、キッチン、ダイニング、ソファ、ベッドの全てが見渡せる。それに、バスルームとウォーキングクローゼットがある。



マ:ねえ、ジュンス。もう行くの?


マリがベッドの毛布の中から顔を出した。ジュンスは着替えて出かける準備を終えて、髪を掻き上げながら、ベッドのほうへやって来た。


ジ:うん、おまえは寝てろよ。
マ:うん・・・。
ジ:ちゃんと鍵は閉めていってね。
マ:遅いの、帰り?
ジ:ああ。
マ:わかった・・・。私も午後から撮影だから、少し寝たら帰る。
ジ:うん。



ジュンスがベッドの横の窓から下を見る。
テスが一人、ぽつんと表に立っている。



ジ:あ、もう来てるな。(窓の下を見ている)
マ:オバサン?(寝ながら聞く)
ジ:ヤンさんだよ。
マ:早いわね~~ああ~。(アクビをする)
ジ:じゃあ、もう行くよ。
マ:ジュンス、チューして。(手を伸ばす)
ジ:バカ・・・。(笑う)


ジュンスは軽くマリにキスをすると、階段を下りていく。


マリは起き上がって、裸に毛布を巻きつけながら、窓の下を覗く。


あの女が立っていた。
なぜか、昨日より若く見える。
服装のせいだ。昨日は黒っぽい大人のスーツを着ていたが、今日は軽快なジーンズ姿だ。


マリは立っているテスの顔をじっと見つめた。


一階のドアが開き、女は軽く挨拶をして建物の中へ入った。







ジ:おはよう。
テ:おはようございます。
ジ:悪かったね。君に鍵を預けておいたほうがよさそうだな。


奥に入りながら、ジュンスが言う。


テ:あのう、電話番号も知らなかったから・・・。
ジ:あ、そうだったね!(確かに!)寒くて悪かったね。まあ、中へ入ってあったまって。鍵と、携帯の番号を君に教えておかないといけないな。


ジュンスは改めて、テスを見た。
昨日はあまり着慣れていないスーツを着ていたせいか、暗い感じだったが、今日の彼女は、自分にあった服装をしていて、若々しく輝いて見えた。



ジュンスはどんどんスタジオの奥へ入っていき、スタジオの隅にある小さな流しの横にあるコーヒーメーカーでコーヒーの用意をする。
テスがそれを見てジュンスのほうへ行く。


テ:あのう、やり方教えてください。
ジ:そうだね。コーヒーメーカーは、これがスイッチで、ここの棚にコーヒー豆や紅茶が入っている。カップはこっちね。湯沸しはここのスイッチを入れる。
テ:はい。
ジ:できそう?
テ:ええ。
ジ:じゃあ、これからはお願いしよう。ここで、撮影の時は、皆にお茶出し、してね。それから、今日みたいなロケの時は必ずポットにコーヒーを用意していくこと。外でマズいコーヒーしかない時があるからね。休憩の時はうちのコーヒーを飲むことにしているんだ。
テ:はい。
ジ:じゃあ、コーヒーができるまで今日の仕事の準備をするか。
テ:はい。
ジ:ええとね、こっちのキャビネのほうに来て。ここにフィルムが入っているから、ポジはこっち側。間違えないようにね。ポラロイドはこっち。
テ:はい。
ジ:間違えない方法、わかる?
テ:教えてください。
ジ:ロケの時は、全部持っていくのさ。(微笑む)
テ:ふ~ん・・・。(頷く)


ジ:アシスタントの時はいつもそうしてた。先生が使うカメラに合わせるからさ。忘れるとアウトだ。
テ:はい! ありがとうございます!
ジ:?
テ:教えていただいて。
ジ:まあね。君はカメラマン志望じゃないみたいだから、先にやり方を教えちゃった方が早いだろ? こっちも覚えるのを待ってられないし。
テ:助かります。


ジ:それから、こっちへ来て。
テ:はい。







ジ:ねえ、どう? 全部担げそう?
テ:ええ! これをですか?


重いバッグや撮影機材を見て驚く。


ジ:普通はアシスタントが全部、担ぐんだよ。(笑う)
テ:・・・そうですね・・・頑張ります。(真面目な顔をする)


ジュンスが一番重そうなバッグを一つ持って、


ジ:いいよ。二人で分けて持っていこう。
テ:でも・・・。
ジ:オレが一人で全部持つよりは、君がいてくれるほうが少しはマシになったと思うよ。(笑う)
テ:はい!(笑う)



二人はスタジオ前に止めてあるジュンスのワゴン車に撮影機材を積み込む。


テスはジュンスに習った通りに、ポットにコーヒーを入れる。二人はスタジオの電気を消した。





テスはちょっと人影を感じて、階段の上を見上げた。



毛布に包まって、昨日の女の子が下を覗くように階段の上の方から、テスをじっと見つめている。

彼女は下に・・・何も着けていない・・・。



しばらく、目が合って、挨拶しようか迷っていると、ジュンスがテスを見た。



ジ:さあ、行くぞ!
テ:あ、はい!



テスはジュンスに付いて、車に向かう。
彼は、女については一言も言わなかった。


そうだ。
あの人はここにはいない・・・。
私たちは仕事に出かける。


プライベートなんて関係ないじゃない。


彼のワゴンの助手席に乗り込んだ。




2階の窓から、マリが毛布に包まりながら、二人の車が出ていくのをじっと見つめていた。




2部に続く。







新しい仕事に就いたテス。

ここから彼女の人生の第2章が始まります。












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