2009-05-17 23:01:06.0
テーマ:【創】恋のタイトルマッチ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】恋のタイトルマッチ3











BYJシアターです。



本日は【恋のタイトルマッチ】第6・7話です。

隣のヨンシュンさん(ペ・ヨンシュン)・・・・ ぺ・ヨンジュン (32歳)
相棒のタクヤ(木島拓哉) ・・・・・・・・・ 木村拓哉    (32歳)
私・通称リコ(牧村キリコ)・・・・・・・・・  小雪     (28歳)

近くのソナ(キム・ソナ)・・・・・・・・・・  ユンソナ









ではここより本編。
お楽しみください!








恋のタイトルマッチ。
それはたくさんの相手に勝つことではない。

これぞ!と見込んだ相手、好きになった相手と結ばれる。
それが勝利者という称号を手にすることだ。
負けない!
誰に?

自分の弱虫に!


そして、大好きなあなたと結ばれるまで
私は、

頑張る!







【恋のタイトルマッチ】

主演:ぺ・ヨンジュン
   小雪
   木村 拓哉





「第6話 なんでそうなるの?」


リコが打ち合わせのため、四星物産のヨンシュンのオフィスに来ている。
ヨンシュンの机の上を見ると、この間、割ってしまったブタの首が接着剤でちゃんとくっついている。
リコはそれを見て、一安心して微笑んだ。

ドアが開き、ヨンシュンが入ってきた。


リ:(弾んだ声で)ヨンシュンさん! このブタさん、直したんですね・・・。


次の瞬間、リコはヨンシュンの顔を見て萎む。
ヨンシュンが怒ったような、冷たい表情でリコを見つめていたから。


前の会議で何かあったのかな・・・。いつもとちょっと違う・・・・。


リ:ヨンシュンさん・・・?(首をかしげる)
ヨ:どうぞ、おかけ下さい。(ビジネスライクに言う)
リ:はい・・・。(少し戸惑う)
ヨ:では伺いましょう。


リコがヨンシュンと目を合わせようと見つめるが、ヨンシュンは図面から顔を上げない。
リコも仕方なく、仕事の話に入る。
ヨンシュンは仕事のことしか、話さなかった。いつもの親しさが微塵も感じられない。
打ち合わせが終わって、


リ:ヨンシュンさん。


ヨンシュンが上目遣いで書類から顔をあげた。恐い顔をしている。


やっぱり、打ち合わせ前の会議でなんかあったんだ。この人は、意外に気持ちが顔に出るもん。


リ:(楽しそうに)ねえ、ヨンシュンさん。私、この間、和食のおいしいお店を見つけたの。よかったら、一緒に行きませんか? ヨンシュンさん、酢の物、好きだったでしょ。そこね、しめ鯖をちょっとあぶったのが、すごくおいしいの。それとね、牛筋の煮込んだのもトロ~ンとしておいしいし。焼き鳥もね、軟骨を揚げて・・・。
ヨ:リコさん、ここはオフィスです。そういう話は・・・。(パタンとファイルを閉じる)
リ:・・・ごめんなさい・・・。(喜ぶと思ったのに)
ヨ:ショールームの控え室は会議もできるように工夫をしてください。大きな会議用テーブルは困ります。
部屋を効率よく使えるように。お願いしますね。(きっと睨む)
リ:(寂しそうに)わかりました。考えてみます・・・。(眉を八の字にして見つめる)
ヨ:ではこれで。(立ち上がる)


ヨンシュンはリコを残して、自分の机に戻り、他のファイルを開き、仕事を始める。
リコは困って、どうしていいかわからず、帰り支度をして立ち上がる。


リ:ヨンシュンさん、お忙しいんですね。
ヨ:・・・。(ちょっと上目遣いできっと睨む)
リ:じゃあ・・・和食はご一緒できませんね・・・。(諦める・・・)でも、お時間ができたら、また一緒に行きましょう。(笑顔を作る)
ヨ:しばらく、ムリです。(厳しい顔をする)
リ:そうですか・・・。じゃあ、失礼します。


リコは諦めて、寂しそうにドアまで行き、振り返る。ヨンシュンはじっとリコを見ていた。でも何も言わなかった。
リコは軽く会釈して出ていく。

しばらく、リコの帰ったドアを見つめていたヨンシュンだが、手に持っていたペンをポンと投げる。
そして、やるせない顔で、ブタを手にとって触る。軽くブタの頭を小突くと、首がポロっと落ちた。
ヨンシュンは深くため息をついて、イスの中に体を埋めた。




帰り道。
リコは気分が冴えなかった。ついこの間まで、どちらかというと、ヨンシュンのほうが熱烈にアタックしてきていたような気がしていたのに・・・。


私が何をしたっていうの?
会議でなんかあったって、私のせいじゃないし。もっとやさしくしてくれてもいいのに・・・。

気分屋さんなのかな・・・。
なんかよくわかんない。
ふ~、つまんない!


リコは、足元に転がってきた紙袋をちょっと蹴飛ばしたつもりが、自分のパンプスが飛んでいく。


もう! ぜんぜんついてない!





それから、しばらくした日の午後8時過ぎ。
タクヤは日課のジムの帰り、いつものようにコンビニに寄り、ノンキに歩いている。携帯が鳴る。


タ:はい。ああ、ソナさん。
ソ:タクちゃん、暇だったらお店に寄ってくれない? お客さん、いなくてさ。
タ:だけど、今コンビニで買っちゃったんだよな、弁当。
ソ:うち来て食べなよ。お客がいないとさ、絵にならないんだ。さくらでいいからさ。リコにもメールしたけど、まだ残業だって。
タ:そうか・・・じゃあいってやるか。
ソ:サンキュー! 待ってるよ~~。


家へ帰ってもリコがいないのではつまらないし、リコも店に来るなら、ソナのところで暇つぶししてもいいかもしれない。

タクヤがソナの店のカウンターでコンビニ弁当をおかずにビールを飲んでいると、ヨンシュンが入ってくる。


タ:ヨンシュンさん、お久しぶりです。お元気でしたか?(屈託なく言う)
ヨ:(ちょっと硬い顔をして)タクヤさん、お久しぶりです。
ソ:先輩もこっち来て。カウンターで一緒に飲もう。今日は暇で困ってるのよ。


タクヤの隣にヨンシュンが座る。


タ:忙しそうですね。
ヨ:ええ、まあ・・。そのために来日しましたから。
タ:そうでしたね・・・。リコたちも今日は残業みたいで。頑張ってますよ。


リコという名前にヨンシュンは少し固まる。


ソ:先輩。何飲む? ビール?
ヨ:うん、そうだね。
ソ:何か作るね。
ヨ:ありがとう。
タ:うちもお宅の仕事、取りたかったんですけどね。白日堂がめちゃくちゃ強かったな・・・。
ヨ:タクヤさんも参加されてたんですか?
タ:いや、僕がいなかったから、弱かったんでしょう。


二人が大声で笑って、雰囲気が和やかにうち解けてきたところで、ドアが開き、リコが入ってきた。


リ:遅くなっちゃった。ごめん。お腹、空いちゃった・・・。(二人に気がつく)


ヨンシュンとタクヤが振り返ってリコを見る。タクヤは普通だが、ヨンシュンの視線が少しリコを責めているように見える。リコが少し固まって、ゆっくり入ってくる。


リ:(頭に手をやりながら)こんばんは・・・。(声が消え入りそうだ)
ソ:タクちゃん、ちょっと詰めて。リコ、ここへおいでよ。特等席だよ。


ソナがタクヤとヨンジュンの間に席を作る。リコは仕方なく座るが、息が苦しい。

リコには、そこはまるで、針のムシロのようで・・・。



リコが二人の間に座って、小さくなっている。いつものリコなら、元気はつらつなのに、今日は少ししぼんでいる。


ソ:どうした?(心配そうに見る)
リ:何が?
ソ:元気ないよ。
リ:別に・・・。


ヨンシュンの目がリコを鋭く見つめる。タクヤがリコの顔を覗き込む。


タ:どうしたの? またヘマでもやったのか?
リ:なわけないでしょ。バカ!(軽口が自然に口から飛び出す)


親しげにそう言ってから、ヨンシュンの存在を意識してまた硬くなる。


タ:(気を使って)ヨンシュンさん、お宅の仕事をヘマしたなんて言ったわけじゃなくて・・・。
ヨ:そのくらい、わかります・・・。


カウンターの中から、


ソ:ねえ、ゴーヤチャンプル作ったよ~。これね、前、ここでバイトした子が沖縄出身で教えてもらったの。おいしいよ。(ハッとする)ごめん、リコ。
ヨ:どうしたの?(なんでごめんなの?)
タ:リコのアニキがその子と夜逃げしたんですよ。はたちの専門学校生。
ヨ:そうだったんですか。


ヨンシュンがリコを見つめるので、リコもこわごわヨンシュンを見るが、彼の目つきがきつくて、恐くて目を伏せる。
ソナが二人の雰囲気の悪さに気がついて、大皿に盛った料理を各自の皿に取り分ける。


ソ:このほうが食べやすかったね。


リコが皿を持って、


リ:私、あっちで食べることに専念するわ・・・失礼・・・。


そういって皿を持って、L字型のカウンターの一番隅っこへ移動する。





リコは隅の席で一人、黙々と飲み食いしている。焼酎のピッチがどんどん速くなり、少し目が据わっている。
タクヤとヨンシュンは話に花が咲いているようだが、タクヤは斜め前のリコを、ヨンシュンはカウンターの横にある鏡に映るリコの様子を眺めていた。

リコが立ち上がろうとして、カウンターのイスから落ちてしまう。皆一斉に驚いて見るが、飛んでいったのはヨンシュンだった。


リ:痛っ!(腰を押さえる)
ヨ:ケンチャナ? (手を貸そうとする)


リコが彼の手を振り払う。


リ:もう、やさしくなんかしないでよ!(いつもよりきつい言い方)


その声に皆、驚く。ソナが状況を察知して、タクヤに、


ソ:ちょっと外へ出よう。
タ:だって、リコが・・・。
ソ:いいからさ。


ソナがカウンターから出てきて、タクヤの手を引いて静かに店から出て行く。


ヨ:リコさん?
リ:触わんないでよ! あっちへ行ってよ。(ヨンシュンの手を振り払う)


ヨンシュンが本当に行こうとする。


リ:なんで行くのよ。(ちょっと泣きそうな声)
ヨ:えっ?
リ:起こしてよ。(手を伸ばす)


仕方なく、酔っ払ったリコを抱き起こそうとして、


ヨ:・・・タクヤさんを呼ぶ?(リコの顔を覗く)
リ:なんでよ? (訳がわからない)
ヨ:・・・ケンカしたの? (やさしく言う)
リ:なんでよ?(もう、泣きたい!)・・・なんで、冷たくするのよ? なんで、無視するのよ? このおたんこなす!
ヨ:えっ? (それ何?)
リ:バカ! (軽く胸をたたく)
ヨ:リコさん、大丈夫? (どうしていいか、わからない)
リ:起こして!


ヨンシュンが手伝って抱き起こすが、急に立ち上がって酔いが回り、気持ちが悪くなって目の前が暗くなる。


リ:気持ち悪い・・・。




長くいた化粧室からやっと出てくると、ヨンシュンが化粧室近くのイスに腰かけていた。


リ:待っててくれたんですか?
ヨ:大丈夫?(ちょっと困った顔で、心配そうに見る)
リ:ええ、すみません。ご心配おかけして・・・。
ヨ:(微笑む)もう酔いは醒めたんですね。
リ:ええ。(恥ずかしそうに)醜態をみせました。すみません・・・。ソナさんがカギをしまっているところ、知ってるから、もうお店の戸締りして帰りましょう。


ヨンシュンが立ち上がって、


ヨ:そう。じゃあ、そうしましょうか。
リ:ええ。


スナックの戸締りをして、二人は夜風に当たりながら、無言で歩く。
今、何を話していいのか、お互い頭の中でいろいろ考えながら歩いている。


ヨンシュンさんには、いつもそばにいるだけで、やさしく抱きしめてくれているような温かさがあるのに。今はそれがない・・・。
言葉はなくても隣にいるだけでちょっぴり幸せな気分なのに。


どうして気持ちがすれ違っているのか、リコにはわからない。

そうこうするうちに、ソナのマンションの近くへ来る。


リ:ヨンシュンさん。私、ソナさんの所へカギを届けるついでに、今日はこっちに泊まります。今日は・・・どうもありがとう・・。(顔がまともに見られない)
ヨ:わかりました。・・・気をつけて。じゃあ、おやすみ。
リ:おやすみなさい・・・。(顔を見ないで帰っていく)


ヨンシュンはリコの後ろ姿を見送るが、もうなんか、やりきれなくなって、肩を落として、マンションへの道を一人、寂しく帰っていった。








「第7話 好き・・・」


二日後の午後7時過ぎ。
マンションのエントランス脇のメールボックスで、ヨンシュンを見かけたリコは彼の姿がうれしくて、勇気を出して、ヨンシュンのそばへ行く。


リ:ヨンシュンさん、こんばんは。この間は、どうもありがとうございました。私、酔っ払っちゃって・・・申し訳ありませんでした。(一生懸命、笑顔を作って言う)
ヨ:(寂しそうな顔でチラッと見て)いいんです。酔った人を見捨てるようなまねができないだけなんですから・・・。


ヨンシュンが少しムッとしたような、避けるような態度を取っている。でもリコは必死で彼との接点を持とうとしている。


リ:ところで、ヨンシュンさん。ショールームの控え室の会議用テーブルなんですけど、こういうのはどうでしょう。いくつかのデスクを組み合わせ式にして・・・。
ヨ:リコさん、仕事の話は会社で聞きます。(きっぱり言う)
リ:あっ。ごめんなさい・・・。あなたに会えて、うれしかったものですから、つい、お話したくなっちゃって・・・。(笑顔で見つめる)
ヨ:・・・。今、どんな気持ちでそう言ってるんですか? (冷たく言う)
リ:えっ? どんなって気持ちって・・・(少し赤くなって)う~ん、・・・あなたに会えて、うれしくて胸がいっぱいというか、弾んだ気持ちというか、幸せな気分というか、とにかく・・うれしいんです・・・。(控えめに見つめる)
ヨ:・・・。ふざけてますか? (きつい顔をする)
リ:いえ・・・真面目です・・・。いつも真面目に言ってるんです。・・変ですか?
ヨ:変です!(きっぱりと言う)


ヨンシュンはどんどんエレベーターホールに向かう。リコが追いかける。


リ:ヨンシュンさん、私、変なこと言いました? いつ言いました? あなたを怒らせるようなこと、いつしました? 私たち、友達になったじゃない。ちょっとお礼を言って、ちょっと仕事の話をしただけじゃない。なのになぜ? ねえ!(詰め寄る)


ヨンシュンが振り返り、


ヨ:そうでした。ちゃんと、「この間は、どういたしまして」と答えるべきでした。そして、ちょっと仕事の話をしただけでした。そして、僕たちは友達になったんでした。・・・友達に。(見つめる)
リ:そうよ。
ヨ:友達でしたね・・・。(ぐっと見つめる)
リ:ええ。
ヨ:・・・撤回します。(後ろを向いて歩き出す)
リ:えっ? なんで? なんでなの? ヨンシュンさん。(ヨンシュンを追いかける)


ヨンシュンが立ち止まり、くるっと後ろを振り向くと、真後ろにリコがいて、背の高いリコと顔がくっつきそうになる。一瞬、リコの唇に目がいって、自分の顔がリコの唇に吸い込まれそうになるが、ヨンシュンは自分を律して、ちゃんとリコの目を見つめて、


ヨ:リコさん、・・・やっぱり、友達はイヤです。
リ:(眉間にしわを寄せて)キライ・・・ですか?
ヨ:・・・。失礼します。


ヨンシュンはまたくるっと向きを変えて、今度は非常階段の方へ歩いて行き、どんどん上って行く。リコもつられて、ついて行く。


リ:ヨンシュンさん、止まって! 待ってよお。


彼が大股で二段飛びで上がっていくので、リコは息切れしながらついていく。


リ:ヨンシュンさん! 理由を聞かせてください! ヨンシュンさんたら!(怒った顔になる)・・・もう怒った! ヨンシュン! ヨン! あなた何よ、その態度! 人をバカにして! ちゃんと訳を言いなさいよ! 訳を! あなたねえ、ふざけてるわよ! 何よ! フー!(息が苦しい)


リコが足元を見ながら手すりに捕まって、必死にヨンシュンについて階段を上がって行くと、3階の踊り場の手摺りの横で立ち止まっている彼のお腹に額をぶつける。
リコが顔を上げる。ヨンシュンが下を向いてそびえ立っている。リコは怒ったように、ドンドンと2段上がり彼と並ぶ。


リ:(怒った顔で彼を見て)なんで止まったの? 急にそんな所で立ち止まらないでください。追いかけてる身になってよ。ぶつかっちゃったじゃない。(自分の額を撫でる) 困ります! 急に立ち止まられると・・・。お腹に・・・ぶつかっちゃったじゃない・・・。(怒ったような、困ったような、恥ずかしいような顔で見つめる)
ヨ:(真剣な表情で)・・・リコさん。僕に内緒にしていることはありませんか?
リ:えっ? う~ん。特には・・。何かしら? (それで怒ってるの?)


リコは腕を組み、ヨンシュンを見つめる。右手の人差し指をアゴに当て、考える。ヨンシュンは真剣な顔つきでリコを見つめている。


リ:う~ん。あなたの机の上のブタさんのこと? ごめんなさい。割ったのは私です。でも。大切なものなら、あんな簡単に壊れそうな所になんか、置かないでください。・・・黙っててごめんなさい。(違う話?)
う~ん、(そうか!)この間、居酒屋の下駄箱のとこで、あなたの靴を踏んじゃったの、黙ってたこと、怒ってるのね?(済まなそうに) 確かにヒールで踏みました・・・凹んだわね・・・キズが残っちゃった? ごめんなさい。(申し訳ない)
・・違うの?(他には・・) あ、この前の会議の時のお弁当? そうでしょう?(ビンゴ?!) 私が焼肉弁当、先に取っちゃったの、怒ってるんですか? 私、そぼろ弁当があんまり好きじゃないんです。(違うの?)
ええ~と・・ああ、アイスコーヒーのこと?(少し笑う。そうでしょ!) 私が間違えて飲んじゃったから。だって間違えて私の前に出されたのよ。コーラだと思って少し飲んじゃったの・・・少し減ってて、気がついてたんですね(意外と細かいのね)・・・ごめんなさい。
ヨ:いろいろ、隠し事があるんですね。(まだ怒った顔で見つめている)
マ:ごめんなさい・・・私っておっちょこちょいだから・・・。(済まなそうにちょっと上目遣いで顔を見る)


ヨンシュンは少し呆れたような顔をして、ため息をつく。
あまりに・・・リコの態度が・・・あまりにかわいいというかおかしいので、もう、どうしようもない・・・。


ヨ:なんで、あなたは・・そんなに・・・。(困ったような、笑いそうな顔をする)
リ:ごめんなさい・・・。
ヨ:いいんです・・・そんなこと・・・。(やりきれない)
リ:・・・?(見つめる。まだ何かあるの?)
ヨ:本当はもっと知りたかったことがあるんです。・・・僕たちは友達ですか?
リ:(うなずきながら)ええ・・・。
ヨ:ずっと?
リ:・・・?
ヨ:変わりませんか?
リ:・・えっ?(どう答えていいかわからない)


リコが答えないので、ヨンシュンは仕方なく、自分から話す。


ヨ:あなたには、パートナーがいるんですね?(ちょっと悲壮な顔で)
リ:京香先輩のことですか?
ヨ:いえ、仕事のことじゃなくて・・・。
リ:仕事じゃなくて・・・?(わからない)
ヨ:・・・一緒に住んでいる・・・。
リ:一緒に住んでいる・・・? (わからない)
ヨ:ええ、一緒に暮らしている・・・。(あの人ですよ)
リ:一緒に暮らしている・・・ああ、タクヤですか?
ヨ:・・・。(見つめている)
リ:? (それが?)
ヨ:・・・。
リ:・・。(にこやかに)ヨンシュンさんは社宅だし、別に人と部屋をシェアしなくても暮らせるでしょう? 
ヨ:(リコを見てそれから上を見て、ため息をつく)
リ:え? (何よ?)


ヨンシュンは、よりによって人の彼女を好きになってしまった自分が情けなくて、くるりと向きを変えると、3階のドアを開け、出ていく。リコはしばし、その様子を眺めていたが、はっと気がついて、慌ててヨンシュンの後を追う。

リコが後ろからヨンシュンの腕を掴む。


リ:待って! 誤解よ。ヨンシュンさん、誤解してるわ。
ヨ:何を?
リ:私とタクヤは何でもないんです・・・。ただ一緒に住んでるだけです。
ヨ:・・・?
リ:部屋を二人でシェアしているだけなんです。ぜんぜん、他人です。恋人でもなんでもないんです。ただの同居人です。
ヨ:でもあなたをリコって呼びつけにしてますよ。
リ:あ~あ。だって、私の兄の友人なんだもの。アニキ代わりなんです。ただ、それだけの関係です。
ヨ:ホントに?
リ:ええ。ホントにそうなんです。

ヨ:(不思議そうに見る)彼に魅力を感じないんですか?
リ:タクヤですか? う~ん、(ちょっと考えるが)かわいい人だけど、それだけです。どうして? だってもう身内みたいなものだから・・今さら、好きとか、そういう感情は浮かんできません・・・。
ヨ:ぜんぜん?(驚いた目をする)
リ:ええ、ぜんぜん。(なんで?)
ヨ:まったく?
リ:ええ、まったく。
ヨ:・・・。(リコの顔を見つめる)
リ:おかしいですか?
ヨ:・・・。僕にはとっても魅力的に見えるんですけど。
リ:そうお?・・・私にはヨンシュンさんのほうが・・・。(ハッと自分の言葉に気がついて、うなずいて、伏目勝ちに)とても魅力的に見えます・・・。
ヨ:・・・。(リコの言葉がズシンと響いて、一緒に下を向く)
リ:・・・。
ヨ:ホントに?(ちょっと甘えた目で)
リ:ホントに。(そうよ!)
ヨ:どのくらい? (ここがすごく聞きたい!)
リ:すっ・・ごく・・・。(首をかしげて目は顔を見られず、ニヤけて笑う)
ヨ:リコさん、それでも僕たち、友達のままですか?(リコを真剣に見つめる)
リ:・・。(顔を見る)
ヨ:僕も、リコさんが、すごく・・好きなんです。大好きなんです。それでも友達のままですか・・?
リ:・・ヨン・・・。
タ:リコ!


リコが振り向くと、タクヤがにこやかに歩いてきた。


タ:こんばんは。ヨンシュンさん。(明るく挨拶する)
ヨ:こんばんは・・・。(ぎごちない笑顔)
タ:(リコに)ねえ、豆腐、買ってきてくれた?
リ:ええ・・・。
ヨ:じゃあ、僕はこれで・・・失礼します。(頭を下げて帰る)
リ:・・ヨンシュンさん! ・・おやすみなさい・・・。(小さく手を振る)
タ:おやすみなさい。(ヨンシュンににこやかに言う)


ヨンシュンも振り返り、にこやかに手を振った。
リコはヨンシュンを見送ると、タクヤをぐっと睨みつけて、黙ってさっさと歩いていく。


タ:(取り残されて)おい。もう、なんだよ、皆して・・。何?




マンションの部屋の中。
タクヤがリビングに入ってきて、リコに聞く。


タ:おい。どうしたんだよ? 何かあったの?
リ:(ムッとしてタクヤを睨みつけ)あんたの頭の中は、冷やっこしか考えられないの?!


リコが怒って、自分の部屋のドアをバタンと閉める。


タ:なんだよ!・・・えっ!(もしかして)・・・そういうこと・・・そう・なの?(頭を掻く)





翌日の朝。
いつものようにグルーミングに時間をかけたタクヤがダイニングテーブルに着き、いつものようにお気に入りの花柄のタオルを胸にかけて、


タ:おい。おまえさあ、(マグカップにカップスープの素を入れ)場所考えて、ラブシーンやってよね。(リコの顔を覗きこむ)あんな通路の真ん中でさあ。(テーブルの上の電子ジャーからカップにお湯を入れる)オレだって困るよ・・・。(スプーンでかき混ぜる)


リコは、いつものようにメガネをかけて新聞を読んでいるが、ちょっと目をつり上げてタクヤを睨む。タクヤが口元でスープをふーふーしながらリコを見ると、リコがベーと舌を出す。


タ:(呆れた顔で)・・・どこがいいんだろうね・・こんなやつの。(わからないという顔をして)おまえの、そういうやなとこ、あいつ、知らないだろ? ねえ、(笑いながら顔を覗きこみ)どんな顔してあいつとデートしてるわけ?(興味しんしんで言う)
リ:なんなの?(ちょっといやな顔をするが、思い出し笑いをして)・・・あ、彼ね。ペーさんの漫才、おもしろかったって。楽しかったって。あの券、もらってホントによかったわ。(ツンとした顔でトースターからパンをとり出しバターを塗る)
タ:(驚いて)あれ、行ったの? あいつと・・・。ふ~ん。・・・趣味が変わってんのかな、あいつって。おもしろそうなやつだな・・・。(サラダをガブリと食べる)

マ:タクヤと同じ年の32歳よ。(タクヤのほうに顔を突き出して)かわいいプチュプチュのおとめ座さん。あんた、毒針のさそり座でしょ?
タ:(ムッとして)おまえもな・・・。
リ:あんたほど、毒はないわよ。(サラダを食べる)
タ:ふ~ん。おもしろくなってきたな。おまえとあいつか・・・。ふ~ん。
リ:何? そのふ~んって。
タ:だって、かなりあいつ、かっこいいぜ。おまえ、わかってんの? 相当、かっこいいよ、隣のヨンシュンさん。
リ:わかってるに決まってるでしょ。(バカみたい) だから、いいなって・・。
タ:って思っちゃったんだ。でも、あいつもだろ? しかし、あいつの好みって不思議だよな、ぺーとおまえ・・・。(感心する)あいつもおまえが好き・・?
リ:う~ん。そうみたい。
タ:ふ~ん、そう?
リ:う~ん、そう。


二人は顔を見合わせるが、気恥ずかしくなり、リコはTVのリモコンのスイッチを入れた。




午前7時40分。
タクヤは定時に家を出る。ヨンシュンの部屋の前で、ちょっと立ち止まる。ドアを見る。ちょっとムッとした顔になる。口を尖らせ、怒ったような顔になる。そしてその顔のまま、エレベーターのほうへ歩いていった・・・。



リコが朝の支度をして出て行くと、ヨンシュンが自分の部屋の前に立っていた。リコの顔を見ると、ニコッと笑った。リコは昨日の会話を思い出して胸がいっぱいになる。ヨンシュンが自分を待っていてくれたのかと思うと、うれしくなった。


リ:おはようございます。
ヨ:おはよう。よかったら、一緒に行きましょう。
リ:ええ・・・。


リコは胸がいっぱいで、ちょっと下を向いてヨンシュンの少し後を歩く。ヨンシュンは笑いながら、


ヨ:リコさん、どうしたんですか? 静かですね。
リ:・・・ええ・・。


ヨンシュンは、リコとは反対に幸せそうにニコニコして堂々と歩いている。エレベーターの中でも彼は晴れやかな気分だ。
リコだけ、バッグを両手で前に持ってちょっとうつむいて緊張して固まっている。
胸のときめきでさっきから息苦しくて仕方がない。
ヨンシュンがにこやかに首をかしげて、リコを見た。
リコが「えっ、何?」とヨンシュンを見た瞬間、彼の唇がリコの唇を奪った。まったく瞬間技だったが、リコはバッグをドスンと下に落としてしまった。
エレベーターのドアが開いて、ヨンシュンがバッグを拾い、二人はエレベーターを降りる。


リコはホワンとした気分でエレベーターを降りた。そして、深いため息をついた。
リコのため息があまりに大きかったので、ヨンシュンは驚いたが、リコにバッグを渡しながら、少しうれしそうにリコの顔を覗き込む。


ヨ;リコさん? 僕と二人きりだと緊張する?(笑顔で愛しそうに見る)
リ:(夢見心地な顔をしてボーっと彼に見とれて)・・・ヨンシュンさん、私・・・。


ソ:先輩! ヨンシュン先輩!


リコとヨンシュンの二人が声のするほうへ振り向くと、ソナが息を切らしながら、走ってくる。


ソ:先輩! たいへん! レナが今朝、日本に発ったって。先輩のところへ向かっているらしいよ。
今、レナのお母さんから電話が入ったよ。
ヨ:・・・!(顔が引きつる)
ソ:先輩。どうする? 先輩の会社の住所はわかってるから、あっちへ行くみたいだよ。
ヨ:・・・。(リコをじっと見つめているが)リコさん、すみません。今日はこれで。急用ができたので先に行きます。


そう言って行こうとして、ハッと振り返り、リコとソナの二人を交互にマジマジと見つめ、もう仕方ないなという顔をして、諦めて走り去った。


リ:ソナさん。レナさんて誰?
ソ:先輩の、元というか、現というか、婚約者よ。(心配そうにヨンシュンの後ろ姿を目で追いながら言う)
リ:ええっ!


リコは絶句した。








続く・・・・。


いったいヨンシュンさんって・・・・???






[コメント]

1.Re:【創作】恋のタイトルマッチ3

2009-05-18 00:10:08.0 きょこまま

ヨンシュンさんって・・・・

今回の落ち・・と言うか最後のところ・・・

え~~~~~~~~ですよ~????

リコちゃんの誤解がとけて・・と思ったら・・・
韓ドラの波乱万丈なみな展開~~。
リコちゃんが悲しまない結果だといいな~^^
それから・・タクヤ・・・かすかにリコちゃんの事好きだったりしてね^^?

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2.Re:【創作】恋のタイトルマッチ3

2009-05-18 13:15:41.0 kiko3

きょこちゃん、

これは韓ドラだからねえ~最後が「え!」であ~る^^

これ、これから人がいろいろ出てくるの。
私の作品の中では一番登場人物が多い作品^^

人間関係が・・・でも、ラブコメだからね^^v

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