帰ろう・・・ ― KA・ZO・KU その後 ―
このお話から番外編としてのイベント(クリスマス、サークル誕生日、JOON誕生日、
等)UPが定番になりました。ちなみにこれは、2006年のクリスマス創作です。
昨日の「そして、未来へ・・」を書いた時には、まだテサギの撮影がどのくらい遅れ
ているのかも分らなかった時。この回を書いていた時も彼の動向が分らなかったの
か、仕事の事について詳しく書いていませんね(笑)
さて。前作で笑ちゃんのお腹には小さな天使が宿り・・クリスマスのこの日、レウォン
は落ち着きません。それは・・
追記・・画像差し替えました!
サークル掲載時にコラボしてくれたvivi☆さんのコラージュです!
“はい。これで、本日の講義は終わります。
では皆さん、よいクリスマスを!“
「じゃ、お先っ!!」
「おい、レウォン!なんだよ、そんなに急いで。
もしかしてデートかぁ?」
「違うよ、そうじゃないけど・・あぁ、でもそんなもんかもな。
ハハ!妹が帰ってくるんだ。じゃあな!」
「ふ~ん、なんだそうか・・妹ね・・えっ、え~?!」
僕は友達の声を背中で聞きながら、急いで教室を飛び出した。
2007年 クリスマス・イヴ。
キャンパスを全速力で駆け抜ける僕に、アチコチから声がかかる。
「レウォン、どうした?なぁ、お前の親父さんの新しい映画さぁ・・」
「よう!!今、校門の近くでお前の彼女の車見たぞ!」
「サンキュ!父さんはまだ仕事でさ・・代わりに行くとこあるんだ。
わるい!急いでるからまたな!」
今年の春の、あの衝撃的な記者会見から9ヶ月。
国内はもとより、海外での“ヨンジュン結婚騒動”も
なんとか治まり、僕も息子として世間に認知(おいおい・・)
され、僕ら家族の周囲もやっと静かになっていた。
息を切らせて校門に着いた僕は、
そこに待っていたミナの車に乗り込んだ。
「早かったわね。走ってきたの?
ちょっと、レウォン君、鏡見たら?・・ね、そんなに嬉しい?
顔、にやけてるわよ。ふふ!おかしい~~ハハッ!」
「え?そんなわけないだろ?あ・・ほんとだ・・・・
おい、治んないよ。どうしたらいいんだ?
・・・ハハ!だめだ。治りそうにないや。
なぁ、飛行機まだだよな。大丈夫かな。無事に着くといいけど」
「お、兄、さ、ん、心配ね~。ユキちゃんも今からこれじゃ
お嫁に行く時は大変だわね。兄バカなお兄さん持って」
「だって、今日はこんな寒いのにさ。
ソウルは日本より寒いんだぞ!風邪ひいたらどうすんだよ。
母さんも、そういうとこあまり気、使わないからな~」
「ふふ・・おじさまと同じ事言ってる。
今、スタジオでお逢いしてきたの。
くれぐれもよろしく頼まれちゃったわ。
お迎えレウォン君1人じゃ心配なんじゃない?」
「ああ、そうなんだ・・・もう朝から大変さ!
“こんな日にスケジュール入れた”って珍しくマネージャーさんに
当たってたよ。ま、周りは慣れてるからね。
母さんの事と、ユキの事になると、てんでダメなんだ。父さんは」
「素敵よね~おじさま。最近ますます男らしい感じで。
発表してから笑顔もパワーアップしたっていうか・・
かえってファン増えたんじゃない?
そうそう、この間日本で撮ったトークショーよかったわ!
あの番組2度目なんでしょ?私、お話聞いててウルウルしちゃった。
かっこよかったわよね・・・・レウォン君?・・何?そんな顔して。
・・・やだ。ね、もしかして、妬いてるの?
バカね、おじさまのことよ?あなたのお父さんじゃない!」
「父さんだって、まだ35だからな・・アレで、結構色々あったらしいし。
あの人に口説かれて堕ちない女はいないだろうから。
ホント、父さんはかっこいい・・・おい!ち、ちょっと!!!」
急にハンドルを切ったミナは路肩に車を止め、僕を睨んだ。
「ミ、ナ?」
「・・・・謝って。
レウォン君、私の事、そんな風に思ってたの?
私が口説かれて堕ちるって?おじさまに?
ねぇ、謝ってよ。
私は誰の恋人なの?・・・私だけがそう思ってたって事?」
「ミナ・・ゴメン。そんなつもりじゃ・・」
「・・ああヤダ。私、こんな自分が嫌でたまらない。
あなたの事になると、冷静でいられなくなっちゃう・・
こんな言い方したくないのに・・」
「ごめん・・僕が悪かった・・こっち向いてくれよ。
泣くなよ・・君は僕の恋人だ。そうだろ?」
夕日の当たる車内。
涙が伝うミナの顔がかわいくて、
僕はその唇にキスをした。
いつもより少し長いそれは、
いつもより、深く熱かった。
到着ロビーにはまだ、母さん達が乗った飛行機は着いてなかった。
安心してベンチに座り、ミナの肩を抱き、髪を撫でていると、
後ろから僕の頭に、強烈な張り手が飛んできた。
「痛って~~!!!」
「こら!10年早い!!
人前でそんなことやるのは、一丁前になってからよ、レウォン!」
「母さん!!あ、れ?どうして?え?だって、まだ・・」
「ちょうど、空きがあったから、1つ前の便で帰ってきたの。
遅くなると寒くなるでしょ?
ミナちゃん、わざわざありがとう。コイツが変なことしそうになったら、
私に言うのよ。案外手が早そうだから・・
ジュンが仕込んでるかも知れないからね」
「か、母さん、バカ言うなよ!何言ってるんだよ!」
「大声出さないの!今、寝たところなんだから・・・
ミナちゃんは初めてよね。“ユキで~す。ヨロシクね”」
「ご無沙汰しています、おばさま。わ・・かわいい・・
ちっちゃいんですね。ホント、色白いわ。
ユキちゃんっておじさまが名前つけた訳、分かるな。
日本語で“雪”だなんて、素敵・・」
「そうなの。ジュンはね、目の中に入れても本当に痛くない
らしいの。ふふ・・私も18年ぶりの高齢出産でしょ?
ちょっと心配だったけど、安産だったわ。
それにしても、新潟の父がユキを離さなくて参ったわ。空港で大騒ぎよ。
たぶんあの調子じゃ、お正月はこっちに来るわね。うるさくなるわよ~!」
超元気な母さんの腕の中で、僕の妹が眠っている。
一ヶ月半前に生まれた“ユキ”
父さんはあの記者会見で、僕達の存在と生まれてくる妹の事を
発表していた。
初めこそ、国内外のメディアは
『ヨンジュン結婚していた!!』
『相手は5歳年上、子持ちの未亡人!!!』
『夫人は現在妊娠2ヶ月!!39歳の高齢出産!!!!!』
と、物凄い騒ぎだったが、
父さんの真剣な態度に、まず“かぞく”達が事実を受け入れた。
“結婚祝い”に“安産のお守り”
韓国や日本の事務所には、瞬く間にプレゼントの山ができたそうだ。
日本の実家で、出産した母さん。
極秘来日して、しっかり立会い出産も経験した父さんは、
感激と涙でしばらく動くこともできなかった。
僕も、初めて見る自分の妹が可愛くて仕方が無かった。
そうそう、僕はユキが生まれた瞬間から、“父さん”と呼び始めた。
キッカケが必要だったからね。
なにせ、5歳の頃から“ヒョン”って呼び続けてたんだ。
そう簡単には変えられない。
一大決心して呼び始めたのに、
こんどは父さんがクレームをつけた。
「なぁ、レウォン・・嬉しいんだけど。
今まで通りでいいよ。なんかくすぐったくてさ。」
「ヒョン・・いや、父さん。
ユキがしゃべるようになった時、僕が“ヒョン”って呼んでたら、
僕の事を、“オッパ”って呼んでくれなくなるかも知れないだろ?
それはヤダね。僕はユキの“オッパ”なんだから。
だからヒョンはもう、僕にとっても“父さん”なんだ。い、い、ね!」
ユキの事を持ち出されたら、父さんに勝ち目はない。
僕の顔を見て、ふっとため息をつくと、うんうんと頷いた。
来日中、僕と父さんと新潟のおじいちゃん・・
母さんがまだ本調子じゃないことをいい事に、ユキの世話を奪い合って、
それは壮絶(?)な戦いだった。
「“お父さん、ミルクは僕が作りますから”って、
おじいちゃんに伝えろ!」
「え~!父さん、僕がやるよ。それに、そのくらいの日本語
もう喋れるくせに。母さんの傍にいてあげなよ。
また“ジュンはどこ?”って言い出すから・・
ね、夫婦水入らずで、さ」
「レウォン。俺は父親だぞ!どうして、俺が一番ユキを抱く時間が
短いんだ?気が付けば、誰かがユキの世話をしている・・
お前も息子なら、俺の味方しろよな!」
「僕だって権利はあるだろ?たった1人の妹なんだよ?
色々手伝う事もあるだろうって、日本に来たのに。
ヒョンだってずるいよ。勝手に名前決めちゃって。
僕も考えたかったよ・・いい名前だけどさ」
「ペナルティー1回だな。“ヒョン”って言った・・ミルクは俺が作る」
「もう!父さん~!」
争って2人で、ダイニングに行くと、
そこにはユキを抱いて、ミルクを飲ませてるおじいちゃんがいて・・
「お父さん・・」
「おじいちゃん・・」
「おお、ジュン。やっぱりこの子はお前に似てるな。鼻筋がすーっと
通って綺麗だ。笑に似たら、あのちょこんとした鼻だからな。
よかったな~美人さんで」
はぁ~~おじいちゃんには誰も敵わない。
男3人の戦いは結局いつもおじいちゃんの勝利で終わる。
父さんはそんな光景を眩しそうな目で見つめ、ユキをはさんで、
片言の日本語でおじいちゃんと話をするんだ。
新潟のこの家は、とても居心地がいい所で、
ユキが生まれる一週間前にやってきた、僕らは、
稲刈りや、畑仕事も進んで手伝った。
まさか、韓国のトップスターが、コンバインに乗って稲刈りしている
なんて、誰も想像しないだろうな。
日程ぎりぎりまで滞在した僕らは、
まだ帰国しない母さんとユキに心を残して日本を後にした。
その、2人がやっと帰ってきた。
ユキは、すやすや眠っている。
「あぁ・・・本当、かわいいな。」
「そうね。少し、レウォン君にも似てるんじゃない?
ほら、目はくっきり二重だし。
ユキちゃん、私、ミナよ。よろしくね。」
その時、僕の携帯が着信を知らせた。
「もしもし?あ、父さん?うん、無事に着いたよ。ユキも元気。
これから帰るよ。母さんに代わる?」
携帯を母さんに渡し、
母さんが父さんと話している間、僕はユキを抱いていた。
血を分けた僕の妹。
あの父さんと、母さんの子供。
僕は今までの14年間をなんとなく思い出していた。
人の出逢いって本当に不思議だ。
ひとつの出逢いが形になって、今僕の腕の中で眠っている。
父さんにも、僕にも似ているというその顔を見ていたら、
なぜか、涙が出てきた。
さ、ユキ。
お家に帰ろうな。
これからは、4人家族だ。
オッパが、父さんと母さんの話をいっぱい、いっぱいしてあげるよ。
小さな小さな、僕達の天使。
クリスマスのソウルの町は、祝福の音楽が鳴り響いていた。
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