2009/10/17 00:06
テーマ:【創】Oh, My NY ! カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

【BYJシアター】「Oh, My New York !」2



BGMはこちらで^^




BYJシアターです^^

さて、本日も昨年のニューヨークのヨンジュンさんの報告です^^

ではお楽しみください^^



~~~~~~~~~~




【Oh, My New York !】2




着替えをしたヨンジュンとホーリーは、家から歩いて10分ほどの所にある小さなイタリアン・レストランへ出かけた。


ホーリーが言った通り、カジュアルでフレンドリーな感じのこの店は、通りにもテーブルが並んでいて、若いカップルで賑わっていた。
ホーリーが予約を入れておいたので、二人は奥のテーブルに通された。



「結構、混んでるんだね」
「でしょ」
「なんか雰囲気がいいねえ」
「でしょ。味もいいのよ」
  

店主がやってきた。


「やあ、ホーリー! いらっしゃい。何年ぶり? 久しぶりだねえ」
「どうも。2年ぶりです。またしばらく叔母の所に滞在してますので、寄らせてもらいます」

「それはありがたいな。今日は・・・ボーイフレンド?」
「え~え! そうじゃないけど・・・」

「候補生です^^」

「なるほど。では、候補生さんに選んでもらおうかな。ホーリーの好きなのはこれだけど・・・」

「ああ・・・どれもうまそうだなあ・・・。う~ん・・・では、前菜はこれで・・・」
「OK!  何か召し上がるかな、アペリティフを?」
「そうだな・・・シェリー酒で。君もそれでいい? それとも・・・リキュール?」
「うううん、同じシェリーでいいわ」

「じゃあ・・・。(メニューを指して)こちらで。あまりドライじゃないほうがいいよね?」
「うん」
「あとは・・・赤ワインをもらおうかな」

「こちらのページにワインが」

「あ・・・そう・・・。ええと・・・。あれ、これは珍しいな。これ、置いてるの?」
「ええ、よくおわかりで^^ ホーリー、いい彼を見つけたねえ^^」

「彼じゃないって・・・」

「じゃあ、これを・・・」
「グラスで?」
「1本。残ったらいただいていきます」

「かしこまりました」

  

店主は、ヨンジュンにウィンクをして、オーダーに厨房に入っていった。



「なあに、あれ。ウィンクなんてしちゃって」
「ふん、楽しいじゃない」

「あなたねえ。候補生なんて変なこと、言わないでよ。おじさん、本気にしちゃうじゃない」
「まあ、いいじゃない。ジョークだよ」
「困るなあ・・・」

「ホントに困る?」
「困るわよ」


「あ、来た!」

「まずは、アペリティフ。これは、私からの驕りです」
「いいんですか?」
「ええ、ヒイキにしてください。ホーリー同様にね」

「御馳走様です」
「調子がいいんだから」


ホーリーはあきれ顔で、ヨンジュンを見た。


「あなたって、真面目なんだかふざけてるんだか」

「まあ、いいじゃない。まずは乾杯しよう! 乾杯!」
「もう! じゃあ、乾杯!」

「ホントに感じのいい店だなあ」
「あなたって調子いいわよ」

「何だよ、怒ったの?」
「ちょっとねえ・・・。私、あなたみたいな年上、興味ないから」
「オレだって・・・」
「なら、よかったけど」

「でも、ここの店は気に入った」
「でしょ? ここ、付き合いが古いのよ。叔母夫婦によく連れて来てもらって・・・。今は叔母だけだけどね」
「亡くなられたの、ご主人」
「うううん、離婚。今は30歳の彼女とカリブ海で休暇取ってるわ」
「へえ・・・」
「それが、アメリカよ。こっちで成功して、若い金髪の彼女と一緒になる。アメリカン・ドリームね」
「はあ・・・ふ~ん」



前菜が運ばれて、ヨンジュンがワインのテースティングをしている。

  

「いいですねえ・・・。この舌の上で転がる感じが・・・。薫りの広がりといい・・・。韓国でいただくより、テ―スティですねえ。う~ん・・・これってここの空気との相性があるのかなあ・・・。グラスに移した時、触れる空気」

「ああ、そうかもしれませんねえ。やっぱり、気候って言うのがあるんでしょうね。ここではバッチリですか?(笑) ではごゆっくり。料理とワインを楽しんでくださいね。あ、ホーリーもね」

「ありがとう」



店主はまたにこやかに帰っていった。



「うまいねえ、これ」


ヨンジュンはグラスに目を落として、うれしそうに微笑んだ。


「ホント。お料理によく合うわ」
「だろ?」
「うん・・・。ねえ、あなた」
「何?」

「私、やっとあなたの職業がわかったわ!」

「!」


ヨンジュンはドキッとして、一瞬、心臓が止まりそうになった。


「あなたって」

「・・・」

「ソムリエでしょ?」

「え?」
  
「やっぱり、そうよね?」
「・・・どうして、そう思うの?」
「だって、ワインのことやお料理をよく知っているみたいだもの。それより、不思議だったの。韓国でそんな長い髪の男の人なんて見かけたことなかったもん。と言っても、10年前に行ったきりだけど」
「そう」
「最初、何かのアーティストかと思ったけど、アーティストのニオイとは違うし・・・ソムリエだわ!」
「・・・。(笑)違うよ」

「隠しても駄目よ」
「う~ん・・・ここのマスターには内緒にしてね」
「OK ! や~っぱりねえ・・・」

  
ホーリーも自分の勘が当たったので、うれしそうな顔をしている。

  
「ねえ、このサラダも食べてみて。私、これ好きなの。アンチョビソースがいい感じよ。少しあげるわ」

「いいよ」

「食べてみてよ。折角ニューヨークまで来たんだし」
「ええ、いいの? ありがとう」

「どうお?」
「あ、いけるね。もっと飲みたくなっちゃうな」
「でしょ?」(笑)
「う~ん、食もワインも進むね」
「ね!」

「いいお店を紹介してもらってよかったよ。家からも近いし、散歩がてら来られていいね」
「でしょ? でも、この辺は歩いていける、いいお店がたくさんあるの。だから、いろいろ試してみるといいわ」
「そうだねえ。ここはグルメのための食材がいろいろ揃ってるって聞いたから、期待してるんだ。もちろん、ワインもね」
「そうよ。庶民的なものから高級食材まで。酒屋さんも楽しいわよ」

「へえ。行きつけの酒屋ってあるの?」
「叔母の行きつけのお店ならわかるわよ。結構いろいろ置いてあるみたい。叔父が飲むのが好きだったから、きっといいワインがそろってると思うわ」

「へえ。今度連れていって」
「いいわよ。ここに住むと、居心地が良くて離れられなくなっちゃうから」
「ふ~ん」
「きっとあなたもそうよ」
「かな」
「うん・・・」

「ところで、君はどんな仕事してたの?」

「私? 召使い」

「え?」


ヨンジュンが驚いて、ホーリーを見つめた。

  
「ボスのね」
「ああ」
「ファッション誌の編集してたの」
「それを辞めたの?」
「う~ん、辞めさせられちゃったってとこね」
「・・・なんで?」
「う~ん・・・・電信柱みたいな女だって・・・」
「何、それ?」
  
「編集長が高ピーの女で、やな人だったんだけど、それでも頑張って、召使いのように仕えて・・・一日中働いて・・・それなのに、あいつ・・・」
「・・・」

「あの人の犬よ。ノー足りんのバカ犬。私のプラダのスーツにおしっこしたのよ!」
「え?」

「ごめん・・・食事中だったわね・・・」

「まあ、いいけど・・・」

「私の大枚つぎ込んだやつ・・・。それに、あの犬、おしっこかけたのよ。それなのに、あの女、私に謝るどころか、『あなたって電信柱みたいな女ね』って。今や、時代遅れの電信柱・・・。それで、あいつ、私に、クビって言ったのよ」

「すごいなあ・・・」

「それがアメリカ。傍若無人でもちょっと力のあるやつが生き残る・・・」
「・・・・」

「だから、私もシカゴを捨てたの。ニューヨークで出直しね。あいつなんかに負けないわ!」
「うん、そうだね、頑張って」
「うん」


ヨンジュンは若いホーリーを見て、微笑んだ。


「ところで、君の親御さんは?」
「身上調査?」
「違うよ。なんでおばさんのとこへ来たのかなって」
「ハワイに住んでいるの。あそこじゃあ、私の就きたい仕事がないのよ」
「ふ~ん」
「それで、大学からこっち」
「そうか・・・」
「だから、おばさんが親代わりね」
「なるほどね・・・」

「ねえ、ところで、あなた、足、怪我してる?」
「・・・わかる?」
「ちょっとね、階段下りる時、痛そうだから」
「そうか。左足の膝を怪我してて、まだ完治してないんだ」
「そうなんだ。それで・・・。歩くの平気なの?」
「まあ、痛いけど、歩かないとね」
「いいのお? ちょっと心配ね。まあ、スロースローで」
「そうだね」

「お互い、辛いとこ、あるわね?」
「ふん。(笑) そうだね」

「あなたなんか、仕事は成功してそうなのに足が悪くて・・・。私はこんなに健康なのに仕事がなくて」
「そんなもんさ。うまいよ、ここ。ありがとうね」

「また、違うお店、紹介してあげる」
「うん、ありがとう」



二人の初めての夜は、なんとか楽しいイタリアンで終わった。






通りに出て、二人はブラブラと、整然と並木が続く歩道を歩いている。



「ちょっと飲み過ぎたかな・・・」

「大丈夫?」

「大丈夫。いつも、もっと飲んでも大丈夫」
「へえ。強いんだ・・・。まあ、職業だもんね」
「ふん。(笑)」

「ねえ。今、コーヒーで食事を終えたでしょ? そのあと、ニューヨーク流だと何するか、知ってる?」
「何?」
「食後酒を飲みにいくのよ」

「へえ。いやあ、それ、楽しい習慣だなあ」

「でも、今日はお開き」

「なんで?」


「だって、あなた、少し酔ってるもん」
「そうかなあ・・・」
  
「もう真っ直ぐ歩いてない!」
「ホント? うそだあ!」

「なんで疑うのよ?」
「オレって酔わないのになあ」

「それ、思い込みよ」
「そうかなあ・・・」

「そうよ。・・・わかった! あなたは、頭でっかちのソムリエで・・・」
「頭でっかち?」
「そう、なんか難しい本、置いてたじゃない」
「ああ、わかってもわからなくても読むことにしてるんだ」
「へえ・・・。それで思い込みが激しいタイプね・・・」
「そおんなあ・・・」(笑)

「ほらほら! 曲がってるわよ!」
「うそ!」

「もう、手を引いてあげるわ。酔っ払いさん」
「あ、ありがとう、おばあちゃん」

  
ヨンジュンがホーリーのほうへ手を伸ばした。



「やっぱり。酔ってる…。私、おばあちゃんじゃないわよ!」
「うん? そんなこと言った?」
「言ったあ・・・。でも、あなた・・・ちょっとハンサムね・・・感じがいいわ・・・」
「ん? なんて言ったの?」
「別にい・・・。あ!」
「何?!」

「空!」
「え? あ!」

「大きいねえ・・・」
「ずいぶんデッカイ満月だね・・・」
「雲も見て・・・。流れが速い・・・」
「ホントだ・・・すごいなあ」


二人は手をつないだまま、夜空を見上げた。



「気持ちいい宵だねえ・・・。なんか晴々するよ・・・」
「そうねえ・・・。風もちょっと冷たくていい感じ」

「ホーリー。いい晩をありがとう。まずは、第一日目はいい日だった・・・」
「よかった」

「君は?」
  
「う~ん・・・。電信柱から、おばあちゃんに昇格!」
「よかったな。人間らしくなった」

「やあねえ。あと少しよ。頑張って歩いて! 酔っ払いさん」
「酔っ払いかあ・・・。それも楽しいなあ」

「バカね、ホントに酔ってる」



ヨンジュンは、ホーリーに手を引かれながら、自由に酔っぱらって往来を歩く楽しさに、ちょっと心が弾んだ。


この開放感!
これがほしかったものだ。

飲んだくれて乱れて歩いても楽しいなんて・・・。
いい感じだ!
  


「ねえ! あなたも真剣に歩いてよ! 私が引っ張ってるだけじゃない!」
「そおんなに急がなくても!すぐそこじゃない。こうやって気持ちよく風に吹かれていたい気分なんだあ」
「まったく!(笑) あなたって暢気ねえ」
「酔っ払いだから・・・」(笑)



ヨンジュンの第一日目の終わりはまずまずのようだ・・・。








  


さて、翌朝。

ホーリーがブラブラ階段を下りてくると、キッチンのほうで音がしている。



「おはよう・・・。早いのね」

「おはよう。もう8時だよ」
「そうだけど・・・。昨日は酔っ払いだったのに。元気ね・・・。あ、サンチュサム。一人分?」
「・・・」

「自分の分しか作ってないの?」

「なんで? 君は君で朝飯作るんだろ?」
「ケチね・・・」

「あるよ。食べたい?」
「お腹が鳴ってるの、聞こえるでしょう?」
「まあねえ」(笑)



ヨンジュンは皿にサンチュを敷き、色とりどりのゆで野菜を並べて、その上に生野菜をあしらい、コチジャンなどのソースをかけて、ホーリーの前に出した。

ホーリーはにっこりして、キッチンの真ん中にあるアイランド型の作業台兼テーブルに背の高いイスを持ってきて座った。
  

「すごい! キレイに盛り付けるのね・・・」
「なんか飲む?」
「うん」
「グレープジュースとオレンジジュースが冷蔵庫に入ってたけど」
「う~んと、グレープジュース!」
「ふん」


彼女の前に、グレープジュースが出された。


「ありがとう^^ あなたって、ホントに親切ね」
「まあね。でも、人の弱みに付け込まないようにね」
「わかってる、わかってるわよ。でも、ラッキーだったわ、いい人で」

「あ、ちょっと、どいて。テレビが見えない」
「あなた、私よりテレビなの?」


ホーリーがヨンジュンの前に顔を出した。


「ちょっと・・・。どけよ。ああ、終わっちゃった。(ホーリーを見る) 言っておくけど、僕は、君の世話をしにここへきたんじゃないんだからね」
「わかってるけど・・・」

「毎朝、テレビのニュースを見るのが、僕の日課なんだ」
「ふ~ん」
「食べたら?」
「ええ・・・いただきます」


ヨンジュンがTVをリモコンで切って、コーヒーを入れている。


「あなた、もうシャワーも浴びたの?」
「なんで?」
「ボディシャンプーのいいニオイがする」
「そう? 君は・・・それ・・・パジャマのまま?」
「うん。顔は洗ったわよ」
「ふ~ん。オレは地下室での筋トレも終わった」
「へえ」

「ロミオも飯、食べたよな」


ヨンジュンはロミオを見て微笑んだ。


「あ、もう手なずけた」
「世話してくれる人がわかるんだよ。君じゃなくて、オレだって」
「へえ・・・」

「まあ、君も・・・」
「なあに?」
「そう思ってるみたいだけど」
「私は犬じゃないわ」
「だよな?」

「思ったけど、あなたってレストランとかやってる?」
「!」


ヨンジュンはちょっと素性が知れたかと思って、汗を掻いた。


「思ったんだけど、ソムリエだけじゃないわね・・・。経営者っぽい感じもするもん。レストランもやってるの?」
「ああ・・・。(ちょっと溜息)よくわかったね」
「やっぱりね」
「すごい洞察力だ」
「ありがとう」



ヨンジュンはちょっと安心して、大きめなマグカップに入れたコーヒーと新聞を持って書斎へ向かう。


「どこ行くの?」
「書斎! 君はついてくるなよ!」
  
「何、言ってるのよ・・・。ついていくはずないじゃない・・・」



寝転がっていたロミオは、すくっと立ち上がって、ヨンジュンの後を、プリプリと尻尾を振りながら、ついていった。
  






「ねえねえねえ」
「・・・・」
「ちょっと」
「・・・読書中・・・」
「わかった・・・」



ホーリーはヨンジュンの足を載せたオットマンに座りこんで、下に寝そべっているロミオの背を撫でている。
ヨンジュンは本の隙間から、彼女を見たが、一向に去っていく様子がない・・・。

彼はホーリーの態度がイライラしてきて、ポンっと本を閉じた。



「終わった?」

「・・・なんなの?」
「なんなのって?」
「僕は本を読んでいるんだよ」
「わかってるわよ」
「だったら、あっちへ行っててくれない?」
「なんで?」
「なんでって? この家は、こんなに広いんだよ」
「・・・」
「くっついていることないだろ?」
「くっついてるわけじゃないわ。ここにロミオがいるのよ」
「だったら、連れて行けよ。こいつだって、ついていくだろ?」
「・・・」

「君たちはいいカップルだよ」
「あら、それはあなたとロミオでしょ?」
「それじゃ、男と男になっちゃうだろ?」
「あら! ロミオはメスよ」
「え~え?」

「ほら、見て。ついてないでしょ?」
「あ、ホントだ・・・。おまえ、メスか?」



ロミオが潤んだ瞳で、ヨンジュンを見つめた。



「ねえ、僕は休暇でここへ来てるんだ・・・一人で好きにさせてよ」
「でも、本を読んでるだけじゃ、つまらなくない? それじゃあ、韓国にいるのと変わらないじゃない。せっかくニューヨークに来ているのに、勿体ないじゃない」

「はあ・・・。好きにさせてよ・・・」


ヨンジュンはため息をついて、閉じた本を胸に抱いて、目を閉じた。


「・・・ねえ・・・ジュン・さん・・・。オッパ!」

「うるさい」

「そうか・・・。家でも家族が多くて、一人になれないのね?」
「まあね」
「大家族?」
「ああ、大、大、大家族」
「そうなんだ。それで、いつも周りがうるさいのね。ねえ、結婚してるの?」
「いいや」

「そうか。長男で一家のヒョンなんだ。そうでしょ?」
「そう・・・」
「へえ・・・やっぱりね。いい人だけど、ちょっと硬いと思ったわ。ヒョンだからか・・・しっかりしてるのね」
「もうわかったら、あっちへ行けよ」
  
「ねえ、ヒョン。タイムズスクエア辺り行かない? 楽しいよお、うきうきするわよ」
「行かない・・・」
「どうして?」
「だって、家族がいっぱい・・・いや、知り合いも休暇取って、ニューヨークに来てるからさ」
「逢いたくないんだ・・・」
「まあねえ・・・」

「それじゃあ、つまんないじゃない! あ、そうだ! ソーホーは? ソーホー行こ! あそこ、楽しいよお」
「何が?」

「新進の作家の作品で、結構いいのが売ってるのよ」
「何の?」
「服よ」
「ああ、君はファッション屋さんだからね」
「ねえ、それだけじゃないわよ。芸術家が多いの・・・と言っても、今は、ギャラリーやレストランやブティックだらけで、アーティストたちは最近チェルシーに移り住んでるけどね」
「へえ」

「でもね、あ! カースト・アイアンって知ってる?」
「うん?」


ヨンジュンが目を開けた。ホーリーはシメタ!と思って、話を続けた。

  
「カースト・アイアンっていう歴史的な建築様式が残ってる指定地区なの」
「ああ、ちょっと待って・・・。ええと。あれだ! 19世紀にイギリスから伝わった建築技術だ。溶解された鉄塊を鋳型に流し込んで、建物の骨格や外観の鉄の枠組みを作るやつ」
「そうそう! それでできた建物が残ってる地域よ。あなたって本当に物知りね」
「ふん」(笑)

「見たいでしょ?」
「行きたいんだろ?」
「あら! 隣のノリータやロウアー・イースト・サイドもいいわよ」
「行きたいんだ」
「あなたの好きそうな老舗のオーガニックレストランもあり!」
「へえ!」
「メキシカン、食べてもいいわよ」
「ふ~ん」
「ノリータで、ブラジル料理もいいわね。あ、フレンチカフェもあるわよ!」
「わかったよ。一緒に来てほしいんだろ?」
「バレた?」

「ボディガード?」
「もあるけど・・・」

「奢ってほしいんだ・・・」
「・・・」

「服は自分で買えよ」

「もちろんよ! その代わり、最高のガイドになるわ!」
「わかった」

「いいの?」

「いいよ、君のせいで、本もオチオチ落ち着いて、ここの家では読めないからね」
「そうお? でもさ、せっかくのニューヨークだもん。楽しまなくちゃ」
「だな?」
「うん・・・」


「よし! 着替えるか!」


ヨンジュンが立ち上がった。


「ゆっくりでいいから。休み休み、歩いていいから」

「ありがと」


ヨンジュンはホーリーをちょっと睨んで、笑った。







続く・・・










二日目も落ち着いて、自分の世界に浸っているわけにはいかず・・・^^;

でも、それがいいのかも?^^



Enjoy your life !
We love New York and you !!

注)ホーリーがヨンジュンを「ヒョン」と呼ぶのは、間違えではなく、
彼女にとっては、「オッパ」ではなく、「ヒョン!」なんです。
その辺のニュアンスを読んでいただけるとうれしいです^^






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