BGMはこちらをクリックチョ・ソンモ「君がいないと・・・」 こんばんは^^BYJシアターです。本日は【隣のあいつ】第7章です^^【配役】イ・ヨンサン :ぺ・ヨンジュン(大学4年~30歳。小説家・メガネなし・サングラスのみ・・同感2を参考に)ルル(キム・スヨン):チョン・ドヨン(大学4年~30歳。マンガ家・メガネあり)ではお楽しみください!~~~~~~~~~~~~~【隣のあいつ】 中編3主演: ぺ・ヨンジュン チョン・ドヨン【第7章 思い出づくり】二人の夏の第一日目。あいつは汚れてもいい服装で来いと言った。スヨンは濃い色のTシャツにジーンズをはき、ヨンサンのアパートへ向かう。ヨンサンがアパートの前で待っていた。ヨンサンの顔を見ると、うれしさと恥ずかしさで、胸が弾けそうだ。ス:(息せき切って走って近づき)まだ時間になってないよね。(腕時計で確認する)ヨ:うん。二人の夏の第一弾。このちゃぶ台をペイントする。ス:えっ?ヨ:もう、ボロいだろ。ペンキを塗ってキレイにする。ス:(ちゃぶ台を見て、少し考えて)私にペイントさせて。トールペイントしてあげる。私、絵は上手なんだよ。美大か文学部か迷ったくらいなんだから。マンガみたいじゃなくて、芸術的に仕上げる!スヨンは自信満々で応える。ヨ:よし。じゃあ、オレはそのための下準備をする。サンドペーパーをかけたりとか・・・。ス:うん。・・・あっ、うちへ持ってきて。うちの方でやろうよ。トールの道具もあるから。途中でサンドペーパーやペンキを買いながら。ね。そうしよう。ヨ:よし、そうしよう。ヨンサンの自転車の買い物かごにスヨンのバッグを入れ、後ろには、スヨンがちゃぶ台を背中にひもでくくりつけて乗っている。初め、重くてよれよれするが、一生懸命にこぐ。後ろでスヨンが恐がって、悲鳴を上げているが、幸せそうだ。へんな格好の二人乗りだが、幸せいっぱいで走っていく。スヨンのアパートの前庭で、二人はちゃぶ台にサンドペーパーをかけている。スヨンが何か思いついて、ス:ねえ、部屋に来て。とヨンサンを引っ張った。二人で、スヨンの部屋に入るが、部屋に似つかないベッドを発見してヨンサンが驚いた。ヨ:おい、このベッドなに? こんなに大きいのに一人で寝てるの? セミダブル、いやそれより大きい感じだ。他の家具はまったく平凡な机や本棚やタンスなのに、これだけは、金色のパイプでできた、やたらデコラティブな、ちょっと卑猥な感じさえするベッドである。ス:うん。リサイクルショップに買いに行ったら、これが一番安かったんだ。売れ残りだよ。でも、寝やすくて気に入ってるんだ。ヨンサンはニッコリした。ヨ:ふ~ん。いいねえ、これ。ちょっといやらしくてさ。・・・楽しみだね。そういって横目でスヨンの顔を見るから、スヨンは体が熱くなって、しどろもどろになる。スヨンはまだうぶだから、こういう会話をすると、ヨンサンにはかなわない。それにヨンサンの言葉で体のあちこちが反応してしまうのだ。こいつもそうなのかな・・・?ヨ:まずは今日の仕事を片付けよう。ス:うん!スヨンは気分を変えて、机の脇から、四つ切サイズの入るポートフォリオを一つ取り出す。ス:ヨンサンに、仕事あげる。これにカラーのグラビアに載るみたいな作品を入れていくつもり。だから、ヨンサンは表紙に言葉を書いて! う~ん、「愛するスヨンに捧ぐ・・なんたらかんたら」って。心を込めなくちゃだめよ。真剣にやんないと。ヨ:(笑って)なんたらかんたらね。ス:このペン立てのペン、どれでも使っていいから。ヨ:(真面目な顔をして)う~ん、結構、気合いがいるな。ス:ちゃぶ台だってそうだよ。真剣勝負だよ。二人は笑った。初日から、結構ハードな取り組みだった。ヨンサンの部屋に置く、いや飾る、初めてのスヨンの作品。彼のイメージを考える。長く愛用できるものに・・・。スヨンはアパートの前庭でちゃぶ台の前に座り込み、真剣に構想を練る。ヨンサンは、スヨンのベッドの奥のほうに座り、壁に寄りかかって、スヨンに贈る言葉を考えている。スヨンと自分はいつまで続くのだろう。スヨンは記念にとっておくのかな。・・・先のことはいい。まずは、今、自分が愛するスヨンに贈る言葉を考えよう。スヨンがマンガ家として大成できるように励ます言葉。お互いに重い仕事に着手する。午後いっぱいかかり、それぞれの仕事を終えた。二人はアパートの前庭に立った。ス:どう、気に入った? ヨンサンのイメージに合わせたよ。真ん中はなんか置いてもいいように空けてあるよ。白く塗られた下地に輪のように描かれた植物画。とても清楚でありながら、力強い。まるでそこにスヨンが存在するかのように生き生きとしている。スヨンの観察力とデッサンの確かさがわかる。ヨ:すごいな。気に入ったよ。スヨン。ありがとう。ヨンサンがポートフォリオを渡す。そこに書かれたヨンサンの言葉。とてもやさしく心に沁みる。そして、彼の美しい文字。こういう字を書く人だったんだ。そして、掃除の行き届いた部屋だった。普段はぶっきらぼうなイメージだが、やはりこの人は繊細な人なんだ。ス:(ちょっと涙ぐむが)すごくステキ。ずっと使う。有名作家になってもずっと使うよ。(目をキラキラさせて言う)ヨンサン、うれしい。ありがとう。二人のプロジェクト・ワンは終わった。そして、明日もまた新しいことをしよう。スヨンのベッドに寝転びながら、ヨ:今度、料理も一緒に作ろう。ス:下手なんだ、私・・・。ヨ:教えてやるよ。海も行くし。もっとやりたいことある?ス:う~ん、あっ、自転車! 私、乗れないんだ。ヨ:よし。じゃあ、明日は自転車の特訓。オレので練習しよう。ス:うん。ヨ:それから、水風呂大会もおもしろいな。どれだけ水につかっていられるか、競う。ス:ハハハハ。カゼひくよ。じゃあ、お互いの髪を散髪する。キレイに仕上げなくちゃだめだよ。ヨ:それから・・・。どこまでもずうっとまっすぐに歩く。普段は行かないところまでドンドンまっすぐ歩き続けてみる。ス:まっすぐ? 建物があっても? アハハハ。(笑う)それから、本屋めぐり。二人で手をつないだまま、本屋で本を見る。絶対放しちゃいけないんだよ。ヨ:それは右手が自由なほうがいいな。ス:もちろん、じゃんけんだよ。二人はどんどん夏の計画を立てていく。二人でやること。楽しいこと。それをいっぱい作る。他の4年生が、就職活動や卒論で忙しい最中、大学院を目指して勉強するヨンサンとマンガ家を目指すスヨンには、毎日がゆったりとした日曜日だ。大きなベッドに寝転んで、二人はにこやかに夢を語り合った。午後10時を過ぎて、ルルはそろそろ夕飯の買出しに行かないと、明日も食べるものがないことに気がついた。今日の昼だって、冷蔵庫のパン一枚しか食べていない。仕事に追われ、席を立つこともできない。ルルは財布をポシェットに入れ、部屋を出る。エレベーターのドアが開いて、乗ろうとすると、中から夜なのにサングラスをかけたヨンサンが謎の美女と降りてくる。一瞬、ヨンサンとルルはお互いを意識するが、二人とも知らん顔でやり過ごす。ルルのもとにヨンサンのニオイだけが残った。彼のニオイのするエレベーターの中、少し瞳が曇ったルルがいる。ヨンサンの寝室。スタンドを二つだけつけて、ムードある雰囲気。部屋全体が白い色調である。チェストとダブルベッドだけが落ち着いた濃い木目調で、白いベッドカバーがよく似合う。女は服を脱ぎながら、スタンドが置かれた部屋の隅にある小さなサイドテーブルを見る。白い天板にはキレイな植物画が描かれている。女:いつ見ても本当にいいわよね、あのテーブル。なんか惹きこまれちゃうのよね、気持ちがぐうっと。ほしいなあ。絶対だめなの? あれ、ほしいのに。すごくいいわよ。ヨ:・・・作家物だから。あれは譲れないよ。女:ふ~ん、やっぱり。ふつうのとちょっと違う感じがステキなのよね。ヨンサンはカフスをはずしながら、ちらっとテーブルを見る。足を長く付け替えたあのちゃぶ台がここにある。ヨンサンは一人、本屋で本を眺めている。8月も10日すぎて、スヨンが実家に帰省しているのだ。なるべく早く帰るとは言ったが、一人娘の帰りを待ちわびる両親にとっては、最低一週間は滞在しないとまずいとスヨンは言った。ヨンサンの父親は、5年前から日本に駐在している。彼は一人韓国に残った。毎年のように学校の長期休暇のときは父のもとを訪れていたが、今は、新しい母親がきて、ここ一年ほど足が遠のいている。その人とは年齢が10歳も違わない上、20歳を過ぎて親子になったため、なかなか馴染めない。いい人であることはわかっているが、父より自分のほうに年が近いことや普段会っていないことから、最近、父を訪ねることが、重荷になってきている。15歳の時にガンで逝った母親への思慕が、彼の心の奥にはあって、現在の両親を見ていると、呼吸困難に陥りそうになる時があるのだ。いずれ、自分も結婚でもすれば、気軽に遊びにいって話ができるかもしれない。親友のウソンもこの春からアメリカに留学し、今年の夏はサマースクールがあるから帰れないという。こうしてみると、スヨンがいなければ、なんとつまらない日々だろう。大学のグルーピーのやつらとは、せっかくの夏には会いたくない。ヨンサンが本を眺めていると、後ろから、イ:イ・ヨンサン。と呼ぶ声がする。振り向くと、パク・インジュンだった。ヨ:やあ。イ:キム・スヨンに会いにソウルに戻ったけど、留守みたいなんだ。インジュンには帰省することを言っていないんだ。イ:ヨンサン。今君を見かけたから。ちょっと話があるんだ。少しいいかな。ヨ:ああ。インジュンに誘われて、近くのコーヒーショップに入った。ヨンサンは深く腰掛け、足を組んでそこに手を添えている。インジュンは太ももあたりに両手を置き、少し肩をいからせている。コーヒーが運ばれて、インジュンが話しを切り出す。イ:最近、君とスヨンが一緒にいたのを目撃した人がいてね。そうさ、ずうっと一緒にいたよ。イ:君に言っておかなければと思って。君がどんな気持ちでスヨンと一緒にいるか知らないが、僕とスヨンはこの3年半という月日を一緒に過ごしてきたんだ。それで。この間、学校で君と会っただろう。あの日、僕はスヨンにプロポーズしたんだよ。インジュンがヨンサンの様子を伺っている。ヨ:それで。彼女はOKしたのか。イ:(ちょっと返事に困って)たぶん、今考えている最中だと思う。僕が性急にことを進めたからね。あの日か。オレとスヨンが一気に近づいた日だ。そんなことがスヨンにあったのか。スヨンはとても早く家に戻っていた。オレの電話を待っていたと言った。これからインジュンが何を言っても気持ちがぶれちゃだめだ。スヨンを信じろ。イ:つまり、ヨンサン。君がどんな気持ちでもスヨンとの将来はないということだよ。ヨ:それで。イ:(ヨンサンの反応がいまいちなので焦る)つまり。スヨンと手なんかつないで歩かれたら困るということだよ。ヨ:それはおまえの気持ちだろ。イ:とにかく、スヨンと君とは・・・まったく縁がないということだ。ヨ:・・・。イ:僕たちは大学を出たら結婚する。そして僕の故郷で暮らす。そういうことだ。 ヨ:スヨンの仕事はどうする。イ:(少し笑って)仕事? 家事のこと?ヨ:マンガは?イ:彼女、そんな夢みたいなことを言っているのか。君もそんなこと、信じてるの?ヨンサンは少しむかついてきた。この男は3年半も一緒にいて、彼女の実力を知らない。あのゼミの文集を読んでなんとも思わなかったのか。彼女の絵を見たことがないのか。彼女の意思の強さを知らないのか。おまえはスヨンを知らないのか。あいつの思考回路をまったく理解していない。ヨ:帰るよ。イ:待てよ。ヨ:いずれにしろ、スヨンは自分のことは自分で決めるよ。オレはスヨンじゃないから何も答えられないよ。そういって、席を立った。通りに出て一息つき、帰ろうとすると、後ろからインジュンがやってきて、「イ・ヨンサン!」と叫ぶので、振り向くと、その瞬間、思い切り顔に一発パンチをくらう。ヨンサンはバランスを崩し、倒れこんだ。その前にインジュンが仁王立ちになり、ものすごい形相で立っている。イ:僕の女に手を出すな! おまえみたいな最低な男にスヨンを渡さない。女なんか他にいくらでもいるだろう。おまえに、あの清純なスヨンはやらない。覚えておけ!インジュンは捨て台詞をはき、去っていった。ヨンサンは転んで腰を強く打ち、しばらく立つことができなかった。あの事件から3日後の夕方。スヨンから電話が入った。ス:ヨンサン。元気だった? 我慢できなくて帰ってきちゃった。5日も我慢できなかったよ(笑っている)。親にはうそをついた。初めてのうそだよ。コミック誌の編集者に会うって言っちゃった。私がそういうと親もなんにも言えないんだ。ヨンサン、聞こえてる?ヨ:うん。(ヨンサンは口の中が腫れているので、うまくいえない)ス:具合、悪いの?ヨ:うううん。ス:これから行くよ。いいでしょ?ヨ:う~ん・・・。ス:行くよ、だめでも行く。スヨンはヨンサンに習った自転車でゆっくりだが、なんとかヨンサンのアパートまでたどり着いた。ヨンサンの部屋のドアをたたく。ヨンサンが出てきたら、絶対、抱きつく!ヨンサンがゆっくりドアを開けた。スヨンはうれしくて、抱きつこうとするが、ヨンサンの左ほおから口のあたりがあざになっていて、少し腫れている。ヨ:やあ。ス:(驚いて)どうしたの?ヨ:うん・・・自転車で来たの?ス:うん。ヨ:公道はまだ走らないほうがいいよ、おまえは。目も悪いんだし。危ないよ。ス:うん、でも早く来たくて。でも、どうしたの?スヨンが部屋に入ってくる。ヨンサンは腰も痛そうに歩いている。いったい何があったのだ。ス:ねえ、教えて。何があったの? お医者さんには行ったの?ヨ:うん。(ベッドに腰掛けてスヨンを見て)・・・おまえの元ボーイフレンド。ス:えっ?(誰? ああ、)インジュン?ヨ:そう。ス:なんで。ヨ:僕の女に手を出すなって。いきなり殴られた。それで転んで腰も打っちゃって。ス:(ヨンサンの前に座って)大丈夫? ひどいなあ。・・・ヨンサン。私は、ヨンサンの女だよ。(顔を覗き込むように、笑顔で)ヨンサンしか好きじゃないし、ヨンサンにしか抱かれたこともないよ。他の人なんて、絶対やだもん。ヨ:でもあっちはそうは思ってないみたいだよ。3年半の月日とか、言ってたよ。ス:ごめんね。介抱するよ、ずっと。お母さんのキムチ、持ってきたけど、今は食べられないね。おかゆでも作るよ。ヨンサンに教わったから。そういってヨンサンの隣に座って、ヨンサンの頭を膝まくらしてあげる。ヨンサンの顔が下になり、スヨンが上から見下ろす。ヨンサンの頭をやさしく撫でる。ス:本当はね。ヨンサンに会いたくて、抱きしめてほしくて来たんだよ。でも、今日は私が抱きしめてあげる。ヨンサンが手を伸ばし、スヨンのメガネを外す。スヨンの大きな目からヨンサンの顔に涙が落ちた。ヨ:バカだな。ス:バカだよ。(泣き声になって)こんなことになってるなんて。あんたはなんにも悪くないのに。・・・ごめんね、ごめんね、とばっちりだよね。スヨンはヨンサンの頭をどけると、ヨンサンと同じ方向に寝た。そして、うつ伏せになり、仰向けのヨンサンの髪を撫でて、ヨンサンの上に重なるようにキスをした。後編に続く・・・一生忘れたくない夏。一生心に刻む人・・・。ではまた明日~~^^