2010-12-29 02:21:47.0
テーマ:【創】 Holidays カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【シアター】Happy Holidays 3



BGM:
Page "You and me"


Happy Holidays - Love Vacations

 



イメージphoto:
ヨンサン/作家(隣のあいつ)、ジョンジュ/彫刻家(永遠の巴里の恋人)、ヨンジュ/特派員(東京恋物語―僕たちの場合)、ヨンス/医師(さよならは言わないで)、ヨンソン/カメラマン(二人の街角)、スンジュン/商社マン(Oh,Myテディベア)、YJ/作家(夕凪)、ヨンシュン/実業家(恋のタイトルマッチ)、J/元ホスト(恋の病)、ミョンジュン/刑事(オレたちに明日はない)、ジューン/チェリスト(TrulyMadlyDeeply)






↑BGMはこちらをクリック






BYJシアターです^^

本日は「Happy Holidays」後編です。


皆さんのお気に入りのあの二人に出会えましたか?

まだ気になっているカップルはいますか?



では最終回、お楽しみください。
ここより本編。


~~~~~~~~~~~






【Happy Holidays -Love Vacations】後編

主演:ぺ・ヨンジュン







【The Guidepost to Happiness】(幸せの道標(みちしるべ))



「二人でこうして食事するなんて、久しぶりね」
「ヨンミョンが生まれてから、忙しかったから・・・。ママ、いつもありがとう」
「パパ・・あっ、いけない・・・。(笑う)ヨンシュンこそ、いつもありがとう」
「乾杯!」
「乾杯!」




【恋のタイトルマッチ】より
ぺ・ヨンシュン・実業家(ぺ・ヨンジュン)
妻・リコ (小雪)




二人は久しぶりにワインで乾杯した。

ソウルではちょっとおしゃれなイタリアン・レストランの個室。
三人の子持ちになった二人には久しぶりのゆったりした時間だ。



年末まで仕事で忙しかったヨンシュンが、新年になって、やっと仕事が一段落し、少し時期はズレたが、二人でクリスマスと新年を祝って、食事に来ている。




「なんか酔っちゃいそう。ワインなんて久しぶりなんだもん」
「大丈夫? 少しにしておいたほうがいいよ」
「うん。早くどんどん飲めるようになりたいわ」(にこっと笑う)



「そういえば、タクヤさんたちからクリスマスカード、来てたね」(オードブルを食べながら言う)
「うん。今、ニューヨークのテヒちゃんたちのところへ遊びに行ってるんですって」
「いいなあ、ニューヨークなんて・・・今度行こう」(リコに笑いかける)
「そうね。レナさん、すっかりキレイになっちゃったわね。驚いちゃった、写真見て」
「まあ、もともとキレイな人ではあったよね」(オードブルのサーモンを切りながら、あっさりと言う)
「・・・そう思ってたんだ・・・」(皿から顔を上げてヨンシュンを見る)
「なあに? 美人じゃない?」(リコの顔を見る)
「・・・・」(じっと見る)
「リコのほうが好きだよ」(笑う)
「うん・・・テヒさんも美人よね?」
「・・・そうだね。リコだって、美人だよ」
「・・・ありがとう」



「タクヤさんもヒゲを伸ばしてかっこよくなってたよね?」(食べながら言う)
「そうなの、タクヤってハンサムだから、ヒゲを伸ばしても決まるわよね」(ヨンシュンの顔を見て言う)
「・・・そうお?」(ちょっと気にいらない)
「うん」(頷く)
「・・・・」(少しムッとする)


「なあに?」
「やっぱり、タクヤさんはかっこいいよね?」(確認する)
「ええ。だって、日本一だと思うわ。顔なんか・・・」(笑顔で言う)
「・・・・そこまで言うんだ・・・」(呆れて顔を見る)
「あら、パパ、どうしたの?」(ヨンシュンの顔を見る)
「ふ~・・・」(なんか、やな気分)
「パパは韓国一よ・・・韓国一、かっこいいわ」(笑顔で首をちょっと傾げて言う)
「ふん」(鼻で笑う)
「だって、こっちへ来てから、目移りする人なんてどこにもいないもん・・・」(真面目な顔で言う)
「日本では、いてたの?」(驚く)
「えっ? まさか・・・」(そんな・・・)
「ふ~ん」
「パパはたまに目移りしてたわよね・・・」(肉を切りながら言う)
「そんな」(何言ってるの!)
「してたわよ・・・」(肉を切っている)
「・・・してないよ」(困った声)
「ホントね?」(ちょっとうれしそうに見つめる)
「ああ・・・」



二人はちょっと見つめあう。



「あっ!」
「どうしたの?」
「ちょっと絞ってくる。おっぱいが少し漏れてきちゃった・・・」
「いいよ。待ってるから」
「うん・・・」



リコが席を立って、化粧室に行く。


しばらく待つ。




「ごめんなさい・・・。食べててよかったのに。冷めたらもったいないわ」
「大丈夫?」
「うん。もう授乳中はこれだから色気がないわ・・・」
「でも・・・胸が大きく見えていいよ」(少し笑って言う)
「やだ、そうかしら」
「うん」(笑顔)
「・・・でもそれって、普段の私がチッチャイってことよね?」(不服そう)
「別にそういうこと、言いたかったわけじゃないけど・・・」
「・・・・」(不満)
「違うよ」
「・・・いいわよ。訂正しなくても」(口に肉を持っていきながら顔を見つめる)
「リコはいいんだよ・・・胸の大きさなんて・・・」(肉を切る)
「・・・・」(うれしそうに見つめる)




「今日は母さんたちが子供たちを預かってくれてよかったね」(幸せそうな顔をする)
「ホント。もう少し回数を増やしてほしいくらいだわ」(笑顔で言う)
「今度言っておくよ」(何気なく言う)
「やだ、言わないでね。わがままな嫁だと思われちゃうから・・・」
「そんなこと、思ってないよ」
「そうかしら・・・」(見つめる)
「大丈夫だよ。ハングルも覚えてエライって言ってたよ」(励ます)
「ホント?」(うれしい)
「うん・・・」(やさしく微笑む)
「そう・・・よかった・・・」
「一度、日本へ里帰りしなくちゃね。お母さんのお墓参りもしたいだろ? 子供たちにも見せてあげたいし」
「そうね・・・。でもあの三人と行くと思うと、ちょっと面倒臭くなっちゃうの。もう少し大きくなってからでもいいわ」
「いいの? ムリしなくていいよ。いつでも、連れてってあげるから」
「ありがとう」(うれしい)




「ああ、君の実家のお寺のあの階段が懐かしいな・・・。緊張して上ったよね」(懐かしそうにリコを見る)
「そうね・・・」
「懐かしいな・・・たまに思い出すんだ。あの階段。ポンって、頭に浮かぶんだよ」
「ヨンシュンもそうなの? 私もよ。私は子供の頃からの思い出があるけど・・・最近はね、ヨンシュンと一緒に行った時の、あの9月の階段を思い出すの」
「虫が鳴いてたよね・・・」
「うん・・・。なんか思い出すと、心が洗われるような気がするのよ・・・」
「僕も」
「ホント?」(顔を覗くように見る)
「ああ・・・」
「二人の思い出ね」(じっと見つめる)
「うん、素敵な思い出だよ」
「・・そうね・・・」



そこへウェーターが入ってくる。



「ぺ様にお電話でございます」
「あ、すみません。何かな?」



電話を受け取る。



「もしもし? あっ、母さん。どうしたの? えっ? ヨンジュンが熱を出したの?」
「やだ。そろそろ、帰る?」(心配顔)
「母さん、ソン先生、呼んだ? うん、診てもらって。僕たちもそろそろ帰るから・・・」




「今日もここまでね」(ちょっと残念)
「デザートをもらっていこうか。(ウェーターに)悪いけど、ケーキは包んでくれる?」
「かしこまりました」
「あ、申し訳ない。あと、二つ追加できる?」
「はい」
「じゃあ、追加してください」
「お母様と叔母様の分?」
「うん、隠れて食べるのもやだろ?」
「そうね」
「また今度、ゆっくり来よう」
「うん」




二人は立ち上がって、個室を出ようとすると、ヨンシュンがリコに言う。




「リコ、いつもありがとう。僕を幸せにしてくれて・・・。すごく感謝してるんだ」(見つめる)
「パパ・・・。私もヨンシュンがいるから、幸せよ・・・」



二人はちょっと見つめ合って、ヨンシュンが肩を抱いた。





リコは今、2歳の双子とまだ授乳中の子供の、三人の子供の子育てに忙しい・・・。
まだまだ、二人の時間を持つことは難しい。



でも・・・ヨンシュンと同じ風景を頭の中に思い描くことがあるのだと思うと、なぜか、心が温かくなって、幸せな思いに包まれる。



横浜の実家のお寺の長い階段を二人は緊張しながら、一歩一歩上った。

鬱蒼とした木々の木陰から涼やかな風が吹いていた。
そして、虫たちが夏の終わりを告げるように、一生懸命鳴いていた。



あの日をきっと忘れないだろう。



頭に浮かぶあの階段は、ヨンシュンとリコの中では永遠だ。


永遠の幸せの道標だ。



二人はコートを着て、土産のケーキを受け取ると、迎えの車のほうへ急いだ。













【Travel】(旅の街角)



「ここで曲がるのかしら?」
「どれ?」


二人は初めて訪れたパリの地図を見ている。


「きっとそうだよ」
「ヨンソンたら、いい加減ね」(笑う)
「だって、フランス語が読めないんだから、仕方ないだろ」




【二人の街角】より
チョン・ヨンソン・カメラマン(ぺ・ヨンジュン)
キム・リヨン・画廊勤務(チョン・ドヨン)




「行ってみる?」


ヨンソンとリヨンはとりあえず、歩き始める。




「丘の上に住んでるんでしょ? その彫刻家」
「そう。ヨーロッパですごく人気のある人なんだ。作風がね、独特でね」
「写真、見せて」


ヨンソンが大きなカメラマンバックから、一枚の写真を取り出す。



「へえ・・・」


ちょっとヨンソンを見る。


「ヨンソンとなあんか似てる。でも、この人のほうがちょっと神経質な感じかな」
「オレは?」
「ノンキ!」(笑う)


「そうかなあ。でも、この人もいい感じだよな」
「うん・・・」



人物写真からしばらく離れていたヨンソンだったが、二人が結婚後、リヨンにも勧められて、今は人物を中心に撮っている。
ヨンソンの写真はその人の人柄や人生を切り取っていると好評で、有名なグラビア誌で、人物列伝のように、連載で写真と対談記事を載せている。


そんな仕事ぶりにリヨンはとても幸せを感じている。

ヨンソンはとても人好きのする人だったのに、ある時期、何もない風景ばかり撮っていた。
そこには、彼の虚無感が出ていてとても辛かったから・・・。



今、春の特集に向けて、海外で活躍している若手の芸術家や音楽家を中心に取材旅行を兼ねて、一月の頭から、妻のリヨンとともに、旅を続けている。

一昨日、ロンドンからここ、パリに渡ってきた。



二人はブラブラしながら、これから取材する先の彫刻家の家へ向かっている。
時間にはまだゆとりがあった。



「ねえ、見て。かわいいお店!」


リヨンは、途中におしゃれな感じの小物の店を見つけた。




「おまえって、そんなことばっかり考えて歩いているんだな」(呆れる)
「いいじゃない。まだまだ時間があるんだもん。見てもいい?」
「・・・いいよ。だめって言っても見るんだろ?」
「当ったり~。よくわかってるね」(笑う)




二人は、店に入る。



「ヨンソン、やっぱり、パリってなんか違うわね。何か買いたいな」
「大きなものはだめだよ。これから仕事なんだから」
「わかってるって」



リヨンは、うれしそうにどんどん奥へ入っていく。
ヨンソンもそんな生き生きとしたリヨンの姿が大好きだ。





奥へ入っていくと、そこには、クリスタルの動物の置物が並んでいた。



リヨンが立ち止まって、じっと見つめる。



「ねえ、どうしたの?」


ヨンソンが後ろからリヨンに声をかけ、リヨンの見ているものに目をやった。


クリスタルの動物が並んでいた。



二人はじっと見つめる。



あの長くて苦しい日々を思い出した。


好きなのに一緒になれず、お互いに思いも告げられず、2年に一度会っていた頃。

リヨンはいつもあの街角の思い出に、小さなガラス細工の動物の置物を買って帰った。


懐かしいような、苦しいような・・・。



「どうするの?」
「え?」
「見るの?」
「・・・」
「せっかくだから、見てみたら」
「・・・そうね」



リヨンはクリスタルの動物を一つ一つ見ていく。



動物園が大好きなヨンソンのために買い集めたあの動物たち。

今は二人の部屋に2つずつ仲良く並んでいる。



「キレイだね」
「ホント」



リヨンが一つ手に取って、光にかざすように眺める。

あの時と同じように、リヨンの目がキラキラと光った。



「リヨン、大丈夫?」
「・・・。ヨンソン、私、これ買うわ」
「買うの?」
「うん。私たちが今、どれだけ幸せなのか、今、再確認した」(笑顔でヨンソンを見る)
「・・・」
「こうして二人でノンキにパリの街角で買い物してるなんて、素敵よね? さっきまで当たり前に思ってたけど、これって素敵なこと・・・。思い出に買う」
「そうか・・・」
「うん!」





「ヨンソン・・・なんて言うの?」
「え?」
「フランス語で、くださいって」
「ええと・・・英語で言ってごらんよ」
「やっぱり! 勉強してこなかったんだ。バレたわね」(笑う)
「ふん」(睨む)




「エクセキュゼ・モア!」


リヨンがちゃんとフランス語で買い物をしている。

ヨンソンは一本とられて、苦笑いをした。




小さな箱に詰められた象やライオン。


リヨンがうれしそうにバッグに仕舞い込んだ。



「何買ったの?」
「象とライオン」
「そっか。また一緒に並ぶんだ」(笑顔)
「うん。また2つずつ買っちゃった」
「・・・・。もう別れたくないよ・・・」(真面目に言う)
「ヨンソン、皆ペアじゃないと、かわいそうでしょ?」(笑いかける)
「そうか・・・うん」



「さあ、そろそろ行こうか。丘の上の住人が待ってるぞ」
「そうね」
「リヨンは奥さんに絵を見せてもらうんだろ?」
「うん。去年、フランスでね、油絵の新人賞を取った人なのよ。新人のうちにうちの画廊で手に入れたいの」
「へえ、夫婦ですごいんだ」
「でもねえ、この奥さん、日本人だから、言葉が通じるかどうか、わからないの」(笑う)
「日本語は準備してこなかったの?」(横目で見る)
「もうお!」(肩を叩く)




二人は地図に従って、ずうっと坂を上っていく。



丘の上に、瀟洒なレンガの一軒家が見えてきた。




「あそこだ」

ヨンソンが指差す。


「すごい! なんだか映画のワンシーンみたい・・・同じ韓国人であんな家に住んでる人もいるのね・・・」
「住んでみたい?」
「うん・・・」
「じゃあ今度ね」
「うん、期待してるわ」



二人は見合って笑った。



玄関のベルを鳴らすと、ドアが開き、小柄でキュートな感じの若い女性が出てきた。



「あの、韓国から来ましたカメラマンのチョン・ヨンソンと申します」
「ああ。お待ちしていました」
「韓国語がおできになるんですね」(よかった)
「少しだけです。どうぞ、中へ。主人は奥のアトリエにいますから」




二人は部屋の中へ通される。


妻が大きな声で、フランス語で夫を呼んでいる。


「ジョンジュ! ジョンジュ! 韓国のグラビア誌のチョン・ヨンソンさんが見えたわよ!」
「アトリエへ回ってもらって!」



「こちらを通って、左側の奥にあるアトリエへどうぞ」
「ありがとうございます」
「あの・・・」
「はい」
「チョンさん、あなたのような素敵なお写真を撮られる方に取材していただけて光栄です。いつも、主人と、韓国のグラビアで拝見してるんです。二人ともファンなんです」
「ありがとうございます。なんかうれしいなあ」(頭を掻く)


ヨンソンはテレながらうれしくなる。
横で聞いているリヨンも幸せだ。


「じゃあ、僕はアトリエへ」
「ええ。どうぞ」



「あの、私が先日、お手紙を差し上げたキム・リヨンです」
「チョンさんの奥様ですね。マツモト・リカです」
「油絵を見せていただきたくて・・・」
「どうぞ、こちらからもよろしくお願いします。まだ駆け出しなんです。私のアトリエはキッチンの近くなんですよ。こちらです」



リヨンは、リカの後ろを歩きながら、リカのセーターの配色の良さに心を惹かれる。



「あのお、リカさん。そのセーター、素敵ですね。色合いが独特で、センスがいいわ」
「これですか? 私のデザインなんです。ジョンジュが、私にはファッション関係の染色が合っているんじゃないかって勧めてくれて。それで、始めたんです。小さなブティックに置いてもらったりして。結構ファンになって下さる方もいるんですよ」
「でしょうね。・・・素敵です。その作品もありますか?」
「ええ。糸からお見せできますよ」
「うちの画廊に置きたいわ。素敵ですもの。きっと人気が出るわ」
「こちらです・・・・・」


リカに案内されて、リヨンはリカのアトリエへ入っていった。



ヨンソンとリヨンの初めてのフランスは、仕事も旅も充実しているようだ。












【A Happy Holiday】(幸せな休日)




「見せてごらん」


サングラスを外して、彼女のタートルネックの首を下げ、傷の具合をよ~く見ている。



「う~ん。ずいぶん、キレイになってきたじゃないか。きっともっと薄くなるよ」
「そうお?」
「うん。日に当てないほうがいいぞ。日に焼くと痕が濃くなるから」
「うん、そうする」(タートルネックの首を直す)
「勤務中は包帯巻いていたほうが無難だな」(やさしく顔を見て言う)
「かもしれない」(顔を見る)



彼はサングラスをかけた。



「ねえ、先輩」(ニタニタと笑う)
「うん?」
「寂しかった?」(腕に抱きついて顔を覗く)


「なんだよ?」
「ふ~ん・・・」(笑っている)
「なんだよ?」



ミョンジュンがジヨンの手を振り解き、逆に自分が肩を抱く。
二人は、大通りを、肩を組みながら歩いていく。


ミョンジュンはよそ見をしながら、歩いている。




【オレたちに明日はない】より
イ・ミョンジュン・刑事(ぺ・ヨンジュン)
キム・ジヨン・婦警(チョン・ジヒョン)





「だって、3日も研修でいなかったでしょ? きっと寂しくて泣いてたんじゃないかなと思って」(笑顔で見ている)
「おまえって、めでたいね・・・」(顔をちらっと見る)
「ふ~ん。サングラス、外してごらん!」(サングラスを取ろうとする)
「ふざけるなよ」(笑って嫌がる)
「寂しがりや」(笑う)
「どっちが?」(笑って言うが、ソッポを向いている)
「先輩に決まってるでしょう?」(纏わり着くように顔を覗く)
「おい、(顔を見る)鼻を鳴らして笑うなよ・・・おまえって・・・美人なのに、これだからな・・・」(呆れる)
「え~え! ねえ、何て言ったの? 今」
「・・・忘れた・・・」(前を見ている)
「び・じ・んて言ったよね?」(うれしそう)
「聞き間違いじゃない?」
「ふ~ん。強がり・寂しがりや・健忘症ね!」
「どこが寂しがりやだよ?」(顔を見る)
「わかるのよ・・・」
「おまえ、分析力なし。刑事辞めてよかったよ」(前を見ている)
「ふ~ん。(笑う)自分はさんざん署に泊り込んでるくせに、私が出かけてると、寂しくなっちゃうんだよねえ」
「そんなこと、ないよ。別に一緒に暮らしてるわけじゃないんだからさ」
「ふん、いいですよ、認めなくても。私は先輩を知ってるから・・・」
「・・・やなやつ・・・」(顔を見る)
「ふ~ん」(うれしそう)





年が明けて1月も終わりに近づき、ジヨンは2泊3日の婦警研修に泊り込みで出かけた。
ミョンジュンは顔には寂しいとか出さないのだが、ちょっと気持ちが寂しい時はジヨンを抱く指先に力が入る。


それにジヨンは気がついている。



先輩、どのくらい、寂しかったの?



そんなミョンジュンが今のジヨンには愛しくてたまらない。


今日は久々に二人の休みが合って、ミョンジュンの家で一緒に夕食をとることにしている。






大きなスーパーマーケットに着いた。


「ねえ、何が食べたい? 好きなもの、作ってあげる・・・」
「そうだな・・・」(ちょっと考える)



ミョンジュンがカートを押して、店の中を歩く。

ジヨンが楽しそうに食材を選んでいる。




一見、ジヨンは料理などできそうにないように見えるが、中々どうして、家事は得意だ。


ある時から、一人娘になってしまったジヨンは、両親のため、本当に親孝行な良い娘になった。

刑事になって、親を心配させたこともあるが、それは元来のジヨンが持っている性格にはよく合った仕事だった。
しかし、その職業の選択は、妹の事件を彷彿させて、両親には、胸が痛いものでもあった。
ただ、自分を抑えて、良い娘でいてくれたジヨンが、自分を曲げず、職業の選択を貫いたことは、ある意味では、両親の気持ちをほっとさせるものがあった。






ジヨンのこうした買い物姿を眺めていると、ミョンジュンはなんとなく、幸せな気分になる。



初めて出会った日。

ジヨンはミョンジュンの溜めに溜めた経費の精算を嫌がらず、さっさとやり遂げた。
ジヨンの隣の席に蹲るように座って、デスクに横になりながら、てきぱきと働くジヨンの横顔を見つめた時に、もしかしたら、恋に落ちていたのかもしれない・・・。
いや、インソンの車の運転席から颯爽と降りてきたのを見た時かもしれない・・・。





「ねえ、先輩。これも買うね」



見ると、納豆だ。



「ええ?」
「朝ごはんに。先輩好きでしょ?」




右手に納豆を持って笑顔のジヨンと、カートを押しているミョンジュンがじっとお互いを見つめ合った。





「そうだ。おまえの好きな太るデザートを見に行こう」



ミョンジュンがカートを押して、くるりと方向を変え、どんどん行ってしまう。





泊まっちゃだめだって言わなかった・・・。



・・・初めてだ・・・。




ジヨンは幸せそうに納豆を見る。そして、ミョンジュンの後を追った。




「この生クリームたっぷりのがいいんじゃないの、おまえには」(選ぶ)
「やだ。ゼリーにする・・・」(棚から取る)
「こういうの好きだろ?」(驚く)
「でも、今日はゼリーがいいです・・・」(カートに入れる)
「そう?」
「うん・・・」(見つめて笑う)



ぽっこりお腹なんて見せられないもん・・・。
今日はゼリーにする・・・。




二人は楽しそうに買い物を続ける。





ジヨンはたまに、ヨンジュのことを思い出すことがある。
それは、ミョンジュンとキスした時とか、ちょっとケンカした時とか、彼がお皿を洗ってくれている時とか・・・。


決して嫌な気分になるわけではない・・・。



それより、ヨンジュと一緒に暮らして、彼女がとても心優しくて、素敵な尊敬できる先輩であることを知ってから、今では大好きな人なのだ。
だから、たまに先輩のことを話したくなる。




ヨンジュさんともそうでしたか、ホントに頭にきますよね・・・とか。
こんなこと、言うんですよ、おかしいですよね・・・とか。


あんなキスをされると、もう、しびれるくらい素敵ですよね・・・とか・・・。




自分でもそんなことを口にするのは、バカみたいなのはわかっているので、ヨンジュにもミョンジュンにも言わない・・・。



でも、密かに、時々、頭の中でヨンジュに話しかける・・・。


このまま、先輩と幸せになりたいんです・・・とか・・・。




ミョンジュンは何も言わなくても荷物を持ってくれる・・・。
ただ笑顔で見つめるだけだ。

今も彼は当たり前のように買い物袋を提げて歩いている。




何も言わなくても心を抱きしめてくれる。


だから、今日も幸せだ。

だから・・・
今日はきっと、最良の日になる。







ミョンジュンのマンションの寝室の中、薄暗いスタンドが、ミョンジュンの顔を照らし出している。
今の彼は、少し濡れたくせっ毛が揺れていて、いつものサングラスの強面のミョンジュンとは少し印象が違う。


やさしい目をして、下にいるジヨンを見下ろしている。



ジヨンの指先が少し伸びたミョンジュンのあごヒゲを撫でる。
そして、頬を撫でる。
鼻筋を撫でる。
眉を撫でる。
そして、また頬を撫でて、唇に触れる。

そしてまた、髪を撫でている。


そんな一つ一つの仕草をジヨンの目が追っている。



ミョンジュンを愛しそうに見つめ、動いていくジヨンの瞳をミョンジュンはじっと見つめている。
ジヨンの瞳がキラキラと光り揺れている・・・。



ジヨンは、妹のナヨンの事件以来、男性に触れられるのが怖かった。

心を許すことが怖かった。



でも。

ミョンジュンは出会った時から、いつもジヨンが抱きしめてほしい人だった。



先輩の心がいつもジヨンを抱きしめてくれたから・・・。
そして、いつもなんの衒いもなく、付き合ってくれたから、裸の心のまま、先輩を慕うことができた。


先輩がまるごと、ジヨンを受け止めてくれるように、ジヨンも先輩を思いきり抱きしめたかった。
そして、思いきり抱きしめてほしかった。




こうして、二人でベッドにいること・・・。


それは、ジヨンの夢でもあったが、なかなか先輩はそのような関係にはなってくれなかった。


自分の結婚の失敗からか、ジヨンの過去を思いやってからか・・・二人の心の距離はとても近いのに・・・いや、ぴったりなのに、ここまでくるのに、時間がかかってしまった。






そして今、ジヨンは、ミョンジュンとここにいる。

いざ、憧れのミョンジュンとこうしていても、ジヨンは呼吸が苦しい。


こんなに愛している人と一緒にいるのに・・・。


ジヨンの指がゆっくり、ミョンジュンを撫でていくのを、ミョンジュンは黙ってじっと見つめていてくれる。


ミョンジュンがやさしくジヨンの髪を撫でた。
それとともに、ジヨンは大きく息を吐いた。


あ~あ・・・。



ミョンジュンがやさしく口づけをした。

そして、ジヨンを見つめた。



「こわい?」



ジヨンがミョンジュンを見つめる。



「・・・先輩となら・・・こわくない。きっと・・・」



ミョンジュンがやさしく微笑んで、また髪を撫で、頬を撫でた。




「先輩・・・」
「ん?」

「先輩の血がね・・・もう私の中に入り込んでいるから・・・こわくない・・・」

「・・・? どういう意味?」(ジヨンを見つめる)





あの時だった。
ビルから落ちそうになったあの時だった・・・。



「今まで言わなかったけど・・・。あのビルから落ちそうになった時、力尽きた瞬間、先輩が手首を握ってくれたでしょ・・・。あの時、先輩の腕から血が流れて、私の腕を伝わって、体の脇を通って・・・私の中へ入ってきたのよ・・・たぶん・・・。下着がね、全部、真っ赤だった・・・。それに、それを感じたの・・・。あの時の生温かい感じ。忘れない・・・」

「・・・ジヨン・・・」(見つめる)

「気持ち悪くなんかなかったよ・・・だって、先輩の血だもん・・・・温かかったよ、先輩」(見つめる)


ミョンジュンは今の話を聞いて胸が熱くなり、思わずジヨンを抱きしめた。





ジヨン!


愛しいジヨン!


「ジヨン・・・ジヨン・・・」



ジヨンは抱かれながら、泣いた。

そして、先輩の顔を両手で包み、見つめた。



ミョンジュンの目から、ジヨンの顔に涙が流れ落ちた。




ああ、
私はこの人をぜったい放さない・・・こんなに愛してる!



「先輩!」


ジヨンがミョンジュンの首に抱きついた。






ジヨンにとってのミョンジュン・・・。


それは、ジヨンの全て。



全てを受け入れてくれた人・・・喜びも悲しみも苦しさも・・・愛も!

そして、全てを受け入れたい人・・・。



それが先輩だ。






こうして、二人の時は過ぎていく。


二人で心も体も一つになって・・・。



そしてまた、明日も、最良な日になる。











THE END



もう年の瀬が近づいてきましたねえ。

今年の創作はこれで終わり・・・。

来年はもっと楽しいものを^^


今年も一年ありがとうございました^^

(まだ、普通のブログは書くからね^^v

これはBYJシアターのご挨拶です^^)











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